IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
「俺もあいつも戦う度に強くなっていった。あん頃のまんま止まってるてめぇが勝てる訳ねぇだろ」
火影の気迫迫る言葉に圧されつつあるオーガス。そして火影はある質問をぶつけた。
火影
「てめぇの言ってた「あの方」って誰の事だ?」
オーガス
「!!」
火影はそうオーガスに尋ねた。自身の赤い目に凄まじい怒りを浮かべて。その表情は以前、オータムにファントムやアンジェロの事を尋ねた時以上の気迫が感じられる。
火影
「おい!どうせどっかで見てんだろ!隠れてねぇでとっとと出てきたらどうだ!?」
オーガスではなく火焔天全体に響くような声を出す火影。
「…………」
……しかし彼の声が広い空間の壁に跳ね返ってくるだけで他の音は無い。
火影
「…出てこねぇか。…臆病風に吹かれたか?」
オーガス
「…何の事だ?」ドォンッ!!「!」
火影
「……」
その言葉を言った途端、コヨーテが火を噴いた。アルバは本音の銃。脅しには使いたくない。
火影
「まさかてめぇ…俺が人殺しなんてしねぇって言ったさっきの言葉、そのまんま信じてるわけじゃねぇよな?それはご愁傷様。人間てのは時々馬鹿をやりたくなるもんでな。殺しはしねぇとは言ったが傷つけねぇとは言ってねぇ。その気になりゃギリ死なねぇ程度で腕や足の一本位吹き飛ばしてもいいんだぞ?」
そして火影は言葉を続ける。
火影
「てめぇ前に学園に通信入れてきた時、確かこう言ったよな?」
(嘗てあの方の右腕とも呼ばれていたスパーダの息子)
(※Mission188参照)
火影
「それに加え、てめぇは前からちょくちょく「我」でなく「我ら」って言ってる。「ら」って事はてめぇの考えに賛同している奴が他にも、最低でもひとり以上いるって事だ。最初はあのスコールやオータムって奴らの事かとも思ったが…即消えた。あいつらがてめぇの正体なんて知ってる筈ねぇしな」
オーガス
「……」
火影
「てめぇの真の目的はこの世界とこの世界にもあるっていう魔界を繋げる事。そんなバカげた計画に協力する奴なんてのはよっぽど破滅を望んでたり悪魔共を崇拝しているイカレた野郎か…或いは……」
オーガス
「……そういう者共というかのうせ」ドォン!!「くっ!」
再びコヨーテが火を噴く。そのうちの一発がオーガスの腕をかすめる。
火影
「まだ人が話してる途中だぞ…。黙ってろ」
火影は更に言葉を続ける。
火影
「そして極めつけなのがさっきの「あの方」っていう言葉だ。ただのオーガスとしてのてめぇならばそういう奴もいねぇ事ねぇだろうが…アルゴの記憶を取り戻し、人間をゴミ同然に見てるてめぇがそんな言葉を使う人間なんてこの世にいるとは思えねぇんだよな…。「あの方の右腕」…「あの方の右腕のスパーダ」、ねぇ……。そういや気のせいかさっきてめぇが使った技の中でてめぇが使ってなかったやつがあった気がすんだがな…」
オーガス
「……」
それから数秒位の沈黙の後、
火影
「最強の悪魔…凶悪の魔神…最悪の暴魔…。ダンテだった頃俺は今まで色んな依頼を引き受けてきたが大半、いや殆どほら吹きかデマだった。それに毎回腹立てる程小さくはねぇ。嘘をつくのは良い。俺は悪魔をぶっ殺せればよかったんだからな」
火影の口調は静かである。
火影
「今回だって同じだ。どうしても隠してぇなら別にしらばっくれんのも構わねぇ。どうせてめぇをぶっ倒せば出てくるんだろうし、本当にいねぇのならいねぇでこれでハッピーエンドで構わねぇ。………だがひとつ忠告しといてやる」
すると、
火影
「もしホラ話するつもりなら……使う名前は選べよ?」
そう言う火影の目は…これまで以上の激しい怒りを含んでいた。これ程の怒りはダンテだった頃も含め、数える程しか覚えがない。母を殺された時…。バージルが実は生きていた時…。そして相棒だった者が一度は殺された時…。もし今ここに一夏や鈴達がいたらその目だけで言葉を失うかもしれなかった。
オーガス
「…!!」
そしてそれはオーガスも同じだった。自分が答えるまでは絶対にこの場から逃がすつもりはない。例え腕や足の一本無くそうが、それ位の気迫が目の前の存在から感じられた。純粋な悪魔アルゴサクスだった頃は決して無かったであろう感情。今オーガスの心は恐怖に支配されつつあった。
オーガス
「た…助けて…くれ…」
火影
「……?」
気付いているかいないのか、オーガスの口からは命乞いの言葉が聞こえた。……しかしそれは目の前の火影に言っている様には見えなかった。もっと別の場所にいる何か。
オーガス
「たす、助けて…くれ。…ム」
とその時、
ドクンッ!!
オーガス
「!!」
突然、オーガスは自分の脈が一瞬激しく打ったような気がした。
…………
???
そして気が付くと…オーガスは見知らぬ場所にいた。
オーガス
「な、なんだ…!どこだここは…!?」
周りは闇一色。目の前にいた火影もいない。
?
「……アルゴサクス」
オーガス
「!!」
すると突然何者かの声が聞こえた。どこからかはわからない。
?
「アルゴサクスよ…」
オーガス
「お、おお!わが主よ!」
それはオーガスが以前より話していた声と同じだった。
オーガス
「た、助けてくれ!奴は…ダンテの力は、私の想像を遥かに超えていた!」
?
「……」
オーガス
「私だけでは奴を倒すのは無理だ!だからもっと、もっと力をくれ!人界と魔界を繋げ、我らで支配するという我々の大願を成就するために!!」
?
「……」
相手は何も喋らない。
オーガス
「なんならアレを、アレを使ってくれても構わない!奴らさえ倒せれば「門」を開くエネルギー等どうにでもなる!だからた、頼む!!」
オーガスは必死で謎の声に頼み込む。そこには嘗て覇王アルゴサクスだった威厳は最早感じられなかった。
?
「……ふふふ、安心するがいい。貴様に言われなくても使ってやる。そして奴も倒してやる」
オーガス
「おお!で、では!」
安心するオーガス。そんな彼に声は言った。
?
「だから…安心して休むがいい」
ヴゥゥゥゥゥゥゥン!
オーガスの足元から闇が侵食していく。それは以前、一夏やラウラが経験したものと同じに思えた。
オーガス
「なっ!?」
?
「感謝しているぞ…アルゴサクス。貴様は本当に良く働いてくれた…。我が力を取り戻すために…」
オーガス
「!! ま、まさか最初から私を!」
オーガスは自分がその謎の存在に利用されていた事に気付いた。
?
「貴様もいずれはどうせ我を滅ぼそうと考えていたのだろう?お互い様というものだ」
オーガス
「!」
?
「この世界の人界と魔界を繋げた後、魔界の魔力と悪魔共を用いて貴様が我に戦いを仕掛けようとしていた事。そのために貴様は終始我に従っていたフリをしていた事。我が気付かぬとでも思っていたのか?愚か者めが…」
オーガス
「き、貴様!誰のおかげで今まで消えずにいたと!」
?
「だから言ったであろう?それは感謝していると…ふっふっふっふ」
そう言っている間にも闇はオーガスを侵食し、遂に頭部まで到達した。
オーガス
「や、やめ…」
?
「恐れる必要はない。奴らを倒した後に貴様も我が一部にしてやる。それまではゆっくり休んでいるがいい…。嘗て我と覇権を争った者よ…」
そしてとうとうオーガスもまた闇に飲み込まれた…。
?
「さぁ、始めようか……ダンテ。ふっふっふっふ…フハハハハハハハハハハ!!!」
…………
オーガス
「……」
火影
「おい、どうした…?」
火影はオーガスに声をかけるが何の反応も無い。それどころか目の焦点も合っていない。火影の声は届いていない様だ。
火影
「何か言ったらど」
カッ!!!
火影
「!!」
その時、オーガスの首にぶら下がっているアルダ・スパーダのアミュレットが激しく光始めた。
ドォォォォォォォォォォォォォン!!!
火影
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!」
そして突然の凄まじい光の爆発。そして衝撃波。その勢いに直ぐ近くにいた火影も吹き飛ばされてしまう。
火影
「ぐっ!…なんだ!?」
火影は目を向けるが光の強さに全く確認できない。……そして暫しして光が弱まるとやんわりと見える様になってきた。
火影
「!!」
火影がオーガスがいた場所に目をやると…そこにふたつの物体があった。ひとつは、
オーガス
「……」
俯けに力無く倒れているオーガス。おそらく気絶しているのだろう。そしてもうひとつは、
アルダ・スパーダ?
「……」
倒れているオーガスの真上に…顔をやや伏せながら不気味に浮かんでいるアルダ・スパーダがいた。
火影
(奴はぶっ倒れてんのに動いている、だと…!?)
オーガスは間違いなく倒れている。なのにアルダ・スパーダはその場にいた。通常IS、DISもであるが操縦者がいなくても立つ事だけならばできなくはない。しかし今火影の前にいるそれは待機状態でもただ立っているわけでもない。浮かんでいるのだ。つまりオーガス以外の「何か」があの中にいるのだ。更に、
ドクン!!ドクン!!ドクン!!
アルダ・スパーダの周囲にどす黒いオーラの様な物が見て取れる。それに反応して魔剣ダンテのこれまで以上の激しい脈動と
「アクマガエリガシヨウデキマスドウシマスカ?」
「悪魔還り」が起動していた。つまり魔力である事が直ぐわかった。火影がこの世界で初めて対峙する強力な魔力とそれを放つオーガス以外の「何か」…。
火影
「……」
その存在を黙ったまま睨み続ける火影。火影はその魔力に覚えがあった。先日IS学園にオーガスが通信を入れてきた時、初めてモニター越しにアルダ・スパーダを見せた時の事。あの時感じた凄まじい魔力と今感じているそれはよく似ていた。
……しかし、火影はそれ以前にその力に覚えがあった。何故ならばそれは…自分がダンテだった頃に対峙していた事があったからだ。一度きりだけだったが…彼にとっては生まれ変わっても決して忘れる事が出来ないもの。……少しの沈黙の後、火影は口を開いた。
火影
「……まさか本当に、……いや、わかってた。考えたくもなかっただけだ…」
…ギュン!!!
その言葉に反応したのかアルダ・スパーダが顔を上げる。そこには…不気味に光り輝く赤き目があった。
?
「………久方ぶりだな。姿は変わっているが…わかるぞ」
それは先ほどオーガスに話しかけていた声と同じだった。
火影
「姿が違うのはお互い様じゃねぇか…。どこにいんのかと思ったら…まさかアルゴの中に隠れてやがったとはな…」
?
「……昔を思い出す。……会いたかったぞ。……ダンテ」
火影
「俺は全くだ…。まさか…この世界でアルゴの野郎どころかてめぇにも会う事になるとは思わなかったぜ。…往生際が悪いにも程があんだよ…」
そして火影は怒り含んだ目で、目の前の存在の名を呼んだ。
火影
「………………ムンドゥス!!」
※次回は13日(土)の予定です。
次回も少し会話中心の短め予定です。それが終わればファイナルへと移ります。