IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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年越しに合わせて作りました。現時点よりほんの少しだけ未来のお話です。外伝ではなくストーリーに沿っております。宜しければご覧下さい。


ExtramissionXX ゆく年くる年 (後書きにメッセージ)

12月31日、大晦日。時刻は午後23時を回り、後1時間で年越し。新年を皆で迎えようといつものメンバーは織斑家に勢揃いした。

 

一夏

「もう一時間位で新年か~。毎年相変わらず早いよなぁ」

「老人臭い事を言うんじゃない一夏」

一夏

「…でもたった今自分で言っといてなんだけど今年はいつもより長かった気がするな。一日一日が」

セシリア

「色々ありましたからね。IS学園入学から始まってこの一年本当に様々な出来事がありましたわ」

楯無

「そうね~。でもこんな時だけど去年の今より私はずっと充実してるわ。簪ちゃんとも仲直りできて新年を迎えられるんだから♪」

本音

「私も嬉しいよ~」

「…ふふ。…でも随分大人数になっちゃったね。すいません織斑先生」

千冬

「気にするな。どうせ私と一夏のふたり、いや今はあいつらもいるか。たまには良いさ。…それよりお前達、本当に家や国に帰らなくて良かったのか?待っている者もいるだろうに」

「大丈夫です。年が明けてから帰ると言ってますから」

シャル

「僕は本当は帰ろうかなと思ったんですけどお父さんがお友達と一緒の方が楽しいだろうから気にせず残りなさいって」

「そうなのか。きっと気を使ってくれたんだろうな」

シャル

「…うん。…こんな賑やかで、温かい気持ちで新年お祝いするなんて初めてかも。おかあさんが死んじゃってから」

千冬

「…早く家族で新年を祝えられると良いな。御父上と…義母上と」

シャル

「…はい!」

一夏

「ラウラ、セシリアは?」

セシリア

「私も年が明けてから一度帰る予定してますわ」

ラウラ

「私もそうするつもりだ。部下達にも連絡してある。…いや私はそもそも軍人だからな。年越し等あまり関係無いのだ。だから…こういうのも新鮮な感じだ」

 

直接の家族がいないラウラは毎年自分が率いる隊の者達と過ごす事が多かったが、シャルロットと同じくこんなにゆったり過ごす年越しは初めてらしかった。

 

ラウラ

「それに例年と違い、今の私には嫁も弟もいる。それにあの人も。どうせなら家族と一緒に過ごしたい」

「……ほんと恥ずかしげなくそういう事言うねラウラ」

楯無

「でも色んな言い訳あるけど大半の子は結局ラウラちゃんと同じでしょ~♪あのふたりと一緒にいたいんでしょ~♪」

鈴・シャル・本音・簪

「「「………」」」

セシリア

「…まぁでもお気持ちはよくわかりますわ。あんな事がありましたものね。でも本当に良かったですわ…」

「…ああ。本当にな…」

千冬

「……」

 

実はほんの数日前にとある出来事があったのだが……その話はまた何れという事に。

 

シャル

「そ、そういえばさ。日本のお正月って初めてなんだけどどんな事するの?」

一夏

「基本的には大晦日に大掃除したり年越し蕎麦食ったり、新年初日はおせちやお雑煮食ったり初詣したりだな」

「なんかそんな感じで言うと食べてるだけみたいじゃないのよ…。外れてはないけど。まあメインイベントは初詣かな。あとお年玉♪」

セシリア

「お年玉とはなんですの?」

楯無

「お正月に子供が大人から貰うお金やおこづかいの事よ。鏡餅のお下がりの「歳魂」をもじったとか、年の始まりの賜物の「年賜」から始まったとか言われてるけどね」

ラウラ

「しかし私達はもう高校生だ。まだもらう範疇に入るのだろうか?」

「流石にまだ子供とは思うけど…」

「え~、入らなかったらショックだな~」

本音

「ずっと子供でいたいなぁ~」

「お年玉は良いとして…確かにまだ大人は早いかな」

 

何人かそんな事を言うと千冬がふと思いついた。

 

千冬

「…ほぉ、お前達はずっと子供で良いのか。そうかそうか。では色々な事が永久にできんな」

シャル

「色々な事?」

一夏

「なんだよ千冬姉?」

千冬

「例えば…想い人の伴侶になる事とかな。子供には無理だ」

一夏以外全員

「「「やっぱり早く大人になりたいです(わ)!!」」」

 

全力で先程の言葉を無かった事にする少女達。

……そんな事を言いながら過ごしているとキッチンから火影と海之、そしてもうひとり出てきた。

 

火影

「おーいできたぜ~」

海之

「クロエ。溢さん様に気をつけろ」

クロエ

「大丈夫ですよ海之兄さん」

 

もうひとりとはクロエだった。三人共盆を持っている。乗せているのは…年越し蕎麦。

 

千冬

「一夏、手伝ってやれ。人数が多いんだ」

一夏

「ああ悪い!そうだった!」

 

 

…………

 

「「「いただきます(まーす!)」」」

 

全員で火影達が作った蕎麦に下鼓をうつ。

 

本音

「ひかりんとみうみうとクーちゃんのお蕎麦おいし~♪」

楯無

「この御出汁絶品ねぇ♪」

海之

「知り合いの日本料理の店から教わったんです」

「あっ、もしかしてそれ、私とラウラが前に連れてって貰った?そっかぁ」

セシリア

「所で日本に来てから知ったのですが年越し蕎麦ってどういう意味ですの?」

「ああ。蕎麦は他の麺類よりも軟らかくて切れやすいんだ。だから蕎麦を食べる事で今年一年の災いを断ち切る、という願掛けも兼ねての事らしい」

シャル

「そうなんだ~。ねぇ火影、もしかしてこの蕎麦って手打ち?」

火影

「ああそうだ。蕎麦は俺、出汁は海之、きつねはクロエが担当したんだ」

「アンタ蕎麦打ちまで出来るのね」

一夏

「へ~やっぱ違うな。このきつねもしっかり味染みてるし旨いぜクロエ!」

ラウラ

「…本当に美味しいです」

海之

「腕を上げたなクロエ」

クロエ

「あ、ありがとうございます」

火影

「最初の頃とは大違いだな♪」

クロエ

「も、もう火影兄さん!」

 

火影がこう言うのは訳があった。クロエは基本的にはどんな事も卒なくこなすのだが…、料理だけは壊滅的に駄目だったのだ。…本当に。それを見かねた火影と海之がここ数日料理を教える光景が多くなっていた。

 

クロエ

「でも本当にそう言って頂けて嬉しいです。…束様にも、食べさせてあげたいです」

「クロエ…」

火影

「…じゃあその時のためにもっと練習しとこうぜ。そうすりゃもっと旨い蕎麦食わせてやれるからよ」

クロエ

「!…ありがとうございます、火影兄さん」

 

確かにここには束がいなかった。その理由もまた近い内に…。

 

海之

「お口に合いますか先生?」

千冬

「ああ旨いよ。…ところで海之、火影。今さらだがお前達も本当に帰らなくて良かったのか?」

火影

「事情が事情ですからね。今帰る訳にはいきませんよ」

「でもギャリソンさんとかレオナさんとか寂しがってたんじゃないの?」

火影

「それがそうでもねぇんだよな。寧ろ俺達にそこまで良い友達ができたって事に喜んで嬉し泣きしてたし」

本音

「相変わらずだね~」

海之

「レオナ叔母さんもギャリソンの正月料理を一人占めして酒が飲める、と言って喜んでいたな」

「あはは、レオナさんらしいね」

火影

「まぁ鈴やラウラと同じで年明けに顔を見せに行くさ」

「それが良い。口ではそう言っててもきっと会いたがっておられる筈だ」

一夏

「ギャリソンさんのおせち料理か~。凄そうだな~」

海之

「何れ来ると良い。皆喜ぶ」

シャル

「じゃあ次は皆で行こう!」

 

そんな感じで今年の残り短い時間は過ぎ、そして気が付けば…。

 

セシリア

「あ、皆さん。あと3分で新年ですわ!」

ラウラ

「本当だ。気付かなかったな」

一夏

「じゃあ10秒前になったらカウントダウンしようぜ」

楯無

「そうね。皆でやりましょ」

 

そして、

 

10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、

 

 

「「「明けましておめでとうございます(ございまーす!)」」」

 

 

そして続けて、

 

 

「「「今年も宜しくお願いします(しまーす!)」」」

 

 

ゴーン…ゴーン…ゴーン……

 

こうして様々な事があった古い年は終わりを告げ、新しい年となったのであった…。

 

 

…………

 

夜が明け、時刻は朝を迎えた。少女達は何やら楯無と簪の家に用があると言って戻り、火影と海之は一夏、千冬と一緒に篠ノ之神社の前にいた。当たり前ではあるが初詣客で随分盛り上がっている。

 

篠ノ之神社

 

一夏

「ぶるぶる…」

千冬

「情けない、これ位の寒さで」

一夏

「いやいや十分寒いって。雪もこんな残ってるし。…つーか遅いなぁあいつら。何してんだろ?」

火影

「何やら準備があると言ってたけどな。おまけにクロエまで連れてったし」

海之

「……ああ成程」

 

海之は何か察した様だ。

 

千冬

「流石に勘が良いな海之」

海之

「予想ですが。千冬先生も行かれたら宜しかったのでは?」

千冬

「何、もうそんな歳では無いさ」

海之

「そんな事ありませんよ、きっと良くお似合いだと思います」

千冬

「そ、そうか。……お前がそういうなら……今度着てみようか…」

火影

「……ああそういう事か」

一夏

「…?何の話だ?」

火影

「もうすぐわか…、ってもう見えてるぜ、ほら」

楯無

「お待たせしました~!人数が多かったから着付けに時間がかかっちゃって」

 

楯無を筆頭にみんなやって来た。…正月らしく着物を着て。

 

火影

「へ~、こりゃ見事なもんだな」

「えへへ、そうでしょ?虚さんや本音が着せてくれたんだ。で、どう?似合ってる?」

「着物に合わせて髪型も変えてみたんだけど…変じゃないかな?」

セシリア

「浴衣とはまた違った趣ですわ。…如何でしょうか?」

 

少女達は意見を聞いてくる。それぞれの想い人に。

 

火影

「…ああ、皆綺麗だぜ。見違えた」

海之

「良く似合っている。自信を持って良い」

一夏

「何時もと違って新鮮な感じがすんな。でも良い感じだぜ」

 

普段鈍い一夏も流石にこれだけ違うと意見もふたりに近かった。

 

シャル

「えへへ、惚れ直した?」

火影

「…かもな」

「!は、はっきり言わないでよ恥ずかしい」

ラウラ

「……成程、これが幸せ、というものか」

本音

「ラウラン当たってる~!」

「う、嬉しいが一夏がこんなにすんなり褒めてくれるなんて…。明日は豪雪か?」

楯無

「寧ろ飛び越えて雹が降るかも知れないわよ?」

 

そして一番後ろにクロエがいた。着物を初めて着たらしくやや不安定な足取りだ。

 

本音

「クーちゃん大丈夫~?」

クロエ

「は、はい。すみません、あまりこういうのは慣れて無くて。…あのおかしくないでしょうか?」

海之

「ああ良く似合っている」

千冬

「お前も立派な女の子だ。自信を持って良い」

クロエ

「…ありがとうございます」

一夏

「んじゃ早くお参りしようぜ。人も多いしさ」

 

そして一行は本殿へと進み始めた。尚、全員揃いも揃って美女美男子である事や有名人でもある千冬がいる事が関係し、途中多くの人の目を引きつけていた…。

 

…………

 

本音

「ねぇ皆何お願いする~?」

海之

「いや、初詣は願い事を言っては駄目だ。昨年の感謝と今年の目標を伝えるのが正式らしい」

楯無

「そう言えば聞いた事あるわ。あと住所氏名も伝えた方が良いって」

「へ~結構決まり事あるのね。じゃあやりましょうか」

 

そして其々参拝する。作法通りまず住所氏名を伝え、去年の感謝と今年の目標を。

 

 

火影・海之

((……全てを終わらせる。……奴を…))

一夏

(…強くなってみせる。…守るために…)

千冬

(…私の大切なものを守る。一夏もあいつも生徒達も。…そして…あいつも…)

(…取り戻す。…そして守る。一夏を、皆を。…そして今年こそ、一夏に……)

セシリア

(…皆さんのお役に立てるよう頑張りますわ。全て終わったら一夏さんに…)

(絶対負けない。戦いも…恋も…。あいつと…、火影と…)

シャル

(皆を、火影を支えたいです、誰よりも。…だから負けません)

ラウラ

(…最後まで戦い抜く。仲間のために、…そして家族のために)

(…みんなの、海之くんの力に慣れる様、一生懸命頑張ります)

楯無

(去年はありがとうございました。簪ちゃんと仲良くできました。今年はもっと仲良くなります。そのために頑張ります)

本音

(私には戦う事はできないけど…精一杯皆を、火影を支えたいです。そして…)

クロエ

(…私にお兄さんができるなんて…想像もしていませんでした。ありがとうございます。…妹としてお兄さんの力になりたい。…そして必ず…)

 

 

男性陣・千冬・クロエ以外

(((火影(海之又は一夏)と恋人になれる様頑張ります!!)))

 

 

少女陣はそんな感じで昨年の感謝と今年の目標を願った。

 

一夏

「よし、昼までまだ時間あるし露店も出てるし、折角だから回ろうぜ!」

「あんたにしては良いアイデアじゃない♪」

本音

「サンセイ~♪」

 

 

…………

 

火影

「本音…お前の綿菓子でかすぎねぇか?」

本音

「だいじょうぶだいじょうぶ♪ねぇ皆はなんの味にした~?」

シャル

「僕はみかん味だよ」

「私は葡萄よ。火影は?」

火影

「俺はこれしかない。苺だ」

「ほんと苺好きねアンタ」

本音

「私はメロンだよ~。ねぇひかりんの苺、少しちょうだ~い♪」

火影

「自分の食う前にかよ。まぁ良いか、ほら」

 

火影はそのまま本音に差し出し、本音は一口パクつく。

 

本音

「ありがと~♪じゃあ私のもあげる~」

鈴・シャル

「「火影、私(僕)のもあげるから一口ちょうだい♪」」

火影

「へいへい」

 

そんな感じで綿菓子を食べさせ合う火影達であった。

 

 

…………

 

ラウラ

「海之、これは何だ?」

海之

「ああこれはカンザシという髪飾りだ」

クロエ

「簪さんと同じ名前なんですね」

「そうなの。ややこしいなって私も思った事ある…」

ラウラ

「髪飾りと言ったがどうやって使うんだ?」

海之

「基本は髪を結んだ後や髪形の留め具として使う。…欲しいのか?」

ラウラ

「い、いやそう言う訳では」

 

そういうラウラだが興味はやはりある様だった。

 

海之

「買ってやる。…そうだな、ラウラはこれで…簪はこれが合うかもしれんな」

ラウラ

「…す、すまん海之。私はわかりやすいのかな?」

「…ありがとう海之くん。大切にするね」

海之

「クロエも選べ」

クロエ

「い、いいですよ。私までそんな」

海之

「気にするな、妹が兄相手に遠慮する必要は無い」

クロエ

「!……ありがとうございます、…海之兄さん」

 

 

…………

 

一夏

「甘酒か~。なんか久々だな~」

「ああ、去年は飲めなかったからな」

 

一夏達は甘酒をたしなんでいた。するとセシリアが何故かとても楽しそうだ。

 

セシリア

「~~~♪♪」

楯無

「どうしたのセシリアちゃん?」

セシリア

「なんだかとっても楽しい気分ですわ~♪♪」

 

その口調は妙に明るく、脚もややおぼつかない。

 

「お、おいこれって…まさか甘酒で酔ったのか?」

一夏

「いやでもこの甘酒ノンアルコールだぜ?」

楯無

「…どうやら場酔いってやつみたいね」

セシリア

「うふふ~、一夏さ~ん♪」

一夏

「わっ!」

 

そう言って一夏に抱きつくセシリア。それを見て、

 

楯無

「これは負けてられないわね。…えい♪」

 

そう言って楯無もくっ付く。

 

一夏

「ちょ、ちょっと楯無さん!お、おい箒!なんとかして……!」

 

一夏は言葉を失った。箒には…炎が宿っていた。

 

「…一夏…何を嬉しそうな顔してるんだぁー!!」

一夏

「なんで俺が怒られてんだー!?」

 

 

…………

 

千冬

「やれやれ…あいつらときたら、正月位静かにできんのか」

 

千冬は境内のベンチで参拝者に配布されていたお神酒を飲んでいた。一夏達の騒動は通りかかった千冬によって強制停止されていた。

 

千冬

「…まぁ最近は色々あったからな。気が紛れるならたまのケンカ位と思うが他の参拝者に迷惑かけるのは勘弁できん」

 

そんな事を言いながら休んでいると、

 

海之

「千冬先生、お疲れ様です」

千冬

「…海之か。簪達はどうした?」

海之

「全員揃って御守り売り場とおみくじに行っています」

千冬

「そうか。お前は行かないのか」

海之

「御守りはともかくおみくじとかはあてにしない主義ですので」

千冬

「そうか。…隣座れ」

 

そう言われて千冬と並んで座る海之。すると千冬が話しかける。

 

千冬

「……なぁ海之。あいつら楽しそうだな」

海之

「……はい」

千冬

「お前と火影は見ていないが本当に大変だったんだぞ?あいつら揃いも揃って。……まぁまだ問題は残っているが…」

海之

「……」

千冬

「…あいつ、無事だろうか…」

 

千冬は今この場にいない人物を思い出していた。

 

海之

「…ジェシー・ジャクソンは言っています。「希望を生かし続けろ」と。希望を捨てない限り大丈夫です。きっと」

千冬

「………希望、か。……そうだな」

 

千冬は海之の言葉を信じようと思った。

 

千冬

「そろそろ行くか。あいつらも用事を済ませているだろう」

海之

「そうですね。…あ、忘れていました。先生、これを」

 

そう言って海之が千冬に渡したのは、

 

千冬

「…これはカンザシか?」

海之

「ええ。先程簪やラウラやクロエに買ってやったんですが、店主がお礼にもうひとつ選べと言って下さったんです。色からして先生にお似合いかもしれない、と」

千冬

「これを…私に?」

海之

「ええ。もし要らなければ遠慮なく処分なさってくださいね。では俺は先に行っています」

 

海之はそう言って皆のいる御守り売り場に歩いて行った。

 

千冬

(……ありがとう海之……)

 

 

…………

 

時間も良い感じに過ぎ、丁度昼前に差し掛かっていた。クロエ以外の少女達は全員御守りを買い(もちろん恋愛成就の御守り)、おみくじを引いていた(もちろん恋みくじ)。

 

一夏

「じゃあそろそろ帰ろうぜ。俺と火影達でお節料理作ってっからよ」

本音

「ほんと!?わーい♪」

「…あ、そうだ火影。あんたさっきおみくじ引いてたけどなんて書いてあったの?」

火影

「あ~……ん~と、な…」

「鈴、おみくじの結果は人に見せてはいけないという話もあるぞ?」

「あ、そか」

シャル

「ねぇ早く帰ろ。丁度お腹もすいちゃったし」

千冬

「やれやれ…帰るか」

 

そう言って一行は織斑家に向かって歩き出した。……その後ろで、

 

海之

(……火影、先程のおみくじ、何が書いてあった)

火影

(えっ?何だお前も気になんのか?)

海之

(先程鈴に聞かれた時のお前の反応が気になっただけだ。…何かあるのか?)

火影

(………願い事成就の覧)

 

そして火影は自らのおみくじを見せる。

 

海之

(………成程)

火影

(信じる訳じゃねぇ。……でも鈴達に知られんのはな。只でさえ先日の事もあるし。…まぁあんま気にしなくても良いさ)

海之

(………ああ)

一夏

「おーいふたり共、置いてくぜ~」

 

そう言われてふたりは皆の後を追いかけた。………火影のおみくじにはこう書かれていた。

 

 

「吉 強く願えば必ず叶うでしょう。しかし貴方の大切な時を失うでしょう)




御読み下さっている皆様へ。

こんばんわ、storybladeです。いつも私の駄文をお読み下さいましてありがとうございます。今年の6月から思い付きで始めた本作品、早くも半年が経ちました。皆様の温かい感想やメッセージ、忠告や訂正の報告、全てありがたく読ませて頂いております。ありがとうございます。

ダンテとバージルという、キャラクターが既に出来上がっている者が他作品に入るクロスオーバー。キャラクターをできるだけ壊さない様に注意しながら書くのは中々難しいですが、学生の頃のふたりはこんな感じだろうかと想像しながら書くのは楽しいです。デビルメイクライファンの方には果たして火影と海之はどう映っていますでしょうか?
進行スピードは掲載初期に比べ、随分遅くなってしまいましたが、ラストまでの構想は自分の中でほぼ出来上がっていますので、これからも引き続き御付き合い頂ければとても嬉しいです。


火影と海之に起こった出来事とは?
何故クロエが火影達と共にいるのか?そして何故束がいないのか?
そして…火影(ダンテ)と海之(バージル)の言う「奴」とは?


2019年ありがとうございました。2020年も「IS×DMC 赤と青の双子の物語」をどうぞ宜しくお願い致します。

※次回投稿は来週になります。

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