IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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クロエの入学という束の急で無茶なお願いは千冬と真耶の頑張りもあって実現し、シエラ・シュヴァイツァーとして一組の生徒となったクロエは生徒達から歓迎される。
…そんな中、ひとり様子がおかしかったラウラがクロエを屋上に呼び出し、ふたりは初めてふたりきりになる。ラウラがなんと話そうか迷っているとクロエの方から話を切り出す。それによるとクロエはラウラが生まれる前に独政府によって生みだされたラウラと同じ人造人間であり、成功せずに放棄された失敗作、だと打ち明けるのであった。クロエは自分の完成形でもあるラウラに自分をどうするつもりか尋ねるとラウラはクロエをどうこうするつもりは無いと必死で訴える。クロエはラウラの言葉を信じ、まずはクラスメートとして交流していこうとラウラと約束するのであった。

※UAが120000に到達しました。ありがとうございます!
次回は29日(土)の予定です。


Mission131 接触

IS学園 アリーナ

 

…ガキィィィィィィンッ!

 

火影

「ちっ!」

海之

「くっ!」

 

ガキンッ!キンッ!キィィィンッ!

 

クロエ

「はぁぁぁぁあ!」

「たあああああ!」

 

クロエとラウラの屋上での話から翌日。この日の午後の授業は一組と四組による試合形式の合同授業である。アリーナの半分では火影と海之が、もう半分ではクロエと簪が試合を行っていた。そして…、

 

千冬

「…よし!それまで!」

 

千冬からの試合終了の声が上がった。

 

一夏

「お疲れさんふたり共」

火影

「ハァ…へへ、今ので付けた傷では2点リードだな」

海之

「バカを言うな、まだ同点だ。前にも言ったが算数からやり直せ」

シャル

「はいはい、ほんとに勝負に関してはふたり共負けず嫌いなんだから」

セシリア

「ですが相変らず流石ですわ」

ラウラ

「ああ。銃を使わないという条件とはいえ、本当にここまで拮抗するものなのか」

一夏

「ほんと凄ぇよな~。俺とは大違いだ」

「そう言うな一夏。お前も先程私と戦った時優勢だったではないか。以前より上達している」

一夏

「…う~んでもなぁ、こんなゆっくりな進歩じゃ一体何時になったらふたりに追いつけんのか…」

海之

「焦りは何の役にも立たん。お前は確実に山を登っている。次に足を付ける場所を間違えるな」

一夏

「……」

 

一方クロエと簪の試合も終わった。優勢だったのはどちらかといえばクロエの方だった。

 

本音

「かんちゃんもシーちゃんもお疲れ様~」

「ハァ、ハァ…」

クロエ

「ハァ…、大丈夫ですか?簪さん」

「う、うん、大丈夫。ありがとう。…シエラさん強いね」

クロエ

「訓練のお陰です。簪さんもお強かったですよ、ケルベロスの使い方も磨きがかけられている様に感じました」

「そ、そう?だと嬉しいな」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

千冬

「ちょうど良い時間だな。では本日の授業はこれまで!」

生徒

「「「ありがとうございました!!」」」

 

 

…………

 

その日の放課後。街のとある場所にて。

 

カランカランッ

 

楯無

「あ、来たわよ皆」

「待ちくたびれたわよ~」

「すまない、待たせた」

クロエ

「…お待たせしました」

 

ここは普段皆でよく行く喫茶店。今入ってきたのは用事で遅れていた箒とクロエ。店内には先に来ていたそれ以外の皆がいた。実はこの日の放課後、何時ものメンバーで集まって簡単なクロエの歓迎会を行う事にしたのである。因みに火影と海之は用があるとかでいない。

 

クロエ

「私のために御迷惑をおかけしたみたいで…申し訳ありません」

セシリア

「そんなにお気になさらなくても構いませんわ」

「私達が好きでやってるんだから心配しないで」

本音

「クーちゃん、私とラウランの間が空いてるよ~」

ラウラ

「よ、宜しければどうぞ」

クロエ

「では失礼致します」

 

そう言ってクロエは本音とラウラの間に座った。

 

 

…………

 

そして暫くして皆の飲み物やひと通りの食べ物が揃った所で、

 

一夏

「…よし、んじゃ揃った所でクロエの入学歓迎会開始~」

本音

「わ~♪」

「大丈夫か?本名で呼んで。一応公の場だが」

シャル

「まぁ大丈夫じゃない?変装もしてるし、それにクロエさんと臨海学校で会ったのは僕達一年だけだし」

楯無

「クロエちゃん、何でも頼んで良いからね?喫茶店だけど」

クロエ

「は、はい…」

セシリア

「どうしましたのクロエさん?緊張されてますか?」

クロエ

「……正直なところ。この様な事は本当に初めてなので…どうしたら良いのか」

「かしこまらなくて良いってば。…そうだ!折角だから何か聞きたい事とか無い?今日はアンタの歓迎会なんだからなんでも答えてあげるわよ」

一夏

「へ~、それなんか面白そうだな」

クロエ

「き、聞きたい事ですか?……えっと……じゃ、じゃあ、皆さんの…好きな食べ物はなんですか?」

「ふふ、教科書みたいな質問だね。う~んそうだなぁ…」

シャル

「僕は…クレープかな?皆知ってる?クレープはフランス発祥なんだよ」

一夏

「へー」

ラウラ

「…私は…アイスバインでしょうか…」

「私はやっぱラーメンかな~」

本音

「私はひかりんの作ってくれるデザートだよ~♪特にストロベリーサンデーがおススメ~」

「そ、そうね~!私も火影の料理が好きかな~」

シャル

「う、うん!クレープも好きだけど僕もそうかな~」

「わ、私は一夏の料理は何でも好きだ!」

セシリア

「私もですわ!」

一夏

「あ、ありがとよ。因みにクロエは何だ?」

クロエ

「わ、私ですか?……えっと、えっと……!す、スメリアで頂いた…ギャリソン様のお料理…でしょうか?」

全員

「「「そう来たか(来ましたか)~!」」」

 

その答えに全員即納得した。

 

クロエ

「…あの…兄さん達の好きな物は…ご存じですか?」

「火影達?ええ知ってるわよ。火影はやっぱり苺でしょうね。あとピザかな?子供よねぇ全く」

「海之くんは和食かな?お弁当のおかずも学食も和食が多いよ」

楯無

「あとあんみつも好きみたいね。……因みにクロエちゃん、篠ノ之博士の好きな物ってなんなの?ちょっと興味あるんだけど」

「楯無さん、それなら箒の方が詳しいんじゃないですか?」

「…いや、正直な所あまり知らない。あの一件以来…ずっと別々に暮らしていたから…」

「…あ…そ、そうか…。御免、箒…」

「いや良い。クロエ、姉さんは何か知っているか?」

クロエ

「…えっと…一応色々あるにはある筈なんですけど…その…」

 

箒のその質問にクロエは答えにくそうだ。

 

セシリア

「? どうしましたの?」

クロエ

「その…実はですね、私があまり料理が上手くなくて…いえ、あまりどころかかなり。…それで何を召し上がられても同じ反応で…。何がお好きなのか具体的にわからないのです」

「そ、そうなんだ…。ちょっと意外だった。…あ、御免」

シャル

「あはは、まぁ誰にでも苦手な事ってあるよね。あそうだ、よかったら今度火影や海之に教えてもらったら良いじゃない?僕達も時々教えて貰ったり、一緒にご飯作ったりしてるんだ」

一夏

「俺も暇だった時に教えてやるよ」

クロエ

「あ、ありがとうございます」

本音

「あ、そうだクーちゃん。ルームメート、かっちゃんが入るんだって~?」

楯無

「事情が知る者がいた方が良いでしょ?クロエちゃんの場合は特にね」

クロエ

「ご迷惑をおかけしてすいません…」

 

これにはクロエの正体を知っているからと理由以外に、火影と海之の秘密を共有しているからという理由もある。

 

一夏

「まぁ俺はひとりで部屋使えるから嬉しいけどな。どうも女の子と同じ部屋ってのはまだ落ち着かなくて…。でもそう考えたら火影と海之を同じ部屋にしてのほほんさんと簪を同じ部屋にしたらバランス良いんじゃ」

簪・本音

「「だ、駄目(だよ~)!」」

一夏

「…あそう?…ケンカでもしてんのかな?」

簪・本音

「「…ハァ」」

 

すると今度は楯無がクロエに質問した。…少し悪戯顔で。

 

楯無

「…じゃあさ~?私からクロエちゃんに聞きたいんだけど~、クロエちゃんって好きな人いる~?もちろん男の人で」

クロエ

「…好きな男性の方ですか?はい、火影兄さんと海之兄さんです。あと一夏さんも」

一夏

「サンキュ~」

一夏と楯無以外

「「「!!!」」」

 

その言葉に多くの少女が驚くが、

 

クロエ

「…!ち、違いますよ皆さん!おふたりはお兄ちゃんとして好き、という意味です!一夏さんもお友達としての意味です!以前もそうお話したでしょう!?」

「そ、そう言えばそうだったわね…」

本音

「びっくりした~!」

ラウラ

「本当にな…」

セシリア

「全くですわ…」

楯無

「ふふふ。本当に皆見ていて飽きないわね~♪」

「も、もうお姉ちゃん!絶対わざとでしょ今の!」

 

安心したり怒ったりする面々。そんな皆を見てクロエは尋ねる。

 

クロエ

「…あの…皆さんは…兄さん達や一夏さんの事を」

楯無

「えぇ私も含めそうなのよ~♪で、割り当てはね」

一夏・クロエ以外

「「「こんな所でぶっちゃけないでください(ぶっちゃけないで~)!!」」」

 

皆は全力で楯無の言葉を止める。

 

一夏

「お、おい。ここは店なんだから静かにしろって」

「そ、そうだった。…もう楯無さん!」

シャル

「なんかこの数分でどっと疲れた気分だよ…」

楯無

「あはは、ごめんごめん♪という訳でクロエちゃん、悪いけど後で各々に聞いておいてね♪」

クロエ

「は、はい」

 

すると続けざまに本音が訪ねる。

 

本音

「ねーねークーちゃん。さっきひかりん達の事、お兄ちゃんって言った~?」

クロエ

「……え!?」

 

クロエは感極まった時等に兄さんではなくお兄ちゃんと言う癖があるのであった。それが恥ずかしいとは思いつつもなかなか直らない。

 

楯無

「あら本音~、そこ聞いちゃうなんていけずね~。私気づいていたんだけど黙ってたんだけどな~。クロエちゃん恥ずかしがるだろうから♪」

クロエ

「……」

 

赤くなるクロエ。それを見て微笑む皆。そんな感じの賑やかで騒がしいクロエの歓迎会は進んで行った…。

 

 

…………

 

そして暫くして…、

 

一夏

「…なぁクロエ。今さらだけど本当に良かったのか?束さんの指示とはいえ離れてしまってさ?」

「そうね~。クロエを置いて帰る時めちゃ泣いてたからね~」

「ふたり共思う程心配する必要は無いと思うぞ。姉さんは昔から泣き癖があったし」

「も、もしかして今頃泣いてたりして…」

クロエ

「…大丈夫です。ベアトリスが完成してから束様はご自分から私にこうする事を指示されましたから。…寂しい気持ちもありますが、今は何より、今起こっている問題を解決する事です」

ラウラ

「…クロエさん…」

楯無

「ふふ、じゃあクロエちゃんと篠ノ之博士が早くまた一緒に暮らせる様頑張らなきゃね♪」

「……」

 

箒は何か思い詰めた表情をしていた。

 

本音

「どうしたの~しののん?」

「……ああ。私も…一度話してみようと思うんだ…。姉さんともう一度、できれば近い内に」

セシリア

「それが良いですわ」

シャル

「うん、僕も賛成だよ箒」

クロエ

「……箒様。私からも…どうかお願い致します。束様は何時も、箒様の事を話されておられました。束様は箒様の事を誰よりも大切に想っておいでです。ですから…どうか…」

 

クロエは頭を下げて箒にお願いした。

 

「………ああ、わかったクロエ。約束する。ああ後私の事も普通に箒と呼んでくれ。様等いらないから」

 

箒はクロエに約束した。そんな箒をみて一夏も嬉しそうだった。

 

一夏

「へへ。…さて、じゃあ上手く纏まった所でそろそろお開きにするか?」

楯無

「そうね、今から帰れば門限には間に合うわ」

クロエ

「…皆さん、本当に今日はありがとうございました」

「私達も楽しかったわよ。簡単なものならまた何時でもやりましょ♪」

ラウラ

「わ、私もしたいです」

クロエ

「…はい」

 

こうしてクロエの歓迎会は終わった。

 

 

…………

 

IS学園 整備室

 

海之

「……」

 

その頃そこでは海之がアリギエルとウェルギエルを並べ、状態のチェックをしていた。その隣で火影は自身の銃のメンテナンスを。今は最後のエボニー&アイボリーである。

 

ガチャッ!

 

火影

「よし」

海之

「終わったのか。…しかし銃とはやはり手間がかかる物だな。定期的に手を加えなければならんとは」

火影

「その手間がまた面白ぇんだよ。特にこいつとは長い付き合いだからな。あの人が与え、俺が初めて組み立てたもんだし」

海之

「二―ル・ゴールドスタイン…。あいつの相棒の祖母、という事だったな」

火影

「ああ。そしててっきりお前が殺した…と思っていた。結果別人だった訳だけどな」

海之

「よく考えれば分かる事だろう。あの時の俺は人間等興味は無かったのだから」

火影

「うっせー。必死だったしガキだったんだから急にそんな判断付く訳ねぇだろ。…まぁしかし俺もお前も随分運命弄ばれたもんだな。……特に奴には」

海之

「思い出すのも忌々しい歴史だがな……」

火影

「………話を変えっか。さっきの戦いだが…やっぱか?」

海之

「…ああ、ウェルギエルもアリギエルもだ」

火影

「そうか…。ちっ、何か嫌な感じがすんな。束さんの事といい…」

海之

「…ああ。何故あの時束さんは俺達に魔具の設計図を返したのか。しかもクロエにも知らせずに…」

 

そう、実は束は帰る直前、以前ふたりから渡された魔具の設計図をこっそり返していたのである。娘であるクロエにも黙って…。

 

火影

「束さんは「必要なデータを取ったから返すだけ」と言っていたが…。だがそれならあの人がそのまま持ってても良いと思うんだがな。あの人の居場所は誰も知らねぇんだから。安全のためにクロエも連絡先は教えられてねぇみてぇだし…」

海之

「……」

 

ウィィィンッ

 

と、その時扉が開いた。

 

千冬

「海之、火影。やはりここにいたか」

真耶

「お疲れ様です。ふたり共」

火影

「織斑先生と山田先生?お疲れ様です」

海之

「どうされましたか?…それにやはり、というのは?」

千冬

「…先程のお前達の戦いが気になってな。それで整備室に来ていると思ったのだ」

火影

「気になる事?」

 

すると千冬は言った。

 

千冬

「…正直に言え。お前達のIS、再生が以前より遅くなっていないか?」

火影・海之

「「……」」

真耶

「急にすいませんふたり共。…でも私も以前より遅くなっている気がするんです。気のせいかとも思いましたが…先輩は間違いないと言って…」

千冬

「まぁあいつらや生徒達はまだ気づいていないし、そもそもお前達が被弾する事等滅多に無いが…以前お前達が試合を行った時よりも何秒か遅くなっている様な気がしてならん。どうだ?間違いなら間違いで構わん」

火影・海之

「「……」」

真耶

「ふたり共…」

 

するとふたりは話し始める。

 

火影

「…はは、流石ですね」

海之

「先生方のご指摘通り、ここ最近になって確かにアリギエルとウェルギエルの再生速度に遅れが生じています。平均して約3秒、という位でしょうか」

千冬

「…やはりそうだったか」

真耶

「それって…やっぱり以前から続くというふたりのISの不調によるものですか?」

火影

「確証は無いですけどまぁその可能性は高いでしょうね」

海之

「……」

 

すると真耶が切り出す。

 

真耶

「ふたり共、教師として私からお願いがあります。おふたりのIS、渡していただけませんか?」

火影

「…え?」

海之

「……」

千冬

「真耶」

真耶

「無茶を言っている事は分かっています。しかしこのままでは…何時かふたりに何か起こる気がしてならないんです。……嫌な予感がするんです。ISの故障だけなら良いんです、直せば良いのですから。ですがふたりのそれは命に関わる危険な物です。何か起こるという事は…ふたりの身に何かが起こるという事と同意義です。もし、もしふたりが戦っている時に何かあったらどうするんですか!?」

火影・海之

「「……」」

真耶

「ふたりが自らの使命とやらで戦おうとするのはわかります。でもそれはふたりの前世の話じゃないですか!ふたりはもう十分すぎる程戦ってきたんじゃないですか!今のふたりは悪魔と人のハーフなんかじゃなく普通の人間です!普通の子供で、私と先輩の生徒です!」

千冬

「真耶…」

摩耶

「それにふたりの身に何かあったら皆が…何よりあの子達がきっと凄く悲しみます!私はそんなの見たくないんです!お願いです、ふたりのISを渡してください!」

火影・海之

「「……」」

 

千冬は真耶のこんな様子は久々に見た気がしていた。…多分、四年前一夏の誘拐事件があった時以来から。それ位本気で心配しているのだ。

 

火影

「……ありがとうございます、山田先生。俺達の事をそこまで心配して頂いて…ありがたいです」

真耶

「……」

火影

「…ですがすいません。それはできません。例え何があろうとも。誰に頼まれた訳でもない。俺達が自分の意志で決めた事です。先生が生徒のやろうという気持ちを邪魔しちゃだめでしょう?」

海之

「こいつの言う通りです。ISがどうとかではありません。俺達は戦い抜きます」

火影

「そういう事です。それに今の俺らは確かに人間ですが…人間には悪魔には無い力があります。だから大丈夫です」

海之

「俺達は死にませんよ」

 

迷いない目で答える火影と海之。

 

千冬

「…真耶、お前もわかっているんだろう?ふたりがこう言う事を」

真耶

「……」

 

そしてやがて諦めたのか、

 

真耶

「…ハァ、やっぱり駄目なんですね…」

火影

「すみません…」

真耶

「……わかりました。でも…本当に気をつけてください。先ほども言いましたが…ふたりに何かあったらあの子達が」

海之

「分かっています。肝に銘じて置きますよ」

千冬

「……絶対だぞ」

火影・海之

「「はい」」

 

火影と海之はしっかりと約束した。

 

 

…………

 

???

 

その頃、ここはファントム・タスクの拠点がある場所。そこの入口と思える場所にMとスコールがいた。

 

スコール

「間もなく到着ね」

「……本当に来るのか?」

スコール

「彼は必ず来ると言っていたわよ?間違いなく来るってね」

 

どうやらふたりは何かを待っている様だった。

 

「…しかしよく連絡がついたものだな」

スコール

「詳しくはわからないけど…なんでも特上の餌を使ったって言っていたわ」

「…餌?」

スコール

「……あ、もしかしてあれじゃないかしら?」

 

良く見ると遠くの方向から何かが近づいてくるのが見える。そしてそれは、

 

 

ドオォォォォォォンッ!……パラパラ

 

 

Mとスコールの前で豪快に墜落した。良く見るとロケットの様だ。

 

スコール

「…これはまた派手な登場ね~」

「……死んではいないだろうな?」

スコール

「流石にそれは無いと思うけど…」

 

パカッ!

 

するとロケットの側面にある入口が開き、中からひとりの女性が出てきた。

 

「……お前が…」

スコール

「お会いできて光栄ですわ。お待ちしておりました。………篠ノ之束博士」

「………」

 

それは束だった……。




おまけ

クロエの歓迎会の帰りの電車内


「…あ、そうだ楯無さん。部屋の事でひとつ思い出したんですけど…シンデレラって…もうしないんですか?」
楯無
「えっ?ああそういえば忘れていたわね」
シャル
「当日はいきなりだったからちょっと驚いたけど…今思い出せばちょっと楽しかったよね」
ラウラ
「ああ。メイド服とは違ってあんな恰好は初めてだから良い経験だったな」
一夏
「勘弁してくれ…もうあんな目は御免だぜ」
楯無
「それにどちらかといえば皆のお目当ては演劇よりも報酬の方でしょ~?」
セシリア
「そ、そんな事は…」

「……いやセシリア、もう隠しても無駄だ。私達全員もうバレバレなのだから」
楯無
「う~んそうね~、今すぐには無理かな~。何より肝心の一夏君達にもうばれてるから全く新しい物を作らないと警戒されちゃうでしょ?」

「…確かにそうですね」

「ざ~んねん」
クロエ
「…?本音さんと簪さんは随分ほっとした表情されてますね?」

「そ、そんな事ないよ~!」
本音
「う、うん。私はいつもと変わらないよ~!」
シャル
「そりゃあだってシンデレラに関係なくずっと火影と海之と同じ部屋だもん。いいなぁ~」
ラウラ
「ああ全くだ…」
楯無
「そ~ね~、ふふっ♪」
簪・本音
「「……」」

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