IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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「火影と海之が一度死んで生まれ変わってきた転生者」

衝撃の真実を知った一夏達であったがトリッシュやネロ達からそんなことはまだ一部に過ぎず、本当にふたりの力になりたいのであれば悲しみと戦いに満ちたふたりの前世を知る必要があるという。自信がなくなりつつある皆であったが一夏の言葉に自分達の本心を思い出し、改めてふたりの真相を知りたいと打ち明ける。そんな彼女達にトリッシュは言った。

「自分達の影と向き合い、乗り越えて」

そう言われた箒や鈴達は自分達の影(ドッペルゲンガー)と。そして一夏は意外な人物と戦う事になった。


Mission172 真実への電脳ダイブ③ 影との対峙…そして

ガシッ!!

 

デビルブレイカーを両腕に嵌め、胸の前で組ませながらネロは笑った。

 

一夏

「両腕にデビルブレイカー!?」

ネロ

「ご機嫌だ♪…さぁ、アイツら(ダンテ・バージル・クレド)が期待してるっつうあんたの力、俺に見せてみな!」ジャキッ!

 

そう言うとネロは両腕のデビルブレイカーを前に出し、

 

ネロ

「オーバーチュア!」

 

バリバリバリバリバリバリバリ!!

 

「オーバーチュア」というデビルブレイカーから無数の電流の嵐が向かってきた。

 

一夏

「! くっ!」

 

高速で横に避ける一夏。しかし、

 

ギュン!!

 

一夏

「! 追いかけてきた!」

ネロ

「こいつの雷撃は場所によって軌道が変わるのさ!そらそら追いつかれるぞ!」

一夏

「だけどこの程度ならイージスで!」

 

バババハバババババ!

 

イージスで全ての雷撃に対処する一夏。

 

一夏

「こいつの前ならそんなの効かねぇぜ!」

ネロ

「へー、ならこいつはどうだ!」ジャキジャキ!

 

すると両腕に付けていたそれから今度は別のものに変わった。青く砲口らしい物に。

 

一夏

「別の物に変わった!?」

ネロ

「…ダブルロックバスター!」

 

ズドンッ!ズドンッ!

 

今度はそれから細長い光の様なレーザーが高速で撃たれてきた。

 

一夏

「そんな直線レーザー」ドカァァァン!「うわぁぁぁ!」

 

まるでイージスを貫通したかの様にレーザーは一夏に当たった。

 

一夏

「な、なんだ!?壊れたわけじゃないのにイージスが貫かれた!」

ネロ

「こいつの溜めのレーザーはどんなシールドでも関係なく通り抜けるのさ。それよりどうした?避けてるだけか?今度はそっちからかかって来い!」

一夏

「なら遠慮なくいかせてもらうぜ!」ババババババッ!

 

一夏の周辺に小型のレーザー剣「粉雪」が展開される。

 

ネロ

「…確かにこういう技あったな」

一夏

「いっけぇぇぇ!」ズドドドドドドドッ!!

 

その合図で粉雪が一気にネロに向かう。それに対してネロは動かない。

 

ネロ

「…だけどまだ、アイツほどじゃねぇな!ローハイド!」

 

ガキキキキキキキンッ!!

 

ネロの両腕に付けたローハイドの鞭がそれらを弾き返す。

 

一夏

「! 粉雪を全て弾き返した!?…なら!」ジャキィィィンッ!!

 

一夏は手に戦槍「凍雪」を展開した。

 

一夏

「これだけでかけりゃローハイドでも弾き返せねぇ!喰らえぇぇぇ!」ズドンッ!!

 

一夏は凍雪の槍をネロに向けて発射した。すると、

 

ネロ

「それにはこいつだ。バスターアーム!」ガシィィィィ!

一夏

「! あのスピードの凍雪を掴んだだって!」

ネロ

「パンチライン!」ドンッ!!

 

ネロは片腕に展開したバスターアームで凍雪の槍を掴み、そのままもう片腕に付けたパンチラインのブレイクエイジのブースト機能で一気に接近してきた。

 

ネロ

「おおおおおおお!」

一夏

「くっ!負けるかぁぁぁ!」

 

ガキキキキキキキキキンッ!

 

そのまま双方の凍雪による乱打戦に突入した。槍を使っての戦いは一夏の方に多少の経験があったがそこはダンテやバージルに並ぶ歴戦の戦士であったネロ。僅かな期間でその戦い方を会得していたのであった。

 

ネロ

「まだまだこんなもんじゃねぇぜ!」

 

ギュイィィィィンッ!!

 

その時パンチラインが新たなデビルブレイカーに変化していた。

 

一夏

「なに!」

ネロ

「ヘルタースケルター!」

 

ギュイィィィィ…ドンッ!!

 

一夏

「うわぁぁぁぁ!!」

 

ネロがまるでドリルの様な高速回転で斬り込みながら一夏に体当りを繰り出した。その衝撃に一夏が吹き飛ぶ。

 

ネロ

「久々に使ってっから忘れてるかと思ったけどなんとかなるもんだな」

一夏

「ぐっ、く…ま、また見たことないデビルブレイカーを!」

 

オーバーチュアやロックバスター、ヘルタースケルターといった未知のデビルブレイカーに驚きを隠せない一夏。

 

「当然だ。もともとそれはこいつが使うために造られたものだからな…」

一夏

「! それってアンタの専用武器ってことか!」

グリフォン

「いわばそいつの元祖使い手ってとこだ♪おめぇのお友達のお嬢ちゃんとはレベルが違うぜ~」

ネロ

「まぁそういう事だ。それよりどうした?あんたの力はそんなもんか?そんなんじゃやっぱあいつらの足手まといになるだけだぜ?…あの頃の俺みたいにな」

 

ネロは一夏に会えてきつく言葉をかける。自分にも覚えがあるように。…すると一夏は、

 

一夏

「…凄ぇ」

ネロ

「…?」

 

再び立ちあがる一夏。

 

一夏

「アンタ凄ぇよ…流石火影と海之と並んで戦っていたっていうだけはあるな…」

ネロ

「そりゃどうも」

一夏

「でも…こっちだって負けれらねぇんだ!あいつらと一緒に戦える位までなるために!この雪片に懸けて!」ジャキッ!

 

そう言って一夏は雪片・参型を構える。

 

ネロ

(…あの剣はあいつが持っていたものじゃない。あの一夏ってやつの剣か…。あいつの…意志の強さが変化させたのか…?)

「…へ~、結構ガッツあるな。気に入ったぜ」

「脳筋馬鹿なだけじゃないのか?」

グリフォン

「似たもん同士だな~ネロちゃん」

ネロ

「うっせーてーの!いいぜ、ほんの少しだけだが稽古をつけてやる」

一夏

「勝つのは難しくてもせめて一太刀位浴びせてみせるぜ!…って直接斬ったらアンタどうなるんだ?」

ネロ

「それは心配すんな。俺らは実体があってねぇ様なもんだ。斬られても意味ねぇ、てか…やってみな?」

一夏

「!…面白れぇ!」

 

白式・駆黎弩纏う一夏とネロの戦いが再開された…。

 

 

…………

 

一方、鈴達はそれぞれの空間で自らの分身である黒い自分達と戦いを繰り広げていた。

…しかし、

 

「ハァ、ハァ…くっ、なんなのよコイツ!何もかも私と全く同じやり方で返してくるなんて!まるであの黒いアリギエル達と同じだわ!本当に私の影って事!?」

 

先に戦ったドッペルゲンガーと同じく、これもその全てが彼女達と全くの互角であり、何かを仕掛ければ相手も全く同じ対処を行ってくるため、攻略法が掴めないでいたのであった。鈴の場合双天牙月、龍咆、ガーベラ、そしてアービターまで全てが瓜二つである。既に息が上がり始めている鈴に対し、影は全く変化が無い。

 

鈴の影

(……)

「くっ、まるで人形を相手にしているみたいだわ…どうすれば」

 

とその時、

 

鈴の影

(私は人形じゃないわよ)

※以降、影の台詞は(×××)で表記します。

 

「! 喋った!てか…私の声!?」

 

突然目の前の影が自分と同じ声で喋り出したことに鈴は驚いた。

 

(当然でしょ?貴女だって喋れるじゃない。私が喋れない訳ないでしょ。単に喋ってなかっただけよ)

 

「そ、それならもっと早く喋りなさいよ!…てか、それなら聞きたいんだけど…アンタがもうひとりの私って本当なの?」

 

鈴は目の前の黒い自分に問いかける。

 

(わからないの?貴女と戦い方やISの動かし方の癖とか全部そのままじゃない。ついでにお転婆なところもね)

 

「だ、誰がお転婆よ!…て、そ、そうなのかな。前に火影にも言われたし…」

 

(ええそうよ。口だけじゃない。尻軽なところまでそのままね)

 

「! 私が尻軽ですって!?」

 

尻軽と言われた事に鈴は腹をたてる。

 

(だってそうじゃない?ずーっと一夏の事が好きだったのにそれが叶わないと思ったら急に別の奴に心変わりしてんだから。そういうのを尻軽っていうのよ)

 

「し、仕方ないでしょ覚えてなかったんだから!それに今私が好きなのは一夏じゃなく火影よ!アンタが私なら知ってるでしょう!てか尻軽ってのは訂正しなさいよ自分の事なのに!」

 

言葉をたてまくりながらもいつもの調子で話す鈴。だが次の言葉に一瞬時が止まる。

 

(そうね~あんな奴で運が良かったわ~)

 

「!……どういう意味よ?」

 

(わからない~?一夏への想いが玉砕して落ち込んでいた私を励ましてくれたのがあんな都合のいい奴でほんと運が良かったって事よ~)

 

「…何ですって!?」

 

その言葉に鈴は怒るが影は続けて言い放つ。

 

(だって貴女、あいつを利用したじゃない?一夏への告白が失敗してなんであいつの部屋の前で待ってたの?)

 

「…!」

 

(悲しくて泣きたいならどっかひとりになれるところでいいじゃない?もっと言えばトイレでもいいじゃない?なのにわざわざあいつの部屋の前で座り込んで待っているなんて、予想してたんでしょ?あいつなら私の事情知ってるから失恋の痛みを理解してくれるだろうって)

 

「!…そ、それは…」

 

(誰でもよかったんでしょ~?あいつでも他でも)

 

「ち、違うわ!!」

 

(違わないわ。私は貴女、貴女は私なんだから、貴女の事は誰よりも理解しているわ~。優しくしてくれる男なら誰でも良かったのよねあん時は。それがたまたま火影だっただけって事よ)

 

「……違う…。私は…」

 

思わぬ言葉に鈴は落ち込む。

 

(…まぁでも今はあいつが好きっていうのは本当の気持ちっていうのは知ってるわ。あいつの力になりたいともね。…だから、貴女に代わって私がやってもいいわよね?)

 

「…?な、何よそれ?」

 

(簡単よ。貴女が負けたら私が表の人格になる。貴女が勝てばこれまで通りって訳。あいつの力になりたいんでしょ?だったら強い方が出て行った方がいいでしょ?弱い方なんていなくてもいいんだから)

 

「…!!」

 

赤い目を狂気に歪ませ楽しそうな笑顔を見せる影の鈴。

 

(貴女に変わって私があいつを支えてあげるわ♪そんじゃさっさと終わらせましょうか、はやくあいつに会いたいし~♪)

 

「……良いわ。絶対…負けない。絶対勝ってみせる!アンタなんかに負けるもんですか!」

 

 

…………

 

そして箒達もまた、鈴と同じ様に自分達の影と対峙していたのだった。

 

(何故お前はあの人を守ろうとするのだ?)

 

「…あの人?…姉さんの事か!」

 

((あの人がしでかしたことのせいで父や母が、私がどんなに肩身の狭い思いをしてきたか忘れたのか?)

 

「……忘れてなどいない」

 

(例えあの人がどんなに変わろうがあの人の罪は消せはしない。あの人があの様な事をしなければ、こんなことにはならなかったのだ。今の場所から離れる事も一夏から離れる事もな)

 

「……そうかもしれない」

 

(あの人がどうなろうと云わば自業自得だろう?なのに危険をおかしてまで何故助けようとする?)

 

「……それでも私は…姉さんを!」

 

…………

 

セシリア

(貴女は変わってしまいましたわ。以前の貴女は誰にも頼らず、誰にも媚びない誇りを持っていました。なのに今は女としての誇りを忘れ、あろうことか男性等ににのぼせてしまうなんて。お父様の情けないお姿を忘れたのですか?」

 

「の、のぼせているなんて事ありません!それに以前の私の方が間違っていたのです!お父様は…!」

 

(貴女にはお母様が守ってくれたお家を守るというもっと大事な使命があるのではなくて?)

 

「それはわかっています!でも…それは全てが終わってからですわ!今、私にはやる事があるのです!」

 

…………

 

シャル

(…ねぇ?キミはお父さんとお母さんを信じている?)

 

「え?あ、当たり前じゃないかそんな事!」

 

(…そう。でもボクはお父さんとお母さんの事なんて信じてないよ。ついでに言うと火影の事もね)

 

「!! そ、そんな!どうして!?」

 

(だってキミ…火影に出会ったからよかったけどそうでなきゃきっと今もお父さんやお母さんの命令でスパイ続けてるよ?仲良くなれたのは運が良かったからに過ぎないじゃない)

 

「!!」

 

(そうなったらキミ、今もお父さんやお母さんを憎んでた筈だよ?おかあさんやボクを捨てたお父さんやボクを苛めてたお母さんをね)

 

「…そ、それは…」

 

(そして火影もボクを信じてくれているのかな?もし信じてくれているのならもっと早く打ち明けてくれてもよかったんじゃないかな?もしかしたら火影もお父さん達の様に)

 

「やめろ!お父さんやお母さんを…あの人を悪く言うな――!!」

 

…………

 

ラウラ

「…くっ!ヴォーダン・オージェの影響か向こうの方が速い!」

 

(無駄だ。操縦の腕もISもスペックも全て同じ。ならば後は自身の実力の勝負だ。勝つには貴様もそれを使うしかない。…まぁ臆病者には無理だろうがな)

 

「私が臆病者だと!?」

 

(そうだろう?以前のお前は何よりも力を信じ、そのためならなんでもやってきた。それが今や自らの力に恐れを感じているではないか)

 

「恐れてなどいない!戻らないと決めただけだ!」

 

(それが恐れているというのだ。私のヴォーダン・オージェの輝きの前に眠れ。そしてお前に変わり、私が海之の力になる)

 

「…そうはさせない!」

 

…………

 

(ねぇ、もう止めようよ…)

 

「…えっ?」

 

(私はもうひとりの貴女…だからこそわかるよ。…・・貴女は怖がっている。あの人の真相を知る事を)

 

「!…それは…」

 

(あの人が死んだと思った時の事忘れたの?あの時の貴女、壊れる寸前だったじゃない…。今度もし、同じ様な事があったらどうなるかわからないよ。なのになんでそこまでして行こうとするの?貴女の支えが無くても…海之くん達は戦えるよ…)

 

「……」

 

(ねぇ、もう帰ろうよ。貴女はもう十分頑張ったよ…。私は嫌だよ…自分が壊れるなんて…)

 

「……」

 

…………

 

刀奈

(全く余計な事してくれたわね~あのふたり。そう思わない?)

 

「…?何を言ってるのよアンタ?」

 

(だって~あのふたりが現れるまでは私達って学園最強だったのよ?なのにあのふたりが出てきたせいで私の影がすっかり薄くなっちゃったじゃない?迷惑なものだわ~。しかも正体不明の敵っていう面倒事まで引き込んできてさ~。生徒会長で友達でなかったら無視してるところなのになぁ~。ねぇ、いっそ逃げちゃわない?敵と戦うのはあのふたり、私達は学園を守っていればいいじゃない?それも立派な戦いよ?」

 

「………こんな奴が私の中にいるなんて事が一番迷惑ね。そして…こんなんじゃ火影くん達に敵う訳ないわね!」

 

…………

 

クロエ

(…失敗作…)

 

「えっ、…失敗作?」

 

(失敗作…。私は…何もできない、期待に応えられない失敗作…)

 

「…!!」

 

(失敗作は…処分されなければならない…)

 

「……そう、なんですね。…貴女は…あの時の…」

 

…………

 

ガキィィンッ!!キィィィィンッ!!

 

千冬の影は何も言わず、ただひたすら自らと剣を結んでいた。

 

(……)

 

「これだけ切り結んで何も言わぬか…戦いに言葉はいらない。勝った方が前に進むという訳か。ふっ、流石私の影、それなりの美徳は得ている様だ」

 

(……)

 

「ならば…最後まで付き合ってやるさ。但し…勝つのは私だがな!」

 

 

…………

 

ネロ

「開け!二輪のガーベラ!」ズドォォォォォンッ!

一夏

「ぐっ!両腕のためか鈴の時より威力が上がっている!」

 

ほぼ同時刻、一夏とネロの戦いは続いていた。一夏は善戦していたが両腕のデビルブレイカーを巧みに使いこなし、戦歴も一夏よりも遥かに多いネロの方がやはり圧倒的であった。

 

一夏

「くっ!」ドンッ!

 

堪らず空に逃げる一夏。

 

グリフォン

「おいおい空は飛ぶなって言ったろうが~?」

一夏

「わ、悪ぃつい…。ちょっと息を整える暇だけくれ!攻撃が激し過ぎんだよアンタの!」

「老いぼれから若返ってご機嫌な様だなネロ?」

ネロ

「うっせー。…てか、実は…俺も空飛ぶ方法、全く無い事ねぇんだぜ?…パンチライン!」ズドン!!

 

するとネロは左腕にパンチラインを展開し、それを発射したが、

 

ネロ

「カモン!」ビュンッ!

 

そういうとパンチラインは彼の所に急旋回して戻った。そして、

 

ネロ

「ほほー!」

 

ネロは戻ってきたパンチラインの上に乗り、急加速で一夏に向かって行くのだった。飛べないと油断していた一夏は驚く。

 

ネロ

「サイッコー!」

一夏

「な、なんだそれ!?スッゲー!」

 

予想だにしないネロの技に興奮しながらも一夏は雪片で迎え撃つ。対してネロは右腕にオーバーチュアを展開して雷撃を溜める。

 

一夏・ネロ

「「はぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

ガキキキキキキキキキキッ!!!

 

剣と拳が激しく音を立ててぶつかる。

 

一夏

「締雪!」ビュンッ!

ネロ

「!」

 

瞬間、一夏の締雪がネロに襲い掛かった。だが間一髪ネロはそれを避け、パンチラインから飛び降りる。

 

ネロ

「っと!ふぃ~、あっぶね、そういやそんなのもあったぜ」

 

高さはあったが難無く着地するネロ。

 

一夏

「あ、あんな高さから落ちても大丈夫ってどんなだよ!」

ネロ

「細かい事気にすんな。ところでさっきからなんか音してねぇか?」

 

ピッピッピッピ

 

確かに一夏のすぐ傍から電子音の様な音がする。よく見ると、

 

一夏

「…!ゆ、雪片にデビルブレイカーが残ってる!?」

ネロ

「やるよ」

一夏

「へ?」ピッピ…「!!」

 

カッ!ドガァァァァァンッ!!

 

電子音が止んだとたん、一夏の雪片に残されていたオーバーチュアが爆発炎上したのであった。凄まじい煙に包まれる一夏。

 

ネロ

「これがオーバーチュアのブレイクエイジだ」

「やり過ぎではないのか?」

 

もろにダメージを受けてしまったかもしれないと心配になるネロ達。しかし、

 

シュバァァァァァ!!

 

ネロ・V

「「…!」」

 

煙の中から放たれるすさまじい黄金の光。その中にいたのは白式・駆黎弩の能力「Aegis」を起動して爆発のダメージを防いだ一夏だった。だが爆弾付きの雪片を離さずに持っていたために腕だけは範囲外になってしまったらしく、腕だけは完全に守り切れなかった様であった。因みに強度が上がっているらしい雪片・参型も折れていなかった。

 

一夏

「ぐ、ぐぐぐ…そうか、今のが前に束さんが話してたやつか…」

グリフォン

「おいおい生きてる!生きてるぜ坊や!」

ネロ

(あの金色の盾も…あいつの力によるものか…)

「てか何で剣を離さなかった?それを遠ざけりゃ完全に防げたんじゃねぇのか?」

 

一夏の行動にネロ達は疑問を投げる。

 

一夏

「…この雪片は俺の誇り、そして託してくれた千冬姉の誇りでもあるからな。俺はこいつと、白式と一緒に自分の大切なものを守るために戦う、そう決めたんだ。だからこいつだけは…死んでも離す訳にはいかねぇのさ!」

ネロ

「……そうかい」

 

…ツー…

 

ネロの頬の部分に一筋の傷があった。

 

ネロ

「……さっきの奇襲はなかなかよかったぜ?俺じゃなきゃ避けられねぇかもな。だがこんなもんじゃねぇんだろ?お前の本気ってのは」

グリフォン

「心の方は強くてもよ、肝心の力がこんな程度じゃ意味ねぇぜ?」

「そういう事だ…」

一夏

「面白れぇ!…うおぉぉぉぉぉ!!」

 

一夏は再びネロに向かって行くのであった…。

 

 

…………

 

その頃、自らの影達と戦っていた鈴達だったが……暫く戦っていた中、動きがあった。

 

「……」

 

(…?どうしたのよ武器下ろして。もう終わり?なら早く倒されてよ、火影に会いたいんだから♪)

 

突然武器を下ろす鈴。そして静かに話し始める。

 

「…………アンタの言う通りよ」

 

(……え?)

 

「だからアンタの言う通りって言ってんの!認めたくないけど…私…あいつを、火影を利用していたの。一夏に失恋した悲しさを…あいつに慰めてもらおうって思ってた。だから2回目に一夏と喧嘩した時、あいつの部屋の前に行ってたの…。アンタの言う通りトイレとかで泣けばよかったと思うけど…ひとりじゃ耐えられなかった…誰でもいいから支えてほしかったのよ…。それがたまたま優しくしてくれた火影だったって事。アンタに言われるまで気付かなかったんだけどね」

 

(気づかなかったんじゃないわ。…考えたくなかったのよ)

 

「…うん。そしてすっかり火影に心変わりしちゃった。軽い女よねほんと…。尻軽って言われても仕方ないわ」

 

(…なんだ。わかってんじゃないの)

 

「……でもそれでもいいの。今私が好きなのは本当に火影だもん。アンタが私の影ならわかるでしょ?私の想いが本気だって。さっきアンタも言ってたじゃん」

 

(……まぁね)

 

鈴の真っ直ぐな言葉に何も言えない鈴の影。そしてそんなやりとりは彼女達も…。

 

…………

 

「……確かに私は姉さんが嫌いだったさ。いや半分憎んでもいた。姉さんのせいで私達は逃げる様に故郷を去り、姉さんは国際指名手配され、私達は最重要保護人物の設定を受けた。多くの不自由を受けてもきた。きっと昔の私なら…お前の言う通り、姉さんがどうなろうとどうでもいい、と思い、あんまり関心が無かっただろう…」

 

(…そうだ。全てはあの人のせいだ…)

 

「でも姉さんは変わった。自分がした事を罪と認め、自分を信じてくれた人達のために今度こそ正しく夢を叶えようとしているんだ!そしてやり方こそ違ったが…姉さんは私達をずっと愛してくれていたんだ!」

 

(……)

 

「私は…姉さんとちゃんと向き合いたい。そして話したいんだ。だからそのためにも止まる訳にはいかない!必ず助けてみせる!一夏や皆と共に!」

 

…………

 

セシリア

「…嘗ての私は…父の後ろ姿を情けないという気持ちで見ていましたわ。何故こんな人が自分の父親なんだろう、こんなにへこへこしてばかりの人のどこにお母様は惹かれたのだろうと。だから男なんて皆大したことない低俗なものと決めつけていました。貴女の言葉…まるであの時の私の心の声みたいですわ」

 

(そうですわ…男性とはそんなものです)

 

「でもそれは私の間違いでした。お父様は私のために自らをかけてくれた素晴らしい紳士でしたわ。今ならお母様がお父様を愛したのもわかります。おふたりの愛の力が私と、そしてお家を守って下さったんですわ。…私もそんな強い女性になりたいんですの!愛する人と一緒に大切なものを守れるような淑女に!」

 

(…愛する人と一緒に…)

 

「ふふ♪私は必ず勝ちますわ。自分にも、恋にも。私が諦めが悪いの、貴女もご存知でしょう?…でも先ほども言った通りそれはまだ後のお話。今はすべきことがあります。皆さんと一緒に戦うという事を!」

 

…………

 

シャル

「……キミの言う通りかも知れない…。昔の僕は…お父さんを憎んでいたんだ。おかあさんと僕を見捨てたんだと思ってたから…。おかあさんは最後までお父さんを愛してたのに…」

 

(…そうだね)

 

「…おかあさんが死んだ後、行き場のない僕をお父さんは引き取ってくれたけど…それでも僕の処遇は居づらいものだった…。お母さんは僕にきつく当たるし…お父さんはまるで何も感じていない様に他人みたいに接するし…、僕の居場所なんてどこにもないんだって思ってたんだ…。でも居場所が欲しかった僕は…言われるまま一夏のスパイを受け入れた」

 

(…そう。そうしなければまた捨てられるかもしれないと思った…。ひどい場所でも…居場所を…無くしたくなかったから)

 

「……だけど僕は知ったんだ。お父さんはちゃんと僕を想ってくれていた事。そしてお母さんも辛かったって事…。キミの言う通りきっかけは偶然だったかもしれない、火影に出会わなければまだ何も変わってなかったかもしれないよ。……でももういいんだ。大事なのは昔じゃなく今だよ。お父さん達とも仲良くなれて、火影や皆と一緒にいれる今じゃないか」

 

(……)

 

「僕にはもう、お父さんやお母さんへの憎しみは無いよ。そして火影は僕を捨てたりなんか絶対にしない。火影の傍にいるためにも…僕はあの人の事が知りたいんだ!だから止まれない!」

 

…………

 

ラウラ

「はあああああ!」ドォォォォォォンッ!!

 

(くっ、急に強くなった…!?ヴォーダン・オージェも使っていない貴様が私と互角!?)

 

「……戦っている中でわかったぞ。やはりお前は私だ。お前はもまた、皆や海之を大切に思っている。さっきお前は海之の力になると言っていた。それが何よりの証拠だ)

 

(!…そうだ!なのに貴様は自らの力を恐れている!私はそれが許せん!そんな事では守れも支えられもしない!だから私が)

 

「違う!!」

 

(…!)

 

「それは違う…。真に大切なのは力ではなく心だ。私は海之にそう教えられた。本音を見てわかるだろう?あいつは私達と違って戦えないのに火影を立派に支えているではないか。そして火影もまた本音を守り、彼女の想いを力としている。守る支えるというのはそういう事だろう?海之を守りたいと思っている私達ならわかる筈だ」

 

(……)

 

「だから私はもうあの時の様な私には戻らない。力に溺れもしない。…そんなもの用いずとも海之を支えたいという想いがあれば…私はこれまで以上の私の力が出せるからな!」

 

…………

 

「………違うよ」

 

(…え?)

 

「貴方を見ていて気付いたの。貴女は…海之くんと出会う前の私だって…。打鉄弐式の事で周りを信じられなかった私…。お姉ちゃんの影でただ隠れていたばかりの私…。傷つきたくなくて…誰にも頼らず…自分の世界で生きていた私に…」

 

(…そうだよ。だからもうこれ以上傷つきたくないんだ…。だから…)

 

「それじゃ駄目!引きこもっていれば傷つかないなんてそれは違うよ。そんなの自分に嘘ついてるだけ。嘘をついているのって苦しいんだよ!自分をごまかして、本音も出さないで、ひたすら我慢しているだけじゃあ何にも解決なんてしない!どんどん自分の問題が積み重なって苦しみが酷くなっていくだけだよ!」

 

(……でも)

 

「私は海之くんと出会って…変わろうと思った。そしてそのおかげで私は避けていた問題とも向き合えた。お姉ちゃんとも仲良くできた。周りが悪かったんじゃない。私の思い込みが自分を勝手に遠ざけていただけだったんだよ」

 

(……)

 

「ほんのちょっと怖い気持ちもあるけど…私はもう逃げないと決めた!ふたりの、海之くんの真実を知りたいの。そして必ず受け入れてみせるよ。私や貴女が、ずっと一緒に生きていきたい人なんだもの!」

 

(…!)

 

…………

 

刀奈

「…ねぇ、貴女はふたりの事が嫌い?」

 

(好きとか嫌いとかじゃないわ~。強いて言うならヤキモチってとこかしらね~。私達よりずっと強いし人気者だしカッコいいし~。簪ちゃんの信頼度もMAXだし妬けちゃうのよね)

 

「……ふふ、それ聞いて安心したわ。だって私も同じだもの。学園最強にして現役の国家代表たる私を簡単に倒しちゃったり、あんないい子達が揃ってベタ惚れだし、簪ちゃんなんか海之くんにゾッコンだし、ホント妬けるわよね。気持ちよくわかるわ~♪」

 

(あらら?私みたいなやつがいて迷惑だったんじゃないの?)

 

「最初はね。でも仕方ないじゃない。貴女は私、私は貴女なんだから。そう考えると貴女の事も嫌いじゃなくなってきたのよね~。自分を好きになれなきゃ元も子もないじゃない?」

 

(あはは、そりゃそうね♪)

 

…………

 

クロエ

(…私は…失敗作。…いても意味が無い…)

 

「…貴女は…私、なんですね…。ドイツの馬鹿共に勝手に生み出され、勝手に訓練させられ、勝手に身体を弄られ、そして最後には…役立たずと無様に捨てられた…誰も信じられなかった…あの時の私そのものです…」

 

(…私は…なにもできない…。役立たずはいちゃいけない…)

 

「…でも、私は束様に出会った。あの方は…私に初めてやすらぎを与えてくれた。私を人にしてくれた…。そして皆さんや…兄さん達に出会って…多くのものを得る事ができた。私にいていいと言ってくれた。私という存在にも意味があると…!」

 

(…私…意味…)

 

「私という存在に意味があるのなら…貴女にも意味があるんです!私は貴女なんですから!」

 

(……!)

 

…………

 

「……ねぇ、思ったんだけどさ?私とアンタのふたりで火影を支えたりできない?」

 

(…へ?)

 

「だってアンタは私、私はアンタなんでしょ?ならどっちが欠けても駄目じゃん?あの人は乗り越えろって言ってたけど、おんなじ奴同士なら決着つかないのも無理ないしさ。ならどっちが上とかじゃなくこれからも一緒に戦わない?鳳鈴音としてさ」

 

鈴は自らの影にふざけた様にそう言ったがその目は真剣であった。そんな鈴に影は一瞬ポカーンな表情を浮かべたが、

 

(………ぷ、アハハハハハ!何を言い出すかと思えば!アハハハハ…」

 

「…結構本気なんだけどね」

 

鈴の影は大笑いし、そんな彼女を見て呆れる鈴。しかし、

 

(フ~…、そう来たか。予想とは違った形になったけど…これもいいか)

 

「え?…!!」

 

鈴は驚いた。目の前にいる自分の影がぼんやりと淡く光始めたのであった。

 

(何を驚いているのよ。自分で言ったでしょ?アンタは私って。…だから帰るのよ)

 

「ちょ、ちょっと何言って!」

 

(忘れないでよ?私も貴女って事。……あいつをお願いね)

 

そう言うと鈴の影はやや寂しそうに、しかしどこか満足した様な表情でゆっくり消えていった。それと同時に鈴の意識も途切れた。

 

 

…………

 

場所はまた戻り、一夏達。先ほどから幾度も無く撃ちあい、ネロはまだまだ余裕がある感じであったが一夏の方は限界が近い様であった。

 

一夏

「ハァ、ハァ、ゼィ、ゼィ…」

グリフォン

「おいおい腕がプルップルに振るえてんじゃねぇの。プリンみてぇだぜ~。もう止めとけよ?」

一夏

「…ま、まだだ…」

「分かっているのだろう?自分にはこれが限界と。なのに何故挑む?」

一夏

「…さぁ、俺にもよくわかんねぇ。…でもあいつらの、影響かな。火影と海之は…どんな状況でも諦めて、なかった。だから…俺も諦めが悪くなったのかもしれねぇ。どんなに悪い状況でも…諦めなけりゃ…必ず…ってよ」

 

息も絶え絶えに一夏は言う。

 

ネロ

「…そのせいで死ぬことになってもか?」

一夏

「……諦めて後悔しながら生きるより、足掻いて守って死んだ方が…カッコいい、だろ?」

(…くそ…もう雪片を持つ力もねぇ…。トムボーイのパンチ位か…)

ネロ

(…諦めるより足掻いて死ぬ、か…)

「……わかった。なら次で終わらせてやるぜ」カッ!

 

ネロはバスターアームとトムボーイに変え、ブレイクエイジのためにチャージする。

 

グリフォン

「お、おいおい!今の坊主にそんなんぶつけたら」

「お前は黙って見ていろ」

ネロ

「今の俺にできる最大のパワーを喰らわせてやるよ」

一夏

「……ありがてぇ!」キュイィィィィ…!!

 

そう言って一夏はトムボーイのナイトメアモードを起動させパワーを溜めた。

 

一夏・ネロ

「「おおおおおおおおおお!!」」ドンッ!ドンッ!

 

 

ガガガガガガガガガガッ!!

 

 

ふたりは互いに突進した。一夏のトムボーイとネロのバスターアームがぶつかり、先ほど以上の激しい力の押し合いになる。

 

一夏

「はあああああ!」

ネロ

「おおおおおお!」

 

…そして、

 

ガガガガガガ……ドガァァァァァン!

 

やがてエネルギーに耐え切れなくなったのか、ふたりのデビルブレイカーは小さい爆発を上げて壊れてしまった。

 

グリフォン

「ネロ!坊主!」

「……」

一夏・ネロ

「「……」」

 

ふたりは拳を突き当てたまま止まっている。

 

…キュゥゥゥゥン…

 

その瞬間一夏は白式が解除されてしまい、今の一撃で精魂尽きたのか気絶して前に倒れてしまった。それをネロが受け止める。

 

一夏

「……」

ネロ

「……いいパンチだったぜ」

 

 

…………

 

千冬

「…ハァ…ハァ…」

 

(……)

 

場所は再び変わり、こちらは千冬とその影の空間。先ほどからずっと撃ち合っている千冬と彼女の影。

 

「…ちっ、本当にだんまりを決め込んでいるな…」

 

ずっと無言を貫いている千冬の影だったが…ここに来て口を開く。

 

(……お前は…)

 

「!…漸く口を開いたか。息切れや降参ならありがたいんだがな」

 

すると影は千冬にこう問いかけた。

 

(お前は…伝える気はあるのか?)

 

「…何?」

 

(一夏に……伝える気があるのか?……全てを)

 

「!!………」

 

その言葉に千冬は一瞬目を開き、少し黙る。

 

(わかっている筈だ…。マドカが現れた今、もう…隠しきれんぞ)

 

「……」

 

(……どうした。答えが出ないのなら私が)

 

すると千冬が割って入った。

 

「答えは最初から決まっているさ。マドカが……いや、両親が去ったあの時から…全てな」

 

静かに、ハッキリそう答える千冬。それを聞いた彼女の影は剣を下ろし、

 

(……そうか。……では、もう何も言わん)

 

それだけ言うと彼女の影もやんわりと光始め、

 

「…お前」

 

(…一夏を…頼む)

 

それだけ言い残し、ゆっくりと消えていった…。

 

「それを聞き出すために今まで戦っていたのか…。全く、我ながら遠回しなやり方だ。……言われなくても守るさ。一夏も…そしてできれば…あいつもな…」

 

 

…………

 

「…か……一夏!」

一夏

「………う」

 

誰かに呼ばれた一夏は目が覚める。

 

「一夏!」

セシリア

「気がつかれましたか!?」

 

そこには箒やセシリア、他の皆もいた。そしてネロ達も。

 

一夏

「…箒…セシリア」

千冬

「大丈夫か?」

一夏

「千冬…姉?……良かった、皆無事だったんだな」

 

一夏は皆が無事に試練をクリアしたのだと安心した。

 

刀奈

「まぁね。最もあれでよかったのかはわからないんだけど」

一夏

「…?」

「正確には倒していないんだ。戦っている中で、お互いの思う事や言葉を交えて…そしたら最後に…「貴女なら大丈夫だね」って言われて…消えちゃったの」

ラウラ

「ああ私もだ。「お前なら大丈夫だろう」と言われて…最後は「私はいつもお前を見ている」と言って消えた。一体何だったのだろうなあれは…」

クロエ

「私もです。ただ私は最期に「ありがとう」と言われましたけど…」

 

どうやら皆が皆、自らの影に認められたり感謝されたりしつつ別れた様である。

 

本音

「でもびっくりしたよ~!皆が突然消えちゃったんだもん!レディさんが一緒だったんだけどふたりっきりだったから心細かったよ~!」

レディ

「あらそう?その割には結構楽しそうにお喋りしてたじゃない。ダンテの事とか将来あいつとどうなりたいか。聞いててこっちが恥ずかしかったわ」

本音

「だってほんとの事だもん~♪」

「…本音の場合影も本音のままな気がするわ」

シャル

「あはは、確かに」

 

そんな会話をしているとトリッシュが、

 

トリッシュ

「話を戻しましょうか。分かっていると思うけど今貴方達が戦ったのは…貴女達の心の一部よ」

「…心の一部?」

トリッシュ

「人にはいくつもの一面があるものよ。慈愛に満ちた自分や残酷な自分とかね。今の貴女達もそのひとつ。貴女達はそれと戦っていた訳」

「…あの私が…私の心の一部…」

ネロ

「まぁこいつだけは実際俺と戦って気絶しただけだけどな」

一夏

「あ、やっぱり?どおりで生々しかった訳だ…。にしてはあんなボロボロだったのに随分身体が楽なんだけど?」

レディ

「それはスイートサレンダーっていうデビルブレイカーの力よ。あれをキリエ以外に使うなんてね~ネロ~?」

ネロ

「…作った奴の趣味だ。俺はいらねぇと言ったんだ…」

グリフォン

「イーヒッヒ!お優しいね~ネロちゃん!今度は俺にもや」ビュンッ!「でぇぇぇ……」

 

猛烈なスピードで投げ飛ばされたグリフォンであった。

 

一夏達

「「「……」」」

「気にするな…」

トリッシュ

「ところで貴女達、自分達の影と対面してどう感じたかしら?そして…どうして倒さなかったの?」

 

トリッシュの質問に一夏と本音以外の皆が答える。

 

「…正直言って最初はムカついたわよ。言いたい放題言われたし、挙句の果てにはもし負けたら自分が私に代わって生きるとか言われたし」

ラウラ

「…ああそうだな、私も言われた。力を怖がっている様な私に代わって自分が表になってやるとな。それを聞いて絶対負けられんと思った」

シャル

「そうだね。……でも…気づいたんだ。もうひとりの僕が言っている事はそのとおりだったって。認めるのが怖くて…ずっと自分の中で抑え込んでいた部分。それを指摘された…」

セシリア

「それだけじゃありません…。あの私は昔の私の様でしたわ…。お父様を信じれず、男の方を見下し、誰にも頼ろうとせず、意固地になっていた時の私みたいな…」

「…私もそうだった」

クロエ

「…はい。あの私も…間違いなくあの時の私でした。無力で生きる価値も無いと思っていた頃の…私…」

「すると思ったんだ。倒すのではなく認めよう、受け入れようと。あの影もまた…私なのだからと」

千冬

「……」

 

其々感想を述べる皆。

 

トリッシュ

「…合格よ」

「…え、合格?」

レディ

「そ。この試練は単なる勝敗を見るんじゃないわ。自分の見て見ぬふりしていたり忘れていたりしていた影。それと向き合った時どんな行動するかが肝だったのよ」

「…でもさっきは勝てって…」

トリッシュ

「ええ。もうひとりの自分からの指摘や誘惑に負け、憎しみや恨みのまま勝っていたなら不合格だったわね。でも貴女達はそうしなかった。ただ勝つのではなく目の前の存在を認め、受け入れた。そこに意味があるのよ」

千冬

「最初から含んだメッセージがあった訳か…」

レディ

「単純な力の強弱なんてあまり大した問題じゃないわ。大事なのはどんな侵食や逆境にも負けない強い心よ」

「貧弱な心は魔の格好の餌だ。油断すれば忽ちつけこまれる…。覚えておくんだな…」

ネロ

「…一夏っつったな。お前の諦めない意志の力、見せてもらったぜ。正直実力はまだまだだが…クレドが認めただけのってこと事はあるな」

一夏

「サンキュー、えっと…ネロ。……あとクレドって?」

ネロ

「…ふっ、気にすんな」

「…ところで、合格ってことは…貴方達の目に叶ったって思っていいのかしら?」

レディ

「…ええそうなるわね。貴方達なら大丈夫でしょう…」

「…という事は…」

トリッシュ

「約束通り教えてあげるわ…。ダンテとバージル…いいえ、貴方達のお友達、火影と海之の正体をね…」




※次回は来年一月の9(土)の予定です。

今年は本話が最後となります。正直今年で一番書くのが難しかったです。文才が無いものですいません。
また、今年一年自分の都合で投稿スピードがちょくちょく変わってしまい、ご迷惑をかけました。来年から自分も新しい仕事に入るため、今後も似た事があるかもしれませんが前にも書きましたとおり必ずエンディングまで書きますので、お付き合い頂ければ幸いです。

今年一年ありがとうございました。良い年をお迎えくださいませ。
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