IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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Mが召喚した新たなアンジェロ達とグリフォンに挑む箒達。
箒達はアンジェロ以上に剣に精通しているDアンジェロとファントム以上の強固なSアンジェロとの闘いで苦戦するも徐々に攻略法を模索しながら有利に立ち始めていた。……様に思えたのだがその時アンジェロ達の奥の手ともいえる能力が発動し、形勢は再び押し返される。
一方、アンジェロ達を箒達に任せ、ひとりグリフォンと闘うシャルロット。しかしこちらもこれまでよりスピードが上がっているらしいグリフォンに苦戦を強いられ、シャルは決定的な手が出せない。そんな中で遂に銀の鐘が発動。ロックオンされたシャルにこれまで以上の危機が押し寄せていた。


Mission142 束のドッキリと希望と災い

箒

「はぁぁぁぁ!!」

鈴

「たぁぁぁぁ!!」

 

箒と鈴はSアンジェロをラウラや簪、セシリアに任せ、Dアンジェロと闘っていた。彼女達が止めているため敵の連携は何とか阻止できていたがそれでもDアンジェロはまだ4機残っているため、割り当てでひとりで2機相手にしなければならない。

 

シュンッ!シュンッ!……ガキキキンッ!

 

Dアンジェロ

「「「……」」」

箒

「くっ!なんてスピードと剣速だ!」

鈴

「ガーベラやトムガールの加速加えてやっとなんてね!おまけにさっきまで一刀流だったのが二刀流になってるし!」

 

隠し武器扱いだった短剣も常時左手に持っており、敵が二刀流になった事も先ほどの戦い方とは違っていた。

 

ガキンッ!

 

箒

「こんな大剣を片手で軽々と扱うとは!」

鈴

「でも今ならこれで!」ガシャンッ!

 

そう言って鈴は龍咆を開く。

 

鈴

「零距離で受けなさい!」ズドォォンッ!

 

目の前の敵に撃つ鈴。……しかし、

 

バババババババババババ

 

鈴

「!!」

 

龍咆の目に見えない衝撃波の弾を自らの大剣で真っ二つに断ち切っていた。

 

鈴

「龍咆の衝撃波を斬るですって!?海之みたいな事してんじゃ」ズガァァンッ!「きゃあああ!」

 

後ろから別のDアンジェロが斬りかかってきた。意表を突かれた鈴は受けてしまい、吹っ飛ぶ。

 

箒

「鈴!邪魔だぁぁぁ!」ガキンッ!

 

箒は全力で目の前の敵を払い、鈴に更に斬りかかろうとしていた鈴の護衛に入る。

 

箒

「鈴!大丈夫か!」

鈴

「え、ええ。ありがとう箒。油断したわ」

箒

「私が前に出るから鈴は援護を」

鈴

「おっと!それは無しよ箒。あんたも自分の相手で精一杯でしょ」

箒

「しかし!」

鈴

「大丈夫よ。仲間が信じられない?」

 

そんな事を言われたら箒も黙るしかなく、

 

箒

「……わかった。気をつけろよ。互いに敵を引き付けよう。半分は任せろ!」ドンッ!

 

そう言って箒は自分の担当を引き付けて離れる。鈴は引き続き目の前の敵と対峙する。

 

ジャキジャキッ!

 

鈴

「…私は…アンタ達なんかに負けるわけにはいかないのよ!」

 

剣を構えるDアンジェロ達に向かい、鈴は再び双天牙月を構えた。

 

 

…………

 

一方、Sアンジェロ達と闘う簪・ラウラ・セシリア達は…、

 

ラウラ

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

ドゴオォォォォンッ!

 

ラウラは先ほどと同じくパンチラインのブレイクエイジを撃つが、

 

Sアンジェロ

「……」

 

パワーアップされたらしい盾には先ほどと違いヒビも入らなかった。

 

ラウラ

「ちっ!ブレイクエイジでもダメとは!やはりどうにかして隙間を狙うしかないか!」

セシリア

「ならばお任せください!」

 

ビュビュビュンッ!!

 

ラウラの後方からセシリアのビットが飛ぶ。更にそのレーザーが偏光射撃であらゆる方向から飛んでくる。

 

セシリア

「あらゆる方向から同時に狙えば防ぎ切れない筈!」

簪

「…!見て!」

 

ガシャガシャガシャンッ!

 

簪が指差した先にいたSアンジェロの盾が突然複数に分裂した。

 

ラウラ

「! 盾が分裂しただと!?」

 

ドドドドドドドドンッ!!

 

更にそれらはセシリアのレーザーを防げる最適なポイントに飛び、飛んでくるレーザーを全て防いでいた。

 

セシリア

「! 分裂した盾が…私のレーザーを防いだ!?」

簪

「それにも驚いたけど…あの盾の飛び方、…なんかビットに似ている気がする」

 

簪の言う通り、分裂した盾は自在に飛び回り、そのひとつひとつが様々な方向から飛んできたレーザーを防いでいた。更に、

 

ズドドドドドドドッ!

 

そこから砲口が出現し、機銃を撃ち出してきた。

 

セシリア

「! あんなものまで!まさしくビットですわ!」

ラウラ

「確かゼフィルスにも同じ様なシールドがついているビットがあると聞いた。まさかそれの技術を使っているのか!」

セシリア

「簪さん、先ほどの氷のミサイルは使えませんか?」

簪

「使えない事無いけどあんな物があったら撃ち落されちゃうよ…!」

ラウラ

「……」

 

 

…………

 

鈴

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

その頃、2機のアンジェロと闘っていた鈴は消耗が激しく、敵に挟まれる形となっていた。

 

Dアンジェロ

「「……」」ジャキッジャキッ

鈴

「はぁ…くっ、お互い同時に剣を構えて…面倒だから同時に仕掛けて一気に決めようって訳?なめてくれるじゃないの!」

 

そういう鈴だったが自分にも余裕がそろそろ無くなりつつある事もわかっていた。

 

鈴

(…疲れが出てきたから剣技じゃ敵わない。スピードも不利。奴の裏をかくにはどうしたら………同時に仕掛けて……!……だけどもしこれに失敗したら…間違いなく私の負け…か…)

 

鈴の頭に何か浮かんだようだが危険性が高いのか失敗した時の事を恐怖しているらしい。

………すると鈴の心にタッグマッチトーナメントの時に掛けられた火影の言葉が浮かぶ。

 

 

火影

(…自信を持って戦え。お前らなら勝てる…)

 

 

鈴

(!……もう、全く簡単に言ってくれちゃって。……いいわ、やってやろうじゃないの!上手くいったらデートしてもらうわよ!)

 

 

…………

 

一方Sアンジェロ達の攻略を闘いながら模索する簪達。すると、

 

ラウラ

「…ふたり共、できるだけ攻撃を連続して奴らの動きを止めてくれ」

簪

「え?」

ラウラ

「私に考えがある。頼むぞ!」ドンッ

セシリア

「わ、わかりましたわ!行きなさいティアーズ!」ドドドドドンッ!

簪

「山嵐…発射!」ズドドドドドッ!

Sアンジェロ

「「「!」」」

 

ラウラに頼まれた簪とセシリアは其々の攻撃を連続でたたき込む。対して敵はシールドビットを展開しながら防ぐ。

 

簪

「やっぱり防がれる…!」

セシリア

「でも今はラウラさんを信じましょう!」

 

……それがほんの少し続いた時、

 

ラウラ

「……よしここだ!食らえ!」

 

 

キィィィィィィンッ!!

 

 

Sアンジェロ

「「…!?」」

 

先程離れていたラウラがAICを起動し、動きを止めていた。離れていたのはこれをより大勢巻き込むための最適なポイントを見つけるためだった。それによって2機の敵が補足されていた。

 

ラウラ

「思った通りこいつらはビットを展開している間動けない!どうだ!いくら貴様達でもこれなら動けまい!」

セシリア

「ラウラさん!」

ラウラ

「今だふたり共!捕まった奴らを撃て!」ドガガガンッ!!「ぐあああ!」

 

しかしその影響で動けないラウラは他のアンジェロの攻撃を受ける。

 

ラウラ

「…くっ、…しかし解除はしないぞ!」

簪・セシリア

「「ラウラ(さん)!」

ラウラ

「大丈夫だ!早く奴らを!」ドンッ!「ぐうぅぅ!」

簪

「セシリア!私がラウラを助けるから奴らをお願い!」

セシリア

「…心得ましたわ!」ドンッ!ドンッ!

 

セシリアはAICにかかった敵を撃つためブリンク・イグニッションで接近する。しかしその前に別のアンジェロが立ちはだかる。

 

セシリア

「今の私を止められると思いなさりませんように!」ドンッ!

Sアンジェロ

「!」

 

ドガァァァァン!!

 

セシリアはSアンジェロに向けて奇襲のビットミサイルを発射した。爆発に一瞬うろたえる敵。その横をくぐり、セシリアはAICにかかった敵の後ろにつく。ローハイドを構えるセシリア。

 

Sアンジェロ

「「!!」」

セシリア

「落ちていただきます!!」

 

ザンッ!ザンッ!……ドガァァァァァァンッ!!

 

ローハイドの剣閃が2機のSアンジェロの装甲の隙間を切り裂いた。その瞬間2機のアンジェロは破壊された。

 

ラウラ

「やった!よしもう一度」

簪

「駄目だよラウラ!AICはリスクが大きすぎるよ!…私に任せて!」

ラウラ

「どうするんだ!?」

簪

「ラウラのおかげで思いついた事があるの!」

 

すると簪は春雷を展開する。

 

簪

「春雷…発射!」ズドォォォォォン!!

Sアンジェロ

「!!」ガシャガシャンッ!

 

ガガガガァァン!!

 

簪は春雷を撃つが敵は分裂していたビットを再びまとめてそれを防御していた。

……すると、

 

ガガガガガガガガガガ

 

Sアンジェロ

「!?」

 

その時攻撃を受け止めた敵に異変が起こった。盾に突如電流が走り、更に盾を持っていた本体にも電流が移ったのだ。そのためなのか動きが鈍くなる敵。

 

ラウラ

「! これは!」

簪

「ケルベロスの雷のエネルギーでパワーアップした春雷だよ!ラウラ!今の内!」

ラウラ

「おお!」ジャキッ…ズドンッ!!

 

ラウラはビーム手刀のエネルギーを回したパンチラインを飛ばした。

 

ラウラ

「盾は厚い様だが装甲をパージしたお前達ならこれでも貫ける!」

Sアンジェロ

「!!」

 

ドガァァァァァァンッ!!

 

ラウラのパンチラインが敵の身体を貫き、大破した。

 

簪

「やった!」

セシリア

「おふたり共、大丈夫ですか!?」

簪

「大丈夫だよ。でもラウラ!全く無茶して!」

ラウラ

「…ふっ、先ほど簪に海之の力になりたいんだろうと言った手前、私もこれ位できんとあいつの夫ではいられんからな。だがこのまま一気に……何!」

簪

「ど、どうしたの……え!?」

セシリア

「…こ、これは!?」

 

その時ラウラとセシリアに異変があった。いや正確には彼女達のある物に。

 

 

ラウラ

「パ、パンチラインが…!」

セシリア

「私の…ローハイドも!」

 

 

…………

 

場所は先ほどの鈴の時点に戻る。火影の言葉に勇気付けられた気がした鈴は微笑み、何故か武器を下ろし、何か集中しているのか目を閉じる。

 

鈴

「……」

 

静かに沈黙する鈴。そんな鈴を見て、

 

Dアンジェロ

「「!!」」ドンッ!ドンッ!

 

Dアンジェロは同時に突撃した。前と後ろから迫ってくる。そして互いに剣を構えて斬り込もうとしたその時、

 

 

鈴

「今だ!」ドンッ!!

 

 

鈴はガーベラの力を加えた最大加速を行った。

 

Dアンジェロ

「「!!」」ドォォォォォンッ!

 

突然の思わぬ回避にDアンジェロは驚くが既に斬り込もうとしていたので急に止まる事ができず、剣で互いを斬る事は防げたが激突してしまった。

 

シュンッ!!

 

気付いた時鈴は背後にいた。先程の回避は単なる瞬時加速でなくブリンク・イグニッションだった。

 

鈴

「柔よく剛を制す!スピードに溺れたわね!開けガーベラ!!」

Dアンジェロ

「!」

 

ズドォォォォォンッ!!

 

鈴は片方のDアンジェロにガーベラのレーザーを撃った。結果、敵は避けきる事ができずに大破した。

 

鈴

「よし!これで残り一機!一対一なら負けはしないわよ!このまま………え!?」

 

その時、鈴のガーベラに異変があった。やんわりと光を放ち始めたのだ。それは先ほどラウラとセシリアに起こったものと同じ。

 

鈴

「ガーベラが…!何が起こってるの!?」

 

 

「DEVILBREAKER SKILLCOMPLETE(使用条件に到達しました) NIGHTMAREMODE READY(ナイトメアモード 起動します)」

 

 

鈴・ラウラ・セシリア

「「「!」」」

 

キイィィィィィィィィィンッ!!

 

そうアナウンスが流れ、インターフェイスに文字が浮かんだ途端、ガーベラ、パンチライン、ローハイドがより強く光を放ち始め、同時にSEがチャージされていく。

 

鈴

「な、何!?」

セシリア

「動かしていませんのに勝手にチャージされている!?」

ラウラ

「一体…何が…?」

 

三人は驚きの色を隠せない。……やがて、

 

 

シュバァァァァァァッ!!

 

 

鈴・ラウラ・セシリア

「「「!!」」」

 

光が消えると鈴達それぞれに大きな変化があった。

鈴の手にはガーベラのレーザーと同じ色をしている光輝く巨大な大斧が。

ラウラの腕には異質な形をした銃の様な物が。

そしてセシリアの周りには特徴ある形をしたビットの様な物が複数浮かんでいた。

 

簪

「な、何が起こったの…?」

鈴

「これは…?」

 

 

?

(((あ~、あ~。ただいまマイクのテスト中~)))

 

 

突然鈴・ラウラ・セシリアの三人に同時にとある声が聞こえてきた。

 

?

「誰か聞こえてる~?…ってテープ再生されたんだから聞いてるの当然か、テヘペロ♪」

鈴

「!この声……、束さん!」

ラウラ

「篠ノ之博士!?」

セシリア

「ど、どうして、一体どこから!?」

 

それは束の声だった。それを聞いた三人は其々の場所で反応する。

 

束

(これを聞いてるって事は誰かが無事デビルブレイカーのN(ナイトメア)モードを起動したって事だね~!上出来上出来~♪鈴ちゃんかな~?ラウちゃんかな~?それともセッちゃん~?もしかしたらもしかすると三人一緒とか~?そんなんだったらマジ凄いね~♪いっくんや箒ちゃんやかっちゃんはまだだと思うんだよね~。渡すのちょっと後だったからね~)

鈴

「…え?あ、これを聞いてるという事は録音テープか。…N(ナイトメア)モードって…、このビームの斧みたいな物の事かな?」

束

(といってもN(ナイトメア)モードって何~?って聞きたそうだね~!いやきっとそうに違いない!というわけで説明するね~。N(ナイトメア)モードってのはデビルブレイカーに付けた隠し機能だよ♪)

セシリア

「! デビルブレイカーの隠し機能!?」

束

(デビルブレイカーを使いこなす、熟練度っていうのかな~?それが十分になった時に新たな形態として起動するようにしたんだよ♪SEを通常より結構使っちゃうんだけどその力は自信もって保証するよ♪本当ならそんなもの付けられて無いんだけど設計図通りに造るだけじゃ面白くないと思ったからさ~。だってデビルブレイカーって二十歳そこそこの女の子が造ったって事なんだもん~。科学者の先輩としては悔しいじゃん!驚かせたいじゃん!裏技位仕込みたいじゃん!)

ラウラ

「は、はぁ…」

 

ドンッ!

 

その時、鈴にDアンジェロが襲いかかる。

 

鈴

「!って今はゆっくり聞いてる場合じゃ無かったー!」

 

回避に間に合わないと思った鈴は止む無く光の斧で受け止める。すると、

 

ガキィィィィン!……グググググッ

 

Dアンジェロ

「!」

鈴

「!…凄い。このパワーなら!はあぁぁぁぁぁぁ!」

Dアンジェロ

「…!」

 

鈴は手に持つそれに更に力を籠める。するとその力に驚いたのか敵は鈴から距離を離した。

 

鈴

「逃がさない!」ドンッ!

 

鈴はそのままガーベラの加速を加え、勢いそのままで斬りかかる。

 

鈴

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

Dアンジェロ

「!!」

 

ズガガガガッ!……ドガァァァァン!

 

鈴が全力で振るったその光の斧は剣ごと敵を一刀両断してしまった。

 

鈴

「凄い……!」

 

束

(鈴ちゃんのガーベラのN(ナイトメア)モードは見ての通りガーベラが放つレーザーのエネルギーを凝縮して作り出すビームアックスだよ。「アービター」っていう斧の魔具があって、それを参考にして考えたんだ♪レーザーの時と違って射程は随分狭くなっちゃうけどその分威力は大きく上昇しているよ♪その切れ味は自分の目で試してね~!)

鈴

「斧なら私の戦い方にうってつけね!ありがとうございます束さん!」

 

ウィィィィィィ……

 

ラウラは腕に装着されたその銃にエネルギーをチャージする。…すると銃口に巨大なエネルギー球が形成された。

 

ラウラ

「…いっけぇぇぇぇぇ!!」

 

ズドォォォォォンッ!!

 

ラウラは一杯までチャージされたらしいエネルギーを前方にいるSアンジェロに向けて撃った。Sアンジェロはそれに気づき、盾を向けるが

 

Sアンジェロ

「!」

 

…ドガァァァァァァァンッ!!

 

撃ち出されたエネルギーは敵の盾を粉々に破壊してしまったのだった。

 

ラウラ

「……なんて威力だ。レール砲はおろか、パンチラインのブレイクエイジでも傷をつけるのがやっとだったあの盾を粉々に…!」

束

(ラウちゃんのパンチラインに仕込んだのは「アルテミス」っていう腕に装着して使うハンドキャノンだよ♪威力がパンチラインよりもずっと高い弾を撃つスフィアと、広範囲に多くの敵をロックオンするアシッドレインの二通りの撃ち方ができるよ。チャージしないといけないのとさっき言った様にSEの消費が大きいからうまく使ってね。特にスフィアはね)

ラウラ

「…承知しました博士。必ず使いこなして見せます!」

 

ビュビュビュビュンッ!

 

ローハイドがバラバラになった様な複数のビットらしい物が縦横無塵に飛び回る。そしてそれらが一体のSアンジェロに向かう。

 

Sアンジェロ

「!!」

 

やはり敵はそれを分裂したシールドビットで受け止める。しかし、

 

ドスッ!ドスッ!ドスッ!

 

Sアンジェロ

「!」

 

飛んできたそれはそのまま盾に突き刺さった。

 

セシリア

「まだですわ!」

 

ギュイィィィィンッ!ズガガガガガガガッ!

 

それらは更にそのままドリルの様に高速回転しだした。盾を削りながら内部に侵入し。

 

Sアンジェロ

「!!」

 

ドガアァァァァァンッ!

 

ダメージに耐え切れなくなったのか粉々に破壊されたのだった。

 

束

(セッちゃんのローハイドに仕込んだのは「ケブーリー」っていうちょっと変わった魔具を参考にして造った突撃型ビット兵器だよ♪ダーツの様に敵に向かって飛ぶんだけどただ当たるだけじゃなくて、ドリルみたいに回転しながら敵の装甲に食い込み、内側から破壊するんだ♪)

セシリア

「ビットでしたら私にピッタリですわね。感謝いたします、博士!」

簪

「これが…デビルブレイカーの新たな力…」

束

(((まぁ皆なら使いこなすまで大した時間はかからないと思うよ♪頑張ってね!)))

 

デビルブレイカーに新たな力を隠していた束のドッキリに驚きながらも感謝する三人であった。

 

 

…………

 

時は少し前まで遡り、こちらはシャルロットとグリフォン達の戦い。2機のグリフォンから銀の鐘で狙われていたシャルは追い詰められていた。

 

グリフォン

「「グオォォォォォォ…」」

シャル

(ぼ、僕じゃ勝てないの?何もできないでこのままやられちゃうの…?皆の、火影の、何の力にもなれないで……)

 

そうしている内にも敵の攻撃は迫る。

 

シャル

(嫌だ……死にたくない!……誰か、誰か助けて!)

 

 

自分の置かれた状況に諦めと絶望が浮かぶシャル。

…………そんな彼女の心にひとつの言葉が浮かんだ。

 

 

(お前はパンドラ。希望で…)

 

 

シャル

「…!!」

 

グリフォン

「グアァァァァァァッ!」

「グオォォォォォォッ!」

 

ズドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

 

グリフォンの翼から無数の光弾が放たれた。それらは全てシャルとその周辺に向かい、そして、

 

 

ドガァァァァァァァァァァァンッ!!

 

 

シャルのパンドラに命中。爆煙が起こった。

 

グリフォン

「「グオォォォォォォォォォォ!!」」

 

凄まじい爆煙に包まれたシャルを見てグリフォン達は勝利の雄たけびを上げる。

……………とその時、

 

 

ギュイィィィィィンッ!!!

 

 

突然煙の中から何かが高速で回転しながら飛び出してきた。それは近くにいた方のグリフォンに向かい、

 

ズガガガガガガ!!

 

グリフォン

「グアオォォォォォォ!」

 

そのボディを切り裂く様にダメージを与えた。突然の攻撃にひるむグリフォン。やがて煙が晴れ、中が見える。そこにいたのは、

 

グリフォン

「「!!」」

シャル

「………」

 

アンバーカーテンを全開にして攻撃を防いだシャルだった。カーテンを張りながらシャルはグリフォンに宣言した。

 

 

シャル

「僕は……パンドラ!お前達の……災いだ!」

 

 

…………

 

数日前、整備室にて。

用事があったらしくシャルと火影が何やら作業を終えて休憩していた。

 

シャル

「……ねぇ火影、本当にありがとうね。僕、皆がちょっと羨ましかったんだ。僕以外皆第3世代や第4世代のISだったから」

火影

「そういやそうだったな。まぁ見た目は前のと変わらねぇけど内容は全く違うからある意味新世代の仲間入りだな。武装だけで言ったら4世代に並ぶかもな」

シャル

「そうだね。……火影、今更だけどなんで僕にパンドラを預けてくれたの?」

火影

「そうだな…。シャルの能力を買ってという事が第一だが……シャル、お前はパンドラの意味を知ってるか?」

シャル

「パンドラの意味って…パンドラの箱の事だよね?……う~んごめん、それ以上詳しく知らないや」

火影

「パンドラってのは世界で初めて生まれた女性の名前だ。彼女は神によって地上に産み落とされた際ある箱を授かった。神はパンドラに言った。「この箱は絶対開けてはならない」とな」

シャル

「それがパンドラの箱なんだね」

火影

「だがある時、好奇心に負けた彼女は誓いを破って箱を開けてしまう。すると箱からは様々な災いが飛び出してきた。疫病や災害、争い、あと人間の闇とかな。彼女は慌てて蓋を閉めるが一旦出てしまった災いは戻ることはなかった。これが今のそれらの始まりってされてる」

シャル

「でも最後は希望が残ったんだよね?」

火影

「ああ。箱の一番底に残っていたのがひとかけらの希望だったんだ。後に残された人々はその希望を忘れずにいたおかげで生き残り、後に繁栄していったって話だ。箱の災いのせいで多くの命が死んだが…それから得た事もあったろう。病気があるからこそ人は強い身体になれるし、災害があるからこそ自然を大事にする。それに人間てのは闇の部分も無きゃいけねぇだろ?善い部分ばかりじゃ心は生まれねぇ。心ってのは善と悪のバランスなんだからよ。争いは度が過ぎちゃいけねぇがな」

シャル

「そういうものなのかもしれないね。……あれ?でもそれと僕にパンドラをくれたのとなんの関係があるの?」

 

シャルは再度率直に聞いてみた。

 

火影

「ああそうだったな。回りくどくなって悪い。…シャル、お前が希望と重なったからだよ」

シャル

「…え?…僕が希望?」

 

思わぬ事を言われてとまどうシャル。

 

火影

「ああ。シャル、お前は希望なんだ。お前のお袋さん達や、親父さんにとってのな」

シャル

「……!!」

火影

「亡くなりはしてしまったがお前がいたからお袋さんは最後まで精一杯生きたんだし、親父さんや今のお袋さんにとってはお前がいる限りこれからも頑張れるだろ?だから云わばお前はあの人達にとっての希望なんだよ」

シャル

「僕が…お母さん達の………」

 

自分が母親や父親の希望と言われてシャルは何やら深く考えている様である。そんな彼女に火影は続ける。

 

火影

「…そして同時にシャル。お前は災いとなれ」

シャル

「…え?わ、災い!?」

 

今度は災いと言われた事に先ほど以上に激しく動揺するシャル。

 

火影

「ああそうだ。奴らってのはこの場合アンジェロやファントムみたいな奴だ。あいつらにとって災いって事だ」

シャル

「……あ、そういう意味の災い!?吃驚した~!もう火影!驚いちゃったじゃない!!」

 

シャルロットは火影の頭をポカポカ殴る。

 

火影

「いてて、悪い悪い。ちょい言い方がややこしかったな。…でもまぁそういう訳だ。お前はおふくろさんや親父さんにとっての希望で、アンジェロ達にとっての災い。云わばお前自身がパンドラなのさ」

シャル

「……僕自身が……パンドラ」

火影

「ま、そういう事だ。頑張れよ」

 

 

…………

 

その言葉に勇気付けられたシャルロットは再びやる気を取り戻したのだった。

 

シャル

「僕は…僕は負けられない!おかあさんやお父さんお母さんのため、皆のため、そして火影のために!」

グリフォン

「「グオォォォォォォ!」」

 

ズドドドドドドドドドッ!

 

2機のグリフォンから再び一斉に銀の鐘によるエネルギーがシャルに向かう。

 

シャル

「カーテン全開!」キィィィィィィンッ!

 

シャルは先程と同じくアンバーカーテンを最大出力で展開。

 

ドドドドドドドドドンッ

 

グリフォン

「「!?」」

 

強力なシールドが銀の鐘の攻撃から彼女を守る。

 

シャル

「もう撃たれっぱなしにはならないよ!ジェラシー!」ジャキッ!ズドドドドドドッ!

グリフォン

「「グオォォォォッ」」

 

続いてガトリング砲「ジェラシー」を展開し、相手を牽制する。

 

シャル

「やっぱりハイ・ラピッドスイッチのおかげで武器交換が早いのと以前より一度に複数展開できる!」

 

シャルのパンドラのもうひとつの特徴であるハイ・ラピッドスイッチは彼女が以前使っていたラピッドスイッチの強化版であり、彼女の音声によって武器交換が以前よりも早く行える上、更に複数の武装を同時展開が可能なのだ。

※詳細はMission111をご覧ください。

 

シャル

「…でも2機一緒に相手にするのはやっぱりキツイ。なんとか分散させないと……よし、一か八かだ!」

 

シャルは何か考えたようだ。そして、

 

シャル

「開けグリーフ!」ジャキーンッ!

 

右手に遠隔遠投兵器「グリーフ」を出現させ、

 

シャル

「…ロックオン!行けぇぇ!」

 

ギュイィィィィィン!!

 

グリフォン

「グオォォォォォッ!」

 

それを片方のグリフォンにロックオンして投げた。グリフォンはグリーフから逃げるために飛び回る。

 

シャル

「うまくいった!よし、この間に片方を倒す!」ドンッ!

 

シャルは高速でもう一体のグリフォンに正面から接近する。

 

グリフォン

「グアァァァッ!」

シャル

「逃げてばかりじゃ駄目だ!」

 

するとグリフォンは正面から向かってくる彼女を撃ち落とそうとして口を開け、レーザーを発射しようとする。…しかしそれはシャルの狙いだった。

 

シャル

「それが狙いだよ!…エピデミック!」ジャキッ!ズドズドンッ!

 

強力な爆発効果をもつ高速ミサイル「エピデミック」が射出される。そしてそれは、

 

ドォォォォォォォォンッ!

 

グリフォン

「ガァァァァァァァッ!」

 

レーザーを撃とうとしていた口に着弾して爆発した。ダメージを受けて怯むグリフォン。

 

シャル

「今だ!…ブリンク・イグニッションッ!」ドンッ!

グリフォン

「…!?」

 

そう言ってシャルはブリンク・イグニッションで変化的高速移動を行った。一瞬姿を見失うグリフォン。すると、

 

シャル

「これなら安定するね…」

グリフォン

「!!」

 

気が付くとシャルはグリフォンの背中に乗っかっており、大型レーザー砲「リヴェンジ」を展開していた。

 

シャル

「リヴェンジは重いから脚が着かないと安定しない…、ならこいつの背中を利用すれば使える!」

 

グリフォンの背を足場にして確実に狙い撃つようにしたのだった。そして、

 

シャル

「リヴェンジ砲…発射!!」

 

ズドォォォォォォォォッ!!

 

鈴のガーベラや簪の春風以上の高出力なレーザーが発射された。零距離の効果も重なってその威力は凄まじいものになり、そのままグリフォンの身体を貫く。

 

グリフォン

「!!」

 

ドガァァァァァァァァァンッ!!

 

動力炉もろともグリフォンは爆発雲散した。シャルは直前に離れていて無事だった。

 

シャル

「はぁ、はぁ、はぁ…。や、やった!」

グリフォン

「グオォォォォォォォッ!」

 

その時グリーフに追われていたグリフォンがそれを払ってシャルに向かってきた。

 

シャル

「くっ!のんびりはできないか!だけどこれで残り一体!」

グリフォン

「グアァァァァァァァァァッ!」ズギューンッ!

 

レーザーを撃ってくるグリフォン。冷静にそれを避けながらシャルは次の戦術を検討する。

 

シャル

「SE残量は約5割手前か…。長期戦は不利…、なら悩んでる暇はない!」

 

そして決断した。

 

シャル

「アーギュメントシステム、起動!」

 

キュイィィィィィィン……ガシャガシャガシャンッ!!

 

シャルがそう宣言するとハイ・ラピッドスイッチが反応し、すぐさま彼女のISを追加装甲及び多くの武器が覆う。

 

シャル

「装着完了!行くよ…パンドラ!」ドンッ!

 

アーギュメントを纏ったシャルはグリフォンに真っ向から向かっていくのであった。




おまけ

パンドラについての会話にはまだ続きがあった。

シャル
「ねぇ火影。パンドラって人なんだけど…、箱を開けた後どうなったの?」
火影
「ああ。あんま詳しくは知らねぇけど幸せになったみてぇだぜ?結婚もして子もできて」
シャル
「そうなんだ。……ねぇ火影。火影って…結婚とか興味ある?」
火影
「……ん~…はっきり言って前は全っ然無かったが……そうだな、母さん父さんを思い出して考えると…良いものかもな」

それを聞いたシャルロットは恥ずかしながらも勇気を持って思いきって聞いてみる。直視できずに俯いてであるが。

シャル
「………あの、火影。聞きたいんだけどさ?火影から見て僕は……………相手としてどんな感じ…かな?」
火影
「……」

すると火影は彼女が何を聞きたいか理解したのか立ち上がって彼女の肩に手をポンと置き、言った。

火影
「そういう大事な事はもう少し大人になってから聞くべきだぜ素敵なレディ?…じゃあな」

やや微笑みながらそう言って火影は出ていった。ひとり残ったシャルの心中はというと、

シャル
(………も~、なんでこんな時まで余裕なのさ~。恋愛とか苦手なんじゃなかったの~?こっちは結構思いきって聞いたのに~。乙女心わかってないんだから…)

火影の答えにやや不満だったが、

シャル
(……素敵か。……えへへ~♪)

大丈夫そうだった。


※次回は来週16日(土)の予定です。
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