IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
「ラ・ディヴィナ・コメディア」
嘗てアインヘリアル計画と織斑計画が繰り広げられ、多くの血が流された場所。オーガス(アルゴサクス)はここを拠点とし、更に次の戦いが自分達の最終決戦だと告げる。皆が動揺する中、火影と海之はそれも相手の手だとして自分を変えず、更に手を見せろと挑発する。……そしてそんな彼らにオーガスは言い放った。
「いいものを見せてやろう。…そして喜べ、感動の再会だ!」
オーガス
(貴様らにいいものを見せてやろう。「インフィニット・ストラトス」と「デビル・トリガー」を使って!そして感動の再会の時だ!ダンテとバージル!)
火影・海之
「「!!」」
カッ!!
ISとして改造したアンジェロを纏ったオーガスは、
シュバァァァァァァァァァァ!!
手に持つデビル・トリガーというものを押し込むとそれまで以上の黒い光に包まれ、やがて光は飛び散り爆散した。……そしてそこに佇むものが露になった。
赤い鎧と奇妙な大剣のIS?
(……)
そこにいたのは今まで見たアンジェロでもISでもない、未知のISだった。
特徴としては……全身が真っ赤、血の様な赤。目も同じく赤だがそこは一際赤く輝いている。頭部には巨大な二本の角があり、背には大きな六枚の翼がある。膝の部分にも奇妙な装飾。更に脚先は馬や牛の様な蹄の様な形をしている。そして一見、生物的な外装がある片刃の巨大且つ奇妙な大剣を地に突き刺す形で正面に構えている。
一夏
「す、姿が変わった!?」
箒
「赤いアンジェロ…いや違う!」
刀奈
「DNS…にしては聞いてた変化と違うわね…」
千冬
「あれも…DISなのか?」
一夏達はその未知の存在に驚く。……だが火影と海之は全く別の意味で驚いていた。何故ならその姿はふたりにとって決して忘れられない、例え生まれ変わったとしても…、そんな姿をしていたからだ
火影
「……親父!?」
海之
「……!!」
それは色こそ違えど、自分達の前世の父であり、世界を魔界の脅威から救った救世主にして魔界の反逆者。嘗てバージルが幾度もその力を求めた存在、魔剣士スパーダだった。
ラウラ
「な、何だと!?父親!?」
一夏
「お、お前らの親父さんってどういう事だよ!?」
セシリア
「……!まさか、おふたりの前世のお父様である、魔剣士スパーダの事ですか!?」
鈴
「た、確かに言われてみれば…似てる、かも。あの時は炎と戦いの中で良く見えなかったけど…」
シャル
「う、うん。でもあの剣は見覚えがある。ふたりの昔のビジョンで…スパーダが振るってたやつだ…」
簪
「あれが…ふたりの前世のお父さんの、悪魔としての姿…」
クロエ
「正確にはISでしょうが…まさかそれをISの姿とするなんて…!」
現れたISの正体を知った一夏達は驚きを隠せない。火影と海之は思う事があるのか最初の一言から何も話さない。そして一方のオーガスだが、
赤きスパーダ纏いしオーガス
(……)
彼もまた一言も話さない。ゆっくりと顔を横に動かしたり、手を握りしめたりしている。動作確認だろうか…。
一夏
「な、なんだ?どうした?」
箒
「具合を見ているのではないか?DNSとは違うシステムみたいだし…」
千冬
「…?」
そして数十秒後、
オーガス
(………これがインフィニット・ストラトス。………これが奴が言っていた、…世界の人間が造り上げた、…この世界最高の兵器、か…)
身体の具合をある程度把握したのか赤いスパーダを纏うオーガスがゆっくりと口を開く。
…ドクンッ!!!
火影・海之
「「!!」」
オーガス
(……スパーダ…。……紛い物とはいえ、……あの裏切り者を模した姿形を纏うとは、……本来ならば……恥辱の極みである……)
鈴
「!…よく、よくもそんな勝手な事言えるわね!」
セシリア
「そうですわ!では何故そんな姿を!まるで火影さんと海之さんへの当てつけみたいに!」
オーガス
(……まぁいい。……把握した。今は…………)
するとオーガスは再び黙ってしまった。
火影・海之
「「…?」」
千冬
「何だ?」
一夏
「どうして黙っている!質問に答えろ!」
すると数秒後、再びビジョンに映る赤きISが動き出す。
オーガス
(………クククク、流石のダンテとバージルも驚き過ぎて言葉も出ないか?ISとはいえ、父親の姿をこんな突然に見せられてはな)
ラウラ
「オーガス!貴様、そのISは一体なんだ!」
するとオーガスは答えた。
オーガス
(…これは我の専用機よ)
簪
「…!!」
鈴
「アンタの…専用機ですって!?」
オーガス
(…そうだ。本来ならば我にもISを動かす事は出来ない。だが、織斑千冬の遺伝子を我の体内に組み込む事によって可能となった)
千冬
「…!」
セシリア
「な、何ですって!織斑先生の遺伝子を!?」
オーガス
(織斑一夏への遺伝子療法を行った時に何かに使えるかもしれぬと思い拝借したのだ。いわば保険だよ。ククク、感謝しているぞ?…兄妹?)
千冬
「…!!」
一夏
「兄弟だと!?ふざけんな!!てめぇどこまで千冬姉を利用すれば気が済むんだ!!」
だがそんな言葉を無視してオーガスは続ける
オーガス
(そしてこのISは…篠ノ之束と、我によって生み出されたもの…)
箒
「ね、姉さんが!?…じゃあ、貴様そのために!」
オーガス
(ISの外郭は私にも生み出す事は出来るがコアだけは不可能だったのでね。御協力頂いたのだ)
クロエ
「嘘です!束様が貴方に協力するなど!」
オーガス
(いや、協力してくれたさ。ある真実を知ったら見事にな)
シャル
「あ、ある真実…?」
オーガス
「11年前、そう言えばわかるかね?」
すると千冬が声を上げた。
千冬
「…まさか貴様!?」
オーガス
(ふっふっふっふ…そうだ。10年前のあの旅客機自爆テロで狙われたのが織斑千冬、そして織斑一夏、貴様等姉弟の父親であるという真実よ)
千冬・一夏
「「!!」」
オーガス
(知っているぞ?貴様は篠ノ之束には教えていなかった様だな。大方知れば傷つくと思っての事だろうが…その通り、例え狂人であろうと友の親の死が自らに責があると知ったのは堪えた様だったな。更に11年前の、あの白騎士事件の被害者共の悲鳴を聞かせてやった。あの時の慌てぶりははっきり覚えているぞ。見ていて飽きぬわ、我が例え悪魔でも泣いて笑ってやったところだ。ハッハッハッハ!)
千冬
「……!」
一夏
「てめぇ!」
箒
「貴様ぁぁぁ!」
クロエ
「貴方は…貴方だけは絶対に許さない!」
皆、特に一夏と箒とクロエは激しい怒りを見せる。千冬も言葉に出さないが怒りはふつふつと感じる。
刀奈
「…ところで…何故貴方の専用機をふたりの父親の姿にしたの?」
鈴
「そうよ!アンタにとってスパーダは敵の筈でしょう!?なんでわざわざそんな姿を!」
するとオーガスは答える。
オーガス
(理由はふたつ。ダンテとバージルを滅ぼすのにこれ程の相応しい姿は無いだろう?父親の姿をしたものに殺されるのであれば、死ぬ時に本望というものだ)
簪
「そんな…そんな理由で…!」
シャル
「酷いよ…。偽物だとわかってても、親子で戦い合う様な真似をさせるなんて!」
オーガス
(…そしてもうひとつは…奴らに対する我の愛情、とでも言おうか)
クロエ
「あ、愛情…!?」
オーガスの愛情という言葉に困惑する皆。
オーガス
(わからんか?死んだ父親に会わせてやったのだ。もう二度と会えぬと思っていた者に会える。これに勝る愛情はあろうか?いや無かろうて、ふっふっふ)
そしてオーガスは地に突き刺した大剣を掲げて高々と言い放った。
オーガス
(死を前にした最大の敵に送る最大の敬意にして愛!故に我が専用機の名を…「アルダ・スパーダ」!そしてこの剣を…魔剣「エヴァ」と名付けた!!)
火影・海之
「「!!」」
セシリア
「アルダ…。全知全能の、両性具有の神の名ですわね」
シャル
「そ、それに「エヴァ」って確かそれ…!」
鈴
「ふたりの前世のお母さんの名前…!」
オーガス
(大切なものや獲物には自ら、若しくは愛する者の名をつける。これも人間共から知った事だ。良かったろう?大事なものにふたつも再会できて)
ラウラ
「…貴様!本当に人を…心をなんだと思っているのだ!!」
オーガス
(貴様の様な存在が言っても価値が薄いぞ、人で無きものよ。それに対し我は純粋な人間。記憶や考え方は違えどもな)
一夏
「ふざけんな!!」
箒
「例え生まれ方は少し違ってもラウラやクロエは立派な人間だ!貴様の様な奴より余程な!」
クロエ
「皆さん…」
するとこれまで黙っていた火影と海之が口を開く。
火影
「………「スパーダ」、そして「エヴァ」…か…。もう随分長い間その名前をはっきり聞いた事が無かった。……長い間な。……懐かしい」
海之
「……」
オーガス
(ククク、そう言って頂けて何よりだ)
火影
「…ひとつ聞かせろ。親父の偽もんをそんな血の色に染めたのは何故だ?前のてめぇを少しでも自己主張したかったからか?」
以前ダンテだった頃に戦ったアルゴサクスは全身が炎に包まれた様な赤色をしていたのを思い出して問いかけた。
オーガス
(フン、決まりきった事を聞くではないか。貴様らの父スパーダは悪魔でありながら人間共に荷担した。多くの同胞を斬り、その血を浴びてな)
海之
「…悪魔の返り血に染まった救世主、という訳か…」
オーガス
(そして悪魔共の血に染まったスパーダは再び魔へと還ってきた。世界を導く新たな救世主としてな。この「ラ・ディヴィナ・コメディア」こそがその中心よ。「テメンニグル」とは違うがなかなか良いものだろう?クククク…)
オーガスは楽しそうに笑う。…が、突然笑いを止めて妙な事を言い出した。
オーガス
(………ふむ、どうやら無粋な客人の様だ)
千冬
「…客人だと?」
オーガス
(言葉の通りだ。今この島に近づいているものがある。貴様らの方でも見てみるがいい。今座標を送ってやる)
すると言葉の通り指令室の端末にすぐ情報を送られてきた。それを見てすかさずクロエが分析する。するとその言葉の通り、IS学園がある日本からは程遠い、飛行機や船の航路からも完全に離れている座標が映し出された。そして、
クロエ
「! 指定ポイントに接近してくる熱源があります。これは………ミサイルです!!」
火影・海之・千冬
「「「!」」」
一夏
「み、ミサイルだって!?」
鈴
「マジで!?」
クロエ
「それもひとつではありません!複数のミサイルがあらゆる方向から向かってきています!」
クロエの言う通り、画面を見るとある一点にあらゆる方向から数発の熱源が向かってきているのが見えた。
刀奈
「一体どこから…世界中からミサイル、しかもあの塔に向かって……!」
千冬
「…まさか!」
千冬と刀奈は謎のミサイルについて正体が読めた様だった。そして海之も、
海之
「…間違いない。アインヘリアル計画の闇の遺産。あの計画に協力していた奴らが極秘裏に潰そうとして撃ったミサイルだろう」
一夏
「な、何だって!?」
簪
「そ、そんな!そんな簡単にミサイルを撃つなんて!しかも人が中にいるかもしれないのに!」
セシリア
「それにそんな事したら余計に世界中に知られることになるのでは…!?」
海之
「…いや、政府の連中も馬鹿ばかりではない。無論それも承知している筈。あの場所の存在やミサイルの発射も全て情報統制を敷くに違いない」
火影
「それにだ。例え中に誰かがいたとしてもその事も隠蔽するだろう。自分達の首根っこを押さえられるよりは殺しの方がまだマシって訳だ」
ラウラ
「…そうだな。大方テロの殲滅とでもお題目をつけるに違いない」
シャル
「そんな…そんな事したって完全に隠しきれるもんじゃないよ!」
クロエ
「最接近しているミサイル到達まで時間がありません!」
クロエの言う通り、一番近くまで迫ってきているらしいミサイルが現地に到達するまでのこり数分という状態まで来ていた。……が、そうはならなかった。
クロエ
「…!こ、これは…ミサイルが消失しました!」
箒
「え…消失!?」
クロエの見ていたレーダーから島にあと数分で到達というミサイルの影が…忽然と消えてしまった。
千冬
「どういう事だ?」
クロエ
「詳しくはわかりませんが…おそらく到達前に空中で爆発したものと…」
一夏
「故障でもしたのか?」
だが立て続けに迫ってきた他のミサイルも島に到達する前に全て消失した。このことから故障ではない事がはっきりした。
クロエ
「ミサイル全て消失…。残っている機影0です…」
簪
「な、何が起こってるの…?」
刀奈
「迎撃でもされたのかしら?」
するとオーガスがその答えを出した。
オーガス
(違う。我が生み出した、この島を覆っている結界よ。如何に強大な兵器であろうとこれを貫く事はできん。核や粒子兵器でさえもな)
一夏
「マジかよ…!」
千冬
「つまり島に直接乗り込むしか方法が無いという事か…」
パチンッ!!
するとオーガスは突然、指を鳴らす。
オーガス
(そして愚かな者達には、罰を与えねばならんな)
すると先程からミサイルの発射地点を探っていたクロエが声を上げる。
クロエ
「…!! こ、これは!」
千冬
「今度はどうした!」
クロエ
「ファントムです!ミサイルの発射された地点に!」
シャル
「な、なんだって!?」
クロエ
「! 別の基地にもグリフォンが出現!他の場所にも反応が!」
セシリア
「ど、どうしてそんな!?」
すると刀奈は理解したらしく答えを出す。
刀奈
「……まさかオーガス…貴方、ミサイルの発射地点にファントムやグリフォンを放したわね!」
一夏達
「「「!!」」」
オーガス
(何を怒っている?やられたらやりかえす、それが人間の道理なのだろう?だが慌てるな、奴らには人間を殺さない様に設定してある)
鈴
「…?どういう事よ!?」
するとオーガスは笑いながら言った。
オーガス
(ククク、これまた決まりきった事を聞く。これから絶望と混沌の世界が始まろうとしているにそれを味わえないまま死ぬのは酷だろう?云わばこれも我の愛情というものだ)
簪
「絶望と…混沌の世界…!?」
刀奈
「どういう事!?」
オーガス
(知りたければ来るがいい、この「ラ・ディヴィナ・コメディア」まで!但し死を受け入れる覚悟ができたのならな!アインヘリアル計画と織斑計画の拡散を防ぐには我を倒してこの施設を破壊するしかない。早くしなければ間に合わなくなるぞ?)
千冬
「くっ…!」
一夏
「上等だ!お前は俺達が倒す!そして束さんも返してもらう!!」
オーガス
(我は初めから貴様等相手にしていない。貴様らの相手は奴らに任せてある。我々は我々の決着をつけようではないか!なぁダンテ!バージル!)
火影・海之
「「……」」
オーガスは火影と海之にそう宣言した。すると火影が頭をガリガリと搔きながら口を開く。
火影
「………たく、「テメンニグル」ん時のあのオッサンといい…、あん時の何とかっつう宗教の親玉の爺さんといい…、どいつもこいつも人の家族事情に何度も首突っ込みやがって…。しかも挙句の果てには親父の偽もんを纏い、偽もんの親父の剣に母さんの名前を使うとはな…」
オーガス
(ククク、固いことを言うものではないぞ?同じこの世界に転生してきた者同士ではないか。云わば同類よ)
海之
「……ああ。だからこそ、俺達のやる事は決まっている。……貴様は、俺達が潰す!」
火影と海之の目に一際激しい怒りが浮かぶ。普段めったに怒った姿を見せたことが無いふたり。オーガスは間違いなく、火影と海之の逆鱗に触れた。嘗ての父、そして母の名を汚したオーガスに。
オーガス
(さぁ、我が元まで来るがいいダンテ!バージル!そしてその目から光が消える瞬間を見せてくれ!)
火影
「俺達は死なねぇと言った筈だ。どうしてもって言うなら、道連れがいるぜ?」
オーガス
(幾らでも連れていくがいい。貴様らを殺せるならどれ程だろうと安いものだ!)
海之
「…ああ。貴様と、貴様が生み出したもの全てな」
オーガス
(フハハハハハハハハ……!!)
オーガスの笑みを最後にその通信は途切れた。
…その後、ファントムやグリフォンに襲われた基地や拠点は徹底的に破壊されたが、オーガスの言った通り人的被害0という状態だった。当然現地の軍や部隊は対処しようとしたが、どこから現れたのか全く分からない突然の奇襲と、アンジェロ以上の戦闘力やまるで生き物の様な動きを持っているファントムやグリフォン達の行動と攻撃に苦戦を強いられ、ほぼ一方的にやられた後、それらは同じく転移して消えたらしく、解析しようにもなんの証拠も残っていなかったのだった。
攻撃を受けた者達は言った。…「悪魔」…、と。
計画の全貌が世に出るまで…あと二日と二十時間…。
※当初の予定通り、来週はお休みで次回は再来週29(土)となります。
今話で今章は終了。次回から二、三話位の短い新章で、それが終われば更に新章の予定です。
今まで口数が少なかったボスが最後が近づくと急に喋りが多くなるのはあるあるだと思います。