IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
「伏魔殿に封印されたもの。それを見た時、貴方達は悪魔よりも恐ろしい人間の恐ろしさを知る…」
言葉が引っかかりながらも受け取る火影。彼は鈴やシャルや本音に自らが持っていた銃をお守りとして与え、改めて彼女らを守る事を約束した。
一方、オーガスもまたスコールに何かを渡していた。「デビルトリガー」という物を…。
火影が鈴達と遊園地に行った日の朝。海之もまたひとりである場所に向かっていた。その手にはなにやら色々な食材がある。
海之
(……しかし何故俺だけに頼まれたのだろう…)
…………
詳しい理由は前日の放課後である。
遅い時間帯で千冬以外他に誰もいない職員室。海之が千冬に資料を届けている時だった。
海之
「先生、提出用のレポートをお持ちしました」
千冬
「ご苦労。………海之。ちょっと良いか?」
突然呼び止められた海之。
海之
「なんでしょうか?」
千冬
「あの……お前、明日の予定は空いているか?」
海之
「はい。夕方から簪達と約束がありますからそれまでならば」
千冬
「そ、そうか…。なら……お、お前さえ良ければ、明日の昼に私の家に来てくれないか?久々に…お前の料理が食いたいのだ」
海之
「ええ構いませんよ」
千冬
「あ、あと……できればお前だけでな」
海之
「? わかりました」
…………
そんな訳で海之は材料を手にひとり向かっているのだった。……やがて織斑宅に到着し、インターホンを鳴らしてから以前一夏にもらった鍵で家に入る海之。すると、
千冬
「よく来たな海之」
海之は一瞬キョトンとした。千冬が出迎えたのだが彼女の服がいつもの様なラフなものでなく、しっかり整っていたからだ。ちゃんと化粧もしていて耳にはイヤリングまでしている。彼女の普段を知る者が見たら驚くかもしれない。
海之
「先生、今日は何時もと感じが違いますね」
千冬
「あ、ああ。その……似合わないか?」
海之
「そんな事ありませんよ。良くお似合いですしお綺麗です」
千冬
「!!…あ、ありがとう…」
そんな会話をしながら上がると一夏の姿が無い。
海之
「一夏は留守ですか?」
千冬
「ああ。篠ノ之やオルコットと出掛けてな」
そしてキッチンで海之が調理の支度に差し掛かっていると、
千冬
「あ、あの…海之。できる事があれば私も手伝いたいのだが…構わないか?レオナ殿を見て…私も勉強したいと思ったのだ」
海之
「ええ、助かります」
…………
それから暫く海之と千冬による調理は続いた。今回は酒のあてでなく昼食なのでいつもより時間をかける。手伝いを買って出た千冬は全く何もできない訳ではなく、セシリアの様な無茶苦茶な失敗は無かった。ただ勿論包丁や細かい作業等は出来ず、海之や火影や一夏はおろか、比較的あまり料理しないシャルやラウラにも遠く及ばないのだが。
海之
「先生、勉強したいと仰ってましたが結構お出来になるじゃないですか」
千冬
「これでも一夏の親代わりをしていたからな。まぁあいつが成長してからは完全に任せきり、熱!!」
とその時うっかり鍋に指を当ててしまった千冬。
千冬
「!!」
すると海之が冷凍庫から氷を取り出し、千冬の手を取ってそれを鍋が当たった指に当てた。自然に彼女の手が海之の両手に挟み込まれる感じになる。
海之
「大丈夫ですか?」
千冬
「だ、大丈夫だ海之、それ位自分でできるから!」
赤くなって慌てる千冬。
海之
「多少沁みますがそのまま押さえていてください」
千冬
「あ、ああ。…すまないな、逆に迷惑かけてしまって」
海之
「気になさらなくても良いですよ」
千冬
「……本当に敵わんよお前には」
…………
テーブルの上には卵焼き、野菜の煮物、生姜焼き等々海之と同じく和食が好きな千冬に合わせていかにも日本という料理が並んでいる。
千冬
(…海之の料理も久しぶりだな…)
海之
「鍋に残っている分は後で冷蔵庫に入れておきますね」
千冬
「あ、ああありがとう」
(…思えば海之とふたりで食事というのは初めてだな。これではまるで………!!い、今私一体何を考えていた!?)
顔の赤みがますます広がる千冬。
海之
「どうかしましたか先生?」
千冬
「ななな、何でもない!は、早く頂こうか!冷めない内に!」
自分で海之だけ来てくれと言ったはいいが今の状況に急激に慌て出す千冬だった。
…………
千冬
「一夏の料理も美味いがお前のもやはり美味いな」
海之
「ありがとうございます」
千冬
「以前頂いたギャリソン殿の料理はただただ絶品だったが私にはこれ位が丁度良い。どうやって学んだのだ?」
海之
「…やはりギャリソンの影響が大きいですね。両親を失った俺達を支えてくれる姿を見て学びたいと」
千冬
「そうか…。良い方だな」
海之
「はい。俺達だけでなく家の者達もとても頼りにしています」
そんな会話が続いていると、
千冬
「…そういえば海之。この前、あいつらと話したのだろう?どんな様子だった?」
すると海之は箸を置き、
海之
「…はい。簪もラウラも受け入れてくれました。前世は前世、今は今だと」
千冬
「そうか。ふっ、だから言ったろう?あいつらを信じろと」
千冬は嬉しそうだ。
海之
「正直な所とても信じてもらえるとは思いませんでしたが…。俺とあいつの嘗ての父が悪魔などと」
千冬
「まぁ確かに信じにくい話ではあるがな。……しかし海之、私が言う事でも無いが悪魔にも色々あるという事だ。魔帝やアルゴサクスとやらの様な奴もいれば、スパーダの様な清く正しい心を持つ悪魔もな。その魂を継いだお前達が悪でないのは当然だ」
海之
「…随分遠回りはしましたけどね」
海之は千冬の言葉をありがたく思った。
千冬
「それにしてもお前が以前言っていた実の両親には会えないというのはそういう訳だったのだな」
海之
「ええ。俺達は赤ん坊の姿でこの世界に来ましたから」
千冬
「それで拾われたのがエヴァンス夫妻という訳か。…いい人達に救われたな。以前火影が言っていたぞ、最大の幸運だったと」
海之
「…幸運、か…。確かにその通りかもしれません」
素っ気ないが海之は今は亡き父アルティスと母雫には深く感謝している。すると千冬の箸が止まり、
千冬
「……私の両親とは大違いだ」
海之
「…え?」
千冬
「…いや何でもない」
はぶらかす千冬。
海之
「…先生。先生と一夏の両親は…どんな方だったのですか?」
千冬
「……」
だがやはり千冬は口を閉ざす。
海之
「申し訳ありません。差し出がましい事をお聞きしまして…」
千冬
「謝るな。お前は悪くない。……そうだな、ひとつだけ言えるとすれば……ただただ大馬鹿者かな…」
海之
「……?」
思い出すかのように話す千冬。やや悲しげである。
千冬
「すまん。下らん話をしてしまった」
海之
「…いえ」
海之はそれ以上は聞かなかった。
…………
その後時間をかけて食事は終わり、海之は片付け中。千冬も手伝うと言ったが火傷を理由に譲らなかったので千冬は一段落していると電話がかかって来た。一夏からだ。
千冬
「……そうか、分かった。あまり遅くなりすぎておばさんにご迷惑かけるなよ。ではな」ピッ
海之
「一夏からですか?」
千冬
「ああ。篠ノ之のおばさんの所で夕食を馳走になってくるそうだ。全く明日が日曜とはいえお手間をかけおって」
すると海之が何かを思い出した。
海之
「…先生はこの後のご予定は何かおありですか?」
千冬
「いや、今日は久々に何もない一日でな」
海之
「では…これに行きませんか?」
そう言って海之が取り出したのは……ある遊園地のナイトパレード最終日予告の広告。それは正に火影や鈴達が行っている遊園地である。
海之
「ラウラが行ってみたいと言いましたのであいつと簪とクロエとで一緒に行く予定なんです」
ここで他の男からの招待ならば千冬は断るだろう。だが、
千冬
「………私も一緒に?」
海之からの誘いに一瞬迷う。
海之
「ええ」
千冬
「……」
…………
遊園地前
それからやや時は流れて夕方。
簪
「あ、来た」
ラウラ
「海之、ここだ」
既に簪とラウラ、クロエが現地で待っていた。
海之
「すまない」
そこに海之と、
千冬
「……」
外出用に着飾った千冬がいた。
簪・クロエ
「「こんばんは織斑先生」」
ラウラ
「お疲れ様です教官」
千冬
「あ、ああ」
千冬を連れて来る経緯は既に海之が連絡していた。
海之
「待たせたか?」
簪
「ううんそんな事無いよ。ラウラとクロエさんのスキー用品を選んであげてたの」
ラウラ
「スキーなんてやった事無いから心配だな…」
クロエ
「私も未経験です…」
千冬
「心配ないボーデヴィッヒ、クロニクル。当日ビシバシ教えてやる。まぁとは言え今回は昨年の修学旅行が無しになったための代謝行事みたいなものだからそんなに難しく考えなくて良いぞ」
ラウラ
「は!ありがとうございます!」
クロエ
「ラウラ…ここで敬礼は目立ちますよ」
海之
「では行くか」
簪
「うん」
…………
遊園地内 パレード会場
パレード会場はちらほら客が集まり始めた程度。
簪
「いい席空いていて良かったね」
クロエ
「本日が最終日だからかもしれません。大半の人達は本日までに見終えているのでしょうね」
千冬
「騒がしくなくていい」
ラウラ
「それにしても私がこんな場所にいるなんて……以前からすれば改めて考えられない」
クロエ
「私も同じ気持ちです…」
確かにラウラとクロエからすればまだ色々なものが新鮮ぎみに見えるかもしれない。
千冬
「ならこれからもっと色々やってみれば良い」
簪
「そうだよふたり共」
ラウラ・クロエ
「「…はい」」
ふたりは安心した様だ。…すると、
~~~
海之の携帯が鳴る。火影からだ。
海之
「俺だ。…………すいません、少し席を外します」
そう言うと席を離れ、静かな場所に移る海之。……実はこの時火影はカフェにいるのだが気付いていない様だ。
クロエ
「…火影兄さんからでしょうか?」
千冬
「……」
クロエと千冬は気になる様子。するとそんな千冬に簪とラウラが声をかける。
簪
「………織斑先生。少しいいですか?」
ラウラ
「恐れながら私達、教官にどうしてもお伺いしたい事があるのです。できれば今の内に」
千冬
「私に?なんだ?」
この時千冬は少し油断していた。まさかあんな質問が来るとは。
簪・ラウラ
「「あの…先生(教官)は…海之(くん)の事が好きなんですか?」」
千冬
「…………」
一瞬時が止まる千冬。
クロエ
「…ええ!」
千冬
「な、ななななな何を言い出すいきなり!!」
当然慌て出す千冬。しかしふたりは引かずに続ける。
簪
「すいません先生…。でも私達、前からそう思っていたんです。織斑先生も海之くんが好きなんじゃないかって。間違っていたらそれでもいいんです。でもこれまでの先生の態度や仕草を見たらそうとしか思えないんです」
ラウラ
「私もです教官。それに海之から聞きましたが教官は本日おひとりで過ごしていた所に海之を誘ったと。それを聞いて思いました。これは私の副官が言っていたこっそりと好きな者を呼ぶ所謂「逢い引き」というものだと!」
何時にも無い簪とラウラの力強い言葉。それに対して千冬は、
千冬
「ば、ばば馬鹿な事言うなお前達!海之を呼んだのは単にあいつの飯を食べたいと思っただけだ!一夏がいなかったからな!それにボーデヴィッヒ!そもそも逢い引きとは相思相愛の者同士の話だ!私はともかく海之はどう思って………!!」
その時千冬は気づいた。自分の言った言葉の意味を。海之がどう思っているにしろ自分はともかく、という事はつまり……。
簪
「やっぱり…」
ラウラ
「やはり教官も海之が…」
千冬
「い、いや、だからそれは…」
何時もの態度が嘘みたいな位今の千冬には余裕が無い。だがそんな彼女にふたりは更に詰め寄る。
簪
「織斑先生、もう正直に聞かせてください。先生の本心を。もし私達が思っている通りでも驚きません」
ラウラ
「その通りです教官。私達も皆も、まぁ一夏以外ですが分かっています。正々堂々仰ってください」
ふたりは答えを聞くまで絶対に引かないという顔だ。
クロエ
「お、おふたり共…一体どうされたんですか?」
千冬
「……」
クロエもそんな簪とラウラにやや引き気味になり、千冬は黙る。何故かわからないが今のふたりには敵わない気がした。そして、
千冬
「……………き、だ」
簪
「聞こえません」
ラウラ
「そんな小さい声、教官らしくありません」
千冬
「うぅ…」
そして遂に千冬は白状した。
千冬
「わ、私は…………み、海之の…事が……好き、だ…」
湯気が出てそうな位真っ赤になる千冬とそれを何も言わずに聞くふたり。
簪・ラウラ
「「……」」
クロエ
「先生…」
千冬
「……」
恥ずかしさのあまりなのか落ち込む千冬。…すると、
簪
「すいませんでした先生」
ラウラ
「申し訳ありませんでした教官」
千冬
「……え?」
素直に謝ったふたりに千冬に疑問の表情が浮かぶ。
クロエ
「…簪さん、ラウラ。…どうして今の様な事を?」
するとふたりは答える。
簪
「クロエさんもご免なさい。驚かせちゃったね。……私達ね、前に海之くんの過去の話を見て思ったの。あの人は誰よりも暗くて悲しい人生を歩んできた。子供の頃にお母さんを無くして、悪魔に殺されかけて、ずっとひとりぼっちで生きてきた…。でもそんな海之くんに…私達はずっと支えてもらっていた。守ってもらっていた。私達なんかよりずっと辛い目にあって来たのに…」
千冬
「……」
クロエ
「でも…それと今のとどういう関係が…?」
ラウラ
「海之はあのオーガスと、嘗てのあいつらの敵である存在と戦うつもりです。その時あいつはきっと付いて来るなと言うに決まってます。……でも嫌なんです。もうあいつに、海之に守られてばかりなのは。私達も守りたいんです。私の大切なものを。そして誰よりも大切なあいつを…」
千冬
「…お前達…」
簪とラウラの言葉は先ほど以上に力強いものであった。
簪
「私達決めたんです。海之くんを、あの人を絶対ひとりにはしない。例えどんなに危険な戦いが待っててもあの人の傍にいて支えるって。それ位強くなってみせるって。もうビクビクするのは止めようって」
ラウラ
「私達はあいつへの想いがあれば戦えます。あいつを守りたいという気持ちがあれば…オーガスと言えど怖くありません」
クロエ
「…おふたり共…そこまで海之兄さんを…」
千冬
「……」
千冬は驚いていた。あの大人しい簪が、そして少し前まで恋のこの字も知らなかったラウラがこんな事を言うなんて…。
簪
「そして織斑先生。私達、先生を試すような事をしてしまいました」
千冬
「私を…試す?」
簪
「さっきも言いましたけど私達先生が海之くんを好きという事に気付いていました。一度どうしても先生の口からお伺いしたかったんです。そしてもし私達の気迫に圧された位で答えを有耶無耶にされる様なら…ちょっと怒ってました。そんな気持ちであの人を支えるつもりなのかって」
ラウラ
「私にとって教官は雲の上の様なお方であり、我が人生で唯一無二の恩師です。でも海之に関しては絶対譲れないライバルでもあります。この事に関しては教官にも負ける気はありません。少なくとも今の時点では勝てていると思っています」
千冬
「……」
千冬は何も言わずに聞いている。
簪
「だから私達嬉しかったです。先生も海之くんが好きだと聞けて。…でも先生、海之くんについては私も先生より勝ってると思ってます。そして今後もラウラの言う通り私達負けるつもりはありません」
ラウラ
「ですが教官が海之と仲を深めるのを邪魔する様な愚行は一切致しません。それはフェアプレーではありませんから」
千冬
「……」
簪とラウラは真っ直ぐ千冬に言った。すると千冬は、
千冬
「……ふ」
クロエ
「…先生?」
千冬
「ふははははははは!」
途端に笑い出す千冬。その声に周りの目もやや引いてしまうが千冬は構わず笑っている。
千冬
「ははは……。何を言い出すかと思えば…、まさかこの私が自分の生徒に、弟子に宣戦布告まがいな事を言われるとはな。とんだ問題児になったものだ。……いや、あいつがそうしたのか」
簪・ラウラ
「「……」」
すると今までの弱気になっていたのが嘘の様に千冬は何時もの鬼気迫る表情に戻り、
千冬
「……いいだろう。受けて立ってやるぞ小娘共。但し私も譲らんぞ?確かに今はお前達に負けているかもしれんが見ていろ、直ぐに追い付いてやる。そして勝ってやる。覚悟しておけ」
簪
「はい!」
ラウラ
「それでこそ教官です!」
そう言いながらも三人は笑っていた。
クロエ
(な、なにか見てはいけないものを見た気がします。…しかし何でしょうか…。この様なやりとりどちらかで見た事ある様な…)
クロエはそんな三人を見てやや萎縮してしまう。
……とそこに海之が戻ってきた。
海之
「申し訳ありません」
簪
「大丈夫だよ海之くん」
ラウラ
「ああ全く問題ない」
千冬
「面白い話もできた」
海之
「…面白い話?」
簪・ラウラ
「「秘密だ(だよ)♪」」
千冬
「ふふ、気にするな」
海之
「…?」
クロエ
(海之兄さんこれから大変ですね…)
そんな会話をしながら海之を覗いて先ほどの電話の件も忘れてパレードを見物したのだった。因みに同じく来ていた火影達と会う事は無かった。
…………
??? ダリルの部屋
コンコン
スコール
「ダリル。いるかしら?」
ダリル
「叔母さんか?入って良いぜ」
そう言われて入るスコール。そこにはフォルテもいた。
ダリル
「お帰り叔母さん」
フォルテ
「お疲れ様ッス」
スコール
「ええ。……ふたり共、今日も訓練していたの?」
ダリル
「ああ。あの妙なシステムを使いこなすためにな」
フォルテ
「オータムさんはまだやっているッス。物凄く張り切ってるッス」
スコール
「そう…」
スコールは何とも言えない表情をしている。
ダリル
「…?どうしたんすか叔母さん」
スコール
「…いえ。……ねぇダリル、それにフォルテ。今さらこんな事言うのは遅すぎるけど……ご免なさいね。貴女達を巻き込んで。特にフォルテ、貴女は」
ダリル
「おっと!それ以上言う必要はねぇよ叔母さん。私は叔母さんの力になりてぇだけさ。私にとって叔母さんは両親以上に大切な家族なんだからよ。だから叔母さんと同じコードネームにしたんだぜ?」
フォルテ
「私はダリルの力になりたいだけッス。私を救ってくれたダリルのために」
スコール
「……」
ダリル
「それに私は叔母さんやオータムさんがどれだけ辛い目にあってきたのか、話だけだけど知ってるからよ。だから余計に力になりてぇのさ」
スコール
「……ありがとう」
スコールはふたりの言葉に感謝した。しかし、
スコール
「…でもダリル、それにフォルテ。ひとつ言っておくわ。……もし、もし今後の戦いで貴女達の身に何か危険が及んだら、素直に降伏しなさい」
ダリル・フォルテ
「「!?」」
その言葉にふたりは驚くがスコールは続ける。
スコール
「そしてファントム・タスクも辞めなさい。私やオータムと違って貴女達は幸いまだ誰も殺していないし傷つけてもいない。今なら実行犯というだけで済むわ。罪を償って、新しい人生を始めなさい」
ダリル
「ちょ、ちょっと叔母さん!」
スコール
「これは命令よ。…いいわね?」
ダリル・フォルテ
「「……」」
スコールの真剣な表情の言葉にふたりは反論できない。
スコール
「返事は?」
ダリル
「…はい」
フォルテ
「…分かったッス」
スコール
「いい子ね。…それだけ。じゃあね」
それだけ言うとスコールは出ていった。
ダリル
「…叔母さん…。なんでそんな事言うんだよ…」
フォルテ
「ダリル…」
…………
IS学園 コンピュータールーム
夜遅い時間帯。そこに鈴達と別れ、寝ている本音を起こさない様に出てきた火影がいた。そして少しして海之も入ってきた。
火影
「おせーぞ」
海之
「すまんな」
火影
「そういや今日どっか行ってたのか?電話した時なんか騒がしかったが」
海之
「簪達や千冬先生と出掛けていた」
火影
「織斑先生も?……へ~」
にやつく火影。
海之
「…なんだその気味悪い笑いは?」
火影
「いやいやなんでもねーよー」
海之
「下らん事言ってないで早く始めるぞ。……まさかスコール・ミューゼルが接触してきたとはな」
火影
「へ、そっちが遅れてきたくせに。とまぁ確かに始めるか。…先生にこの事は?」
海之
「話していない。気が引けるがそう言って渡されたのだろう?」
火影
「…ああ。どういう訳か知らんが最初は俺達だけで見て欲しいんだとよ」
海之
「そしてその約束を守った訳か?」
火影
「……そうしねぇといけねぇ気がしたのさ」
火影はスコールの言葉を守っていた。
火影
「んじゃ、早速見てみるとすっかね。鬼が出るか悪魔が出るか」
そして火影はコンピューターを起動し、スコールから渡されたUSBを開く。……するとそこにはふたつのファイルとひとつのメッセージがあった。
火影
「これは…何かの計画書か?………「織斑計画」!?」
海之
「それにこっちは……「アインヘリアル計画」だと…?」
ふたりはその名前を見て不思議がる。何故計画に一夏や千冬の名字である「織斑」が付いているのか?そして何故そんなものをスコールが持っているのか?ふたりはとりあえずファイルを開き、見る。
火影・海之
「「…!!」」
そして驚愕した。最初のページに計画に関わっていたらしい者達の名簿があったのだが…その中に見覚えのある苗字を持つ者達の名前があったからだ。
火影
「おいおい…何の冗談だこれは…」
海之
「……」
計画責任者 「オーガス・アクス」
・
・
・
・
兵器設計・開発 「織斑秋斗」
・
・
生体体調管理担当 「織斑春枝」
・
・
…………
??? Mの部屋
M
「……」
その頃、Mは部屋を暗くしひとり、
M
「赤い奴と青い奴……。貴様らは……貴様らは……!」
※次回は27(土)の予定です。
「アインヘリアル計画」はオリジナル。そして「織斑計画」は原作から内容は違いますがお楽しみいただければ幸いです。