IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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一夏と千冬の零落白夜がDアリギエルとウェルギエルに炸裂した。SEに多大なダメージを受け、急激に弱まった二体に追撃のとどめを放つ箒達。
……しかしそれはその直前に突如転移したSアンジェロ達に防がれた。だがその途端庇われたDアリギエル達が助けたSアンジェロ達を破壊、更に戦闘を仕掛けようとするがそんなDアリギエルをなんとDウェルギエルが破壊し、黒きISコアを抜き出してしまう。驚きで言葉を失う一夏達を横目にDウェルギエルは抜き出したコアを飲み込み、その影響か異形な変化を遂げるのであった。
誰しもが驚く中、オーガスだけは笑いながら満足し、出現したそれに新たに名を付けた。その名は……、


Mission163 鬼神ルーヴァ

オーガス

「火の如き情熱で力を求めし獣…。その名をルーヴァ…」

 

モニターに映ったそれにオーガスはそう名付けた。

 

スコール

「…ルーヴァ…?」

オーガス

「宇宙を構成しているといわれる四神の一柱だ。感情と情熱を司り、火に属している」

スコール

「…それで火の如き情熱…ね。…でも力への欲望というのは?それに…なんで植物なのかしら?」

 

スコールの疑問に対し、オーガスは言った。

 

オーガス

「クククク…それはおそらく基となったアレの影響だろう」

スコール

「…あのウェルギエルというIS?」

オーガス

「考えてみるがいい。植物というのはその存在自体が欲望でできている様な物だ。その根は地下から、その茎や葉は地上から糧である水をただ只管に取り込む。動物の様に口だけから取り込むのではなく、全身から生きるための糧を取り込むのだ。自らが腐り落ちるまでな。更に食虫植物等他の命を奪うものや、私が知る中では血を吸う吸血植物等もいる。正に生きるという欲望の塊よ。そして奴も、バージルも同じだ。力に捕らわれ、力を手に入れるために全てを捨て去った。そのために時には…家族も殺そうとした、な。奴のそんな力への欲望があんな姿へと変えたのだろう。実によくお似合いではないか、ふっふっふっふ…」

スコール

「……」

 

スコールはオーガスが言っていることがまるで理解できなかった。昔から謎が多く隠し事が多いのはよく知っているが最近は特にわからない事が多い。特にあの火影と海之に関する事だとそれが顕著に表れる。

 

スコール

「……ねぇオーガス、……貴方は何なの?」

オーガス

「…何でもない。私はオーガス・アクスというひとりの人間だ。最早な。…クククク…、フハハハハハ…!」

 

 

…………

 

場所は戻り、ルーヴァと対峙する一夏達。そのルーヴァは沈黙していた。

 

ルーヴァ

「……」

ラウラ

「何を黙っている!何とか言ったらどうだ!」

ルーヴァ

「…塵と話す事など…無い」

「! 私達が塵だと!」

「10対1で随分調子づいてくれるじゃないの!形が変わったからと言って調子乗るんじゃないわよ!」

楯無

「待ちなさい!こいつはさっきまでの奴とはちが」

 

 

ゴォォォォォォォォォォォォッ!!

 

 

するとルーヴァの真上に突然巨大な火球が出現した。その大きさと形成スピードはメテオよりも遥かに大きく、早い。

 

セシリア

「なっ!?」

クロエ

「あんな大きい火球を一瞬で!」

 

…ズドォォォォンッ!!

 

そしてルーヴァは何も言わずいきなりそれを放ってきた。

 

一夏

「危ねぇ!!」

「氷の壁!!」

シャル

「カーテン最大!!」

 

回避が間に合わないと思った皆の前に防御技をもつ一夏、簪、シャルが防ごうと前に出る。

 

ゴォォォォォォォ…ドガァァァァァァァァンッ!

 

一夏

「うわあああああ!」

シャル・簪

「「きゃあああああ!」」

 

盾やカーテンを合わせてなんとか防ぐ事はできたもの、その攻撃の衝撃を防ぎ切れずに後ろに吹き飛ばされた。

 

一夏

「ぐっ、くくく…」

「なんて爆発力…!」

「一夏!大丈夫か!」

楯無

「簪ちゃんシャルロットちゃんも大丈夫!?」

シャル

「は、はい…なん、とか…」

「私も大丈夫だよ…」

一夏

「俺も問題ねぇ…。でもイージスじゃなければ危なかった…!」

ラウラ

「三人の防御をもってしても完全に防ぎ切れないとは…!」

 

ヴゥヴゥヴゥヴゥヴゥンッ!

 

すると今度はルーヴァの上にいくつもの空間の捻じれの様なものが出現した。

 

「! な、何!?」

 

ビュビュビュビュビュビュンッ!!

 

そしてそこから無数のレーザーが飛び出してきた。

 

千冬

「! 全員散開しろ!」

 

千冬の一言でそれぞれに分散する。……しかしレーザーは全員を追いかけてくる。

 

セシリア

「偏光射撃!?」

 

なんとか振り払おうとするがレーザーはどこまでも追いかけてくる。

 

「なんて正確な追尾なの!」

楯無

「逃げきれないと判断すればなんとか撃ち落とすか防御するしかないわ!」

シャル

「了解です!」

「…くっ!トムガールの影響で出力が落ちている。なんとか撃ち落とすしか」

 

ヴゥンッ!ズドンッ!

 

その時箒の正面にも転移が出現し、そこからレーザーが飛び出してきた。

 

「なっ!?」

千冬

「篠ノ之!」

 

挟まれる形になる箒。

 

一夏

「箒――!」

 

ババババババババババッ!

 

その時一夏が箒の後ろに入り、自分と箒の後ろから迫っていたレーザーをイージスで受け止める。

 

「一夏!」

一夏

「箒!正面!」

「! ああ!」

 

バババババババババ!

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

箒は天月と空烈をクロスさせてレーザーにぶつけ、何とかそれをかき消した。

 

「はぁ…一夏!なんて無茶を!」

一夏

「大丈夫だ!それより俺達は出力が大幅に落ちてる!連携して一緒に攻撃を食い止めるぞ!」

「ああ!」

 

やがて逃げきれないと判断した他の皆もそれぞれの防御手段を講じたりして撃ち落とす。

 

千冬

「全員無事か!」

「は、はい!危なかった…ガーベラの急加速にも瞬時に対応してくるなんて…」

セシリア

「あの敵…なんて無数のレーザーを撃ちだすんですの!」

ラウラ

「やられっぱなしって訳にはいかん!応戦するぞ!」

 

ラウラの一言で其々がルーヴァを囲むように遠隔武装を持つ者が攻撃態勢に入る。一方のルーヴァは何も動きが無い。

 

ルーヴァ

「……」

「こんな時でもだんまりなんてほんっと舐めてくれるわね!…開けガーベラ!」

シャル

「リヴェンジ!」

「山嵐!」

クロエ

「カリギュラ!」

セシリア

「行きなさいケブーリー!」

 

ズドドドドドドドドドド!

ズギュ―ン!ズギューン!

ズドンッ!

 

鈴達の攻撃が一斉にルーヴァに向かう。……しかし、

 

 

カッ!…ドドドドドドンッ!!

 

 

攻撃は届かなかった…。正確には届かなかったのではなく、シールドらしきものに当たった瞬間、鈴達が撃った攻撃は全て跳ね返されてきた。

 

「なっ!跳ね返された!?」

シャル

「皆!避けて!」

 

鈴達は慌てて急速回避する。だが簪の撃った山嵐のミサイルとセシリアのケブーリーがバラバラに分散されてしまい皆に襲い掛かる。

 

ズドドドドドドドドドドドッ!

 

「まずい!食い止めるぞ!」

一夏

「うおぉぉぉぉぉ!」

楯無

「皆はやらせない!」

「お姉ちゃん!」

ラウラ

「クロエさん!大丈夫ですか!」

クロエ

「ラウラ!」

千冬

「オルコット!ケブーリーを戻せ!」

セシリア

「は、はい!」

 

……そしてなんとか皆で力を合わせて防御したり撃ち落としたりして食い止めた。

 

一夏

「ふぅ~なんとかな」

 

 

シュヴァァァァァァァァァ!!

 

 

すると間髪無く今度はルーヴァから複数の何かが飛び出してきた。よく見ると

 

クロエ

「また何か仕掛けてきました!」

楯無

「な、何?…あれ、あいつの根っこ!?」

千冬

「全員避けろ!」

 

再びの攻撃に態勢を立て直す暇もなく避ける。だが、

 

ガシッ!

 

鈴・簪

「「!!」」

 

鈴と簪が避け切れず、それに捕まってしまった。そして、

 

キュイィィィィンッ!

 

突然何かの違和感を感じるふたり。

 

「…!?」

「な、何!?」

シャル

「鈴!」

ラウラ

「簪!」

 

ズバッ!ズバッ!

 

シャルとラウラが捕まっているそれを断ち切る。

 

シャル

「大丈夫ふたり共!?」

「え、ええ!ありが」

「…見て!」

 

…しかし断ち切られた枝から再び新しいものが再生される。

 

ラウラ

「再生しただと!?」

「皆気を付けて!あれに捕まったらなにかおかしい!」

一夏

「おかしいって何がだよ!?」

「わかんないわよ!でも何かおかしかったの!」

「だがいつまでも避けられないぞ!」

千冬

「私が行く!お前達は捕まらない様防ぎ続けろ!」

セシリア

「は、はい!」

 

千冬はそう言うと自らルーヴァに突進する。その間ルーヴァから延びる枝が襲い掛かるが千冬はそれを断ち切りながら進む。

 

千冬

「こんな攻撃で私を止められると思うな!」ドゥルルルルルン!

 

レッド・クイーンのグリップを回しながら千冬は斬りかかった。

 

千冬

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

しかし、

 

 

ドォォォォォォォォォン!!

 

 

千冬

「うあああああ!!」

 

突然千冬の身体が吹きとばされた。様子からして正面から何かが突然襲い掛かってきて避け切る事ができず、まともに喰らった様だった。

 

クロエ

「織斑先生!」

「千冬さんがいきなり吹き飛ばされた!?」

 

そんな千冬にルーヴァの枝が伸びるが、

 

一夏

「千冬姉!」…ズバッ!

 

それを間一髪で一夏が断ち切る。

 

一夏

「千冬姉!大丈夫か!?」

千冬

「あ、ああ…心配するな。衝撃は凄かったがダメージはそれほどではない…」

シャル

「今何があったんですか!?僕達から何も見えなかったんですけど!?」

セシリア

「え、ええ。まるで目に見えない攻撃が当たったかの様に…!」

「目に見えない攻撃……!まさか!」

 

とその時、

 

ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 

クロエ

「きゃああ!」

ラウラ

「ぐあ!」

「うわあっ!」

 

何かが当たったのかクロエ達が吹きとばされる。だがレーザーや火球の類ではない。

 

楯無

「皆!」

「…間違いない!あれは龍咆!つまり衝撃砲だわ!」

一夏

「な、何だって!なんでそれが奴に!?」

 

ズドドドドドドドドドッ!

 

すると今度は威力は低いが連射してそれが発射されてきた。それは間違いなく龍咆の連射だった。

 

セシリア

「くっ!これもなんて連射!」

「衝撃砲なら射程が短い筈!皆奴から離れて!」

一夏

「皆俺の後ろにいろ!イージスなら防げる!」

 

そして皆はルーヴァから急いで距離を取る。鈴の言う通り離れると衝撃砲による攻撃は止んだが、

 

 

ズギュ―ン!ズギューン!

 

 

今度はルーヴァから荷電粒子砲が発射されてきた。

 

「今度は荷電粒子砲だと!」

一夏

「くっ!」ババババババババババッ!

 

一夏はそれを衝撃砲と同じくイージスで防ぐが度重なる攻撃に一夏自身息が上がっていた。

 

一夏

「ハァ…ハァ…くっ」

箒・セシリア

「「一夏(さん)!」」

千冬

「一夏よせ!全て受け止めようとするな!」

一夏

「だ、大丈夫だ…俺にはイージスがある!」

楯無

「それでも体力が無理でしょ!」

ラウラ

「それにしてもなんて猛烈な攻撃だ!……どうした簪?」

「…似ている。今の荷電粒子砲、似てるの…春雷に!」

 

簪は先程ルーヴァが放った荷電粒子砲の色や勢いを見てそう思っていた。

 

シャル

「それって…あいつが簪の荷電粒子砲をコピーしたって事?」

「私の龍咆といい…でもどうや……!」

 

その時ひとつの可能性が浮かんだ。

 

クロエ

「まさか…先ほどおふたりが捕まったあの根でしょうか!?」

 

 

「血吸の根(データ・ドレイン)」

 

ルーヴァの身体に纏わりついている根による攻撃。伸ばして襲い掛かってくる。これに纏わりつかれると急速にISの基本データや武装データが盗まれてしまう。盗まれたデータはすぐさまルーヴァ内で解析され、自らの力と変えてしまう。ただし魔具やデビルブレイカー等の「元来この世のものでない物」はコピーできない。しかし逆に言えば通常のISの装備では絶対倒せない事も意味している。根自体に耐久性は無いため斬撃などで切断可能だが、切断部からすぐに新しい根が再生されてしまうので根本的な解決にはならない。

 

 

ズドドドドドドドドドドドドッ!

 

すると今度は無数の光輝くミサイルの様なものが襲い掛かってきた。一夏達はそれを避けたり撃ち落としたりしながら防ぐがその数にやや圧倒される。

 

一夏

「くっ!これじゃジリ貧になっちまう!」

「しかしこれは…まさか山嵐か!」

楯無

「クロエちゃんの言う通りさっきの根っこが原因みたいね!多分ほんの少しでも捕まったらデータが抜き取られるんだわ!」

「どんだけ貪欲なのよ!」

シャル

「じゃあ戦いが長引くほど僕達にとって不利だよ!僕達皆SEにもう余裕ないし、早く倒さないと!」

「でもこんな攻撃が続いてたらとても仕掛けるどころじゃないわ!」

千冬

「もう一度私が零落白夜を狙う!お前達は」

 

千冬は下がっていろと言うつもりだったが皆はそれを拒否する。

 

一夏

「おっと千冬姉!そうはさせないぜ!」

ラウラ

「私達も行きます教官!」

楯無

「千冬さんだけにかっこいい事させませんよ!」

「私達言ったでしょう!皆で勝ちましょうって!」

セシリア

「そうですわ!ひとりでは無理でも皆なら可能かもしれませんし!」

千冬

「…お前達」

「皆!龍咆は真っすぐにしか飛ばせない!とにかく動きを止めないで!」

クロエ

「わかりました!」

シャル

「防御は僕と簪に任せて!」

「必ず守ってみせるから!」

千冬

「…わかった。行くぞ!」

全員

「「「おう(はい!)」」」

 

ドドドドドンッ!!

 

そして皆はルーヴァに向かって突進する。対してルーヴァは複数の火球や転移レーザーで攻撃、近くにいる者には衝撃砲や根を飛ばして攻撃してくる。

 

ルーヴァ

「…人間如きが…まだ歯向かうか」

一夏

「甘く見るなよ!俺達の底力を見せてやる!」

 

避けているその間、皆は射撃を試みるがやはりシールドに全て跳ね返されてしまう。

 

ラウラ

「くっ!なんて強力なシールドだ!」

楯無

「多分あの黒い奴らよりも強化されてる筈よ!おそらく銃器では殆どノーダメージ。やっぱり近接をしかけるしかない!」

セシリア

「となるとやはり零落白夜しかありませんわ!」

「皆!千冬さんを守れ!」

「わかった!」

 

そして皆は千冬を守るように連携して配置につき、全力で攻撃を防ぐ。

 

ガシッ!

 

楯無

「くっ!しくじった!」

「お姉ちゃん!」ズバッ!

 

ドォォォォンッ!

 

「ぐっ!くっそぉ!」

「止まっちゃ駄目!動き続けて!」

 

途中根に接触したり被弾するが気にしてはいられない。自分達が勝つには零落白夜を当て、その隙を攻撃するしかない。そう思ったからだ。

………そして多少の被弾を受けつつもルーヴァへのルートが開きつつあった。

 

ラウラ

「もう少しだ皆!」

ルーヴァ

「…塵が。俺に近づくな」

 

ギュオォォォォォ……ズギュ―——ンッ!!

 

するとルーヴァが手をかざし、それまでよりも大出力の荷電粒子砲を撃ってきた。

 

クロエ

「! でかい!」

一夏・箒

「おおおおおおお!」

鈴・シャル・簪

「「「はああああああ!」」」

 

ババババババババババババッ!!

 

一夏達は自分達の防御能力を合わせ、全力で防ぐ。

 

一夏

「ぐっ!今だ千冬姉!」

千冬

「ああ!」ドンッ!

 

一夏達を跳び越す様に瞬時加速でルーヴァに向かう千冬。

 

千冬

「人間相手なら躊躇うところだが貴様は別だ!SEが尽きてもいい!この零落白夜に全てを籠める!」

 

キュイィィィィィィィィィンッ!!

 

千冬のレッド・クイーンが光り輝く。

 

「千冬さん!」

一夏

「行け!千冬姉!」

千冬

「喰らえ!零落白夜ぁぁぁ!!」

 

千冬の渾身の零落白夜がルーヴァに直撃する…

 

 

ルーヴァ

「……愚かな」

 

 

…ズンッ!!!

 

 

千冬

「!?」

 

筈だったが…それは届かなかった。もう少しというところで、千冬の身体が止まった。……いや正確には少し違った。

 

千冬

(な、何だ…身体が…!?)

 

突然全身に強い圧力の様なものを感じ、全くと言ってもいい位身動きが取れなくなった。そんな千冬の様子に一夏達は困惑する。

 

ラウラ

「教官!」

「千冬さん!?」

「な、何!?先生の身体が…まるで硬直した様に!」

シャル

「SE切れ…ううん、そんなのじゃない…一体何が!?」

ルーヴァ

「…これが、真の力だ…」

 

ギュオォォォ……ドォォォォォンッ!

 

ルーヴァは動けない千冬に向かって火球を生み出し、喰らわせた。無防備の千冬はそのとてつもない一撃に吹き飛ぶ。

 

千冬

「ぐあああああああ!!」

一夏

「千冬姉!」

 

後方に飛んできた千冬を受け止める一夏達。

 

「千冬さん!大丈夫ですか!」

千冬

「ぐっ…あ、ああ…」

楯無

「…!皆気を付けて!あいつ何かしてくるわ!」

 

すると楯無の言う通り、ルーヴァが手を翳す。

 

…カッ!!

 

…だが光っただけで何も起こらない。

 

セシリア

「…? なんですの?」

クロエ

「何も…起こらな…!!」

 

 

ズンッ!!!

 

 

その時、一夏達の身体に違和感があった。

 

一夏

「な、なんだ!?」

シャル

「身体が…重い!!」

ラウラ

「い、いや、重いだけじゃない!…動けない!」

「く…苦しい!」

 

一夏達が皆、先ほどの千冬と同じ様に全く動けない状態になっていた。

 

「どうなってんのよ…一体!」

千冬

「これは先ほどと同じ!」

 

ヴゥンッ!

 

その時ルーヴァが一夏の目前に素早く転移した。

 

一夏

「!」

ルーヴァ

「…砕けろ」

 

ドゴオォォォォォォッ!

 

ISの手のサイズよりも大きいルーヴァの拳による正拳突きが一夏に喰らわされた。その強烈な一撃に吹き飛ぶ。

 

一夏

「ぐああああ!」

千冬

「一夏!」

 

…シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…

 

すると同時に周囲に何かが発生していた。水蒸気…、霧の様である。

 

「な、何?…霧?」

楯無

「霧…!まさか!!」

ルーヴァ

「消えされ」

 

ドガァァァァァァァァァァン!!

 

千冬・箒・ラウラ

「「「うわあああああ!!」」」

セシリア・鈴・シャル・簪・楯無・クロエ

「「「きゃああああああ!!」」」

 

続けて凄まじい爆発が身動き取れない千冬達に直撃した。それは…ミステリアス・レイディのクリア・パッションであった。

 

 

…………

 

オーガス

「クククク…、素晴らしい、実に素晴らしい…」

スコール

「……なんて力なの…。消耗しているとは言っても…あの織斑千冬でさえ手が出ないなんて…」

 

スコールはルーヴァのその恐るべき力に少々恐怖すら感じていた。

 

オーガス

「フン。ブリュンヒルデとはいえ所詮は人間。限界はある。それが来てしまえば普通の人間と変わらん。それが魔との決定的な差よ」

スコール

「…え?魔って…?」

オーガス

「……気にするな。…ふっふっふっふっふ」

 

 

…………

 

一方、ルーヴァの攻撃が直撃した一夏達は成すすべなく吹き飛んでしまっていた。

 

千冬

「ぐ、くっ…!」

楯無

「クリア・パッションまで…。なんて…力、なの…!」

 

ダメージは甚大、SEも殆どない。既に警告も出ている者もいる。これ以上下手に消費すればISを支えるだけの力が無くなり、やがては海へ落ちてしまうだろう。完全に満身創痍。そんな一夏達に向かってルーヴァはすぐ近くに転移し、

 

ルーヴァ

「貴様ら如きの力等、俺には何の意味もない…」

「おの…れ…!」

クロエ

「…諦める、訳には…束様を…お助けするまでは…!」

 

 

バババババババババッ!

ヴゥーーーン!

ドドドドドドドンッ!

 

 

ルーヴァの周囲に無数の火球、転位レーザーの砲口、山嵐の粒子ミサイル、手から荷電粒子砲等多くの武器が一度に展開され、発射態勢に入る。

 

千冬

「!!」

ラウラ

「あ、あんな大量の攻撃を一度に展開だと!?」

セシリア

「まさか…全てを撃ってくるつもりですの!?」

「そんな…あんなのまともに受けたら!」

ルーヴァ

「恐れる事はない…痛みは一瞬だ。地獄で奴らと再会するがいい。ダンテとバージルにな…」

「ふ、ふたりは火影と海之だって何度言ったらわかんのよ!」

ルーヴァ

「奴らはこの海の底で静かに眠っている。貴様らも逝くがいい…」

ラウラ

「くっそぉぉぉ…」

「もう…ケルベロスを出す力も…残ってない…」

シャル

「頑張ったのに…、もう少しだったのに…」

楯無

「本当に…ここで終わりなの…?」

 

全員が絶望的状況になる。だが、

 

一夏

「ごちゃごちゃ煩せぇ…!」…グッ!

 

ただひとり、一夏だけは違った。雪片を握りしめ、ルーヴァに向ける。

 

「一夏!」

一夏

「あいつらは…火影と海之は死んじゃいねぇ!必ず…必ず火影と海之は戻ってくる!だか、ら…それまで…俺が、頑張るんだ!」

千冬

「一夏よせ!そんな状態ではもう無理だ!」

一夏

「大丈夫だ!皆!千冬姉!俺の周りに集まってくれ!」

セシリア

「え?」

一夏

「いいから早く!」

 

言われて皆は一夏の後方に固まる。

 

一夏

「皆、その場から動くなよ!」

楯無

「何をするつもりなの一夏くん!?」

ルーヴァ

「…貴様如きが何をしようが…俺に傷ひとつ付ける事はできん」

一夏

「…確かに…千冬姉でも無理なのに今の俺なんかが敵う筈もねぇ…。そんな事はわかってるさ。だけど…お前さっき自分が絶対の力っつったな?ならせめて…それが間違いだって事を教えてやるぜ!」

 

そして一夏は再びイージスの盾を構える。

 

「一夏!お前まさかあの攻撃を全て受け止めるつもりか!?」

「無茶よ!いくらその盾でもあんな大量の攻撃!ひとつひとつでも極めて強力なのに!」

シャル

「僕達のカーテンやシールドを掛け合わせてもあんなの絶対無理だよ!」

 

誰もがそう言うのは当然だろう。しかし一夏は言う。

 

一夏

「大丈夫だ!俺を信じろ!」

クロエ

「一夏さん…?」

一夏

「俺の今の役割は…火影と海之が戻ってくるまで…あいつらの分まで皆を守る事だ!」

千冬

「一夏…お前…」

ルーヴァ

「…いいだろう。ならば仲良く…死ぬがいい」

 

ギュオォォォォォォォ……

 

そして全ての攻撃が発射直前になり、

 

「! く、来る!」

ルーヴァ

「…消えろ」

 

 

ズドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!

 

 

ルーヴァが展開した攻撃が一斉に発射された。

 

全員

「「「!!」」」

一夏

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

……ドガアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

火球、レーザー、粒子ミサイル、荷電粒子砲と、それらが一斉にぶつかり、これまでにない様な凄まじい爆発と爆煙を起こした…。

 

ルーヴァ

「……」

 

灰塵とかしたであろう一夏達を黙ってただ見ているルーヴァ。

………するとその時、

 

ルーヴァ

「……?」

 

ルーヴァは目をやや細める。…見ると煙の中で何かが光っている。黄色い…黄金色の光が。

……そして、

 

 

…シュバァァァァァァァァァァ…

 

 

その光がルーヴァの攻撃によって起こした煙を払う。

 

ルーヴァ

「…!」

 

そして今度は目を見張った。そこにあったのは、

 

 

一夏

「………」

 

 

一夏と、そして周りにいる千冬や箒達を守る様に展開している金色に光輝く壁だった。

 

千冬

「こ、これは…」

「…光の…壁…?」

 

 

「極光の盾「Aegis」」

 

零落白夜に変わる白式・駆黎弩の単一特殊能力(ワンオフアビリティー)。イージスの盾に自らのSEを回し、全ての力を開放する事で発動。30秒間自分を含めて一定範囲内にいる者の周囲に単一特殊能力含め、あらゆる攻撃を完璧に防ぐ金色に光輝く壁を張る。白式・雪羅の零落白夜結界の超発展型であり、一夏の守るという強い信念が生み出した唯一無二の防御機構。しかしその反面消費SEも非常に大きく、一度使用すると半分以上のSEを消費し、更に30分間使用不能になる。

 

 

「…綺麗」

ラウラ

「今の攻撃を…完全に防いだというのか…」

シャル

「…凄い」

セシリア

「…ええ。…まさに奇跡ですわ…」

「これが新しい白式の力…」

楯無

「…いえ、これは単に白式だけじゃない。一夏くんの意志の力が生み出したんだわ」

クロエ

「…一夏さんの意志の力…」

 

…やがてゆっくりとその光の壁は消えた。

 

ルーヴァ

「……」

一夏

「…へへ…どうだ!お前の攻撃を全部防いでやったぜ!塵って馬鹿にしてた俺達にだ!お前の力も絶対じゃねぇと言うことだ!」

 

自慢気にそう言い放つ一夏。そんな一夏の声を聞いてルーヴァの声の様子が変わる。

 

ルーヴァ

「………人間如きが…。虫けらにも劣る塵芥の如き分際でこの俺の力を妨げるとは…、やってくれたな…」

 

ドンッ!…ガシッ!

 

一夏

「!」

 

その時一本の根が一夏の首を掴み、そのまま引き寄せられてルーヴァの手に一夏が捕らえられた。シールドがあるので実際掴まれているわけでもないのに、その力は確かに首を絞められているそれと同じ苦しみを一夏に与えていた。

 

千冬

「一夏!」

一夏

「ぐっ、ぐっあ!くっ!」

ルーヴァ

「貴様だけは許さん…。後悔させてやる…。もがきながら…殺してやる!」

 

そう言うルーヴァの声は凄まじい怒りを含んでいた。

 

セシリア

「一夏さん!」

「止めろ…、止めてくれ!お願いだ!」

千冬

「くっ!」

 

ズンッ!!

 

千冬

「ぐあっ!」

 

その時先ほどと同じ強い重力の様なものが千冬たちに襲い掛かった。

 

「こ、これはさっきと同じ!」

シャル

「動け…ない…!」

 

皆動きを封じられる。

 

ルーヴァ

「黙って見ていろ…。所詮一時の別れ…直ぐに会える。…地獄でな…!」

楯無

「動いて!動いてよレイディ!」

クロエ

「もう力が…入らない…!」

ルーヴァ

「愚かな人間よ…。生半可な力を持ってしまった事を恨むが良い…。そして…死ね!!」

 

一夏の首を掴むルーヴァの手の力が段々と強まっていく。

 

千冬

「一夏!!」

一夏

「ぐっ、くっ!…ぐあああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

………………ドンッ!!!




※二作投稿の後編でした。
次回は17日(土)投稿予定です。
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