IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
そんな中千冬はMの事を「マドカ」と呼ぶ。それに激しく反応したMは怒りからDNSを起動、黒騎士を紫電を操る黒騎士へと変貌させる。戦いの中で千冬とMは互いに零落白夜と零落闇夜を繰り出し、その押し合いは引き分け……と思えたその時、衝撃に耐えきれなかった千冬の雪片が折れてしまった。その光景にショックを受ける一夏に対し、Mは言った。
「こいつこそ白騎士事件の当事者!「白騎士」の操縦者だ!」
M(DIS)
「ここにいる織斑千冬こそ、篠ノ之束と並ぶ10年前の白騎士事件における当事者のひとり!全ての始まりとなったIS、「白騎士」の操縦者だ!!」
Mは千冬を指差しながら一夏に話した。
一夏
「!! ち、千冬姉が…白騎士事件の、…あの時の白騎士、だって…?…う、嘘だ!そんな馬鹿な!!」
千冬
「……」
一夏
「嘘だろ千冬姉!!あいつのでまかせなんだろ!?」
千冬
「……」
当然一夏は激しく動揺して千冬に問いかけるが肝心の千冬は沈黙したまま。
M(DIS)
「不思議に思わなかったのか織斑一夏?何故白騎士とは言えたった一機で無数の兵器群をなんとかできたのか?それは白騎士が織斑千冬のオーダーメードの様に設計されていたからだ。そうでなければ赤の他人にその様な事ができる筈ないだろう?世界中から無視されあざけ笑われた奴の発明など誰が使おうと思う。奴等だからこそできた事なのだ」
一夏
「……そんな…」
衝撃の事実に一夏は言い返すことができない。以前千冬から束のISが世界中から散々な評価を受けた事は聞いていた。それによって束が怒りのあまり白騎士事件を起こした事も。しかし白騎士の事は伝説として知れ渡っていたがその操縦者については全くといってもいい位知られていなかった。それがまさか千冬だったとは…。
千冬
「……」
M(DIS)
「ふふふふ……流石にショックが大きいようだな。まぁ無理もないか、ご自慢の雪片が折られただけでなく、最愛の弟に知られてしまったのだからな。自分が歴史に残る罪人だという事をな」
一夏
「…罪人だと!?ふざけんな!千冬姉はそんなんじゃねぇ!」
M(DIS)
「では貴様はあの白騎士事件が正しい事だというのか?篠ノ之束の身勝手極まりない動機で引き起こされたあの事件を?世界中の軍事施設を掌握し、兵器という兵器を乗っ取り、日本の者達を恐怖のどん底に陥れたあの事件を!?その首謀者のひとりが大罪人でなくてなんだというのだ!」
一夏
「そ、それは……。で、でも!あの事件は白騎士のおかげで被害な何も」
M(DIS)
「そんなものは結果論に過ぎん。もし一発でもミサイルを撃ち落とし損ねたらどうなっていたと思う?その一発でもし誰かの家が破壊されたら?もし誰かが傷ついたら?そして万一その誰が死亡したら?どう責任とるつもりだったのだ、嘗ての白騎士?」
千冬
「……」
一夏
「で、でも後で聞いたけどあれはやみくもじゃなく全部束さんがコントロールしてたんだ!そんな失敗!」
M(DIS)
「それも同じく結果論に過ぎんさ。篠ノ之束とて普通の人間。そして兵器を造り、整備していたのも人間。もし篠ノ之束の思いもよらない様な事が起こったらどうなっていたと思う?ミサイルの軌道が途中で変わったら?衛星に何か事故があってコントロールできなくなったら?そして誤って万一核ミサイル等でも発射されたら?……全てはたまたま運がよかっただけ」
一夏
「……」
M(DIS)
「織斑千冬、貴様と篠ノ之束が起こした白騎士事件のせいで多くの人間が傷つき恐怖した。更にそれまでの世界のバランスを大きく崩した。その一方で篠ノ之束は世界の最重要人物として扱われ、貴様は後に最強のブリュンヒルデという生きる伝説となった。さぞいい気持ちだったろうな?」
千冬
「……」
一夏
「てめぇ…!それ以上千冬姉を侮辱したら本当に許さねぇぞ!」
M(DIS)
「…ではどうするのだ?お前が戦うか?つい先ほど無残に敗北したばかりのお前が?」
一夏
「…くっ…」
それが一夏自身不可能である事は感じていた。
M(DIS)
「ふふっ、だが安心しろ。白騎士の正体を知ったところで私はどうこうしよう等と思ってはいないさ。ましてや警察等に告発しよう等とも」
一夏
「…どういう事だ?」
するとMは言った。
M(DIS)
「……織斑一夏、貴様は先ほど聞いたな?何故私が貴様達を狙うのかと。ではひとつだけ教えてやろう。私が貴様達を狙う理由のひとつ、それは……この手で織斑千冬を倒し、世界最強のIS操縦者になる事」
千冬
「…!」
一夏
「な、何だって…?世界最強のIS操縦者!?」
M(DIS)
「そうだ。織斑千冬を超える戦士。私はそうなるために生まれてきた。……だがそれは……四年前のあの日…」
Mは何か言いたそうだが黙ってしまう。
一夏
「…なんだよ、何が言いたいんだ!」
M(DIS)
「……御託は終わりだ。織斑千冬、貴様は私が倒す!そして世界最強のIS操縦者となる!そしてその後は貴様だ織斑一夏!私という存在を証明するためにな!」
千冬
「……」
一夏
(こいつの言っている事…まるで前のラウラみたいだ…。じゃあこいつもドイツの?…いやそれは無いか…。ラウラもこいつの事は知らなかったみたいだし。じゃあ一体Mの正体って…。それにそもそも俺達とMがどう関わってるんだ?俺は本当にMに会った事はない。でも千冬姉はMの事を知っている。…どういう事なんだ千冬姉…)
千冬
「……」
M(DIS)
「さぁ、伝説のブリュンヒルデ。いや救世主よ。勝負の再開といこうか」
千冬
「……」
M(DIS)
「どうした?雪片が折れた事がそんなに堪えたか、それとも弟に正体がバレた事か。貴様の心はそんなに貧弱なのか?」
黙ったままの千冬にMは辛辣な言葉を浴びせ続ける……。
千冬
「…………ふ」
M(DIS)
「……?」
千冬
「ふふふ……」
一夏
「え?」
千冬
「ふははははははは!あはははははははは!」
すると突然千冬が笑い始めた。それは本当に面白そうに。
一夏
「! ち、千冬姉?」
一夏は困惑していた。千冬がこれ程までに大笑いするのは本当に珍しい。
千冬
「私を倒して世界一のIS操者を証明するだと?あはははははははは!」
M(DIS)
「何を笑っている。気でも狂ったか?」
千冬
「ククク…いやいや、すまん。…だがそれは違うな。寧ろ気が狂っているのはお前の方かと言ってやりたい位だ。私を倒した位で最強になれると本気で思っているのか?」
M(DIS)
「…何だと!?」
その言葉にMはやや動揺しているが千冬はまるで気に留めてない。
千冬
「まぁそれは今はさておき……。おい小娘、随分なめてくれるものだな。私が白騎士であった事を一夏に知られてショックか、だと?……構わんよ。どうせ何時かわかる事。寧ろ遅すぎた位だ。ただ私が直接話すつもりだったがな」
一夏
「千冬姉…。じゃあ、Mの奴が言ったことは…」
千冬は一夏に答える。
千冬
「…一夏、今まで黙っていてすまなかった。…全てはあいつの言う通りだ。確かに私は10年前、束と共に白騎士事件を起こした。白騎士の操縦者として。…あいつを放っておけなかったのだ。お前も話だけは知っているだろう?ISを馬鹿にされた当時のあいつの状態を。…本当に酷いものだったよ。数多くの罵詈雑言を浴びせられ、怒りに支配されたあいつの姿はな。だがそんな事は言い訳になりはしない。私はあいつを止められなかった。ただただ従った。結果多くの人々にぬぐい切れないほどの恐怖を与えた。だがその時の私にはどうやって償えば良いのかわからなかった。素直に自首しようとも考えた。しかしまだ小さいお前を置いてそれが出来なかった。私自身もまだ10代半ばの学生だったし、両親もいなかったからな…」
一夏
「…千冬姉…」
M(DIS)
「……」
千冬
「それから本当に間もなくしてISの貴重性、重要性が世界に爆発的に広がった。兵器開発者の間で束はある種神的存在となった。あいつをあざけ笑った者達も掌を返してあいつにIS開発の助力を求めた。世界は一気にIS一辺倒となり、更に動かせる者は女しかいないという事から女尊男卑というアンバランスを生み出した。しかも白騎士を救世主扱いする者も出始めた。…全くふざけた話だ。多くの人々を恐怖に陥れた罪人が神とか救世主とか呼ばれるとはな」
M(DIS)
「そうだ。貴様は救世主等ではない。篠ノ之束と並ぶ歴史に名を刻む大罪人だ」
一夏
「…そんな、千冬姉も束さんもそんなんじゃ」
千冬
「…ありがとう一夏。でもいいんだ。間違ってはいない。……しかしな一夏。お前も知ってる通りあいつは、束は変わった。あいつを信じてくれた人達が変えてくれた。そして自分ができる事で少しでも償いたいと思ったんだ。例えどんなに些細な事でもやらないよりはやった方が良いと。それからのあいつはどこか楽しそうだった。そして私はそんなあいつが…羨ましかった」
一夏
「ち、千冬姉が束さんを羨ましいって…。酸性雨でも降らなきゃいいけど…」
千冬
「そんなあいつを見続けている内に思ったのだ…。世界をこんな風にしてしまった者として、私も何かしなければならないと。そして私は決めた。私の…大切な者達を守るために戦おうと。お前や篠ノ之、あいつらや生徒達。真耶や叔母さん…。そして…私にそう気づかせてくれたあいつらを…守るため。10年前とは違う守護の剣になろうとな」
隠れてはいたが千冬の目は迷い無き目をしていた。
一夏
「…千冬姉…」
千冬
「それからな、よく聞け小娘。私の雪片が折れた事だが……構わん」
M(DIS)
「…何だと?」
千冬
「構わんと言ったんだ…。お前の言う通りさ。形あるものは何時か滅ぶ。今度は私の雪片の番だった。それだけだ。どんな名刀も使い続ければやがて折れるもの。そして剣は戦で死ぬのが本望。ずっと眠っていたこいつも華やかに散って喜んでいるだろうさ。寧ろこいつに謝りたい位だ。私の未熟さがお前を散らせてしまったとな…」
一夏
(…そうか。…千冬姉が折れた雪片を見てて何も言わなかったのは…きっと雪片に…)
千冬
「…一夏、これで雪片を持つ者は世界でお前ひとりとなった。…大事にしてやれよ」
一夏
「! あ、ああ!もちろんだ!」
千冬
「…マドカ。お前の言った通り私の行った事は消え去る事は無い。きっと私が生きている間も。…だが私は止まらない。例えどんなに些細でも、私は自分ができる事をする。それが戦う事ならば私は戦う。私の大切なものを守るために」
千冬はそういうと再びMに向き直り、
千冬
「そしてマドカ。お前は私が止める。そして救ってやる!それが…私がお前に対してできる事だ!」
M(DIS)
「!! 私を…救うだと…!?……ふざけた事を抜かすな!!」ジャキッ!
Mは再び剣を千冬に向けて構える。
M(DIS)
「貴様がどう考えようと私にはどうでもいい!そして私が救われるとすれば…それは貴様らを倒した時だ!」ドンッ!!
Mは千冬に向かって加速する。一方の雪片を失った千冬は無防備だ。
一夏
「千冬姉!!」
M(DIS)
「いかに貴様が強くとも武器が無ければ相手にならんわ!くたばれぇぇ!!」
Mは何も持たない千冬に襲い掛かる。
千冬
(……さらばだ
ガキィィィィィィンッ!
Mの剣が何かに妨げられた。
M(DIS)
「何!?……!」
一夏
「…あれは!」
千冬
「お前の意志は…この剣が受け継ぐ!」
千冬の手には海之から託されたあの剣があった。
一夏
「あの剣は海之の!」
M(DIS)
「雪片ではない?…なんだその剣は!」
千冬
「力を貸してもらうぞ、…レッド・クイーン!」ドゥルルルルンッ!
千冬はレッド・クイーンのグリップを捻った。
千冬
「はあぁぁぁぁぁぁ!!」
M(DIS)
「!!」
ガキィィィィィィンッ!!
千冬はMの剣を押し返す。更にそのままMに飛びかかる。
ドゥルルルンッ!…ゴオォォォォォォォォ!!
千冬が再度グリップを捻るとレッド・クイーンの機関部らしき部分からジェット噴射のごとく凄まじい火炎が噴出した。そしてそのまま上段から剣を下向きに構えて振り下ろす。
千冬
「おおおおおおお!!」
M(DIS)
「ちっ!」
ガキィィィィィィンッ!!
Mは千冬の振り下ろしたそれを左腕の盾で受け止めるがその剣圧に足が地面にめり込む。
…ズンッ!
M(DIS)
「ぐぅっ!?腕が震える!なんて衝撃だ!」
千冬
「こいつは結構な暴れ馬でな。最初は両手でやっとだったが最近漸く片手で使いこなせる様になった」
M(DIS)
「貴様が使いこなせない程のものだと!?」
補足情報であるが海之が託され、今は千冬が継いだこのレッド・クイーンは嘗ての持ち主の意向で出力を極限まで高める「イクシード」という機構が搭載されている。生半可な者が持てば逆に剣に振り回されてしまうだろう。実際千冬もレッド・クイーンの鍛錬を始めたばかりの頃は両手でもやっとだった。
千冬
「…お前は先ほど言ったな?私を倒して最強を証明すると。ではこちらもひとついいことを教えてやる。この剣の前の持ち主は海之というお前が完敗した火影の兄だ。そして…海之は私を地に伏せさせた。お互い打鉄での真剣勝負でな」
M(DIS)
「何だと!?」
一夏
「! 海之が…千冬姉に…勝った…!しかも同じ打鉄で!………で、でも、確かにあいつの腕なら…。そして多分、海之と互角の火影も…」
千冬の言葉にMも一夏も共に衝撃を受けるがふたりの強さを知っている一夏は少なからず納得できている様だ。
千冬
「だから言ったろう?私を倒しても最強にはなれんと。そして私相手に手こずっている様ではお前はあいつらには勝てん!はぁぁぁぁ!」
M(DIS)
「ぐぅっ!!」
ドガァァァンッ!
レッド・クイーンのパワーに押されたMは堪らず距離をとる。振り下ろされた剣は地面に激突して深い傷と小規模の爆発を作った。
千冬
「逃がさん!」ドンッ!
M(DIS)
「何!?」
千冬は刀身が炎で真っ赤になったレッド・クイーンを構えたまま突進。
千冬
「でぇぇやぁぁぁ!!」
ズガァァンッ!ズガァァンッ!ドガァァァンッ!
M(DIS)
「ぐああああああ!!」
Mに向かって炎の斬撃の連打を浴びせた。
M(DIS)
「ぐぐ…、おのれ…!」
一夏
「…すげぇ…。千冬姉も勿論だけどあの剣のパワーも並みじゃねぇ」
千冬
「先ほど迄の勢いはどうした!」
M(DIS)
「…ぐぅっ!ならばこれを受けてみるがいい!」ギュゥゥゥゥゥンッ!
Mは再び自らの剣にオーラを纏わせ、零落闇夜を起動させる気の様だ。すると、
キュイィィィィィンッ!
千冬もまた、レッド・クイーンを構えると同時に自らの零落白夜を起動させるのだった。
M(DIS)
「…貴様!まさかその剣でも!?」
千冬
「言った筈だ。こいつを使いこなせるのに時間がかかったと。そしてこうも言った筈だ。雪片の意志はこいつが受け継ぐとな」
M(DIS)
「…いいだろう!ならばその剣も貴様の雪片と同じく叩き折ってくれるわ!」ドンッ!
Mは零落闇夜を発動すると同時に加速した。すると、
千冬
「させん!」ドンッ!
M(DIS)
「!!」
その時、千冬もMの目前まで加速し、零落白夜で一気に斬りかかった。
ガキィィィィィンッ!ガガガガガガガガッ!
千冬の零落白夜とMの零落暗夜がぶつかり合うが即座に対応せざるを得なかったMがやや押され気味になる。
M(DIS)
「ぐっ!しまった!」
千冬
「やはりな。先ほども今も、お前の瞬間移動は発動する前にほんの少しの溜めがいるのだ。その証拠が姿が消える前のあの加速だ。それを見抜けば対応は可能だ!」
ドォォォォォォンッ!
M(DIS)
「うあああああ!」
Mは千冬のパワーに押され、吹っ飛ばされた。
千冬
「安心しろ。手加減してやっている」
M(DIS)
「ぐ、くくく…。まさか、私の瞬間移動が見破られるとは…!」
千冬
「更に加えて言えば瞬間移動は火影のもので何度も見ているんでな。最もあいつのそれは溜め等いらん故、未だにタイミングが掴めん。…それより立て。お前の力はそんなものではないだろう?マドカ」
M(DIS)
「またその名を呼んだな!」
千冬
「お前だけの名前だからな。名前はその者の存在を示すものだ。大事にしろ」
M(DIS)
「どの顔して私に命令している!…貴様があの様な事さえしなければ…私は、私達は!」
表情は伺えないが声の感じからしてMの声にはどこか悲痛なものが含まれていた事を千冬は感じ取った。
千冬
「海之の言葉を借りる様で悪いが私もお前に伝えよう。お前の怒りを、憎しみを私にぶつけて来い!全て受け止めてやろう!」
M(DIS)
「!……いいだろう!受け止めきれるものならばな!」
千冬にMは再度向かっていく。それに対して千冬も再び剣を構える。
一夏
「千冬姉…!」
(……ちっくしょう。俺は、俺は見てるだけしかできないのかよ。何もできないのかよ…!)
ガキィィィィンッ!ギィィィンッ!
M(DIS)
「くそっ!盾でも奴の剣圧を受け止めきれない!」
千冬
「先ほどまでと違い防戦一方になっているぞ!」
M(DIS)
「くっ!」
一夏
(俺は…俺は何時も千冬姉に迷惑かけてばかりだ…。千冬姉は10年前からずっとひとりで苦しんできたんだ…。俺にも誰にも話さず、いや話せなかったんだ。俺を巻き込まない様に。…凄い重圧を受け続けてたにも関わらず、ずっと俺を守ってくれた。4年前のあの時も、そして今も守ってくれてる…)
ガキィィンッ!ガンッ!キィィンッ!!
千冬
「どうした!あんな死ぬような思いをしてまで強くなったのだろう!なのにその程度か!」
M(DIS)
「煩い!」
目の前で繰り広げられる千冬とMの戦い。それを見ていた一夏の心にある想いが生まれた。
一夏
(俺にも…俺にも戦える力があれば…。千冬姉の様に、火影や海之の様に…誰かを守れる様な、そんな強い力があれば…)
千冬
「でやぁぁぁぁぁぁぁ!」
M(DIS)
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
その時一夏は強く願った…。
一夏
(……強くなりたい…。俺ももっと強い力が欲しい!守れる力が…、戦える力が欲しい!!)
そう心から強く願った…。
(……貴方は力を望みますか?)
一夏
「……えっ?」
その時、突然一夏に聞こえた謎の声。一夏は周りを見たが誰もいない。千冬やMが言ったわけでは無い。箒達はアンジェロ達の迎撃に行っているのでいない。だが声ははっきりと聞こえた。まるですぐ傍にいる様に。
?
(力を望みますか?)
一夏
「な、なんだ!誰だ!一体どこから!?」
?
(私が何者かはどうでも良い事です。…貴方の望みを叶えましょう)
一夏
「…え?俺の…望み?」
?
(そうです。貴方は力を望みますか?)
一夏
「……力、だって?」
一夏は反応する。
?
(そうです。貴方の大切なものを守るために、そして戦うために、力を望みますか?)
一夏
「…それを望めば俺も戦えるのか?」
一夏の問いかけに声は応える。
?
(はい。私の声に答えていただければ…貴方は力を手に入れられます。どんな者にも負けない、救世主の力が…)
一夏
「…救世主の…力!」
この時一夏はやや冷静さを失っていた。自分も何かやりたいと思った。このまま何もせずにいるのは嫌だった。千冬の力になりたかった。火影や海之の様に強くなりたかった。敵を倒したかった。そんな時に聞いた救世主の力という言葉。………一夏は心を決めた。
?
(もう一度問います。貴方は力を望みますか?)
一夏
「………ああ。力が欲しい。皆や千冬姉を助ける力が、戦える力が、誰にも負けない強い力が欲しい!!」
一夏ははっきりその声に答えた。
?
(良いでしょう。貴方に力を授けましょう。……DNSの力を…)
一夏
(…D…N…S…!)
すると一夏の白式のインターフェースにあの文字が浮かび上がった。それは…
ーDreadnoughtsystem 起動ー
一夏
「……ドレ…ッド、ノート…システム?……!!」
ゴォォォォォォォォォォォォォォ!!
すると一夏の身体が白式ごと、あの黒い炎に包まれた。
一夏
「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
千冬・M
「「!!」」
炎に焼かれ、絶叫を上げる一夏。彼の悲鳴に驚いた千冬とMは思わず戦闘を中断し、一夏の方を見る。
一夏
「ああああああああああああああ!!」
千冬
「い、一夏!?」
M(DIS)
「! DNSだと!?何故奴が、いや白式に搭載されている!?」
予想もしていなかった出来事に驚きを隠せない千冬とM。
一夏
「熱い!!熱いぃぃぃぃぃ!!」
千冬
「一夏!白式を強制解除しろ!!」
一夏は苦しみのあまり激しく動き回る。千冬は訴えるが炎に苦しむ一夏の耳には届かない。
千冬
「くっ!炎の勢いが強すぎて近づけない!」
M(DIS)
「何故、…何故奴が…」
千冬は無理やり白式を解除しようとするが近づけない。Mは呆然としている。
一夏
「ああああああああああああああ!!」
やがて…、
シュバァァァァァァァァァァァ!!!
千冬
「くっ!一夏!」
M(DIS)
「ぐっ!?」
強い光が一夏と白式を覆っていた黒い炎が払った。
千冬
「くっ…い、一夏!だいじょ……!!」
M(DIS)
「…何、だと…!?」
そこにはこれまでと同じく違うISがいた。だが、
千冬
「ば、馬鹿な。……アレは!」
M
「何故、何故あのISが!?」
その姿を見た千冬とMは非常に驚いていた…。
…………
???
オーガス
「……クククク、ついに起動したか。こんなにあっさり上手くいくとは…。それだけ力への欲望が強かった、という訳か。全くやはり人間とは愚かな存在よ…」
話の内容からして白式のDNSもオーガスの仕業の様であった。
オーガス
「そしてやはり織斑一夏のISにはアレのコアが使われていたのだな。奴のISについて調べていた時、よもやと思ったのだが…どうやら当たりだった様だ。あとは全てのコア情報を知っている篠ノ之束にDNSのプログラムデータをコアに送りこませれば良いだけ……」
オーガスは自分の考えが当たっていた事に満足している様子。
オーガス
「さぁ貴様の望みのままに存分にその力を振るうが良い。ふっふっふっふ……」
声に誘われるままDNSを使ってしまった一夏。果たして一夏の変化した姿とは…?
※次回は20日(土)の予定です。