IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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オーガスが起こした転移により、箒とクロエは一夏達とは別の階層に飛ばされてしまった。
皆の安全を祈るふたり。…するとそこにこれまで見たこともない形の、三面相の謎のISが現れる。相手の多種多様な攻撃や隠し腕による奇襲、更に視覚や索敵機能が封じられ、苦戦する箒。そんな中、クロエの作戦によって視覚を取り戻した箒達は敵の射程内に飛び込み、ようやく手応えありの一閃を入れる事に成功した。これでいける!と更に追撃を行おうとする箒だったが…その時彼女達が見たものは…。


Mission197 カイーナ② 激怒の箒と穿千

クロエの策と箒の必死の一撃で謎の機体装甲の一部が砕けた。するとその中から現れたのは、

 

束

「……箒ちゃん…」

箒

「……姉さん…?」

 

それは…オーガスに拉致されていた箒の姉であり、クロエの母親代わりともいえる人物、束だった。だが普段の彼女からは想像できない位その言葉にはまるで力が無く、普段の純粋な子供みたいな目からは光が失われていた。そんな目を箒に向けて彼女は言った。

 

束

「……箒ちゃん、……私を殺して…」

箒

「!!」

クロエ

「束様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

箒

「! クロエ待て!!」

 

その時、クロエが我を忘れて慌てて束に近づく。しかし、

 

 

…ガキィィィィィィン!!

 

 

クロエ

「きゃあああ!」

箒

「クロエ!!」

 

クロエのベアトリスを束がブレードで弾き返した。全く油断していたクロエは叩き飛ばされる。

 

束

「…ああ…クーちゃん…」

箒

「姉さん何をする!」

クロエ

「た、束様!一体どうなされたんですか!?…まさか、その機体に!」

 

箒もクロエも束がした事に驚きを隠せない。すると束が力無き声で話し始めた。

 

束

「……箒ちゃん、クーちゃん。……ゴメンね」

箒

「…え?」

束

「今まで自分を…抑えきれなかった…。箒ちゃんが傷をつけてくれたから…少しだけ時間ができたんだけど…向かってこられたら、反応しちゃうんだ…」

クロエ

「ど、どういう事ですか!?抑えきれなかったとは…やはり操られて!」

 

すると束はそれに首をゆっくりと横に振り、

 

束

「……ううん、ちょっと違う。……私の意識はあったの。でも…このIS「トリスマギ・アンジェロ」は…操縦者の意識に関係なく動く…。操縦者の意識に…コネクトして。例え望んでなくても…敵味方関係なく…。さっきのもそのせいだよ…」

箒

「!! そんな…!それじゃ…私達とわかっていながらもそのISによって強制的に戦わせられていたという事ですか!?」

束

「…うん。あの男が…オーガスが私をこのISに…」

クロエ

「……あの男、絶対に許せない!!」

箒

「どうすれば貴女を助けられるんですか!?」

 

箒は束にそう尋ねる。しかし彼女から返ってきたのは予想外の言葉だった。

 

束

「…ふたり共…、私の事は良いよ…」

クロエ

「…え?…もう、良い…って」

束

「もう、良いんだ…。私の事は…もう、助けてくれなくていい…。私なんて…死んじゃえば良いんだよ…」

 

束は確かにそう言った。「自分の事はいい」「死んでしまえばいい」と。

 

箒

「!!」

クロエ

「し、死んでしまえばいいって…ど、どうしてですか!なんでそんな事仰るんですか!!」

 

当然ふたり、特にクロエは激しく動揺する。すると束は話を続ける。

 

束

「……私ね。……ここに来て、思い知ったの」

クロエ

「思い知った…?」

束

「うん……。あんな事は…してはいけなかったんだ…、私、ここに来てやっと知ったんだよ。……私が今までしてきた事、その愚かさを…」

 

束はこの地に来て知った事を話し始めた。

自分が起こした白騎士事件のせいで、どれだけ多くの人々が恐怖し、悲鳴を上げ、泣き叫んでいた事。その声を聞いた事。自分がISを生み出したせいで多くの人の人生を狂わせてしまった事。あの旅客機爆破事件で死んだのが一夏と千冬の父親である事。自分が大切な人達の、大切な人達を奪ったきっかけを生んだ事。

 

箒

「……」

束

「私がした事のせいで……、私が…ISなんか、造ったせいで……世界はおかしくなってしまった…。全部…私が悪いんだよ…」

クロエ

「で、でも束様のせいだけではありません!束様を馬鹿にした者達が、束様をもっとちゃんと評価していれば…あんな事には!第一あの、一夏さんや海之兄さん達の御両親が亡くなったあの事件は束様にとって思いもよらなかった筈です!!」

束

「……ありがとクーちゃん。……うん、確かにそうかもしれないね。でも……だからといって私の罪は揺るがない。私があの時、何もしなければ…こんな事にはならなかった…。箒ちゃんやいーくん、ちーちゃんだって…こんな残酷な人生を生きる事は…無かった。いーくんちーちゃんのお父さんも、アルティスさんや雫さんも…死ぬ事は、無かった…」

クロエ

「た、束様…」

 

クロエは堪らなくなっていた。あの底なしに前向きで明るい、どんな時でも子供の様な表情を浮かべていた束が、こんな悲しみに満ちた表情でそんな事を言うなんて。

 

束

「今も聞こえるんだ。白騎士事件や…あの飛行機で死んだ人達の無念の声が…。このISが…ずっと歌みたいに、私に聞かせているの…」

 

どうやらトリスマギ・アンジェロというそれが束の耳元でずっと悲鳴を流しているらしい。それも彼女の心にダメージを与えていた。

 

束

「ごめんね…箒ちゃん…。私なんかがお姉ちゃんで…。私なんて…生まれてこない方が良かったね…」

箒

「……」

クロエ

「お願いですから…そんな事仰らないでください!!」

束

「……でもそれもここで終わり。……ふたりにお願いがある。……私がこいつを抑え込んでいる内に…私ごと、こいつを破壊して。私を…殺して」

クロエ

「!!!」

束

「お願い…。私を止めて…。そしてあの男を…オーガスを倒して」

クロエ

「そ、そんな事出来る訳ありません!!」

束

「駄目なんだよ…クーちゃん。こいつは動いている限り…ふたりを襲い続ける。私には…どうにもならない。止めるには破壊するしかない…」

クロエ

「嫌です!!」

 

グググ…!!

 

その時束が纏うISが俄かに動き始める。

 

束

「くっ!……もう時間が無い。早く…私を倒して!!」

クロエ

「そん、な…そんな…事…!!」

 

バイザーの下でクロエは泣いていた。束に剣を向ける等…彼女に出来る訳がなかった。彼女にとって束はこの世で初めて光を見せてくれた人であり、母親同然だった。束に出会って彼女は人として生きようと思う事が出来た。そんな誰よりも大事な人を殺す事なんて……。でもどうすればいいのか、クロエがそう考えていると、

 

箒

「………更」

クロエ

「…え?」

 

今まで黙っていた箒からふと声が聞こえた気がしたクロエは箒に集中する。

 

箒

「……今更、今更何を、何を言っているんですか!!」

 

クロエ

「!!」

 

クロエは驚いた。箒の表情が…今までに見せた事が無い位凄まじい怒りを含んでいたからだ。

 

箒

「ISなんて造らなければよかった!?自分のせいで多くの人が悲しんだ!?…ええ、ええその通りですよ!姉さんがISを造ったせいで、白騎士事件なんて起こしてせいで、私や両親の人生は大きく変わってしまった!政府の保護プログラムにおかれるし!逃げる様に隠れる様に度々引っ越ししなければいけなくなったし!遂には両親とも疎遠になるし!私達は全く関係ないのに時にはテロリストの家族とか、犯罪者の妹なんて言われた事もある!なのに時には「天才の姉を持っていいね」とか「お姉さんは世界を変えた」とか言われたり!いつもいつも姉さんと比べられてた様な気がして!本当に息苦しかったですよ!何度も何度も思いましたよ!なんであんな事したんだって!なんであんな人が私の姉さんなんだって!」

クロエ

「ほ、箒さん…」

箒

「あれから何年も経って、散々自分の好き勝手してきて、世界をこんなにややこしくした癖に!今になって自分のやった事は間違っていた!?もう生きていたくない!?どれだけ勝手なんですか貴女は!!」

 

箒の顔は今までに見たことが無い位怒りの表情を浮かべている。クロエは圧倒され、束はそれを甘んじて受ける。

 

束

「…うん、そうだね。私は…勝手だよね」

箒

「ええ自分勝手で好き勝手です!この世の誰よりもね!」

束

「…私のせいだよね」

箒

「ええ貴女がした事は大きいです!」

束

「……箒ちゃん。凄く怒ってるね」

箒

「ええ怒ってます!嘗てない程怒ってますとも!!そんな…情けない事を言う姉さんに!!」

束

「……?」

 

束は一瞬疑問に思った。自分の罪に関してではなく、情けない事を言った事に怒ったとはどういう事か。

 

箒

「私はそんな自分勝手で好き勝手な姉さんが許せないと同時に…羨ましかったんですよ!!」

束

「……え?」

箒

「いつもいつも自分の生きたい様に生きて!自分の言いたい事を包み隠さずぶっちゃけて!やりたい事だけやって!気に入らない事は絶対に受け入れないし!他人にどう思われているかなんて全く関係ない、自分を遠慮なく表に出していける姉さんが私は羨ましかった!これも何度も思いましたよ!私も姉さんみたいに自由になれたらいいのになって!!」

束

「……」

箒

「でも今の貴女は違う!オーガスにあの時の人々の心を、悲鳴を聞かされた!?じゃあ聞きますけどなんであの男があの時の人達の悲鳴を持っているんですか!?映像を持っているんですか!?あの時録画や録音でもしていたんですか!?私が知っている貴女ならまず第一にそれが本物か偽物かを考えた筈です!!貴女はそんな不確かなものを鵜呑みにしてしまう様な、そんな情けない人だったんですか!?」

束

「それは…」

箒

「私が知っている貴女は決してあんな男にいい様に利用される様な人じゃない!篠ノ之束は、私の姉は、そんな弱い人だった覚えはありませんよ!!」

束

「…箒ちゃん…」

クロエ

「箒さん…」

 

束もクロエも箒の言葉に圧倒されている様子だった。

 

……カッ!!

 

すると箒の紅椿に黄金色の光が灯る。絢爛舞踏の光が。

 

箒

「そしてはっきり言っておきます!貴女が何と言おうと、私は、私達は貴女を助ける!貴女の気持ちとかどうでもいい!絶対に死なせはしない!私が貴女に勝てば私に従ってもらいます!そして生きて罪を償ってください!嫌とは言わせませんからね!!」

 

箒はそう言うと再び剣を構える。

 

束

「箒、ちゃん……」

 

 

ギュンッ!!

 

 

束

「!!グ…グウゥゥゥゥゥゥ!!」

 

その時、束が頭を抱えだした。

 

箒

「!!」

クロエ

「た、束様!?」

束

「駄目だ…もう限界…!こいつが…私を支配しようとしてる!」

クロエ

「そんな!!」

束

「ふたり共、お願い、私を!…グ、アアアア……!!」

 

 

バシュウウウウウ!

 

 

箒

「くっ!!」

クロエ

「きゃあ!!」

 

目の前の束は絶叫を上げ、衝撃波が拡散した。

 

 

T・アンジェロ

「……グオォォォォォォォォ!!」

 

 

そして今度ら獣の如き雄叫びを上げた。それは最早束の物では無かった。

 

クロエ

「束様!!」

箒

「あの様子…まるであの時の一夏だ!」

 

ドゥン!!ガキキン!!

 

残った腕で襲いかかるT・アンジェロ。箒とクロエは協力して受け止めるが、

 

T・アンジェロ

「ガアアア!」

クロエ

「束様!目を覚まして下さい!!」

箒

「く…姉さん!!」

 

ギュオォォォォ……

 

箒

「!! まずい!クロエ離れろ!!」

 

ズギュ――――ン!!

 

再び先ほどのビームスが放たれた。ふたりは直前で離脱していたので直撃は免れた。

 

T・アンジェロ

「グオォォォォォォ!!」

 

ズドドドドドドドドド!!

 

敵は容赦なくビームを打ち続ける。その姿は破壊者そのものだった。

 

箒

「この勢いじゃ近づけない!」

クロエ

「でもこのまま束様を放っておく訳には!」

箒

「わかっている!…しかしどうすれば…!」

 

するとクロエに案が浮かぶ。

 

クロエ

「…あれもISには違いない。SEをゼロにできれば…」

箒

「! 確か以前ゴスペルに零落白夜を仕掛けた時、それでナターシャさんを助けた。つまりあの時のゴスペルの時の様に強制解除できるという事か!?」

クロエ

「はい。思うにあの兵器はSE消費量が大きい筈。このまま出し続ければ…!」

 

その時、T・アンジェロが再び撃っているそれをふたりに向けてきた。

 

クロエ

「!」

箒

「クロエ!!」

 

ババババババババババババ!!

 

箒は展開装甲をシールドにし、ギルガメスの装甲強化によってクロエの盾となって攻撃を防ぐが、

 

ドォォォォン!!

 

箒

「ぐああ!!」

クロエ

「箒さん!」

 

完全には防ぎ切れずに吹っ飛ぶ箒。

 

箒

「だ、大丈夫だ…。多少なりとも威力は防げた…。だがこのままではSE切れを待つ前にやられる!」

 

ギュオォォォォ……

 

すると再びビームをふたりに向け、エネルギーをチャージするT・アンジェロ。確実に仕留めようとしている様だ。

 

T・アンジェロ

「オォォォォォォ……!!」

クロエ

「束様!」

箒

(…くっ!私には海之の様な剣も、一夏や千冬さんの様に零落白夜も使えない!どうする!?)

 

すると、

 

 

……カッ!!

 

 

箒・クロエ

「「!!」」

T・アンジェロ

「…!?」

 

突然、箒の紅椿が名前の如く深紅の光を放ち始めた。そのひかりにふたりだけでなくT・アンジェロもひるむ。

 

クロエ

「箒さん!」

箒

「こ、これは!?」

 

驚く箒。そして紅椿のインターフェースに文字が浮かぶ。

 

 

~~展開装甲 経験値蓄積により、次の段階へと移行~~

 

 

ガシンッ!ガシンッ!ガシンッ!

 

 

その文字と共に紅椿の両肩にある展開装甲がみるみる内に変形・合体し、巨大な弓の様な、クロスボウの様な武器へと変化した。

 

箒

「こ、この武器は…!?」

 

続いてインターフェースにその武器の名らしき文字が浮かぶ。武器の名前は…「穿千(うがち)」と言った。

 

箒

「穿千(うがち)…?」

 

 

ギュオォォォォォォォ……!!

 

 

すると穿千(うがち)の発射口に強力なSEがチャージされる。そしてそのエネルギーの出力の高さに箒は驚き、思った。

 

箒

(! このパワーなら……行ける!!)

T・アンジェロ

「…オォォォォォォ!!」

 

ズギュ―――――ン!!

 

再び撃ってきたがふたりはそれを避ける。

 

箒

「くっ!クロエ!すまないが手を貸してくれ!」

 

すると箒はクロエにある事を伝える。

 

クロエ

「……わ、わかりました。ですがもし失敗したら箒さんが!」

箒

「大丈夫だ!私を信じろ!」

 

すると箒はあえて前に出る。

 

T・アンジェロ

「オォォォォォォ…」

箒

「次で決めようじゃないか!」

 

ギュオォォォォォォォォォォ!!

 

T・アンジェロのビームと箒の穿千、互いのエネルギーが集まり、収縮されていく。そして、

 

T・アンジェロ

「グオォォォォォ!!」

 

ズギュ―――――ン!!

 

箒

「いっけぇぇぇぇ!!」

 

ズゴォォォォォォォ!!

 

 

ババババババババババババババ!!

 

 

互いの放たれたエネルギーがぶつかり合い、圧され合う。威力は完全に互角だった。

 

クロエ

「互角!!」

箒

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

ババババババババババババババ!!

 

互いに全く引けを取らない撃ち合いが暫し続き…、

 

 

……カッ!!!

 

 

やがてその場が激しい光に包まれた…。

 

 

…………

 

???

 

 

束

「……ここは」

 

白い霧が立ち込める世界。そんな世界に束はいた。力なく膝を抱えて座っている。それは以前、火影や海之や一夏、簪が経験した世界と同じだった。

 

束

「もしかして……コアの中の…?でも…私じゃない。もしかして…紅椿の。さっきのぶつかりで…繋がったの?」

 

とその時、

 

箒

「姉さん!!」

 

霧の向こうから箒が走ってきた。

 

束

「箒ちゃん…」

箒

「……」

 

箒は若干怒っている顔をしている。束は顔を合わせられないのかうつ向く。すると、

 

ガシッ

 

自分の肩を掴んだ感触があった。ビクつく束。

 

箒

「……姉さん、顔を上げてください」

 

静かに名前を呼ばれてゆっくり顔を上げる束。箒の顔は…優しく微笑んでいた。

 

束

「箒…ちゃん…」

箒

「…さぁ、帰りましょう。皆待ってますよ。クロエも一夏も千冬さんも、火影も海之も、皆」

 

箒の優しい声に細い涙を流す束。

 

束

「……私は、……生きていいのかな…?」

箒

「当たり前です。ちゃんと生きて償って、そしてISを正しく完成させて下さい。姉さんを信じた人達のためにも。それが姉さんのやる事です」

束

「……箒ちゃん…」

 

 

…………

 

箒

「姉さん!姉さんしっかりしてください!」

束

「……箒……ちゃん?」

 

場所は戻って「カイーナ」の空間。箒の腕の中で束はゆっくり目を開けた。アンジェロを解除した束は何も纏っていなかったので箒の上着を被せられている。

 

束

「……どうなったの?私…」

箒

「あのISが発射したビームに私の穿千(うがち)のビームをぶつけたんです。互いに相殺しながら撃ち続け、そしてあのISがSE切れを起こした」

 

箒は更に確実にぶつけるためにクロエに最適な位置や発射タイミングを教えて貰っていた。

 

束

「そうだったんだ…」

箒

「大丈夫ですか?」

束

「…うん。まだ…少し力入らないけど」

箒

「無理しないでください。今まで酷い目にあってきたのですから…」

束

「……箒ちゃん…強くなったね」

箒

「…いえ、私だけでは何もできませんでした。クロエや、姉さんがくれた紅椿のおかげです」

束

「ううん、そんな事ない。…凄いよ。魔具も使わずに…勝てたなんて」

箒

「当然です。姉さんが生み出したISですから」

 

箒は自慢げに笑っていた。

 

束

「……大きくなったね…。特に…母性の象徴が♪」

箒

「! こ、こんな時までふざけないで下さい!」

束

「あはは…。それが私なんでしょ?」

箒

「…もう!!」

 

文句を言う箒だが心は嬉しさで溢れていた。

 

クロエ

「束様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」ガシッ!!

 

クロエは今だ力が戻らない束に思い切りしがみ付いた。

 

束

「いた…ちょ、痛いよクーちゃん」

クロエ

「束様ぁぁぁぁ!よかった!本当によかったぁぁぁ!!」

 

大泣きしながら泣き叫ぶクロエ。この様な彼女は箒も今まで見た事が無い位。

 

束

「クーちゃん…。心配かけて…本当に、ごめんね…。あと怖い思いさせちゃって」

クロエ

「グス…いいんです…いいんです!束様がご無事ならそれで…それだけで!」

束

「……ありがとうクーちゃん。…クーちゃんの様な娘がいて、私は幸せ者だね」

 

まるで本当に母と子の様にも見えた。

 

箒

「……姉さん」

束

「……わかってるよ箒ちゃん。……もう私は、二度と死ぬなんて思わない。私は…私が出来る事をして償う。そうだよね?」

箒

「…ならいいです」

束

「………皆は?」

 

箒は首を横に振る。

 

箒

「わかりません…。この塔に侵入した時に皆で転移に巻き込まれて…多分オーガスの仕業でしょう」

クロエ

「……あの男、絶対に許せません!束様を拉致して無理やり協力させただけじゃなく、こんな卑劣な事をするなんて…!!」

 

すると束が話し出す。

 

束

「……箒ちゃん、クーちゃん。その事なんだけど…ひとつ気になる事があるんだ」

箒

「気になる事?」

束

「うん…。私をこんな目に合わせた奴なんだけど……オーガスの仕業だけじゃない気がする…」

箒・クロエ

「「!?」」

 

その言葉に箒とクロエが驚く。

 

束

「あんまりはっきり覚えてないんだけど…私の記憶が途切れる直前、…オーガスの声じゃない、別の声が聞こえたんだよね…」

箒

「別の声って…スコール達ではないんですか?」

束

「…ううん、男の声だった…。そいつが私にあの映像や、声を聞かせたんだ」

クロエ

「オーガス以外の別の男…?」

 

その場の三人に一瞬沈黙が包む。……その時、

 

 

箒・クロエ・束

「「「!!??」」」




※次回は31日(土)の予定です。
すいません、こちらの仕事が忙しくてまた二週間飛びます…。毎日コツコツと編集していますが今の状態が落ち着くまで暫しこの状態が続きそうです。お待たせして本当にすいません。次回はアンティノラ戦です。
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