IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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火影(ダンテ)、海之(バージル)、そしてオーガス(アルゴサクス)。宿敵同士の次元を超えた対峙、そして会話に一夏達は理解できずにいた。
そんな中で海之が怒りに任せて攻撃を仕掛けるがオーガスが張った魔力の障壁、そして衝撃波によって吹き飛ばされてしまう。オーガスは人間でありながら何故か魔力を持っていたのだった。それによって続いて攻撃を仕掛ける千冬、そして火影をも倒すオーガス。
驚く皆をよそに、オーガスは新たな傀儡といってあるものを召喚する。それは見た目アリギエルとウェルギエルに瓜二つなもの、黒いアリギエルとウェルギエルであった。そしてそれらは召喚されるやいなや怨念の如き咆哮を上げると突然襲い掛かってくるのだった。


Mission152 消失…

黒いアリギエル・ウェルギエル

「「オォォォォォォォォォォォォォォッ!!」」ドゥンッ!!

 

口を更に広げて咆哮を上げるやいなや、目の前の黒いアリギエルとウェルギエルがこちら目掛けて突進してきた。

※以降それぞれDと付けます。

 

Dウェルギエルが向かっているのは、

 

海之

「!!」

 

ガキイィィィィィィンッ!

 

Dウェルギエル

「ミィツゥケェタァゾォォォ!!」

海之

「ぐっ!」

千冬

「海之!」

箒

「な、なんだあの動きは!?」

ラウラ

「全く見えなかった…!」

 

間一髪海之は閻魔刀でDウェルギエルの刀をギリギリで受け止めた。しかしダメージがあるためか圧されている。

 

海之

「ぐうぅぅぅ!」

 

そしてよく見ると敵の刀は、

 

ラウラ

「!…黒い…閻魔刀だと!?」

簪

「そんな!あれは海之くんの刀じゃ!?」

Dウェルギエル

「シネェェェ!!ヴァァァジルゥゥゥゥゥ!!」

 

ガキィィンッ!キィィン!!

 

一方の火影も黒いアリギエルと交戦していた。そしてこちらも手に持っているのは、

 

火影

「ぐっ!」

鈴

「あいつのあの剣、…リベリオン!?」

シャル

「なんであいつまで!」

Dアリギエル

「キエロォォォ!ダァンテェェェェェェッ!!」

 

こちらも負傷している分、火影が圧されていた。

 

鈴

「火影!」

シャル

「助けなきゃ!」

火影

「止めろ!!」

鈴・シャル

「「!!」」

 

火影は相手しながら助けようとしたふたりを止める。今までに聞いた事が無い位の大きさと怒気を含んだ火影の声に鈴もシャルロットも怯んでしまう。

 

火影

「手ぇ出すんじゃねぇ!」

海之

「お前達が敵う相手ではない!」ドスゥ!「ぐっ!!」

 

隙を付いた敵の黒い閻魔刀が海之の脇腹を貫いた。

 

ラウラ

「なっ!」

簪

「海之くん!」

海之

「…ちぃ!!」

 

海之は相手の刀を受け止めながら皆に手出ししない様忠告する。その声に何時もの彼の落ち着いて余裕ある雰囲気は一切ない。必死、誰もがそう思う声だった。

 

ドゴォッ!ドゴォッ!

 

火影はリベリオンからイフリートに変え、迎え撃っていたがその時相手も武器を変えていた。手に付けていたのは、

 

箒

「イフリートまでだと!?」

セシリア

「あれも火影さんの武器の筈なのに!」

 

ドンッ!ドンッ!

 

アリギエルと黒いアリギエル。互いのイフリートが激しくぶつかり合う。

 

火影

「ぐっ、ぐうぅぅぅぅ!」ドゴオォォォッ!「ぐあああっ!!」

 

 

バキィィィィィィンッ!

 

 

相手の左手が火影の頭部に直撃した。その威力でひび割れていたアリギエルのバイザーが壊れ、火影の顔が晒される。頭部から出血もしているらしく痛々しい。

 

火影

「ぐあ!…がはっ!」

 

火影は飛ばされて大きく地面を転がりながら止まった。立ち上がるのも苦しそうだ。

 

火影

「ぐっ…、あっぐ…くっ!」

鈴

「火影!」

 

すると剣に持ち替えたDアリギエルは火影に近寄ろうとした鈴に瞬時加速で襲いかかろうとした。

 

Dアリギエル

「ジャァマァダァァァァァァッ!」ドゥンッ!

鈴

「!!」

火影

「! ぐっ!!」

 

ガキィィィンッ!

 

火影は必死に身体を起こしてふたりの間に入り、リべリオンに持ちかえてそれを受け止める。

 

鈴

「火影!」

火影

「早く逃げろ!」

海之

「でやぁぁぁぁぁぁ!!」

Dアリギエル・ウェルギエル

「「オォォォォォォォォ!!」」

 

火影と黒いアリギエル、海之と黒いウェルギエルは凄まじい高速戦闘を繰り広げる。剣と刀がぶつかり合い、斬っては受け止め、斬っては受け止め、避けて避けてよけまくる。

 

ガキィンッ!キンッ!ガキンッ!キィィンッ!

シュン!キィィンッ!シュン!キィィンッ!!

 

箒

「……凄い…」

簪

「近づける隙が…ない」

千冬

「……」

 

皆は手出ししなかった。いやしようにもできなかった。彼らの本気と本気のぶつかり合い。目に見えない程の剣閃と動き。自分達には手が出る領域では無かった…。千冬でさえも…。ダメージで言えば間違いなく火影と海之が不利。しかし気迫と絶対に守るという信念が彼らを動かしていた。……そして時間的にはほんの数十秒位かもしれないそんな戦いが続いた後、

 

ガキンッ!

 

火影・海之

「「ぐっ!」」

鈴

「火影!」

簪

「海之くん!」

海之

「何をしている!早く逃げるんだ!」

ラウラ

「し、しかし!」

シャル

「僕達だけ逃げるなんてできないよ!」

火影

「いいから行くんだ!俺達に構うな!…箒!一夏を連れていけ!」

箒

「!」

一夏

「ぐっ…!お、俺はまだやれる!」

 

DNSの影響でふらつきながらもその言葉を聞いて一夏は立ち上がろうとする。そんな一夏にふたりは、

 

海之

「まともに動けもせんくせに余計な真似するな!」

火影

「一夏行け!今のお前じゃ足手まといだ!」

一夏

「!!」

海之

「ダンテ!こいつらを外へ出すぞ!できるだけ離れる!」

火影

「分かった!お前ら良いな!絶対付いて来んなよ!!」ドンッ!

海之

「先生!皆に後を追わせるな!」ドンッ!

千冬

「!」

Dアリギエル・ウェルギエル

「「……」」ドンッ!ドンッ!

 

そう言って火影と海之は全速でアリーナの上空シールドの隙間から外へ出る。すると敵も最早ふたりしか目に入っていないのかそもそもなのか、他には目もくれずふたりを追って外に出て行った…。

 

シャル

「火影!海之!」

簪

「追いかけようよ皆!今のふたりを放っておけない!」

ラウラ

「分かっている!」

 

皆は火影達を追いかけようとした。しかし、

 

千冬

「行くな!!」

全員

「「「!!」」」

 

皆の前に立ちふさがる様に手を広げて千冬が止める。

 

鈴

「千冬さん!?」

千冬

「今のお前達に何が出来る!あいつらの邪魔だ!」

セシリア

「し、しかし織斑先生!今のおふたりの状態では!」

シャル

「そうです!あんなボロボロじゃふたりが」

千冬

「それでも駄目だ!!」

簪

「そ、そんな……!」

 

その横で一夏が箒を振り払って立ち上がろうとしていた。

 

一夏

「くっ、ち、ちっくしょお!…あいつら好き放題言いやがって…!」

箒

「よせ一夏!」

一夏

「は、離せ箒!くっ!俺が…俺が足手まといだと!なめてんじゃねぇぞ火影ぇ!!」

 

足手まといと言われた事に一夏は激高するが、

 

箒

「その通りだろうが!!」

千冬以外全員

「「「!!」」」

 

箒の言葉に一夏、そして千冬以外の皆も動きを止める。

 

箒

「お前だけじゃない!今の私達皆ふたりの足手まといだ!あれを見てわかった筈だぞ!あの黒いIS達が放つ尋常では無い、圧倒的ともいえる邪悪さと殺気をな!今だって火影と海之が庇ってくれなければ今の私達等はっきり言って一瞬で全滅させられていただろう!だからふたりはあんなに満身創痍ながらも奴らを引き付けてくれた!私達を守るためにな!何故それが分からん!」

一夏

「……だ、だけど今のあいつらは」

箒

「千冬さんの言う通りだ!今の疲弊しきったお前や私達ではどんなにあがいても勝ち目は無い!そしてあのふたりの先程の表情からして、恐らくふたりにとっても類を見ない位の強敵なのだろう!…悔しい気持ちは良く分かるが、そんな状況で私達がいても敵の的になるだけ!却ってふたりの邪魔になるだけだ!」

一夏

「………箒…」

 

一夏はそれ以上の言葉が出なかった。そして箒は続けて言った。

 

箒

「そして…こんな事考えたくも無いし考えられもしないが、…もし、もしあのふたりが敗れる様な事があれば、その時は一夏!お前や私達があれを相手にしなければならないんだぞ!!」

一夏

「…!!」

 

箒のその言葉に一夏は激しく動揺する。それは一夏だけでなく、

 

ラウラ

「な、何を言う箒!海之と火影が負ける等、ある訳無いだろう!」

シャル

「そ、そうだよ!そんな事ある筈無い!そ、それにさ、もし例え負けちゃったとしても今度は僕達皆で力を合わせて戦えばきっと勝てるよ!」

 

ラウラやシャルロットはそう言うのだが、

 

箒

「忘れたのか!?あのふたりのISは一瞬で受けた怪我が治る筈だ!なのに今受けた傷は愚か、これまでに受けたらしい傷も殆ど再生していなかった!これが何を意味するかわからんか!?」

シャル・ラウラ

「「!!」」

セシリア

「……まさか、おふたりのISは、…既に壊れている…!?」

箒

「ああ…多分な…。そんな状態で先程の様な奴らと戦い、それで万一負けるという事は………」

一夏

「…!!」

千冬

「……」

 

バッ!

 

その時鈴と簪が出て行こうとするが千冬がそれを力づくで止めていた。

 

千冬

「待て!」

鈴

「離して!離して下さい千冬さん!お願いします!ふたりを!火影を助けないと!!」

簪

「ふたりが、海之くんが死んじゃう!行かせてください先生!!」

千冬

「行かせる訳にはいかない!…約束したんだ!お前達を死なせないと!」

 

ふたりは泣きながら必死に頼むが千冬は決して行かせようとしない。

 

バッ!ガシッ!

 

するとシャルが行こうとするがラウラがそれを止める。シャルも既に涙目だ。

 

シャル

「ラウラ!?なんで止めるの!?」

ラウラ

「すまんシャル!だが…行かせる訳にはいかん!」

シャル

「どうして!?ラウラも海之を助けたいでしょ!ラウラはふたりが死んでも良いの!?」

ラウラ

「そんな訳無いだろう!!」

シャル

「!!」

 

シャルは止まった。ただ声で止まったのではない。あの強いラウラが、泣いていたからだ。

 

ラウラ

「私だって同じだ!お前達と一緒に行きたいんだ!今すぐにでもな!…しかしそれを一番望んでいないのは海之と火影だ!教官や箒の言った通り私達が行くことで却ってあいつらの負担となるなら…私達ができる事はふたりの勝利を信じる事だけだ!」

シャル

「…ラウラ…」

 

ラウラはそう言いながら膝から崩れ落ちる。

 

ラウラ

「私は……私は悔しい…。私は……なんで何時も無力なんだ…。なんで……何時も助けになれないんだ。くっ、うぅぅ……」

 

つかむその腕には既に力は無いが、シャルには今のラウラの手を振りほどいて行く事はできなかった。

 

シャル

「ラウラ……。火影…お願い、死なないで…」

 

そんな彼女達の様子を見て鈴と簪も追いかける事を諦めるしか無かった。

 

鈴

「…火、影ぇぇ…、何でよ…、何で、アンタはいつも…」

簪

「……海之くん。…う、うぅぅ…」

千冬

「…すまない…」

一夏

「……くっそおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」ダンッ!

 

一夏は今だ力が戻らないその拳を悔しさのあまり思い切り地面にたたきつけた。

 

箒・セシリア

「「一夏(さん)……」」

 

 

…………

 

遠く離れた海の上、

 

火影

「ゼイ、ゼイ…」

海之

「くっ…」

Dアリギエル・ウェルギエル

「「………」」

 

火影と海之は黒い自分達と向き合っていた。

 

火影

「ふぅ~…どうやら皆は追っては来ていねぇようだな…。先生が上手く止めてくれたか。…しかし奴ら、なんで動かねぇんだ?」

海之

「俺達が戦闘態勢になるのを待っているのだろう。……ここに来るまでどれ位回復している?」

火影

「残念だが殆ど変ってねぇよ。小さいもんはともかく大きい傷はな…。どうやら完全にやられてるみてぇだな。京都から戦いっぱなしだからSEもとっくに半分切っちまってるし。…さてどうすっかねぇ」

海之

「なんならお前は隙を見て戻って構わんぞ。丁度良いハンデだ」

火影

「強がるなよ。お前も満身創痍みたいなもんじゃねぇか。知らんとは言わせねぇぜ?」

海之

「……」

火影

「それに今は俺達のストーカーみてぇだが…、こんな奴ら放って置いたらどうなるかわからねぇ。だからなんとしてもここで倒す。…例え、俺らが死ぬ事になってもな」

 

火影はそう言いながらリべリオンを右手に持つ。

 

海之

「………ひとつ訂正しろ」

火影

「…あ?」

海之

「まだ俺達の決着が付いていない。こいつらを、そしてアルゴサクスも倒す。決着は…その後だ」

 

海之も閻魔刀を抜く。そして同時に相手も其々黒いリベリオンと閻魔刀を持つ。

 

火影

「……へへ、何時も偉そうな事言ってる割りにゃお前も十分ガキじゃねぇか。だが悪い気はしねぇな。…死ぬんじゃねぇぞ!」

海之

「お互いにな」

 

そして、

 

……ドゥンッ!!!

 

火影・海之

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

Dアリギエル・ウェルギエル

「「オォォォォォォォォォォォォ!!」」

 

 

両者は互いに突撃していった……。

 

 

…………

 

IS学園 生徒会室

 

ふたりを追いかける事ができなかった皆は揃って生徒会室で待機していた。何か起これば千冬が知らせに来る事になっている。箒とセシリアは一夏を医務室に連れて行っている。

 

シャル

「…火影、…海之。ふたり共きっと無事だよね…」

簪

「……大丈夫。…きっと、きっと大丈夫」

ラウラ

「信じている。嫁と弟の勝利を…」

鈴

「……」

 

シャルロットと簪はそう言うがその表情は不安で一杯なのが明らかだった。そんなふたりにラウラは信じようと言うが当のラウラもやはり不安からか言葉に力が無い。鈴は戻って来てから一言も喋っていない。

 

ガラッ

 

鈴・シャル・簪・ラウラ

「「「!!」」」

箒

「……」

セシリア

「織斑先生はまだですのね…」

ラウラ

「ふたりか。…ああ。まだ連絡はない…」

シャル

「箒、セシリア。一夏は?」

箒

「ああ、先程眠った所だ。命に別条は無いが、余程疲れが激しかった様でな…」

セシリア

「御側にいようとしたのですが…、先生方から今は自分達も休めと強く言われまして…」

簪

「そう…。無理も無いよね…」

鈴

「……」

 

暫しの沈黙が流れる…。

 

セシリア

「…あの、あの男が言っていた事、…どういう意味なんでしょう…?」

箒

「…わからんよ。わからん事だらけだ…。前世とか悪魔とか。……あの男は、火影と海之を知っている様だった。だがふたりの事をダンテとかバージルと呼んだ。……一体」

鈴

「そんな事今はいいじゃない!ふたりが帰ってきたら幾らでもふたりに聞いたら良い!今は関係無いでしょ!!」

箒

「!ご、ごめん…」

シャル

「……火影……お願い」

簪

「海之くん、…早く帰ってきて…」

ラウラ

「………」

 

皆はただひたすら火影と海之の無事を願った。

 

 

…………

 

ガラッ

 

それから数分後、生徒会室の扉が開いた。入ってきたのは千冬だった。

 

千冬

「……」

全員

「「「千冬さん(教官)!!」

 

皆が千冬に一斉に迫る。

 

鈴

「千冬さん!ふたりは!?火影と海之は!?」

簪

「ふたり共無事なんですよね!?」

ラウラ

「教えてください教官!」

シャル

「どこに、どこにいるんですか!?これから帰ってくるんですよね?火影も海之も!」

千冬

「……」

 

千冬は何も答えない。

 

箒

「…千冬さん?」

セシリア

「ど、どうされましたの…?」

千冬

「……」

シャル

「ま……まさか……」

ラウラ

「…嘘だ…」

 

最悪の結末を予想する皆を前にゆっくり千冬は口を開いた。

 

千冬

「……火影と海之は…あの黒いISの撃退に成功した様だ。反応が……全て消えた」

箒

「! 本当…ですか!?」

簪

「…良かった…、本当に、本当に良かった…!」

ラウラ

「…は…はは…ははは!ほらだから言ったろう!私の嫁と弟があんな奴らに負ける筈無いと!!」

シャル

「……ハァ、まっったくもう!…火影も海之も…帰ったら今までなんかと比べ物にならない位お説教だからね!!」

 

皆が千冬の言葉に喜ぶ。……しかし、

 

鈴

「……」

箒

「…どうした鈴…?」

鈴

「……千冬さん、ひとつだけ気になった事聞いて良いですか?」

セシリア

「…私も…今のお言葉でひとつ気になっている事がありますわ…」

ラウラ

「どうしたセシリアまで、一体何が気になると」

セシリア

「……先生。先ほど火影さんと海之さんがあの黒いISを倒されたというお話の後、先生はこう仰いましたよね?「反応が……全て消えた」と」

鈴

「……「全て」って、どういう事ですか…?消えたのがあのIS達だけなら、「全て」なんて付けなくても良いと思うんですけど…?」

シャル

「……あ」

簪

「…そう言えば…」

ラウラ

「…教官…?」

 

先程の喜びは鎮まり、場は再び静寂に戻った。

 

千冬

「…確かにあの黒いISの反応は消えた。間違いない。………だが、それとほぼ同じ瞬間で」

 

そして千冬は続けて言った。皆が最も聞きたくなかった言葉を…。

 

 

千冬

「アリギエルとウェルギエルの反応が、……火影と海之の生体反応が……消えた」

 

 

箒

「!!」

セシリア

「そ……そん、な…」

 

ガラッ!ドタドタドタ……

 

すると鈴達が千冬の横を通りこし、扉を開けて外に出て行った。

 

箒

「皆!」

千冬

「……篠ノ之、オルコット。…あいつらを頼む。京都も学園も、そして黒いIS達も退けた。多分もう次はないだろう…。今日の内はな…」

箒・セシリア

「「は、はい!」」

 

千冬に言われて箒とセシリアも出て行った。部屋に残ったのは千冬だけ……。

 

千冬

「……海之、……火影」

 

千冬の瞳から一筋だけ光るものが流れた……。

 

 

…………

 

ここはとある海の上。空はうっすら夕闇が近づきつつある。

 

鈴

「火影―――!海之―――!」

ラウラ

「ふたり共――!どこだ――!」

 

鈴達は火影達の反応が消えたというポイントに到着してからずっとふたりの姿を探していた…。

 

シャル

「……信じない、…そんなの絶対信じない!」

箒

「プライベート通信も反応しない…。例え気絶しててもISがあるなら通信自体は繋がる筈なのに…」

セシリア

「…おふたり共…どこにいるのですか…」

簪

「…お願い、ふたり共お願いだから…返事をして。………海之くん」

 

…しかし虚しくも聞こえてくるのはふたりを探す彼女達の必死の声と波音ばかり…。

 

 

…………

 

数刻後、生徒会室

 

ガラッ

 

楯無・クロエ・本音・虚

「「「皆(皆さん)!」」」

 

数刻後、箒達は戻ってきた。そこには先に戻ってきていた楯無とクロエ、そして話を聞いた本音と虚もいた

 

箒

「楯無さん…クロエ…、戻ってきていたんですね」

クロエ

「皆さん!兄さん達は!?」

セシリア

「……」

 

セシリアは首を横に振った。空が暗くなりかける頃まで探したがそれでも火影と海之を見つける事は出来なかった。

 

楯無

「…そう…」

本音

「そんな…ひかりんとみうみうが、火影……が…」ガクッ

虚

「本音ちゃん!」

 

それを聞いた瞬間本音は呆然として力なくその場に座り込んでしまった。その目にも力が無い。クロエも今にも泣きそうだが必死にこらえている様だ。

 

クロエ

「兄さん達が……そんな…」

シャル

「暫く探したんだけど…、本当ならずっと探したいけど…、夜の真っ暗な海じゃもっと見つからないから…」

ラウラ

「そうだな。明日もう一度探しに出よう」

鈴・簪

「「………」」

 

ガラッ

 

千冬

「戻ってきたか…」

 

すると千冬が再び入ってきた。

 

ラウラ

「…教官。…はい。残念ながら…ふたりは…見つけられませんでした…」

楯無

「明日朝一で出ましょう。今度は学園の」

 

~~~~~~~

その時千冬の携帯に電話が入った。

 

千冬

「はい。………!!なんだと、それは本当か?………わかった。直ぐに行くからそのままで待っていてほしいと伝えてくれ…」ピッ

シャル

「せ、先生?」

箒

「どうしたんですか?」

千冬

「……お前達、来い」

虚

「私は妹を部屋に連れていきます…」

 

 

…………

 

来たのは島内のある浜辺だった。そこには警察官らしい待っていた。

 

警官

「織斑先生!こちらです!」

千冬

「ご協力ありがとうございます。後は私が引き受けますので…」

 

そういうと警官は去っていった。

 

ラウラ

「教官、ここに何が?」

シャル

「…?あそこ、何かシートがかけられてる」

 

シャルの言う通り、直ぐ近くのあるポイントに小さなシートがかけられていた。

 

千冬

「……」

 

千冬は黙ってそのシートをめくる。

 

全員

「「「!!!」」」

 

それを見た千冬以外の皆の顔に驚きの表情が浮かぶ。

 

千冬

「私も聞いた時驚いたよ……。海の底に沈まなかったのが奇跡的なくらいだ…。まさかこんな遠い場所まで流されてくるなんて。……あいつらの意志なのかもしれんな…」

ラウラ

「そん…な…」

シャル

「……嘘、……嘘だよ…」

箒

「………」

セシリア

「火影さん…、海之さん…」

クロエ

「…兄…さん…」

簪

「………」フラッ

楯無

「簪ちゃん!」

鈴

「~~~~~~~~~~~~!!」

 

 

皆が見たものは……見覚えのある白と黒に輝く拳銃、そして折れた刀の柄だった……。

 

 

…………

 

同時刻 オーガスの部屋

 

オーガス

「………」

スコール

「……どうする?探してみる?」

オーガス

「…何故?」

スコール

「貴方あの子達が気になっていたみたいだから」

オーガス

「いらぬ世話だ。この件は私に全て任せておけば良い。Mの奴はどうだ?」

スコール

「幸い命に別状はないけど重症よ。暫く戦闘は無理ね。他の子達も休ませてあげなきゃ」

オーガス

「そうか」

スコール

「……ねぇオーガス、貴方」

オーガス

「話が終わったのなら下がれ。私は忙しい」

スコール

「………」

 

スコールは何も言わず出て行った。

 

オーガス

「………ふ、ふふふふ、フハハハハハハハ!!」

 

高々と笑うオーガス。そして…

 

オーガス

「遂に、遂にやったぞ!多少の狂いは生じたが大した問題ではない。最大の障壁が無くなったのだからな!ハッハッハッハ…!!」

 

勝利宣言をするのであった…。

 

 

 

?

(…………)




次回より新章です。
※次回は再来週、来月の2日(土)になる予定です。申し訳ありません。
また、前回の告知の通り明日今後のストーリー予告を投稿致します。


DIS・ドッペルゲンガー

オーガスが召喚した漆黒のDIS。無人機。
その姿はアリギエルとウェルギエルに酷似しているが顔部分がバイザーでなく、血の様に赤い目と狂気の笑みを浮かべる口がある。ドッペルゲンガー=「二重の歩く者」という意味があり、その力はアリギエルやウェルギエルと完全に互角でその剣や刀もふたりが持つものと瓜二つである。火影と海之に凄まじい憎しみと殺意を抱いており、見境なく襲いかかってきた。ふたりの必死の抵抗で倒されたらしいが…。
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