IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
……しかしムンドゥスはウィルスを茶番と切り捨て、零落白夜を「憤怒の盾」で跳ね返しただけでなく、更に「傲慢なる邪眼」で全員の戦闘能力を奪ってしまった。戦う術を失った彼ら、そして束にムンドゥスはとうとうとどめの一撃を繰り出そうとしていた…。
一夏
「束さん!」
千冬
「束!」
箒
「姉さん逃げてぇぇぇ!」
ムンドゥス
「刹那の瞬間とはいえ、余を蝕んだ罪は重い事を知るがよい。消え去れ…篠ノ之束」
束
「!!」
ドクンッ!!
火影・海之
「「!!」」
ズドドドドドドドドドドド!!!
ムンドゥスの赤き光弾が一斉に発射された。
クロエ
「嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」
刀奈
「もうダメ!!」
最悪の事態を誰もが予測し、直視できないと全員が目を閉じる。
一夏
「……………………?」
一夏を始め、その場の皆が不思議に思った。ムンドゥスの放った攻撃は間違いなく何かに命中した筈。なのに身体がなんともない。痛みもない。そして全員がゆっくり目を開けると、
全員
「「「!!!」」」
ムンドゥス
「……時が切れたか」
火影・海之
「「……」」
一夏達は目の前の光景に言葉を失った。束が傷を負っていなかったのは火影と海之がその身体を、全てのミラージュソードや幻影剣、更にナイトメア、グリフォン、シャドウも何もかもを出し、束や一夏達に繰り出された攻撃の盾となっていたからだった。剣は受け止め、ナイトメア達はその身を盾にして串刺しになり、火影と海之も全身にムンドゥスが放った赤い矢が刺さっている。当たる直前、ふたりが受けた「傲慢なる邪眼」の時間切れが起こり、すぐさま「悪魔還り」を起動したのだった。ダメージが限界を超えたのかナイトメア達は消え、幻影剣は折れて朽ち果てる。
火影
「はぁ…はぁ…ぐ、ぐく…」ドサッ
海之
「ぐっ…」ドッ
ダメージが大きいのかふたりは腕を地につける。
オータム
「…な、何だあいつら!?」
スコール
「あの兄弟とISは似ているけど…様子が違う…。一体何が起こったの…!?」
マドカ
「……」
突然現れた謎の存在にオータムやスコールは驚き、マドカも言葉を失っている。……だが彼女達は違った。
一夏
「…!!」
束
「……あ」
鈴
「火…影、…火影、だよね?」
火影
「い、いいタイミングで…切れてくれたぜ…」
簪
「…海之くん…でしょ?…私…わかるよ」
海之
「…無事か…お前達」
その言葉で全員が一斉にふたりの下に集まる。
シャル
「火影!海之!」
ラウラ
「博士だけでなく私達全員の盾になったのか!?」
箒
「あれだけの攻撃を全て…なんて馬鹿なことを!」
火影
「ハハ…技出す暇もなかったから…こうするしか…な」
セシリア
「で、でもおふたり共…。その姿は一体…?」
刀奈
「…もしかしてそれが君達の?」
海之
「……そうだ。これが俺達の単一特殊能力…「悪魔還り」、悪魔に還る…力だ」
クロエ
「悪魔還り…。悪魔に還る力…!」
千冬
「…確かに電脳世界で見たのと同じ…。それがお前達の悪魔としての姿、という訳だな…」
火影
「…怖ぇか?…まぁ無理も、ねぇな…ハハ」
火影はきっと皆が自分達を見て怖がっているだろうと思ったが、
鈴
「馬鹿!!」
セシリア
「…怖いなんて…そんな訳ありませんわ…」
箒
「…ああ。驚きはしたが…この安心感は紛れもなくお前達だ」
シャル
「ごめん…ごめんなさいふたり共…。僕達が頼りないから…」
そんな者はひとりもいなかった。
マドカ・スコール・オータム
「「「……」」」
束
「ほんと馬鹿だよふたり共!私なんかのためにこんな傷だらけになって!私みたいな役立たずなんか…放っておけばよかったんだよ!」
海之
「……貴女は、約束した。ISを…正しき方向に、導くと」
火影
「ああ。その前に死なせたら…父さん達に怒られっからな」
束
「…ひーくん…みーくん…」
そんな彼らをムンドゥスは、
ムンドゥス
「…愚か、実に愚か…。いてもいなくても意味のない存在のために己の命や勝機を犠牲にするとはな…」
一夏
「…てめぇ…!!」
千冬
「……ああ。貴様には理解できぬだろうな。…永遠に」
そう言い放つムンドゥスを全員が怒りの目で見る。
ムンドゥス
「ふっふっふ…。貴様らの怒りが伝わってくるぞ…。だがその怒りを束にしてかかってきても、最早貴様らには余にかすり傷はおろか、触れる事さえもかなわぬ。奴らの愚かな振る舞いも、死期を僅かに伸ばしただけにすぎぬわ」
箒
「くっ…」
クロエ
「でも…確かにもう私達には…」
ラウラ
「ここまで、ここまで来ながら…」
誰もが自分達の絶対的な敗北を悟っていた。…そんな中、
火影
「…ふっ、本当にそうかねぇ?」
鈴
「……え?」
海之
「ああその通りだ」
簪
「…どういう、事?」
火影と海之の目にはまだ…諦めていない光があった。身体の傷が癒え、ふたりはゆっくりと立ち上がる。
火影
「…はぁ…。束さん。あんたのやった事あながち意味あっかもしれねぇぜ?」
束
「…ひーくん?」
箒
「そ、それはどういう事だ!?」
すると海之が続けた。
海之
「こいつが言った通りだ。束さん、そして千冬先生が奴に与えた傷は、意味があったという事だ」
セシリア
「!…それってどういう…!」
ムンドゥス
「フン、何を言っている?。とうとう気がおかしくなったのか?」
そうムンドゥスは吐き捨てるように言うが、
火影
「…ハッ、てめぇこそ苦し紛れの脅しはやめるんだな?」
ムンドゥス
「…なんだと?」
火影は笑い声をあげて言い返した。
鈴
「く、苦し紛れって?」
海之
「そのままの意味だ。…貴様の中には今もウィルスが活動を続けている。違うか?」
束・千冬
「「!」」
一夏
「な、なんだって!?」
マドカ
「どういう事だ…!?」
誰もが信じられないという顔をしている。
海之
「…ムンドゥス。貴様から伸びていた俺達を縛っていた光、あれを千冬先生がその剣で断ち切った時、束さんのウィルスが貴様の中に入った。そしてその毒は…貴様の力を確かに狂わせた。効力は人形共に比べて弱いか、若しくは力づくで抑え込んでいるのかもしれんがな」
千冬
「…!」
クロエ
「ほ、本当ですか兄さん!?」
火影
「てめぇは下らん茶番といったな?ならさっきまでてめぇの身体に起こってたあの妙な反応はなんだってんだ?技が消えたり動かなかったり、他の皆はともかく俺達がそれに気づかねぇとでも思ったか?おまけにスコールやオータムの捕縛にひっかかってたりしたしよ?」
スコール
「…確かに」
オータム
「あ、ああ。芝居ってんなら防ぐこともできただろうし…」
火影
「もっといやぁ今もだ。束さんや俺らにとどめを刺そうと思ってたんならなんであの光るスライムもどきの剣やしつこい槍を出さねぇ?まとめて瞬殺できただろうぜ?おまけに悪魔還りを使ったとはいえてめぇの拘束が簡単に解けるなんて、あん時は慌ててて気づかなかったがアレッ?って思ったぜ。これは予想だが…使えなかった、或いはまたさっきみてぇに消える可能性があったから使わなかったんじゃねぇのか?」
ムンドゥス
「……」
ムンドゥスは何も答えない。
シャル
「…もしかして本当なの…?」
ラウラ
「…という事は海之!」
海之
「ああ…。ウィルスが貴様の力を弱体化させている今こそ、貴様を滅ぼせる絶好の機会だ」
火影
「更に嬉しい事にてめぇのさっきの妙な光はどうやらある程度時間が過ぎねぇと使えないのはなんとなく予想できた。もし連発できんなら一夏達が表れてからもとっくに使ってた筈だ」
刀奈
「…確かにね。そして火影くんと海之くんは二回受けたみたいだけど…今その効果はない。多分前の効果が続いている間は効かないんだわ」
海之
「そういう事だ。この機に乗じ、貴様を今度こそ滅ぼしてやろう」
火影
「ああ。そして全てを終わらせてやるぜ。貴様との腐った因縁をな」
そして火影と海之は再び前に出ようとした……その時、
ムンドゥス
「戯け」
ズガガガガガガガガガガガガガ!!
火影・海之
「「ぐあああああああああ!!!」」
突然、火影と海之に凄まじい激痛が走った。よく見ると…先ほどの赤い光弾が刺さっていた場所が光り、そこから痛みが発しているようであった。
火影・海之
「「ああああああああああ!!!」」
一夏
「火影!海之!」
ムンドゥス
「…懐かしいだろうダンテ?あの時、トリッシュを助けようとして余の光を受けた…あの時と同じだ。…いやあの時よりも痛みはさぞ激しいであろう。まるで身体の内側から幼虫に食い破られるような、な…」
火影
「はぁ…はぁ…ぐっ!」
海之
「おの…れ…!」
よほどの苦しみだったのか痛みが消えても直ぐに立てずにその場に蹲るふたり。
シャル
「火影!」
簪
「しっかりして海之くん!」
ムンドゥス
「…だがその洞察力と執念、流石はダンテとバージル…奴の息子よな…。大したものだと素直に認めてやろう。…貴様らの言う通り…余の中には今もその女が仕込んだ忌々しい毒がゆっくりゆっくりと蝕んで居る。このまま何も手を打たなくば消滅こそしないにしろ…いずれは余の力は大きく失われてしまうだろう…」
箒
「!…ならばそれまでもたせれば!」
ムンドゥス
「不可能だ」
箒の言葉を即座に否定するムンドゥスは続ける。
ムンドゥス
「虚言をはいているのは貴様らとて同じだろうダンテ、バージル。例え力が戻ろうとも、今までの戦い、そして余との戦いでかなりの体力を消耗している筈。今の貴様らに余の身体に毒が回るまで互角に戦うだけの力が残っているのか?…否、もっても数分。後ろの人間共に至っては一分もかかるまい」
セシリア
「くっ…」
マドカ
「舐めた事を言ってくれる…!」
だがそれはあながち間違いではなかった。戦う術を全て失っている今の彼女達では逃げ場も抗う術もない。
ムンドゥス
「もうひとつ教えてやる。余の中にある毒は半時ほど力を集中させれば完全に消し去る事はできるのだ。貴様らを滅ぼした後、ゆっくりと行えばよいだけの事…」
クロエ
「そんな…」
ムンドゥス
「わかったか、穢れし人間共。貴様らが何をしようと、どれだけ抗おうと無駄である事を。貴様ら人間の運命は余がこの世界に現れた時点で決定していた。新たな魔界の誕生と、余の完全なる復活という運命がな」
箒
「くっ…」
鈴
「本当に…本当にもうダメなの…?」
刀奈
「虚…本音、…ゴメンね…」
誰の目にも絶望の色が浮かんでいた。
一夏
(もう…本当にダメなのかよ…!折角千冬姉や束さんがチャンスを作ってくれたのに…火影や海之が助けてくれたってのに!俺にはもう何もできないって………これは!)
千冬
(…海之、火影)
火影
(…!)
海之
(先生?)
すると千冬が誰にも聞かれない様通信でふたりに通信してきた。
千冬
(時間が無いから簡単に聞く。奴を倒すためにあの光の次に厄介なもの、あの零落白夜をも跳ね返す盾だ。お前達、あれを何とかする事はできるか?)
千冬の問いかけにふたりは、
海之
(…方法はあります。俺の次元斬・滅の刃を一点に集中させ…砕く)
火影
(そして再生される前に俺が全部の剣をまとって突っ込む…)
海之
(…だがそのためには奴の動きを数秒、少なくとも三秒は完全に止める必要があります。そうでなければ最大限の威力を発揮できない…)
その言葉を聞いて千冬は、
千冬
(…ふっ、それだけ聞ければ十分だ。…よく聞けふたり共、私が奴を捨て身で止める。その間に準備を整えておけ)
火影
(…!!)
海之
(…何を言っているのだ貴女は…!!)
火影は驚き、海之は怒りを含んでいる。千冬が命を捨てる覚悟である事を感じとったのだ。
千冬
(それしか方法はない。他の奴らではその役目は無理だ。ならば私がやるしかない。何、教え子のために命を懸けるのは教師としての役目だ)
海之
(しかし!!)
スコール
(そういう役目は私よブリュンヒルデ)
するとスコールが割って入ってきた。どうやら聞いていた様だ。
千冬
(スコール・ミューゼル…。どういうつもりだ?)
スコール
(その言葉そっくり返したいんだけど…?貴女にはまだ生きてやるべき事があるわ。束と一緒よ。こんな場所で死んではいけない)
火影
(…勝手に話を進めんじゃねぇ…。お前も生きる資格はあるんだ。馬鹿な真似は許さねぇ)
スコール
(…ありがと。でももういいの。オータムやダリル達を…頼むわね)
千冬
(アレクシア!)
そしてスコールが動こうとした…その時、
一夏
「…アハハハハハハハハハハハ!!」
突然一夏が笑い始めた。とても楽しそうに。当然その場にいた全員が一夏に困惑する。
火影・海之・千冬
「「「…!」」」
箒
「い、一夏!?」
セシリア
「一夏さん!?」
鈴
「な、なにを笑ってんのよこんな時に!」
すると一夏が突然ゆっくりと前に出る。
一夏
「そうか、…そうだったな」
刀奈
「なにやってるの一夏くん!」
だが一夏は歩みを止めず、とうとう火影達よりも前に出る。その際一夏はふたりに小声で話しかけた。
一夏
「…火影、海之。締めを頼むぜ」
火影
「…何!?」
海之
「お前…!」
ムンドゥス
「…先に冥府を見たいというわけか」
すると一夏は独り言のように話し始めた。
一夏
「…火影と海之から俺の身体の事、そして父さんや母さん達がやったことを聞かされた時、正直自分の人生をちょっとだけ恨んだよ…。なんでこんな目にあわなきゃいけねぇんだって。なんで俺と千冬姉だったんだって…。四年前俺が誘拐された時も、そしてISを動かしたのも、全部政府の企みだったって聞いて…正直なんて言ったらいいのかわからなかったよ…」
千冬
「一夏…」
束
「いっくん…」
ムンドゥス
「人間の遺言に貸す耳はない…。消えろ」ギュオォォォォ!!
そしてムンドゥスは手に力をためる。だが一夏は逃げない。
箒
「一夏!!」
一夏
「でも過去は変えられねぇし、父さん達がやった事を覆す事もできねぇ。…だからせめて」ドゥンッ!
そして一夏は飛び上がった。
セシリア
「一夏さん!?」
オータム
「何やってんだあのクソガキ!」
マドカ
「一夏!!」
ムンドゥス
「…死ね」
そしてムンドゥスの光が一夏に向かって放たれようとした時、
一夏
「ポジティブに考える事にしたぜ。俺が…四年前誘拐されたのも…ISを動かせるようになったのも…そしてDNSに操られたのも、全てはこの時のためだったんだって!!」
ドクンッ!!!
火影・海之
「「!!」」
ムンドゥス
「…何?」
火影と海之は一瞬驚愕した。一夏から凄まじい魔力を感じ取ったのだ。それはムンドゥスも同じだった。
(持っていきな。一度きりのとっときだ)
一夏
(悪かったなネロ!すっかり忘れてたぜ!お前が残してくれたやつを!)
白式の全ての武器が使用不能になっている中、ひとつだけ例外があった。
一夏
「…くらえぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
ズドォォォォォォン!!!
一夏の右腕から何かが飛び出してきた。それは一見……巨大な悪魔の腕。
千冬
「!!」
箒
「い、一夏!」
セシリア
「な、なんですのあの腕は!?」
ムンドゥス
「…!」ズドン!
ムンドゥスはそれを迎撃しようと光を放つ。
ドガァァァァァン!!……ズドンッ!!
しかしその腕は無傷のまま破壊されず、引き続きムンドゥスに迫ってくる。
ムンドゥス
「何!…ちっ!」ドンッ!!
一夏
「逃がさねぇ!」
今度は高速で避ける。しかし悪魔の腕は逃げるムンドゥスを追跡する。
束
「!…まさかデビルブレイカー!?」
シャル
「で、でもどうして!?武器は使えない筈じゃ!」
火影
「あの腕は…まさかあいつの!」
海之
「…!!」
火影と海之はそれがどういうものなのか気付いた様だ。やがてどこまでも追いかけてくるのにしびれをきらせたムンドゥスは、
ムンドゥス
「小癪な真似を…。今度こそ消滅させてくれるわ!」ギュオォォォォォ…!!
再びエネルギーを溜め、狙いをその腕を操る一夏自身に向ける。
クロエ
「!」
刀奈
「まずい!一夏くん逃げなさい!」
一夏
「おぉぉぉぉぉぉ!!」
ムンドゥス
「消え去るがいい………!」
ガキィィィィィィィィィン!!!
するとその時、ムンドゥスの背後から何かが斬りかかる様な衝撃があった。しかし寸前でムンドゥスは気付き「
ムンドゥス
「…貴様は…!」
ル―ヴァ
「……」
海之に倒され、瀕死のまま放置されたルーヴァだった。
クロエ
「あれは!」
ラウラ
「黒い…Sin・ウェルギエルだと!?」
簪
「…も、もしかして…!」
スコール
「…まさか…ルーヴァなの!?」
シャル
「る、ルーヴァって…あの前に戦った!?それが何でムンドゥスに!」
ムンドゥス
「バージルも倒せなかったがらくたが…何の真似だ!」
ムンドゥスはルーヴァに問いかけると、
ルーヴァ
「…俺は、誰にも支配されない!」
海之
「貴様…!」
ルーヴァ
「勘違いするなバージル、貴様に感化されたのではない。俺は…力そのものだ!」
ガシィィィィィィィィ!!
その時、一瞬気がそがれた隙に一夏の悪魔の腕がムンドゥスとルーヴァをまとめて掴んだ。
ムンドゥス
「!!」
ガキキキキキキキキキ!!!
そしてそのまま凄まじい握力で握りかかる。ムンドゥスの黒い盾は耐えているが後ろにいたルーヴァはもう全壊寸前だった。
ルーヴァ
「…バージル、…いや、海之…。さらばだ…!」
ドガァァァァァァァァァン!!
そしてとうとう身体が耐えられなくなったルーヴァはそのまま爆発した。
海之
「!」
簪
「ああ!」
千冬
「ルーヴァ…」
一夏が放った悪魔の腕の様なデビルブレイカーはそのまま引き続きムンドゥスを握りしめる。
一夏
「うおおおおおおおおお!!!」
ムンドゥス
「…どういう事だ。この妙な腕からも魔力…しかも奴の力を感じるだと!?」
ムンドゥスの頭にはある者の存在が浮かんでいた。彼にとって決して忘れる事が出来ない存在。自らの全てを否定した始まりの存在。
デビルブレイカー「デス・ブリンガー」
電脳世界で一夏が去り際にネロから渡されたデビルブレイカー。ブレイクエイジのみで使用可能で一度きりしか使えない。機械造りの巨大な悪魔の腕が対象を捕獲し、凄まじい握力で握り潰して破壊する。見た目はDMC4のネロの右腕だった悪魔の腕に近く、材質の一部にネロの血と細胞が使われている。デビルブレイカーの生みの親にとって最高傑作らしいがこれを使うだけの悪魔に出会う事がなかったためネロは生涯使う事は無かった。……というのは表向きで本当は勝手に血と細胞を取られたため酷く不機嫌になり、意地でも使わないようにしていたかららしい。
ムンドゥス
「………そうか。…時を超え…世代を変え…世界を違え、そして腕だけとなっても…どうあっても余の邪魔をしてくれるというのか。……この
火影・海之
「「…!!」」
ムンドゥスがそう叫ぶ中、火影と海之は一夏の背後にあるふたりの人物の幻が見えた様な気がした。アンジェロ・クレドを模した百式・駆零弩にあの時のネロの腕を見て。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガ…ビキッ!!
その時、ムンドゥスの黒き盾にほんの少しだけだが異音が走った。まるでヒビが入った様な音。だがそれは一夏のデス・ブリンガーも同じく、既にあちこちに負荷からくるヒビが入っていていつ砕けてもおかしくなかった。
一夏
「砕けろおおおおおおおおおおお!!!」
ムンドゥス
「人間ふぜいがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドガァァァァァァァァァァァァァンッ!!!
そして先に砕けたのは……一夏のデス・ブリンガーだった。
一夏
「ぐああっ!!」
箒
「一夏!!」
セシリア
「そんな…一夏さんのデビルブレイカーが…壊れてしまった」
マドカ
「まずい!一夏逃げろ!」
ムンドゥス
「小僧が…こざかしい真似しおって…。だがそれまでだ!」
ムンドゥスは盾を解除して一夏を再び狙おうとした、が、
一夏
「…へへっ!俺がお前を倒せるなんて思っちゃいねぇさ!お前を倒すのはあいつらだぜ!!」
ムンドゥス
「…!!」
ムンドゥスは一夏のその言葉にハッとし、見た。先ほどまでいた火影と海之が……いない。
海之
「…この切っ先に、真に一擲を成なして乾坤を賭せん…」
簪・ラウラ
「「海之(くん)!!」」
千冬
「海之…頼む!」
そして気が付くと…伊邪薙と幻影刀を構える海之とその残影が取り囲んでいた。
ムンドゥス
「バージル!!」
海之
「刮目するがいい。次元斬…滅!!」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
一斉に襲い掛かる海之の力を全て込めた次元斬の嵐。それが先ほど一夏が与えた傷の一点に集中する。そして、
ガガガガガガ……バリィィィィィィィィィンッ!!!
凄まじい爆音と共に、ムンドゥスの「
ムンドゥス
「何ぃぃ!?」
クロエ
「やった!シールドが…壊れた!」
海之
「火影!!」
火影
「おお!!」
海之の言葉にこたえる火影。いつでも攻撃できるようミラージュソードを全開にし、手には魔剣ダンテを握りしめていた。加えて海之の幻影剣も浮かんでいる。
鈴
「行きなさい火影!!」
シャル
「火影!お願い!」
一夏
「火影!行けぇぇぇ!!」
火影
「てめぇのジョーカーは見せてもらった!今度はこっちの番だぜ!!」ドゥンッ!!
火影はダンテを前に出したまま全ての幻影剣をまとい、真・ディープスティンガーで突撃した。目指すは一点、ムンドゥスのコアのみ。
ムンドゥス
「ダンテェェェェェ!!」
火影
「うおおおおおおお!!」
ズドォォォォォォォォォンッ!!!
全ての力を籠め、火影はムンドゥスにぶつかった。黒き盾もシールドも張っていない。この一撃には耐えられそうもなかった……筈だった。
火影
「………何!?」
だがその剣は止められた。ムンドゥスのコアに届く寸前に、見えない壁の様なものに。
ムンドゥス
「…残念だったな」
海之
「何!」
セシリア
「火影さんの剣が…弾かれている!?」
スコール
「あ、あの一撃を止めるなんてどうやって!?」
束
「!…絶対防御か!」
ムンドゥス
「ふっふっふ、その通り。これも貴様らから得たものだ。ダンテ、貴様の言った通り、切り札は最後まで残しておくものなのだろう?」
千冬
「くっ…まさか絶対防御まで!」
火影
「ならそれごとぶっつぶすだけだ!」
ガガガガガガガガガガガガ!!
火影は突破しようと全力で突き進むが……まるで通らない。
ムンドゥス
「無駄だ。これは
ガシッ!!
するとムンドゥスは火影を掴んだ。
ムンドゥス
「そしてダンテ、貴様を滅ぼせるのも今が絶好の機会というものだ」
ドゴォォォォッ!!ドゴォォォォッ!!……
ムンドゥスの拳が火影の頭部に直撃し、殴り続ける。
火影
「ぐあ!!ぐっ!!」
一夏
「火影!!」
鈴
「火影離れて!お願い!」
火影
「くっ…ダメ、だ!今を逃す手は、ねぇ!」
箒
「火影!!」
火影
「いいから…どっしり構えて、ぐほっ!!ろ!…うおおおお!!」
海之
「くっ、次元斬の反動が…!」
攻撃をずっと受けながらも火影は剣を止めない。海之もまた全力の次元斬・滅の影響か動きが鈍くなっていた。
ムンドゥス
「…頭部では無理か。ならば」ヴゥンッ!
ムンドゥスの人差し指から「
ムンドゥス
「力衰えようとも一本程度ならばどうとでもなる」
ドスッ!!ザクザクザク…
その光は火影の腹を貫いた。そしてそのままゆっくり心臓の方に向かう。
火影
「ぐぅぅぅっ!!」
ムンドゥス
「じっくりじっくりと走らせ、貴様の心の臓を貫いてくれるわ!」
シャル
「火影お願い!逃げてぇ!!」
皆は火影に逃げろと叫ぶ。鈴とシャルにいたってはとっくに涙を流している。だが火影は、
火影
「ぐっ!…親父は、スパーダは、命がけで母さんを守った。そして母さんは…俺を。俺がここで逃げたら…あの世でふたりに怒られちまうからよ…!」
千冬
「火影!!」
束
「ひーくん!!」
ムンドゥス
「安心するがいい。貴様の大事な者達もすぐに後を追わせてやる」
そしてムンドゥスの光が心臓に達するまで残り数センチに迫った。
火影
「ぐっくっ!」
(くそ…もう意識が…!)
この時火影は痛みからの軽度の錯乱状態に陥っていた。目の前のムンドゥス、光り輝くアルダ・スパーダの輪郭を見て、心の中である事を思っていた。
火影
(…親父…!アンタ…悔しく、ねぇのか…!アンタは…母さんを、人間を…守るために…故郷を…捨てて、まで、戦ったんじゃ、ねぇのか…!こんな野郎に…姿を、真似されて…しかも、守ろうとした、人間を滅ぼされようと…してる、ってのに…!悔しく、ねぇのか…!……答えろ!……親父ぃぃ!!!)
それは火影の心の叫びだった。そしてムンドゥスの光が心臓まであと一cmにまで迫っていた。
ムンドゥス
「…終わりだ。…ダンテ」
一夏
「火影!!」
海之
「!!」
火影
「ちっ…くっ…しょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!!」
一夏が作った傷と海之が開けた風穴。そして皆の想いの全てを乗せた火影の一撃。しかし無情にもムンドゥスの絶対防御はそんな決死の一撃をも弾く。痛みに苦しみ、意識が朦朧としながらも剣を放さない火影。するとその時、彼の心の叫びに応えるかのように火影、そして海之のコアが輝き始め、ふたりの耳に、懐かしい声が響く…。
Nextmission……「届いた声」
命散ったあの時、彼女は何を思っていたのか…。
※次回は来月8(土)になります。
本回で年内の投稿は最後になります。年内にはこの戦いを終わらせたいと思っていましたがハプニングが続いて思い通りいかず、長く続いてしまって申し訳ありません。また二週間後になりますがよろしくお願い致します。予定では来年の2月位にはこの作品を完結させる予定です。残り数話、どうか本作完結までお読みいただければ幸いです。
今年一年ありがとうございました。皆様よいお年をお迎えくださいませ。