IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
最低でありながらも最高のクリスマスを過ごした彼らは一夏の家で大晦日を過ごし、新年を迎えたのだが…元旦の初詣で火影のひいたおみくじには気になる言葉が書かれていたのであった…。
「強く望めば必ず叶うでしょう…。しかし貴方の大切な時を失うでしょう…」
Mission167 懐かしい家 新しい家
スメリアの空港
騒がしかった正月も終わった頃の事。ここに彼らの姿があった…。
火影
「……ハァ、とうとう帰ってきちまったな…」
海之
「そこまで落ち込む事はあるまい。…とはいえわからなくは無いがな」
クロエ
「大丈夫ですよ火影兄さん。皆さん心配されていた筈です。きっと凄く喜んでくれますよ」
火影
「ギャリソン達はともかくレオナさんだよなぁ~。一体どんな目に合わされる事やら…」
一夏
「千冬姉…少し持ってくれよ」
千冬
「リハビリと思えば楽だろう」
何故彼らがここにいるのかというと話は2日前に遡る…。
…………
織斑宅
正月三ケ日の真ん中である一月二日の朝。この日もまた何時ものメンバーで織斑宅に集まっていると、
簪
「…え?スメリアに帰るの?」
海之
「ああ」
火影
「年明け早々に電話があってな。帰ってこいと言われたんだよ」
箒
「また本当に急な話だな」
鈴
「何時帰るのよ?」
火影
「明後日の飛行機だ。もう今朝予約も取った。帰るっつっても4日間位だけどな」
シャル
「今回はふたりの家からのお迎えは無いの?」
海之
「自家用機等飛ばしたら目立つだろう。だから民間に紛れて帰る」
クロエ
「あと私も同行する予定です」
セシリア
「クロエさんもですか?」
一夏
「あと俺と千冬姉もな」
箒
「一夏と千冬さんも?」
千冬
「火影と海之の事の説明をせねばならんからな。一夏は荷物持ちだ」
一夏
「せめて付き添いって言ってくれよ」
するとやはりかこんな意見が出る。
刀奈
「…ねぇ、私も一緒に行っていいかしら?私スメリア行った事無いのよね~♪」
本音
「はいは~い!私もまた行きたい~!」
ラウラ
「明後日なら私もまだ行けるな」
火影達が帰ると聞いた彼女達も同行しようか話し合う。すると火影がやや真剣な表情をして言う。
火影
「…いや、今回皆はやめとけ」
シャル
「…え?」
鈴
「な、なんでよ火影?」
海之
「……ああそうだな」
簪
「海之くん?」
他の皆からも何故かという言葉が出る。そんな皆に火影が答える。
火影
「皆は自分達の故郷でゆっくりしろ。家族との時間を大事に過ごせ。何時また戦いがあるかもわからねぇんだ。あん時みてぇな命を懸ける様な戦いを、な」
シャル
「……あ」
火影が言っているのは数日前の黒いアリギエル達との戦い。あの時皆は嘗てした事が無いほどの命懸けの戦いを経験した。普段の様な試合でも格闘でもない、ちょっとした油断が死につながる、そんな戦いを。中には本気で死の恐怖を味わった者もいた。
火影
「あん時は先生達や一夏、俺らがたまたま間に合ったから助かった。でも下手すりゃお前ら本当に死んでたかもしれねぇ。命ってのは本当にちょっとした事であっさり決まってしまうもんだって事を…少しは実感しただろ?」
海之
「ああ。…だからお前達も大切な者達との時間を大事にしろ。故郷に戻らないと会えない者もいるだろう」
箒達
「「「………」」」
それを聞いて皆は静かになる。
火影
「まぁそういうこった。だから今回は素直に皆帰れ。土産持って帰ってきてやるから」
ピンポーン
一夏
「お、弾と蘭か。はーい」
…………
そんな訳でそれから二日後、火影と海之、クロエ、一夏、千冬で行く事になった
火影
「……只」
………筈だったが、
本音
「わ~い着いた~♪」
鈴
「久しぶりねぇここも♪」
シャル
「スメリアってあんまり寒くないんだね♪」
ラウラ
「簪、疲れたか?」
簪
「ううん、大丈夫だよラウラ」
箒
「夏とはまた変わった風景だな」
一夏
「しっかしこんな急でよく全員分チケット取れたな~」
セシリア
「以前はおふたりの自家用機でしたものね」
刀奈
「ここがスメリアなのね~。確かに綺麗な国だわ~♪」
千冬
「私も仕事やISの関係で何度か海外に行っているがスメリアは初めてだな…」
……ご覧の通り見事に全員集合していたのだった。
火影
「なんでお前らまでついてくるんだよ…」
鈴
「まぁまぁそう言わないでってば。ちゃんと今回の旅行が終わったら皆それぞれ帰るわよ♪」
火影
「けどまさか全員とは…」
シャル
「ねぇ火影。この前言ってたでしょ?後悔しない様大事な人と一緒にいろって。確かにそうだよ。僕にとってはお父さん達もとても大事な人達だよ。本当は僕は帰る気はなかったんだけど火影と海之の話を聞いて帰ろうって思ったし」
火影
「だったら…」
本音
「でもねひかりん~。ひかりんやみうみうも大事なんだよ~?だから間違ってないよ~」
簪
「…うん。海之くんや火影くんも私達が一緒にいたい人達なの」
ラウラ
「そういう事だ。異議は認めん」
海之
「…ハァ」
刀奈
「今回ばかりは完敗ねふたり共♪」
箒
「私も叔母さんの家は近いからな。帰ろうと思えばすぐに帰れるさ」
セシリア
「私も鈴さん達と同じでこの旅行が終わり次第すぐに帰りますわ」
そういう箒とセシリアは一夏と一緒にいたいというのが本音である。
海之
「しかし以前の様にあまりゆっくりはできんぞ?4日目は午前に帰るし、明日は一日予定も入れているからな」
一夏
「そういえばそんな事言ってたな。構わねぇよ。どんな事やるんだ?」
火影
「それについてはお楽しみさ。……んじゃ行くか」
そして一行は家からの迎えの車に乗り、自宅へと向かった…。
…………
エヴァンス邸
そして15分ほど走り、火影と海之の家の前。
千冬
「ここがお前達、いやエヴァンス夫妻の御自宅か…」
刀奈
「面白い形ね~!でも和と洋が上手く組み合わされてるわ~」
本音
「お庭に雪まだ残ってたね~。後で遊ぼうよ~」
鈴
「いくつよアンタ一体…。なんかまだ半年も経ってないのに妙に懐かしいわね…」
そんな感じで皆話している中、火影と海之はどことなく元気が無かった。
火影・海之
「「……」」
箒
「どうしたふたり共、折角帰って来たんだぞ?」
セシリア
「そうですわ。早くお顔を見せて差し上げてください」
火影
「…そうだな。……皆扉から、いや俺達から離れてろ」
一夏
「へ?なんで?」
海之
「いいから離れてろ。…念のためだ」
全員
「「「??」」」
言われた通り全員が門を開けようとしている火影と海之から離れる。そしてふたりが扉に手をかけ、ほんの少し開けた瞬間、驚く事が起きた。
…ガチャッ、バキィィィィィィィィィィィ!!……ドサッ!ドサッ!
全員
「「「!!」」」
千冬も含め全員が目を見張り、言葉を失った。ふたりが扉を開けた瞬間、中から何かが飛び出してきてそのままふたりを殴り飛ばしたのであった。その勢いは凄まじく、ふたりが5メートル位吹き飛ばされる。余程効いたのかふたりはそのまま動かない。
鈴
「ひ、火影!?」
簪
「海之くん!?」
刀奈
「い、一体何が……!!」
一夏
「…げっ!!」
玄関の方を見た刀奈や一夏が何やら青ざめた顔で震えている。そこにいたのは、
レオナ
「…………」
憤怒、というものはこういうものなのだろう。阿修羅の様な凄まじい怒りの形相、目は白目で若干不気味に光っている様にも見えるレオナがいた。そのレオナは吹き飛ばしたふたりしか目が入っていないのか一夏達の事は気付かない。
シャル
「れれれれれレオナさん!?」
レオナ
「…こぉんの馬鹿ガキ共がぁぁ…、よくも顔を見せる事が出来たものだなぁぁ…」
ラウラ
「おおおおお落ち着いてくださいレオナさん!気持ちはよくわか」
ギュン!!
シャル・ラウラ
「「!!」」
レオナの威圧感と目力にシャルとラウラは金縛りの様に動けず、何も言えなくなってしまう。
レオナ
「…人をあれほど心配させておいてぇぇ…年の終わり寸前まで連絡を寄越さないとはぁぁ…」
箒
「おおおおお願いしますレオナさん!どうか落ち着いてください!」
簪
「ふ、ふたりが連絡できなかったのは事情が」
ギュン!!
箒・簪
「「!!」」
箒と簪も同じく。
レオナ
「…どうやらお前達は人を心配させるのも余程頭がいい様だなぁぁ…」
全員が怒りの業火らしきオーラを発している様にも見えるレオナに近づけない。ゆっくり歩くその姿は正に鬼であった。
本音
「あ、あわわわわわわわわ!!」
鈴
「やばい!このままじゃふたりが殺される!何とかしないと!」
千冬
「……構わん、好きにさせて差し上げろ」
セシリア
「先生!?し、しかし!」
一夏
「いやいやこのままにしておけるかよ!何とか止めないと!」
そして一夏は倒れているふたりの前に入り、レオナを止めようとするが、
レオナ
「…退け」ガシッ!ブゥンッ!!
一夏
「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
一夏はレオナに掴まれるとそのまま放り投げられてしまった。怒りで一夏の顔も忘れているのか。
箒・セシリア・刀奈
「「「一夏(さん又はくん)―――!!」」」
クロエ
「か、片手であんな簡単に!」
簪
「どどどどどうしよう!」
千冬
「いいから放っておけ」
シャル
「で、でも…」
そしてレオナはとうとうふたりの足元まで来た。火影と海之は気絶しているのか倒れたまま動かない。
ガシッガシッ
そしてレオナは気絶したままの火影を右手で、海之を左手で宙に持ち上げる。
ラウラ
「あ、あんな細身でふたりをあんな簡単に持ち上げるなんて…!」
刀奈
「しっかりしなさいふたり共!気絶が永眠になっちゃうわよ!」
クロエ
「起きて下さい兄さん!!」
火影・海之
「「……」」
全員がふたりに起きる様告げるがふたりは目覚めない。そんなふたりをレオナは黙って見上げる。……すると、
ガシッガシッ
全員(千冬と吹き飛ばされた一夏以外)
「「「!!」」」
レオナは気絶したままの火影と海之の身体を力強くその腕で抱きしめた。、
レオナ
「……この…馬鹿…!!……本当に……散々心配させおって……!!」
悪態をつきながらもレオナは涙していた。
レオナ
「お前らに、お前らに何かあったら……、私は…兄さんと義姉さんに…二度と顔向け…できんではないか!…馬鹿野郎!…う、うぅぅ」
まるでその姿は息子ともいえるふたりの無事を喜ぶ母親の様だ。
鈴
「……あれ?」
簪
「…大丈夫…だね?」
千冬
「だから言ったろう?放っておけと」
ラウラ
「教官…わかっていたんですか?」
千冬
「いやどちらでも良かったと思っただけだ。今の様な事になるならそれで良いし、殴られてもそれで良し。それだけの心配をおかけしたのだから当然だ」
シャル
「あ、あははは…」
クロエ
「ま、まぁレオナ様は豪快ですがお優しい方ですからね…」
本音
「ね~、おりむ~は~?」
箒
「はっ!そ、そうだった!」
刀奈
「すっかり忘れてたわ!」
セシリア
「一夏さん今参ります!」
その当の一夏は20メートル程先にある木に引っかかってのびていたのだった…。
…………
それから数分後。漸く火影と海之、そして一夏が目を覚ました。
クロエ
「兄さん、一夏さん。だ、大丈夫ですか?」
一夏
「ひ、酷い目にあった…」
火影
「……なんだろな?……玄関開けたとこまでは覚えてんだが…」
海之
「……何があったのだあの後?」
簪
「え、えっと…それは…」
鈴
「聞かない方がいいと思うわよ…」
火影・海之
「「…?」」
一方騒ぎを起こしたレオナはすっかりもとに戻っていた。
レオナ
「ハッハッハ!いやいやすまんな織斑くん!私としたことが怒りに我を忘れて見失ってしまっていた!」
一夏
「ま、まさかまた放り投げられる様なことになるなんて思わなかった…」
ギャリソン
「本当に申し訳ありません皆様方…。私共も強くお停めしたのですがレオナ様がどうしてもと仰せられましてので…」
火影
「気にすんなギャリソン、お前のせいじゃない。今回は俺らが悪いんだし。……あとただいま」
海之
「…心配をかけて申し訳なかった」
ギャリソン
「とんでもございません。おふたりの御無事を知れただけで…私も皆も…」
レオナ
「はいはいギャリソン!湿っぽいのはもう無しだ!お客人の方もいるのだからシャキッとしろシャキッと!あと今晩はお前に腕を振るってもらうぞ♪」
そして以前来た者達はレオナやギャリソンや館の者達との再会を喜び、次に、
レオナ
「…貴方がたは初対面だな。初めまして、先ほどは失礼を。恥ずかしながらESC代表を勤めさせてもらっているレオナ・エヴァンスです。宜しく」
ギャリソン
「ギャリソンと申します。この館の執事長を務めております。以後お見知りおきを」
千冬
「こちらこそ初めまして。IS学園の教諭で担任の織斑千冬です」
刀奈
「IS学園二年生、更識刀奈です。宜しくお願い致します」
レオナ
「これはこれは…伝説のブリュンヒルデとそして更識と言えば日本の名家。お会いできて光栄です」
千冬
「そんな大したものではありませんよ」
刀奈
「私の事も全然気になさらないでください」
そんな風に初対面の挨拶をしたのだが…
レオナ
「………不思議だ。なんでかよくわからんが…始めて会った気がしない」
千冬
「レオナ殿もですか?…私もなんです」
刀奈
「実を言うと私も…」
箒
「…なんででしょう?私達も…何かこの光景見覚えがあるような…」
一夏
「そうか?俺はそんな気無いけど?気のせいじゃないか?」
セシリア
「そうですわよね…きっと」
そんな感じで女性陣は不思議な感覚を持ったのだった。
火影
「まぁとりあえず皆は客室に荷物を置いてきな」
シャル
「あ、そうだね」
本音
「じゃあ部屋の割り当てどうする~?」
…話し合った結果、箒とセシリア、シャルとラウラ、鈴と本音、簪と刀奈、一夏と千冬、と順当に決まった。残ったのはクロエひとり。すると、
ギャリソン
「クロエ様にはお部屋をご用意しております」
クロエ
「…えっ、わ、私に部屋ですか?どうしてそんな…」
火影
「お前は俺らの義妹だろ?だからさ。まぁお前は普段は束さんと暮らしてるがここに来た時のためにな」
海之
「予定外だったために俺達の部屋よりも少し小さくなってしまうが良ければ使ってくれ」
レオナ
「クロエちゃんの事はふたりから聞いてるよ。遠慮しなくていいさ」
クロエ
「……皆さん…」
クロエは彼らの心使いに胸が熱くなる想いがした。
…………
ガレージ
荷物を置いた後、火影はガレージに来ていた。そこでは何時もの様にニコが仕事をしていた。
火影
「よぉニコ。帰ったぜ」
ニコ
「…火影!ほんとにお前なんだな!」
火影
「当たり前だろ?死んだと思ったのか?」
ニコ
「……へっ!オマエや海之が簡単に死ぬわけねぇだろ!?俺ははなから生きてるって思ってたぜ!」
そう言うニコだが火影は一瞬彼が鼻をすすったのに気づいていた。
火影
「…心配かけて悪かったな」
ニコ
「…何言ってんだよ?俺は死んだなんて思ってねぇって言ったろ?」
火影
「…ふっ、そうだな。悪いがこっちにいる間キャバリエーレの整備を頼む。今冬休み中だろ?俺じゃおめぇ程上手くできねぇからな」
ニコ
「たく手荒く使いやがって。…任せな!一日でサラッピンみたいに仕上げてやるぜ!」
火影
「頼むぜ」
そんな感じでふたりが再会を喜んでいると、
鈴
「火影~」
やって来たのは鈴、シャル、本音の三人。
火影
「おうお前ら、どうした?」
シャル
「火影を探してたんだ。部屋にいなかったからここかなって」
本音
「皆でお出かけしようよ~♪」
火影
「そうか。う~んどこがいいか…」
鈴
「あ、それなんだけどさ?さっき刀奈さんが自分だけ来たことないから観光したいって言い出したんだ。どっかいいお店とか知らないかな?」
シャル
「織斑先生はレオナさんと話してるから勝手に行ってこいだってさ」
火影
「んじゃ~行くか」
…………
それからは皆で町に繰り出し、取り合えず刀奈のリクエストでショッピングモールをぶらぶらする事になった。そんな中、トイレに行くためにっひとり離れた一夏、
一夏
「前来た時トイレはこっちに」ゴンッ!!「うわっ!」
?
「きゃあ!」
その時、角を曲がった先にあるトイレに向かおうとした一夏と誰かがぶつかってしまった。男の一夏は立ったまま耐えられたがぶつかった方は倒れてしまった。
少女
「いたた…」
一夏
「お、おい大丈夫か?なんか凄い音がしたぞ?」
少女
「あ…う、うん。大丈夫」
一夏は倒れたその子に手を差し伸べ、少女は手を取る。青色の長い髪をポニーテールの形で縛っている少女。見た目からして小学生か中学生くらいだろうか。
青い髪の少女
「ゴメンね~。急いでて前をよく見てなかったよ~」
一夏
「ああ俺の方こそごめんな。怪我とかしてねぇか?」
青い髪の少女
「うん大丈夫だよ。ありがとうねお兄ちゃん」
一夏
「随分急いでたな?」
青い髪の少女
「うん。あのね、明後日お兄ちゃんに会う予定なんだ!だから私もお姉ちゃんも準備で忙しくて」
一夏
「へ~そうなのか」
少女
「あ~こんなとこにいた~!」
するとそこにもうひとり別の少女が来た。オレンジ色の長い髪を目の前の少女と同じくポニーテールの形で束ねている。
青い髪の少女
「あ!お姉ちゃん!」
オレンジの髪の少女
「全くただのトイレなのに遅いのよ。…えっとこの人は?」
青い髪の少女
「私がトイレから走ってきたところでぶつかっちゃったんだよ~。それで助けてもらったの~」
オレンジ色の少女
「全くそんな事だと思ったわ。…ああどうもごめんなさい、妹が迷惑かけて」
一夏
「いや俺の方こそ悪かった。気を付けなよ」
青い髪の少女
「うん!ありがとねお兄ちゃん」
オレンジの髪の少女
「ほら行くわよオニール」
そう言ってふたりは去って行った…。
一夏
「…おっと、トイレまだだった!」
…………
ショッピングモールでの買い物も終えた一行はその後、シンディアやザック、ブラック夫妻等と再会し、今は皆でアルとデウスの店で一休み中。
火影
「やっぱアルさんのストロベリーサンデーは旨いな」
本音
「ほんとにすごくおいし~♪」
セシリア
「私は二度目ですがこちらのシフォンケーキは何度でも食べたいですわ♪」
刀奈
「この抹茶のモンブランも絶品ね♪ほんといいお店が多いわねスメリアって。配達思い付いた人天才だわ~♪」
一夏
「初日なのに既にお土産買いまくってましたね。しかも全部配達で」
箒
「全くパワフルな人だ。来てまだ数時間しか経ってないのに」
刀奈
「だって折角来たんだから楽しまないと!本番に備えてね。楽しめる時は楽しまないと心に栄養が送れないわ」
ラウラ
「成程、そういう意味もありますね」
シャル
「でもまだクロエさんの買い物ができてないね」
クロエ
「い、いえ私は」
鈴
「いいからいいから。さっき刀奈さんも言ってたでしょ?心に栄養って」
簪
「…でも今まで結構いろんなお店回ったし、どうしようか…」
海之
「……ではあそこに行ってみるか」
…………
そして一行が来たのは…一見怪しげなとあるお店。
一夏
「な、なんか見た目結構いわく付きありそうな店だな…」
箒
「あ、ああ。まるでお化け屋敷みたいだ。美しいスメリアには似合わんな。火影、この店はなんなんだ?」
火影
「簡単に言えば骨董品屋だ。心配すんな、見てくれほど怪しくない店だから」
海之
「誰も入りたがらないような店だからこそ貴重品を置きやすい、という主人の意向だそうだ」
シャル
「そ、そういうものなのかなぁ~」
ガチャッ!
そう言って一行は重い扉を開けて店内に入る。すると店内には…外からは想像もできない程の骨董品や珍しい物が置かれてた。
本音
「うわ~すご~い!」
刀奈
「これは…壮観ね。こんな品ぞろえ、外からじゃとても想像できないわ…!」
シャル
「ほんと……!こ、この仏人形!フランスの人間国宝の人が作ったものだ!」
セシリア
「そ、それだけじゃありません!この絵画!イギリス出身の著名な作家のものですわよ!」
鈴
「この壺って…青磁!?しかも国宝級じゃないの!嘘じゃないでしょうね!?」
箒
「…これは日本刀か?…もとの所持者は……な、何だと!」
皆それぞれ興奮冷めやらない様子であった。
青年
「へっへっへ。こりゃまた美人さんのお揃いで。ご希望があれば安くしやすよ」
奥から出てきたのは少々小太りな自分達と同じ位の青年。
火影
「よぉツォン。また太ったな」
海之
「久しぶりだな」
ツォンと呼ばれた青年
「げっ!火影と海之じゃねぇかよ!確か今日本に行ってたんじゃねぇのか?」
火影
「帰ってきたのさ。お前そのへらへら笑いは相変わらずだな」
ツォン
「うっせー。ってかこのべっぴんさん達、皆お前らの連れかよ?全く美形ってのは羨ましぃね~」
クロエ
「…兄さん、このお方は?」
ツォン
「おおこれまたべっぴ……って兄さん!?」
海之
「気にするな、こちらの話だ。…こいつはツォン。デウスと同じく幼馴染だ」
火影
「あとここの店の息子でもある。因みに俺のジュークボックスもここのもんだぜ」
ラウラ
「おい家主の息子!これらは本物なのか?珍しい物ばかりだぞ!」
簪
「珍しいどころか国宝やそれと同じ位の物ばかりだよ!なのに結構安いし!」
不安がる皆に対し、ツォンは余裕で返す。
ツォン
「へっへっへ♪不安かいお嬢様方?ならば申し訳ない、勿論す~べ~て本物さ。必死で働きゃ何時か買えるかもしれない、そんな優しい金額にしてんのさ。その方が夢持てるだろう?んで、買ってくれた客はもっと高い値でよその大金持ちに売っ払っても結構。うちは信用と金が得られるし、客はもっと金が手に入る。正にウィンウィンさ。うちは信用第一なんでね。へっへっへ♪」
一夏
「な、なんか親切なのか悪どいのかわかんねぇな…」
火影
「ま、こんな店があるのもそれだけスメリアが平和だってことかね」
それを聞いた皆は更に興奮しだし、其々店内を物色しだす。火影と海之はカウンターでツォンと話す。
ツォン
「ああそういや火影。お前にひとつ悪いニュースがあるぜ」
火影
「なんだよ?」
ツォン
「グリフィンの姉御がお怒りだぜ?毎年クリスマスに顔見せる約束なのに、今回は見せなかった、とさ」
火影
「ははは…、そうか。まぁ明日会うからよ」
苦笑いしながらそう言う火影。そんな会話をしていると、クロエが何かを持ってやって来た。
クロエ
「あの…」
火影
「おうクロエ。何か持って……それはオルゴールか?」
クロエが手に持っているのは…小さいオルゴールだった。
クロエ
「先ほど少しだけ見たのですが…ちょっとした仕掛けがあるんです…。それを見た時…何か凄く気になって…」
海之
「ふむ」
ツォン
「おっとアンタ、そいつが気に入ったのかい?あんま大したもんじゃねぇけど一点ものだぜ。アンタ初めてだし、べっぴんさん揃いで目の保養にもなった礼だ。サービスしておくぜ?」
火影
「んじゃ金は」
火影がそう言って払おうとした時、
クロエ
「い、いえ火影兄さん!私が買います。私に…買わせてください」
火影
「……わかったよ」
クロエがそう言ったので火影は引いた。彼女の様子から何かを感じ取ったのだろうか。
ツォン
「毎度あり~♪っと火影、海之。また新しいレコードや本が入ったんだが見るかい?」
火影
「そいつは結構。そろそろ新しいもんが欲しかったとこだ」
海之
「拝見しよう」
そんな感じで時間を潰し、一行はツォンの店を後にした…。
…………
刀奈
「……一夏くん達から話は聞いていたけど…本当に、本当に美味しいわ…」
千冬
「……うむ。私も……これ程の物は食べた事が無い…」
夕食になり、皆ギャリソンの料理に舌鼓をうつ。刀奈と千冬は静かに驚くがふたり共その味に衝撃を受けている様だ。
一夏
「…すげぇ、あの刀奈さんと千冬姉が驚きのあまり呆然としてる。まぁ無理ねぇけど」
箒
「…思ったんだがギャリソンさんの料理を世界中の人達が食べたら平和になるのではないか?」
シャル
「ギャリソンさん、どこで学んでいたんですか?」
ギャリソン
「独学でございます。全ては皆様に美味しいものをという一心でございました」
本音
「自分で覚えたなんてすご~い!」
鈴
「レオナさんがスーパー女社長ならギャリソンさんは正にスーパー執事ね」
レオナ
「ハッハッハ!スーパー女社長ね~。そう言ってもらえて嬉しいよ。…ああそうだひー防みー坊。荷物はもう届いている。明日は頼むぞ。孤児院にも連絡してあるからな」
火影
「了解です」
簪
「…?ねぇ海之くん。孤児院って?」
ラウラ
「そういえば何か予定があると言っていたな。その事か?」
海之
「…まぁな」
レオナ
「グリフィンちゃん達にもちゃんと謝っておけよ?お前達が去年のクリスマスにさぼって来なくて気落ちしていたらしくてな」
火影
「別にさぼってた訳じゃないんすけどね…」
一夏
「火影。グリフィンって?」
セシリア
「レオナさんのお言葉からして親しげな感じですわね」
火影
「ああ、彼女も幼馴染だ。ちと訳ありでな。まぁ明日になればわかるぜ。皆にも手伝ってもらうからよ」
全員
「「「…手伝う?」」」
そんな感じで食事は楽しく進むのであった…。
…………
食後、のんびり過ごしている皆の横で千冬とレオナが酒を酌み交わしていた。その中でレオナからクロエがいるのに何故束がいないのか?という疑問が出た。束とレオナが知り合いになった経緯を聞いた千冬は真実は知らせずにクロエを預けて行方不明になった、と伝えた。
レオナ
「…そうですか。束が…。クロエちゃんだけだからおかしいとは思いましたが…」
千冬
「ええ、私達に黙っていなくなってしまって…。全く…」
レオナ
「…まあ束の事だからきっと大丈夫ですよ。…………先生、どうか見つけてやってくださいね」
千冬
「…!……はい」
何かを感じ取ったのかレオナはそう言った。千冬も一瞬驚いたが黙って返事を返した。
レオナ
「…それにしても束もだがあの小僧共、まだ子供の癖に沢山の人を滅茶苦茶心配させおって。いや子供だから、か…。首輪でも付けときましょうか?」
千冬
「ははは、確かに。……しかしあいつらは」
レオナ
「わかってますよ先生。誰かのためにそうなったんでしょう?あいつらはそういう奴らだ。でもそのせいで万一あの子達が残されたらどうすんだ全く…」
千冬
「……死にませんよあいつらは。……死なせません」
千冬はふたりを見てそう呟いた。
…………
クロエ
「…ハァ、疲れました。……でも…不思議と嬉しい疲れです…」
夜は老けて其々が部屋に戻っていたその頃、クロエも部屋で床に着こうとしていた。クロエにあてがわれた部屋は火影・海之ほどの大きさは無いもののもともと使われていなかった部屋を改装したもので家具も一通り揃っており、ひとり部屋には十分な広さだった。
クロエ
(………束様。今日私に新しいお家ができました。兄さん達やギャリソン様、レオナ様達がお部屋を用意して下さったんです…。私が義妹だから何時でも帰って来た時のためって言って下さって。…本当に嬉しく思います)
クロエは心でそんな事を考えていた。しかしそう思いながらも彼女の心にはある強い決意があった。
クロエ
(……ですが束様。私の第一に帰るべき場所は束様のところです。これだけは変わりません。……必ずお助けしてみせます。皆さんと一緒に…!)
~~~
彼女のすぐ近くには夕刻、彼女が買ったオルゴールから素敵なメロディーが流れていた。そして同時に…母親と子供らしい形をした小さな人形が再会するという仕掛けが動いていた。
クロエ
(…必ず…!)
クロエはもう一度そう思い、床についた。
※次回は14日(土)投稿予定です。
アンケートにお応えし、次回よりとあるキャラたちをオリジナル設定全開で出演させる予定です。本編とはあまり関係はありませんがお付き合い頂ければ幸いです。次回は2話投稿します。