IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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自身の両親の秘密を知り、ショックを受ける一夏。
そんな一夏を見て自分の責任を重く感じる千冬。

火影は一夏に自身の経験を語り、親に関係なく自分の道は自分で決めろと諭す。海之も千冬を支えると言い、全てを終わらせる事を改めて誓った。

そんな中、オーガスは何かを完成させて……。


Mission186 一夏にとっての特別な支え

島内某地点

 

 

ある日の休日。ここは街から少し外れた場所にあるとある場所。

 

一夏

「……」

 

そこに一夏と、

 

箒・セシリア・刀奈・蘭

「「「………」」」

 

彼に向かい合う様に彼女達がいた。そんな中での一夏の心中はというと、

 

一夏

(…う~ん、なんて言えばいいんだよこんな時。……恨むぞ火影~)

 

 

…………

 

詳しくは一夏達を集めての話があった日の翌日にまで遡る。この日の夜、男子組が食堂で夕食を取っていた時だった。

 

火影

「……」

 

何やら考え込んでいる様である火影。

 

一夏

「どうした火影?なんか悩み事か?」

海之

「…?」

 

すると考えがまとまったのか火影が一夏に話しかける。

 

火影

「……一夏、お前昨日言ったな?何か俺達にできる償いは無いかって」

一夏

「…!」

 

火影のその言葉で一夏に緊張が走る。…しかし一夏にそう言った火影の様子はというと、

 

火影

「早速だがお前にやってほしい事がある」

 

彼の口元は小さく笑っていた。まるで悪戯を考えている子供の様だ。

 

一夏

「な、なんだよそれ?てか…なんで笑ってんだ?」

海之

「…また何か下らんことを考えているのではないだろうな?」

火影

「心配すんな。そんな難しい事、…いや一夏にはちょい難しいのか?いやそうでもねぇのか」

一夏

「…?」

 

訳が分からないという表情をしている一夏。

 

火影

「まぁどっちにしてもお前には悪い話じゃねぇ。どうだ?」

一夏

「俺にとってって…どういう意味だよ一体?……まぁでも俺に拒否権はねぇか。……で、何をやればいい?」

 

すると火影は一夏にある依頼をした。

 

火影

「お前にやってほしい事ってのは……」

 

 

…………

 

…その翌日、

 

「火影、私に話とはなんだ?」

 

屋上に箒を呼び出した火影。すると火影がこんな事を言い出す。

 

火影

「箒お前、前の……の時の……、あれってまだ持ってるか?」

「……の時の……!」

 

何やら思い出す箒。

 

「あ、ああ持っているぞ。今手元には無いが…」

 

箒はそれをいつかのために大事に取っていたのだが最近色々あり過ぎて忘れていた。するとそれを聞いた火影は、

 

火影

「そうか…。ならちょっと頼みがあるんだが…それ、俺に貸してくれねぇか?」

 

この一言に箒は驚く。

 

「ななな何だと!?な、何故だ!?それにあれはお前も持っている筈ではないのか!?」

火影

「ああそうなんだけどな。でも心配すんな、近い内に戻ってくるから」

「…?どういう意味だ?」

火影

「いいからいいから。俺を信じて貸してくれ。さっきも言ったが悪い様にはしねぇから」

 

箒はしぶるが火影が嘘をつくとは思えないので、

 

「う~~…そ、そこまで言うなら後で渡そう。…でも良いな!?絶対に返してくれよ!」

火影

「わかってるって。……ああそうだ。それと別にもうひとつあった」

「な、なんだ?お前が私にこれ程頼みとは珍しいな」

 

すると火影は言った。

 

火影

「次の休みって空いてるか?」

 

 

…………

 

同日放課後、1-1

 

 

千冬

「今日の授業はこれまで!」

生徒達

「「「ありがとうございました!」」」

 

今日の授業も無事に終わり、其々が部活なり自習なり帰るなりしようとしていた時、

 

ラウラ

「セシリア」

シャル

「ちょっといいかなセシリア?」

 

シャルとラウラが部活に行こうとしていたセシリアに声をかけた。

 

セシリア

「シャルロットさんラウラさん。どうしました?」

 

するとふたりはセシリアに尋ねる。

 

ラウラ

「突然なんだが次の休日は空いているか?」

セシリア

「次の休日ですか?……ええ空いていますが?」

 

その返事に安心するふたり。

 

シャル

「ホント?良かった。あのね?実はその日ちょっと付き合ってほしいんだけど良いかな?時間帯は夕方近くなっちゃうんだけど…」

ラウラ

「頼めるのはセシリア位しかいなくてな」

 

この時セシリアは久々に一夏でも誘って過ごしたいと思っていたのだがふたりからそう言われれば断るわけにもいかず。

 

セシリア

「…ええ構いませんわ」

ラウラ

「そうか、感謝する。待ち合わせ場所は追って知らせよう」

シャル

「じゃあねセシリア」

 

そう言うとふたりは出て行ってしまった。

 

セシリア

(…なんでしょう?私におふたりからって…)

 

 

…………

 

更にその翌日、生徒会室にて

 

 

刀奈

「ふ~あとはこれをまとめるだけね」

「お嬢様がもう少しおさぼりにならなければもう終わっている案件でしたよ?」

刀奈

「だってしょうがないじゃないの~最近色んな意味で忙しかったんだから~。先日の修学旅行でも一夏くんと滑れなかったし~。その点本音はいいわよね~、火影くんから教えて貰ってたし~」

本音

「えへへ~♪」

刀奈

「一夏くんももう少し気付いてくれないかな~?」

 

ふてくされる刀奈。すると、

 

ガラッ!

 

「失礼します」

 

生徒会室の扉が開き、入ってきたのは簪だった。

 

「簪様、お疲れ様です」

刀奈

「簪ちゃんが来るなんて珍しいわね?どうしたの?」

「うん。…お姉ちゃん、今度のお休みって何か用事ある?」

刀奈

「今度のお休み?」

「うん。ちょっと付き合ってほしい事があって。その日皆駄目なんだ。だからお姉ちゃんに来てほしいんだけど…」

本音

「ごめんね~かっちゃん~。私もどうしても外せない用事があるんだよ~」

刀奈

「簪ちゃんのお願いなら何だってOKよ~♪……って言いたい所だけど仕事がまだあるのよね…」

 

残念がる刀奈。すると意外な人物が助け舟を出す。

 

「…お嬢様。お休みまでにこの御仕事を終わらせましょう。私もお手伝いします」

刀奈

「ホント!?ありがとう神様仏様虚様!お礼に私がお茶入れたげるわ♪」

 

大喜びの刀奈はお茶を入れに行ってしまった。…すると、

 

「…ふたり共、何か企んでいるわね?」

簪・本音

「「…え!?」」

 

 

…………

 

五反田食堂

 

 

ガラッ

 

「こんばんわ~」

 

その日の夕方、五反田食堂に鈴がやって来た。

 

「あ、鈴さんいらっしゃい!」

「おっす鈴。今日はひとりか?火影がいないなんて珍しいな」

「私だってたま~にはひとりでご飯食べたい時があるわよ。それに今日はちょっと蘭に用事があって来たのよ」

「私にですか?」

「そ。今時間良いかしら?」

「じゃあ蘭も一緒に食いなよ。今日はお客さんそんなに多くねぇしさ」

 

言われて蘭は鈴と一緒に同じテーブルで食事を取る事に。

 

「ごめんね忙しい時に」

「いえいえ。……鈴さんちょうど良かった。そういえば私も鈴さんに聞きたい事があるんです」

「私に?何よ?」

 

すると蘭が小声で水を飲みながらの鈴にこんな質問する。

 

「鈴さん、火影さんにどうやって告白したんですか?」

「!」

 

出鼻を挫かれるような質問に鈴は一瞬むせ、水を吹きかけるがなんとか抑える。

 

「こほこほっ!」

「だ、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫よ。…てかどうしたのよいきなりそんな質問するなんて?」

「ご、御免なさい。ちょっと思う事があって聞いてみたくなって、もしよければ参考までにと…」

「参考?…まぁいいわ。…え、えっとね…」

 

鈴は火影の秘密についてだけは隠しながらあの時の事を蘭に話した。

 

「……それはまた凄い展開ですね。鈴さんだけじゃなくシャルロットさんや本音さんもなんて」

「あはは、確かにそうよね。三人同時に告白なんて中々ないシチュエーションだわ」

「でもどうするんですか?鈴さんもシャルロットさんも本音さんも、火影さんを諦める気ないんでしょう?」

「え、ええそれについてはまたいずれね。あそうだ蘭、今度のお休みって予定空いてるかしら?その日火影やシャルや本音も無理でさ、もし良ければ馴染みある蘭に付き合ってほしいんだけど」

「今度のお休みですか?……え、えっと……」

 

何やら考えている様子の蘭。

 

「…もしかして都合悪い?」

「い、いいえ全然!わ、わかりました!私でよければ付き合います」

「ホント?無茶してない?」

「はい大丈夫です!それでどこに行くんですか?」

「それについては当日説明するわ。待ち合わせは…」

 

 

そんな会話をしながらふたりは一緒に食事をとった…。

 

 

…………

 

そして日は進み、次の休日となった。そして、

 

「……」

 

火影から言われた場所で火影と待ち合わせをしている箒がいた。

 

(何なのだろうか…?火影から誘い…しかもこの様な場所で…)

 

箒がいるその場所は美しい海を一望できるちょっと有名なポイント。夕焼けがとても美しく、箒の周りには何組かのカップルがいる。

 

(こんな場所で待ち合わせなど…ま、まるでデートみたいではないか…!!い、いやそんな馬鹿な!私が一夏一筋なのはあいつも理解している筈だ!ましてやあいつには鈴達がいるんだぞ!…ま、まさかあれは……私を誘うための!?い、いやバカなそんな訳……)

 

自らの状況とシチュエーションに妙な考えを巡らせる箒。…するとそこに、

 

セシリア

「…あれ?箒さん?」

 

シャルとラウラと待ち合わせしているセシリアがやって来た。

 

「お、おおセシリアではないか…!どうしたこんな所で?」

セシリア

「私はシャルロットさんとラウラさんとの約束でこちらに…。箒さんは?」

「そうなのか…これは偶然だな。…私は」

 

すると更に、

 

刀奈

「あれ?箒ちゃんとセシリアちゃんじゃないの」

 

簪と本音と約束した刀奈もやって来た。

 

「か、刀奈さん!お疲れ様です」

刀奈

「うん。ところでどうしたのふたりして」

セシリア

「私はシャルロットさんとラウラさんと待ち合わせているんですの」

「わ、私も待ち合わせを…」

刀奈

「そうなの?簪ちゃんが他の皆は用事があるから無理って言われたらしいんだけど」

「…?私は簪とは会ってませんが?」

セシリア

「私もですわ」

刀奈

「ほんとに?…変ね」

 

すると更に更に彼女も来た。

 

「…あれ?皆さん」

刀奈

「えっと貴女は…蘭ちゃん?」

セシリア

「もしかして…蘭さんも何方かと待ち合わせを?」

「は、はい。鈴さんと」

「鈴と?」

 

そして鈴も「皆が都合が悪いから」と言っていたらしいことを箒達は蘭から聞いたのだが。

 

「じゃあ皆さんも覚えが無いと?」

セシリア

「ええ。鈴さんから頼まれごとなんて言われていません」

「私もだ。どういう事だろう…?」

刀奈

「……」

 

箒、セシリア、蘭がキョトンとし、刀奈は何か考えている。

 

「……それにしても遅いな火影の奴」

セシリア

「火影さん?箒さんの待ち合わせとは火影さんですか?」

「あ、ああ何か頼み事があるとかでな」

セシリア

「そうなんですの。…でも火影さんだけでなくシャルロットさんもラウラさんも遅いですわね」

「鈴さんも…」

 

すると刀奈が何かに気づいたのかこんな事を言い出す。

 

刀奈

「……ねぇ三人共。私ちょっと気づいちゃったんだけど。今ここにいるメンバー見て」

「ここにいるメンバー?」

「今ここにいるのは…………!」

 

箒は何かに気づいた様だ。そしてセシリアも、

 

セシリア

「も、もしかして…でも、この面々は…」

「ぐ、偶然なのかな?」

「え?え?」

 

普段一緒にいない蘭はまだわかっていない様子。

 

刀奈

「偶然にしては出来すぎてるわね…。おんなじ待ち合わせ場所、中々来ない誘い相手、しかもこの面子でしょ」

セシリア

「じゃ、じゃあこれは偶然ではないと?」

「でもだとしたらどうして!?」

 

するとそこに、

 

「来たか…」

箒・セシリア・刀奈・蘭

「「「!」」」

 

聞き覚えのする声にハッとする箒達は声のする方向を見た。するとそこにいたのは、

 

一夏

「……」

 

ここにいない筈の人物、……一夏だった。

 

箒・セシリア・刀奈・蘭

「「「い、一夏(さん又くん)!!」」」

 

当然驚く箒達。

 

一夏

「お、おう…」

「お、お久しぶりです!」

「一夏!何故お前がここにいる!?」

セシリア

「そ、それに一夏さん、今確か「来たか」と仰られていませんでしたか!?」

刀奈

「…どうやら予感が当たっていた様ね。詳しく聞かせてもらえるかしら?」

 

蘭は嬉しさと恥ずかしさが混じり、箒は酷く慌てる。セシリアは分析し、刀奈は冷静にふるまう。そんな彼女達が迫る中、一夏は答えた。

 

一夏

「そ、そんなに迫るなってば。いや…その、だな…。実は今日皆に用事があるのは…俺なんだ…」

「な、何だと!?」

セシリア

「で、ではシャルロットさん達は!?」

一夏

「あ、ああ。その…協力してくれたんだ…皆」

「皆って事は…鈴さんや簪さん達もですか!?」

刀奈

(…虚~、知ってて手伝ったわね~…。でもまぁ今は良しとしましょう)

「…それで私達を呼んだ理由ってなんなの一夏くん?」

 

すると一夏はあるものを取り出し、

 

箒・セシリア・刀奈・蘭

「「「……!!」」」

 

それを箒達にひとつずつ手渡す。そしてそれを見た彼女達の目に驚きが浮かぶ。何故ならそれは、

 

セシリア

「こ、これって!」

「黛先輩から貰ったチケットじゃないか!」

 

それは以前一夏達が黛の依頼で引き受けた写真撮影のお礼で貰った五つ星ホテルのディナーペアチケットだった。

 

「! そ、それって確か以前一夏さん達が取材を引き受けた依頼というやつですよね!?」

セシリア

「でもどうしてこんなに沢山ありますの!?」

 

すると、

 

刀奈

「……火影くん達ね」

箒・セシリア・蘭

「「「!!」」」

一夏

「そうです。俺と箒、そして火影と海之のチケットを足したものです。火影と海之からもらいました…」

 

そして一夏はその訳を話し始めた。

 

 

…………

 

一夏

「ほ、箒達と食事に行く?」

火影

「ああ。箒とセシリア、刀奈さん、そして蘭だ。しかし家でとか五反田食堂とかそんなんじゃねぇ。もっと特別な場所で、そして一対一でだ」

一夏

「い、一対一って事はひとりずつか?な、なんでそんな事、それに特別な場所って何だよ?」

 

すると火影が、

 

火影

「一夏、お前前に黛先輩に貰ったチケット、まだ持ってるよな?」

一夏

「黛先輩のって……あの写真撮影の時に貰ったペアチケットか?あ、ああ持ってるけど……って!?」

海之

「そういう事か…」

火影

「一夏。お前に俺と海之、それから箒のチケットを一旦借りるのを渡す。お前はそれ使って箒、セシリア、刀奈、蘭の四人にチケット渡してそれぞれと食事に行け。それがお前のやる事だ」

 

その言葉を聞いた一夏は当然慌てる。

 

一夏

「な、なんだよそれ!?」

 

すると火影ははっきり言った。

 

火影

「この際はっきり言っとこう。…あいつらは好きなんだよずっと前から。お前は気付いてねぇみてぇだけどな」

一夏

「…!」

火影

「でも誰か特定の奴に協力したら不公平だからな。だから何時でもいい。お前と四人で行ける日其々決めて、あいつらの話を、想いをじーっくり聞いてやれ。正直言ってこのままじゃあいつらが報われるのが何時になんのかわからねぇからな」

海之

「それについては否定せんな。……良いだろう、俺の分も渡してやる」

火影

「箒からは俺が借りといてやるから」

 

すると一夏は、

 

一夏

「……本当にそんな事がお前らのためになんのか?」

火影

「ああ」

 

火影は即答した。すると一夏は、

 

一夏

「………わかった。本当にそれがお前らにとってもいいならやるよ」

火影

(っし♪)

 

その言葉を聞いた火影は心の中でガッツポーズをし、海之は珍しく笑おうとしていた。

……………が、一夏は

 

一夏

「あ、でもその前に火影、ひとついいか?」

火影

「? 何だ?」

 

疑問符が浮かぶ火影にこんな事を言った。

 

 

一夏

「でもなんでその四人なんだ?てかそんなにここの料理うまいのか?あいつらが昔から好きっていう位」

 

 

ドガシャーンッ!!

 

 

……と普通の者ならここで豪快にこけるところだろうが火影は上体がガクンッとずれ落ち、海之はおでこに手を当てて長めの「ハァ~~」というため息で終わる。

 

火影

「お前……マジか」

海之

「……」

一夏

「な、何だよ?俺なんか悪い事言ったか?」

 

一夏はまだわかっていないようである。だから火影はもう思い切って全部話すことにした。

 

火影

「いいかよく聞け!あいつらは……」

 

 

…………

 

そしてその後、一夏は火影から箒達が好きなのは何者でもない自分である事を知らされたのだった。

 

箒・セシリア・刀奈・蘭

「「「………」」」

 

一夏の話を聞いた箒達は沈黙していた。

 

一夏

(…う~ん、あとなんて言えばいいんだこんな時……恨むぞ火影~。とはいえ何か話さねぇと始まらねぇか…)

 

そして一夏は順番に思った事を話していく事にした。

 

一夏

「…ほ、箒、火影から聞いたよ。お前小学生の頃からずっと俺の事好きでいてくれたんだってな…。IS学園に入学した時にお前との勝負で負けた時あんだけ怒ったのも、俺が昔よりも弱かったのが許せなかったんじゃない、ショックだったんだって。小学生の頃お前をいじめから助けた時の様な強いままの俺だって思ってたからって。…ごめんな気付いてやれなくて。そしてありがとよ、こんな俺をずっと想っててくれてよ」

「……」

一夏

「…セシリア、お前も俺の事が好きだったなんて想像もしていなかった。今は仲直りしてるけどお前との出会いは最初最悪だったもんな。…でも今はこう思ってる。あん時セシリアと戦ってみて良かったなって。あれが無かったら今もまだ俺なんかチンプンカンプンだったろうし。俺がこれまでこれた最初のきっかけをつくってくれたのも云わば…セシリアのおかげだ。…ありがとよ」

セシリア

「……」

一夏

「…刀奈さん。二学期に会ったばかりですけど…いつも訓練してもらってありがとうございます。あとキャノンボール・ファーストの時に助けてもらったお礼言えてませんでした、すいません…。刀奈さんとはこの中で一番最後に会ったから火影達から聞いても正直信じられなかったです。俺なんかとはあまりにもレベルも違うし。…でも火影や海之がそうだと聞かされて…驚きました。嬉しいです」

刀奈

「……」

一夏

「そして蘭。お前の事も火影から聞いたよ。お前も箒と同じでずっと俺を好きでいてくれたんだってな。しかも弾の奴もいつ進展があるのかってずっとどぎまぎしてるって。…でもぶっちゃけて言うと蘭は俺にとって妹みたいな感じで思ってた…。だから蘭の気持ちにも全く気付かなかった。IS学園に入ってからは更に付き合う事も少なくなったから余計にな…。わ、悪い…」

「……」

 

一夏の言葉を箒達は黙って聞いていた。

因みに周囲にいたカップル達はいなくなっていたため、今は彼らしかいない。

 

一夏

「ただ…ちょっと聞いてほしいんだ。蘭以外の三人は知ってるけど…俺最近、色々考えねぇといけなかったり、やらなきゃいけねぇ事が一気に増えちまってさ、自分に余裕がねぇんだ。だから…その…うまくは言えねぇけど、…全部片付くまでは…待ってほしい。それが終わったらそん時は、改めて誘うからよ。ひとりずつ。嘘じゃねぇ。そん時に…箒達のお、俺への気持ちを改めて聞かせてくれないか?全部しっかり聞くから…、逃げたりしねぇから…、この通り!」

 

一夏は今だ黙ったままの箒達に頭を下げた。それは今直ぐは無理だけど時が来れば全員の気持ちを受け止める、そして答えを出すと約束した。

 

箒・セシリア・刀奈・蘭

「「「………」」」

 

四人は黙って一夏を見つめている。

 

一夏

(こ、こうやって何も言われないのも見つめられんのも辛ぇ…!)

 

今まで恋愛の「れ」の字も知らなかった一夏にとってこのような告白は全くの未知の世界。彼は自分に家族とは違う特別な感情を抱くような女子がいるなんて想像もしていなかった。だから箒達がどれだけの好意をぶつけても気付かなかったし、今みたいに見つめられても平気だった。

……しかし今回は流石に一夏も今まで通りのままではいられない。確かに意識していた。対する箒達は沈黙のまま。どちらかと言えば断られてもいいから何か言って貰いたいのが本音であった。あまりに何も言われないので一夏はゆっくり顔を上げてみた。……すると、

 

一夏

「…!」

 

一夏は目を開いた。何も言わなかったのではない。箒達は全員…うっすら涙を流していた。

 

「…うっうっ」

セシリア

「……」

刀奈

「ふふ…」

「う…う…」

一夏

「ど、どうした!なんで泣いてんだ!俺なんか悪い事言ったか!?」

 

予想だにしていない事態に一夏は慌てるが、

 

「…グス…。いや…違うんだ。寧ろ…これは…嬉し涙だ」

セシリア

「やっと…やっと、気付いて下さったんですのね…」

刀奈

「…ふふ、まぁ…火影くん達から教わったんだけどね」

「でも、でも嬉しいです。本当に…嬉しいです」

 

箒達は涙を流しながら嬉しがっていた。

 

一夏

「皆…」

「一夏…私は、私は子供の頃、お前にいじめから助けてもらった時から…、いやもっと前から…お前の事が好きだった…。だから…お前と離れる事になった時…本当に、後悔した。…あの時言っておけば良かったって。だから学園にお前が入ると分かった時…本当に嬉しかったんだ…。これからもお前と一緒にいられるって」

セシリア

「一夏さん…あの時、ISの事を何もご存じなかった貴方が、私を追い詰めた時、私は悔しさよりも…貴女をもっと知りたい、その気持ちの方がずっと強かったんですの。そして…願ったんです、貴方の傍で、貴方の可能性をもっと見てみたいと。だからこれからも一夏さん、貴方の可能性を、見せてくださいませんか?」

刀奈

「一夏くん、私ね?最初は貴方への気持ちは興味程度だったの。でも貴方と一緒に過ごしていく内に…その気持ちが一気に大きくなっていたわ。私はこの中じゃ一番付き合い短いけど…今は結構本気なんだからね?貴方を誰にも渡したくないという気持ちが♪」

「い、一夏さん。実は…私今日、一夏さんに、私の気持ちをお伝えしようと思っていたんです。私は、皆さんと違って…普段一緒にいられないから。私、焦ってたんです…。でも、でも一夏さんの方から…そう言って頂けて…本当に嬉しいです…」

 

箒達の告白に一夏は酷く恥ずかしい気持ちになった。

 

一夏

「い、いや…あの…その…お、俺も火影達から聞いて初めて知ったから…。あ、ありがとよ…。で、でも今は」

「言うな。…分かっている。待つ…、幾らでも待つともさ!」

セシリア

「今は私の気持ちを知って頂けただけで十分ですわ!そしてこれからは正々堂々と勝負ですわよ!」

刀奈

「ふふ、じゃあこれからは堂々と一夏くんに甘えられるわけね♪」

「私も負けません!」

 

箒達は満面の笑みを浮かべて一夏争奪戦の第二回戦を宣言した。

 

刀奈

「じゃあ今日は前哨戦という事で皆揃ってご飯行きましょ♪」

「じゃあ私の家に来ませんか?一夏さんの昔の話でもしながら♪」

セシリア

「ええそうしましょう♪」

「ホラホラ行くぞ一夏♪」

一夏

「お、おう…!」

 

一夏は箒達に引っ張られる様に歩いて行った。

……そしてそんな彼らの様子を離れた場所から見守る影達があった。

 

「お姉ちゃん…。皆も良かったね」

シャル

「うん。あんな箒達久しぶりだよ」

火影

「やれやれ…これで少しは進展するかねぇ」

ラウラ

「これほどの事をしてまで何も変化がなければもう正直手が無い所だ」

「それは言えてるわね。しかしよくこんな事思いついたわね火影」

火影

「……あいつには支えてくれる奴が必要だと思ったんだよ。先生でも俺らでもない、もっと別の強い支えがな」

海之

「愛は自らに喜びも何も与えはしない。しかし他者には安らぎを与え、失望に打ち勝つものを与える」

「でもこれから一夏大変ね。これある種罰ゲームなんじゃないの?」

クロエ

「大変な位の方が良いと思います。私も束様と一緒に暮らしてそう思いました」

「クロエさん…それ誉め言葉になってないよ?」

火影

「はは。…あとお前ら悪いな。チケット勝手に渡しちまって」

「別にいいわよ。どうせペアじゃないと行けないんだし」

本音

「そ~そ~。それに私はひかりんの料理の方が好きだよ~♪」

ラウラ

「折角協力したんだ。今日はお前達に腕を振るって貰おうか♪」

シャル

「賛成~♪」

海之

「…仕方ない」

 

そして火影達もまた学園に向かって歩き出した。こうして火影達による一夏の償い?は無事成功したのであった。

 

「……」




※次回は来週の24日(土)になる予定です。

何とか間に合いましたので今週上げる事が出来ました。
次回はいつもよりやや短め、そして事態が動く予定です。
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