IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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ダリルとフォルテが起動させたDNSによってふたりは双頭の獣の様な悪魔のDISへと融合してしまった。簪と刀奈はそれが持つスピードと勢いに、そして初めて戦うDISの力に苦戦する。それでも姉妹らしい連係、そして簪の奇策も加わって必死に抵抗し続け、辛くも勝利を勝ち取る。
戦いの後、簪と刀奈はダリルとフォルテに何故この様な事に協力したのか問い質すと、彼女らも自分達を救ってくれた大切な人の力になるためだったと知る。ふたりの心と事情を知った簪と刀奈は自首を薦め、新しい人生を生きてほしいと訴えたのだった。


Mission200 トロメア① 魔を呼ぶ引鉄

「トロメア」

 

 

「カイーナ」「アンティノラ」にて箒や簪達の戦いが始まった時、この「トロメア」でも…、

 

 

オータム

「謝るなら今の内だぜ!つっても許してやるつもりはねぇがな!」ズドドドドドド!!

 

 

そう言いながらオータムは自らの機関砲を撃つ。鈴達は散開してそれを避ける。

 

(くっ…!こっちは四人、あっちはひとり!落ち着いていけば必ず勝てる筈!)ズドドドッ!

ラウラ

(喰らえ!)ズドズドンッ!

 

そう言って鈴は龍哮、ラウラは両肩のキャノンを撃つ。

 

オータム

(…ふん)…サッ!!

 

しかし、オータムはそれを無駄のない動きで避ける。…というより最初から殆ど動いていない。つまり外れたのだ。

 

(! 嘘!?)

ラウラ

(外れただと!?)

セシリア

(ラウラさん達の攻撃が当たらなかった!?でも!)ドドドンッ!!

シャル

(四人で囲って攻撃すれば!)ズドズドン!!

 

セシリアとシャルは続けざま、スターライトとエピデミックを撃つ。

 

オータム

(……)

 

シュンッ!シュンッ!シュンッ!

 

……しかしこれもどちらも避けられる。

 

セシリア

(! これも避けた!?)

シャル

(当てるつもりだったのに!)

オータム

(…さてそろそろか)ドンッ!ドンッ!

 

驚くふたりにオータムが自らのレーザーを撃ってくる。

 

シャル

(くる!でも!)

セシリア

(そんな直線の攻撃!)

 

飛んでくるレーザーを避けるために動こうとするセシリアとシャル。、

 

 

…グラッ

 

 

シャル・セシリア

((…え?))

 

ドガァァァンッ!!

 

シャル

(うわあぁぁ!)

セシリア

(きゃあああ!)

 

しかし避け切れず、攻撃を受けてしまう。

 

(シャル!セシリア!)

ラウラ

(おのれ!)ズドンッ!ズドンッ!

 

ラウラは続けて撃つ。……しかしまたしても当たらない。

 

(どうなってんの!?また当たらないなんて!)

ラウラ

(ならば直接行くまで!)

 

鈴は双天牙月を、ラウラは両腕にビーム手刀を繰り出して斬りかかる。対してオータムはアラクネの脚から二本ブレードを出す。

 

ラウラ

(二本だけだと?なめた真似を!)

(そんだけで私達の攻撃を受け止められると思ってんの!)

 

鈴はそう言って斬りかかるが……、

 

キィィィンッ!ガキンッ!

シュンッ!シュンッ!

 

オータム

(……)

 

鈴とラウラの攻撃は全て受け止められていた。時にはかわされたりもしている。

 

ラウラ

(ど、どういう事だ…!?何かおかしい!)

(どうなってんの一体!?)

 

その様子をおかしく思うふたり。そしてこの時、彼女らにある異変が生じていた。

 

(ハァ…ハァ…。なんか…いつもより息切れが早い…!)

ラウラ

(くっ…私がこの程度で疲れるなど!)

 

撃ち合いは続いているがその中で鈴とラウラに急激な疲労感が出始めた。

 

オータム

(…オセェんだよ!!)

 

ズガンッ!ズガンッ!

 

(きゃああ!)

ラウラ

(ぐあ!)

 

ふたりの隙を突いてオータムのブレードが当たった。更に追撃しようとするオータム。

 

シャル・セシリア

((させない!))

 

シャルとラウラがグラトニーとローハイドで斬りかかる。オータムはそれを避ける。その隙にシャルとセシリアが倒れたふたりに駆け寄り、言葉をかける。

 

シャル

(鈴!ラウラ!大丈夫!?)

 

シャルはふたりに話しかけた。…しかしその時ふたりがある異変に気付く。

 

(……?シャル、なんでちゃんと喋らないの?)

ラウラ

(何故声を出さない?)

 

ふたりは不思議に思った。目の前のシャルは必死にふたりを心配して声をかけているが……その声が全く聞こえなかったのだ。口の形から何か言っているのはわかるが…。すると横からセシリアが、

 

セシリア

(鈴さん!ラウラさん!)

 

ふたりの名を呼びながら自分の耳を指差す。そしてこれがきっかけで鈴とラウラは自分達の異変に気付いた。

 

(……!! 嘘!)

ラウラ

(……!耳が……聞こえない!?)

 

戦いを始めたばかりの時は興奮して気付いていなかったが自分達が発した言葉、そして戦いの中での爆音や剣がぶつかる音が一切聞こえていなかったという事に。しかも、

 

(くっ、それもだけどさっきから妙にふらふらするし…!)

ラウラ

(まるで目を回しているみたいだ…!)

 

目を回すような事など一切していない筈なのに…何故か身体が重く感じる。ここにいる全員がそれを感じていた。

 

ドドドドドドドドドッ!

 

鈴・シャル・ラウラ・セシリア

「「「!!」」」

 

すると固まっている鈴達四人にオータムの銃撃が迫る。避けようとするが、

 

…グラッ!

 

セシリア

(! 駄目、身体がふらついて!)

シャル

(くっ!アンバーカーテン!!)

 

ババババババババババ!!

 

鈴だけでは無くシャルやラウラ、セシリアも一緒だった。間に合わないと悟ったシャルはすかさず自身のカーテンを最大にしてなんとか防ぐ。

 

シャル

(ハァ…ハァ…)

(シャル!)

ラウラ

(くそ!一体どうなっている!?耳だけでなく身体のバランスまで狂わされている様だ!)

セシリア

(船にも乗ってないのに船酔いにでもあっている様ですわ……!ま、まさか!?)

 

なにか分かったらしいセシリアはモニターを通して字で伝える。時間はかかるが聴覚が効かない現状では視覚が唯一の連絡手段である。

 

鈴・シャル・ラウラ

「「「!!」」」

 

そしてそれを見た鈴達に驚きの顔が浮かぶ。

 

(嘘…でももしそうだとしたら…!)

シャル

(今の変な感じも説明ができる…!)

ラウラ

(まさかそんな事が…!)

 

そしてそんな彼女らを見ていたオータムも、

 

オータム

(どうやら奴らも気付いた様だな。この「トロメア」の秘密…「耳を破壊される」仕掛けの事に…)

 

 

人間が持つ数多くの感覚の基本となっているのが嘗ての哲学者アリストテレスが提唱した視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚の五つ、つまり五感である。この中で唯一人間が音による感覚を得る方法が聴覚であり、その役割を担っているのが耳である事は周知の事実である。

 

耳にはふたつの重要な役割がある。ひとつは文字通り音を拾う事。

音を集めやすい外耳、空気の振動として伝える鼓膜を持つ中耳、どういう音かを分析し、脳に伝える蝸牛を持つ内耳の三つによって成り立っている。

 

そしてもうひとつは身体の平衡感覚の維持というものがある。

これを担っているのが中耳の中にある三つの半規管であり、身体の動きに合わせて中にあるリンパ液が適度に流動運動をおこし、身体の平衡感覚、バランスを担っている。これが狂わされると極度の眩暈や吐き気に襲われたりする事がある。

鈴達が受けているのはまさにそれであり、今まで攻撃が当たらなかったのは知らぬ内に平衡感覚が狂っていたせいで正しく狙いをつけられていなかったからだった。

 

 

オータム

(視覚を奪われる「カイーナ」、触覚を奪われる「アンティノラ」。ここでの戦いで生き残った奴らが運び込まれるのがこの聴覚を奪われる「トロメア」。人間には聞こえねぇ特殊な波を流しているらしいが…あのガキ達は初見だからさぞかし辛ぇだろうよ。もう既に腐るほど味わってる私らにはこんなの意味ねぇがな!)ズドドドドドドド!!

 

オータムは固まっている鈴達に向けて自身の銃を連射する。鈴達は避けるが直ぐに反撃に移れない。

 

オータム

(てめぇらには何にも聞こえねぇが私にははっきり聞こえているぜ。この部屋で、この腐った計画で死んじまった奴らの亡霊の雄叫び…。そして私を馬鹿にした奴らの声が!)

 

過去に何かあったのか、憎しみのままオータムは避け続ける彼女らに攻撃を浴びせ続ける。

 

オータム

(は!こりゃDNSはおろか、あの野郎から受け取った奴も使う必要なんてねぇな!)

 

そして鈴達は、

 

(くっ!このままじゃ撃たれるまま……うっ!)

 

目眩に襲われまま高速で動きまわるのはとてつもない負担が身体にかかる。吐き気を催し思わず口を押さえる。

 

オータム

(とった!)ドゥン!!

(!)

 

空かさず鈴の一瞬の隙をついて斬りかかるオータム。

 

ガキキキン!

 

セシリア

(させませんわ!)

シャル

(鈴はやらせない!)

 

セシリアのローハイドの鞭、そしてシャルのアーギュメントが持つアンカーユニット、グレイプニルがアラクネの脚を絡めとる。

 

(ふたり共!…はあああ!)

 

鈴は身動きとれない形となったオータム目掛け、斬りかかろうとした。…しかし、

 

オータム

(…甘ぇんだよ!!)

 

 

ドスッ!ドスッ!ドスッ!

 

 

突然アラクネの脚先から針の様なものが飛び出し、それが三人のISのシールドに突き刺さった。ダメージは無い。

 

(こんな針位で……!?)

セシリア

(あ、ISが…動かない!?)

シャル

(な、なんで!?)

 

しかし針が刺さった途端、自分達のIS達の動きが封じられていた。

 

オータム

(ククク…蜘蛛の毒って奴だ。今の針にはISの動きを封じる機能があんのさ。長くはもたねぇし全員は無理だがひとりぶっ倒すには十分だな!)

 

ブゥンッ!ブゥンッ!

 

シャル・セシリア

((きゃああ!!))

(ふたり共!)

 

自らを拘束していたシャルとセシリアを払い、オータムは動けない鈴に再度突進する。

 

オータム

(あばよ!!)

 

とその時、

 

 

…ドォォォォォン!!

 

 

オータムの後ろから何かが直撃した。不意打ちだったので怯むオータム。

 

オータム

(ぐっ!!…なにぃぃぃ!?…!!)

ラウラ

(…ハァ…ハァ…)

 

見るとラウラがオータムに向けて照準を合わせていた。

 

オータム

(てめぇぇぇ!)ジャキッ!ズドドドドッ!

 

オータムは鈴からラウラに狙いを変える。……しかしラウラが今度はそれを見事に避け、パンチラインを構えて向かってくる。

 

オータム

(当たらねぇ!?)

ラウラ

(はぁぁぁぁ!!)

オータム

(くっ!)

 

ドゴォォォォッ!

 

止む無くオータムはブレードで受け止める。

 

オータム

(くっ…なんでだ!この状況でどうして急にそんな……!)

 

オータムは気付いた。見るとラウラの眼帯が取れ、その下の目が金色に光っている。

 

ラウラ

(まさか再びこれを使う事になるとはな…)

 

それはラウラのヴォーダン・オージェの光だった。ヴォーダン・オージェは使用すると視覚による情報収集能力、そして脳への伝達速度を大幅に向上させる疑似センサーにして有機生体部品である。身体への負担も大きいがこれによって通常以上の動体視力を手に入れられる。過去の事もあり、ラウラやクロエはこれを嫌っていたのだが…、

 

ラウラ

(だが仲間を、皆を救うためなら…こんなもののひとつやふたつどうという事はない!!)

 

その強い決意のもと、ラウラはこれを使ったのだった。

 

ガキンッ!キィィンッ!

 

オータムは全ての脚からブレードを出し、ラウラを責める。一方のラウラは両腕にビーム手刀を展開し、ヴォーダン・オージェの力で攻撃を避けながらこちらも攻撃を繰り出す。

 

オータム

(ちぃ!雑魚のくせに!)ドォォォンッ!(ぐっ!)

(油断したわね!)

 

後方から毒針の拘束から解かれた鈴の龍哮が飛んできた。続けて、

 

ガキンッ!ガキンッ!

 

シャル

(僕達を忘れてたでしょ!)

セシリア

(私達はまだまだ倒れる訳にはいきませんわ!)

 

同じくシャルとセシリアが再びグラトニーとローハイドで斬りかかる。ラウラ、シャル、そしてセシリアに押される形となるオータム。

 

ガキンッ!キィィィンッ!ガンッ!ガキキキンッ!

 

オータム

(…ちっくしょぉぉ…うぜぇんだよお前らぁぁ!!)

 

 

カッ!!!

 

 

オータムの怒りがDNSを起動させた。彼女の身体が黒き炎に包まれた。その勢いに已む無く離れるラウラ達。

 

オータム

(ああああああ!!)

(!!)

シャル

(あの時の一夏と同じ!まさかDNSってやつ!?)

セシリア

(ラウラさん大丈夫ですか!?)

ラウラ

(……ハァ。き、気を付けろ!来るぞ!)

 

 

……シュバァァァァ!!

 

 

やがて黒き炎が飛び散り、中にいるオータムの姿が露わになった。それは以前火影と海之が戦ったDISベオウルフだった。

 

オータム

(テメェラ…ぶっ潰す!!)

ラウラ

(あの姿は!)

シャル

(確か…火影がテメンニグルで戦った悪魔だ!)

 

ドゥンッ!!

 

激昂したオータムは怒りのまま鈴達に向かう。

 

セシリア

(! 皆さん散開を!!)

 

鈴達は散開して攻撃をよける。

 

ラウラ

(くっ!…ゴホ!)

 

だがその時ヴォーダン・オージェの影響か、ふらついて止まったラウラ目掛けてオータムが剛腕を振りかざし向かってくる。

 

オータム

(おらぁぁぁ!!)

ラウラ

(!!)

 

ガキキキキキキンッ!!

 

そこに鈴・シャル・セシリアが割って入る。

 

鈴・シャル・セシリア

(((はぁぁぁぁぁ!!)))

 

ガンッ!!

 

オータム

(くっ!何!?馬鹿な!)

 

押し返された事に動揺するオータム。その間に四人は文字による連絡を続ける。

 

ラウラ

(すまん皆、助かった!私が直接相手をする!皆は離れて援護してくれ!)

 

皆を気遣ってラウラは自分が前に出て戦おうとする。しかし、

 

セシリア

(無茶です!ラウラさんも消耗しているではありませんか!)

(その頼みは聞けないわ!それにDISといってもアレならなんとかなる!)

シャル

(僕達も戦えるから!その目を使うのは止めてラウラ!)

ラウラ

(皆…)

オータム

(てめぇぇらぁぁぁ!!)

 

ズギューン!!ズギューン!!

 

オータムは続けて目からのレーザーを撃つ。……しかしそれを鈴達は先ほどよりも無駄のない動きで避ける。

 

オータム

(ちっ!奴らの動きがさっきよりキレがありやがる!この短い時間で順応してきたってのか!)

セシリア

(行きなさいティアーズ!!)ドドドドドンッ!

 

セシリアのビットによる編曲レーザーがオータムに向かう。それをオータムは避けながら、

 

オータム

(しゃらくせぇ!)ズギューンッ!

 

ガガガガガンッ!!

 

それをオータムは自らのレーザーで撃ち落とす。…しかし、

 

シャル

(残念!囮だよ!)ズドォォンッ!!

 

ドガァァァンッ!!

 

後方からシャルのリヴェンジ改のレーザーが直撃する。

 

オータム

(ぐああ!!)

ラウラ

(今だ!!)

 

 

カッ!バシュゥゥゥゥゥッ!!

 

 

オータム

(!か、身体が!まさかこれは!)

 

それはラウラのレーゲンにあるAICだった。

 

ラウラ

(今だ皆!!)

(いっけぇガーベラ!!)ズドドドド!!

セシリア

(もう一度行ってティアーズ!!)ズドドドド!!

シャル

(これで…決める!!)ズドォォォォ!!

 

ラウラの合図で三方からの砲撃がオータムに向かい、

 

 

…ドガァァァァァァァァン!!

 

 

オータム

(うわぁぁぁぁぁ!!)

 

身動きが取れないオータムに、正確にはそのDISに直撃した。

 

オータム

(ぐ、ぐぐぐ…!)

シャル

(やった!かなりのダメージみたいだよ!)

セシリア

(一気に決めましょう!)

オータム

(…おぉぉぉぉぉぉ!!)ガシッ!

 

するとオータムは両手を組み合わせ、

 

オータム

(ぶっ潰れろぉぉぉぉ!!)

 

 

ドゴォッ!!…カッ!!

 

 

鈴・シャル・ラウラ・セシリア

(((!!)))

 

 

ドガァァァァァァァンッ!!!

 

 

オータムは組んだ拳を思い切り地面にたたきつけた。衝撃波、ヴォルケイノが巻き起こり、凄まじい衝撃の波が走る。地面だけでなく四人がいる空中にも伝った。

 

……パラパラ……

 

オータム

(ハァ…ハァ…。やっと消えたか…なめやがって)

 

シュンッ!シュンッ!

 

(残念!)

セシリア

(そうはいきません事よ!)

オータム

(!!)

 

オータムの後ろにはアービターを構えた鈴とローハイドを構えたセシリアがいた。

 

鈴・セシリア

((これで終わりよ(ですわ)!!))

 

 

ズガァァァンッ!ズガァァァンッ!

 

 

オータム

(ガアアアアアア!!)

 

ふたりは後ろから思い切り斬りかかった。そのダメージにオータムは絶叫を上げ、そして、

 

…キュイィィィィン

 

今の攻撃でダメージが限界に差し掛かったのか、オータムが纏うDISベオウルフの姿は消え、人間体に戻った。

 

オータム

「ば…かな!あの時…テメェラ確かに!」

シャル

「あ、声が聞こえた」

「どうやら今ので勝負がついた様ね」

 

するとこちらも「アンティノラ」の時と同じく今の攻撃で勝負がついたのか、耳の違和感が消え、声が聞こえる様になった。

 

ラウラ

「私が衝撃波が到達するのに一番遠い場所を見つけたのだ。そしてそこに避難した」

シャル

「そして僕がカーテンで阻止したんだ」

オータム

「……ちっくしょぉぉ…、何故だ、何故こっちの動きが…ここまで!」

「アンタのDISについてはあらかじめ火影達から聞いてたのよ。戦い方とかね。だから決して絶望する感じはなかったわ。知らない奴が出てきたらまずかったけど」

オータム

「あの兄弟か…!だがあの計画を生き残った私が…なんでてめぇらみたいなガキに…!」

 

多勢に無勢とはいえオータムは自らの敗北に怒りを覚え、悔しそうに顔を歪める。そんな彼女に四人は言う。

 

セシリア

「…分からないのですか?」

オータム

「…何!?」

シャル

「僕達には…負けられない理由があるの。どうしても負けられない理由が」

ラウラ

「ああ。最初は戸惑いこそしたが、そのためならお前達が仕掛けた罠など…どうという事は無い」

「アンタは確かに強いかもしれないわよ。でも私達はもっと強いやつを知ってる。そして私達はそいつらに付いていくために必死にやっているつもり。多分一生及ばないだろうけど…あいつの力になりたいという想いがが私達を強くしてくれる」

シャル

「うん。それに…僕達はひとりじゃないもの。あの時ラウラがあの力を使ってくれなければ危なかったし」

セシリア

「そう。貴女の敗因はただそれだけですわ」

オータム

「…くっ!」

 

オータムは顔を背ける。

 

「さて…勝負は私達の勝ちってことでいいのよね?下に行く方法を教えて貰うわよ」

 

鈴、そしてシャル達も尋ねる。……しかしオータムは、

 

オータム

「まだ……まだ、負けちゃいねぇ!」

 

ふらつきながらも立ち上がる。

 

シャル

「まだ戦うつもり!?」

ラウラ

「よせ。そんな状態で」

オータム

「見下してんじゃねぇ!!…負けられねぇ理由ならこっちにもあんだよ!私はまだ戦えるぞ!」

 

そう言うオータムの片手には…あるものが握りしめられていた。

 

セシリア

「あれは……スイッチ?」

オータム

(…オーガスの野郎め…)

 

セシリア達がそれを不思議がる中、オータムの脳裏にはこれを渡された時のオーガスの言葉が浮かんでいた…。

 

 

オーガス

(これを使えば今まで得た事もない様な力を手に入れられるだろう。…しかしよく覚えておくことだな?力にはそれ相応の代償を伴う。果たして貴様ごときがそれに耐えられるかどうか…。楽しみにさせてもらうぞ?…クククク)

 

オータム

(……舐めやがってあのクソジジイ。…だが今は乗ってやろうじゃねぇか。…私は負けられねぇんだ。世界のクソ共に復讐するまでな!!)

 

そしてオータムはそれを持つ手を高く上げ、宣言した。

 

 

オータム

「力を寄越しやがれ!……デビルトリガー!!」

 

 

鈴・シャル・ラウラ・セシリア

「「「!!」」」

 

ガチッ!

 

オータムは強くスイッチを押し込んだ…。

 

 

 

カッ!!ゴォォォォォォォォォォッ!!

 

 

オータム

「あ、ああああああああああ!!」

鈴・シャル・ラウラ・セシリア

「「「!!」」」

 

そして次に気が付いた時、オータムは黒き炎に包まれた。頭を抱えながら再び絶叫を上げる。

 

「な、何なの!?またDNSって奴!?」

ラウラ

「くっ!なんて熱量だ近づけない!」

シャル

「でももうそれを使うだけの力なんて残ってない筈じゃ…!」

セシリア

「な、何が起こってるんですの!?」

オータム

「ぐああああああああああああ……!!」

 

 

…ドクンッ!…ドクンッ!…ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!…

 

 

すぐ耳元で聞こえている様に高い心臓の脈動、それをオータムは感じていた。こんな事は今までのDNSには無かった。更に、

 

(………力を求めんとする愚かな人間がまた現れたか…)

 

オータム

(!! な、何だ!?何だこの声は!?)

 

オータムの耳に突然声が響いた。それは耳元でささやかれたか、若しくは自分の中から聞こえている様にも感じた。謎の声は言葉を続ける。

 

(だが…その程度の力で我が力を享受しようというのか…。あのお方もお戯れをなされるものよ……)

 

オータム

(何を、何を言ってやがんだ一体!?)

 

(……まぁ良い、貴様の身体、使わせてもらうぞ。有難く思うがいい…フハハハハハハハ!!)

 

オータム

「がああああああああああああ!!」

 

そして、

 

 

……シュバァァァァァァァァァ!!

 

 

鈴・ラウラ

「「くっ!」」

シャル

「うわ!」

セシリア

「きゃああ!」

 

断末魔ともいえるその声と同時に漆黒の炎、…いや光が周辺に飛び散った。先ほどのDISベオウルフに変身した時以上のその勢いに鈴達は思わず目を閉じる。……そして約数秒後、漸くその光がマシになってくると、

 

「……い、一体何が……!!」

 

鈴達は目に映ったものを見て言葉を失った。

 

「……」

 

オータムがいたその場所にいたのは…異質な存在だった。これまでのDISと同じく機械ではある筈だが…その姿が奇妙としか言えない様なものであった。

 

シャル

「な、何…なの、こいつ…!?」

セシリア

「わ、わかりませんわ…!こんなの見たことも」

ラウラ

「なんと…異質な姿だ…!」

 

四人がその姿に恐怖していると…向こうも四人に気付いたのか目を向ける。そして、

 

「…………貴様らは何者じゃ?」

セシリア

「しゃ、喋った!?」

「それはこっちの台詞よ!アンタこそ何者よ!あのオータムって女じゃないの!?」

 

しかし目の前の存在はその言葉に返さず、自らの言葉を続ける。

 

「……そうか。貴様等があのお方が言っていた、スパーダの血族に加担する人間か…」

ラウラ

「! スパーダの血族…海之と火影の事か!」

シャル

「それに人間って……ま、まさか!」

 

するとその目の前の存在は翼を広げながら鈴達に向き合って名乗った。

 

 

マルファス

「…我が名はマルファス…。いずれ人間界を支配する…あの方に仕えし者である」

 

 

青い三人の女性の胴体が繋がった様な形をしている上半身。その真ん中にいるらしい女性は良く見るとオータムの顔に似ている気がする。

 

そして下半身はが巨大なドラゴンかモンスターの様な翼と鋭いかぎ爪を持つ脚、そして異様な頭部を持つ、最も近い生物だとまるで羽根が全て抜かれた、ゴツゴツした皮膚が向き出しになった、グリフォンとは違う怪鳥の様な姿をしている。

そんな上半身と下半身が接合している存在が…自らをそう名乗った。

 

「あ、悪魔…ですって!?」

シャル

「そ、そんな…!だってこの世界は魔界や悪魔とは関係ない筈じゃ…!」

セシリア

「もし例のDISというものだとしても…使った者の意志が残るか或いは暴走するだけの筈…!」

ラウラ

「答えろ!貴様はあの…オータムと言う女ではないのか!?」

 

悪魔という言葉に動揺した鈴達はマルファスと名乗ったそれに尋ねる。

 

マルファス

「…オータム?…ああ、妾の力を利用しようとしたあの人間の事か?…あの人間ならば妾が貰ってやったわ。今は妾の中よ…。口惜しいが、それが無くばこの世で身体を保っておられん故…」

シャル

「お、お前の中って…それに力を利用って…!」

セシリア

「多分…あの時の、白騎士となった時の一夏さんと同じではないでしょうか…?」

「…成程ね。あのバカ女も制御できず取り込まれてしまったって訳か…!」

マルファス

「…だがそれも暫しの辛抱。間もなくあのお方がこの世の全てを支配する。そうすれば妾もまた完全な肉体として生まれ変わる。裏切者スパーダの血族を滅ぼし、我らの大願を叶えて下さるのだ!」

 

勝ち誇った様に笑うマルファス。しかし目の前にいるとはいえ、既に悪魔の姿を見た事があるラウラ達もそれに負けず言い返す。

 

ラウラ

「それは無理な話だな!私の夫と弟があの様な男に負ける筈がない!」

シャル

「そうだよ!例えあのアルゴサクスっていう悪魔だとしてもね!火影と海之は絶対に勝つんだから!」

マルファス

「ほう、アルゴサクス様の事も知っておるのか。……だが貴様ら、まだわかっておらぬ様だな」

セシリア

「…?それはどういう意味ですの!?」

マルファス

「知らぬならそのまま死ねばよい。憎きスパーダの血族に加担し、あのお方の道を阻もうとする愚かな人間共よ」

 

 

バサァッ!

 

 

マルファスは自身の翼を広げ、狙いを定めた。

 

マルファス

「光栄に思うが良い。貴様らは妾がこの手で直接滅ぼしてくれよう。あのお方を倒そう等という腐りきった考えは、粉微塵程もあってはならんのだ!」

「できるもんならやってみなさい!アンタみたいな不細工に負けるもんですか!」

 

ここでも人と悪魔の戦いが始まった。




※次回は20日(土)の予定です。
申し訳ありません、前半部分しか完成していません。再来週でなく来週に後半を載せられそうです。本当にすいません…。
今回出てきたマルファスはDMC5のものとは別固体です。
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