IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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多くの仲間達の意志を受け取り、ラ・ディヴィナ・コメディアに侵入する事に成功した一夏達。……しかし潜入して間もなく、一夏達はオーガスの手によりばらばらに転移させられてしまった。そんな彼らの前に現れるスコールやオータム達。彼女らの話によると今自分達がいるこの場所こそ先の計画で殺し合いが繰り広げられた場所であり、そこには死んでいった多くの血と無念が眠っており、スコール達は死んでいった者達のためにこのような事をした世界への復讐を果たすと告げる。そんな彼女達に対し、一夏や千冬達は必ず止めると誓うのだった。

一方その頃、箒とクロエは……。


Mission196 カイーナ① 阿修羅の下に隠されたもの

皆がオーガスが起こした転移に巻き込まれた時の事…。

 

刀奈

「これはまさか…転移!」

千冬

「く!しまった!」

「一夏!皆!」

一夏

「うわあぁぁぁ……!」

 

オーガスは「アンティノラ」「トロメア」「ジュデッカ」と、各フロアに一夏達を送り込んだ。

 

オーガス

「………そうだ、思いだした。あれには確か家族ともいえる奴らがいたな。………世話になったせめてもの手向けだ。最後位対面させてやろうではないか……ククククク」

 

 

…………

 

「カイーナ」

 

 

「………………う」

 

箒は目を覚ました。彼女もまた、転移に巻き込まれて暫し気絶していた様だ。

 

「……ここは…?私は確か……!クロエ!」

クロエ

「……」

 

すぐ傍にはクロエが同じく気絶していた。駆け寄る箒。

 

「クロエ!しっかりしろ!」

クロエ

「………箒、さん?」

「気が付いたか?」

クロエ

「…はい、申し訳ありません…。…! 皆さんは!?」

 

クロエの質問に箒は首を横に振った。

 

「…わからない。近くには私達しかいなかった。どうやらさっきの転移ではぐれてしまった様だな」

クロエ

「そうですか…。皆さん無事でいるといいのですが…」

「そうだな…。火影と海之は無事だろうが…」

クロエ

「……それにしてもここは一体なんでしょう?」

 

箒とクロエは周りを見渡すと……そこには円形の暗く巨大な空間が広がっていた。

 

「………広いな。多分あの塔の内部とは思うが…」

 

近くを探ろうにも手がかりになる様なものもなく、誰もいない。

 

クロエ

「しかし先程の転移。間違いなくオーガスの仕業でしょうが…何故この様な事を…」

「ここはアインヘリアル計画があった場所であると同時に奴の本拠地だからな。いわば私達は虎穴に入り込んだという訳だ。なにがあっても」

 

 

ヴゥゥゥゥゥンッ!!

 

 

とその時、突然箒とクロエの目の前に転移が現れた。

 

「転移の光!? まさか敵か!」

クロエ

「この状況はまずいですね…!」

 

箒とクロエは紅椿とベアトリスを展開し、構える。そして転移の黒い光からゆっくりと姿を現すものがあった。

 

 

…ガシャン、…ガシャン…

 

 

箒・クロエ

「「!!」」

 

箒とクロエは目を見張った。それは両手に長剣を持っている人型の、アンジェロによく似ている鎧を纏った二足歩行の機体。特徴的なのは正面の顔の左右にも同じ様な顔がある異質な姿。そんなものが言葉も咆哮も発さず、目を光らせて転移の光の中から現れた。

 

「………」

「なんだ、こいつは…?」

クロエ

「新たなアンジェロタイプ?でもたった一機で」

「奇妙な姿だな、顔が3つもあるとは…」

 

その時、

 

 

…バンッ!!!

 

 

突然大きな音が聞こえたと思いきや周囲の灯りが消え、何も見えなくなってしまった。それはまさに漆黒の暗闇で直ぐ近くにいた箒とクロエも互いの姿が見えない程である。

 

「なっ!明かりが!」

クロエ

「大丈夫ですか箒さん!」

 

カッ!!ズドォォンッ!ズドォォンッ!

 

「うわぁぁ!」

クロエ

「きゃああ!」

 

すると突然、暗闇から火炎弾が襲いかかってきた。

 

「ぐっ!しまった油断した!」

クロエ

「何時の間に!レーダーには何も」

 

ズドン!ズドン!ズドン!…

 

更に立て続けに火炎弾が襲い掛かってくる。

 

クロエ

「箒さん二手に!」

「そうだな!」

 

互いに声をかけて避けるふたり。

 

 

バリバリバリバリ!!

 

 

すると今度は彼女らの真上から落雷が襲い掛かってきた。

 

「今度は真上から雷撃だと!向こうはこっちが見えているのか!?」

 

箒とクロエはなんとか避けるが落雷を起こしているらしい雷弾はゆっくり追跡してくる。

 

クロエ

「追跡機能まで!でもこれ位なら避け切れない程では!」ビキキキキキキ!!「!!」

 

クロエは動揺した。何か異音がしたと思いきや何かにぶつかった感覚があった。触ると冷気を感じた。

 

クロエ

「こ、こんなところに氷の壁!?」バリバリバリ!!「きゃあああ!」

 

動揺している間に追跡してきた雷弾の雷撃がクロエに襲い掛かる。

 

クロエ

「くっ…気を取られてしまった!」

 

ヴゥンッ!!

 

クロエ

「!!」

 

すると暗闇の中で偶然なのか今の悲鳴で位置を掴んだのか、目前に先ほどの物体が迫ってきていた。クロエ目掛け両腕のブレードを振り上げる。奇襲にとっさに対応できないクロエ。すると、

 

「……して…」

クロエ

「…え?」

「クロエーー!!」

 

キィィィィィンッ!

 

同じく悲鳴と光で位置を察したらしい箒がクロエを守るために立ちふさがった。相手のブレードを雨月と空烈の二刀流で防ぐ箒。

 

クロエ

「箒さん!」

「大丈夫か!おおおおおおお!!」

 

ガキィィィィィィン!!

 

箒は全力で払いのける。邪魔された形となったそれは再び闇に溶け込む。ふたりは背中合わせになり、追撃を警戒する。

 

クロエ

「申し訳ありません箒さん!」

「気にするな。油断するなよ!」

クロエ

「はい!…この部屋、特殊な妨害電波でもあるのかレーダーやセンサーが効きませんね」

「そっちもか?こちらもだ。となると直接視認するしかないのか…。と言ってもこの暗闇では…。くっ、幾ら無人機でもやっかいだな…!」

 

するとクロエが箒に先ほどの事を話す。

 

クロエ

「………箒さん、ひょっとしてなのですが…先程の機体、もしかすると無人機ではないかもしれません…」

「…無人機じゃない?」

クロエ

「先程あのISが私に斬りかかった時、機械音とは違う声を発したのです。あまりに小さかったので意味はわからないのですが…」

「…では中に誰かいるという事か?」

 

 

ビキキキキキキキキキ!!

 

 

その時再び異音がした。火炎でも雷でもない。

 

「! どこだ!」

クロエ

「…上です!!」

「何!?」

 

ズドドドドドドドド!!

 

クロエの言う通り上空からつららの様なものが一斉に襲い掛かってくる。

 

「これは氷柱か!」

クロエ

「火炎や雷だけでなく氷の攻撃まで!」

 

ふたりはそれを天月・空烈とオシリスで防ぐのだが、

 

 

ゴォォォォォォォォ!!

 

 

箒・クロエ

「「!!」」ビュン!

 

攻撃を弾くのに集中しているふたりに凄まじい火炎放射が襲い掛かった。たまらずふたりはまた別れる。

 

「そこか!」バシュゥゥ!!

クロエ

「当たって!」ズドドドド!!

 

対して箒とクロエは刀の衝撃波と機関砲カリギュラを攻撃してきた方向に放つ。しかし手ごたえはなく、どうやら避けられた様だった。

 

「駄目か!くそ!このままでは思う壺だ!奴がどこにいるかさえわかればこっちから撃っていけるのに」

 

レーダーやセンサーが使えない以上敵を把握するにはこの暗闇をどうにかしなければならない。するとクロエが、

 

クロエ

「…箒さん、私に考えがあります」

「本当か?」

クロエ

「はい。ですが少し時間が必要です。その間申し訳ありませんが箒さん、あの敵を引き付けて頂く事はできますか?」

 

この提案に箒は即答した。

 

「構わん。私はお前を信じよう」

クロエ

「倒さなくても構いません。引き付けて頂くだけですよ?」

「わかっているさ。相手の位置さえわかれば一気に決めてやる!」

 

ズドォォォン!

 

再び火炎弾の攻撃が別の場所から迫る。

 

クロエ

「く!ではお願いします!」

 

クロエは箒から離れた。箒はわざと声を出して敵を引き付ける。

 

「さぁかかってこい!お前の相手はここにいるぞ!」

 

ガキィィィィン!

 

すると闇に紛れて背後から敵が剣で斬りかかる。しかし箒はそれを冷静に受け止める。

 

「……」

「この暗闇で背後から奇襲か!考えているな!」

 

キィィンッ!キンッ!ガンッ!

 

「貴様もやる様だがしかし前に戦ったあの黒い奴らほどではない!」

 

そこから暫しの剣劇が始まる。敵の剣も中々のものだがしかし今の箒もこれまでのアンジェロやファントムやグリフォン、そしてドッペルゲンガーとの戦いを経て確実に成長していた。そして何よりも束を救い出すという気持ちが彼女を後押ししていた。

 

「……て」

(! 今確かに声が…!やはり無人機でない?いやそれは後だ!)

「射撃はそちらでも剣ではまだ私の方が上だ!衝撃鋼化(ギルガメス)!!」カッ!

 

ギルガメスの起動と共に紅椿の装甲が銀色に変化し、箒のパワーが上がる。

 

ガキンッ!!

 

「貰ったぞ!」ヴゥン!!

 

敵の二本のブレードを天月一本で受け、空烈で横薙ぎに斬りかかろうとする箒。しかし、

 

ガキキキン!!

 

「!!」

 

箒は再び目を見開いた。さっきは暗闇の中で見えなかったが敵の肩の部分から細い腕が現れ、それが持つブレードによって箒の空烈が受け止められた。

 

「か、肩から腕が!?」ズガンッ!「ぐあ!」

 

別の角度から箒に斬撃が当たった。その隙に距離を取り、暗闇に溶け込む敵。

 

「く!まさか隠していた腕があったとは!」

 

バリバリバリバリ!!

 

すると今度はリング状に広がった雷撃が襲い掛かってきた。

 

「先程とは違うパターンか!」

 

バシュゥゥ!バシュゥゥ!バシュゥゥ!

 

箒は飛んでくるそれを両手の刀で弾く。

 

ガキキキキキン!!

 

するとその隙に今度は先の肩のブレードも含めた4本のブレードで奇襲をかけてきた。

 

「トムガール!」ヴゥン!!

 

箒はトムガールも起動させて更にパワーを上げ、片手で二本の腕に対応する形で応戦する。しかし、

 

…ヴゥヴゥン!!ガキキキキキ!!

 

「! ま、また新たな隠し腕だと!?」

 

肩のブレードの後部から更に隠された細い腕が現れ、そこからもブレードが伸びてきた。計6本のブレードが箒の二本の腕に怒涛に襲い掛かる。箒は必死でそれに対応するが堪らず距離を取る。

 

キィィン!!

 

「ハァ、ハァ…、ちっ、まさか6本も腕を持つとは…!しかもさっきより強くなっている気がする。こちらの戦術を把握しているのか?」

「……」

「3つの顔に6本の腕…まさに阿修羅そのものだな。姉さんを助け出す前に無駄なSEを消耗したくないというのに!」

 

力を温存して勝てる様な相手ではないと悟る箒。すると、

 

「……ゃん」

「…!」

 

突然暗闇の中から声がした様な気がした箒はそちらに目を向ける。

 

「……て、……しを」

「…?」

 

何と言っているのか小声で聞き取れない。……とその時、

 

 

…パァァァァァァァァァァァァァァ!!

 

 

突然、周囲に強い白き光が現れた。まるで闇夜を飛ぶ蛍の様なポツポツという感じで現れたそれはその空間全体に展開している。そしてその光は暗闇に潜んだ敵の姿も晒していた。

 

「! こ、これは!」

「……」

「見えたぞ!」

 

すぐ様斬りかかる箒。しかし一瞬早く敵は距離を取る。

 

「ちっ!惜しい!」

クロエ

「逃がしません!」

 

するとその時、遠くからクロエがオシリスで敵に向かい襲い掛かった。相手はそれを自分のブレードで受け止めるが、

 

クロエ

「蝸牛!」カッ!!

 

クロエはその瞬間、動きを鈍重化させる自らのベアトリスの能力「蝸牛」を起動させようとした……しかし、

 

ドンッ!!

 

蝸牛の影響が出る寸前、敵はすぐに急速離脱した。その動きに一瞬違和感を持つクロエ。

 

クロエ

「!!」

(蝸牛の発動よりも早く動いた!?)

「クロエ!」

クロエ

「あ、お、お待たせしました箒さん!そしてありがとうございました!」

「大丈夫だ。それよりこの光はお前が?」

クロエ

「はい。これは私のセラフィックソアーの羽です。発光力を最大にしてこの部屋全体に散りばめてあります。迎撃には使えませんがこれ程ばら撒けば暫くの間あの敵を把握する事も可能な筈です」

「そういう事か。確かにこれなら奴の位置もわかる。助かったぞクロエ!…しかしあの機体、お前の言う通り私も声を聞いた。小さくて聞き取れなかったが…」

クロエ

「やはり誰かいるという事?しかし誰が」

 

ここで箒からあの疑問が浮かぶ。

 

「そう言えばクロエ。お前先ほど蝸牛を起動しようとしたらしいが効かなかったのか?」

クロエ

「…いえ、発動前に範囲外に出てしまったのです。まるでタイミングがわかっていたかの様に」

「わかっていた…?」

(私の剣技といい蝸牛といい…一体)

「だがそれはあいつを倒せばすぐにわかる。今は」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 

すると先にいた謎の機体の前方に赤・青・黄の色をした魔法陣が出現した。同時に凄まじいエネルギーがチャージされていき、

 

「な、何だ!?」

 

 

…ズギューーーーーン!!!

 

 

3つの魔法陣の中心から高出力のビームが放たれた。

 

クロエ

「箒さん避けて!」

「くっ!!」

 

 

ドガァァァァァァァァァン!!

 

 

ふたりはそれを間一髪避ける。着弾したそれは地面を大きく抉り、小さいクレーターができる。

 

クロエ

「な、なんて威力!」

「鈴のガーベラ、いやシャルのリヴェンジをも超えるかもしれんぞ!」

 

バババババババババババ!!

 

そして敵はそのまま光を生み出しているセラフィックソアーの羽をそのビームで手当たり次第破壊し始めた。

 

「まずい!あいつ羽を!全て破壊される前に倒さないと!」

クロエ

「ですがあれ程のビームに対抗できる武装は私達のISにはありません!接近戦で行くしか!」

「なら私が行く!クロエは援護してくれ!」

クロエ

「はい!」

 

そう言うと箒とクロエは敵に向かって突撃した。

 

ズドンズドンズドン!!

ビキキキキキキキキ!!

バリバリバリバリ!!

 

一方の敵もそれを見て火炎弾、氷弾、雷弾を同時に撃ってくる。

 

「あいつ一度にこれ程の攻撃を!だが先ほどと違い見えさえすれば!」

クロエ

「油断しないで!できるだけ避けてください!」

「わかっている!つらら等見えてしまえばどうという事はない!」

 

ふたりは手に持つ武器やブリンク・イグニッションを駆使しながら飛んでくるそれらを必死に避けながら敵に迫る。……そして、

 

「展開装甲最大!ギルガメス!トムガール!」ドゥン!!

 

攻撃を掻い潜った箒は自身の強化術全てを使って一気に迫る。

 

「……」ヴゥヴゥヴゥン!!

 

正面から迫りくる箒に敵は6本の腕で攻撃を仕掛ける。

 

クロエ

「させません!!」

 

ガキキキキキキン!!

 

その時クロエのアキュラが敵の隠し腕の動きを封じた。腕一本に付き一機、三機のアキュラが半分の腕を封じる事に成功する。

 

「!」

クロエ

「箒さん!今です!」

「おお!!」

 

箒は渾身の斬撃を繰り出す。敵は残った剣で食い止めるが、

 

ガキキキキキキキキキ!!

 

箒の力が逆にそれを押す。

 

「…!」

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

…バキィィィィィィン!!キィン!

 

 

遂に耐えられなくなった敵の剣を折り、ごく僅かだがそのまま押し進めた刀が敵の頭部の装甲の一部を破壊した。これには堪らず敵も怯む。

 

クロエ

「やった!」

「ハァ、ハァ!少しだが手応えはあった!次の一撃で!」

 

続け様に攻撃を繰り出すため、態勢を整えようとする箒。すると、

 

 

「……ちゃん」

 

 

「…!!」

 

再び後ろにあるそれから微かに聞こえた声。それを聞いた箒は激しく動揺して目を見開き、振り向いて声の出たそれを凝視する。そしてやがてそれはゆっくりと顔を上げた。

 

 

「……箒ちゃん…」

 

 

「……姉、さん…?」

クロエ

「!!!」

 

砕けた装甲から見えたのは束の顔…。箒は言葉を失い、クロエは激しく驚く。そんなふたりを前に力無い目をした束は言った。

 

 

「……箒ちゃん。……私を、……殺して」




サブタイトルを変えたかったため前編後編という感じで分けました。こちらは前編です。


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