IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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国々の闇の歴史であるアインヘリアル計画。
更に火影と海之は一夏達にもうひとつの計画である「織斑計画」について話す。それは当時最強のIS操縦者である千冬のクローンを生み出すというものであり、その結果生まれたのがM、マドカであり、彼女はそのために凄惨すぎる人生を送ってきたのであった。彼女の悲劇に満ちた過去を聞いた一夏達は言葉を失う。

……しかし、織斑計画はまだ終わっていなかった……。


Mission183 織斑計画・一夏の秘密

海之

「織斑計画はまだ終わっていない…。マドカの事は計画のプランAであり、それが失敗に終わった時のために、隠されたもうひとつの、プランBといわれるものがあった」

火影

「それが千冬先生の家族であり、弟である一夏。お前を世界初の男のIS操縦者にするっつう計画だ」

 

一夏

「…!!」

 

その言葉を聞いて一夏の目が一際大きく開く。そして箒達はこれに動揺を隠せない。

 

「あ、IS操縦者に…する、だと!?」

「そんなことまで意図的にできるもんなの!?」

ラウラ

「そんな、そんな技術聞いたことが無いぞ!?」

シャル

「そうだよ!それにISは女の人しか動かせない筈だよ!束さんもそう言ってるじゃない!理由はわからないらしいけど…」

クロエ

「はい、束様もそれは確かに認めておられます」

 

束が生み出したインフィニット・ストラトス。通称ISは女性にしか動かせない。それは世界共通の事実であり、現在の女尊男卑の引鉄にもなった。開発者の束も断言している。最もその理由は束曰く、偶然の欠陥。修正してほしいと多くの国が声を上げているが未だに成しえていない。

 

刀奈

「…ひとついいかしら?一夏くんをIS操縦者にするというのが目的として…奴らは何時一夏くんと接触したのかしら?」

セシリア

「…確かに。それに一夏さんはIS学園に入る迄ISとは無関係だった筈…」

本音

「おりむ~何か覚えない?」

一夏

「……いや特に妙な覚えはねぇけど…」

 

困惑しながらも一夏は幼少期からの記憶をたどるが覚えが無い。そもそもセシリアの言った通り自分は千冬とは違ってIS学園に入るまでISとは全く無関係の生き方をしてきたのだ。しかもその学園に入ったのも本当に偶然からなのだ。

 

「そういえば一夏がISを動かせるってわかったのって偶然からだよね?」

一夏

「ああ。ニュースにも出たけど元々俺は藍越(あいえつ)学園の試験に行く予定だったんだ。だけど車が事故渋滞で受付ギリギリになっちゃって。滅茶苦茶焦ってたらすぐ近くであったIS学園の方に行っちゃって…」

「そして指示板に従った先にあった適正者を測るために置かれていた打鉄に触れてしまったと」

一夏

「その通りでございます…」

真耶

「しかもそのすぐ後に査定の教官が入ってきてしまいましたから余計に慌てて大変でしたよね。あの時の仕事量と言えばもうほんとに…」

一夏

「その節はご迷惑をおかけしました」

真耶

「いえいえ構いませんよ!渋滞は仕方ありませんし偶然だったんですから…」

本音

「ホントに凄い偶然だよね~」

 

誰もがその言葉に頷く。……火影と海之、そして千冬以外は。

 

火影

「……そう思うか?」

一夏

「…え?」

 

火影の言葉に疑問符を浮かべる一夏達。すると火影は驚く言葉を出す。

 

火影

「もし…それが偶然でなかったとしたら?あらかじめ予定されていた事だとしたら…どうする?」

 

一夏

「…!?」

「ど、どういう事よそれ?…予定されていた?」

海之

「正しく言えば…仕組まれていた、と言った方が正しいだろう」

ラウラ

「な、何だと!」

「し、仕組まれていた…!?」

 

ふたりのその言葉に先ほどまで一夏のアクシデント話で緩んでいた空気が一気に緊張する。

 

海之

「織斑計画プランBの目的は…千冬先生と同等の男のIS操縦者を創り出す事。…しかし、そのためにはどうしても解決せねばならん難問があった」

火影

「それがお前らも知っての通りISは女にしか動かせないって事。これは世界の共通認識だがそれを覆そうとしてる動きがある事も知ってるだろう?」

セシリア

「え、ええ。ISを男性でも扱える様にする研究は世界中でされていますわ。主に男性の研究者が今の女尊男卑を覆そうとしているためだと。ただ今だにその糸口すら見えませんが…。だからこそ一夏さん、そして火影さんと海之さんの登場は世界に衝撃を与えましたわ」

真耶

「…しかしそれと先ほど火影くん達が言った事、そして織斑計画とどう関係が…?」

 

火影は答えた。

 

火影

「プランBが本格的に動き始めたのは今から五年前の事だ。織斑先生のクローンであるマドカがもしかしたらこのまま結果が残せないかもしれないと不安がった計画の責任者達は保険が必要になった。どんな形でも少しでも結果を出さなければならないっていう焦りがあったんだろうな。だからと言ってこれまでと同じ様な事をする余裕もねぇ。そこで奴らが考えたのが…これまでも多くの国が行っている、男のIS操縦者を創り出す、という事だった。過去の研究例も多かったし、手っ取り早いと思ったんだろな。そこで目を付けられたのが…」

シャル

「…一夏、って事なの?」

火影

「そういう事だ。世界最強のIS操縦者である千冬先生が世の女性の憧憬なら、その弟である一夏がISを動かせたらそれは多くの男にとって希望になる、女尊男卑の世をひっくり返せるかもしれねぇという馬鹿な考えもあったんだろうな…」

刀奈

「…なんかもう目的が変わってきているわね。よっぽど焦ってたのかしら」

一夏

「で、でも俺は本当に今までそんなのこれっぽっちも知らないぜ!?何かされたって覚えも……!!」

 

その時一夏の頭にある考えが浮かぶ。そしてその事を知っている者達にも同じ考えが浮かぶ。

 

「まさか……五年前の!?」

クロエ

「一夏さんが誘拐されたという事件の事ですね…。…でも特に何もなかった筈では?」

一夏

「あ、ああ…。とはいっても千冬姉に助けられるまでずっと眠ったままだったけど…。怪我もなかったし…あの後病院でも検査を受けたけどなんとも…」

ラウラ

「しかしもし考えられるとすれば確かにその時しか無いな…」

一夏

「でも俺は本当に…。な、なぁ千冬姉、あの時俺に何かあったのか!?」

千冬

「……」

 

一夏に問いかけられるが…千冬は答えない。

 

「で、でもあの時何かあったとしてそれがどうすれば一夏がISを動かせる理由になるの?」

 

海之は答えた。

 

海之

「奴らは自分達、そして世界中のこれまでの研究結果を重ね合わせて検証した結果、ある仮説を立てた。…IS操縦者と同じ人間ならば…例え男でも動かせるかもしれないのではないか、という仮説だ」

「…IS操縦者と…同じ人間…?」

セシリア

「それってクローンの事ですか?しかしクローンは…失敗した筈では…」

火影

「確かにクローンは事実上同じ人間だが…知っての通りマドカは失敗した。しかし、クローンの他にもうひとつ例があるのさ。遺伝子上じゃ同じという条件を満たす例がな」

本音

「おんなじ例…?」

 

すると鈴がある考えを出す。

 

「……それって双子って事?」

火影

「正解だ鈴。双子ってのも同じ受精卵が分割して生まれたもんだ。元々ひとつだったからほぼ同一の性質を持っている。性別も血液型もな」

海之

「同じ遺伝子を持っているある種同一の存在。つまり…クローン等ではない純粋な人間であり、更に千冬先生と同じならば、例え男でも可能性は……ある」

「! 千冬さんと…同じだと!?」

一夏

「な、何言ってんだ!俺は千冬姉の双子なんかじゃねぇぜ!?」

 

他の皆も一夏の言葉に同意する。それは誰もが知っている周知の事実である。

 

火影

「わかってるって。…だが…100%全く同じとはいかねぇけど、生まれた後で人工的に双子にする方法ってのがある」

真耶

「…え!?」

ラウラ

「う、生まれた後で…双子にするだと!?」

千冬

「……」

 

海之が答えた。

 

海之

「それがジーンセラピー。「遺伝子療法」という技術だ」

 

「…遺伝子療法…?」

海之

「織斑計画立案者の中に遺伝子工学に詳しい人物がいてな。その人物が以前よりずっと研究していた技術だ。簡単に言えば…遺伝子の後付けだ」

「遺伝子の後付け!?」

火影

「例えば病気に弱いという遺伝子を持っていた奴がいたとするだろ?そいつの中に病気になりにくい遺伝子を後付け、つまり組み込む事で、病気になりにくい体質に改善するっていう、いわば遺伝子による医療技術だ」

シャル

「! そ、そんな事できるの?」

海之

「理論上は可能だ。しかし危険が伴う。何しろそれとは全く別人の遺伝子を埋め込まれるのだ。下手をすれば埋め込まれた者の遺伝情報が狂わされ、更に悪化する可能性も非常に高い。実際そのような事もあったそうだ。だからこれをしようものなら条件が限られる」

「遺伝子療法の条件…?」

 

これに今度は刀奈が答えを出した。

 

刀奈

「………成程ね。肉親や兄弟、か」

火影

「その通りです。同種の血や遺伝子を持っている親兄弟ならばその危険性は激減する」

海之

「アインヘリアル計画にも試験的に導入された。身体向上や戦いに向いているとされる遺伝子を兵士に後付けしたのだ。最もその殆どが失敗し、結果奇病や体質が変異したそうだがな」

クロエ

「人体実験…」

「くっ、本当に人間を…、命を何だと思ってるんだ!」

 

皆は改めてこの計画に怒りを露にする。

 

火影

「そして……この遺伝子療法を用いて、一夏が誘拐されたあの日から本格的にプランBを実行した」

千冬

「……」

一夏

「俺に、俺に何があったんだ?…教えてくれ!」

 

すると火影が次に言った言葉に一夏達は驚いた。

 

火影

「……アインヘリアル計画での反省点や経験を活かし、織斑先生の細胞からとった遺伝子を……一夏、眠っているお前の身体に遺伝子療法によって密かに組み込んだ…」

 

一夏

「!!」

「な、何だと!?」

セシリア

「一夏さんの中に…織斑先生の遺伝子を!?」

海之

「ああ。…一夏。お前は遺伝子療法によって千冬先生の遺伝子を持った、造られた双子というべき存在なのだ…」

真耶

「…一夏くんが、…先輩の疑似双子…」

シャル

「そんな…」

一夏

「……」ドサ

 

衝撃の事実に一夏は言葉を失い、そのまま力なく椅子に座り込む。

 

本音

「おりむ~…」

刀奈

「…先生は、ご存じだったのですか…?」

千冬

「……プランB、そしてコード「I」という名前だけはな…」

「「I」…多分一夏の事だよね」

火影

「プランBの具体的内容に関しては先生もスコールのファイルを見て始めて知ったそうだ」

一夏

「……」

 

一夏はショックが大きいらしく無反応だ。

 

「一夏…」

ラウラ

「…一夏。何か副作用等は無かったか?この数年の間、身体がおかしかったとか…」

一夏

「……」

 

緊張しながらラウラは尋ねる。返事は無いが一夏は首を横に降る。否定の意味の様だ。

 

クロエ

「副作用等が現れなかったとすると適合そのものは成功したのでしょうね…」

海之

「だがプランBはまだ終わりではない。一夏がISを動かせるかどうか、それを見極めなければならない。例え千冬先生の遺伝子を加えてもISを動かせる保証など全く無いからな。しかし今までISに触れたことが無い一夏に急にそんな事をさせては不自然に映る。故に奴らは時を待った…」

「時………!!」

 

皆に共通の考えが浮かぶ。

 

火影

「…そうだ。一年前の、IS学園の入学試験。あの日が織斑計画プランBの、奴らにとっての結果公表日だ。そのために四年間かけて準備していた。一般的には偶然となっているが…あれは決して偶然なんかじゃねぇ。全ては織斑計画に携わった奴らが仕組んだ…演出」

 

一夏

「…!!」

「え、演出ですって!?」

海之

「考えてみるがいい。藍越(あいえつ)学園とIS学園、何故これ程迄似通った名前の学校同士の会場が一夏が間違えるほど直ぐ近くだったのか。何故一夏が打鉄に辿り着くまでそれを止める関係者が誰もいなかったのか。何故試験に使われる打鉄が回収されずに放置されていたのか。下手をすれば何者かに奪われていたかもしれないのにだ。妙だと思わんか?」

「……そういえば」

セシリア

「…確かに変ですわね。量産機とはいえそのままにしておくなんて不用心ですわ」

真耶

「試験官も気づいて慌てて行った時には……もう一夏くんが…」

シャル

「そ、それで火影。演出って一体どういうことなの!?」

火影

「……言葉の通りさ。それらは全て仕組まれていた事だったんだよ。一夏を偶発的にISに触れさせる様にするためのな」

一夏

「!!」

本音

「えー!!」

 

火影はその演出の内容について話した。

 

火影

「一夏、お前のあの日の行動は朝から密かに奴らに監視されてたんだ。会場までの道のり迄全て」

セシリア

「な、何ですって!?」

火影

「余裕を持って着いてしまえばまだ他の受験生も多い。何とかお前が会場に着く時間をギリギリまで止める必要があった。だから道中で意図的に事故を起こし、車を渋滞させた」

ラウラ

「…意図的に事故をだと…」

火影

「そもそも藍越(あいえつ)学園とIS学園の試験会場を直ぐ近くに設定したのも奴らだ。今回の計画に合わせてな」

「! そうだったのか…。たまたまにしては変だと思ったが…」

火影

「万一に備え他の受験生には会わない様問題なく行ける打鉄へのルートを確保したのも先回りしていた奴らの仕業だ。不自然が無いように指示板を置き換えたり、周囲には誰も近づかない様にした。念入りに施設の関係者には金を払って事の一切を口止めさせた」

クロエ

「手回しがいいものですね…」

火影

「更に問題の打鉄の放置。奴らは当時の試験官をも買収して頼んだ。その時だけISから離れていてほしいとな」

真耶

「あ、あれも作戦の内だったのですか!?」

火影

「ええ。この作戦に失敗は許されませんからね。あまり関わり合いになりたくなかったのか相手側も何も言わなかった。こうして…奴らは一夏とISを出会わせた」

一夏達

「「「………」」」

 

誰もが言葉を失っていた。あの時の、世界初のIS操縦者である一夏の発見。それが実はずっと前から計画されていた事であり仕組まれていた事であるなど、誰が予想できようか。

 

千冬

「……」

火影

「結果は皆が知っている通りだ。もし一夏が動かせなかったらその時は潔く計画は終了。だが結果的には上手くいった。奴らはさぞ喜んだろうな。そして奴らは自分らに協力している企業に、一夏に相応しいISとして白式を造らせた」

「! 一夏や私のISを造っていた企業が…協力者!」

海之

「束さんから購入していた白騎士のコアを使ってな。世の男達の希望になりうる世界初の男子IS操縦者。それには同じく英雄的存在である白騎士のコアが相応しいと」

セシリア

「だから白騎士のコアがずっと使われていなかったんですのね…。一夏さんの白式に使う事は…初めから予定されていた…」

一夏

「…………俺は、良いように動かされていた。織斑計画に、……奴らに…」

「一夏…」

 

箒は一夏を慰める様に一夏の肩に手を置く。

 

火影

「世界初の男の操縦者である一夏の登場。そして専用機である白式の完成。未熟とはいえ、一夏を世に出す奴らの計画はこうして成功した。後は企業から一夏のデータを取るという企みも引き続き行うだけ。……が、ここでも邪魔が入った。俺達というな」

クロエ

「火影兄さんと海之兄さんですか?」

海之

「双子の男子IS操縦者と、前例がない双子のIS。その上現役の代表候補を超える力を持つ俺達は奴らからすれば驚天動地、想定外の存在だった。一夏一辺倒になる筈だった世論の注目は想定していたものに遠く及ばなかった。男でもISを動かせるという期待値は上がったろうが、奴らからすれば俺達は自分達のこれまでの努力を水泡に帰す存在、巨大な精神的ダメージを与えた」

「…まぁ自分達の苦労を簡単に覆した様な人が出てきたらショックは大きいよね」

火影

「更に想定外だったのがDNSだ」

「DNSが?」

海之

「DNSによって極秘裏に白式に使われているコアが白騎士だとバレてしまった事で計画の露呈を恐れた権力者や白式を造った企業は一夏と白式から手を引いた」

刀奈

「…こんだけ無茶苦茶色々力入れてやってきても自分の可愛さのためならあっさり捨てられるのね…」

火影

「こうして一夏をIS操縦者にするっていう目論見は一応成功したが、想定外の連続だった織斑計画は中途半端な状態で放棄、今度こそ終わりって事になってしまったんだよ…」

ラウラ

「織斑計画は昨年末まで続いていたのか…」

シャル

「偶然にも火影と海之、そしてあのオーガスが結果的に一夏を政府や研究者達から開放する形になったんだね…」

一夏

「……」

 

一夏は暗い顔をしてうなだれたまま。

 

刀奈

「…もうひとついいかしら?一夏くんはISを動かす事ができた訳だけど…あのマドカという子との繋がりは?」

「そ、そうだ。M、いやマドカはどうして一夏を狙う!?」

 

これに海之が答えた。

 

海之

「……マドカが一夏を狙う理由。それは…一夏がISを動かせるという事実に他ならん…。それ事態が…マドカが一夏を狙う理由だ」

一夏

「……え?」

セシリア

「そ、そんな!それこそ一夏さんは何も悪くありませんわ!」

「そうよ!悪いのは一夏をはめた奴らでしょう!」

海之

「ああそうだな、俺も同じだ。……だがマドカの立場なら」

本音

「…え?」

火影

「一夏とマドカは同じ遺伝子をもつ兄妹。だが純粋な人間じゃないクローンであり、親も友と呼べる仲間もなく、生まれた時からずっとIS操縦者になる事だけを運命付けられ、戦わされ続けてきたにも関わらず、それも叶わないまま粗悪品のレッテルを貼られたマドカ。……一方幼い頃から千冬先生に守られ、箒や鈴、弾や蘭の様な友がいて、勝手ながらIS操縦者へのルートを用意され、何の努力も障害もないまま男でありながら操縦者になった一夏」

刀奈

「……全く正反対ね。いわば光と影という感じかしら」

火影

「あいつからしたら……一夏は自分にとって存在意義を否定されただけでなく自分に無いものを全て持っている存在。そんな感じに写っているのかもしれねぇ」

一夏

「……」

真耶

「それが…一夏くんを恨む理由?」

海之

「恐らく…」

火影

「一夏。あいつは、マドカはお前を恨んでもいるが……同時に羨ましいのさ。自分に無いもんを全てを持ってるお前が…死ぬほど羨ましいのさ」

一夏

「……Mが…俺を……?」

 

火影のその言葉に少し反応する一夏。……するとこれまで黙っていた千冬が口を開く。

 

千冬

「………一年前…」

真耶

「…先輩?」

千冬

「一年前のあの日……一夏、お前がISを動かしたという話を聞いた時、……私は嫌な予感がした。……もしかするとあの時、……何かされていたのではないか。……だが私には、どうする事もできなかった。………すまない」

 

千冬は覇気ない声で一夏に謝罪する。

 

一夏

「……千冬姉のせいじゃねぇよ」

「そ、そうですよ千冬さん!誰も千冬さんを責めたりしません!」

ラウラ

「その通りです教官!」

 

他の皆もそれに続いて同意する。

 

火影

「……大丈夫か一夏?…まぁ全然とは言えねぇよな」

一夏

「………正直、色々思う事は……あるけどさ。……俺が千冬姉の双子にされたって話だったり、あん時の事が……全て政府や奴らの思い通りに動かされた結果だったりとか。正直かなり……いやめちゃ応えるぜ…」

セシリア

「しっかりしてください一夏さん!一夏さんのせいでは全くありませんわ!」

本音

「そうだよおりむ~!」

一夏

「…ありがとうふたり共。……でもまぁ、まぁ……助けてくれた千冬姉に何かされていなかったってのは良かったぜ…」

千冬

「一夏…」

 

千冬は一夏の言葉が有難く思った。

 

海之

「一夏、お前はつい最近まで確かに奴らの手の内にあったのかもしれん。…だが全てではない」

火影

「例え遺伝子を弄られてようがお前はお前だ。そしてお前が白式やDNSを進化させたのは奴らやオーガスにも計算外だった。お前は奴らの呪縛に打ち勝った。それは何よりお前自身の成長の証だ」

一夏

「…火影…海之…」

 

その言葉で一夏は少し元気になった様だった。

 

火影

「…まぁこれがスコール・ミューゼルから渡されたアインヘリアル計画そして、織斑計画の全容だ。どう思った?」

本音

「疲れた~~」

「なんか……知ってはいけない事を知ってしまったからかしら。確かにどっと疲れたわ…。火影と海之の時と同じ位…」

「…そうだね。…信じたくないけど…本当の事なんだね…」

シャル

「でもなんであのスコールって人はこれを火影達に渡したんだろう?一応僕達は敵なのに…」

セシリア

「さぁそれはわかりませんが…もしかしたら理解してほしい、と思われたのでしょうか…?」

ラウラ

「理解してほしい?私達にか?」

クロエ

「ある意味あの方々も…世界の被害者ですからね。彼女らも、そしてマドカという方も」

真耶

「ですが先ほど海之くんや更識さんが言っていた通り、だからといってテロリスト行為を許す理由にはなりません」

刀奈

「その通りよ皆。そこを履き違えちゃ駄目」

 

そんな風に其々が感想を述べる中、

 

「……火影、海之。ちょっと良いか?」

火影

「どうした箒?」

 

箒は切り出した。

 

 

「聞かせてほしい。誰がこんな計画を考えた?」




※次回は来月3日(土)の予定です。
かなり強引になりましたがこれで織斑計画終了です。
千冬のクローンであるマドカと千冬の遺伝子を埋め込まれた疑似双子である一夏は今後どうなるか、その辺もお楽しみ頂ければ幸いです。
次回はもうひとつの謎が解明されます。
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