IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
その後、セシリアの突然の謝罪と彼女の過去を知ったふたりは謝罪を受け入れ、同時にある調査をひっそりと行い始めた。
※
皆さんからの感想、ありがとうございます。全て目を通させて頂いています。
なにぶんこの様な事は初めてなもので色々おかしかったり下手なところも数多くありますが、皆様の小説を参考に少しでも修正できるよう頑張りますので、本当に気軽に読んでいただければ幸いです。
セシリアの思わぬ謝罪から数刻後……。
火影と海之は屋上を離れて職員室に向かっていた。食堂に向かう前に山田先生より、寮の部屋の鍵を渡すので後で来てほしいと言われたからだ。
職員室
火影
「失礼します。山田先生はいらっしゃいますか?」
真耶
「…はいはい。あっ、エヴァンス兄弟のふたり共、お待ちしてました」
海之
「すみません。昼食が終わったらすぐ伺うつもりだったのですが」
真耶
「気にしなくて良いですよ。えっと寮の部屋の鍵でしたね。…はい、これが弟くんの部屋の鍵で、こっちがお兄さんの部屋の鍵です。別々の部屋でごめんなさいね」
そういうと真耶はふたりにそれぞれ別々の部屋の鍵を渡した。火影は1039、海之は1044となっている。
海之
「ありがとうございます。確か相部屋と伺いましたが」
真耶
「そうなんです。あっ、あと基本説明なんですが、トイレは同じ階の一部を使えるようにしておきました。ここは基本女子高なので男子トイレが無かったので。まあ部屋にもありますけどね。あと各部屋にはシャワールームはありますが男子はまだ浴場が使えないんです。こちらもごめんなさいね」
火影
「気にしなくて良いですよ。僕は基本シャワーなんで。海之は風呂好きだけど」
真耶
「暫く経ったら君達も使えるようにしますから」
海之
「わかりました」
真耶
「ああ因みに織斑くんも同じ階です。部屋は1026ですから」
火影
「わかりました。では失礼します」
真耶
「ルームメイトと仲良くしてくださいね」
…………
学生寮
火影
「…1039、ここか」
海之
「俺は1044だ。じゃあな」
火影
「ああ」
火影は海之と別れ、自分の部屋に入った。
ガチャ
火影
「…こんにちは」
入室の際、先にいるであろうルームメイトに挨拶する。すると、
本音
「…いらっしゃ~い。…ってあれ、ひかりんじゃん~」
そこにいたのは知り合った本音だった。
火影
「布仏さん?君ここの部屋なのか?」
本音
「ひかりん~、のほほんさんだよ~!そだよ。あれひょっとしてひかりんがルームメイト?山田先生から今日からルームメイトが入るって聞いてたけど、ひかりんだったんだ~」
火影
「ああそうだ。知ってる顔で良かったぜ。よろしくな」
本音
「うん。よろしく~」
そういうと火影は先に届いていた自分の荷物を解き始めた。そして荷解きが終わった辺りで再び本音が話しかけてきた。
本音
「ねぇねぇ、ひかりん~」
火影
「ん?」
本音
「お菓子作って~」
火影
「…は?」
本音
「ひかりんデザート得意なんでしょ~。だから作って~」
火影
「いや何故…それに作れといっても材料が」
本音
「それなら冷蔵庫になにかあるから勝手に使って良いよ~」
火影
「良いのかよ…。ハア、ちょっと待ってろ、…え~っと…玉子と牛乳、あとパンがあるな…フレンチトーストなんかどうだ?」
本音
「うん!良いよ~!」
そういうと火影は本音にフレンチトーストを作る羽目になった。とはいっても家では作る機会がなかなか無いのでそれなりに楽しかった。因みに本音の好みに合ったようでかなり好評だった。
火影
(…そういえば作っている途中に遠くから一夏の悲鳴が聞こえたような…気のせいか)
…………
…数刻前、1044
海之
「ここか、…失礼する」
海之は挨拶をしながら部屋に入った。しかし返事がない。
海之
「誰もいないのか?……あっ」
それは違った。デスクの上で作業をしている、…いやずっとパソコン画面に食い付いて何か見ている少女がいる。薄い青い髪の眼鏡の少女。1-1では見かけなかった事から別のクラスの生徒のようだ。
薄い青い髪の眼鏡の少女
「………」
どうやら見ているものに夢中で海之の事には気づいていないようだ。なので少し近づいて再び声をかけた。
海之
「…あの」
少女
「…キャッ!…びっくりした…。えっと…誰?…あっ、もしかして…今日からルームメイトになるっていう…」
海之
「どうやらそうらしい。1-1の海之・藤原・エヴァンスだ。宜しく頼む」
少女
「あっ…、うん…宜しく…」
海之
「ずいぶん熱心に見ていたようだが…、これはアニメか?」
少女
「…うん。…おかしいかな…?」
海之
「いや別に」
見ると少女のデスクにはロボットアニメやそのキャラクター等のフィギュアが置かれている。海之は気にせず、自分の荷物の荷解きにかかった。
少女
「……」
私は一瞬彼に集中してしまった。海の様な深い青色の目で髪は銀色。
少女
「……」
(…きれいな人…)
海之
「…?…どうした?」
少女
「あっ!う、ううん…、ごめんなさい…」
海之
「そうか…。そういえばそちらの名前を聞いていなかったな」
少女
「えっ、あっ、そ、そうだったね。…簪…です。宜しく…」
海之
「わかった。簪さん」
少女の名を聞いたのを最後に、互いの作業に戻った。
海之
(…?今しがた一夏の声がしたような気がするが…、関係無いか…)
…………
翌日、教室に入るとまだ始まってもないのに既にのびている一夏がいた。聞いた話だと一夏は箒と相部屋だったらしいが、入室の際に運悪くシャワーあがりの箒と出くわしてしまい、彼女の怒りを買ったんだとか。その後激しく追いかけまわされるわ、誤解を解くまで約3時間謝る事になるわ、大変だったらしい。
火影
(……そういえば今日から一夏のISの特訓を始めるんだったな。後で見に行くか)
…………
放課後
体育館・剣道部
火影と海之は一夏と箒の訓練を見物していた。最も訓練と言っても一夏が箒に一方的にやられていたのが実情だが…
箒
「何故だ…」
一夏
「ハアハア、ゼイゼイ…」
箒
「何故ここまで弱くなっている?お前最後に会った時は私より強かったはずだぞ!」
一夏
「最後っつっても…ゼイゼイ、もう、6年も前だろ…?お前は知らねえけど…ハアハア、あの後剣道は辞めてたんだよ。忙しい千冬姉の代わりに…家事とかしなきゃいけなかったからな…」
箒
「そ、それにしても…!」
火影
「まあまあそう怒んなって箒。昔の一夏がどれ位強かったかは僕は知らねえが、弱くなっちまったもんは仕方がないだろ?こいつだって織斑先生を助けようと思っての事だったみてぇだし。一夏からしたら本当はずっと続けたかったんじゃねえか?」
箒
「む、むぅ…」
海之
「弱くなったのであればお前が鍛えてやればいい。一夏のISこそ届いていないが、ISは操縦者自身の運動神経や反射能力がほぼ直接伝わる物だ。お前なら知っているだろうが、剣は相手の動きを、剣がどこから飛んでくるかを読む事や間合いが重要だ。その感覚を取り戻すだけでも十分役に立つ」
箒
「あ、ああそうだな。よし、一夏!決闘当日までみっちりしごいてやるから覚悟しろ!」
一夏
「げえ…。所で火影と海之はどうすんだ?」
火影
「僕と海之は少しやる事がある。それに代表決定戦と違って模擬戦だからな」
箒
「大丈夫なのか?兄弟だからって手を抜いたら織斑先生に怒られるぞ?」
火影
「心配ねーよ。こいつに手を抜くとかありえねえから」
海之
「そうだな。俺とこいつはいつもお互い殺すつもりでやっている」
一夏
「こ、殺すって、そんな物騒な…」
火影
「ははは。じゃあな」
そう言って火影と海之は部屋を出た。
次回、やっとクラス代表決定戦に移ります。