IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
鈴やシャル達は必死に攻撃を仕掛けるが悪魔きっての魔術の使い手を名乗るマルファスの瞬間移動による素早い攻撃、そして上半身と下半身それぞれが繰り出す凄まじい攻撃に大苦戦。何度も倒れそうになるが諦めない気持ちを捨てずに何度も立ち上がり、魔具やルーチェ&オンブラを駆使してとうとうマルファスの討伐に成功したのであった。力が入らないオータムを支える鈴達だったが…。
…そしてそれより前、「ジュデッカ」での彼らの戦いも始まろうとしていた。[アインヘリアル」と「織斑」、ふたつの計画に関わる者達の戦いが…。
「ジュデッカ」
「カイーナ」「アンティノラ」「トロメア」…。其々の戦いが始まったのとほぼ同じ時…、ここ「ジュデッカ」でも戦いが始まろうとしていた。
スコール
「織斑千冬…かの有名な伝説のブリュンヒルデとこうして戦えるなんて光栄だわ」
千冬
「伝説もその名も…今のこの場にはなんの意味もないさ…」
千冬とスコール(アレクシア)、
マドカ
「…わざわざ殺されに来たか…」
一夏
「…マドカ…」
一夏とマドカが其々対峙する。すると、
…ヴゥンッ!!
なにか機械音がした途端、千冬とスコールの周囲に以前マドカが一夏と一対一で戦った時の様な光の幕が現れた。
千冬
「こ、これは…!一夏聞こえるか!」
千冬は一夏に通信を呼びかけるが応答がない。どうやらこの幕は連絡を遮断する効果もあるらしいかった。幕の向こうの景色や音は全く分からない。幕のすぐ向こうにいる筈の一夏に話しかけても届いていないだろう。
スコール
「…これがこの「ジュデッカ」の機能。「カイーナ」「アンティノラ」「トロメア」、みっつの部屋を生き残った者達が戦う最後の舞台。この部屋の目的は…ただ戦う事。何人かがそれぞれのエリアに分かれ、誰かひとりが生き残る迄決して出られない。私もオータムもここで…生き残ったのよ」
千冬
「!…つまりここから出るには…」
スコール
「そう…貴女か私、どちらかが倒れるまで破られない」
千冬
「くっ…」
千冬は思った。という事は一夏とマドカもどちらかが倒れるまでこの空間から出られないという事ではないのか…?
スコール
「そして…この部屋で生き残った私達はオーガスの手によって解放された」
千冬
「…やはりオーガスの転移によるものだという事は知っていたのだな」
スコール
「ええ。気付いたのは彼がやってみせた時だけどね…。しかし最早死んだ者である私達はどこに行く事も出来ず、ファントム・タスクとして生きる事になった…。思えば…あれも彼の狙いだったのかもしれないわね」
千冬
「…そこまで分かっていてお前は奴に協力しているのか?」
スコール
「言ったでしょう?私の目的はこの世界への復讐だと。彼とは利用し合っているに過ぎない。この塔で死んだ者達のために…私達はこの世界に、こんな愚か極まりない計画があった事を伝えなければならない…。オーガスがあのファイルをこんな形で流したのは予想外だったけど…今はこれで良いと思っているわ」
千冬
「世界を混乱させる様な真似をしてか?他にもっと方法が」
スコール
「仮にもテロリストの言葉を誰が信じるというの?黙殺されるのがオチよ」
確かにこの塔の出現と共に先の計画に携わったと思われる国から速攻でミサイル攻撃を受けた。世界の闇の歴史、それをファントム・タスクである自分達が話してもとても理解してはもらえないだろう。例え彼女達がその計画の生き残りだとしても…。
スコール
「というより…貴女も決して私達の事を責める事はできないわ。貴女もまた…世界をこんな形にしたひとりだもの。そしてそれが…あの計画の発端にもなった。そうではなくて?」
千冬
「……」
千冬もそれは自覚していた。自らと束が起こした白騎士事件による世界の変革と歪みを…。
スコール
「そしてあの様な計画を許したこの愚かな世界も…もうどうでもいい…。オーガスがこの世界をどんな世界に作り変えるとしても、私にとっては今の世界よりもマシだから」
スコールはそう言った。しかしそんな彼女に千冬が、
千冬
「…では何故お前は今まで度々助言してきた?京都での一件、先日のスキー旅行、火影達に渡したあのファイルとそして…」
スコール
「……」
千冬
「もし先ほどお前が言った言葉が本気でそう思ってのものならあのファイルを、そしてあんなメッセージは残さない筈だ」
スコール
「……貴女も見たの?」
すると千冬はやや黙って答えた。
千冬
「……ああ」
スコール
「そう…。なら…貴女も憎いでしょう?」
千冬
「……正直思う事は無いと言えば噓になる。しかし今はそんな事をしている場合ではない。私には未来を守ってやらなければならない奴らがいるのでな。私の全てをかけても」
カッ!!
そう言って千冬は暮桜を展開する。
千冬
「そしてお前を倒さねば前に進めぬというのであれば…そうするまでだ」ジャキッ!!
千冬は女王の剣レッドクイーンを構える。
スコール
「やっとその気になった様ね…。それでいいわ。輝かしい栄光で覇者に上り詰めた貴女と…血塗られた栄光で覇者となった私…。いわば私達は光と影、似た者同士ね」ゴォォォォォッ!!
スコールもまた、ゴールデン・ドゥーンを展開した。全身に炎を宿して。
千冬
「そんなものに興味はない。…来い!」
スコール
「私の炎に抱かれて死になさい!」
千冬とスコール、表と裏の世界の覇者同士の戦いが始まった。
…………
それはこちらも、
一夏
「千冬姉!……くそ、聞こえねぇか」
一夏も千冬と通信が繋がらなかった。
マドカ
「他人の心配をしている余裕がお前にあるのか?それとも頼みの御姉様がいなければ真面に戦う事もできんか?」
一夏
「心配すんのは当然さ。俺の家族なんだから。でも負けるとは思ってねぇ。信じてるからな」
マドカ
「……そうか。ならばあの世で再会するんだな!」カッ!!ジャキッ!!
一夏は再びマドカに向き直った。マドカは黒騎士を展開し、黒焔を向ける。しかし一夏は白式を展開しなかった。
マドカ
「…何故ISを展開しない?それとも本当にただ殺されにきたのか?」
一夏
「んな訳ねぇだろ。……ちょっとお前と話がしたいのさ。戦うならそれからでも遅くねぇだろ?」
マドカ
「…話、だと?」
その言葉にマドカは不審がる。
一夏
「なぁマドカ、…そんなに俺が憎いのか?」
一夏の問いかけにマドカは、
マドカ
「……ふ、ふふ。そんな事を聞きに来たのか」
一夏
「質問に答えろよ。どうなんだ?」
マドカ
「……ああ憎いとも!貴様だけではない。織斑千冬も同罪だ!貴様らがいなければ…私達の様な存在が生まれる事もなかったのだ!」
一夏
「それはお前を生んだ奴らが悪いんであって千冬姉のせいじゃないだろ?千冬姉は知らない内に利用されてたんだぜ?ついでに言うと俺もな」
マドカ
「黙れ!もとを言えば11年前!織斑千冬と篠ノ之束が白騎士事件を起こしたのが全ての発端だ!あれさえ…あれさえなければ…!」
マドカは千冬と束、そして白騎士事件も憎んでいた。あれさえなければISが世に広まる事も織斑計画などが起こる事もなかった。そう思い込んでいた。
そして一夏も箒達も白騎士事件で白騎士を動かしていたのが千冬である事は既に知っている。当初は勿論驚愕した。あの時白騎士を動かしていたのが千冬等とは夢にも思っていなかった。しかし思う事はあってもそれでも千冬を嫌いになる事は無かった。
マドカ
「その結果生まれたのがあのふたつの呪われた計画だ。知っているぞ?貴様達もあれを見て知っているのだろう?実の親が参加していた事も。ククク、皮肉なものだな。私達を散々否定してきた自分達の親こそがその発端の一部だったのだからな!」
一夏
「……それについては否定はしないさ。あの時利用された人々には…どんだけ謝っても謝り切れるもんじゃねぇ。顔を合わせたこともない両親だったけど…それでも親に違いはねぇ。特に母さんはお前の母親でもあった訳だしな…」
するとそれを聞いたマドカの黒焔を握る力がギリッと強まった。
マドカ
「……母親?母親だと!?私に親などいない!私にとってその様な存在は…私と同じく生まれた…姉妹達だけだ!」
一夏
「…お前と同じ…千冬姉のクローンか」
マドカ
「ああ…。だがそれはすぐに奪われた!織斑千冬に並ぶ最強の兵士…それを生み出そうとする腐った奴らに!貴様には絶対にわかるまい!!自分と同じ顔を持つ存在を生きるために自分の手で殺さなければならない苦しみが!…そして同じ血を持つ者達による血みどろの戦いの末、私が生き残った。だが奴らは私を捨てた!ISを動かせない奴に価値はない、その一声で莫大な資金と時間、犠牲の末に生み出した私をボロ雑巾の様に捨てたのだ!!」
一夏
「……」
マドカの悲痛の叫びを一夏は黙って聞いている。
マドカ
「そしてそんな私を主が救ってくださった。私には才能があると言ってくださった。だから私は…」
一夏
「それはオーガスの策略だ!あいつはマドカ!お前の力を自分の目的に利用しているだけだ!」
一夏はマドカにそう諭す。すると、
マドカ
「…ふ、…知っているさ」
一夏
「!?」
マドカ
「生み出された理由を奪われ…そして信じていた者に利用されてきただけだった。……私は本当に滑稽だな…ハハハ…」
一夏
「……マドカ、もう止めろ。それ以上自分を貶めんな!」
マドカの自虐に一夏は止めろと声をかけるが、
マドカ
「貴様に…貴様に何がわかる!!私にはもう何もない、いや、最初から何も無かったのだ!あるのは貴様達と私達を生み出した者達への憎しみや恨み、それだけだ!!」
そう言ってマドカは再び黒焔を向ける。
マドカ
「織斑一夏!私は貴様を倒す!そして織斑千冬共々あの世で詫びるがいい!私と私の姉妹達にな!!」
マドカは酷く興奮している。
一夏
「……たく、やっぱり千冬姉の分身だけあって気の強いとこまでそっくりだぜ…」
カッ!!
そして一夏も白式・駆黎弩を纏う。左手には嘗ての持ち主の信念の象徴であるイージス。右手には一夏の信念の象徴、雪片・参型を持って。
一夏
「…俺は死なねぇ。千冬姉も、そしてお前も死なせねぇ。俺が勝ったら…言う事聞けよ?…マドカ」
白と黒の再戦であった。
※次回は4日(土)の予定です。
導入部と言う形ですので短めです。
次回よりジュデッカ編の戦いに入ります。まずは千冬とスコール。その後一夏とマドカの予定です。