IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
しかし魔力を使う事ができない火影や海之にオーガスとルーヴァはどんどん自らの攻撃を強めていく。
そして遂にオーガスとルーヴァの強烈間攻撃が火影と海之に直撃。倒すまでには至らないものの大きなダメージを与えた。
……しかし、そんな状況下で火影と海之は大きく笑い、オーガスとルーヴァに更に挑発的な言葉を浴びせ、ふたり揃ってこう言い放ったのだった。
「今から見せてやる。俺の…真の力をな」
オーガス・ルーヴァ
「「…真の力、だと…!?」」
オーガスは火影に、ルーヴァは海之にそれぞれ尋ねた。
火影
「ああ。今から見せてやるからよ。さっきからずっとアリギエルが使えって言っているからな」
海之
「思い知るがいい。お前も知らない…ウェルギエルの力をな」
そう言うふたりのインターフェースには…
「「アクマガエリ」ガシヨウデキマス。ドウシマスカ?」
アリギエルとウェルギエルの単一特殊能力「悪魔還り」の起動を示すメッセージが浮かんでいた。その最中、ふたりは心である事を思っていた。
海之
(すまないが…俺達は使う…)
火影
(でも許してくれるだろ?……父さん)
…………
エヴァンス邸
それは今年の正月、皆でスメリアの家に行った時の事だった。この日はレオナの家から戻ってきた日。火影が自室で休んでいる所にギャリソンが尋ねてきた。
ギャリソン
「火影様」
火影
「ギャリソンか。海之までどうした?」
海之
「俺も先にギャリソンに呼ばれたのだ」
ギャリソン
「お休みの所申し訳ございません。恐れながら…今お時間よろしいでしょうか?」
…………
そう言われて火影と海之はギャリソンに連れられ、ある部屋の前に来た。
火影
「この部屋は…」
ギャリソン
「……」
ガチャッ
ギャリソンが持っていた鍵で扉を開けると…そこは所謂書斎ともいえる家具が並んでいる部屋。その部屋を火影と海之は暫し懐かしむ様に眺める。
火影
「……この部屋も久々だな」
海之
「父さんが死んでからはもうずっと使っていないからな…」
そこは火影と海之の父、アルティス・エヴァンスの書斎だった部屋。彼が亡くなって10年が経ち、基本使われなくなっているこの部屋。火影や海之も入ったのは数年ぶり。しかし彼が愛用していた家具等は今でもそのままで保管されている。その部屋に三人は入り、そこでギャリソンはふたりに向き直った。
ギャリソン
「お辛い様でしたら申し訳ございません火影様、海之様」
火影
「気にしなくていいって。…でもなんで父さんの部屋に?」
海之も同じ疑問を持っていた。そんなふたりにギャリソンは神妙な表情で答える。
ギャリソン
「実は……私にはおふたりにずっとお話していなかった事があるのです…」
火影
「…話してなかった事?」
するとギャリソンは驚きの言葉を言った。
ギャリソン
「はい。実は……私はもう10年もの間、あるお方からおふたりへの「伝言」を言付かっているのです…」
海之
「…俺達に伝言だと…?」
火影
「しかも10年って…!一体誰……!!」
その時ふたりの頭に共通の人物が浮かんだ。10年、しかもそれを伝えたのはこの部屋という事は…思い当たる人間はひとりしかいないからだ。
ギャリソン
「……はい。今は亡き…アルティス様です」
火影・海之
「「!!」」
それはやはり彼らの育ての父親、アルティス・エヴァンスだった。それを聞いて流石のふたりにも動揺が走る。
火影
「と、父さんが…俺達に伝言を残してただって?しかも10年も前に!?」
ギャリソン
「…はい。正確には10年と10ヶ月になります」
海之
「何…!」
再びふたりは驚いた。それはあの「白騎士事件」が起こったほんの一ヶ月後である。
火影
「……父さん、一体何を…。てかギャリソン、それを何で今になって話す気になったんだよ?」
海之も同意するように首を縦に振った。
ギャリソン
「それは……お話しする時が来たと、私が判断したからでございます火影様」
火影
「…時?」
海之
「それについても…全て話してくれるという事でいいのだな?ギャリソン」
するとギャリソンは、
ギャリソン
「…はい海之様。今からお話します。10年前、私がアルティス様と交わした…ある約束を…」
そしてギャリソンはふたりに話し始めた…。
…………
話は10年前…エヴァンス邸、アルティスの自室にて。この日の夜、ギャリソンはアルティスに呼び出されていた。因みに妻の雫は幼いふたりを寝かしに行っているらしく不在だった。
ギャリソン
「アルティス様。私に重要なお話とは?」
そう尋ねるギャリソンに対し、アルティスは、
アルティス
「……うん。……ギャリソン、君に預けたいものがある」
そう答えながらギャリソンにあるものを渡した。それは一枚のDVD。
ギャリソン
「…これを私にでございますか?大変失礼ながらどういったものかお教えいただけるとありがたいのですが…」
アルティス
「……すまない。内容については…話せないんだ」
するとアルティスは続けて驚くべき事を言った。
アルティス
「ただしお願いがあるんだ。ギャリソン……もし、もし僕や雫が死んでしまったら、これを…火影と海之に見せてほしい」
ギャリソン
「!! な、何を仰るのですアルティス様!その様な事!!」
当然ギャリソンは酷く慌てる。
アルティス
「はは、ごめんごめん。変な事言っちゃって。…でも真剣だよギャリソン。もしこの先、僕や雫が、例えば事故や病気とかであの子達よりも先に死ぬ様な事があったら…必ずそれをあの子達に見せてやってほしいんだ」
前半は苦笑いを浮かべたが後半は至って真剣な顔をするアルティス。その表情を見てギャリソンは何も言えなくなる。
ギャリソン
「アルティス様…何故その様な事を…。それでしたら今直ぐにおふたりに」
アルティス
「いや…今のあの子達には伝えたくないんだ…。僕達の勝手な願望だけど…今すぐは…。勿論、僕達が幸い何事も無く生きていれば、何時かは僕達の口から直接伝えるよ。だから…そのディスクは万が一の保険として、ギャリソンに預かっていてほしい」
ギャリソン
「それでしたら私等よりレオナ様が…」
アルティス
「レオナにはESCを任せているからね。あの子は賢い子だ。いずれESCを背負う様になるだろう。これ以上の負担はさせられない。それに僕個人のお願いとしても…ギャリソンに持っていてほしいんだ」
ギャリソン
「……」
アルティスは全く引く気は無い様だった。
アルティス
「…なぁギャリソン。覚えているかい?君が初めて…ここに来た日の事。僕はその時まだ生まれていなかったから父と母に聞いただけだけど」
ギャリソン
「勿論でございます。決して忘れる事はございません…」
するとふたりは暫し思い出話をし始めた。
その頃から更に40年程昔、スメリアに一組の夫婦がいた。クロード・エヴァンスとその妻、リーア・エヴァンス。アルティスとレオナの両親である。夫婦は富豪とまでは言えなかったものの数人程度の召使も抱える等、周囲よりは比較的裕福な暮らしをしていた。そんな夫婦の所にある日、ニュースが飛び込んでくる。
「庭に子供が倒れている!!」
庭掃除をしようとした手伝いが発見したのであった。
少年で見た目は7、8歳位。
銀髪。
身に着けているのは黒い布切れみたいな粗末なもの。
それがパッと見た少年の特徴。どうやって来たのかはわからないが見た目からして戦災孤児や浮浪児の様なものだと思われた。…だが事態はもっと重くなる事になった。僅かの介抱で少年は目を覚ましたが、気が付いた時には記憶も名前も、言葉さえも失っていたのであった。表情も無表情で笑いもしない。どうすれば良いか家の者達は悩んだが夫婦は取り合えず順当に警察に預けようとし、動ける様になった少年を連れて家を出た。
……そして手伝いが運転する車で警察署の前まで来た時、ある出来事があった。その時同じタイミングで署に連行されてきた何らかの犯人らしい数人の男が警察官を殴り飛ばし、脱走しようとしたのである。セキュリティが行き届いている今のスメリアと違い、昔のスメリアではこの様な事件はごく稀にだがあった。そしてその男達は偶然か夫婦と手伝い、そして少年がいる場所に突っ込んできた。がたいも大きい男達と突然の事態に咄嗟に行動できず、夫婦は怪我のひとつも覚悟した。
……しかしそうはならなかった。夫婦の所に辿り着く前に、男達は全員地に伏せた。皆が何が起こった!?と思った所にいたのは…先の少年。少年は転がっていた木の棒を手に自分よりも何倍も大きい男達を今の一瞬の間に全て叩き伏せたのである。訪ねても少年自身も何故この様な事ができたのかわからない、という顔をして首を横に振るだけだった。この出来事がきっかけでこの少年に不思議な縁を感じた夫婦は少年を家の手伝い見習とし、最も信頼ある召使に預け、同時に少年のままでは何なので名前も与えた。更にコミュニケーションを取らせるために学校にも行かせる事にした。元々覚えが良かったのか、やがて少年は声を出せる様になり、読み書き計算も難無く覚え、ミドルスクールに上がる時にはすっかり普通の少年になっていた。残念ながら記憶と名前が戻る事はとうとうなかったが…。
ギャリソン
「……大旦那様と大奥様には本当に感謝のしようがございません。誰かもわからない私が今日まで生きてこれたのは…全ておふたりのおかげでございます」
アルティス
「父や母もギャリソンには凄く感謝していたよ。時が過ぎてやがて僕が産まれ、レオナも産まれた。父と母が亡くなってからも君は変わらず僕や雫を支えてくれているし、ESCを立ち上げ、その仕事やマネージメントで家を空ける事が多かった僕に変わり、家の者達をまとめてくれていた。君の功績はとても大きい」
ギャリソン
「勿体なきお言葉でございます…」
アルティス
「そんな君だからこそ預かって欲しいんだ。雫も賛成してくれている」
…………
ギャリソン
「そして私はアルティス様からディスクをお預かりしたのです」
火影
「そんな事があったのか…」
ギャリソン
「本来ならばアルティス様と奥様からおふたりにお伝えされる筈でございました…。ですが…」
火影
「……」
アルティスと雫はあの事件でその時から僅か一年後に帰らぬ人となった。誰も予想できなかったに違いない…。
海之
「…ギャリソン。先程お前が言っていた「時がきた」というのは?」
ギャリソン
「…はい。それもアルティス様からのお願いだったのです…」
…………
アルティス
「…ギャリソン、ディスクについてひとつ頼みがある」
ギャリソン
「何でございましょう?」
アルティス
「……上手くは言えないんだけど、ふたりにそれを見せるタイミングとして…おそらく必要な時が来る筈だ。その時が来たらふたりに見せる様にしてほしいんだ」
ギャリソン
「…時、でございますか?」
アルティス
「うん。ただそれが何時になるかはわからない。何年後かもしれないし…もしかしたら明日という可能性もある」
ギャリソン
「その様な事が…」
アルティス
「そしてそれが…どういうものなのかもわからない。でも何時か必ず来る。ふたりに伝えなければならない時が。そう確信してるんだ…。とても大事な事を、そして…僕の贖罪を…」
…………
火影
(…とても大事な事?)
海之
(贖罪…だと?)
ふたりは気になったが今は黙っていた。
ギャリソン
「アルティス様はその時が来るまでおふたりにはディスクの事は秘密にしてほしいと仰られました。そして私は…何故か今がその時だと不思議と思ったのです。おふたりが…行方不明になられていたあの時があってから」
火影・海之
「「!!」」
それはあのドッペルゲンガーとの戦いでふたりがひと月ほど行方不明になっていた時の事だった。
ギャリソン
「あの時私はおふたりが必ず帰ってこられる。そう信じていた一方で…とても悔やんでおりました。アルティス様との約束を果たせなくなってしまったのではないかと…。ですがおふたりは無事に帰ってこられた。だからこそ思ったのです。今がアルティス様が仰られたその時だと…」
火影・海之
「「……」」
色々考えているのかふたりは何も言わない。
ギャリソン
「これが私が隠していた事の全てです…。約束とはいえ、火影様と海之様に今まで黙っていた事、本当に申し訳ございませんでした。どうか、私を罰してください」
ギャリソンは深く頭を下げた。そんな彼に火影と海之は、
火影
「…罰?なんでそんな事する必要があるんだよ?」
ギャリソン
「…?」
海之
「こいつの言う通りだギャリソン。何故そんな事ができよう?お前は父との約束を守り通していただけではないか」
火影
「そうだぜ。そして今それを果たしてくれるってんだ。感謝こそすれど責められる事なんて全くねぇよ」
火影も海之も彼を責める気は全く無いようだ。
ギャリソン
「おふたり共…」
火影
「まぁそんな話があったってのは正直びっくりしたけどな。てかギャリソンもそんな秘密があったんだな。今まで黙っていたなんて人が悪いぜ」
ギャリソン
「申し訳ありませんでした火影様。ですが私の様な事等…」
海之
「ギャリソン、そう自分を下に見るな。お前は十分にやってくれている。恥じる必要は無い」
火影
「そうだぜ。お前をそんな扱いしたらそれこそ父さん達から怒られちまう。お前も立派な家族なんだからよ。お前だけじゃねぇ。ニコや皆もだ」
火影と海之は笑って伝えた。そんなふたりの言葉にギャリソンは涙した。
ギャリソン
「……ありがとうございます」
火影
「だから泣くなって〜の」
海之
「ハァ…」
※前半部分を投稿します。明日後半を同時刻投稿します。