IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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専用機持ちによるタッグマッチトーナメントから翌日。
火影と海之は千冬と真耶、そして束とクロエも交えてトーナメント当日の事を報告していた。
オータムのISの妙な変身、スコールという新たな敵、そしてリべリオンと閻魔刀の異変によってわかった魔力を持つと思われるDISと火影達以外の転生者の存在。
全員が疑問を浮かべる中、只一人束は自らのISを勝手に変えられた事に怒りを爆発。改めて火影達への協力を約束する。そんな束を見て千冬も自らができる事をしなければならないと思い始めるのであった。


明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。


第十章 Those who go to battle
Mission125 白騎士の正体


キーンコーンカーンコーン

 

 

IS学園 食堂

 

タッグマッチトーナメントから一週間が経った。楯無(刀奈)の怪我はすっかり完治し、アリーナの修理は完了。学園は落ち着きを取り戻していた。そんなある日、この日の授業も終わって放課後を迎え、火影達は食堂にいた。

 

「楯無さんもうすっかり大丈夫みたいですね」

楯無

「大丈夫大丈夫♪もう一週間も経っているのよ?怪我も大した事無かったし、幾らなんでも皆心配しすぎよ」

扇子

(杞人之憂!)

「大丈夫だよ。もうすっかり元気だから。正直もうちょっと、ううんもっと控えてほしい位」

 

楯無と簪はあの件から時々一緒に行動している。まるで今までの時間の隙間を埋めるかの様に。

 

楯無

「ガ―ン!一夏く~ん、簪ちゃんがお姉ちゃんを虐める~!」ダキッ

 

そう言いながら隣の一夏にしがみつく楯無であった。

 

「…とまぁこんな調子だから」

一夏

「あはは…、確かに大丈夫そうっすね」

「た、楯無さん離れてください!」

セシリア

「そうですわ!もう大丈夫なのでしょう?」

楯無

「う~んどうかな~♪」

シャル

「…絶対大丈夫だね」

ラウラ

「間違いない」

本音

「大丈夫だよ~、かっちゃんは前からこんなんだから~」

「寧ろ前よりハイになってない?」

 

驚いたり呆れたり皆感想はぞれぞれな様子だ。

 

楯無

「とまぁ冗談はさておいてほんとに大丈夫よ。寧ろあの怪我のお陰で簪ちゃんとも仲直りできたし逆に良かったかも♪それに後一カ月後には修学旅行もあるんだから休んでられないわ。色々考える事もあるしね」

本音

「そういえばそうだね~!楽しみ~!行き先はどこだっけ~?」

「虚さんが言ってたけど…確か京都じゃなかったかな」

「京都か…。私初めてだから確かにちょっと楽しみかも」

シャル

「京都って歩く距離でいろんな見る場所があるって聞いたことがあるよ。ねぇ火影、一緒に回ろうよ♪」

ラウラ

「それに確か京都には芸者とか言う者がいるらしい。…聞くとそれは男の」

「ラウラ!何を言うつもりか知らんが言わなくて良い!」

 

そんな感じで皆それぞれ修学旅行に想いを寄せている中、ひとりの人物が近づいてきた。

 

千冬

「お前達、ここにいたか」

 

それは千冬だった。

 

セシリア

「織斑先生?お疲れ様ですわ」

一夏

「千冬姉、どうしたんだ?」

千冬

「ちょっとな…。海之、火影。ふたり共今日の夜は空いているか?」

海之

「今日の夜ですか?…はい、空いています」

火影

「俺も大丈夫です」

千冬

「そうか。ではすまないが夜にふたりで第一アリーナに来てほしい。お前達だけで」

火影

「俺達だけ?」

一夏

「千冬姉、俺達は?」

「私達も行っては駄目ですか?」

千冬

「ああ、お前達は来るな。もし違反すれば反省文ひとり1000枚+特別トレーニングだ」

火影・海之以外

「「「絶対行きません!!」」」

 

その罰の恐さに思わず大声で返事する一夏達。

 

千冬

「時刻は後ほど通信で伝える。…ではな」

 

そう言って千冬は去って行った。

 

海之

「……」

シャル

「なんだろう先生?なんか思い詰めた様な顔してた…」

ラウラ

「わからんが教官の事だ、何かお考えがあっての事だろう」

「うん。…一応気をつけてねふたり共」

火影

「ありがとよ簪」

海之

「大丈夫だ」

楯無

「……」

(火影くんと海之くんだけって事は間違いなくふたりに関する話ね。でもなんでそれなら会議室で話さないのかしら?)

 

その後、みんなで修学旅行の話をしながらその日の集まりは解散となった。

 

 

…………

 

IS学園 アリーナ

 

その日の夜。千冬からの指定した時間に火影と海之がやって来た。

 

火影

「なんだろうな先生。俺達だけって言うからには多分…俺達に関する話だとは思うが」

海之

「行けばはっきりするだろう。…確か会場の方に来てほしいと言っていたな」

 

そしてふたりが会場内に入ると予定通りそこには千冬がいた。…但し、

 

千冬

「…来たか。待っていたぞふたり共」

 

訓練機の打鉄を纏った千冬がいた。

 

火影

「…先生?」

海之

「……」

 

不思議がる火影と沈黙する海之。

 

千冬

「すまんな。詳しい事を何も伝えずここまで来てもらって。…いきなりだが、お前達に頼みがある」

 

そして千冬は続けて言った。

 

 

千冬

「海之、火影。どちらか私と戦え。本気の勝負だ」

 

 

火影

「…先生…」

海之

「……」

 

唐突にふたりに勝負を申し込む千冬。しかし決してふざけている様子は無い。それどころか今の彼女は目に見えない凄まじい闘志に満ちている。歴戦の戦士であるふたりはそれを如実に感じ取り、決して油断ならない状況である事を察していた。

 

海之

「…わかりました。俺がお相手します。但し、俺も訓練機を使います。宜しいですか?」

千冬

「お前の自由にしてくれれば良い」

 

そう言って海之はもう一体打鉄を持ってきてそれを纏った。

 

海之

「火影。すまんが合図を頼む」

火影

「……わかった」

 

そして相対する海之と千冬。

 

海之・千冬

「「……」」

 

互いに何も言わない。それは正にこの勝負に言葉は要らないという事の表れ。互いに構えながら火影の合図を待つ。……そして、

 

火影

「…始め!」

海之

「でやぁぁぁぁぁ!!」

千冬

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ガキイィィィィィンッ!!

 

 

…………

 

ガキンッ!キイィィンッ!キンッ!ガキンッ!……

 

試合開始から十数分が経った。海之と千冬の真剣勝負は見た所はやはり実戦経験の勝る海之の方が優勢だったが千冬もやはり生きる伝説と言われる元ブリュンヒルデ、互いに決定的な決め手が無いまま刀がぶつかり合い、そして時には避けるという応酬は続いていた。補足であるが打鉄には本来アサルトライフルも標準装備されているが千冬、そして海之はお互い刀しか装備していなかった。

 

…ガキンッ!……バッ!

 

数十回、いや既に100回は超えているだろう。ある斬り結びの後、ふたりは互いに距離を取った。

 

千冬

「ハァ…ハァ…」

海之

「……ふぅ」

 

だが前述の通りやはり経験の差であろうか、だんだんと息の切れが見え始めてきた千冬に対し、海之にまだ呼吸の乱れは無かった。

 

千冬

「…ハァ、…これだけ動いて息を切らさんとは流石だな海之。まぁ当然か、お前も火影も、100機もの敵を10分足らずで殲滅できる程だ。これ位簡単か?」

海之

「買いかぶり過ぎです」

千冬

「…何故勝負を申し込んだのか聞かないのか?」

海之

「そんな事は後回しでも良いでしょう。心の宿った剣の勝負に言葉は要りません」

千冬

「!……そう言ってもらえて嬉しいぞ。…さぁ…続きだ!」

 

そしてふたりは再度刀をぶつけて行った。

 

 

…………

 

ガキンッ!…キイィィンッ!…ガンッ!

 

千冬

「ハァァ……ハァァ……ハァァ……」

海之

「ゼィ…ゼィ…」

 

それから更に十数分が経った。海之は漸く少し息が乱れ始めてきたが千冬は限界が近いのか最早息が続かず、更に刀を持ちあげる事も難しくなっていた。

 

海之

「…まだ続けますか?」

千冬

「…ハァァ…、む、無論…だ」

 

そう言って全力で刀を上げる千冬。そんな千冬を見て海之は、

 

海之

「……わかりました」

 

何も言わず刀を向けて応えた。

 

千冬

「…そうだ、…それで良い。…礼を言うぞ海之」

海之

「……」

 

これがもう何回目であろう、再び互いに刀を構えるふたり。そして、

 

海之・千冬

「「はぁぁぁぁぁ!!」」ドンッ!ドンッ!

 

互いに瞬時加速で接近し、

 

ガキィィィィィィィンッ!………バキィィィィィィンッ!

 

何百回という衝突に最早耐えられなくなったのだろう。千冬が持った刀が衝撃に耐えきれず折れてしまった。そしてそれは千冬の敗北も意味していた。

 

海之

「……」

千冬

「……ふっ」

 

千冬は僅かに笑みを見せると体力が尽きたのか、身体から力が抜けて気を失った。それを海之が抱きとめる。

 

千冬

「……」

海之

「……」

 

 

…………

 

アリーナ選手控室

 

千冬

「………う、…うん…」

 

数刻後、気を失っていた千冬が目を覚ました。

 

千冬

「…ここは…アリーナの控室…か…?」

 

千冬は上体を起こし周囲の状況を確認する。どうやら自分はソファーに寝かされ、毛布をかけられていたようだ。

 

火影

「気付かれましたか先生」

 

声をかけたのは隅の方で座っている火影だった。

 

千冬

「火影…か?…私は…、そうか、私は海之との勝負で…」

火影

「ええ。最後に気を失って倒れられたんですよ。本当なら医務室にお連れしたかったんですが生憎夜遅くでしたもので…」

千冬

「ああそれで良い。余計な気を使わせたくない。……火影、海之の奴は?」

火影

「あああいつなら」

 

ガチャッ

 

とそこにトレーを持った海之が入ってきた。

 

海之

「先生、気付かれましたか。良かったです」

千冬

「…海之。どうやら手間をかけさせたようだな。大丈夫か?」

海之

「ええ、俺は大丈夫です」

千冬

「そうか。……海之、そのトレーは何だ?」

海之

「ああ、先生がお目覚めになる時のためにスープを作って来たのです。食堂の厨房を貸して頂きました。申し訳ありません」

千冬

「い、いや気にするな」

 

そして海之はトレーに乗った皿にスープを注ぎ入れ、スプーンで千冬の口に運ぼうとする。

 

千冬

「だ、大丈夫だ海之!自分で食べれるから!」

 

少し赤くなって反論する千冬だったが、

 

海之

「ご無理なさってはいけません。今まで気絶されていたのです」

千冬

「……うぅ、し、仕方ない…」

 

海之に言われて千冬は海之からスープを食べさせてもらう。

 

千冬

(…このスープは…前に海之が作ってくれたのと同じか…)

「……美味しい」

海之

「ありがとうございます」

 

 

…………

 

千冬

「…ご馳走様」

海之

「お粗末様です」

 

スープを食べ終え、千冬の顔色は先程に比べて良くなった様だ。

 

火影

「…先生、もし良ければ聞いても宜しいですか?もしお疲れなら後日でも」

千冬

「いや、構わん。寧ろ誰もいない今が一番良い」

 

そう言って千冬はふたりに身体の向きを向ける。

 

千冬

「お前達が聞きたいのは分かっている。…何故私がお前達との戦いを希望したか、だろう?…答えは単純明快だ。今の私の力を知りたかったからだ」

火影

「…え?」

海之

「千冬先生の力?」

 

ふたりはその答えにやや驚いた。力を知るも何も千冬は元ブリュンヒルデ。その力は学園はおろか世界でもトップクラスの実力。それは誰もが知っている。ふたりもそうだ。

 

千冬

「ああ。あいつらを守るために、…そしてお前達の力になるためにな」

火影

「…俺達の力になるというのは?」

千冬

「先日の会議でも言っていたが…、お前達はこれからも奴ら、ファントム・タスクとの戦いを続けるのだろう?いや正確には奴らの中にいるという、お前達と同じ転生者だが」

火影・海之

「「……」」

千冬

「正直なところ私にはお前達の言う魔力とか悪魔とかはよくわからん。実物を見た事も無いし、アレはあくまで良く似ているだけの別物らしいからな…だがこれだけははっきりしている。奴らは間違いなくこれからも戦いを仕掛けてくる。その目的は不明だがな。お前たちなのか一夏なのか白式なのか、或いはこの学園そのものなのか…」

 

確かに今現在ファントム・タスクから度重なる襲撃をうけているものの、彼等の本当の目的ははっきりしていない。オータムは白式を奪おうとしたり、Mは一夏本人を狙ったり。更に先日スコールという者が言っていたオ―ガスという人物が何か別の目的を持っている可能性もある。

 

千冬

「お前達の実力は知っている。…だが教師としてお前達や一夏達だけに任せる事はできん。ましてやお前達のISは本調子では無いのだろう?今後ますます悪化してくる可能性も十分に考えられる。だから万一に備えて戦えるものはひとりでも多い方が良いと思ってな」

火影

「…先生」

海之

「しかし先生。先生は戦士である前に教師です。教える立場のお方です。それはISに関する事だけでは無い、命の尊さについてもです。そんな先生が下手をすれば命に関わる戦いに参加されるというのは…」

千冬

「…いいんだ。…それに、これは私自身の罪を償う意味でもある」

火影

「…え?」

海之

「先生の罪?」

 

ふたりは再び驚いた表情をしている。そして千冬は話し始める。

 

千冬

「……ふたり共、10年前の「白騎士事件」については知っているだろう?まぁあれを知らない奴等いないと思うが」

火影

「…ええ。10年前に束さんが自ら造ったIS「白騎士」を使って起こした事件ですね」

海之

「世界中の基地のコンピュータをハッキングしてミサイルのコントロールを奪い、更に戦闘機や戦艦、衛星まで使って日本を襲わせたがそれを白騎士が被害ひとつ出さずに解決したという。まぁ全て予め工程が決められていたISの御披露目ショーですが」

千冬

「…ああそうだ。………さてふたり共、ここで問題だ。その白騎士事件に使われたIS「白騎士」だが………誰が使っていたと思う?」

火影

「白騎士を使っていた人物?そういえばあれの操縦者の事は殆ど知られていませんね…。でもなんで今そんな………!」

海之

「……まさか」

 

何かに気付いたのかふたりは目を大きくして千冬を見る。そんなふたりに千冬は答えた。驚くべき答えを。

 

 

千冬

「気付いた様だな。…………そうだ。10年前あの白騎士事件で束に協力し、白騎士を使っていたのは……………この私なんだ」

 

 

火影・海之

「「!!」」

 

予期せぬ答えに火影と海之も驚きを隠せなかった。

 

千冬

「…10年前、束の奴が自らのISを散々否定された事は知っているだろう?あの時のあいつは本当に悔しそうだった。悔しいどころか憎しみもあったかもしれん。だからあいつはあの事件を起こした。ISの有用性を世界に、自分を馬鹿にした者達に見せつけるために。まず世界中の軍事拠点のコンピュータをハッキングし、2000発を超えるミサイルを日本に向けて発射した。そしてあいつは私に頼んできた」

海之

「…白騎士を纏って日本を救ったヒーローを演じてほしい、と?」

千冬

「そうだ。最初はもちろん私も断った。しかしその時既にミサイルはもう発射された後。海之の言う通りもちろん実際に落とすつもりは無かったかもしれんが何しろ2000以上のミサイルだ。予想外の被害が出るやもしれん。私はやむ無く束の頼みを聞き入れ、白騎士として日本を守る役柄を演じた。私が了承する事が分かっていたのかまるで私の手足みたいにすんなり動かす事ができたよ。……結果作戦は成功。これを機にISの有用性は世界中に知られ、急速且つ爆発的に広まった。……日本の人々に凄まじい恐怖を与えた結果だ」

海之

「……」

 

白騎士の活躍で日本には被害も死傷者も無かった。しかし例え目に見える被害は無くても、舞台とされた日本の人々はミサイルや兵器群の襲来で激しく恐怖し、心に大きな傷を負った筈だ。あらかじめ予定されていた事とはいえ、被害が無かったのは所詮結果論でしかない。

 

火影

「……先生、その事を一夏達は?」

千冬

「いや、私と束だけだ。…束がした事は決して許される事では無い。そしてそれはあいつの計画に加担した私も同じ。まああいつは最近まで悪気を感じていたか分からんが。…だがあいつは、束は今確かにあれを罪と感じ、自分ができる事で少しでも償おうとしている。お前達、そして自分を信じてくれたアルティス夫妻のために。そしてISを本来の目的に修正するために。……そんなあいつを見て思った。私も自分ができる事で少しでも償いたいと。私には束の様にISを造る事も魔具を造る事もできん。そんな私ができる事はお前達を、一夏達や生徒達を守るために戦う事だ」

火影

「先生…」

海之

「……」

千冬

「だから海之、火影。私の好きにさせてくれ。私の専用機はまだ眠りから覚めないし、立場上毎回と言う訳にはいかんかもしれんが…私も守るために戦わせてくれ」

火影・海之

「「……」」

 

千冬は真剣な表情でふたりに向かってそう言った。火影と海之は自分達がもう何を言っても彼女が意志を変えない事に気付いた。そして、

 

海之

「……千冬先生。お手数ですがもう一度会場に出て頂けますか?」

 

 

…………

 

そして再びアリーナの会場に出た三人。

 

千冬

「どうした海之、何かあるのか?」

海之

「……」

 

シュンッ………ドスッ!

 

すると海之は拡張領域からある物を取りだし、それをそのまま地面に突き刺した。

 

千冬

「…これは…!」

火影

「お前これ…」

 

それはウェルギエルの武装のひとつ、レッドクイーンだった。

 

海之

「千冬先生、それは先生が持っていてください」

千冬

「…え?」

火影

「……」

海之

「登録は解除しておきました。千冬先生の守るための戦いに役立ててください。先生なら使いこなせる筈です」

千冬

「…いやしかし」

海之

「俺には閻魔刀があります。正直なところ俺にはこんな叩き斬る剣は合いませんから。…それに先生の様な方に持たれた方が、こいつの本来の持ち主も喜ぶでしょう」

千冬

「本来の持ち主?」

火影

「…ふっ」

海之

「最も先生にも雪片があるらしいですから不要かもしれませんがね」

千冬

「……」

 

千冬は目の前のレッドクイーンを見つめる。そして、

 

千冬

「…………いや」

海之

「……」

千冬

「雪片はもうあいつの、一夏の剣だからな。………ありがとう海之。ありがたく使わせてもらう」

 

そう言って千冬は目の前にあるレッドクイーンに手をかけ、引き抜く。

 

千冬

(!…重い…。海之はこれを、片手で簡単に扱っていたのか…)

 

そして千冬はレッドクイーンを高く掲げる。

 

千冬

(レッドクイーンと言ったな、…私に力を貸してくれ)

 

こうして赤の女王は青い魔人から黒い戦女神へと受け継がれた。




おまけ

そうこうしている内に時間はいつの間にか日を跨ぐ位にまで迫っていた。

千冬
「…もうこんな時間か。すまなかったなふたり共、迷惑をかけた」
海之
「気になさる必要はありません。それより先生は早く部屋に戻ってお休みください。明日もお早いでしょうから」

そして海之は食器を片づけるために食堂に向かおうとすると、

千冬
「…海之、ひとつ聞いて良いか?……お前は先程あの剣の本来の持ち主も、と言ったが…持ち主はお前では無いのか?」

千冬はレッドクイーンについて気になった事を聞いてみた。

火影
「先生、あの剣は前世でこいつと深い関わりがあった奴がこいつに託した物なんです」
千冬
「…深い関わり?」
海之
「………父親らしい事を殆ど何もしてやれなかった愚かな男の血を継いだ者、とでも言っておきましょうか。……おやすみなさい」

そう言うと海之は出て行った。

火影
「…正直じゃねぇな。では先生、失礼します」

続けて火影も出て行き、残ったのは千冬だけ。

千冬
「……血を受け継いだ者……子供?それに海之と深い関わり……!!ま、まさかあいつの…!」

わかったらしい千冬は妙に落ち着かなくなった。
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