IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
その後、意識を取り戻した千冬はふたりに話し始めた。千冬は10年前の白騎士事件の時、IS「白騎士」を纏っていたのは自分である事。そして友である束の願い且つ日本を守るためとはいえ、千冬は日本の人々を恐怖に陥れたこの事件に参加した事をずっと後悔していたのだった。先日の束と同じく罪を少しでも償いたい、それは学園や皆を守るために自分も戦う事だという千冬の強い決心を知ったふたり。そんな彼女に海之は自らの剣「レッドクイーン」を託すのだった。
※次回は日曜の予定です。
千冬が火影と海之に自身の秘密を打ち明け、戦いへの意志を示した一方、別の場所でもとある者達が次に向けて動き出していた。これはそんな者達の話…。
??? 整備室
ここはファントム・タスクの拠点としている場所。とある日、兼ねてより続いていたMのIS、サイレント・ゼフィルスの改造が完了していた。
M
「…遂に完成した」
スコール
「これが…黒騎士」
Mとスコールの前にあるのは一体の黒いIS。名を黒騎士という。MのISであるサイレント・ゼフィルスの改造機である。改造機というだけあって所々その面影が残されているが武装等も新しくなり、性能も大きく上昇しているらしい。
M
「そうだ。盗品等ではない、…私の専用機」
スコール
「おめでとうM。…だけどよくISの改造なんてできたわね。あの篠ノ之博士もいないのに」
M
「これ位大した事はない。主も手伝ってくれたからな」
スコール
「それにDNSも加えたんでしょう?」
M
「無論だ。私はオータムとは違う。どの様な力でも必ず使いこなしてみせる。そして必ず…奴らを」
スコール
「奴らって…」
M
「………」
Mは答えない。奴ら、という事は一夏だけでは無いという事だろうか?
スコール
「それに黒騎士という名前…。やっぱり貴女」
M
「無駄話は良い。それよりお前やオータムの方は問題無いのか?」
スコール
「…ええ、私の方は大丈夫よ。でもあの子のISはまだもう少し掛かるわね。あの子もまだ治療中だし、DNSも改造しないといけないし、あと数日という所かしら。まぁ来月にあるっていう京都への修学旅行には間に合いそうね。さっき連絡が来たわ」
M
「言っておくが奴は、織斑一夏は私の獲物だ。邪魔立てはするなよ?」
スコール
「はいはい分かってるわよ。邪魔なんてしないわ。貴女の好きになさい。…それに私もどっちかと言えば織斑一夏よりもあのふたりと戦ってみたいのよね♪」
M
「あの赤い奴と青い奴か…」
スコール
「ええ。赤い方が火影、青い方が海之って言うらしいわ。先日ほんの少しだけ話したけど…オータムの言う通り只者じゃないわねあの雰囲気は。ファントムやグリフォンをあっさりと倒しただけじゃなく、DNSで強化したオータムさえまるで歯が立たなかったんだもの。はっきり言って強いわ。でもだからこそ、ね♪」
M
「火影と海之。…奴らは一体…」
スコール
「な~に?もしかして貴女も気になっている?」
M
「勘違いするな。……主の事だ」
スコール
「オ―ガス?」
M
「……昨日の事だ」
…………
それは昨日、Mがオ―ガスと共に黒騎士の確認をしていた時だった。
オ―ガス
「…動きはどうだ?気になる所はあるか?」
M
「問題ありません。この調子でしたら数日で全ての機能を掌握できます」
オ―ガス
「そうか。流石だM」
M
「いえ、私だけではここまでできませんでした。これも全て主の御力添えのお陰」
オ―ガス
「それは違う。私は力を与えただけだ。全てはお前の才能だ」
M
「…!」
オ―ガス
「これからも頼むぞM」
M
「…ありがとうございます。この力で…今度こそ奴らを…」
ISの完成とオ―ガスの言葉でMは笑みを浮かべていた。そんな彼女に対してオ―ガスは言った。
オ―ガス
「…いやM。あの赤い奴と青い奴には手を出すな。お前ではまだ勝てん」
M
「…主?」
オ―ガス
「もう一度言う。あれを倒そう等と今は決して考えるな。あれは私の相手だ。あれの対策は我らに任せておけば良い」
M
「……」
オ―ガス
「良いな?」
M
「……わかりました」
重ねて言われた事でMも了承せざるを得なかった。
オ―ガス
「良い子だ。…お前はもう下がって休んでおけ。黒騎士の整備は行っておく」
M
「…はい」
そう言われてMは部屋を出て行った。
M
(……我ら…?)
…………
M
「……という事があった」
スコール
「そう、あの人がそんな事言ったの…」
M
「私はあれには決して敵わない。主はそう言われた…。あれは自分の相手だとも…」
スコール
「自分で倒したいと思う位彼もあのふたりに興味がいったという事かしらね?」
M
「……いや、そんな物とは違う。…もっと別の様に感じた」
スコール
「…へぇ、どんな風に?」
M
「上手くは言えないが……まるで以前から良く知っている。そんな風に思った。…それに」
スコール
「それに?」
M
「……いや、いい…」
(あの時主は「あれを倒すのは我ら」と言った。…我らとはどういう意味だ?私達の事では無いのか?)
スコール
「……」
(以前から良く知っている……。そうね、確かに彼、あのふたりの事を前から知っていた様な
雰囲気を感じる事があるわ。私にもそんな事言っていたし。……でも不思議なのよね、私達でさえあのふたりの事を知ったのは本当に最近だったし、おまけにふたりともまだ十代の歳場も行かない子供の筈なのにあの強さははっきり言って異常レベルだわ。火影と海之…一体何者なのかしら…?)
ふたりはオ―ガス、そして火影と海之について考えを巡らせるのであった…。
…………
オ―ガスの研究室
その頃、当のオ―ガスはディスプレイを見ながら何やら作業を行っていた。
オ―ガス
「……これにスコールのゴールデン・ドーンのデータを加えたとして…」
オ―ガスは目の前のディスプレイになにやら入力している。…すると、
~~~~~~~~!
オ―ガス
「…ちっ」ピッ!…キュウゥゥゥゥン……
突如警告音が室内に響き渡った。オ―ガスは入力を中止し、システムをダウンさせる。どうやら失敗した様だ。
オ―ガス
「……やはり駄目か。…現状存在する物でどれか適合しないかとありとあらゆる機体のコア情報を入力しているが…どれも適合しない。こうなるとやはり……」
何やら悩むオ―ガス。
?
(無駄か…)
オ―ガス
「…ええ。最もそう簡単に上手くいくとは考えていませんがね。…ですがこの調子では恐らくどれを持ってしても不可能でしょう。例え奴らのコアを使ったとしても。…まぁ仮に適合したとしても使うつもりはありませんがね。奴らのコアを使うなど…我らの望む事ではありませんし。……残された方法としては……紛い物でもコピーでもない、「あれだけのコア」を造り出す事でしょうか」
?
(…可能か?)
オ―ガス
「……いえ、残念ながらコアの製造方法については…開発者である篠ノ之束の最重要極秘事項です。我々には不可能でしょう」
オ―ガスの言う通り、ISコアの製造はISの生みの親である束のみが知る極秘情報であり、彼女にしかできない。それが彼女が世界中から狙われている理由のひとつでもある。しかしどの国も彼女の行方を掴む事はできていない。それはファントム・タスクも同じだった。因みにIS学園やエヴァンス邸に訪れた時もその痕跡は見事に消されているため、千冬達でさえどこにいるかは分からない。
オ―ガス
「コアを造り出すにはどうにかして篠ノ之束を捕まえるしかありません。しかしどうしたものか…」
どうにか束と接触する方法はないか、オ―ガスが思案していると謎の声が再び話す。
?
(…奴らにDISの事を話したと言っていたな?)
オ―ガス
(…?ええ、先日のトーナメントとやらの時にスコールが奴らと元ブリュンヒルデに話したそうです。…それが?)
?
(……容易い事だ。……餌をやれば良い)
…………
束の隠れ家
束
「…クーちゃん!次でラスト!」
クロエ
「ハァ、ハァ、……はい!」
一方、こちらは束とクロエがいる彼女達の隠れ家兼研究所。先日の学園での会議後、ふたりは火影達に秘密で造っているというものの作成を急ピッチで続け、今日はその調整を行っていたのであった。何やら束が指示を出し、クロエは疲れているのか息を乱しながらそれに従っている。………そして暫くして、
束
「よし!クーちゃんバッチシ!もう良いよ!」
クロエ
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…」
束
「お疲れ様~!お茶用意しといてあげるからシャワー浴びといで♪」
クロエ
「あ、ありがとうございます…。お言葉に、甘えさせて頂きます…」
そう言うとクロエはふらつく足取りでシャワールームに歩いて行った。
束
「うんうん、もうクーちゃんの方も殆ど問題無いね!あと数日位って感じかな?ふふふ、もうすぐだよ皆~♪」
束は今行っていた事の結果を見て満足そうな顔をしていた…。
…………
シャワーを浴び終えたクロエは束と休憩を取っていた。
束
「はいクーちゃん」
クロエ
「あ、ありがとうございます」
束
「しかしよく頑張ってるねクーちゃん!まだあれから一ヶ月も経ってないのにここまで成長するなんて。流石は束さんの娘兼助手!」
クロエ
「いえ、束様御考案の特別カリキュラムのお陰です。そうでなければまだまだです」
束
「ふっふ~んまぁね~♪でもそれでもやっぱり頑張ったクーちゃんが一番偉いよ!正直束さんもまだ早いんじゃないかなって思ってたし、だから驚いてるんだ!やっぱり妹としてお兄ちゃんの助けになりたいっていう気持ちがそうさせてるのかな~♪」
クロエ
「そ、そういう事じゃありません!あとお兄ちゃんではなく兄さんです!」
束
「恥ずかしがらない恥ずかしがらない♪それに時々お兄ちゃんって呼んでるじゃない♪」
クロエ
「…うぅ」
先日火影と海之が兄になった事をクロエは相変わらず喜んでいたが束のからかいは更に多くなってしまい、それが今のクロエの悩みの種であった。
束
「で、話は戻るけどどう?上手くやれそう?」
クロエ
「……そうですね、機能はほぼ全て記憶できていますからなんとか大丈夫だと思います。不安と言えばやはり仮想訓練のみしか経験できていない事でしょうか」
束
「まぁね~こればっかりはねぇ~。でもそれを見越してカリキュラムを組んでたし、それに本番さながらのVR訓練はしっかりやってきたから大丈夫だよ!束さんが保証する!」
束はVサインをしながら大丈夫だと力強く言った。
クロエ
「ありがとうございます。…ですが本当なら、あれも使わないに越したことはないですけどね」
束
「……うん。まぁ、確かにね…」
クロエからそう言われて束は表情が少し硬くなる。
クロエ
「も、申し訳ありません束様!失礼な事を申しまして…」
束
「謝んないでもいいよクーちゃん。クーちゃんの言ってる事は正しいもん。本当なら使われない方がずっといい。戦いのためなんて…本来のISの姿とは違う。今の束さんならそれが分かる」
クロエ
「束様…」
束
「……でもねクーちゃん、今の束さんは前よりちょっと充実してるんだ。目標ができたんだもん。もう一度夢に向かって頑張りたいっていう目標がね。……私は必ずISを正しい方向に修正してみせる。でもそのためには今のこの状況をなんとかしないといけない。今はそれが何よりも重要。だから今は夢は胸の奥にしまっておく時。…クーちゃん、もしその時が来たら、私に力を貸してくれる?」
クロエ
「束様…」
束はクロエに尋ねた。するとクロエは束に向き直って話し始めた。
クロエ
「…束様。私は昔束様に命を救われた時から…束様を支え続けると誓いました。如何なる道でも、地獄の底までも、と。束様は私からあの忌々しい物を取り除いて下さり、そして外の世界を見せて下さいました。今の私があるのは全て束様のお陰です。本当に感謝しています」
束
「クーちゃん…」
クロエ
「ですから先程の様な御心配は全く御考えになる必要はありません。私は束様の助手であり…娘です。これからも支え続けていきます。…それにあれを使うのは確かに兄さん達のためという意味もありますが…何よりも束様を御守りするためにです。だから訓練も頑張れるんです。…これからの事を思うと少し寂しくはありますが…こうする事で束様にとって一番のためになるのでしたら…私は…」
束
「……」
クロエは束の目を見ながらはっきりとそう答えた。すると束は彼女の手を取って、
束
「ありがとクーちゃん。…これからも宜しくね」
クロエ
「…はい!」
束
「…よし!それじゃ夜ご飯にしよ!疲れてる所悪いけど今日は久々にクーちゃんのコロッケ食べたいな♪」
クロエ
「え!?…は、はい。分かりました…」
そう言うとクロエは何故か浮かない顔をして調理のためにキッチンに向かうのであった…。
…………
夕食後、束は自分の部屋にあるコンピュータに向かっていた。クロエは夕食の後片付けをしている。
束
「しっかし今日も迷惑メールが3000を下らないねー!全く何百回アドレスを変えりゃ0になんのかな~。これでも数百ケタ位文字並べてんのにさ~!ひたすらメールばら撒いているチームでもいんのかね~?そんだけ暇あんならもっと仕事しろっつーの!…もいっそのこと電話もメールも閉じちゃおっか?でも極稀に面白そうな題のメールもあったりすんだよな~。例えば………………?」
すると束は膨大なメールの中にある一通のメールに気付いた。束はまず自身のセキュリティプログラムを起動して安全である事を確認。そしてメールを開く。
束
「……………………ふ」
内容を見た束の口角が大きく上向きに歪んだ……。
謎の声の言った「餌」とは?そして束の笑みの意味とは?
近日明らかになります。