IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
……しかしムンドゥスの絶対防御は無情にもそれを弾き、逆に追い詰められてしまう火影だった……のだが。
火影
「………………………!?」
火影が目を開けるとそこには今までとは違う空間が広がっていた。宇宙空間だったのがうっすらと白い靄がかかっている辺鄙な場所と周りの環境もまるで違う。更に目の前にいたはずのムンドゥス、さらに仲間たちも消えている。
火影
「…何があった?…俺は…死んだのか?」
海之
「違うと思うぞ」
火影
「! 脅かすなよ…」
そこには何故か海之もいた。更に気づいたが自分達のIS、そして悪魔還りが解除されている。
火影
「何があったんだ?」
海之
「…覚えていないのか?お前が奴の光に心臓を貫かれようとした時…」
…………
ムンドゥスの光の糸は火影の心臓まで残り一cmに迫っていた。
ムンドゥス
「今度こそ終わりだ。…ダンテ!」
一夏
「火影!」
海之
「…!」
火影
「ちっ…くっ…しょおおおおおおおおお!!」
………パァァァァァァ!
その時突然火影、そして海之のコアがやんわりと輝くのだった…。
…………
海之
「お前だけでなく俺のコアも輝き始めた」
火影
「そしたらこうなった訳か。……ここはどこだ?またいつもの場所か?」
海之
「……見た所コアの内部に近いがあいつらの気配はないな」
海之のいう通り、そこは一見コアの内部に近いが何故かそうは思えなかった。周りに彼らの仲間の気配もない。
火影
「……しかしなんだろな。なんかそれとは別に見覚えがある気がすんだが?」
海之
「……そうだな、何故か俺もそう思う。まるで昔」
?
「当然でしょ?前に通ってるんだから」
火影・海之
「「!」」
その時ふたりの真後ろから声があった。ふたりが振り向くとそこには……ひとりの少女がいた。
少女
「ふふ、お久しぶりね♪元気だったかしら?」
そしてその少女に…火影と海之は見覚えがあった。
海之
「お前は……そうか」
火影
「あん時のアンタか。何時ぶりだ?俺らがあの世界に行く時だから…もう18年か?」
そう。その少女は火影と海之がダンテとバージルだった頃、死後自分達をこのISの世界に送った少女だった。
少女
「そうね、それ位になるわね。どうあの世界は?結構楽しんでいるみたいに見えるけど」
火影
「……そうだな。まぁ思ったよりは楽しんでるかもな、いろんな意味で」
少女
「それは何よりね。ガールフレンドも沢山できていい感じじゃない。前世からしたら想像もできないわね。貴方もバージルも」
すると海之がその話を区切る様に強めに言った。
海之
「そんな事を話すために奴との戦いに割って入ったのか?要件があるのならばさっさと言え。でなければ俺達を戻せ」
少女
「あら~相変わらずつれないわね~。せめてもう少し再会を喜んでくれてもいいのに~」
火影
「…そうしたいとこだが今回は俺も同意見だ。何の用だ?救ってもらっといて悪く言うのはなんだが世間話をするために俺達の前に現れたんじゃねぇんだろ」
少女
「貴方もつれないわね~ダンテ。いやもうダンテじゃないのか。火影だったわね。…ま、確かに今はそんな場合じゃないわね。時間は止めてあるけど貴方達の気持ちもわかるし、本題に移りましょっか」
そして少女が姿勢を整えると先ほどまでの様なふざけた気配が消えた。
火影
「!…ほう、さっきまでとは気配が違うな。それが神の御力、ってやつか?」
少女
「前にも言ったでしょ?私は神様ではないけどそれに近い存在って。…今回来たのは他でもない。貴方達に謝罪したい事があってね」
海之
「…謝罪だと?」
少女
「そ。私が貴方達をこの世界に転生させたのは…ただ単に貴方達に第二の人生を送ってほしいからじゃない。本当の目的は別にある」
すると少女が続ける前に、
火影
「アルゴサクス、そしてムンドゥスを何とかしてほしかったからか?」
少女
「……やっぱり気づいていたのね」
海之
「気付かん訳がない。奴があの世界にいると分かった時から予想はできた。だがその答えを聞く前にこちらも聞きたい。…何故アルゴサクスを転生させた?よりによってあの世界に」
少女
「生まれ変わるのに善人も悪人も関係無い。命は死ぬと魂は洗われ、新しい肉体になって再び生まれ変わってくる。でも誰が生まれ変わってどの世界に生れ落ちるかは…私達にもわからない。貴方達は反則すれすれの特別」
火影
「…アンタじゃないのか?てか神様にもわかんねぇのか?」
少女
「神とて万能ではないのよ?それは人間の勝手な想像。世界の摂理には逆らうことはできない」
海之
「摂理…。均衡を正す力、とやらか…」
少女
「ともかくアルゴサクスという悪魔、彼が生まれ変わり、あの世界に転生した事は私達にも全く予想できなかった事。でも安心はしていたの。さっきも言った様に彼は記憶も力も何もかも無くしていたし、このまま何もなければ健全な人間として一生を終える筈だった…」
火影
「だが聞いた事があるぜ?世の中には前世の記憶を残したまま生まれ変わってきた人間もいるってな。本当かどうかは怪しいもんだが」
海之
「それを言うならば俺達もだろう?」
少女
「確かに。でもそんな事は本当に極々稀だし、美化されたものが殆どだわ。例え思い出してもその世界に大した影響はない。例えアルゴサクスでもあの世界ではね」
そしてここで海之が核心とも言える事に触れる。
海之
「だが…奴が現れた事で事態は急変してしまった…」
少女
「……ええ。あの…「ムンドゥス」という悪魔が次元の壁をこじ開け、本来存在しない筈のISの世界に出現してしまった。そのせいでアルゴサクスは人としてのまま前世の記憶を取り戻しただけでなく、魔力を持ち、更にムンドゥスがいなければ本来起こる必要もなかったかもしれない事件まで起こってしまった…」
火影
「アインヘリアル計画…」
そして火影は思った。もしかしたら…父と母が亡くなったあの飛行機事件も起こらなかったかもしれないと。
少女
「ある筈のない存在同士の会合、そして幾多の事件。更にこのまま放っておくと将来必ず起こる世界の結末。このままでは本来あるべき世界の均衡が本当に崩れ落ちてしまう…。でも私達にはどうすることもできない。神自身が直接世界へ干渉する事は絶対にやってはならない事なの」
火影
「…だから俺達、って訳か」
少女
「ええ。貴方達ならばこの歪みを正し、元凶たる存在をなんとかしてくれるかもしれない。そう思って私は貴方達をあの世界に送ったの。私が行使できる全ての事を使い、嘗ての貴方達の力や記憶もそのままに…」
火影・海之
「「……」」
自分達の転生の意味を知り、ふたりは黙る。
少女
「ごめんなさい。貴方達を騙す様な事をして…。でも彼にはもう力は残っていなかったし…」
火影
「…彼?」
海之
「もうひとつ聞こう。仮に俺達がお前の目的をかなえたとして俺達はどうなる?役目御免であの世界から消えるのか?」
すると少女は首を横に振りつつ、
少女
「貴方達があのアルゴサクスやムンドゥスと同じ様な考えを持ち、世界を破滅に導こうというのならば送った私の責任として消す事は出来なくないけど…」
火影
「物騒だな」
少女
「もしもの話よ。…でも貴方達はもうあの世界、特に周りの人にとってかけがえないものになっている。中には貴方達の傍が自分達の居場所としてる位。そんな人を消せるわけないじゃない」
火影
「それを聞いてちょい安心したぜ」
話を終えると少女は再び姿勢を正し、
少女
「…お願い。英雄スパーダの息子であり、今はあの世界に生きる者達。あの世界を救って。あるべきでない存在である邪悪なるものを…邪悪なる神を打ち倒して…」
ふたりに正面から向き合って頼んだ。
海之
「頼むのは簡単だが状況は極めて不利だぞ?もう俺達は満身創痍だからな」
少女
「…ええ。だから今回は貴方達にとって最高の薬ともいえるものをお連れしたわ」
火影
「俺達にとって最高の薬?」
海之
「連れてきた…とは?」
?
「…ダンテ…バージル…」
火影・海之
「「!!!」」
するとその時、火影と海之の背後から自分達の昔の名を呼ぶ声がした。そして火影と海之はその声に激しく動揺していた。しかし不安やそんなものではない。何ともいえない温かみみたいなものがこみ上げて来るような、そんな気持ちだった。ふたりがゆっくり振り向くと、
女性
「……」
そこにはひとりの女性が立っていた。髪は長い金髪で赤い服を着ている。
火影・海之
「「……」」
ふたりは信じられないものを見ている様な表情をしながらもその女性にゆっくりと近づいていく。その後ろで少女は気づかれない様にゆっくりと姿を消した。
火影・海之
「「……」」
その女性をすぐ前にしてもふたりは何も言わない。なんと声をかけるべきかわからない様子であった。そんなふたりに女性が声をかける。
女性
「久しぶりね…ふたり共。あと…大きくなったわね」
海之
「…わかるのですか?」
女性
「当り前じゃない。例え大きくなったとしても…自分の子供を見間違える訳ないわ」
火影
「……母さん」
ふたりの前にいるのは…嘗ての自分達の母であり、火影を救い、海之を探して息絶えた…エヴァであった。もう100年以上は経つ親子の再会である…。
エヴァ
「貴方達の事…ずっと見ていたわよ。子供の頃から相変わらず喧嘩ばかりしてたわね」
火影
「マジか…。みっともねぇとこみせちまったな」
エヴァ
「本当よ。特にダンテ、貴方のあの生活ぶりには呆れたわ全く。一時期とはいえ、電話も電気も水道も全て止まるってどういう事なの?」
火影
「はは…まぁ今思えば確かにあれは酷かった…。でも安心してくれ。もう絶対しねぇから」
海之
「……教えてくれ。何故貴女がここに?」
するとエヴァは、
エヴァ
「貴方達に伝えたい事があって…。そして…謝りたい事もあったから」
火影
「…謝りたい事?」
エヴァ
「ええ…。ふたりとも覚えてる?昔、私達の家が悪魔に襲われた時の事を…」
生まれ変わってもあの時の事は忘れる訳はなかった。全てが変わってしまったあの日の事は…。
エヴァ
「ダンテ、バージル。貴方達には伝えていなかったのだけれど…私はあの人が、スパーダが姿を消した理由を知っていたわ」
火影・海之
「「!」」
エヴァ
「でも…あの時私達の家が襲われた時、私は察した。あの人の目的は、願いは果たされなかったのだと。そしてあの日、…ダンテ、私が貴方をクローゼットに隠してバージルを探しに行った直後に…私は悪魔に殺されてしまった…」
火影
「…ああ」
エヴァ
「あの時私は思った。自分の命なんてどうでもいい、貴方達さえ無事ならば…って。そして…貴方達がどうか全てを忘れて…悪魔なんて関係ない、新しい人生を始めてくれる様に…。でも貴方達は…あの人と同じ様に…悪魔との戦いに身を投じていってしまった…」
エヴァはそれが苦痛だった。息子達には戦いとは無縁な世界で生きてほしかった。スパーダの息子である彼らにとってそれがどれだけ難しいとわかっていても…死の時までそう願わずにはいられなかった。母親として…。
火影
「…俺は母さんとの約束を一度は守ろうとしたんだけどな。…でも無理だったよ。名前を変えても住処を変えても人から離れても…俺が、俺達がスパーダの息子である以上は、奴らは必ず追ってきた…」
エヴァ
「…だからダンテに戻ったのね」
火影
「奴らの目を俺に向けさせるためにな…。そうすりゃ少なくとも周りへの被害は減らせる」
海之
「……」
火影とは対照的に海之は黙ったまま。するとエヴァは海之の頬に手を当てた。
エヴァ
「バージル…。私は…貴方を見つける事ができなかった。そのせいで…貴方は沢山苦しんでしまった…。貴方とダンテが戦う事になってしまったのも…元はと言えば貴方達を守り切れなかった私のせい…」
海之
「……」
エヴァ
「本当にごめんなさい…。痛くて、辛かったでしょう。貴方は…貴方は何も悪くないのに…」
エヴァは海之を守れなかった事をずっと悔やんでいた。きっと恨まれているに違いないと思いつつもずっと謝りたかった。そんなエヴァに対し海之は、
海之
「…貴女の気持ちはわかっている。心配はいらない」
安心してくれという様に穏やかの声でそう言った。
エヴァ
「!……ありがとう」
火影
「母さん、俺とバージルのケンカは母さんは何も悪くないさ。俺達自身の責任だ」
海之
「ダンテの言う通りだ。俺の…弱さが招いた事。貴女に罪はない」
火影
「それにもうケンカばかりしてる訳にはいかねぇ…。俺にもこいつにも、守らなきゃいけねぇもんが前より大分増えちまったからな」
海之
「ああ。負ける訳にはいかない。俺は…あいつらを死なせたくない」
エヴァ
「…ダンテ…バージル…」
するとエヴァは自分よりも大きい身体のふたりをそっとその手で抱きしめた。
エヴァ
「その優しさと誇り高い魂。生まれ変わったといっても、やっぱりあの人の子供ね」
火影・海之
「「……」」
エヴァ
「もう私は何も言わない。ダンテ…いえ火影、そして海之。……戦いなさい。そして守ってあげて」
海之
「……」コク
火影
「そう言われたら頑張らねぇ訳にはいかねぇな。…てか親父はいねぇのか?絶対母さんの傍にいるって思ってたのに。まぁ親父なら下手すると地獄にいるかもしれねぇけどな、ハハ」
エヴァ
「……」
パァァァァァァ……
そしてふたりの姿がゆっくりと光始める…。
エヴァ
「これで本当にお別れね…。貴方達にもう一度会えてよかった…」
火影
「必ず…全てを終わらせる。約束するよ…」
海之
「…ありがとうございました。……母さん」
パァァァァァァ……
そしてふたりの姿は…エヴァの腕の中からゆっくりと消えていった…。
エヴァ
「……」
すると彼女の傍に再び少女が現れた。
少女
「教えてあげなくてよかったの?」
エヴァ
「…ええ。あの人はきっと望まないだろうから…」
少女
「…そう」
エヴァ
「それよりもごめんなさいパティさん。あの子が生前沢山迷惑をかけた様で」
パティ
「ふふ、別にいいわよ。アイツのおかげでお母さんにも会えたんだし、それに楽しかったし」
そこには穏やかに笑うふたりがいるだけだった。
エヴァ
(これでいいのよね。……貴方)
…………
ムンドゥス
「今度こそ終わりだ。…ダンテ!」
一夏
「火影!」
ムンドゥスの光が火影の心臓を貫こうとしていた…その時、
ガシッ!…ズガンッ!!
剣を持っている手とは反対の手で光の剣を掴み、握りつぶしてへし折った。
火影
「…ああ。但してめぇがな」
鈴
「火影!」
束
「ひーくん!」
箒
「あの光を掴んで折っただと!」
ムンドゥス
「! 馬鹿な…。今の貴様のどこにそれ程の力が…!」
火影
「…俺らには天使がついているのさ。悪魔を守る天使がな」
ガシッ!!
その時、火影の魔剣ダンテを掴むもうひとつの手があった。
海之
「そして今の貴様には…これが限界だ」
簪
「海之くん!」
千冬
「あ、あいつ何時の間に!?」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガ!!
火影と海之の力が魔剣ダンテに集まり、ムンドゥスの結界を圧す力が更に強くなる。まるで何か特別な力が働いているかの様に。
セシリア
「す…凄い力ですわ!」
シャル
「これなら…これならいけるかもしれない!」
ラウラ
「ふっ…やはり私の家族は大した奴らだ…!」
刀奈
「行きなさいふたり共!」
クロエ
「お兄ちゃん!!」
マドカ・スコール・オータム
「「「…!!」」」
海之
「さっさと終わらせるぞ。本当のメインイベントがまだだ。俺達の決着がな」
火影
「やれやれ、弟を助けたいなら素直に言えばいいのによ。もうちょい正直な兄貴ならな」
海之
「お前こそ口数が減らない生意気な弟でなければな」
ムンドゥス
「…貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ムンドゥスの結界を圧す力が更にどんどん強くなっていく…。
一夏・千冬・箒・セシリア・鈴・シャルロット・ラウラ・簪・刀奈・クロエ・マドカ・スコール・オータム・束
「「「いっけえええええええええええええええええええええ!!!」
火影・海之
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ……ピシッ!!
ムンドゥス
「!!!」
海之
「今回を最後という条件でお前に付き合ってやる」
火影
「へっ、そりゃどうも。ミスんなよ!」
そしてふたりは揃ってあの台詞を言った。子供の頃からの決め台詞を。
火影・海之
「「
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
そして火影と海之が持つ魔剣ダンテが…ムンドゥスの身体とコアを真っ二つにした…。
二度と出会う事叶わないと思っていた母エヴァとの再会。彼女の想いを、言葉を聞いた火影と海之はその身に力を取り戻した。そして仲間の想いを受けたふたりは遂に、魔帝ムンドゥスの身体とコアを貫く。果たしてその結末は…?
Nextmission……「ラストバトルの果てに」
そして彼らは、もうひとつの役割を知る…。
※次回は来月8日(土)の予定です。
皆さんこんにちは。次回は来年予定でしたが何とかもうひとつ上げることができました。次回は少し短めになると思います。
今度こそ今年一年ありがとうございました。来年も宜しくお願い致します。