IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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アインヘリアル計画。織斑計画のプランAに続くプランB。その内容もまた、一夏達を驚愕させるものだった。

それは千冬と対等に渡り合えるような男のIS操縦者を生み出すというものであり、更にその雛形に選ばれたのが千冬の弟である一夏である事。そして偶然発見されたと思われていた一夏のIS操縦の資格は実は遺伝子療法によって仕組まれていた事であり、全てはそうするように権力者達が仕掛けた演出であったという事だった。

自らの秘密を知った一夏は言葉を失うが火影や海之や皆の声を聞いてなんとか立ち直ろうとする。……しかし。


Mission184 記された名前の真相 そして…

アインヘリアル計画と織斑計画。ふたつの隠された計画について明らかになり、これで話は終わろうかとしたその時、

 

「…火影、海之。ちょっといいか?」

火影

「どうした箒?」

 

箒は切り出した。

 

「聞かせてもらっていいか?誰がこんな馬鹿な事をした?誰が一夏をそんな目に合わせた?」

ラウラ

「……そう言えば先程ふたりは言っていたな。ファイルの中には計画に関わっていた者達の名簿もあったと」

火影

「……ああ」

海之

「確かにあった。両計画に携わった者達の名や出身地。更にこの計画に使われた人間の名までもが克明に書かれたリストがな」

シャル

「! ほ、本当!?」

「それでふたりは見たの?」

火影

「ああ最初に開いた時にな。最も身元不明の者に関してはわからないが。……お前らは見たいか?」

「え!?……」

海之

「俺達がこのことを話したのはファントム・タスクとの戦いであいつらの事を知っておく必要があると思ったからだ。そしてここからは…お前達の知らなくてもいい範疇だ」

セシリア

「…それは…」

 

そう聞かれた皆は黙ってしまう。知りたい気持ちも無くはない。しかし知ってしまったらもう逃げられない気がする。万一…知っている名前でもあれば…。そんな最悪の考えが頭を過ってしまう。

………すると、

 

一夏

「……見せてくれ」

 

それまで座り込んでいた一夏が声を出す。

 

本音

「おりむー?」

「一夏無茶するな。これ以上は」

 

箒は止めるが一夏は更にそれを止める。

 

一夏

「俺なら大丈夫だ箒。だから…教えてくれ」

刀奈

「一夏くん…」

火影・海之

「「……」」

一夏

「…俺は、俺は知らなきゃならねぇ。知らなかったとはいえ俺は奴らに利用された。俺というIS操縦者を造るために」

セシリア

「一夏さん、ご自身をそんな風に思われてはいけませんわ。一夏さんは何も悪くないのですから…」

一夏

「…サンキューセシリア。…でも本当の事なんだ。そしてその過程でアインヘリアル計画も関わっているとしたら…俺は知っとかないといけないんだ。この計画で死んだ人達のためにも、そして…こんな馬鹿なことをした奴らが誰なのかを!」

真耶

「一夏くん…」

 

するとやや火影は暗い顔をし、

 

火影

「……知る事で後悔する様な真実があったとしてもか?」

クロエ

「…え?」

一夏

「?……ああ」

 

火影の言葉に一瞬戸惑った一夏だが決心は固い様だ。……そして一夏のこの言葉を聞いた他の皆も続けて、

 

「…火影、海之。…私も見る」

一夏

「箒…」

「一夏やお前達だけに背負わせたくない。それに…私は許せんのだ。一夏や千冬さん、そして姉さんを利用した者達を!」

千冬

「篠ノ之…」

ラウラ

「私も同じだ。それにこの計画には我が母国も関わっている。国の代表候補としても知っておかなければならん」

「そんな風に言われたら私も見ない訳にはいかないじゃないの。…まぁ火影達だけに背負わせたくないというのは確かだし」

シャル

「…うんそうだね」

セシリア

「覚悟はできてますわ」

「私も…大丈夫…!」

真耶

「皆さんが見るなら私も見ない訳にはいきませんね…」

「本音、アンタはこれ以上は」

本音

「私だけ仲間外れなんて嫌だよ!」

 

本音含め皆がリストを見る事を決心した。それを聞いて火影が、

 

火影

「………わかった。織斑先生、いいですね?」

千冬

「……」コク

 

千冬はゆっくり頷いた。しかしその表情はどこか悲し気である。

 

一夏

(…千冬姉…?)

海之

「見てしまえばもう逃げられんぞ。本当にいいんだな?」

一夏

「…ああ」

 

海之の確認に肯定の返事を返す一夏達。それを見た海之は備え付けの端末にUSBを差し込み、起動させ、部屋のスクリーンに移す。

 

セシリア

「……アインヘリアル計画!」

「こっちは織斑計画…。ふたりが言っていた事は全て本当だったんだね…」

 

その名を自分の目で見て改めてこの悪魔の如き計画が実際にあった事であると再認識する一夏達。……そして続けて一夏達はアインヘリアル計画の関係者とこの計画に参加させられた兵士達を見ていく。

 

「「アインヘリアル計画」最高責任者…オーガス・アクス…!」

「本当にあの男だったのね…。……酷い。孤児とかは番号で呼ばれてる。まるで囚人じゃない!」

刀奈

「本当に単なる道具でしかなかったという訳ね…」

 

リストには当時の国の重要ポストについている者達や、主に軍事関連の大企業や中小企業の名前。財界、政界、軍等の大物の名前が次々と明記されている。

 

真耶

「なななななんですかこの名簿は!?」

ラウラ

「スキャンダルとか汚点とかそんなレベルでは収まらない者達ばかりだな…」

クロエ

「もしこれが本当だとすれば…こんなものが世に出れば世界中がパニックですね」

セシリア

「…!!この会社…お母様が懇意にしてらした…!」

シャル

「この人…前に捕まったデュノア社の!オーガスにお金を送ってたっていう…!」

 

見覚えのある人物名や社名。その内容に慌てる皆。真耶に至っては見ざる言わざる聞かざるすれば良かったといった感じでオロオロしている。

 

一夏

「…………え!!??」

 

とその時、突然何か信じられないような物を見た時の如く驚き声を上げる一夏。

 

本音

「ど、どうしたのおりむー!?………ええ!!」

 

一夏の目線の先にあった名前を見て本音も驚き、大声を出す。

 

「ど、どうした本音まで……!!」

シャル

「……ええ!」

刀奈

「こ…これは…!」

 

刀奈でさえその書かれていた名前を見て言葉を失う。そして皆は……ある名前を見つけてしまった。

 

 

 

兵器開発設計…「織斑秋斗」

 

生体体調管理担当…「織斑春恵」

 

 

 

それは一夏や千冬と同じ「織斑」の苗字を持つふたりの名前。字からして男と女。その名前を見て一夏達は呆然としている。前に見た火影と海之は冷静に。千冬は暗い顔をしている。

 

「ど、どういう事だこれは…!」

本音

「わ、わからないよ~」

ラウラ

「何故…何故一夏や教官と同じ苗字の者がいる!?」

「どういう事よ一夏!誰よコレ!?」

一夏

「お、俺にもわからねぇよ!こんな名前の人知らないし!」

 

一夏は堪らず千冬に尋ねる。

 

一夏

「な、なぁ千冬姉!誰なんだこの人達は!?なんで俺達と同じ織斑なんだ!?」

真耶

「い、一夏くん落ち着いて下さい!そんなに必死じゃ先輩も話しにくいですから!」

千冬

「……」

 

必死で問い詰める一夏。それをなだめる真耶。言いたくないのか言えないのか千冬は何も言おうとしない。

 

クロエ

「一夏さんや千冬さんと同じ苗字で男女。しかも計画の担当となるとそれなりの年齢………まさか!」

 

すると火影と海之が語った。

 

海之

「……昔、ふたりの男女がいた。若いながらも男は軍事、女は人体に関する博士号を持つ程の秀才で将来が期待されていた人物だ」

火影

「経緯は知らないが男と女はやがて結ばれた。。そしてふたりの間には…ひとりの娘が生まれた。娘には自分達の名前に絡むものとして…「冬」という字を付けた」

セシリア

「!!」

シャル

「それって…!」

火影

「そして幾年が過ぎたある日、夫婦はある計画の事を政府から伝えられ、自らの意志で参加した。幼い娘と…生まれて間もない「夏」という字を付けた赤ん坊を、政府の保護観察プログラムに預けて」

一夏

「…!!」

 

ここまで聞いた全員にひとつの結論が出た。そして次の火影達の言葉で明かされた。

 

 

火影

「…気付いた様だな。…そうだ。織斑秋斗、そして織斑春恵。一夏、お前と織斑先生の…父親と母親だ」

 

 

一夏

「…!!!」

千冬

「……」

 

一夏の表情にこれまで以上の激しい動揺が生まれる。自分や千冬の秘密を知った時以上の。生まれた時から顔も名前も、どんな人かさえ知らなかった父と母。それをこんな形で名前を知った事による動揺である。

 

「な、何だと!?」

本音

「え―――!!」

セシリア

「一夏さんと織斑先生の…お父様とお母様!?」

真耶

「そんな…!」

 

そしてそれは他の皆も同じだった。

 

「ちょ、ちょっと待って!そのふたりがこのリストに名前があるって事は…さっき言ってたふたりが聞かされた計画ってまさか!」

 

火影は頷き、答えた。

 

火影

「…ああ。アインヘリアル計画だ」

刀奈

「!! 一夏くんと織斑先生のご両親が…アインヘリアル計画の関係者だったって事!?」

ラウラ

「馬鹿な!」

海之

「名前が書かれているだろう…?」

「そ、それは…それはそうだけど…!」

 

誰もが信じられないという表情をしていた。無理もないだろう。一夏と千冬の両親がこの様な悪魔の計画に手を染めていた等想像できない。考えたくない。そんな気持ちで一杯だった。火影と海之も最初はそうだった。

 

「う、嘘という事は無いのか!?これがスコールという女のでまかせでは!?」

セシリア

「そ、そうですわ!或いは同姓同名の別人では!?きっと何かの間違いですわこんなの!」

火影

「俺達も最初はそう思ったさ…。だがだとしたらどうしてあの女がふたりの親の名前を知っている?お前らふたりの親の名前知ってたか?」

「…!」

「そ、それは…」

 

答えられない箒達。千冬を除く全員が一夏と千冬の両親の名前を今この場で初めて知ったのである。幼馴染である箒や鈴、息子である一夏でさえ知らなかったのだ。

 

火影

「計画に携わっていたのならここにふたりの名前があんのも説明がつく」

シャル

「だ、だけど…」

海之

「俺達も当然この名前についても調べてみた。…しかし全くわからなかった。顔さえも。まるで意図的に消されているかの様にな」

「い、意図的に…?」

火影

「さっき俺達が話した事は織斑先生から聞いた事だ。このファイルを見せて話してくれた」

海之

「詳しい事は俺達でなく…千冬先生に伺うといい…」

 

火影はこれ以上は自分達からでなく、千冬の口から語ってもらおうと思った。

 

千冬

「……」

一夏

「…こんなの…こんなの嘘だよな千冬姉?…俺達の父さんと母さんが…こんな計画に加担してたなんて嘘だよな!?答えてくれ!!」

「い、一夏…」

 

一夏の必死の懇願に対し、千冬は少しの沈黙を置いて答えた。

 

千冬

「………全て真実だ」

一夏

「!!」

千冬

「織斑秋斗と織斑春恵。ふたりは…私とお前の両親である事も。そして…ふたりがアインヘリアル計画に参加していた事も…全て真実だ」

「そ…そんな…」

ラウラ

「…なんて事だ…」

一夏

「……」

 

ショックのあまりか一夏は再び力無く椅子に座り込む。そんな一夏に説明するように千冬は語り始めた。

 

千冬

「私達の父と母は…共に科学者だった。父は軍事工学、母は生理学と遺伝子工学のな…。まだ若さゆえに高名では無かったが…自身の知識を深める事を何よりも貪欲に重視していた。それは私が生まれた後も続いた。研究第一で殆ど家にいない両親と過ごした思い出等…全くと言っていい程無い…」

「千冬さん…」

シャル

「子供より自分の研究を優先するなんて…そんなの間違ってるよ…」

千冬

「…そして…16年前のある日の事だった。ふたりは突然私に言った。「暫く、いやもしかするともう一緒に暮らせなくなるから」と…」

「それが…アインヘリアル計画」

真耶

「一緒に暮らせないって…そんな…!」

千冬

「何故?と聞いても父も母も答えてはくれなかった。事態は一気に進み、ふたりは消息を絶ち、私と生まれて間もない頃のお前は政府の保護観察下に入った。お前は幼かったから覚えていないだろうがな。今思えばあれは…アインヘリアル計画に参加するために両親が政府に持ち掛けた取引だったのだ…」

本音

「そんな…酷いよそんなの…。おりむーや先生の気持ちはどうなるの…?」

千冬

「それから両親が何をしていたのかは全く知らなかった。五年前、アインヘリアル計画と織斑計画について知る迄は。…そしてあの計画で父は兵器開発、母は兵士達の体調管理及び人体実験の一部を担当していたという真実を知った…」

一夏

「な…なんだって…!」

セシリア

「お、おふたりのお母様が人体実験を!?」

「…信じられない…」

千冬

「……だが、それを知ったところで私にはお前に、伝える事が出来なかった…。これを話してしまえば…何も知らない一夏を壊してしまうんじゃないか…。そう思うと…話せなかった…。勇気が無かったのだ…。だから…私の胸の内に留めておく事にした…」

一夏

「……」

真耶

「先輩…」

 

何時になく弱々しい千冬。

 

ラウラ

「…織斑計画には…関わっておられるのですか?」

千冬

「……海之」

 

そう言われて海之は織斑計画のファイルを映す。するとそこに映っていたのは、

 

 

「織斑計画」責任者…織斑春恵

 

 

一夏

「!!」

海之

「見ての通りだ…。母、織斑春恵は…織斑計画の責任者のひとり」

「一夏と先生のお母さんがこの計画の!?」

千冬

「母は遺伝子工学の博士号を持っていたのだ。私もこの計画を知って愕然とした…。そして幼い頃の記憶を思い出したのだ…。朧気ながら母が…遺伝子療法について話していたのを」

「! それって一夏がされたっていう遺伝子の後付けの事…!」

クロエ

「ま、まさか…一夏さんにそれを施したのも!」

 

再び脳裏に浮かぶ最悪の答え。しかし火影がこれを否定した。

 

火影

「…いや。それをやったのは織斑春恵じゃない。彼女はこの計画を立案したが…途中までしか参加していない。それに織斑秋斗も」

「そ、そうか………?途中までだと?」

刀奈

「責任者なのに途中までって妙ね…」

 

すると一夏がその意味を理解したのか千冬に尋ねた。

 

一夏

「…………死んだのか?」

箒達

「「「!!」」」

火影・海之

「「……」」

 

一夏は理解した。アインヘリアル計画での兵器開発という重要ポストにいた父、そして織斑計画の責任者である母。そのいずれも参加していない理由は限られる。一夏はそう思ったのだった。

 

千冬

「………」コクッ

 

千冬は頷いた。それは一夏の質問に対する肯定の意味だった。

 

千冬

「父は10年前、母は7年前にな…」

シャル

「そ、そんな…」

「……」

 

箒達は言葉が無い。更に一夏は千冬に尋ねる。

 

一夏

「……どんな最後だった?……知ってるか?」

セシリア

「一夏さん…もうこれ以上は」

一夏

「いいんだよ」

本音

「おりむー…」

一夏

「俺は両親の事を…何も知らなかった。顔も名前も。他人同然みたいなもんさ…」

真耶

「そんな…一夏くん…」

一夏

「今更何聞かされても何も思わねぇ…。でもせめて…最後位は聞かせてくれよ」

 

力無い言葉で千冬に尋ねる一夏。……すると少しの沈黙を置いて千冬は……こう言ったのだった。

 

千冬

「………父、秋斗は10年前のある事件に巻き込まれて死んだ。…いや、正確に言えば殺されたのだ」

一夏

「…!!」

ラウラ

「こ、殺された!?」

「誰にですか!?」

 

すると千冬は語り出す。

 

千冬

「……白騎士事件の直後、父は…アインヘリアル計画において兵器開発で一定の成果を上げていた事から…直ぐに日本のIS研究者として関わる様になっていた。影の科学者として」

「一夏のお父さん、ISにも関わっていたんだ…」

千冬

「…そして10年前のある日、父は極秘裏に、某国に研究のために出発した。飛行機でな。……だがその飛行機には…テロリストも乗っていたのだ…」

 

その言葉で全員の動きが止まる。

 

一夏

「………え?」

「ひ、飛行機で……テロリスト…?……10年前…?」

千冬

「そしてそのテロリストは…自爆した。…父と、多くの乗客を巻き添えにして…」

刀奈

「!!」

真耶

「10年前、…飛行機、…自爆…!?」

セシリア

「そ…それって、……まさか…!!」

 

全員の視線が千冬から……火影と海之に移る。

 

 

海之

「……」

火影

「……そうだ。10年前、俺とこいつの両親が巻き込まれた、旅客機自爆テロ事件。その時に標的となったISの科学者というのは…アインヘリアル計画で兵器開発を担当していた一夏と千冬先生の父親、織斑秋斗だ…」

 

 

一夏

「!!」

「な……なん、だと!?」

セシリア

「そ…そんな…!」

シャル

「あの時の事件で狙われたのが…」

本音

「おりむーと織斑先生の……お父さん!?」

 

誰もが衝撃の事実に言葉を完全に無くしていた。一夏は生気無い声で千冬に尋ねる。

 

一夏

「……本当、なのか?……千冬姉」

千冬

「……」

 

だが千冬は答えない。そんな彼女に対し、一夏は今度は怒りを含んだ声で詰め寄る。

 

一夏

「10年前、火影と海之の親が巻き込まれた自爆テロで狙われた科学者ってのが俺達の父さんって!本当なのか千冬姉!?」

「い、一夏!」

千冬

「……」

一夏

「答えろよ!!」

 

一夏の剣幕はこれ迄以上に凄まじい。

 

セシリア

「一夏さん落ち着いてください!」

「そうよ!千冬さんも困って」

一夏

「皆は黙ってろ!!」

箒達

「「「!」」」

 

一夏の激しい剣幕に箒達は何も言えなくなってしまう。

 

一夏

「これは俺と千冬姉の問題だ!これだけは譲れねぇ!絶対今ここで答えてもらう!千冬姉!!」

 

一夏は千冬に懇願し、やがて、

 

千冬

「……………そうだ」

 

千冬は静かに認めた。

 

一夏

「!!!」

刀奈

「……」

「そ…そん…な…」

火影・海之

「「……」」

千冬

「お前達も知っている通り…当時ISを巡る闇の動きは今以上だった…。他国より強く、他国より先へ、他国より上へ。故にそれに関わる科学者は狙われやすかった。実際…命を落とした者もいる…」

クロエ

「千冬さん…」

千冬

「そして10年前のあの事件の直後、政府から私に極秘で連絡が来た。そして聞かされた…あの事件で亡くなったのが……父だと。だが正直言って私はあまり悲しくなかった。父の真相を知ってからも。多くの人を不幸にした事に対する天罰が下った、そんな感じだった…」

一夏

「……」

 

一夏は千冬の両肩に手を置いたまま固まっている。

 

真耶

「先輩…」

千冬

「……それに、私達の母も」

「……え?」

千冬

「織斑計画のプランAの中で…代理母、という話があっただろう?その代理母の中に…私達の母もいたのだ…」

一夏

「!!」

セシリア

「おふたりのお母様が代理母に!?」

千冬

「しかも母の中に戻された中には…マドカもいた」

「!! 千冬さんのお母さんが千冬さんのクローンであるマドカを身籠ったって事!?」

シャル

「それじゃ本当に兄妹と変わらないじゃないか…!」

千冬

「もしかしたら母は自分で産んだ私のクローンを最強にしたかったのかもしれん……。しかし……その過程で母は見たのだろう。私と同じ顔をしたマドカ達が殺しあうのを…。そのせいで母は精神を病み、……自ら…」

一夏

「!!」

本音

「そ、そんな…」

千冬

「…お前には知ってほしくなかった…。この事は私だけが背負えばいいと…。だから政府に頼んだ。弟には知らせないでいてやってほしいと。そして両親のこれまでの生きた記録は……抹消した……」

 

 

………ガァンッ!!

 

 

一夏

「……なんだよ、……なんなんだよそれ!!」ガンッ!ガンッ!…

 

一夏は立て続けに壁を激しく打ち付ける。その表情は痛々しい。

 

火影・海之

「「……」」

「い、一夏…」

刀奈

「一夏くん…」

一夏

「……チッキショウ!!!」ダッ!!

 

一夏は部屋を勢いよく出て行ってしまった…。




※次回は10(土)の予定です。
今回かなり重い内容になってしまいました…。一夏と千冬の両親の知られざる過去。その内容の驚愕性を上手く書けたか心配です(汗)

※UAが190000に到達しました!ありがとうございます。
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