IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
ルシアとマティエのその言葉を当然信じられない一夏達だったが彼女達が映したふたりの過去は壮絶なものだった。
悪魔に母親を殺された、弟のダンテは親代わりの者も殺されてより孤独に。兄のバージルは人間を捨てて悪魔として生きる事を決めた。そんなふたりは父スパーダの力が眠る魔塔テメンニグルで再会し、互いの譲れない主義主張をぶつけながら幾度も対峙する。戦いの結果バージルはひとり魔界に飲まれ、ダンテはバージルと引き換えに父の力を手に入れる。
想像をはるかに超えたふたりの過去。スパーダ、そしてバージルの形見にもなってしまった剣を手に、ダンテは更に悪魔達との戦いに身を投じていく…。
衝撃の事実から始まったダンテとバージルの過去の記憶。そして今、一夏達はテメンニグルでの戦いから数年後の世界を見ていた。デビルハンターとして仕事をしていたダンテはその後も日々、悪魔達との戦いを続けていたのだが…、
…ドガァァァァァァァンッ!!
一夏
「な、なんだぁ!?」
箒
「…!バイクが突っ込んできた!?」
箒の言う通り、ダンテの事務所に突然バイクが窓を破って突っ込んできた。
ダンテ
(これはこれはせっかちなお客様だ。ガラス代弁償するからトイレ借りたいってんなら勝手にしな)
バイクから降りてきたのは…サングラスをした金髪の女性。
女性
(…貴方がデビルハンター、ダンテね。伝説の魔剣士スパーダの息子…)
ダンテ
(……へぇ、どうやら単なる客じゃねぇようだ。詳しく聞かせてもらう必要がありそうだな)
ダンテは自身の秘密を知るこの女性を警戒した。そんなダンテに女性は言った。
女性
(……力を借りたいの。……魔帝を滅ぼすために)
ダンテ
(…何?)
そう言いながら女性はサングラスを外す。その顔はダンテ、そして一夏達も見覚えがあった。
ダンテ
(…!)
セシリア
「あ、あの方は!」
本音
「…嘘!エヴァさん!?生きてたの!?」
鈴
「い、いえ違うわ本音。この人は…」
その顔はダンテの母エヴァに酷似していたが服装からして…トリッシュであった。
シャル
「…うん、トリッシュさんだね。……でも本当にそっくりだね。写真見てもおんなじだよ」
床に落ちた写真と見比べてみると確かに同じだった。
簪
「…トリッシュさん、…今」
ラウラ
「…ああ。魔帝と言ったな…」
簪とラウラはまだバージルが魔界に落ちたショックが僅かに残っているようだ。
ルシア
「…ええそうよ。スパーダが戦い、ダンテの母エヴァを殺した魔帝が再び動き出したの。トリッシュはその討伐を…ダンテに依頼してきたの」
一夏
「野郎…どうしてもダンテを許さねぇつもりかよ…。あいつはもう…親兄弟全部失っちまったんだぞ…!」
千冬・刀奈・クロエ
「「「……」」」
マティエ
「そしてダンテは彼女の導きでとある島に赴くのさ…」
パチンッ!
ルシアが再び指を鳴らすと……場所は巨大な城がある島に変わった。ふたりの話だとマレット島と呼ばれるその島は元々多くの人間が住んでいてそれなりに栄えていた。しかし不運な事に島と魔界との距離が近すぎた。そのためかどうかは知らないが不運な事故や争いが絶えず、何時の間にか人はいなくなり、やがて忘れ去られていったそうだ。
ルシア
「魔帝はここを拠点にし、人間界への新たな侵攻を企てた」
シャル
「だからトリッシュさんはそれをダンテに…。…?でもなんでトリッシュさんが知っていたんだろう?」
ルシア
「それは後でわかるわ。今は…ダンテの戦いを見ましょう」
そしてダンテは島の内部を進んでいく。ルシア達の言う通り島の殆どは悪魔達によって支配されており、島全体が悪魔達の巣窟と化していた。それでもダンテは自らにかかってくる悪魔達を全て薙ぎ払う。その中には皆が見覚えのある者達もいた。
シャル
「ファントム…、それにグリフォンまで…」
ルシア
「魔帝にとって彼らは単なる道具に過ぎないわ。その気になればいくらでも創造できる」
セシリア
「まさしく王の力…ですわね」
一夏
「…ふざけんな。ダンテを襲わせといて役立たずと思ったら簡単に殺すような真似しやがって!」
箒
「ああ。力こそ強いかもしれんがとても王の器ではないな」
マティエ
「言ったろう?魔界、そして悪魔は弱肉強食、弱き者は死、あるのみ…」
…そしてやがてダンテの前に、謎の黒い騎士らしい悪魔が現れた。
黒騎士
(……)
一夏
「おい、あの黒い奴は!」
箒
「…ああ。アンジェロによく似ているな」
セシリア
「…おそらくあれが私達が知るアンジェロのモデルになったものではないでしょうか?」
シャル
「そうかもしれないね」
刀奈
「…でも他の悪魔と違って…武人という感じね。一対一を選ぶなんて」
黒騎士は卑怯撃ちもしようとせずダンテと互角に剣を交える。
シャル
「ダンテと互角!?」
鈴
「あいつ強い!」
ダンテ
(掃き溜めのゴミにしちゃガッツあるじゃねぇか!)
そして剣劇、そして格闘戦の末、ダンテが黒騎士に追い詰められる。
ドゴォォォォッ!
ダンテ
(ぐあっ!)
鈴
「ダンテ!」
…カチャン
その時ダンテの首からかけていた彼のアミュレットがはずみで零れ落ちる。
黒騎士
(…!?……グ、グ!!)
するとそれを見た黒騎士に変化があった。
一夏
「…え?」
箒
「なんだあいつ…苦しみ出したぞ?」
黒騎士
(グ…グゥゥゥゥアァァァァァ!!)…ドンッ!!
頭を抱える程に苦しむ様子を見せた黒騎士はダンテに止めも刺さず、どこかに消え去ってしまった…。
ダンテ
(…?)
鈴
「…何あいつ?急に苦しみ出したと思ったら逃げる様に飛んでっちゃった」
セシリア
「ええ。ダンテさんのアミュレットを見た途端のようにも見えましたけど…」
刀奈
「……成程ね」
本音
「かっちゃん?」
千冬
「……」
クロエ
「あれが…海之兄さんの…」
簪
「…え?」
ラウラ
「クロエさん?」
その後も悪魔の妨害がありながらも前に進み続けるダンテ。……そしてある部屋まで来たとき、あの黒い騎士がダンテを待ち受けていた。どうやら決着をつけるつもりの様だ。
黒騎士
(……)
ダンテ
(マジでガッツあるな。気に入ったぜ。ゴミには惜しいとこだ)
黒騎士
(…グゥゥゥゥアァァァァァァァ!!)
ドンッ!!
すると黒騎士は気合を溜めた。黒いオーラの様なものがそれを包み、同時に騎士がかぶっている兜が取れ、素顔が見える。そこには…青白い顔をし、真っ赤な目をした男の顔があった。
一夏
「あいつ…人間の顔してやがる!?」
箒
「奴もさっきの奴の様な人間か…それとも」
セシリア
「……何でしょう?……どこかで見たような…」
一夏達は黒い騎士の正体に驚く。そんな中簪とラウラの反応は違っていた。
簪
「……………え?」
ラウラ
「……ま…まさ、か」
シャル
「ど、どうしたの簪?ラウラ?」
千冬
「…気付いた様だな」
鈴
「千冬さん…?」
そんな彼らを他所にダンテとその黒騎士は再び刃を交える。ふたつの剣はほぼ互角であり、不思議と同じ剣技の様な気さえした。そして幾分の決闘が過ぎ、やがてダンテの剣が騎士を斬った。
ザシュゥゥゥゥッ!!
黒騎士
(グゥゥッ!!)
鈴
「やった!」
ダンテ
(……)
だがダンテの表情は曇っていた。
シャル
「…なんだろう?ダンテ…あんまり嬉しくなさそうだけど)
黒騎士
(グッ…グゥゥゥアァァァァァァァァァ!!)
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!
やがて黒騎士は激しい光と共に消滅した…。すると同時にそれがいた場所から何かが落ちてきた。ダンテがそれを拾う。
本音
「…何か落としたよ?」
一夏
「………えっ!?」
鈴
「…嘘…!それって!」
黒騎士が落としたものは…ダンテが持っているアミュレットと同じ形の金色のアミュレット。それは正に…。
箒
「どういう、事だ?なんで奴が…バージルのアミュレットを!」
簪
「…あ、…あああ」
ラウラ
「や、やはり…アイツは…」
簪が崩れ落ち、ラウラは言葉を失う。
刀奈
「簪ちゃん!ラウラちゃん!」
セシリア
「…まさか…先ほどの騎士は…!」
一夏
「何だよ一体!?」
すると千冬が答える。
千冬
「わからんのか?先ほどの黒い騎士は他でもない……バージルだ」
一夏
「な、なんだって!?」
シャル
「バージルってそ、そんな!バージルは魔界に飲まれて…死んだはずじゃ…」
刀奈
「……確かにバージルはあの時魔界に飲まれたわ。でも死んではいない。…生きていたのよ」
……パチンッ!
その時ルシアの指で再び場所が変わる。周囲は何も見えない真っ暗な闇。しかしはっきり目に映るものがあった。それは…
一夏達
「「「!!」」」
閻魔刀折れ、身体中傷だらけの満身創痍のバージル、そしてそれを見下ろす巨大すぎる存在。
バージル
(ハァ…ハァ…)
千冬
「…!」
ラウラ
「バージル!!」
簪
「…いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
本音
「かんちゃん!」
バージルの姿に千冬やラウラは言葉を失い、簪は絶叫を上げる。
謎の存在
(……無様だな。……スパーダの息子)
箒
「な、なんだコイツは!?」
鈴
「……まさか、こいつが!」
するとマティエはその名を呼んだ。
マティエ
「…ああそうさ。奴が二千年前、スパーダが封印した悪魔共の王にして魔界を統べる魔帝。その名を…「ムンドゥス」」
一夏
「…ムン…ドゥス?」
クロエ
「なんて…なんて禍々しい…!」
刀奈
「…ええ、映像だけど私にもわかるわ。……こいつのヤバさが!」
ルシア
「奴は魔界に落ちたバージルの前に現れた。バージルは父スパーダの軌跡をたどるために奴に戦いを挑んだ。…でもダンテとの戦いで傷つき、スパーダの力も継承していない彼に勝ち目は無かった…」
魔帝ムンドゥス
(…あの裏切者。偉大な悪魔の血を下等な人間の腹なぞで汚さなければ…多少は骨のある息子が生まれたろうにな…)
するとムンドゥスはその大きな手で傷ついて動けないバージルを掬いあげ、
魔帝ムンドゥス
(…だが筋だけは中々の様だ。ならば…)
ギュオォォォォォッ!
ムンドゥスはバージルを黒き闇で包む。
魔帝ムンドゥス
(弱さの腫瘍たる心を取り除いてやろう。自我も記憶も無くし、この魔帝の下僕になるがいい…!)
バージル
(…ああああああああ!!)
一夏
「…バージル!!」
千冬
「…くっ…!」
簪
「いやぁぁぁ!止めて!海之くんをこれ以上苦しめないでぇぇ!!」
ラウラ
「貴様ァァァ!!」
簪は泣き叫び、ラウラは今にもISを出して殴りかからんとする勢いである。
刀奈
「簪ちゃんしっかりして!これは過去の話よ!」
シャル
「ラウラも落ち着いてよ!」
ルシア
「…そしてバージルはあの黒い騎士となった。文字通り魔帝の操り人形となってね…。そしてダンテを襲わせた」
一夏
「…じゃあ、じゃああいつらは…また戦っちまったってのか…。望んでない戦いを…」
するとルシアは再び指を鳴らし、先程のダンテと黒騎士の後に戻す。簪とラウラはショックが大きい様子。
簪・ラウラ
「「……」」
千冬
「誰かふたりを支えてやれ」
箒
「でもあの時、バージルはダンテのアミュレットに反応した…。もしかしたら記憶が残っていたのだろうか…」
鈴
「…ええきっとそう。幾ら魔帝でも兄弟の、絆みたいなものは断ち切れなかったのね…」
……カッ!
すると…ダンテのアミュレットとバージルのアミュレットがひとつに組み合わさり、ダンテが持っていたスパーダの剣と反応して姿を変えた。ダンテはそれを鬼気迫る表情のまま無言で振るい、背に持つ。
シャル
「剣が変わった!?」
箒
「…あの剣は…あの時スパーダが振るっていた剣と同じだ」
マティエ
「あれこそスパーダの剣、その真の姿にして伝説の力。「魔剣スパーダ」さ…」
刀奈
「魔剣スパーダ…。自分の名前を剣に付けるなんて…正にスパーダの力そのものという訳ね」
そして魔剣スパーダを手に、ダンテは島の最深部目指して進むと…やがて周りに文字の様なものがびっしりある空間に辿り着いた。その壁は岩の様に見えるが何か生物の器官の様にも見受けられた。
トリッシュ
(ダンテ!)
本音
「トリッシュさん!」
ダンテ
(トリッシュ!)ズドォォォォォンッ!(!!)
トリッシュに近づくダンテに再び悪魔が襲い掛かる。ダンテはトリッシュを守るために戦うのだが、
バリバリバリバリバリバリッ!!
ダンテ
(ぐあぁぁぁぁぁぁ!!)
突然の雷撃がダンテを襲う。その雷撃を放ったのは…トリッシュだった。
トリッシュ
(ハハハハハ!無様な姿だな、甘えた人間!)
セシリア
「! トリッシュさん!?」
ダンテ
(…まさかお前…!)
トリッシュ
(その愚かさを悔いるがいい!貴様は我らにとって邪魔な存在なのだ!)
そして悪魔と並び、トリッシュはダンテに仕掛ける。
箒
「どうして!?それに我らって……も、もしかしてトリッシュさん!」
ルシア
「…そう。彼女もまた魔帝によって生み出されし悪魔だった…。目的は魔帝の名を使ってダンテをこの島に導く事。しかも手の込んだ事にわざわざ彼の母親と顔をそっくりにしてね」
鈴
「そんな…」
一夏
「卑怯な真似ばっかしやがって!」
一夏は激しい怒りを見せる。
シャル
「で、でも僕達が会ったトリッシュさんはそんな感じじゃ…」
刀奈
「その件については直ぐに分かるわ」
…そしてそんな卑怯な手を跳ね返し、ダンテは戦いに勝利する。するとそのはずみで部屋の一部が崩れ、トリッシュが巻き込まれそうになった、
ガラガラガラガラ!!
トリッシュ
(!!)
ダンテ
(…!)ダッ!!
鈴
「ダンテ!」
するとその時、ダンテがトリッシュを庇う様に駆け付けた。そのため彼女は無傷ですんだ。困惑している彼女を置いて先に進もうとするダンテ。
トリッシュ
(ダンテ…どうして、私を助けた?)
ダンテ
(………母さんに似てた。………消えな。次はこうはいかない)
トリッシュ
(……ダンテ!)ジャキッ!!(!!)
ダンテ
(寄るな悪魔!…二度とその顔見せるな!魂も何もない、作り物の顔を!!)
激しい怒りと共にダンテはその場を去った。トリッシュは何も言えずただ立ち尽していた…。
本音
「…ダンテ、凄く怒ってたね…」
鈴
「…当り前よ。母親を利用された様なものだもの。ダンテやバージルにとってエヴァさんは何よりも大切な人だった筈だし…」
箒
「魔帝の奴…どれ程卑劣なんだ!あいつらの心の傷を…どこまで広げれば気が済むんだ!」
シャル
「…うん。もし僕もおかあさんを同じ様に利用されたら、絶対に許せない!」
一夏
「それだけじゃねぇ…バージルの事もだ。ダンテにとって…二回殺したのと同じじゃねぇか!」
簪・ラウラ
「「……」」
怒りを心に秘めたダンテはやがて島の最深部にである大聖堂に辿り着いた。そこは今までの様な奇妙な場所達とは違い、とても綺麗で神々しさまで感じられそうな場所であった。その聖堂の奥には巨大な神像らしきものがいた。
神像?
(…再びスパーダの血と対面か…。昔を思い出すな)
ダンテ
(なら結末も同じだろうぜ)
神像?
(…ふ、果たしてそうかな?)
カッ!ドスッ!!
神像の目が赤く光った途端、ダンテに深紅の矢が刺さる。矢はダンテの身体を傷つけ続ける。
ダンテ
(ぐあああああ!!)
鈴
「ダンテ!?」
セシリア
「な、何も見えなかった…!」
刀奈
「…ええ。像の目が光った途端矢が刺さってた」
神像?
(愚かな。所詮貴様もバージルと同じ、それが限界。…死ね!)
カッッ!!
ダンテ
(!)
シャル
「ダンテ!」
バッ!!…ズドンッ!!
するとその時ダンテを庇うかの様に入ってきた者がいた。それは…、
トリッシュ
「あああああああ!!」
ダンテ
(!)
箒
「! トリッシュさん!?」
ルシア
「…見ての通りよ。トリッシュは最初は魔帝の手下だった。でも…ダンテの優しさが、彼女に心を与えたのよ」
ダンテの目の前で光に貫かれるトリッシュ。その光景に…ダンテの頭に母を失ったあの時の光景が過った。
神像?
(…愚かな役立たずが。邪魔をするとはとんだ失敗作だ)
ダンテ
(……出て来い。……魔帝ムンドゥス!!)
ババババババババババババババッ!!
そう言うと周囲の壁が突然崩壊し始め、像も砕け散る。そしてその中には先ほどバージルの過去の時に出てきた存在がいた。
千冬
「…魔帝…ムンドゥス…!」
ラウラ
「…周囲が、宇宙になった!?」
ルシア
「奴にとって小さい宇宙を創ることなんて造作もないわ」
魔帝の姿を強い眼差しで睨みつけるダンテ。
魔帝ムンドゥス
(その目だ…。スパーダと同じ…危険な兆候)
ダンテ
(…母さんの仇…)
魔帝ムンドゥス
(ふっ…母が欲しいのなら幾らでも創造してやるぞ?…トリッシュの様にな)
ダンテ
(…黙れ!!!)
その一言がダンテの逆鱗に触れた。巨大な翼を広げ、高く飛翔するムンドゥス。ダンテは魔剣スパーダの力によって新たな姿に変身し、ムンドゥスと凄まじい空中戦を繰り広げる。互いの魔力の矢が飛び、隕石を降らせ、時にはエネルギー体の龍を召喚して攻撃する。
箒
「…なんて戦いだ…。これが…悪魔の戦いなのか…」
刀奈
「強大な力を持った魔帝と…嘗てそれを破ったスパーダの力を継承した悪魔の血を継ぐもの…」
本音
「でも違うよ!ダンテは人間だよ!」
クロエ
「…はい。そうですね」
シャル
「ダンテ…負けないで」
簪
「…ダンテさん。…バージルさんの仇をとって…」
そんな空中戦もやがてマグマ溢れる場所に移る。魔帝の怒涛の攻撃に対し、ダンテは必死によけながら先ほど迄とは比べ物にならない位パワーが上がっている魔剣スパーダで斬りつける。
セシリア
「あのダンテさんの剣…。凄まじい力ですわね。まるで何かの力が目覚めたかの様ですわ」
一夏
「…きっとスパーダが力を貸してくれてんのさ。魔帝の奴をぶっ倒せってな」
千冬
「…ふ。今回は私もお前と同じ考えだ」
鈴
「剣に宿る父親の意志…か」
ラウラ
「…バージル、お前も力を貸してやってくれ!」
ダンテの剣の一閃一閃は間違いなくムンドゥスの身体にダメージを与える。しかしムンドゥスもまた強烈な攻撃をダンテに浴びせ続ける。そしてムンドゥスよりも先に、ダンテのスタミナが尽きつつあった。
ダンテ
(ハァ…ハァ…ゼィ…ゼィ)
ムンドゥス
(…どうした?その程度か人間め!)
…するとその時、ふたりの戦場に突如飛び込んでくる者がいた。
トリッシュ
(ダンテ!諦めないで!私の力も使って!)ババババババババッ!!
それはムンドゥスの矢に貫かれたトリッシュであった。
鈴
「トリッシュさん!良かった!」
一夏
「生きてたのか!」
ダンテ
(トリッシュ!…わかった!)
ダンテは自らの力とトリッシュの力を自身のエボニー&アイボリーに込める。そして…、
トリッシュ
(…決め台詞は?)
ダンテ
(…JACKPOT!!)
ズドンッ!!…ドゴォォォォォォォォッ!!
それまで以上の強大な魔力の弾丸がムンドゥスに命中。その力に既にこれまでの戦いで傷ついていたムンドゥスの身体が大きく崩れ落ちていく…。
ムンドゥス
(グオォォォォォォォ…!!…ダンテ…忘れるな!必ず…必ず再び現世に蘇るぞぉぉぉぉぉ!!)
千冬
「…最後の断末魔か」
ダンテ
(あばよ。もし蘇ったらそん時は俺の子孫に宜しくな)
そしてやがてムンドゥスの身体は巨大な暗黒洞に飲み込まれ…消滅した。
一夏達
「「「……」」」
箒
「終わった…のか?」
刀奈
「…みたいね」
一夏
「よっしゃぁやったぜ!!」
シャル
「流石火影!あ、ダンテか。まぁどっちでもいいね♪」
簪
「…バージルさん。…エヴァさん」
マティエ
「こうしてダンテと魔帝との戦いは終わった…。でも今回の件でダンテはますます悪魔との戦いに突き進んでいく事になったのさ。悪魔を絶滅させるためにね…」
鈴
「…悪魔の…絶滅…」
ルシア
「ダンテにとって魔帝との戦いもそのための通過点に過ぎないのよ…。そしてこの戦いから数年後、ダンテにとって再び父スパーダに関わる大仕事があった…」パチンッ!!
…………
そう言ったルシアが指を鳴らすと…今までいた島とは別の島に変わった様であった。
一夏
「ここは…今までの島とは違うな?」
ルシア
「…ここは私達の島…デュマ―リ島。古来の神々や妖精、精霊等を信仰していた異端の者達が流れ、移り住んだ島よ」
シャル
「異端って…そんな言い方しなくても」
セシリア
「…いえ、そう言った例は歴史上多いですわ。特に古来の神とすれば悪魔や邪神等も含まれますもの」
刀奈
「日本でも今は宗教の自由があるけど昔は廃仏毀釈みたいな事もしていたしね」
そう言っている間にダンテはルシア、マティエと知り合った場面になる。
マティエ
「ここでもまたダンテはある依頼を受けた。依頼したのは…私さ」
本音
「マティエお婆ちゃんが?」
マティエ
「ああ。私達の安住の土地を魔物達の巣窟に変え、魔界への扉を開こうとしている男を倒してほしい、とね」
鈴
「! に、人間が…マティエさんやルシアさん達の島に悪魔を!?」
ラウラ
「魔界への扉を開くなど…一体何故そんな!?」
千冬
「…簡単だ。さっきのテメンニグルの時の男と同じだ。ある強大な悪魔を目覚めさせ、それを我が物とするためだ」
簪
「…そんな…」
箒
「まだそんな愚かな考えを持っている者がいるとはな…。こう見ると人間というのは何て愚かしい生き物かとも思えてしまうよ…」
刀奈
「心配しなくてもいいわ箒ちゃん。…確かにそういう人間もいる。でもそうじゃない人間もいる。皆みたいにね」
そしてマティエの依頼を引き受けたダンテは島内中を駆け巡った。時には巨大な剣の様なものを振るう炎に包まれた悪魔や、空を漂う巨大な魚の様な悪魔、ビルの様に巨大な悪魔達が襲い掛かってきたが、ここに至るまでに無数の悪魔を倒し、戦闘を積んだ彼には問題ではなかった。
セシリア
「…あんな巨大な悪魔達を…たったひとりで…」
クロエ
「火影兄さんは前世でこの様な戦いをお若い時から生を終える直前まで続けていたと言っていました」
鈴
「それって何十年もの間ってことじゃないの…。火影はずっと…こんな戦いを続けてきたっていうの…?」
千冬
「そういう事だ。これで少しはわかったろう?あいつらの技術の秘密が」
シャル
「通りで敵わない筈だね…」
一夏
「…ああ。経験が違いすぎる。あいつらはずっと死と隣り合わせの戦いをしてきたんだな…」
そんな会話を続けていると…やがてひとりの男がルシアと話している場面に移った。
マティエ
「奴は…アリウス。表向きは巨大企業の経営者だけど正体は骨の髄まで魔の誘惑に染まった哀れな男…。奴が私達の島を変え、そして強大な力を求めてある悪魔を呼び覚まそうとした張本人さ…」
簪
「…酷い…」
アリウス
(……どうした失敗作。まさか、私を倒しに来た、とでも言うのではないだろうな?)
若きルシア
(そのまさかよ!)
アリウス
(愚かな…。失敗作が生みの親に勝てると思っているのか?)
鈴
「…え!?い、今アイツ何て!」
シャル
「ルシアさんの生みの親って…。じゃ、じゃあまさか」
ルシア
「……」
すると千冬が答える。
千冬
「……以前火影から聞いた事がある。自らの目的のために…人造の悪魔を造っていた男がいるとな。思うにその男とは…あのアリウス。そして言葉からしてルシア殿、おそらく貴女が…」
一夏
「じ、人造の悪魔だって!?」
箒
「つまり人に造られた悪魔、という事ですか!?」
ルシア
「………ええ。私はアリウスに造られたセクレタリーシリーズという人造悪魔のひとりよ…。でも失敗作として廃棄された。そこをマティエに保護された」
クロエ
「……」
ラウラ
「貴女が…造られた悪魔…」
この話にクロエとラウラが反応する。おそらく自らと重ねているのだろう。
ルシア
「最初私はその真実を知って絶望したわ…。でもマティエやダンテに救われた」
マティエ
「…確かにこの子は純粋な生まれじゃないさ。でも私はこの子に教えられる全てを教えてきた。それは血の繋がりよりも遥かに強いものだ。例え悪魔だろうと私の大事な娘。私はそう思っているよ」
本音
「マティエお婆ちゃん…」
クロエ
「大丈夫ですよ。貴女は失敗作なんかじゃありません」
ルシア
「…ありがとう」
そんな話をしている間にもルシアはアリウスと戦っていたがやがて力尽きる。
アリウス
(貴様にはまだ役立ってもらう。……もう少しだ、もう少しで手に入る。万物の力…、アルゴサクスの力が!)
その名前を聞いた一夏達が反応する。
一夏
「お、おい今アイツ!」
箒
「あ、ああ確かに言った。…アルゴサクス。あのオーガスが言っていた名前と同じだ!」
シャル
「うん!火影達もオーガスをそう呼んでた!でもなんでオーガスが悪魔の名前を!?」
セシリア
「…そう言えば確か、あの男も火影さん達と同じ世界から来たとトリッシュさん達が仰っていましたわ…。……まさか!」
皆の結論は達した様だ。
刀奈
「気づいたみたいね皆。…そう。あの男オーガスの前世こそ…アルゴサクスなのよ」
ラウラ
「! あ、あの男の前世が…アルゴサクスという悪魔!?」
クロエ
「兄さん達の話によるとアルゴサクスは嘗て魔帝と並ぶ程の力を持っていたらしいです。ですが兄さん達の父であるスパーダと…マティエさん達の祖先によって封印されました」
鈴
「それをあの男が復活させようとしてるのね…」
ルシア
「…でも計画は失敗に終わったわ、ダンテが復活に必要なものを偽物とすり替えたおかげで。後は…奴に造られた悪魔達を滅ぼせば全てが終わると思った。だから私は…ダンテに私を殺す様にお願いした」
一夏
「な、何だって!?」
簪
「そ、それで…どうなったんですか?」
するとルシアはやや溜めて答えた。
ルシア
「そしたら彼はこう言ったの。……涙を流せるのは人間の証。悪魔なら泣かないって…」
シャル
「ダンテ…」
ルシア
「…でも予想外の事が起こった。失敗と思っていたアリウスの儀式は…アルゴサクスそのものの手によって完成目前となってしまったの。このままでは人界と魔界が完全に繋がってしまう。だからダンテは魔界に降りてアルゴサクスを、私は自分の運命を弄んだアリウスとの決着をつける事にした…」パチンッ!
すると場面はルシアの戦いの場面に変わる。ダンテによって葬られたと思っていたアリウスは生きていたがその身体は最早人間ではなかった。背中から触手の様なものが生え、最後は昆虫の様な不気味な存在に変わっていた。
アリウスだったもの
(ツクラレタマモノ!シッパイサク!ソウゾウシュニハムカウカ!)
本音
「ひえ~!」
ラウラ
「…なんという醜い姿だ…。あれが元人間とはな…」
刀奈
「悪魔の力を欲し、そのために多くの命を弄んでまで得た力が…あんな様とはね」
その間にも嘗てアリウスだったものはルシアを魔物と呼び続ける。だが今のルシアにはそんな言葉は無力だった。そしてやがてそれはルシアとの戦いで敗れ、消滅した…。
ルシア
「そしてその頃ダンテも…父スパーダを超えるために戦っていたわ」
一夏
「…スパーダを超える?」
マティエ
「スパーダはアルゴサクスを封印するまでしかできなかった。だけどダンテは奴を完全に倒す事でスパーダを超えるつもりだったのさ」
そして場面が切り替わるとそこにはダンテと…これまた不気味な存在がいた。いくつもの悪魔が合体した様な不気味な存在であった。
鈴
「! な、なにあいつ!?気持ち悪!」
ルシア
「ダンテがこのデュマ―リ島で殺した悪魔達の集合体みたいなものよ。そして…アルゴサクスの卵、幼虫の様なものでもある…」
シャル
「! あ、あれが卵って…どういう事ですか!?」
…そしてやがてそんな目の前の存在を一刀両断するダンテ。……だがそんな時、消滅したアルゴサクスから何かが飛び出してきた。そこには角を生やし、全身が炎に包まれた様な存在がいた。
マティエ
「…アルゴサクス。私も実際この目で見るのは初めてじゃわい」
箒
「…奴が…アルゴサクス。オーガスの前世の姿か!」
一夏
「…でもムンドゥスの野郎に比べてなんか迫力に欠けるな?他の悪魔の方がまだ強そうな」
千冬
「外見だけで判断するな、といういい見本だ」
千冬の言う通り、完全体となったアルゴサクスはデュマーリ島で出会ったどんな悪魔よりも強力だった。様々な形の武器に変化する両腕。超高速な瞬間移動。雨の様に降ってくるレーザー。その力はまさに嘗てムンドゥスと並ぶ力を持っていたというだけのものはあった。……最も。
鈴
「でも…ダンテも負けてないわ」
シャル
「うん。ダンテもムンドゥスを倒したし、今まで沢山の試練に打ち勝ってきたんだもん。絶対負けないよ!」
ルシア
「……ダンテ」
鈴やシャルの言う通り、ダンテもまた歴戦の戦士としての力を存分に発揮し、互角の戦いを繰り広げる。……そして、
アルゴサクス
(グゥゥゥゥゥ…!!)
やがてアルゴサクスの方がとうとう追い詰められる形となった。攻撃を受けて退いている間にダンテの姿を一瞬見失う。そして、
ジャキッ!!
気がつくと…ダンテの銃がアルゴサクスを捉えていた。
アルゴサクス
(!!)
ダンテ
(ふっ、……JACKPOT)
ズドンッ!!
決め台詞と共にアルゴサクスは砕け散った。それは封印ではなく、完全な破壊であった。
本音
「やったー!」
セシリア
「流石ダンテさん!」
アルゴサクスの撃破に喜ぶ本音達。しかし、
刀奈
「そして奴が…オーガスとして転生してくるって訳ね」
ラウラ
「!……では奴が火影や海之をあそこまで憎むのは」
クロエ
「はい。嘗ての自らを倒した…兄さん達への復讐に燃えているのだと思います」
千冬
(…しかし奴は、オーガスは何故魔力を持っているのだ?同じく魔力を持っていた火影や海之は持っていないというのに…)
一夏
「でも悪いけど同情はできねぇよ」
簪
「…うん、…そうだね。スパーダさんやマティエさん達のご先祖様を苦しめたんだもん」
マティエ
「こうしてダンテは私の依頼を見事に叶えてくれ、魔界から帰還した…」
するとルシアがやや寂しそうな顔をして言葉を続ける。
ルシア
「……でもダンテは、彼は直ぐ悪魔との戦いに戻って行ったわ」
鈴
「そんな…。少し位休んでも良いのに…」
ルシア
「…無駄よ。ダンテを、彼を止める事は誰にもできない。悪魔を狩るのが彼の使命。止められるとすれば…それは悪魔を世界から消し去った時だけよ…」
箒
「……ルシアさん?」
マティエ
「……やれやれ」
ルシアの言葉にマティエは再びため息をついた。
…………
その他にもダンテは数多くの悪魔と戦い続けた。
魔帝ムンドゥス、覇王アルゴサクスに匹敵する程の力を持っていたとされる大悪魔アビゲイル。
刀奈
「大悪魔でもあんなねずみ男みたいな奴に負けたら私でも癪に触るわね」
嘗てアルゴサクスに支え、反逆の機会をうかがっていたが叶わず、ダンテの力となる事を決めた炎魔バルログ。
一夏
「勝手な奴だな。勝手に魔具になっちまった」
本音
「バルルンもアグリンやルドランみたいだね~」
だが見ての通りそれらもまた悉くダンテに破れ去った。強大な力を持った悪魔達と次々と戦い、そして勝っていった事で彼はどんどん成長し、まさに最強のデビルハンターとなっていったのである。
箒
「…ダンテ…。火影の前世か。記憶も受け継いでいると言っていたから基本的に同じ人物でもあるのか。……あいつ、本当に戦い続けてきたんだな…」
セシリア
「…ええ。お母様の敵である悪魔を絶滅させるために…」
シャル
「…火影…」
ルシア
「そしてこの後…、ダンテにとって再び因縁ともいえる戦いがあったわ…」
一夏
「まだあるのかよ…?」
マティエ
「ああ。ダンテにとって…戦う理由そのものでもある、大きな因縁さ…」
※次回は30(土)の予定です。
今回1,2編でした。次回4,5編です。仕事で編集が中々進まず本当にすいません!
アニメが1と2の間である事やバルログは時期的に4の後ですが4と5を直接繋げたいので今回前の段階で出させていただきました。次回で電脳ダイブ編は終了予定です。