IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
この日火影達に案内された一夏達は孤児院にて子供達の相手をすることになった。日本の正月の遊びを子供達に教えながら戦いとは別の楽しい疲れを味わう一夏達。楽しい思い出やグリフィン、クーリェ等の新しい友達を得た火影達は満足して孤児院を後にするのであった。
スメリア滞在三日目。
明日の朝には帰る事になっている。昨日の疲れが残っているが何かしたいと思った皆がどうするか考えていると海之がこんな事を言いだした。
海之
「皆、今日はレオナ叔母さんからご自宅へ招待がかかっている。皆への労い会をやりたいとの事だ」
一夏
「マジで!」
本音
「わ~い!」
シャル
「レオナさんの御自宅か~。そっちも凄そうだね」
ニコ
「俺はパスしとくわ。キャバリエーレの点検とかしねぇといけねぇし」
火影
「悪いなニコ」
ニコ
「気にすんなって。ああそうだ火影、海之。お前らにはぶったまげるニュースがあると思うぜ~?」
火影
「…ぶったまげるニュース?」
海之
「なんだそれは?」
ニコ
「行けばわかるって。へへへ♪」
火影・海之
「「…?」」
ぶったまげるニュースというのが気になるものの一行は取り合えず向かう事にした…。
…………
レオナの家は町から少し離れた海が見える小高い丘の上にあった。大きな窓が特徴的な洋風の現代的な邸宅。周囲には他の家はちらほらという感じで多くは無い。
セシリア
「これがレオナさんの御家ですのね。流石に御立派ですわ」
火影
「ひとり暮らしだからもうちょっと小さい家でいいっつったらしいんだけど場所はここが良いってな」
簪
「凄く良い場所に建ってるね。海が一望できるよ」
海之
「海がお好きでな。特に二階の裏にはもっと大きな窓があって一望できるようになっている」
刀奈
「朝とか夕方とか素晴らしそうね」
鈴
「…?でも囲いみたいなものが少ないわね?防犯とか大丈夫なの?」
火影
「問題ねえよ。父さんが作ったセキュリティがあるからな。不審者は絶対見逃さねぇ。まぁ不審者自体もいねぇけど」
千冬
「…本当に良い国だな」
クロエ
「そうですね。私の生まれた国等とは大違いです…」
ラウラ
「クロエさん…」
一夏
「取り合えず入ろうぜ」
…………
レオナ
「さぁさぁ遠慮なく入ってくれ!」
全員
「「「お邪魔します(しまーす)!」」」
満面の笑顔で迎えてくれたレオナに導かれ、邸内に入った。清潔な室内で使用人は最低限しかいないとの事であった。
レオナ
「皆昨日はどうもありがとうね!院長から連絡が来て子供達みんな大喜びでとても楽しかったってさ♪」
箒
「お役に立てたならよかったです」
簪
「私達も楽しかったです」
千冬
「今日はわざわざご招待いただき、ありがとうございますレオナ殿」
レオナ
「なんのなんの。これ位してあげなきゃ申し訳ないし、それに酒飲む名目できるしね♪」
火影
「それが本命じゃないですかレオナさん?」
レオナ
「ハッハッハ!気にすんな!ゆっくり寛いでくれ」
そういうレオナに導かれた先のリビングにはクッキーやスコーン、サンドイッチやケーキ等がビュッフェスタイルで並んでいた。そこから出られる様になっているテラスにもテーブルが出され、同じように食べ物が並んでいる。
鈴
「わぁ!美味しそうです!」
レオナ
「私の手作りだから口に合うといいんだけど」
箒
「えっ!レオナさんが作って下さったんですか!?」
レオナ
「一応独身だからね。掃除とかは家政婦がやってくれるけど食事は基本全部自分でやってるよ」
本音
「すご~い!」
刀奈
「料理までできるなんて…ほんとスーパー女社長ですね」
千冬
「私も覚えるべきだろうか…」
一夏
「あ、あの、あの千冬姉がそんな事を言うなんてイデデデデ!!」
千冬
「なにか言ったか一夏?」
本音
「ねぇ早く食べよー!」タタタタ
ラウラ
「全くどこに行っても変わらんな本音は」
影で一夏に制裁を加える千冬。それを横目に大喜びで向かう皆。そして火影と海之も行こうかなと思ったその時、レオナに呼び止められた。
レオナ
「ああちょっと待てひー坊みー坊!その前に…ふたりに重大発表があるんだよ」
火影
「…俺達に」
海之
「重大発表、ですか?」
レオナ
「そうさ。ちょっと待っててくれ♪」
そう言ってレオナは隣の部屋に行ってしまった。重大発表という言葉にふたりは警戒するがそれにしてはレオナの態度がまるで悪だくみを企む子供の様だった。嫌な予感がしながらとりあえず待っていると一夏が千冬の制裁から漸く解放された。
一夏
「イテテテ……あれ?どうしたんだふたり共?早く行こうぜ?」
火影
「いやちょっと…」
するとその時、
少女
「お兄ちゃ――ん!」タタタタタ…ガシッ
隣の部屋からひとりの少女が突然飛び出してきて一夏の方に飛びついた。
火影
「へ?」
海之
「なっ!」
一夏
「ななななんだ!?……ってあれ、君は…」
少女
「えへへ~♪……あれ~?」
飛びついた青い髪の少女は何故か一夏の顔を見てキョトンとした表情をしている。とそこへもうひとり別の少女が出てきた。
少女
「こ、こら何やってんの!そっちは違……って、アレ?貴方…」
もうひとりの少女も一夏を見て驚いている。そしてそれは一夏も同じだった。
一夏
「……あれ?君も確か…」
箒
「一夏ー、何してるんだお前も……!」
セシリア
「一夏さん、早く一夏さんも……!」
それを見たふたりは当然の如く……。するとそこにレオナが戻ってきて、
レオナ
「あらら?なんかよくわかんないけどドッキリ失敗なのか成功なのか微妙な結果になっちゃったみたいだね」
火影
「レオナさん一体…?」
海之
「…この子達は?」
箒・千冬
「「一夏(さん)!どういう事か説明しろ(してくださいまし)――!!」」
一夏
「俺だってチンプンカンプンだっつの―!」
刀奈
「何~?どしたの?…あら?」
ラウラ
「なんの騒ぎだ一体?…おや?」
クロエ
「…アレ?初めての方がいらっしゃいますね?」
本音
「そっくり~!もしかして双子~!」
一夏と箒、セシリアの騒ぎを聞いて他の皆も集まってきた。それと同時に、
パーンッ!パーンッ!パーンッ!
千冬
「人様の家でも無様な騒ぎするな馬鹿者」
箒
「いたた…」
セシリア
「す、すみません…」
一夏
「な、なんでまた俺まで」
久々の一撃を喰らうふたりと再度喰らう一夏。そんな一夏を彼にくっついている青い髪のポニーテールの少女が心配し、オレンジの髪のポニーテールの少女が訂正する。
青い髪の少女
「お、お兄ちゃん大丈夫?」
オレンジの髪の少女
「とりあえず離れなさいよオニール。多分だけどあんたにも原因あると思うわよ?」
青い髪の少女
「そうなの~?」
レオナ
「まぁまぁファニール。オニールも初めて会うんだから無理もないさ。とりあえず一夏くんから離れなオニール」
レオナにそう言われてオニール、ファニールと呼ばれた少女がレオナの横に付く。先ほど本音が言った通りふたりは髪の色こそ違うが顔は非常によく似ており、まさに双子である。
火影
「あの…レオナさん。この子達は?」
海之
「それに…お兄ちゃんとは?」
レオナ
「ふふん♪予定はちょっと狂ったけどこれが重大発表さ。ふたり共、挨拶だ」
オニール
「はいレオナさん!初めまして!オニール・コメットといいます!」
ファニール
「ファ、ファニール・コメット。オニールの双子の姉です」
それぞれ名乗る少女に続き、レオナは更に驚くことを言った。
レオナ
「ひー坊みー坊!先月からお前達の従妹となった子達、つまり私の義娘だ♪仲良くしてやってくれ♪ハッハッハ!」
オニール
「宜しくねお兄ちゃん!」
ファニール
「よ、宜しく…お願い…します」
全員
「「「…………」」」
暫しの沈黙が流れた後、
火影・海之
「「……ハァ~~」」
それ以外の全員
「「「え―――――――――!!??」」」
千冬
「これは本当に…重大発表だな」
ふたりの長い溜息と千冬の一言、他の皆のこれまで以上の長い声が響いた。
…………
それから数分後、なんとか落ち着いた皆はとりあえず状況を確認する事にした。今はテラスのテーブルにレオナとその隣にオニール、ファニールと名乗った姉妹。向かいに火影と海之が座っている。皆はその周りに集まっている。
レオナ
「いやー実は結構前から養子を迎えようって事はなんとなく思ってたんだよね。兄さん義姉さんがひー坊みー坊を迎えた様にさ。結婚はしてないけど私ももう四十前だし?でも考えていただけで中々キッカケが無かったんだけど去年の夏頃にふたりが一夏くんや箒ちゃん達を連れてきたろ?あれがキッカケになったんだよね♪」
海之
「成程…ふたりはESCが支援していた別の孤児院にいたのか」
オニール
「うん。去年の12月までね」
簪
「昨日行ったところ以外にもあるんですね?」
レオナ
「スメリアの人口は三割が元難民だからね。でもその人達の中には正常でない人達もいる。グリフィンちゃんやこの子達の様に来て直ぐに親が死んじゃった子や、クーリェちゃんの様に自分だけで来ることになった子もいるし。だからそういう子達のためにいくつかあるんだよ」
ファニール
「私達のお母さんはスメリアに来た直後に私達を生んですぐ死んじゃったの。父は戦地で亡くなったって人に聞いたから両親共に顔も知らないわ」
シャル
「そうなんだね…」
オニール
「でも私もお姉ちゃんも悲しくなんかないよ。皆いい人達ばかりだったし」
ファニール
「寧ろ顔がわかっていた方が悲しかったと思うし…」
鈴
「……そうかもしれないわね」
火影
「ほんで去年の夏頃からレオナ叔母さんと連絡を取り始め、去年のクリスマス、正式に養子縁組した」
ファニール
「え、ええ…」
本音
「レオナさんてほんと凄いね~!太っ腹~!」
刀奈
「ふ、太っ腹って言うのかしらこういう場合…?」
海之
「…ハァ、全くレオナ叔母さんにはよくよく驚かされますが…まさかそんな事になっていたとは…」
レオナ
「ハッハッハ!しかしそれを言うならお前らも同罪だぞみー坊?だから今日まで隠しておいたのだ♪」
火影
「ニコの言ってたびっくりニュースってのはこの事だったのか…」
レオナ
「まぁそういう事だ。仲良くしてやってくれ♪」
オニール
「宜しくね!私もお姉ちゃんもね?お兄ちゃん達に会うのずっと楽しみだったんだよ!」
ファニール
「こ、こらいきなりそんな!……た、確かに会いたかったのは、会いたかったけど…で、でも」
火影
「まぁまぁ、驚いてんのは俺達も一緒さ。レオナさんの甥っ子の火影だ。まぁ俺らも養子だけどな。いきなりで慣れねぇだろうが宜しくな」
海之
「兄の海之だ。よろしく頼む」
オニール
「うん!火影お兄ちゃん!海之お兄ちゃん!」
ファニール
「う、うん…。よ、宜しく」
そして順番に挨拶していき、
オニール
「久しぶりだねお兄ちゃん♪」
火影
「一夏、ふたりに会った事あんのか?」
一夏
「ああこの前の買い物の時にな。織斑一夏だ。あん時はごめんな」
オニール
「ううん、大丈夫だよ。えへへ、今日もお兄ちゃんに会えて嬉しいな」
ファニール
「この子ったらあれからよく貴方の事話すのよ?よっぽど懐いちゃったみたいね」
箒・セシリア
「「……」」
刀奈
「はいはいふたり共。気持ちはよ~くわかるけど初対面の子達にそんな顔しないの。ほら挨拶」
箒
「し、篠ノ之箒、だ」
セシリア
「セシリア・オルコットですわ…よ、宜しくお願い致します」
オニール
「宜しくね箒お姉ちゃん!セシリアお姉ちゃん!」
箒
「あ、ああ…」
(な、なんか調子狂うな…。お姉ちゃん…か)
セシリア
「わ、私が…お姉さん…」
(なんでしょう…、なんとも言えない感じがしますわ…)
ふたりは恥ずかしながらも嫌そうではない。そして最後は、
海之
「最後はクロエか」
クロエ
「え、海之兄さん私は」
海之
「大丈夫だ。遠慮なく本名で名乗れ」
火影
「レオナ叔母さんは人を見る目は持ってっから」
レオナ
「おいこらひー坊それはどういう意味だい?大丈夫だよクロエちゃん」
クロエ
「は、はい…。クロエ・クロニクルです。よ、宜しくお願いします」
火影
「クロエとは義兄妹でもあるのさ」
オニール
「そうなんだ!よろしくねクロエお姉ちゃん♪」
クロエ
「こ、こちらこそ…」
ファニール
「よ、宜しくお願いします」
レオナ
「さぁさぁ挨拶はこれで終わりだ!労い会の仕切り直しと行こうか」
本音
「あ~忘れてた~!もうお腹ぺこぺこ~!」
鈴
「…ほんとアンタってマイペースね…」
…………
本音
「デザート全部美味しい~♪」
一夏
「あの…オニール、なんでずっとくっ付いてんだ?」
オニール
「気にしない気にしない♪」
レオナ
「随分懐いちゃったねぇ~」
箒・セシリア・刀奈
「「「…むぅ~」」」
ファニール
「全くあの子ったら、お兄さんはそっちじゃないのに………ってな、なんでもないわよ?」
鈴
「大丈夫よ、あのふたりには聞こえてないから」
簪
「早くちゃんと言える様になるといいね」
ファニール
「…う……うん…」
仰天サプライズはあったもののレオナ主催の労い会はにぎやかに進んでいた。会話が弾む者、レオナの料理に舌鼓をうつ者、酒を楽しむ者(千冬とレオナと何故かサイダー持って刀奈も)。そして中心人物ともいえるオニールとファニール姉妹。オニールは明るく無邪気な性格からか皆にもすっかり打ち解け、火影や海之の事も普通にお兄ちゃんと呼んでいる。最も懐いているのは一夏でそれを見た千冬が「一目惚れか?」等と冗談交じりで言ったために箒とセシリアと刀奈が緊張するが彼女達の事もオニールはお姉ちゃんと呼ぶため、妹さながらの雰囲気にやられて強く出られない。
姉のファニールは比較的しっかりしており、最初から流石になつきすぎる事は無いものの家族ができた事は純粋に嬉しいらしく、嫌そうでない。こればかりは日にち薬だろう。そんな中……、
火影
「そういえばレオナ叔母さん。養子を迎えるのはわかりましたけど何故あの子らを?何かきっかけでも?」
レオナ
「んー?知りたいかい?」
すると一夏にくっついていたオニールが喋りだした。
オニール
「あのね火影お兄ちゃん!レオナさんは私とお姉ちゃんの歌が好きだって言ってくれたんだよ!」
ファニール
「こ、こらオニール」
セシリア
「歌、ですか?」
レオナ
「うん。この子達がいた孤児院に行った時にたまたまなんだけどこの子達の歌を聞いたんだ。それに感動してね。聞いたことが無い歌だったんで聞いてみたら自分達のオリジナルだったんだよ。それにも吃驚してね。こんな小学生位の子供達がこんな声でこんな歌でこんなに人を感動できるんだ、って」
簪
「歌が好きなんだね」
オニール
「うん!」
ファニール
「歌を歌っていると心が安らぐんだ。学芸会とかで皆で歌うでしょ?そしたら皆凄く笑ってるの。そして思ったんだ。皆がこんな気持ちになるなら戦争とか、私達の様な子供が減るのかなって。意味のない銃の向き合いより、良い歌を聞いて感動した方が絶対分かりあえるんじゃないかなって」
ラウラ
「銃より…歌で…」
オニール
「だから私とお姉ちゃんで将来一緒にアイドルになりたいなぁって思ってるんだ!」
ファニール
「…ま、子供っぽい考えだけどね」
クロエ
「そんな事ないですよ」
千冬
「ああ…素晴らしい事じゃないか。君達位の年齢でそんな考えが持てる子なんてそうはいないと思うぞ」
ファニール
「そ、そうかな…?」
レオナ
「そうだ!折角だから歌声聞かせてやりなよふたり共。パーティーには音楽が必要だろ?」
シャル
「あ、良いですね!僕も聞きたいです!」
オニール
「いいよ!」
ファニール
「こ、こらオニール。そんな勝手に。そ、それに孤児院と違うし私達より年上の人ばかりだし…」
海之
「歌に場所は関係ない。お前達さえ良ければ聞かせてほしい」
レオナ
「大丈夫だよファニール。先生方や先輩も皆感動してたじゃないか。場所は違っても堂々と歌えばいいよ」
火影
「んじゃレオナさんが聞いたって言うオリジナル曲をリクエストしてもいいかな?」
オニール
「うん良いよ!」
ファニール
「も、もうしょうがないわねぇ~」
そう言うとふたりはテラスを舞台代わりにして並び立つ。皆はリビングに座る。
一夏
「タイトルはなんて言うんだ?」
ファニール
「タイトルじゃなくて曲名よ。Mermaid Healingっていうの」
箒
「マーメイドヒーリング…、人魚の癒し、か」
火影
「……マーメイド」
オニール
「じゃあ歌うね!」
ファニール
「…すぅ」
~~~~~~~~~~~~
そしてふたりはゆっくりと歌い始めた。
全員
「「「………」」」
ヒーリングというだけあって優しいゆっくりな歌い出し。いわゆるヒーリング・ミュージックというもの。とても繊細な歌声であるが少女らしい高低の歌声を交え、時には力強い。
火影
「…!」
海之
「……ほぉ」
箒
「…これは」
本音
「ほわぁ~」
鈴
「なんだろう…なんというか…」
セシリア
「ええ…お上手なんですけど…」
シャル
「なんというか…そんな事だけじゃない」
簪
「うん…。とても繊細…」
刀奈
「女の子なのに…男の子よりも力強い感じがする」
クロエ
「それでいて…悲しい様に聞こえますけど…」
千冬
「…確かに。まだ粗削りだが…良い声だな」
一夏
「……」
誰もが彼女達の声に感動している様だ。その中で、
火影
(これは……ジャンルも声色も違うが……この湧き出る何かは……彼女の歌と同じ……!!)
何故か彼女達の歌声を聞いた火影は酷く驚いていたのだった…。
…………
一夏
「すげーよ!頭の芯までガツンと来る!」
箒
「ロックじゃないんだぞ一夏。でも本当に良かったぞ」
セシリア
「感動ですわ!」
本音
「すんごく上手だった~!」
刀奈
「ただ上手なだけじゃない。なんというか…乾いた大地に水が満たされる、そんな感じの歌声だったわ」
レオナ
「だろう?そして男よりも力強く、女よりも繊細だ」
シャル
「レオナさんが太鼓判押すのも納得だね」
千冬
「将来本当に大物になるかもしれんな」
オニール
「ありがとう!」
ファニール
「お、大袈裟過ぎよ…。レッスンも何も受けてないのに…」
鈴
「それでこんなにレベルなら将来が怖いわね~」
簪
「でも本当にいい歌だったよ」
ラウラ
「ああ。私の隊の者にも聞かせてやりたい位だ」
ファニール
「…そ、そうかな…」
海之
「先ほど言ったがレオナ叔母さんがそれほどまで絶賛するのだ。自信を持っていいと思う」
ファニール
「……」
ポンポン
すると火影がオニールとファニールに近づき、ふたりの肩に手を置く。
火影
「……」
ファニール
「な、何?」
オニール
「火影お兄ちゃん?」
火影はふたりの肩に手を置いて更に真っすぐ目を見ながら、
火影
「お前らの歌には魅力がある。聞く者を惹きつける力がある。そして空っぽになった心に何かを満たす、そんな不思議な力がある」
オニール
「私達の?」
ファニール
「…歌に?」
火影
「今日初めて会った俺が何言ってんのか、って思うかもしれねぇ。でもお前らは必ずスターに、クイーンにすらなれる。人々の心を癒すクイーンにな。だからこれからも歌いたい時に歌いたいだけ歌え。お前らの歌は…きっと多くの人の心に届く筈だからよ」
自信に満ちた表情でふたりにそう言った。
ファニール
「…あ…ありがとう…」
オニール
「ありがとうお兄ちゃん!」
レオナ
「なんだいなんだいひー坊?この子達のプロデューサーにでもなる気かい?それはこの子らの親代わりのアタシの役目だよ」
火影
「…ええ、頼みますよ」
そんな感じで彼女達のミニコンサートは終了した。特に一夏が彼女らの歌を深く気に入り、ファンクラブができれば即加入すると言い出した。その次が本音、その次はと、結局全員が加入を約束したのだった。ファニールは気が早すぎると言っていたが嫌そうでなく、オニールは嬉しさのあまりかまた一夏に抱きついていた。勿論それを見た箒達がまた渋い顔をしたのは言うまでもない…。
…………
昨日のイベントと同じく、楽しい時間は終わりが早い。時間はあっという間に過ぎ、帰る事になった。
全員
「「「ありがとうございました!」」」
レオナ
「また必ず来るんだよ」
海之
「はい。…ふたり共、レオナさんを頼む」
火影
「酒は控える様に言っといてくれ。あと歌頑張れよ」
オニール
「うん!お兄ちゃん!」
ファニール
「ほんと順応早いんだから。気を付けてね。……お兄さん」
火影
「…ああ」
海之
「またな」
ファニール
「あああと、…クロエ…お姉さん」
クロエ
「! は、はい!ありがとうございます!」
必ずの再会を約束し、そして一行はレオナ邸を後にするその寸前、
レオナ
「…また来いよ。火影、海之」
海之
「…?ええ必ず」
火影
「帰ってきますよ」
改めて彼女の家を後にした…その車中で火影はこんなことを思っていた。
火影
(……女王の、いやまだそんな歳じゃねぇか。……王女達の魂…てとこかね……)
これより半年後、エヴァンスの性に改めたオニール・ファニール姉妹は6年後の高校卒業と共にデビューし、その歌声は多くの人々を感動させた。更に戦いで傷ついた人々の心に癒しを与えるため、世界中を飛び回る事になる。
…………
火影の部屋
帰宅後、火影が自分の部屋でくつろいでいると、
コンコン
ギャリソン
「火影様、いらっしゃいますか?」
火影
「ギャリソンか?今開ける」
火影が扉を開けるとギャリソン、そして海之がいた。
ギャリソン
「ご帰宅されたばかりでお疲れの所、申し訳ございません」
火影
「気にすんなって。海之までどうした?」
海之
「俺もギャリソンに呼ばれたのだ」
ギャリソン
「申し訳ございません海之様、火影様。……少しばかり、お時間よろしいでしょうか…?」
火影
「? ああいいぜ」
…………
それから約二時間後。夕食の時間になり、皆は食堂に集まったのだが、
本音
「…?ねぇひかりんは~?」
簪
「海之くんもまだなんて珍しいね?」
一夏
「そういえばギャリソンさんがふたりを連れていくところを見たぞ?二時間くらい前だけど」
ラウラ
「きっと何か話があるのだろう」
ガチャッ
すると火影と海之が揃って入ってきた。
一夏
「あ、噂をすれば」
海之
「すまない、遅れた」
シャル
「…?どうしたの火影?」
鈴
「なんか難しい顔してるけど?」
火影
「…いやなんでもねぇ。心配してくれてすまねぇな」
鈴・シャル
「「?」」
クロエ
「ギャリソンさんと話されてたんですか?」
海之
「…ああそんなところだ。…それより皆、改めてだが今回は感謝する。そしてゆっくり落ち着く事も暇も無くすまなかった」
一夏
「いいっていいって。疲れたがこういうのも必要だぜ?」
千冬
「そうだな。私も職務から離れて久々に楽しめた。私からも礼を言うぞ」
刀奈
「言ったでしょ?心にも栄養、よ♪」
他の皆も同じ様な返事をした。
海之
「そう言ってもらえれば幸いだ」
火影
「明日の朝には皆其々の国に出発か。気を付けてな。てか鈴もシャルも本音もいいのか?一泊だけで到着は夕方前だぞ?」
鈴
「ぜ~んぜん♪」
シャル
「気にしないで火影♪」
本音
「そ~そ~♪」
一夏
「俺は帰ったら反省文だな~…はぁ~…」
箒
「一緒に頑張ろうではないか一夏♪」
セシリア
「むむむ…」
~~~~~~~
遠い目をしている一夏とそれを見て笑う皆だった…。
…………
翌日の朝、朝食を終えた一行はギャリソン達に別れの挨拶を終え、送りの車に乗り込んでいると、
ギャリソン
「行ってらっしゃいませ。火影様、海之様」
ニコ
「精々頑張りなよふたり共」
火影
「ああ任せな。……行ってくるぜ」
海之
「……頼むぞ」
笑顔で別れたふたり。束の間の平和を味わった第二回スメリア旅行はこうして幕を閉じるのであった。
ギャリソン
(……火影様、海之様。……お気をつけて)
※次回は21日(土)投稿予定です。1作になるか2作になるかはまだ未定です。
グリフィン、クーリェに続き、コメット姉妹でした。
歌によるIS操縦という事でISとはかかわり無しですがDMCOVAのネタと合わせてみました。