IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
その中で世界初の男性IS操縦者である一夏は自身の置かれた状況に困り果てていた。頼りになりそうな者と言えば担任であり、自分の姉でもある織斑千冬。そしてよくわからないが会ったことがある様なひとりの女子。
そんな状況の中、彼のクラスにふたりの転校生が入ることになった。
その転校生とはどちらも男、しかも双子であった。
千冬
「では紹介する。おい、入ってこい」
入ってきたのはどちらも男。しかも双子。ひとりは火の様な赤い目をしていて髪をストレートに伸ばしている。もうひとりは海の様な青い目で髪はオールバックだ。
千冬
「では自己紹介をしろ」
火影
「はじめまして。今回IS学園に入る事になった火影・藤原・エヴァンスです。見てわかると思いますがこの隣の海之とは双子で一応僕は弟です。趣味は音楽、バイク、料理で得意なのはピザとパフェです。あと射撃です。ああ、あと僕とこいつはみなさんよりひとつ年上です。でも年上とか関係なく接してもらえればと思います。宜しく」
海之
「…海之・藤原・エヴァンスです。火影の兄になります。趣味は剣の鍛錬、読書、あとこいつと同じく料理です。あとは機械いじりです。俺の事も年上関係なく接してください。宜しくお願いします」
生徒達
「「「…………」」」
火影・海之
(…ん?(む?)なんかマズッたか?(失敗したか?))
火影と海之は沈黙が続いていた事になにか失敗したかと思っていた。
生徒達
「「「…キャ」」」」
火影
「え?」
生徒達
「「「キャアァァァァーーーー!!!」」」
火影
「のわ!?」
海之
「!?」
女子達の思わぬフェイントに火影は耳を抑え、海之は表情を歪めた。
「双子!しかもどちらも超イケメン!!」
「カッコいい!!」
「火影様に海之様。素敵な名前!!あとなんてきれいな目!!」
「火影くんは織斑くんとはまた違ったワイルド系!海之くんはクール系!」
「料理作れるって主夫ーー!!」
火影
(おいおいマジかよ……)
海之
(……やはり断るべきだった)
火影と海之はこの時初めて後悔した。
一夏
(…確かに俺から見てもふたりともすげーかっけー。あとほんとに瓜ふたつだ。まあ双子だから当たり前か。にしても俺の時はあんなに騒ぎになったのに、ふたりの事は全然今の今まで知らなかったな。なんでだ?まあ良いか。それより折角の男のクラスメートだ。しっかり交流しねーとな!)
千冬
「静かにしろ!…因みにエヴァンス兄弟はスメリア国籍で父親がスメリア人、母親は日本人だ。ではふたりとも席に着け」
そう言われて僕と海之は後ろの方の席についた。と同時にHR終了のチャイムが鳴り、小休憩となった。
…………
火影と海之は何とも言えない雰囲気に言葉が無かった。というのもこのクラスはおろか、数分の休みである小休憩だというのに他のクラスの女子も押し寄せて廊下から自分達を見つめていたからだ。しかもみんな笑顔で。
火影
「……なぁ海之」
海之
「……なんだ?」
火影
「悪魔共に囲まれた時以上に辛いと思わねぇか…?」
海之
「……奇遇だな。同感だ」
そんなやりとりをしていると向こうから男子が近づいてきた。
一夏
「ちょっといいか?」
火影
「ん?ああ、確か織斑一夏だっけか?世界初の男子操縦者っていう。火影・藤原・エヴァンスだ。火影と呼んでくれ。宜しくな」
海之
「海之・藤原・エヴァンスだ。俺も海之でいい」
一夏
「火影と海之だな。いやほんとに良かったよ。俺以外に男子がいないのかと半ば諦めてたからな。仲良くやろうぜ!俺の事も遠慮なく一夏と呼んでくれ」
火影
「ああわかったよ、一夏」
海之
「宜しく」
そのやりとりまで女子達はきらきらした目で見つめていた。
火影
「…きついな」
一夏
「だろ?」
海之
「…ハア」
キーンコーンカーンコーン
やがて小休憩が終わり、真耶による一時間目の授業が始まる。
HR時は頼りなかった真耶はさっきとはまるで別人でしっかりとした口調だった。
火影と海之も手元のタッチスクリーン型筆記道具にしっかり筆記していく。ISに関しての勉強は数日前までした事もなかったがそこは前の学校でトップだった海之と、海之ほどではないが記憶力に自信はある火影は難なく進めていた。一方…、
真耶
「以上でISに関する説明はここまでです。それでは織斑君、ここまでで何か質問はありますか?」
一夏
「えっと…その…」
真耶
「はい、何ですか?織斑君。何でも良いですよ?」
一夏
「あの……」
真耶
「はい」
一夏
「全部わかりません!」
思い切ったのか一夏ははっきりと言った。
真耶
「ぜ、全部ですか…?」
一夏
「はい、本当に全部です!」
自信さえ持ってそう答える一夏に困惑する真耶。やがて千冬が一夏に後ろから語りかける。
千冬
「織斑、お前入学する前にテキストが送られてきただろう?読んでいないのか?必読と書いてあった筈だぞ?」
一夏
「え?…あっ、もしかしてあの分厚い電話帳くらいの本?…しまった…電話帳と思って捨ててしまいました…」
千冬
「バカ者!」ゴンッ!
そういうと千冬は思い切り一夏に強烈な鉄拳制裁を食らわした。
一夏
「いっつーー!」
千冬
「後で事務所に行って再発行してもらってこい!あと内容は一週間で覚えろ!」
一夏
「い、一週間って、あの電話帳を一週間って…」
千冬
「いいな!?」
一夏
「…わかりました」
千冬
「全く…。エヴァンス兄弟は大丈夫だろうな?転校まで時間が無かったが。それじゃ試しに兄の方、ISの世代について説明してみろ」
海之
「はい。……」
海之は見事に一語一句逃さず答えた。
千冬
「ふむ、問題無いようだな。では次に弟の方、ISの基本についてだ」
火影
「わかりました。……」
こちらも淀みなく答える火影。
千冬
「こちらも問題無いようだな」
真耶
「でも凄いですよ。他の生徒より時間がなかったのにここまで習得するなんて」
千冬
「まあ基本だからな。当然だ。織斑、授業以外はエヴァンス兄弟に教えてもらえ。同じ男子の方が良いだろう」
一夏
「わかりました。…すまん火影、海之」
火影
「気にすんな」
キーンコーンカーンコーン
やがて一限目終了のチャイムがなり、休憩になった。
…………
火影・海之・一夏の三人が集まっている。
火影
「大丈夫か一夏?さっきの織斑先生の鉄拳すげー音がしたぞ?」
一夏
「ああ参ったよ全く…。しかしふたりとも良く覚えてたな。どれ位掛かったんだ?」
海之
「あれ位二日でマスターできる。覚えるのと覚えなくていいポイントをつかめればな」
一夏
「マジか!?」
火影
「ああマジだ。まあ心配すんなって。手伝ってやるから。その代わり今度飯おごれ」
一夏
「ああそれ位で済むなら大助かりだぜ!」
三人はすっかり打ち解けた様だ。
次回より、ヒロイン三人が登場予定です。