IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
俺は死後の世界なんて興味は無い。
死んでそれで終わっても構わない。。
魔界で悪魔になるのは未練たらたらで死んだような奴や悪魔と馬鹿な契約をしたような奴だけ。
神仏なんてもんにもこれっぽっちも興味ない。
まぁ悪魔や邪神と言える様な奴らをこれまで数多くぶっ殺してきた俺が言うのも説得力はまるでないが…。
そんな俺だが今どういう状況かっつーと……、
「どこだここは…?」
どこまで行っても真っ白な空間。
先を見通そうと思ってもひたすら真っ白。見えるのは自分の身体だけ。おまけに妙なことがある。
まずめちゃ身体が軽い。まるで若返ったみたいだ。死ぬ直前は身体が1ミリも動かせなかったんだが死んだらこうなるのか?
そしてもうひとつ。服が変わっている。死んだ時はローブを纏っていたのだが、今着ているのは自分が若い時愛用していた服装だ。
全体的に黒い服、レザーブーツ、そして彼のトレードマークとも言える赤いロングコート
当時は気にならなかったが今思えば重量だけでも相当な重さがあったあの時の服装が今は何ともない。
「まさか本当に若返っているのか…?」
思わず顔をさすってみたが死んでるためか手の感触がわからない。
「っち、鏡になる様な物もねぇし…とりあえず進むしかねぇか…」
違和感を感じながらも俺は歩を進めようとした……
「ねぇ」
急にすぐ真後ろから声が聞こえた。
気配が一切しなかった事もあって俺はつい慌ててしまって振り返った。
「っと!?」
振り返るとひとりの少女が立っていた。
体格からしておそらく10歳位。長い金髪に白いワンピース。成長すれば間違いなく美人になるだろう。ただ・・
(なんか…あいつを思い出しちまうな…)
嘗て依頼人として一時期一緒に暮らしていた少女を思い出し、思わず嬉しいような困ったような表情をしてしまう。
そんなことを考えていると少女が語りかけてきた。
「ねぇ、あなたダンテでしょう?」
名前を知っているのが一瞬気になったが、ここが死後の世界だとするならなんでもありか。そう思って俺は乗っかる事にした。
「こいつは光栄だな。死後の世界でも俺の名が知れ渡っていたのか。まぁこんないい男は他にいないか。誰かに聞いたのか?」
「ううん、私は全てを知っている。あなたが人と悪魔の子供であること。英雄スパーダの息子であること」
「ほぉー。あんた神様かなんかか?」
「神ほどじゃないけどそれに近いかもね(ニコ)。私はあなたの願いを叶えるために来たの」
「俺の願い?」
「あなた死ぬ前に言ってたでしょう?「生まれ変わるなら戦いのない世界で」って。だから叶えてあげるために来たの」
俺は自分が死ぬ直前に言った言葉を思い出して納得した。
「あぁ、そういえばそんなこと言ってたな。だがなんでそんな事しに?言っちゃ悪いがあんなもん願いってほどのもんじゃないぞ?」
「だってあなたこれまで数多く世界を救ってきたでしょ?だからご褒美よ」
「ご褒美っつんなら金くれるか、ピザをたらふく食わせてくれた方が嬉しいんだがな、まぁ良いや。せっかくだがお断りだ」
「あらどうして?生まれ変わりたいという願いを持つ者はすっごく多いのに?」
「平和な生活なんて俺には似合わねえんだよ。最後に付け足したろ?」
「じゃあどういう世界なら良いの?」
「そうだな…、強いて揚げるとすればある程度過激で経験したこと無い様な世界が良いかな?つっても世界戦争なんか御免だぞ?あと悪魔もだ。もううんざりだからな。つっても戦いはあった方が良いかな?強い奴がいれば尚良しだ」
「ふんふん…戦争や悪魔は無しで以前と全く違った戦いありのライバル付きで過激な世界ね。だったら…うん、あの世界ならバッチリ!案内するわ!」
突然ガッツポーズをして急かす少女に俺はなんか意味不明な不安にかられた。
(おいおい本当に大丈夫かよ…)
そんなダンテの不安をよそに少女はこう思っていた。
(本当に良かった!あの世界なら彼の願望にも適っているしバッチリね!……あ!そうだ!もうひとりの彼も呼ぼうっと!)
もうひとり?
次回あの人登場!