IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
※12月31日にストーリーに沿った特別編を投稿する予定です。もし良ければご覧ください。
「ハロウィン」
その起源は古代ケルト人の時代にまで遡り、その語源は彼等が行っていたという「サウィン」というお祭りと言われている。彼らの時代では11月1日が新しい一年の始まりと言われ、その前日である10月31日が今で言う大晦日とされていたらしく、新年を祝うために先祖の霊達がそれぞれの家に戻って来ると信じられていた。しかし同時に関係ない悪霊達まで引き連れてしまって来るとも言われ、家の者達はなんとか悪霊を追い払う方法は無いかと考えた。そこで家の者達は悪霊よりも怖い姿恰好をすれば悪霊は驚いて帰ってしまうのではないかと考え、仮面を被ったり仮装をしたりした。これが一番早いハロウィンの始まりとされている。その後時代は過ぎて秋の実りが豊かになる時期と重なる事もあり、それらの収穫を祝うと同時に悪霊を追い払う祭へと変化。そこから更に時代は過ぎ、今では子供達が怖い仮装をして「トリック・オア・トリート!(お菓子くれなきゃいたずらするぞ!)」というお決まりのセリフを言って大人からお菓子をもらう、というのが定番となっている。しかし形や方法は変わったにしても悪霊を追い払う、という意味では時代を超えて共通しているのであった。そしてこの世界でも…。
日付は10月31日。時間は夜。場所は島のとある広場にて。
子供達
「「「トリック・オア・トリート♪」」」
火影
「へいへい」
そこに火影はいた。理由は勿論、タッグマッチの前日に本音に頼まれたハロウィンイベントの手伝いである。イベント会場である広場は円形となっており、円に沿う形で様々なハロウィン用のお菓子を出しているブースが並んでいる。そのひとつが本音の知り合いがやっているらしく、火影はその手伝いをする事になったのだ。で、その知り合いとは誰かというと…、
虚
「すみません火影さん、妹が御迷惑をかけて…」
弾
「俺も悪いな火影。折角の休みなのに手伝ってもらってよ。いやしかし本当に助かったぜ。俺も一夏に聞いてみたんだが時間が合わなくてな」
火影
「なに、たまにはこういうのも良いさ」
それは虚と弾であった。大きいイベントなので街からも協力しようという事になったらしく、弾達の家である五反田食堂も手伝う事になったのだが、料理はともかくお菓子作りの経験が薄かった事やその間店を空ける訳にはいかない理由等から誰か手伝ってくれる者がいないかという事が虚から本音の耳に入り、その結果火影が手伝う事になったのである。
弾
「しかし火影もこんなに菓子作りが上手いなんて知らなかったぜ!これみんな手作りなんだろ?正直プロレベルだぜ!」
虚
「ええ、妹やお嬢様から伺っておりましたが本当にお上手ですね」
ふたりの言う通り火影は前日からクッキーやらマカロンやらチョコのお菓子を作り、それを器用にラッピングしていたのである。
火影
「いえ、あくまでも趣味のレベルですし包装は皆も手伝ってくれましたし。……ところで弾、本音はどうした?さっきから姿見えねぇけど?」
弾
「あああいつなら…」
とその時、
?
「「トリック・オア・トリート♪」」
前から声が掛かり、火影が対応しようとする。
火影
「あ、はいは…」
火影は一瞬黙ってしまった。何故ならそこにいたのは、
本音・蘭
「「お菓子くれなきゃイタズラするぞ~♪」」
本音と蘭だった。しかも御丁寧にふたり共魔法使いの仮装までしている。
火影
「…本音、お前何してんだよ?」
本音
「あれ~、知らないのひかりん~?このイベントは中学生迄なら参加できるんだよ~?」
火影
「いやそれは知ってっけど…、蘭はOKとしてお前は無理だろ?高校生だし」
本音
「気にしない気にしない~♪一緒に回ってればばれないって~♪」
蘭
「実際他の場所も回ってみましたがばれませんでしたよ」
虚
「…まぁ本音ちゃんの場合喋り方だけなら高校生とは思いませんでしょうね」
本音
「エヘヘ~それほどでも~♪」
どうやら悪気は全く感じていない様である。
火影
「バレても知らんぞ。…まぁいいか、ほらお菓子」
本音
「わ~い♪」
蘭
「ありがとうございます。…じゃあ本音さん、次に行きましょう♪」
本音
「は~い。ひかりん~後で手伝いに来るからね~」
そう言ってふたりは並んでスキップしながら次の場所に行った。
弾
「…確かにああしていたらとても高校生とは思えねぇかも」
虚
「…姉としてお恥ずかしい」
火影
「ははは。……さて、どうやら少し落ち着いたかね。……!」
そう言って火影は思い付いた。
火影
「ふたり共。ここは俺に任せて外に行ったらどうだ?夜のデートってのも一興だろ?」
虚
「…えっ!?」
弾
「な、何を言ってんだよ火影!」
火影にそう言われてふたりは酷く慌てだす。
火影
「ペースは今ちょっと落ち着いたし、暫くは俺ひとりでも回せる。イベントが終わる片付けの頃に戻って来てくれたら良いからよ。ああほら、ふたりの分」
そう言って火影はふたり分のお菓子を差し出す。
虚
「!そ、そんな!それにこれは子供達の」
火影
「大丈夫ですよ虚さん。余裕をもって作ってますから。気にせず行ってください」
そう言って火影はふたりに勧める。
弾
「…そ、そこまで言うなら…、虚さん、行きましょうか?」
虚
「……わかりました。火影さん、本当に大丈夫ですか?」
火影
「大丈夫ですって。本音と蘭が戻ってきたら目一杯手伝わせますよ」
虚
「……わかりました。…では宜しくお願いします」
弾
「すまねぇ火影。ちゃんと終わりには戻ってくるから」
そして弾と虚は会場外に行った。
火影
「…分かりやすいふたりだよなぁ。一夏もアレ程で無くてももうちょい箒やセシリアの気持ちに気付いてやりゃあ…」
子供達
「「「トリック・オア・トリート♪」」」
火影
「あ、へいへい」
そんな事を感じながら作業に戻る火影だった。
…………
「トリック・オア・トリート♪」
暫くして新しい子供がやってきた。しかしその格好は少し変わっていた。山羊の様な角飾り。しかし山羊にはある筈のない翼。そして大きな爪が付いた手袋をしている。もちろん本物ではなく全て着ぐるみであるが。(ゴートリング)
本音
「ヤギさんだ~」
蘭
「でも翼が生えてますね。なんか伝説の生き物みたいです」
ふたりがそんな感想を持った中、
火影
「…なんかどっかで見た様な形だな。まぁいいや」
火影はそんな事を思ったのであった。そしてそれが暫くそれが続く事になるとはこの時の火影は思ってもいなかった。
…………
「トリック・オア・トリート♪」
また新しい子供が来た。今度の子供は帽子をかぶっているだけだが変わった帽子だ。後頭部に青い鳥の羽根飾り。その真ん中に一番大きな飾り。そして大きな耳飾りをし、目から鼻にかけての部分がクチバシみたいにとがっている。(アサルト)
本音
「今度は鳥さんかな~?」
蘭
「でも耳飾りが付いてますね、鳥というより…鳥人、という感じでしょうか」
火影
「…これもどっかで見た気がするななんとなく…」
…………
「トリック・オア・トリート♪」
次の子供は脚先まである真っ黒いローブを纏っている。そして目の部分だけが青く大きい、赤い仮面を被っている。(メフィスト)
火影
「…黒いローブはありきたりだが…この仮面は…」
本音
「怖いけどなんかカッコいいね~」
蘭
「魔法使い?死神?…う~んどっちでしょう」
…………
「トリック・オア・トリート♪」
今度の子供は黒というよりも白に近いローブを頭から纏った子供。手には赤いプラスチック製の宝石が埋め込まれた杖の玩具を持っている。(ダムドビショップ)
本音
「今度は魔法使いさんかな~?」
蘭
「黒じゃなく白いローブの魔法使いって新しいですね」
火影
「…なんでこう見覚えのあるもんばかりなんだ…?」
…………
「トリック・オア・トリート♪」
次に来た子供も先の子供と同じく黒いローブ。そして目を引くのは、
本音
「で、でっかいハサミだね~!」
子供の背丈程はある大きなハサミだった。(デスシザーズ)
蘭
「ね、ねぇボウヤ~?それって本物、じゃないよね~?」
少年
「いやだなぁお姉ちゃん、単なるビニールだよ~。ハロウィン用なんだ~」
触ってみると確かにそれはビニールのおもちゃだった。
本音
「最近の玩具ってリアルだね~」
火影
「うん、もう勝手にしてくれ」
…………
「トリック・オア・トリート♪」
今度は変わり種ではなく、皆が良く知るマミー。いわゆる包帯ぐるぐるのミイラだった。
火影
「久々にまともだな。まぁ何をもってまともなのかはわかんねぇけど。ほら」
子供
「ありがと~。……あれ~?」
子供は火影を見て疑問の声を上げる。
蘭
「どうしたの坊や?」
子供
「…お兄ちゃん、なんか海之のお兄ちゃんに似てるね?」
本音
「ほえ?みうみう?」
蘭
「海之さんって…、確か火影さんの」
火影
「少年、海之の知り合いか?海之は俺の兄貴だよ」
子供
「え、そうなの?そうか~!よく似てると思った~」
子供は納得と言う表情をしている。
本音
「坊やみうみうのお友達~?」
子供
「…みうみう?…まぁいいや。うん、海之お兄ちゃんは僕とライフの命の恩人なんだ!」
蘭
「…えっ!」
本音
「どどどどういう事~!?」
子供
「あのね~…」
子供は海之と知り合った経緯を話した。
※Mission113をご覧ください。
火影
「…そうか、簪とラウラがあの時話してたのは少年の事か」
蘭
「海之さん凄いですね」
本音
「ほんとだね~!」
火影
「海之に宜しく伝えとくぜ」
子供
「ありがとう。…ねぇ、お姉ちゃん達お兄ちゃんの彼女~?」
蘭
「えっ!う、ううん違う違う!」
本音
「はわわわわわわわ!!」
火影
「ははは……」
仮装とは別の疲れを感じた火影だった…。
…………
そんな感じで順調に進みながらハロウィンイベントは無事終了を迎え、時間は夜遅くになろうとしていた。火影が多めに用意したお菓子達もほぼ無くなり、あと残った分は火影達と弾達で半々に分ける事にした。
本音
「皆お疲れ様~!楽しかった~♪」
弾
「虚さん。それに火影も本音も。今日は本当にありがとさんだぜ!イベントも大成功だったみたいだし、俺ら五反田食堂の役割も無事に果たせたしよ!」
蘭
「な~に言ってんの。中間位からは火影さんに任せっきりだったくせに」
虚
「すいません蘭さん」
蘭
「あ、いえ、虚さんは悪くありませんから気になさらないで下さい」
弾
「…お前ほんっとに俺と皆で態度違うよな」
火影
「それより良いのか?片付け手伝わなくて。全然付き合うぜ?」
弾
「いや良い良い。せめてこれ位は俺が頑張るぜ。お前は気にせず先に帰ってくれ」
虚
「本音ちゃんも先に帰りなさい。私は弾さんと蘭さんを手伝ってから帰るから」
本音
「うんわかった~」
火影
「…じゃお言葉に甘えて帰るか。じゃあな」
本音
「おやすみ~」
蘭
「ありがとうございましたー!」
火影と本音は虚、弾、蘭と別れて帰路に就いた。
…………
学園迄の帰り道
本音
「今日はありがとねひかりん~」
火影
「気にすんな。正直少し疲れはあるけど楽しくはあったし。あと礼を言うなら俺もだぜ、本音があんなに子供受けするとは思わなかった」
本音はその雰囲気や喋り方が子供に近い感じがあったためか、メンバーの中で一番子供の相手が上手かった。
本音
「えへへ~♪ねぇひかりん、子供ってかわいいね~。みんな仮装してて更に可愛く思えたよ~」
火影
「…今思えば少しおかしい仮装もあったけどな」
なんであの姿恰好があるんだ?と疑問が出るものが幾つかあったなと思う火影であった。
本音
「ねぇひかりん~、私本当に役に立ったのかな~?」
火影
「…え?ああ役に立った」
本音
「じゃあさ~、なんか御褒美ちょうだ~い?」
火影
「御褒美って…、ハロウィン用のお菓子やったりしてたじゃねぇか」
本音
「あれはハロウィンだよ~。ちゃんとしたご褒美~」
火影
「つってもいきなり言われてもな…………、あ」
その時火影の頭に思い出した事があった。
火影
「そういや鈴とシャルにはしてたが本音にはまだだったな」
本音
「なにか言った~?」
疑問符を浮かべる本音。すると火影は突然脚を止め、
本音
「!!!」
本音の頬にキスをした。タッグマッチ当日に鈴とシャルロットにした様に。
火影
「こんなんで御褒美になんのかわかんねぇけどな。……さて、今日は確か男子は風呂使える日か。久々に入るかな」
そう言いながら再び歩き出す火影。一方本音は火影の不意を撃つ行為に少し固まっていたが、
本音
「………ふぇ?、ふぇええええええええ!!ちょ、ちょっとひかりん待って!待ってってば~!」
やはりというか、真っ赤になりながら大慌てで火影の後を追うのであった。
おまけ
寮に帰ってくると鈴とシャルロットが共有スペースでお茶を飲んでいた。
シャル
「あ、お帰りなさいふたり共。ハロウィンイベントはどうだった?」
火影
「ああ結構な盛り上がりだったぜ。なぁ本音?」
本音
「う、うん!すっごい結構な盛り上がりだったー!」
鈴
「ほ、本音。アンタ声が大きいわよ。もう遅い時間なんだから」
本音
「ご、ゴメン!」
鈴
「でもそんなに盛り上がってたなら良かったわね。休みだったから言ってくれたら手伝ったのに」
火影
「頼まれたのは俺だからな。ああほら、余ったお菓子」
シャル
「え、僕達も良いの?ありがとう♪」
鈴
「♪…本音珍しいわね?欲しがらないなんて」
本音
「わわわ、私はもう貰ったから~!」
火影
「蘭と一緒にがっぽり貰ってたから」
シャル
「あはは、本音らしいね」
火影
「じゃあ俺は風呂に行ってくるわ」
鈴
「あ、うん。行ってらっしゃい」
火影はそのまま浴場に歩いて行った。
本音
「……」
シャル
「本音どうしたの?疲れた?」
本音
「ふぇ!?う、うん。そうだね~!疲れたかもね~!」
鈴・シャル
「「?」」
本音
(…絶対にさっきの事を言わない様にしないと~!)
真相を知らないふたりとひとりであった。