IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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DNSによって変化した一夏の白式。それは10年前の白騎士事件で使われた始まりのIS、白騎士であった。そのパワーを得た一夏はMが操る黒騎士のDISを圧倒し、変身解除にまで追い込む。Mを許さないと断言した一夏は勢いのままとどめを繰り出そうとした。
……しかしその時、一夏の耳に先ほどのとは違う別の声が聞こえ、更に謎の闇に一夏の意識が囚われてしまう。その直後、白騎士はまるで破壊者の様に暴走。Mを戦闘不能にまで追い込み、止めに入った千冬、更に学園に戻ってきた箒や鈴達にまで見境なく襲い掛かる。そして動けないシャルロットと簪を前にした白騎士は…。


Mission149 兄弟 友への叫び

千冬

「やめろ一夏ぁぁ!!」

「一夏ぁ!やめてくれぇぇぇ!!」

白騎士

「グオォォォォォォォォォォッ!!」ブゥンッ!

全員

「「「!!!」」」

シャル

(火影!!)

(海之くん!!)

 

千冬や箒達の必死の訴えも虚しく、シャルと簪に向かって白騎士のブレードは振り下ろされた………その時、

 

 

ガキィィィィィィィィィィン!!

 

 

シャル・簪

((!!))

全員

「「「!!」」」

白騎士

「!?」

 

突然横から真空波の様な一閃が白騎士のブレードに襲いかかった。その衝撃に直撃した右手のブレードが横に吹き飛ばされた。

 

「な、なんだ!?」

ラウラ

「衝撃波だと?しかし白騎士の剣を弾くほどの力……まさか!」

 

白騎士含め全員飛んできた方向を見た。そこにいたのは、

 

 

海之

「ハァ…」

 

 

閻魔刀を抜刀したウェルギエル、海之であった。先ほどの真空波は閻魔刀によるものであった。

 

千冬

「…海之!」

海之

「…そいつらは返してもらうぞ」

「…海之…くん…」

白騎士

「グオォォォォォォォォッ!」

 

攻撃を受けた事に怒ったのか咆哮を上げる白騎士。そこに、

 

 

「おおおおおおおおおおお!!」

 

 

白騎士

「!!」

 

 

ドォォォォォォォォォォォンッ!!

 

 

シャル・簪

((!!))

全員

「「「!!」」」

 

すると今度は上空から何かが急降下で白騎士に襲い掛かってきた。緊急回避する白騎士。現れたのは、

 

火影

「こりゃまた変わった形の雪ダルマだな」

 

白騎士に襲い掛かったのはリベリオンを持つアリギエル、火影だった。

 

「火影!」

火影

「雪まつりにゃまだ早ぇぜ。…大丈夫か?」

シャル

「火…影ぇ…!」

セシリア

「おふたり共!帰ってきてくださったんですね!」

「あ…あっはははは!もう!遅いのよアンタも海之も!」

ラウラ

「全く…、私の嫁と弟という奴は…」

千冬

「気を付けろ火影!そいつは!」

白騎士

「グオオオオオオ!!」ドンッ!

 

後向きの火影目掛けて襲い掛かる白騎士。

 

「! 火影くん危ない!」

 

しかし、

 

ガキィィィィィィンッ!!

 

白騎士

「!」

 

そのブレードは火影のリベリオンで受け止められた。後ろ向きで。

 

シャル

「う、後ろ向きであいつの剣を止めた!?」

火影

「……へぇ、大したもんじゃねぇか。…力だけはなぁ!」

 

ズバアァァァァァァァァンッ!!

 

白騎士

「!!」

 

…ドオォォォォォォォォォンッ!

 

火影は全力で白騎士のブレードを押し返した。その勢いで白騎士は大きく弾き飛ばされ、観客席に凄まじい勢いで激突した。

 

「も、もの凄い勢いで吹き飛ばしたわね…」

火影

「ちょいやりすぎたか?」

 

そこに海之も合流してきた。

 

海之

「遅いぞ」

火影

「うっせー、お前より消耗してんだから仕方ねぇだろ。ま~た主役気取りか?」

海之

「では、あれがメインイベントにふさわしいと?」

 

海之は閻魔刀を白騎士に向けながら訪ねる。

 

火影

「……いや、あれも違うな。まぁそれは後でいいとしてシャル、簪。無事か?」

海之

「怪我は無いか?」

 

ふたりはシャルと簪に近づくと、

 

……バッ!

 

シャルは火影に、簪は海之に泣きながら飛び着いた。

 

火影

「っと」

シャル

「うわぁぁ火影ぇぇぇ!怖かったよぉぉ!!」

「海之くん…ありがとう。…怖かった、死んじゃうって思った…!」

海之

「もう大丈夫だ」

 

やがて皆のところに全員が集まる。

 

「シャル!簪!ふたり共大丈夫!?」

シャル

「う、うん。大丈夫だよ。凄く怖かったけど」

「私も大丈夫」

「本当にもうダメかと思ったぞ。ありがとう火影、海之」

「楯無さん達はどうしたの?」

火影

「ここに来る迄にちょっと邪魔が入っちまって。そっちは何とかなったんだが楯無さんとクロエの疲れが激しくてな。俺達だけ先に帰ってきたんだ」

ラウラ

「やはりクロエさんも行っていたのだな…」

セシリア

「でも何があったんですの?私達ニュースで京都が大変だと知りまして…」

海之

「それについては後で話す。それより……アレは何者だ?」

 

海之は観客席に激突した白騎士を見ながら訪ねる。

 

白騎士

「グゥゥゥオォォォ……」

千冬

「…あれは全てのISの始まりとなったIS、…白騎士だ」

火影

「! あれが…白騎士」

「それだけじゃないんだふたり共。あれは、あれは一夏なんだ!」

海之

「……一夏だと?」

火影

「…なんで一夏がその白騎士に乗ってんだ?」

シャル

「わからない…。僕達が戻ってきた時にはもうあんな感じだったから…」

ラウラ

「ああ。教官のお話だと恐るべきパワーでMを圧倒しただけでなく、更に私達にまで見境なく襲いかかる様になった。教官、一体何があったのです?」

 

すると千冬はふたりに言った。

 

千冬

「海之、火影。…DNSだ。一夏の白式は…DNSによって白騎士に変化したのだ」

火影

「! DNSですって?何故白式にDNSが…?」

海之

(…………まさか…)

「…火影、DNSって何?」

火影

「…それについては後回しだ。今は一夏を止めねぇと」

海之

「そうだな。だが先程あいつは簪達を斬ろうとしていた」

「…うん。まるで暴走しているみたいになっちゃってるの…」

「私達も何度も呼び掛けたんだが…全く反応がないんだ」

千冬

「おそらくDNSに精神を飲み込まれてしまっているのだろう…。あの時のオータムみたいにな」

火影

「……………馬鹿野郎が…」

白騎士

「グオォォォォォォォッ!!」

セシリア

「ですが一夏さんをあのままにはしておけませんわ!」

火影

「ああそうだな。…お前らは下がっていろ。後は俺達がやる」

「で、でもアンタも海之も消耗してるんじゃ…」

海之

「心配するな。それにあいつと戦いたくはないだろう。特に箒とセシリアは」

箒・セシリア

「「……」」

千冬

「…いや待てふたり共。私に任せろ。教師として、何より家族としてあいつは私が止めねばならん。それに白騎士は」

火影

「いえ、先生も消耗が激しいでしょう。見た所先生は一夏を守るためにMと戦い、そして先ほどまで皆を守るために戦っていたのではないですか?」

海之

「それにDNSの名前が出てきた以上、俺達にも関係ある事です」

千冬

「しかし!」

火影

「それに……俺達あいつに言いたい事があるんで」

海之

「お願いします…」

 

火影と海之は引く気は無い様だ。

 

地冬

「…………わかった。……すまん」

「火影、海之。…一夏を頼む。今の私達じゃ止められない…」

セシリア

「お願いします。どうか一夏さんを…」

火影

「心配するな。任せとけって」

鈴・シャル

「「火影…」」

「海之くん…気を付けて」

ラウラ

「…信じてるぞ」

海之

「ああ」

 

火影と海之は皆にそう言うと再びISを纏い、前に出て一夏が変化した白騎士と対峙した。

 

白騎士

「グアアアアアアアアア!!」

火影

「……海之、俺にやらせろ。あの馬鹿は一発ぶん殴ってやらねぇと気が済まねぇ」

海之

「それは俺も同じだ。しかし………?」

火影

「……」

 

火影は白騎士をじっと見つめている。それに何かを感じ取ったのか海之は、

 

海之

「……最初の一発は譲ってやる」

火影

「……わりぃ」

 

海之はやや下がり、火影が前に出る。

 

白騎士

「グオォォォォォォォォォォ!!」

火影

「さぁさぁお立合い!噂に名高い白騎士にお目に掛かれた上に戦えるとは…こんな幸運そうそう無ぇぜ!」ジャキッ!

 

そう言って火影はリベリオンを白騎士に向ける。目の前の火影が戦闘態勢になったのを見た途端、白騎士も自らのブレードを構える。

 

白騎士

「グオォォォォォッ!」ドンッ!

 

そして白騎士は火影目掛けて突っ込んできた。火影も剣を構える………と思いきや、

 

火影

「……」…スッ

 

ドシュッ!

 

火影

「……」

白騎士

「オォォォォ……」

 

白騎士の剣が火影の脇腹を貫いていた。火影は剣を構えなかった。

 

「ひ、火影!!」

シャル

「剣を…下した…!どうして!?」

海之

「……」

火影

「これが噂名高い白騎士の剣か…」ドゴォォッ!

白騎士

「!!」

 

すると火影は剣ではなくパンチを入れて距離を離した。刺された火影の脇腹からは血が噴き出す。

 

「火影!」

火影

「……どうした?もう来ねぇのかい?そんなんなら剣使う必要もねぇな」

白騎士

「……グアアアアッ!」ドンッ!

 

再び向かってくる白騎士。今度は二刀流だ。しかし火影は剣を構え直す様子は無い。銃もイフリートも。見た目無防備の状態である。

 

セシリア

「! また無防備!?」

ラウラ

「何故だ!何故戦おうとしない!」

 

ガシッ!ガシッ!

 

振り下ろされる白騎士の二刀流を手で直接受け止める火影。剣の刃が手に食い込み、そこから出血する。

 

火影

「二刀流か……。だがこれも全~然…効かねぇな!」バゴォォッ!!

白騎士

「ガァッ!」

 

手が使えないので今度は蹴りを入れて距離を離す火影。

 

火影

「いつつ…紙で指切った時みてぇに地味に痛ぇな…」

 

戦おうとしない火影に皆が思わず声を上げる。

 

「なに…何やってんの?なんで戦わないのよ!?」

火影

「いいから黙って見てろって。…どうした一夏、いや今は白騎士か?まぁどっちでもいいや。俺はまだピンピンしてるぜ?」

 

両手を上げていかにも平気そうに笑う火影。

 

白騎士

「…グオォォォォォッ!」ドンッ!

 

その言葉に激高したのか白騎士は再び向かってくる。火影の方は相変わらず無防備のまま。剣が再び火影に迫る。

 

ドンッ!

ドシュウッ!

 

白騎士

「!」

火影

「! お前…」

海之

「……」

 

しかし刺されたのは火影では無かった。火影に剣が届く直前、海之が火影を庇って刺される形となった。

 

千冬

「海之!」

「み、海之くん!?」

海之

「…弱い一閃だ。…虫すら殺せない」ブンッ!

白騎士

「!」

 

海之も同じくパンチを入れようとするが白騎士はその前に離れて避ける。海之もまた剣が抜けた傷口から血が噴き出す。

 

海之

「くっ、…ほぉ、かわしたか。少しは学習したようだな」

火影

「てめぇ…無茶しやがって」

海之

「お互い様だろう」

シャル

「なんで!?なんでふたり共戦わないの!?幾らふたりでもそんな事してたら死んじゃうよ!」

ラウラ

「そうだぞ!お前達なら例え白騎士といえど対処できる筈だ!!」

千冬

「…まさか、わざと戦わないつもりなのか!?」

火影

「……」

 

どうやら火影達に最初から戦うつもりは無かった様だ。すると海之が答える。

 

海之

「ラウラ…お前、以前俺と戦った時の事を覚えているか?」

ラウラ

「…え?」

海之

「あの時のお前は力に囚われていた…。そしてそれは今の一夏も同じだ。白騎士という力に囚われたな」

ラウラ

「……」

 

以前ラウラは憎しみと力への衆望のあまり、VTSを起動させた。しかし意識を保てず今の一夏の様な獣と化した。

 

海之

「今のあいつに必要なのは剣を向けることではない」

火影

「伝えなきゃならねぇのは強さじゃねぇ…、心だ。……それによ、今のあいつと戦ったってそれは何の意味もねぇ」

海之

「お前達も見たくないだろう?あいつが傷つくのを」

「でも、でも今みたいな事続けたらアンタ達が…!」

火影

「大丈夫だよ鈴。前に約束したろ?お前やシャルや本音を置いてどっか行ったりしねぇってよ」

シャル

「…火影…」

 

そう言って火影が再び前に出る。

 

火影

「ほらほらどうした!噂名高い白騎士のパワーってのはこんなものか?もう少し楽しめるもんだと思ったが期待外れだったかねぇ」

白騎士

「…グオォォォォォォォォォ!!」

 

白騎士は再度火影に向かって襲い掛かってくる。そして、

 

…ドシュウゥゥ!!

 

火影

「ぐっ!!」

白騎士

「……」

 

今までよりも深く白騎士の剣が火影の腹部に刺さる。

 

「火影!」

セシリア

「一夏さん!やめてください!お願いします!」

「…嫌だ、…嫌だよ。…こんなの」

 

誰もが悲しみの目でそれを見つめていたその時、

 

ガシッ!

 

白騎士

「!」

 

火影が腹部に刺さった剣を掴む。

 

火影

「くっ、…強くなったな一夏…。初めてお前と本気で戦った時の、タッグ・トーナメントに比べてよ、…本当に強くなりやがったぜ…」…グッ!!

 

火影はもう片方の手に力を籠める。

 

火影

「……だがよ、不思議なもんだ…。なんでかわからねぇが…あん時よりおめぇ強くなってんのに…こんな傷よりも、あん時のトーナメントの時にお前が俺につけた最後のかすり傷の方が遥かに、遥かに痛ぇんだよ!!」

 

ドゴォォォォッ!

 

火影の渾身のパンチが白騎士の顔に決まる。

 

白騎士

「グアァァァァァァァァァッ!」

 

攻撃を受け、怒りの咆哮を上げる白騎士。しかしまだ止まる気配は無い。

 

火影

「殴られてムカついてんのか?それとも倒せねぇからか?……じゃあ良い事を教えてやるよ」

 

そう言って火影は……自分の頭を指さす。そして驚く事を口にした。

 

火影

「次はここを狙え。ここを破壊できれば俺達を殺せるぜ?」

海之

「貴様にできればの話だがな」

 

海之も火影に並んで挑発の様な言葉を出す。その言葉を聞いた皆は、

 

「!ふたり共!バカな真似はよせ!」

「なに…何言ってんの…?本気で死にたいの!?」

シャル

「お願いだよ、…もう止めてよ。…ねぇふたり共!」

ラウラ

「頼む!戦うんだふたり共!」

「…お願い、…もうやめて…」

セシリア

「逃げてくださいおふたり共!」

 

なんとかふたりを止めさせようと訴えるが、

 

火影

「心配すんなっつってんだろ!……死なねぇよ。俺達も、そして一夏もお前らも。誰ひとりな」

海之

「俺達を信じろ…!」

千冬

「…海之…!」

白騎士

「グオォォォォォォォッ!」ドンッ!

 

白騎士は剣を向けてふたり目掛けて突っ込んできた。向けているのはふたりの頭部。対して火影と海之は無防備のままだ。

 

千冬

「海之!火影!」

箒・セシリア・鈴・シャル・ラウラ・簪

「「「やめてぇ(やめろぉ)――――!!」」」

 

 

(…!!!)

 

 

キィィィィィィィィィィィィィンッ!!

 

 

白騎士の剣がふたりの頭部に襲い掛かったその瞬間、その場に凄まじい閃光が走った。

 

「くっ!」

シャル

「うわ!」

「火影!海之!」

 

…………光がどんどん収まっていくとそこには、

 

全員

「「「!!」」」

 

白騎士の剣は確かに火影と海之それぞれのバイザーに突き立てられていた。右手の剣は火影に。左手の剣は海之に。

 

白騎士

「………」

火影・海之

「「………」」

 

 

…………………ピシッ

 

 

だがバイザー表面にヒビは入ったものの貫通することはなく止まっていた。火影と海之、そして白騎士にも動きは無い。

 

火影・海之

「「………」」

「……ひ…火影…?」

「…海之…くん…?」

 

止まっている様にも見えるふたりのその状況に不安がる皆。すると、

 

 

ガシッ!ガシッ!

 

 

白騎士の腕を火影と海之の腕が掴んだ。

 

白騎士

「!!」

火影

「……残念、惜しかったな」

シャル

「火影!」

海之

「…だから言ったろう。殺せればとな」

ラウラ

「海之!」

火影

「やっと止まりやがったか。一夏が起きかけてんのかあいつらの声が届いたからなのか…、まぁいい。それよりも今は……」

 

ふたりはそのまま目の前の白騎士。いや中の一夏に訴える。

 

火影

「おい一夏。こんなもんがお前の望んだ力か?そんなもんに頼ってまで手に入れた力ってのは!」グッ!!

海之

「こんな下らん力を…お前は欲しかったのか一夏!」グッ!!

 

するとふたりは掴んでない方の拳に力を籠め、

 

 

火影・海之

「「違うだろうが――――——!!」」

 

 

ドゴォォォォ!!ドゴォォォォ!!

 

白騎士

「!!」

 

白騎士、いやその中の一夏にかもしれない。ふたりは思いを込めた正拳突きを顔面に思い切り食らわせた。その衝撃に大きく吹っ飛ぶ白騎士。そんな白騎士に火影達は再度訴える。

 

火影

「さっさと起きろ坊主!!遊ぶんなら本気で遊びたいだろ!そんなもんに操られるんじゃない、本物のケンカをよ!!」

海之

「お前には守りたいものがあるんじゃないのか?そのために真に強くなりたいと思ったんじゃないのか?あの言葉は全部嘘だったのか!!」

(一夏)

「……!!」

白騎士

「グオォォォォォォォッ!」

 

それでも向かってくる白騎士。火影は一夏の名を叫んだ。

 

 

火影

「…一夏ぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

(一夏)

(……!!)

 

 

するとその時、火影達に向かっていた白騎士に異変があった。急に動きが止まったのだ。

 

白騎士

「………」

千冬

「……どうした?」

「白騎士が…、一夏の動きが止まった?」

 

止まった白騎士(一夏)を不思議に思う箒達。

 

(一夏)

(………俺が……欲しかった……のは)

白騎士

「グ、ググググ……」

 

すると白騎士は頭を抱えて唸り声をあげる。

 

「な、なに?どうしたの?」

セシリア

「…苦しんでいる?」

ラウラ

「! まさか…あの時の私と同じ…?」

(一夏)

(それは………、火影や海之や、千冬姉の様な、……どんな困難にも負けない、諦めない、屈しない、そんな強さ。……心の強さ。……守るための強さ)

白騎士

「グ、グガガ…ガガガ…」

シャル

「やっぱり苦しんでる…!」

「…もしかして火影くん達の言葉が届いたのかな…!」

(一夏)

(こんな、こんな……傷つけるための強さじゃ…無い!)

白騎士

「グ、グガガガ…ガガガガガガ!!」

 

すると白騎士は苦しみのあまりかジタバタと再び暴れ始めた。だが先ほどまでと違い、むやみやたらにブレードを振り回しているだけだ。

 

「一夏!」

千冬

「…ふたり共!頼む!」

火影

「海之!お前ならわかってんな!」

海之

「…無論だ!」

(閻魔刀は人と魔を分かつ刀…。もしDNSに魔力が使われているならば、そしてあの時ラウラが使ったのがDNSで、あいつを助けられたのはその魔力を利用しての閻魔刀の力によるものだとすれば、一夏を救う事もできる筈だ!)

白騎士

「グガガガガァァァァァァ!!」

(一夏)

(火影!海之!俺はどうなってもいい!だから俺を、白騎士を止めろ!)

 

一夏は声を出せない事を悔しく思いつつ、ふたりに願った。

 

火影

「俺が一夏を抑える!ミスんなよ!」

海之

「余計な心配せずに集中しろ!」

 

すると火影はエアトリックで白騎士の背後につき、全力で抑える。

 

ガシッ!!

 

白騎士

「グオォォォォォォ!!」

火影

「海之!やれぇぇ!」

海之

「閻魔刀よ、今一度お前の力を俺に示せ!」

 

……ドクンッ!

 

すると海之の声に応える様に閻魔刀の脈動を感じた海之は一気に斬りかかった。

 

白騎士

「!!」

 

カッ!!

 

その一撃が白騎士にぶつかった瞬間、再び激しい閃光が起こった……。

 

 

…………

 

???

 

一夏

「………」

 

そこは先ほどまでとは違う何もない真っ白な空間。そこに一夏は力なく座り込んでいた。

 

一夏

「………」

 

俯いたままの一夏。するとそこに、

 

「おい」

一夏

「!……」

 

呼ばれて一夏はゆっくり顔を上げる。そこには、

 

火影

「どうした?燃料切れか?」

海之

「お前らしくないな」

一夏

「……火影、……海之。………ここはどこだ?」

火影

「…さぁな。だが少なくともあの世とかじゃなさそうだから安心しろ」

一夏

「俺達…どうなったんだ?」

海之

「俺が閻魔刀でお前を操っていた白騎士を斬った。だが先ほどこいつが言った様に死んではいない。ちゃんと生きている」

一夏

「…そう、か…、やっぱり俺…皆を」

火影

「感覚はあったのか?」

一夏

「…うっすらと…。…皆の「やめて」って叫び声が…聞こえた様な気がして…。信じたくなかったけど……」

 

それだけ聞くと一夏は再び俯いてしまって動かない。

 

火影

「帰るぞ」

一夏

「………」

海之

「どうした?」

一夏

「…皆に、どんな顔して会えっていうんだよ…」

火影

「そのあいつらが帰ってきてほしいって言ってんだがな?」

一夏

「でも俺は!…俺は皆に襲い掛かって…!シャルと簪なんか殺しかけて…!お前らにも!」

海之

「あいつらはちゃんとわかっている。お前を責めたりはせんよ」

火影

「ならここで何時までも止まってるか?余計あいつら悲しませるぞ。本気で悪いと思ってんなら今すぐ帰って必死で謝り倒せ」

一夏

「………」

 

一夏は少し黙って火影と海之に尋ねる。

 

一夏

「……なぁ火影、海之。…教えてくれ。…なんでお前らはそんなに強いんだ?」

海之

「あの時のラウラと同じだな。……俺達は強く等無い」

火影

「ああ。ただ無くしたくないだけさ」

一夏

「……無くしたくない?」

火影

「…ちょい他の奴より無くしたもんが多かったんでな…」

一夏

「……?」

海之

「気にするな」

 

すると火影が手を差し出す。

 

火影

「ほら、わかったらさっさと帰るぞ。京都から戦いっぱなしで腹減ってんだ」

一夏

「………でも」

海之

「一夏、強くなれ。今度こそ本当に」

一夏

「……!」

火影

「俺達からの宿題だ」

一夏

「………」

 

一夏は差し伸べられた手を取った……。

 

 

…………

 

一夏

「………………う、…うん」

「い、一夏!気が付いたのか!?」

セシリア

「大丈夫ですか!?」

 

一夏が目が覚めると箒に膝枕されていた。その隣にセシリア。周りには他の皆もいる。体力の消耗が激しい以外に目立った傷などは無さそうだった。

 

一夏

「……ほう、き。…セシ、リア」

千冬

「気が付いたか、一夏」

一夏

「…千冬…姉…。…俺、は…」

「全くもう!余計な心配かけさせて」

ラウラ

「まぁ無事に目が覚めて良かった」

一夏

「…鈴、ラウ、ラ…」

シャル

「大丈夫一夏?」

「わかる?私達の事」

 

シャルと簪が話しかけると一夏の表情が変わる。

 

一夏

「!…シャ、ル。か、んざ、し。…俺、お前ら、を…」

シャル

「気にしなくていいよ。あれは一夏の意志じゃないって事はわかってるし」

「うん。結構怖かったけどね。でも海之くんと火影くんが助けてくれたから大丈夫」

一夏

「……ごめん。…本、当に…ごめん…。千冬…姉、みん、な…」

 

一夏はまだ力が入らないのか言葉に力が無い。

 

「わかっている!大丈夫だ。大丈夫だから」

セシリア

「私も皆さんも一夏さんを責めたり致しませんわ!」

「気にしなくていいわよ」

ラウラ

「ああ」

一夏

「………」

千冬

「そいつらに深く深く感謝しておけ一夏」

一夏

「……ああ。……そ、そう、だ。…火、影と…海之、は…!?」

 

すると、

 

火影

「起きたか?」

 

ほんの少し離れた所にISを纏ったままの火影と海之はいた。

 

海之

「気が付いたようだな」

一夏

「…ひか、げ。みゆ…き。……俺…」

 

すると一夏の言葉が続く前にふたりが口を出す。

 

火影

「気にすんな。あと、時間かかってもさっきの宿題はやれよ?」

海之

「もう間違えるな」

一夏

「!………」コクッ

 

力が入らない身体であったが一夏は確かに頷いた。

 

火影

「それで良い……!!」

海之

「!!」

 

その時またしてもふたりに先刻の様な痛みが襲った。

 

火影

「ぐ、ぐうぅ!」ドサッ

海之

「ぐっくっ!」ドスッ

全員

「「「!!?」」」

 

ダメージを受けているためか先ほどよりも激しく、そして長く感じる。火影も海之も膝をつく。ふたりの声を聴いて鈴、シャル、簪、ラウラが近づく。

 

火影

「ちっくしょ、またか…!」

「火影!?」

海之

「くっ!限界か…」

「海之くん!?」

「! そういえば…何故だ!?傷が完治していないぞ!」

セシリア

「もしかして…故障しているんじゃありませんの!?」

一夏

「…!ま、さか、俺のせいで…!」

火影

「ハァ、ハァ…くっ、いやお前のせいじゃねぇ、前からだ。だがちと無茶しすぎちまったかな…、まぁでも心配すんな」

海之

「ああ…、大したことは無い」

 

それでも強がるふたりに、

 

「何言ってんのよ!あんなに血出て大丈夫な訳ないでしょう!…なんでよ、なんでアンタも海之も…もっと自分を大事にしないのよ!!」

シャル

「ねぇ火影、本当にお願いだからあんな無茶しないでよ…。あんな事繰り返してたら、本当に死んじゃうよ…。火影が死んじゃったら…僕は…僕は」

火影

「だ、大丈夫だって…」

千冬

「…おい、火影も海之も良く聞いておけ。お前達は確かに強い。はっきり言って誰よりも。しかし今のお前達は人間だ。悪魔でも不死身でもない普通の人間なんだ。こんな事ばかりしていれば本当に死ぬぞ。命令だ。もうあんな事は二度とするな。こいつらのためにもな」

火影・海之

「「……」」

ラウラ

「海之!お前も火影も生きようとする気持ちを大事にしているんだろう!ならば教官や鈴達の言う通り少しは自分の身を大事にしろ!家族からの警告だ!」

「…ねぇ、海之くん…、前に火影くんが私達を守るために腕を斬った時、約束したじゃない?決してそんな事しないって。なら…約束守ってよ…。私はふたりに、海之くんに傷ついてほしくないよ。お願いだから…」

 

ラウラと簪は海之に縋りついて訴える。

 

海之

「……心配するな。俺達は死なない」

火影

「ああ。だからそんなぼろぼろ泣くなって。嫁入り前の大事な顔を汚すなよ、ったく」

 

火影はそう言いながら血に塗れてない手で鈴とシャルふたりの涙をぬぐってやる。その仕草にふたりは頬を赤らめながら怒鳴る。

 

「だ、誰のせいだと思ってんのよ!責任取ってもらうわよ!!」

シャル

「ほんとだよ!火影にしか、火影にしかできないんだからね!!」

火影

「はは…、責任重大だなこりゃ」

 

一夏だけじゃなく、火影と海之もまた皆に深く謝るのであった……。

 

 

…………

 

その頃、

 

オーガス

「…ふん、正気を取り戻したか。…まぁいい、所詮織斑一夏など大した研究対象ではない。奴等に傷をつけるだけの役割よ…」

 

そう言いながらオーガスは口の端を上げた。

 

オーガス

「…何時でも会ってやる、か。ならば会ってもらうとしよう。……ふっふっふっふ、とうとう来たのだ。奴等に合間見える時が…!」

 

そう言いながらオーガスは横で静かに佇んでいる何かに話しかけた。

 

オーガス

「お前達もさぞ嬉しいだろう?漸く会えるぞ…」

「「…………」」




次回、遂に火影(ダンテ)・海之(バージル)とオーガスが対峙します。そしてオーガスの正体が…。

※次回は来月4日(土)の予定です。
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