IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

190 / 270
新年を迎えた火影達。
そんな中、スメリアに変える事になった火影と海之だったが予定にあった一夏や千冬、クロエ以外にも全員を連れて帰国する事に。過激な迎えを受ける事になったもののギャリソンやレオナ、ニコ達からの暖かい迎えを受け、心が温まるのであった。そんな初日を終えた一行は二日目、とある場所に向かっていた…。

※DMC5SE発売おめでとうございます!


Mission168 思い出と…新たなライバル?

スメリアでの賑やかな一日目が終わり、滞在二日目。

移動の疲れもあって床に着くのは日を跨ぐ直前とやや早かったものの昨日の夜は想像以上の賑やかなものとなった。火影と海之の無事を喜ぶ者や滞在を嬉しがる者、そして千冬と刀奈とレオナが束と同じくまた妙に仲良しになり、周囲の者も巻き込んで随分と楽しそうであった。勿論刀奈はソフトドリンクであったが。…そんな感じで過ごした夜は明け、皆で朝食を終えてからは車である場所に向かっていた。

 

一夏

「そういえば海之。今日は確か孤児院に行くって言ってたな?」

箒

「ああ確かそう言っていたな。でもなんでそんなところに?」

海之

「皆には言っていなかったな。その孤児院は父が出資して造られた孤児院なのだ」

簪

「アルティスさんが?」

ギャリソン

「さようでございます。火影様と海之様をお助けになられた後、未来の作り手である子供達をおひとりでも多く救いたいとお感じになられたアルティス様は戦災孤児やご両親を早く亡くされた子達のために御自身の財産の一部を使って建てられたのです」

海之

「その後はずっとESCが支援しているのだ」

ラウラ

「そうなのか…。所で今日は何か私達は手伝いをするとの事だが?」

海之

「ああ悪いが協力してくれ。特に一夏や簪、箒や刀奈さんや本音だな。後は千冬先生だが…先生に手伝って頂く訳にはいかんしな」

千冬

「構わんよ。学園でもないからな、気にするな」

箒

「今のメンバーから言えば…もしかして日本の事か?」

海之

「ああそうだ。行けばわかる」

 

一方こちらの車でも会話が続く。

 

刀奈

「そう言えば火影くん。昨日も聞いたけどグリフィンさんって?」

火影

「俺と海之の幼馴染ですよ。デウスやツォンと同じです」

刀奈

「でも毎年クリスマスに行くとか言ってなかった?随分親しげね~♪何~?もしかしてガールフレンド~?」

鈴・シャル・本音

「「「…!」」」

 

その言葉に一部の者がやや緊張するものの、

 

火影

「違いますよ。毎年行くっつうのはESCが毎年クリスマスに子供らにプレゼントを送ってるんです。俺らはその手伝いしてるんです」

ニコ

「俺も火影ん家に行くまではそこにいたんだ」

セシリア

「まぁそうだったんですの。良かったですね皆さん♪」

鈴

「なな、何言ってんのよ」

シャル

「そ、そうだよ。僕達は何も」

本音

「でも鈴昨日部屋でずっと言ってたよ~?グリフィンさんってどんな人かなぁって」

鈴

「よけいな事言わないの!」

火影

「何か変な心配してるみたいだがそんな訳だ。気にすんな」

シャル

「う、うん」

クロエ

「でもクリスマスはもう終わっていますが…他に何かあるのですか?」

火影

「ああまぁな。今日は頼むぜ皆」

全員

「「「…?」」」

 

 

…………

 

…そしてやがて一行は目的地の孤児院に到着した。木造作りのその建物は規模としては一般のそれとさほど変わらないかもしれないが庭が大きいのが印象的だった。一面草原でそこに動物達の小屋もあって一見、牧場的な雰囲気が伺える。

 

本音

「わ~綺麗なとこだね~」

一夏

「確かスメリアって小さい国だけど人口も少なかったんだっけ。なら場所が有り余ってるんだろうな~」

箒

「言い方をもう少し考えた方がいいぞ一夏…。でも本当に綺麗なところだな」

鈴

「昨日のゴーストハウスとは真逆ね~」

簪

「鈴も気をつけた方がいいと思うよ…」

ギャリソン

「では私は院長にお伝えしてきます」

海之

「頼む」

千冬

「ギャリソン殿、私も同行しましょう」

 

すると暫くしてから孤児院の子供達も気付いた様で、

 

「火影兄ちゃん!海之兄ちゃん!ニコ!」

「久しぶりだね!」

「なんでクリスマス来てくれなかったんだよ~!毎回来るって言ったのに~!」

「ねぇねぇ!今日は何やるの~?なんでこんなに人多いの~?」

 

少年少女、白人黒人、東洋系西洋系と多種多様な子供達が迎えてくれた。

 

ニコ

「相変わらず元気だなお前ら」

火影

「へいへい約束守れなくて悪かったよ。高校生は忙しいんだよ」

海之

「今日は償いも兼ねて来たのだ。それから彼らは俺達の日本の友人だ。挨拶しろ」

 

それを聞いた子供達は揃って挨拶をする。それに対して皆も挨拶で返す。後から後から子供達が来てその繰り返し。

 

クロエ

「皆さん元気ですね」

ラウラ

「以前の私は子供を見ても特になんとも思わなかったが…いいものだな子供とは」

刀奈

「欲しくなった~?♪」

シャル

「え!?…え、え~と…」

セシリア

「も、勿論将来的には……欲しいとは、思いますけれども…」

女の子

「ねぇねぇ火影お兄ちゃん!グリフィンお姉ちゃんがカンカンだよ~?火影お兄ちゃんと海之お兄ちゃんが約束すっぽしかした!って」

火影

「ははは…別にすっぽかした訳じゃねえんだけ…!」

 

バシッ!!

 

するとその時、突然火影の顔に向けて何かが勢いよく飛んできた。それを手で受け止める火影。

 

鈴

「な、なに!?」

シャル

「…サッカーボール?」

?

「こらー火影ー!」

 

すると火影の名前を言いながらこちらにひとりの少女が走って来た。見た目は火影や海之と同じかほんの少し上位。ニットセーターにロングパンツ。やや褐色の肌に水色の髪の少女。その少女は走り寄ってくるやいなや火影に詰め寄り、

 

少女

「ちょっと火影!何回電話かけたと思ってるの!ぜーんぜん出ないしさ!しかもやっと繋がったのが年末ギリギリってどういう事よ!?」

火影

「あー悪かったよグリ姉。でもこっちも色々あったんだよ。俺達が今スメリアにいねぇの知ってるだろ?」

少女

「あんたや海之が日本に行った事は知ってるけどそれでも返事する位できなかったの!?皆心配してたんだからね!海之!あんたが付いていながら何やってんの!あんたとも連絡取れなかったからクーリェがずっと元気無かったんだよ!」

海之

「…すまない」

火影

「だから悪かったっての。償いも兼ねて帰ってきたんだし許してくれよもう」

少女

「当然よ!今日はしっかり働いて貰うんだから!」

全員

「「「………」」」

 

目の前で繰り広げられる姉弟のようなやりとりに皆言葉が出ない。

 

男の子

「また始まったよ夫婦喧嘩」

女の子

「姉弟喧嘩~」

ニコ

「まあまあグリフィンの姉貴。気持ちはわかるけど抑えなってば。沢山人いるんだしさ」

グリフィン

「…え、あ、ああそうね、私としたことが。…オホン!はじめまして!話はレオナさんから伺っています。火影と海之の友達の皆さんですね?」

一夏

「あ、ああ。君は?」

グリフィン

「お見苦しい所をお見せしました。グリフィン・レッドラムと言います。この孤児院で暮らしながら子供達の世話をしています。宜しくお願いします!」

 

明るくそう言うと深く頭を下げるグリフィンという少女。

 

シャル

「この人がグリフィンさん」

箒

「は、はい。宜しくお願いします」

グリフィン

「あ、あと皆より多分年上だから遠慮なくお姉ちゃんって呼んでね♪」

一夏

「お、お姉ちゃんすか?」

クロエ

「もしかしてさっき火影兄さんが言った…グ、グリ姉?というのは…」

火影

「…ま、そういう事だ」

グリフィン

「兄さん?……ち、ちょっと火影!日本でなにやってんの!?もしかして誰か女の子引っかけてそのまま……なんてそんな訳無いか。ふたり共朴念仁の代表みたいなものだもんね~。まぁそのへんの話は後で聞くとして火影と海之がお世話になってます!さぞ迷惑かけてると思いますので代わりに謝らせて頂きます!」

簪

「い、いえ!寧ろこっちが色々お世話になってますから!」

火影

「俺らの母親かっての。ひとつしか違わねぇんだから」

グリフィン

「ひとつしか違わなくても年下は年下でしょ。あんたも海之も私にとっては世話が焼ける弟みたいなもんよ」

海之

「…ハァ」

 

どうやらグリフィンという少女には火影も海之も何故か敵わないようである。

 

鈴

「な、なんかレオナさんを小さくしたような感じの人ね」

ニコ

「まぁグリフィンの姉貴は孤児院の皆、あと学校でも姉御肌みたいな人だから」

セシリア

「確かにそういう雰囲気は感じますわね。子供達皆さんなついていますし」

グリフィン

「私にとってこの子達は家族。そして何よりも最優先。誰に何と言われようとね」

刀奈

「なんか良い友達になれそうな気がするわ~」

 

そんな感じでやりとりが進む中、

 

タタタタタ……ガシッ

 

全員

「「「!」」」

少女

「……」

 

その時突然ひとりの少女が走り込んできた。見た目は自分達より幼い感じで白いワンピースを着たクリーム色の長い髪。そして片手にくまのぬいぐるみを持っている。その少女は海之の身体にしがみついて止まった。

 

ラウラ

「び、吃驚した。…なんだこの子は?」

海之

「…クーリェ」

 

少女を海之はクーリェと呼んだ。

 

クーリェ

「……」

簪

「この子がクーリェさん?」

セシリア

「随分海之さんに懐いておられますわね」

火影

「ああ。ちょっと訳アリでな…」

クーリェ

「……クリスマス、……来なかった。……ヒドイ」

海之

「…すまない、忙しかったのだ。許してくれ」

クーリェ

「……今日、……遊んでくれる?……でなきゃ許さない」

海之

「ああ俺だけじゃない。火影も、俺達の友人も一緒だ」

火影

「よっ、クーリェ。クリスマスは来れなくて悪かった。今日は一日いるからよ」

クーリェ

「……」

 

海之にしがみついたまま黙って顔だけ火影に向けるクーリェ。

 

火影

「…うん。今日は機嫌が良いな」

グリフィン

「良かった。久々よあんな顔のあの子」

ニコ

「わかりやすい奴だよなぁ」

一夏

「……なぁ、なんか変わったかあの子?」

箒

「う~ん、どうも変化が良くわからんが…しかし私達は今日会ったばかりだ。彼らにしかわからない事もあるんだろう」

火影

「あっ、そうだグリ姉。レオナさんから荷物運んどいたって聞いたんだが?」

グリフィン

「ええ届いてるわ。なんか見たこと無いものばかりだけど?」

火影

「大丈夫だ。俺らはわかる。それに助っ人もたくさん連れてきたしな」

一夏

「…助っ人って…」

箒

「ああ…多分私達の事だろな」

男の子

「なんか色々届いてたよ~?板みたいなものだったり綺麗な絵が描かれてる札とか」

「あと木でできたでっかいお皿とかハンマーもあったぜ?」

鈴

「…でっかい木のお皿に…ハンマー?」

火影

「んじゃ、お前らに日本ってもんを体験させてやるぜ」

 

 

…………

 

カーンッ!コーンッ!

 

女の子

「はい!またお姉ちゃんの負け~!また墨ね~♪」

セシリア

「もう!なんでうまく返せないんですの!」

本音

「セッシ~、羽子板はちゃんと玉の部分をつかなきゃ~。でも君も上手だね~」

女の子

「コツがわかれば簡単だよ~」

 

 

ビュンッ!…クルクルクルクル!キンッ!カンッ!

 

男の子

「やったー!回ったー!」

女の子

「う~んまた止まっちゃったよ~。なんで上手に回せないのかな?」

箒

「コマは持つ時はしっかり握っておかなければいけないぞ。しっかり持って勢いよく離すんだ。そして直ぐ引く」

 

 

…一方、こちらでは空にあれが浮かんでいた。

 

男の子

「俺の方が高く上がったぜ!」

女の子

「私だって上がってるよ~!」

鈴

「凧あげも久々に見るわねぇ~。小学生以来かも」

シャル

「僕は初めて見るよ。周りに高い建物も無いし空も青いしキレイだね」

 

 

ぺったん…ぺったん…ぺったん…ぺったん…

 

こちらではなにかを着いている音がする。

 

千冬

「ふっ!…はっ!…ふっ!ボーデヴィッヒ!手水が遅いぞ!」

ラウラ

「は!申し訳ありません!」

男の子

「なんか白いスライムみたいだな~」

女の子

「お姉ちゃん達凄い迫力だね!」

クロエ

「な、なんか凄く気合入ってますね。織斑先生もラウラも」

簪

「あはは…まぁ楽しそうにしてるからいいんじゃない?…あ、できたお餅持って行かなきゃ」

 

 

ギーコギーコギーコギーコ

 

ニコ

「火影~、切った竹はこういう立て方でいいのか?」

火影

「ああいいぜ、三本ずつな。回りをそこの松の葉で飾ってくれ」

ニコ

「あいよ~」

男の子

「火影兄ちゃん、これはなんていうの?」

火影

「これは門松っていう年始に玄関に飾るもんだ。年神を家に迎え入れる目印、依り代って意味があるらしいぜ」

女の子

「としがみって何~?」

火影

「一年間家族や家を守ってくれる神様みたいなもんさ」

 

 

……そしてこんな場面も、

 

男の子

「ほんとに剣が喋ってるぜ!スピーカーどこについてんだろ!」

女の子

「きっとここだよ~、ほら変な顔がある部分だよ」

「でもなんで話通じるのかな?言葉わかるのかな?」

アグニ

「…この様な子供の相手をさせるとは軽んじられておるな弟よ」

ルドラ

「ああ、軽んじられておる」

男の子

「また喋った!スゲー!」

「カッコいい!サインほしいな~!」

「手が無いから無理だよ~…あ、口があるか~」

アグニ

「…こういうのももしかしたら悪くないのかのぉ弟よ?」

ルドラ

「…ああ、もしかしたら悪くないかもしれんのぉ」

 

 

絶対暴れない条件付きで子守をさせられていたアグニとルドラだった。子供の適応能力は凄いものである。…一方、家の中では、

 

刀奈

「…よし!また6ね!」

女の子

「お姉ちゃんサイコロ強すぎだよ~」

男の子

「僕達追いつける気がしないな~」

刀奈

「ふふん♪サイコロ運も国家代表クラスよ!」

 

刀奈が子供達相手にボードゲームを楽しんでいた。そして厨房でも、

 

一夏

「さっすがギャリソンさんだな。御雑煮も半端なくいい匂いがするぜ~♪」

ギャリソン

「ありがとうございます。…ああ織斑様、お餅の焼き目が付いておりますよ」

一夏

「おっといけねぇ」

海之

「上手だぞクーリェ」

クーリェ

「あ、あり、がとう…」

 

ギャリソンと一夏がお雑煮を、海之とクーリェとグリフィンがお餅にあんこやらきな粉やら色々な味付けをしていた。

 

グリフィン

「まさかこんな事を考えてたなんてね~♪」

海之

「火影の考案だ。あいつも来れなかった事をそれなりに気にしていたのだ。もう許してやれ」

グリフィン

「…そっか…」

 

そんな感じで子供達も含め皆で楽しく遊び、お雑煮やお餅は当然ながら子供達にも皆にも大好評だった。それと同時に火影と海之からお年玉を贈られた。因みにその元は海之が先日当てた宝くじであった…。

 

 

…………

 

…パシッ!

 

男の子

「ああちっくしょ~!もうちょっとだったのに~!」

火影

「駄目駄目。もっと裏を付かねぇとゴールは決まらねぇぜ」

グリフィン

「皆~!目線を読まれないようにねー!…そこ!スペース空いてるよ!」

 

食後はお腹が膨れて眠ってしまった幼い子供を除き、火影とグリフィン、そして一夏達は子供達とサッカーをしていた。火影はキーパーとして子供達のシュートを受け止め、グリフィンが子供達の監督となっていた。そして子供達の相手は一夏達がやっていたのだが、

 

一夏

「嘘だろ!?また取られた!」

男の子

「へっへ~ん遅い遅い♪」

箒

「子供ながらなんてテクニックだ!」

鈴

「ただすばしっこいだけじゃない!計算された動きだわ!」

ラウラ

「まるでこちらの考えが読まれている様だ!」

刀奈

「も~!私がちびっこにふりまわされるなんて~!」

女の子

「サイコロじゃ負けたけどサッカーでは負けないもんね~♪」

 

子供のレベルとは思えない技術に一夏達は脱帽していたのだった。

 

本音

「皆すごーい!」

クロエ

「一夏さん達翻弄されていますね…」

セシリア

「相手の意表を突くボールのコントロールやフットワーク。攻守も凄くレベルが高いですわ」

千冬

「それもあるが…あのグリフィン、彼女の指揮が非常に的確だ。コーチとしてほしいところだ」

ニコ

「姉貴は本気でスメリア代表サッカーチーム作んのと選手兼コーチを狙ってるんだ」

簪

「グリフィンさんならできそうだね。…あれ、海之くんは?」

シャル

「海之だったらあのクーリェっていう子に本を読んであげてるよ」

 

 

…………

 

それから数刻後、試合は以外にも引き分けで終了した。試合運びは子供たちが圧倒していたがキーパーの火影の読みを崩す事がなかなかできなかったので点が入らなかったり、一夏達はシュートしても相手キーパーの子供も同じくうまかったため、お互い点を入れる事が殆どできなかったのであった。今は張り切り過ぎてダウンした一夏と刀奈を箒とセシリアとクロエが看病を。簪とラウラは海之とクーリェの所に。そして火影は、

 

男の子

「火影兄ちゃんと海之兄ちゃんIS動かせたんだな!見せてくれよ!」

火影

「駄目だよ。こいつは無暗に動かすことはできねぇんだ」

女の子

「えーケチ~!」

ニコ

「ばらしてみてぇな~…そうだ!さっきの赤色と青色の剣なら良いか火影?」

火影

「…土下座でもなんでもすっからやめてくれ。下手にいじってこれ以上煩くなりでもしたらたまんねぇ…」

 

ニコや他の子どもとドッジボールをしていた。その様子を見守るグリフィン。そして鈴、シャル、本音。

 

鈴

「ほんと子供って元気ねぇ。疲れ知らずだわ」

シャル

「あはは、でもいいじゃない。子供は元気が何よりだよ。それに火影も楽しそうだね。最近大変な事ばかりだったから」

グリフィン

「…君達、火影が連絡できなかった理由知ってるの?」

本音

「え、え~と~…い、忙しかったからです!」

 

真実なんて勿論話す訳にもいかず。

 

グリフィン

「よっぽどの事があったのね…。私もあいつに聞いてみたいけど…難しいかな。火影も海之も人の事ばっかりで自分の事はほんと二の次だもんね。きっと心配させない様にはぐらかされるに決まってるもん。昔からそういう奴だから」

鈴

「グリフィンさんは…火影とは何時から?」

グリフィン

「火影とはもう10年位の付き合いかな。私もここに孤児として来たんだ。ちっちゃい時に私の生まれた国で内戦があってね…その時に逃げる様にこの国に来たの。でも間もなくして両親が死んじゃって…そのままこの孤児院に入る事になったんだよ」

シャル

「そうだったんですか…。やっぱり不安でしたか?」

グリフィン

「まぁ最初はね。でもこの国の人達が支えてくれたおかげで立ち直れたんだ。学校には私の様な孤児やもっと辛い思いをしてる子達も多かったから。クーリェとかね。火影と海之とはそんな時に出会ったの。…今思えばあいつらと出会ったのは大きかったなぁ。私より年下なのに考えとかすごくしっかりしてるんだもん。ふたりもご両親をあんな形で亡くしたのにね。悲しい顔なんて微塵も見せなかった。そんなふたりを見てたら私ももっと頑張らなきゃって思ったんだ」

本音

「…ひかりん…みうみう…」

鈴

「あいつも海之もきっと悲しい筈なのに…」

グリフィン

「…そうだね。…で、ここからが本題なんだけど、ある時あいつが同年代の子とサッカーしてるのを見てね、私も一緒にやるようになったんだ。内戦が始まる前、よくストリートサッカーしてた事を覚えてたから得意だったんだ」

シャル

「ああ!だからあんなに指示がうまかったんですね!」

グリフィン

「ありがと♪…それでね?ある時また一緒にサッカーしてたら私なんでかこんな事言っちゃったんだよね~」

 

 

…………

 

グリフィン(幼少)

「やるじゃない君!私をこんなに追い詰めるなんて初めてだわ!」

火影(幼少)

「そういうアンタもなかなかやるじゃねぇの」

グリフィン

「…ねぇ、一対一で勝負してみない?一発のPK勝負よ!もし私がゴールを決めたら君、私をお姉ちゃんって呼びなさい♪」

火影

「…へ?なんで僕が?」

グリフィン

「気にしない気にしない♪」

火影

「いやすっげぇ気になるんだけど…。……ま、いいや。それならひとつ賭けしてみねぇ?」

グリフィン

「賭け?」

火影

「もしアンタがシュートを決めたら、僕はアンタの言う事をひとつ聞く。…だけどもし僕がシュートを止めたら」

グリフィン

「…君の言う通りにする?」

 

すると火影は首を横に振りながら笑って言った。

 

火影

「今度ストロベリーサンデー奢ってくれ♪」

 

 

…………

 

グリフィン

「…って訳」

シャル

「な、成程…。それでその結果火影が負けて、でもお姉ちゃんっていうのは恥ずかしいから…ぐ、グリ姉?で落ち着いたと」

グリフィン

「うん、そういう事♪」

鈴

「まぁ自分から賭けといて負けたんだったら仕方ないわね」

本音

「あはは。そうだね~」

グリフィン

「……う~ん、その事なんだけどね。私はちょっと違うかな、って思ってるんだ」

鈴

「? どういう事ですか?」

グリフィン

「……さっき火影に飛んできたサッカーボール見てたでしょ?あれって私結構マジで当てるつもりだったんだよね~。でも火影は見事に受け止めちゃった。不意打ち位のボールをだよ?あんな見事なキャッチが出来るのに…あの時のシュートを本当に受け止められなかったのかな…って」

本音

「…ほえ?」

 

するとシャルが気付く。

 

シャル

「…もしかして…火影はわざとシュートを?」

グリフィン

「……うん。あん時本当は止める事が出来てたんじゃないかなって。でも火影はあえてしなかった。多分だけど…私を気遣っての事じゃないかなって思ってるんだ。戦争孤児で家族を無くしちゃった私の事を…形だけでもお姉ちゃんって呼んでくれるために…。まぁ、自惚れかもしれないけどね♪」

 

するとそれを聞いていた鈴達が話す。

 

鈴

「……いえ、私もそうだと思います。あいつは、火影はそういう奴ですから。いつも自分の事より、大事な人達の事を第一に考えてる」

シャル

「うん。僕もそう思います。きっとグリフィンさんの事を想っての事ですよ」

本音

「ひかりんは優しいからね~♪」

グリフィン

「……君達…」

鈴

「それにさっき来た時のグリフィンさんと火影達、本当の姉弟みたいでしたよ」

シャル

「お姉ちゃんって感じだったよね。そうでなくても火影って年上の女の人にタジタジだよねぇ」

レオナ

「アハハ!レオナさんとかに太刀打ちできないもんね~♪」

グリフィン

「……ふふ」

 

グリフィンは笑って火影の方に目線を向ける。そしてそのまま鈴達に言った。

 

グリフィン

「……君達、あいつの…火影の事が好きなんだね?」

鈴

「……え!」

シャル

「…あぅぅ」

本音

「はわわわ!」

 

なんともわかりやすい反応をする鈴達。

 

グリフィン

「あはは♪分かりやす過ぎるよ。………火影をお願いね」

鈴・シャル・本音

「「「…えっ?」」」

グリフィン

「君達みたいな子が傍にいてくれたら…。私は…火影と同じ世界には…多分、一緒にいられないから……。なんでかはわからないけど…そんな気がするんだ…」

鈴・シャル・本音

「「「……」」」

 

その瞬間三人は気づいた。彼女はそう言いながらも、彼女もまた自分達と同じ様に…。

 

火影

「お~いグリ姉。グリ姉が止めてくれねぇとこいつら終わらないんだぜ~?」

グリフィン

「あはは♪ゴメンゴメン。皆~そろそろ終わるよ~」

子供達

「「「はーい!」」」

鈴

「……グリフィンさん。グリフィンさんも火影の大事な人達のひとりですよ?」

グリフィン

「…え?」

シャル

「そうですよ。だからそんな悲しい事言わないでください。火影もきっとそう思っている筈です」

本音

「グリフィンさんもひかりんを支えてるよ~♪」

グリフィン

「……」

 

笑ってそう話す鈴達とキョトンとしているグリフィン。

 

火影

「あ~疲れたぜ~。…どうした?」

本音

「なんでもないよ~♪」

 

はぐらかそうとする本音達。すると、

 

グリフィン

「………ねぇ君達。じゃあ今からやる事許してね?」

鈴・シャル・本音

「…え?」

グリフィン

「ねぇ火影」

火影

「…あ?なんだグリ…!」

鈴・シャル・本音

「「「!!」」」

 

その瞬間、グリフィンは火影の頬にキスしたのだった。そして再び彼女は三人にそっと呟く。

 

グリフィン

(折角諦めようと思ったのになぁ。君達が悪いんだよ~?覚悟しといてね、普段一緒にいないからって油断してるとサッカーと同じ、横から掻っ攫っていっちゃうかもね?ふふ♪)

鈴・シャル・本音

(((…!)))

火影

「…なんなんだ一体…?」

 

頭上に?マークを浮かべる火影だった。

 

 

…………

 

そしてこちらの方でもこんな会話があった。相変わらず海之にべったりなクーリェ。そんなふたりに簪とラウラは尋ねてみる。

 

簪

「そういえばクーリェさん?クーリェさんは何時から海之くんと?」

クーリェ

「……」

 

だがクーリェは簪の問いかけに何も答えなかった。

 

ラウラ

「…?どうしたんだ?」

海之

「…すまん。クーリェはここの子達の中でも訳ありでな。初対面の者には殆ど口を開くことも無い。普通に話せるのはここにいる者達でも限られている」

簪

「そ、そうなんだ。ごめんねクーリェさん」

クーリェ

「……クー、……ちょっとお花、……摘んでくる」

 

そう言うとクーリェは海之達から見える範囲の場所に咲いている花を摘みに行った。気を使っているのだろうか…。

 

ラウラ

「…海之。彼女は一体…?」

 

すると海之はゆっくり話し始めた。

 

海之

「…クーリェもまたとある国の戦災孤児だったそうだ。彼女の母国では数年前まで政府軍と反政府軍の激しい内紛があったらしくてな。特に彼女の住んでいた場所は反政府軍の本拠があった場所だったらしい。…連日続く激しい攻撃の末、彼女は全てを失った。家も家族も。唯一残ったのは彼女の最後の誕生日に両親からプレゼントとしてもらったあの…今も肌身離さず持っているくまのぬいぐるみだけだった」

簪

「……そう、なんだ…」

ラウラ

「……」

海之

「生き残った彼女は軍に保護され生き延びたが…まともに口をきけない状態だったらしい。無理もない、目の前で全てを失ったんだからな。だが不幸中の幸いか、そんな彼女を不憫に思った人が自分のツテを利用し、このスメリアに難民希望を出した。そして彼女はこの国にやって来た」

簪

「…それでこの孤児院に?」

海之

「そうだ。そして俺があの子に会ったのは…二年前のクリスマスの時だった…」

 

 

…………

 

二年前のクリスマス。その日海之達はESCの手伝いで子供たちにプレゼントを配りに来ていた。多くのクリスマスイベントを行っている時、海之は小休止で外に出ていると、

 

~~~~

 

海之(二年前)

「……?」

 

ベンチに座っていた海之は気付いた。……近くからすすり泣く声が聞こえる。

 

海之

(……植木の裏?……誰かいるのか?)

 

海之はゆっくりと見てみる。するとそこにいたのは、

 

クーリェ(二年前)

「……」

 

くまのぬいぐるみを抱いたまま座り込んでいたクーリェだった。

 

海之

(……この子は……確かグリフィンが言っていた…クーリェ、という)

「…どうした?」

クーリェ

「!!」

 

声を聞いた彼女は瞬間身体をすくめた。見ると顔の涙あとが痛々しい。そして身体の一部が汚れ、ぬいぐるみの一部が破けている。予測する限り躓いた時に破けてしまったのだろう、そして見たところ身体に傷が無い事から察するにぬいぐるみが破けたのが涙の理由だろうか?

 

海之

「……少し待っていろ」

 

そういうと海之は家の中に戻り…そして数秒後、裁縫セットを持って戻ってきた。

 

海之

「…貸してみろ」

クーリェ

「……」

 

海之はクーリェにゆっくり手を差し伸べたが彼女は動かない。

 

海之

「大丈夫だ。その子の傷を治したいだけだ」

クーリェ

「……」

海之

「…俺を信じろ」

クーリェ

「……」

 

すると海之の純粋な瞳と声に安心したのか、クーリェはゆっくりぬいぐるみを差し出す。

 

クーリェ

「……ぷ~ちゃん。……治して、あげて。……お願い」

海之

「ああ」

 

……すると海之は見事な裁縫でそのぬいぐるみの破けた部分を直してしまった。そしてぬいぐるみを返す。

 

海之

「おま……君の名前は?」

クーリェ

「……」

海之

「…言いたくないなら別にいい。だがグリフィンが見てないかと心配していた。身体も汚れている」

クーリェ

「……」

 

クーリェは何も喋らない。すると海之は黙ったままのクーリェにゆっくり近づく。彼女は再び委縮するが、

 

…フワ

 

クーリェ

「…!」

 

海之は自分の上着をクーリェにかけた。汚れが見えない様にするためだろう。そして海之は彼女の横について話しかける。

 

海之

「…君の過去に何があったかは知らない。多分、余程の事があったのだろうと思う」

クーリェ

「……」

海之

「この世は決して公平ではない。辛い事もたくさんある。死にたいと思う位悲しい事も…」

クーリェ

「……」

海之

「俺も弟も両親を失った…。過ぎた事は忘れろとは言わない…。だが、人は生きなければならない。死んでいった人達の分まで…。だから…どんなに時間がかかっても…辛い気持ちを生きる力に変えるんだ。ここには君を傷つける様な者はいない」

クーリェ

「……」

海之

「上着は後でいい。では俺は戻っているからな」

 

そして海之は立ち上がり、離れようとすると、

 

クーリェ

「……リェ」

海之

「…む?」

クーリェ

「……クーリェ、…クーリェ・ルクク、シェフカ。……わたしの…名前。……この子は、…ぷーちゃん。……お兄ちゃんは?」

海之

「……海之だ」

 

 

…………

 

簪

「そんなことがあったんだ…」

海之

「ああ。まだ初対面の者を見ると緊張しがちだが、それから彼女は少しずつ自分を取り戻そうとしているらしい。あれがきっかけかはわからんが」

ラウラ

「きっとそうさ。お前に感謝している事だろう」

簪

「うん。絶対そうだよ」

海之

「大した事をしたつもりは無いがな」

 

するとクーリェは摘んだらしい花を持って戻ってきた。

 

クーリェ

「……はい」

 

その中から数本を海之に差し出す。

 

海之

「…ありがとう」

クーリェ

「……お姉ちゃん達、……海之お兄ちゃんの、……お友達?」

簪

「え?う、うん」

ラウラ

「あ、ああ」

クーリェ

「……」

 

するとクーリェは右手の花を簪に、左手の花をラウラに差し出し、微笑んで言った。

 

クーリェ

「……クーとも、……お友達に……なって、くれる?」

簪

「!…うん!」

ラウラ

「あ、ああ!勿論だ!」

 

ふたりはクーリェの手を取り、固く約束した。

 

海之

(珍しいな…今日会ったばかりのふたりに。……これも成長、という事か。……ふ)

 

それを見て微笑する海之。……とそこへ、

 

千冬

「おい、お前達。そろそろ帰還の準備をするぞ」

海之

「わかりました」

簪

「あ、はい!もうそんな時間なんだ」

ラウラ

「楽しい時間とは本当に早いな。…では行こうか、クーリェさん、じゃない…クーリェ」

クーリェ

「うん」

 

そう言って4人は歩き出す。しかしクーリェだけ何故か千冬の前に止まった。

 

クーリェ

「……」

千冬

「……あの、……どうした?ああいや、どうし、たの?」

(…いかんいかん、どうも慣れんなこういうのは…)

 

するとやや困った千冬にクーリェは微笑みながら驚くことを言った。

 

クーリェ

「……お姉ちゃんも、……海之お兄ちゃんの事、……好き、なのね」

千冬

「……え!!」

 

瞬間に真っ赤になる千冬。

 

海之

「…?先生、クーリェ。どうした?」

クーリェ

「…ううん」

千冬

「……」

 

こうして孤児院での賑やか且つハラハラなお正月イベントは無事終了した。火影達や一夏達はグリフィンやクーリェ、孤児院の皆との再会を約束し、帰路に就く事になった。そしてその別れ際、火影と海之は、

 

火影

「ああそうだグリ姉。時間が無かったからあんまりのもんじゃねぇけど、去年のクリスマスプレゼント、渡しそびれてたぜ」

海之

「…クーリェ。これは俺からだ」

 

火影がグリフィンに渡したのはオレンジの生地にダイヤモンドのワンポイントがあるリストバンド。海之はクーリェに白い花の髪飾りをあげた。

 

グリフィン

「ありがと!何か照れるね。頑張ってね火影!」

クーリェ

「……クー、大切にする。……また、会いに来てね。……海之お兄ちゃん」

 

 

…………

 

その帰りの車中にて。

 

一夏

「あ~~~疲れた~~~」

箒

「だが気持ちのいい疲れだ。戦いとは違う」

ギャリソン

「今日は皆さま本当にありがとうございました」

海之

「礼を言うぞ皆」

簪

「ううん。私達も楽しかったし…お友達もできたから」

ラウラ

「ああそうだな。また必ず来よう」

千冬

「……」

一夏

「…?どうしたんだ千冬姉?餅つきで疲れたか?」

千冬

「! あ、ああ。…そうかもしれんな」

 

一方こちらの車でも。

 

鈴

「…ねぇ火影。今度からスメリアに帰る時は…必ず私達にも声をかけなさい」

火影

「ん?なんでだ?」

シャル・本音

「「どうしても!」」

火影

「…???」

クロエ

「…どうしたのでしょうか?」

セシリア

「何というか…おかしいですわね?」

刀奈

「なんかわかんないけど…なんかある種のメラメラを感じるわ~♪」

ニコ

「いやー、あん時は驚いたなぁ~♪」

鈴・シャル・本音

「「「ニコ(くん)!!」」」

 

事情を唯一知っているニコはニヤニヤが止まらなかった。




アーキタイプよりまずグリフィンとクーリェ、ゲスト出演の回でした。出すならまずこのふたりが直ぐに思い浮かびました。ISとは全く別の生き方ですがこういうのもどうでしょうか。グリフィンかパティか悩みましたが彼女はゲストには勿体ないので。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。