IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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一夏と千冬の事がとりあえず落ち着いた日の翌日。箒、セシリア、刀奈、蘭の四人は火影や鈴達に次の休日の予定を約束された。
……しかし当日彼女達の前に現れたのは他でもない一夏だった。彼は彼女達が自身に好意を寄せている事、彼女達の想いをじっくり聞いてやれと火影から教えられていたのだった。一夏はこれまで気付いてやれなかった事を謝罪し、箒達もまた今は気付いてくれただけでも十分だと涙した。一夏に家族でも親友でもない、特別な支えができた瞬間だった。


Mission187 さよなら初恋

IS学園 1-1

 

 

一夏の箒達への告白イベントより数日。当の本人らはというと、

 

「一夏!今日の昼は一緒にどうだ?」

セシリア

「ズルいですわ箒さん!昨日はご一緒だったではありませんか!」

一夏

「い、いや今日は更識先輩から予約が入ってるんだ。悪い」

「何だって!くっ…やはり楯無(刀奈)先輩、思った以上に速い!」

セシリア

「で、では明日のお昼は私が予約しますわ!」

 

とこんな調子が続いていたのだった。因みに蘭は休日の昼は五反田食堂で食べる約束を取り付けていた。

 

生徒

「なんか篠ノ之さんとオルコットさんの目が活き活きしてない?」

「そう~?私は逆にちょっと怖い位だけど~?」

「まぁどっちにしても私達が入る隙が無いわね~…」

 

他の生徒の間にも一夏争奪戦辞退ムードが漂っていたのだった。

 

「……」

海之

「騒がしい奴らだ…」

火影

「あいつら全部終わった後でって約束じゃなかったか?」

シャル

「まぁ今まで気付いてもらえなかった分って思ったらいいじゃない?」

本音

「しののんなんて何年分だもんね~」

「それにしてもお姉ちゃん予約だなんて…物じゃないんだから」

ラウラ

「あの人ならやりかねん」

 

そんな感じで少々呆れながらも見守る火影達。そんな中、

 

火影

「まぁそれはさておき…シエラ(クロエ)、やっぱりわからねぇか?」

シエラ

「はい…。やはりどこにもそれらしい場所は記載されていません…」

 

あの後、火影達はスコール・ミューゼルから渡された資料を引き続き分析した。オーガスの居場所を探すためである。資料にはふたつの計画に関する証拠が書かれていたがひとつだけわからない事があった。計画が行われた場所の事である。これだけの計画を行う以上それなりの施設若しくは場所が必要な筈。しかし資料の何処にもその情報だけが記されていない。オーガスはアインヘリアル計画に関わっている筈だから残っていてもおかしくないのだが…。

 

ラウラ

「くそ…奴らは一体どこにいるのだ…。早く見つけ出さねば篠ノ之博士が…」

シエラ

「……」

本音

「シーちゃん…」

海之

「落ち着けふたり共。……それにもしかすると、近々何か動きがあるやもしれん」

「どういう事海之くん?」

海之

「俺の想像だが…オーガスは俺達があの資料を持っている事に既に気付いている。だとしたら俺達が居場所を探している事にも気付いている筈だ。奴が姿を現さないのは何らかの計画が完成するまでの時間稼ぎだとすると…」

火影

「あれから結構時間たってるからな。……もうそろそろだって事か?」

シャル

「確か束さんにも無理やり手伝わせてるやつだよね?…何だろう一体…?」

 

 

~~~~~~~

そんな事を話している内に朝礼前のチャイムが鳴る。

 

 

「あ、もうこんな時間!私戻るね!行こう鈴…あれ?」

 

気が付くと鈴がいない。その鈴はいつの間にか一夏の近くにいて、

 

「一夏、悪いけど今日の放課後いいかしら?話があるの」

一夏

「放課後?……ああ」

「じゃあ屋上に来てね」

 

そう言って一夏の前から去る鈴。箒とセシリアもキョトンとしている。すると次は、

 

「シャル、本音。今日の昼ちょっといいかしら?」

シャル

「え?う、うん。いいよ」

本音

「ひかりんは?」

「ふたりだけに話したいの。じゃあ昼ね」

 

そう言って鈴と簪は出て行った。

 

シャル

「どうしたんだろ鈴?」

ラウラ

「何か思いつめた様な顔をしていたな」

火影

「……」

千冬

「おはよう!HRを始める!」

 

一部が騒がしく、一部が重苦しい空気が流れる中、今日も一日が始まった。

 

 

…………

 

IS学園 食堂

 

 

時間は過ぎて昼時の食堂。少し離れた席に鈴、とシャル、本音が座っていた。

 

「ごめんね本音、シャル」

シャル

「ううん。鈴、僕達に話って何?」

本音

「ひかりんにも知られたくないって言ってたけど?」

 

すると鈴は真顔でこんな事を言った。

 

 

「……あのねふたり共。……私、今日放課後……一夏に告白しようと思う」

 

 

これにふたりは仰天の声を上げる。

 

本音

「え―――――!!」

シャル

「どどどど、どういう事!?」

「ふたり共声が大きいってば!…落ち着いて聞いて。告白って言っても昔の告白よ。「好きだった」っていう告白」

本音

「す、好きだったって告白?」

シャル

「で、でもどうしてそんな事今更…」

 

声は小さくなるがふたりの驚きは止まらない。すると鈴はこんな事を話した。

 

「…あのね。この前私が蘭を誘った時にね、その中でこんな会話があったのよ。「もう一夏への気持ちは無いのか、なんで火影に心変わりしたのか」って」

シャル

「ら、蘭ちゃんも結構思い切った事聞くんだね」

「蘭は私が一夏を好きだったことも知っているからね。当然無いって言ったわ。火影が好きになった理由も話した。…でもね、蘭からそれ聞いた時私、思い出した事あるの」

本音

「思い出したこと~?」

「本音には前に話したけど…」

 

すると鈴は以前火影と本音に話した、嘗て一夏と別れる際にプロポーズじみた約束を交えて別れた事、そしてそれを去年確認した時、一夏が全く違った解釈をしていた事を話した。

(Mission25 鈴の涙参照)

 

シャル

「…一夏の馬鹿…」

「それ以来あいつには本当の意味を話していないわ。まぁアレは私の伝え方も問題あったんだろうけど。……本当は黙っておいたままにしておこうと思ったんだけど…それを伝えようと思う」

本音

「どうして?」

 

すると鈴はもうひとつの理由について話す。

 

「これは火影にも話してないんだけど…私ね?本当はISになんて全く興味無かったの。ISの操縦適正がわかっても「あ、そ」って感じだったし、軍から代表候補にって推薦されても全くその気なんて無かったわ。……一夏の入学を知る迄は」

シャル

「一夏の?」

「あいつがIS学園入学のニュースが流れた時、思ったの。「私もIS学園に行けばあの時の約束を果たせる!」って。それから必死で勉強して代表候補になってここに来たのよ。いわば私がIS学園に入学したのは…一夏に会いたかったから。ただそれだけの気持ちなの。それを思い出した時、なんか自分がそんな気持ちで入ったのが凄く嫌になっちゃって…」

本音

「それも仕方ない話だと思うよ。あの時は好きだったんでしょ?」

シャル

「そうだよ。好きな人を追いかけたいっていうのもわかるな」

「…うん。でもね、それだけじゃないの。この前電脳世界で自分自身と戦った時あったでしょ?あの時私、もうひとりの私に言われたのよ。「一夏にわかってもらえなかった悲しみを慰めてもらったから火影に惹かれたんでしょ」って。あの時は自分はそれでもいいって、例えあの時はそうでも今の自分が好きなのは火影だって私言い返した。……でも」

シャル

「……でも?」

「最近ふと思ったの。蘭にそう言われてこんな事考える様なら…もしかしたら、一夏への気持ちがほんの少しでも残ってるんじゃないかって…。私って去年まで一夏一筋だったし、ふたりと違って最初から火影が好きだったわけじゃない…。そう考えると…ふたりに申し訳ない気持ちになって…。シャルにもあんな事言っておいてさ」

本音

「そんな…、考えすぎだよ鈴…」

シャル

「そうだよ…。そんなに考え込まなくても」

「…ありがとう。……でもだからこそ決めたの。一夏に昔の私の気持ちを打ち明けて、それをもってきれいさっぱり終わらせるって。そうしないと…あいつに、火影に悪いから…」

 

鈴はこれからも火影と共にいるために決心したようだ。

 

本音

「鈴…」

シャル

「…火影には伝えないの?」

「あいつが知ったら気にするなって言うでしょ?……あっともうこんな時間、ゴメンね付き合わせて」

シャル・本音

「「……」」

 

 

…………

 

IS学園 屋上

 

 

「……」

 

そして放課後、鈴はひとり一夏が来るのを待っていた…。シャルと本音に話した通り、一夏に告白し、昔の自分と蹴りをつけるためである。黙って待つ鈴、…すると、

 

ガチャッ

 

暫くしてドアが開く音がした。入ってきたのは当然、

 

一夏

「…来たぜ鈴」

 

一夏だった。

 

「遅いわよ」

一夏

「悪い悪い、箒とセシリアから忠告があったんだよ。「何て言われても驚くな」ってさ」

「余計な心配しなくていいのに…」

一夏

「…それで、…何の話だ鈴?」

 

一夏は鈴に尋ねた。そして鈴もまた打ち明ける覚悟を決めた。

 

「…うん。あのね………」

 

そして鈴は……一夏に全てを話し始めた。

 

 

 

…………

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

「……」

 

それから約数分後、全てを話し終えた鈴は屋上に引き続き残っていた。一夏は少し前に帰ったらしくその場にいなかった。

 

「はぁ~…」

 

何やらため息をついている鈴。……すると、

 

 

ガチャッ

 

 

「!」

 

再びドアが開く音がして驚く鈴。空はもうすっかり濃いオレンジに染まってもう30分もすると闇に染まる時間帯に誰が来るのかと思っていると、

 

火影

「やっぱり残ってたか…」

 

火影だった。まるでここにいるのを知っていたかの様な言葉である。

 

「ひ、火影!……どうしてここに?」

火影

「シャルと本音が教えてくれたのさ」

(…もう、あのふたり…)

 

鈴が心の中でそんな事を思っていると、

 

火影

「……来ない方が良かったか?」

「え?う、ううん大丈夫よ!……てか」

 

鈴はとりあえず落ち着いて話し始めた。

 

「……一夏に知らせてたのね、火影。私が昔、あいつが好きだったって事…」

火影

「……まぁな」

 

 

…………

 

先日、火影が一夏に箒達が好いている事を話した後、火影は更に教えていた。

 

火影

「……もっと言えば一夏、鈴もお前の事が好きだったんだぜ昔から」

一夏

「えぇぇ!!り、鈴もだって!?な、何で!?」

 

酷く慌てる一夏に対し、火影は鈴が昔中国に帰る際、プロポーズじみた言葉を言った事、そしてその約束を覚えていなかったからあの時怒った事も教えた。

 

一夏

「そうだったのか…。だからあいつあんなに…」

火影

「まぁ鈴も伝え方が悪かったとは言ってたけどな。こんな事言うのは余計なお世話かもしれねぇが全く知らなかったんだろ?」

一夏

「……」コク

 

一夏は頷いた。やはり全く知らなかった様だ。

 

一夏

「…悪い事しちまったな…」

火影

「まぁ心配すんな、もう立ち直ってっから。……でももし今後あいつがその事を言ってきたら今度は素直に謝れよ。また殴られるのはやめとけ」

一夏

「あ、ああ…」

 

 

…………

 

こうして火影はあらかじめ一夏に伝えていたのだった。

 

「ビックリしたわよ、あいつの口から「知ってた」って聞いた時。……でもよくわかったわね、私がこうするって」

火影

「…なんとなくだがな。…一夏が箒達に打ち明ける姿を見たら、お前もこうすると思った」

「……どうして教えたの?」

火影

「一夏のためだ。あいつは周りばっか気にして、いつも自分の事を殆んど顧みねぇし無茶ばかりしやがる。もっと自分は想われてるって事を知っとかねぇとって思ってな」

 

火影はそう答えた。すると鈴はその言葉を聞いて一瞬キョトンとし、

 

「……ねぇ火影」

火影

「ん?」

「自分を顧みず無茶ばかりするって……アンタが言える事?」

火影

「……」

「あははは♪」

 

火影はやや不機嫌そうになり、そんな彼を見て鈴は派手に笑った。そんな彼女を見て火影は聞いた。

 

火影

「……辛くないか?」

「私?私は大丈夫よ?ちょっと予定は狂っちゃったけどはっきり言ってやったわ。「昔はアンタの事が好きだった。小学生の時別れるのが滅茶苦茶悲しかった。折角あんな爆弾発言までしたのに全く覚えてなかったから凄くムカついた!」って」

 

鈴は声高に話す。

 

「そしたらあんな奴でも気づいたのかしら?「だったって事は今は違うんだな」って聞いてきたから言い返したわ。「当然よ!今はアンタよりよっぽどカッコよくて強くて、凄く大事にしてくれる奴がいるの」って。そしたらあいつ笑って「そっか、良かったな」だってさ」

火影

「……」

 

火影は黙って聞いていたのだが、

 

「最後に「だからアンタも箒やセシリア達の事、しっかり考えてあげなさいよ」って言ったら「約束する」って言ってたからまぁこれで大丈夫でしょ。……はぁ~やっと私も言いたかった事全部言えたわ~。もうこれでスッキリ…」

 

……スッ

 

すると火影は自身の指で鈴の目元をぬぐう仕草をした。

 

火影

「…あんま無茶すんな」

「へ?………アレ?」

 

鈴は泣いていた。

 

「…アレ…アレ?……おかしい、な?もう…悲しくなんかない筈なのに…、とっくに吹っ切ってた筈なのに…、なんでだろ?…なんで…」

 

鈴は何でだろうと自問するが涙は止まらない。

 

…スッ

 

「…!」

 

すると火影は何も言わずに鈴の頭を自分の胸に寄せた。

 

火影

「こうすりゃ泣き顔見えねぇだろ?」

「ひ、火影?…だ、大丈夫だよ……私はもう」

火影

「わかってるさ。だが初恋で、つい最近までずっと好きだったんだろ?それをちゃんと自分で断ち切ったんだ。悲しいのもわかるさ…」

「……」

火影

「涙を恥じる必要は無ぇ。泣きたい時は泣けば良いのさ。人間なんだからよ」

「……………~~~」

 

たまらなくなったのか…やがて鈴は暫く火影の腕の中で小さく泣き続けた。

 

(……やっぱり私泣き虫ね……)

 

 

…………

 

その後、少しして鈴は落ち着きを取り戻した様子だった。鈴は火影から離れて背を向けている。火影は何も言わず見守っていると、

 

「…ありがとう火影。…あと来てくれて」

火影

「礼ならシャルと本音に言え」

「それでもよ。……私、これでやっと昔の私とちゃんとさよならできた。本当にさっぱり吹っ切ったわ」

火影

「…そうか」

「……ねぇ火影、聞いていい?私じゃなくてもさっきみたいな事、他の女の子にもする?」

 

鈴は火影の性格だからきっと他の子にもするんんだろうなと予想しながら聞いてみた。すると火影は答えた。

 

火影

「似たような事はするかもしれねぇ。……だがお前と、シャルと本音は特別だ」

「!……も~、今だけはそこは「私だけ」って言うとこじゃない~?」

 

鈴はやや不満そうに言うが、

 

「ま、アンタらしいか。覚悟しときなさいよ!アンタにとって誰よりも重い女になってやるんだから♪」

 

その心中は喜びに満ちていた。鈴は火影の腕に自らの腕を組ませて笑顔で言った。その顔に後悔は微塵もない感じだった。

 

 

ガチャ!

 

 

シャル

「はいはいそこまでだよ~!」

本音

「そこまでは許してないよ鈴~!」

 

シャルと本音がドアを開けて飛び出してきた。どうやらドアの外から見守ってたらしい。

 

「ふ、ふたりも見てたの!?」

シャル

「ふたりきりにしたらこうなるかもしれないと思ったからね」

本音

「ひかりんは私達皆で支えるって約束でしょ鈴~?」

「ちぇ~」

火影

「…どういう意味だ?」

鈴・シャル・本音

「「「秘密よ(だよ)♪」」」

火影

(……やっぱ俺の女運は前世譲りらしいな。ハァ…)

 

火影は心でため息を吐くが嫌そうでは無かった。

 

 

…………

 

「おはよ~皆!」

 

翌日の朝、何時もの様に一組にやってきた鈴。

 

火影

「おはよーさん」

海之

「ああ。騒がしい奴だ」

一夏

「お、おう!」

セシリア

「鈴さんおはようございます。そ、そう言えば鈴さん、昨日一夏さんとは何を?」

「何でも無いわ。ちょっと念押ししといただけ♪」

「ね、念押し?」

 

悪戯っ気含む笑顔でそう言うのだった。そんな感じで今日も和やかな一日が始まろうとしていた…………その時、

 

生徒

「……あれ?何かしらこれ?」

 

ひとりの生徒が手のスマホを見て声を出した。更に、

 

生徒

「あれ?なんか画面が切り替わったわ」

「そっちも?私もよ?」

「な、何なのこれ?」

 

他の女子生徒達も声を出した。内容からして全員が共通のものを見ているらしい。次第にちょっとした騒ぎになる。

 

ラウラ

「な、なんだ一体?」

 

~~~~

 

火影・海之

「「!」」

 

すると突然火影と海之の通信機が鳴った。

 

海之

「はい」

千冬

(海之か!私だ!急いでテレビをつけろ!)

 

千冬の声に異常を感じた海之は直ぐに自分のデスクのテレビ機能をつける。火影や一夏や箒達もそれに目をやると、

 

全員

「「「!!」」」

 

そこに写っていたのは、

 

一夏

「ひ、火影海之!これって!!」

 

つい先日自分達が見た、アインへリアル計画の計画書だった……。




※次回は来月1日(土)の予定です。

ついで話みたいになってしまいましたが鈴はストーリー上恋愛対象が変わった唯一のヒロインなのでやってみたいと思いました。
次回より事態が動きます。
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