IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
ISの操縦にまだ間が無い一夏はセシリアの射撃やビットによる戦術に苦戦するも、徐々に動きに慣れ始めていく。
やがてセシリアの裏をかいた攻撃に遂に一夏は敗れる…と思いきや、その瞬間白式の初期化と最適化が完了。一夏はかつて姉の千冬が使っていたのと同じ「雪片弐型」を手に入れ、形勢は逆転。結果は引き分けと勝利こそならなかったものの、一夏とセシリアは互いの健闘を称えるのだった。
アリーナ東側ピット
試合を終えた一夏はセシリアと共に東側のピットに戻って来た。それを火影、海之、箒、千冬、真耶の5人が出迎える。
箒
「一夏!」
真耶
「お疲れ様です、織斑くん!オルコットさんも!」
一夏
「ありがとうございます。……ハア、なんか今になってすっげえ疲れが出てきたぜ…」
千冬
「まあはっきり言ってなんの準備も済んでいない機体でいきなりの実戦だったからな。無理もないだろう」
真耶
「…とか何とか言って先輩もすごく織斑くんの事心配してましたからね~♪」
千冬
「…山田先生、余計な事は言わなくて良い」
一夏
「だけどあのミサイル受けた時はもうダメかと思ったぜ…」
セシリア
「私もあの瞬間、勝利を確信していたのですが…、油断は禁物と言う事ですわね」
千冬
「勝って兜の緒を締めよ、だ。心しておけ。…さて次はエヴァンス兄弟の試合だが、アリーナの整備が完了するまで少し待っていろ」
火影・海之
「「わかりました」」
………
火影はスポーツドリンクを購入し、一夏とセシリアに手渡した。
火影
「ほらよ2人共」
一夏
「サンキュー」
セシリア
「ありがとうございます」
箒
「しかし本当に惜しかったな一夏」
一夏
「ああ。しかしなんで俺のエネルギーまで切れちまったんだろ?」
千冬
「…ハア、わかっていなかったのか?それはお前の白式のせいだ」
一夏
「…へ?」
千冬
「正確には白式の単一仕様能力だがな。「零落白夜(れいらくびゃくや)」という。それを起動したためだ」
一夏
「起動って、俺そんな覚えないんだけど?」
千冬
「恐らく一次移行の際に同時に起動してしまったんだろう。話を戻すが、零落白夜とは相手のSEを無効化し、バリアーを切り裂いて相手のSEに直接ダメージを与えられるというものだ。ただ自分のSEを大量に消費するため、多くは使えんがな」
海之
「なるほど。だからオルコットの機体だけでなく白式のSEも0になったのですね」
千冬
「そういう事だ。零落白夜は云わば諸刃の剣。使い時を間違えば自分が負ける。良く覚えておけ織斑」
一夏
「は、はい!」
そこに真耶が走ってきた。
真耶
「先輩!アリーナの準備ができました!」
千冬
「そうか。ではエヴァンス兄弟、準備をしろ」
………
一夏
「いよいよ火影と海之の対決か~!正直楽しみだな。どんなISなんだ?」
セシリア
「確か御二人は推薦で入ったのですよね。先生方は御二人のISは?」
千冬
「いや、実は私も山田先生も知らない。だから今回の模擬戦でできるだけデータを取るつもりでいるが、…難しいかもしれんな」
箒
「何故ですか?」
千冬
「ちょっとな…(束位の技術力が無いとという話だからな…)」
箒
「?」
真耶
「では二人共、ISを展開してください」
火影・海之
「「はい」」
そう言うと二人は自分達が首から下げているペンダントを手に取った。
セシリア
「それが御二人のISの待機状態ですのね」
一夏
「でかい宝石だなー!」
箒
「一夏、静かに」
火影
「行くか、アリギエル」
海之
「来い…、ウェルギエル」
カッ!!
二人のペンダントの宝石が光り出し、黒い光に包まれた。やがて2体のISが出現した。
「「「「「!!」」」」」
それを見た一瞬、彼らは言葉を失った。
通常ISは操縦者の胴体部分が見える様になっており、その部分には目には見えないシールドが張られている。そして手足の部分は大きくなっているのが普通だ。白式もブルーティアーズも例外ではない。
だが二人のISはそれとは全く別物だった。
全身を覆うタイプで火影は炎の様に赤く、海之は青い炎を思わす様な装甲。そして鎧と言うより少々厚い服とも言える位薄い。
手先足先には機械的ではあるが爪を思わせる様なものがある。
頭部も装甲で覆われ、顔部分はバイザーとなっていて外からは表情が伺えない。
背中には黒い翼を思わせるスラスターが付いている。
そしてアリギエルは背中にスカルの彫刻が施された真黒な大剣を背負い、ウェルギエルは腰に黒塗りの鞘の刀を携えていた。
頭部の装飾や所々違う点は見られるものの二人の容姿はほぼ同じで、それは正に双子とも言える物だった。
箒
「ぜ、全身装甲!?」
真耶
「こ、これが二人のIS!?」
セシリア
「で、ですがこんな機体、見た事も聞いた事もありません!」
一夏
「す、すげー!ヒーロー?いや…まるでダークヒーローじゃねーか!」
千冬
「……」
4人はそれぞれ感想を述べたが千冬だけが他とは違う事を思っていた。
千冬
(なんだ…この異常さは…?オルコットも言っていたがこんなIS見たことが無い。これでは束がわからないと言ってたのも頷ける。…彼らは一体どこでこんなものを?)
一夏
「カッコいいな!二人共」
火影
「ありがとよ」
海之
「…」
千冬
「では二人共、アリーナに出ろ」
火影・海之
「「はい」」
箒
「お互い頑張れ」
セシリア
「御二人の力、見せて頂きますわ」
真耶
「頑張ってくださいね!」
………
アリーナ中央
ピットから飛び出した火影と海之は向かい合っていた。
一方、一夏達以外にも彼らの試合を注目の目で見ている者がいた。
観客席
簪
「……」
本音
「ね~かんちゃん~、ひかりんもみうみうもかっこいいね~!」
簪
「う、うん、そうだね…」
(…織斑一夏のISを見るのは嫌だったから来ないでおこうと思ったんだけど…。あ、あの青いIS、あっちが海之くんかな…?)
…………
とある教室
簪に似ている少女
(いよいよね。さっきの織斑くんだっけ?あれも凄かったけど…私にとってのメインイベントはこっちなのよね!何しろあの篠ノ之博士の推薦というんだから。さあ火影くんと海之くんだっけ。二人の力、見せてもらうわよ!)
…………
???
束「ふっふ~ん♪とうとうあの二人が戦うんだね♪さあ見せてもらおうか!この束さんでさえ知らなかった二人のISの性能とやらを!なんちゃって♪」
…………
再びアリーナ中央
無言で向かい合っていた火影と海之だがやがて火影が口を開く。
火影
「…まるで見世物だな」
海之
「まるでも何もそうだろう」
火影
「まあな。僕たちはいつも通りやるだけだ」
海之
「…お前と戦うのは、何度目だ?」
火影
「…どうだかな?もう今さらだし、数えちゃいねえよ。……ふっ」
海之
「……ふっ」
火影
「始めようぜ海之!久々のケンカを!」ジャキッ!
火影は背中の大剣リべリオンを抜いて構えた。
海之
「……」チンッ!
海之は無言で腰の閻魔刀を手にとり、鍔を指で弾いて抜刀する。
管制塔
「それでは試合を開始してください!」
~~~~~~~~
火影
「おらぁぁぁ!!」
海之
「でやぁぁぁ!!」
アラームが鳴ると同時の二人は突進した!
次回、双子激突です。
互いの戦いとそれを見る者達の気持を書くつもりです。
※火影と海之の台詞、一部DMC5のアレンジです。