IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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ムンドゥスの絶対防御を貫いた火影と海之。身体とコア、そして力を失ったムンドゥスは凄まじい断末魔を上げ、消滅していった…。遂に戦いが終わり、オーガスが仕掛けたファイルも束が食い止め、全てが終わった。
……と思った矢先、彼らがいた部屋に凄まじい轟音が響く。その正体はオーガスが「門」を開けた事、更にムンドゥスが死の間際に「扉」を開いてしまった事によるものだった。このままではそう長くないうちにこの世界の魔界と完全に繋がり、大量の悪魔と魔力が流れてきてしまう。誰もがどうすればわからない中、火影と海之は…ある行動を取ろうとしていた。


Mission223 世界を救う者

開かれてしまった「門」と「扉」。そしてラ・ディヴィナ・コメディアの崩壊が迫っているという事実に一夏達は動揺していた。……そんな中、

 

火影

「……やれやれ全く、とんだ後始末を残していきやがったな」

海之

「…ああ」

一夏

「火影?」

「海之くん?」

 

ふたりは互いに魔剣ダンテと魔剣伊邪薙を手にして僅かに開いたままの門に向かい、ゆっくりと歩みだす。

 

セシリア

「おふたり共…?」

シャル

「ど、どうしたのふたり共?」

 

その姿に驚く皆。だが

火影

「でもどうすんだ?今回はあん時の様に樹もねぇから要件あっさりと終わっちまうぜ。退屈しちまうんじゃねぇか?」

海之

「暇つぶしならばやることは決まっているだろう」

火影

「…へへ、だな。やっぱお前も十分ガキじゃねぇか」

海之

「頭は老体でも身体は未成年だからな」

火影

「お前もそういうジョーク染みた事を言える様になったか」

 

火影と海之は互いに話しながら歩みを止めない。そんなふたりを皆が慌てて止める。

 

「ちょ、ちょっと!どこ行くのよふたり共!」

ラウラ

「なぜ剣を出す!何をするつもりだ!」

 

半無理やりに止められ、ふたりは流石に返事をする。

 

火影

「…ああ。ちと一仕事してくるのさ」

「し、仕事だと?」

一夏

「仕事って…もうムンドゥスもオーガスもいない筈だぞ?」

刀奈

「この状況で仕事って……!」

クロエ

「まさか兄さん!」

 

すると火影が頷きながら言った。

 

火影

「…そうさ。ひとつだけある。扉を閉じ、魔界と人界の繋がりをおそらく永久に閉じる方法がな…」

海之

「…ああ」

一夏

「! ほ、本当かふたり共!?」

「それは一体!?」

 

その言葉に希望を見出した一夏達。対して、

 

千冬

「……まさか…お前達…!」

「…ふたり共…」

 

千冬と束は何か思い当たる事が浮かんだのか、悲痛な目でふたりを見る。

 

一夏

「それでどうすればいいんだ!」

海之

「…伊邪薙を使う。俺の伊邪薙は閻魔刀の力を受け継いでいる。閻魔刀の「人と魔を別ける」力をな」

セシリア

「人と魔を別ける…?」

海之

「そしてそれは単に別けるのではなく、人界と魔界を別ける事もできる。お前達もあの映像で見ただろう?」

ラウラ

「そ、そういえば確かに…!」

海之

「力を取り戻した伊邪薙ならばこのまだ開ききっていない扉を塞ぐ事、つまり鍵をかける事は容易の筈だ。扉を塞ぐ事さえできれば門は問題ないだろう」

クロエ

「…確かに扉を何とか出来れば門の役割は事実上無くなりますね」

「で、でもどうすんの?アンタ達は力を失っているんでしょう?」

 

すると次の火影の答えに皆が驚愕する。

 

火影

「…確かに今のままなら無理だ。だから魔界に行って力を取り戻す」

シャル

「! ま、魔界に行くだって!?」

刀奈

「そんな事をして…貴方達は大丈夫なの!?」

火影

「人間のままなら無理だな。でも俺達には悪魔還りがある。向こうにどんな悪魔がいるかは分からねぇが例えムンドゥスの様な野郎がいなくても魔界は魔力の溜り場だ。入れば否が応でも悪魔還りが使える様になるだろう」

一夏

「そ、それじゃあ…!」

千冬・束

「「……」」

 

そしてふたりはこう言った。

 

 

火影

「魔界に行って再び力を取り戻すしかねぇ。その上で…」

海之

「伊邪薙で人界と魔界を別ち、その後…魔界側から扉を閉じる」

 

 

……一瞬場が沈黙し、無音になった気がした。

 

一夏

「…………え?」

「ま、魔界側…から?」

セシリア

「そ、それってどういう事ですの?扉を閉じるという事は…鍵をかけるという事ですわよね?」

「……まさか」

「そ、それじゃあ…ふたりは…」

刀奈

「向こうに…残ったままになるんじゃ…?」

シャル

「どうなるの?…帰って、これるんだよね…?」

ラウラ

「どうなんだ!答えろふたり共!」

 

皆が必死にふたりに問い詰める。すると代わりに答えたのは千冬と束だった。

 

千冬

「……出る事だけならば出来るだろう。しかしこの世界ではその刀の力は発揮できない…」

「向こうから閉じるしかない。つまり…帰ってくる事はできない。…そうだね?」

一夏達

「「「!!!」」」

スコール

「貴方達…」

オータム

「…ちっ」

マドカ

「……」

海之

「その通りです」

火影

「ま、そういう事だ」

 

ガシッ!!

 

すると突然鈴とシャルが火影にしがみ付いた。物凄い力で。

 

「……自分達だけで…もう勝手に行かないって、言ったでしょう!自分を犠牲にするなんて事は…もうしないって言ったでしょう!!」

シャル

「さっき約束したじゃないか!もう勝手に何処にも行かないって!ずっと僕達と一緒にいてくれるって!!」

火影

「…ああしたさ。その約束を果たす前の一仕事だ。これが終わったらもうどこにも行かねぇよ」

「こんな時にまでふざけるな!!」

セシリア

「今しがた言ったではありませんか!扉を閉じたら戻ってこられないと!」

火影

「大丈夫だよ。忘れたか?前の世界で俺達はおんなじ様な状況で帰ってきてたじゃねぇか」

クロエ

「そ、それはそうですが…本当に戻ってこられるのですか!?この世界はあの時とは状況が違う筈!」

海之

「…それは…約束できん。だがこれが唯一の方法だ」

「本当にそれしか方法がないの海之くん!?本当にふたりが行かなきゃいけないの!?」

ラウラ

「そうだ!考えろ海之!私達全員で考えればもっと何か方法が!」

 

いつの間にか既に泣いている簪が海之にしがみつき、ラウラも海之に近寄り問いかけるが、

 

海之

「…そんな時間はない。こうしている間にも奴の開けた扉は少しずつ大きくなっている。もう間もなくで完全に繋がってしまう。そうなればもう簡単には閉じる事は出来ない」

火影

「今が絶好のチャンスって訳さ」

一夏

「千冬姉!束さん!本当に他に手はねぇのか!?ここまで来て…!!」

千冬

「……」

「扉の事は…私にもどうにもできないよ…」

「そんな…」

スコール・オータム・マドカ

「「「……」」」

 

誰もが今置かれている状況に言葉を失っていた。彼女ら以外は。

 

「…ダメ、行かせない。絶対に行かせない!」

シャル

「自分達だけで行くなんて絶対に許さない!火影が行くなら僕達も行く!」

火影

「ふたり共…」

海之

「不可能だ。人間は魔界に存在できない。一度入ってしまえば魔界に取り込まれる。そうなれば助かる術はない。最悪向こうの気にあてられ、悪魔になる可能性もある」

刀奈

「それは…流石に笑えないわね…」

「でも…でも…」

「じゃあいっその事繋がっちゃってもいいじゃない!向こうに悪魔がいるかもまだわからないんでしょ!?魔力が流れてくるだけかもしれないでしょ!?もし悪魔が出てきても倒せばいいじゃないの!」

シャル

「そ、そうだ!僕達で戦えばいいんだ!僕達も強くなってるし、一緒に戦えば!」

火影

「ふたり共!!!」

鈴・シャル

「「!!」」

 

火影のこれまで以上の大きい声に思わず黙る鈴とシャル。火影は真面目な表情でゆっくりと話し出す。

 

火影

「……昔俺らがいた世界は何度も魔界の、悪魔の侵略の危機にあった…。そしてその度…多くの人が死んだ。血が流れた。クリフォトなんてくらべものにならねぇ程のな。俺らも散々戦ったが……全てを救えなんてしなかった。悪魔が出てくるなら戦えばいいとか…言うんじゃねぇよ。そんな事俺もこいつも何より望んじゃいねぇ…。俺達の新たな故郷であるこの世界を、何よりお前らがいるこの世界を…地獄と同じにさせてくれるな…」

鈴・シャル

「「……」」

セシリア

「で、でも…おふたりが私達の世界のために犠牲になるのは…」

海之

「俺達が行かなければこの世界が滅びる。それに犠牲になる気はさらさらない」

クロエ

「海之兄さん…」

 

するとスコールとオータムが口を開く。

 

スコール

「…私には悪魔とか魔界とかわからないけど…そんなもの関係なくこの世はいつか滅ぶわ」

オータム

「ああ。それに地獄なんてものも…結構近くにあるものだぜ?」

千冬

「アレクシア…オータム…」

火影

「…確かに悪魔がいてもいなくても、魔界があってもなくても、世界も人間もいつかは滅びるもんさ。大昔の恐竜から始まり、多くの人種や文明が滅んできた様にな。でもそれに抗う事はできる。その時まで未来を作りたいと足掻くことはできる。延命みたいなもんだとしても。そして大切なもんや失いたくないもんのために、命を懸ける事もできる。昔、自らの命を犠牲にして子供の未来を守ったそんなひとりの女性を知ってる。マドカ、お前にも覚えがあるだろ?」

マドカ

「……」

 

自分の姉妹達の事が浮かぶマドカ。

 

海之

「簪、ラウラ。そしてお前達は知っているだろう?昔の俺は過去と悪魔と、そして自分自身さえもに憎み、力だけを見ていた、なんの繋がりも持たない世捨て人以下のガラクタの様なものだった。未来も世界も、今さえもどうでもよかった。だが…俺の血を引いた者達は、そしてお前達は、俺がどのような存在であると知っても共に生きると言ってくれた…信じてくれた…」

「海之…くん…」

ラウラ

「……」

火影

「鈴、シャル。前に言った事あるだろ?信じることが未来を創るって。お前らが俺達を信じてくれた様に…俺達もお前らを信じてる。だからお前らは俺達にとって…未来そのものだ。俺も海之も、そんな大切なものを壊したくない…」

鈴・シャル

「「……」」

一夏

「火影…海之…」

 

皆はもうふたりを止められないと気付いた…。

 

「………もう、会えないかも…知れないのよ…?」

シャル

「いつ帰ってこれるかも……わからないんだよ?……それでも、いいの…?」

火影

「…それよりもお前らを失うかもしれない事の方が怖ぇんだ」

 

火影はふたりをそっと抱き寄せる。

 

「……何でよ…。何で…アンタ達ばかり…そんな目に、合わなきゃ…いけないのよ…」

シャル

「やっと…やっと終わったって思ったのに……酷いよ…そんなの…」

火影

「必ず帰るさ…お前らのとこに。ああ本音にはちと遅れるって言っといてくれ。あと…待ちくたびれちまったら捨ててくれても構わねぇ。でもどうせなら…待っててくれ…」

「………本当に…どこまで、可愛い…奥さん候補を泣かせたら…気が済むのよ…!私達が…どんな気持ちか……知ってる、くせに…!」

シャル

「早く…帰ってこなきゃ…許さないんだから。……おばあちゃんになる前に…帰ってこなきゃ……絶対…絶対、許さないんだから…!」

火影

「……わりぃ」

 

涙が止まらない鈴とシャルを宥める様に謝る火影。

 

海之

「…簪、お前が授けてくれた刀…壊してしまった。俺の力不足だ…許してくれ…」

 

瑠璃月を壊してしまった事を謝罪する海之。だが簪は鈴達と同じ様に泣きながらしがみつき、

 

「……そんなの…どうでもいいから…。海之くんお願い…無事に、絶対…帰ってきて…。私、海之くんがいなきゃ…貴方がいなきゃ…駄目なの…。だから…だから…」

海之

「……ありがとう。……ラウラ、お前は」

 

するとラウラは指を海之の口元に持ってきて言葉を遮る。

 

ラウラ

「お前は戦士…。そして私が選んだ男だ。お前と私の間に…一時の別れの言葉などいらん…。戦士の伴侶とはそういう…ものだ」

海之

「……」

 

ラウラの言葉はいかにも無理をしていた。すると海之は何も言わず、ラウラも簪と同じように引き寄せた。

 

海之

「言葉はなくとも伝え方はある」

ラウラ

「……~~~」

 

こらえ切れずラウラもまた静かに泣いていた。

 

火影

「…一夏、マドカ。お互い仲良くするんだぜ?」

一夏

「火影…」

ラウラ

「……」

火影

「箒、セシリア、刀奈さん。…頑張れよ。壁は中々手ごわそうだぜ?」

「…つまらん事言いってないで…早く終わらせてさっさと帰ってこい!」

セシリア

「おふたり共…、どうか無事の帰還を…」

刀奈

「…任せなさい。私に…不可能はないわ」

火影

「…クロエ、料理頑張れよ。俺達の妹なんだからもっとうまくなれるさ」

クロエ

「…火影…お兄ちゃん…」

火影

「…先生。迷惑をかけますが…あとを頼みます」

千冬

「……」

火影

「…束さん。頑張れよ」

「……うん。モチだよ」

火影

「…スコ、いやアレクシア…オータム。…生きろよ。お前らの人生もこれからなんだしな」

アレクシア

「……」

オータム

「…うるせ」

 

全員と挨拶を交えた火影。そして、

 

海之

「…千冬さん」スッ…

 

海之は千冬の名を呼び、手を伸ばす。

 

千冬

「……」

 

千冬は何も言わず手を伸ばし、海之の手を取り、握手をした。

 

海之

「幸運を」

千冬

「……お前達もな」

 

千冬は静かに、何度も頷き、礼を言った。

 

 

~~~~~

その時、その場所がわずかに揺れた。

 

クロエ

「今の振動は…!」

刀奈

「とうとうこの部屋まで崩壊の影響が出てきたっぽいわね…!」

火影

「もう時間がない。ああそうだ、こいつを本音に返してやってくれ。助かったってな」

 

火影は本音の銃「アルバ」を鈴とシャルに託した。

 

鈴・シャル

「「火影…」」

海之

「さぁ…行け」

簪・ラウラ

「「海之(くん)…」」

一夏・千冬・箒・セシリア・刀奈・クロエ・束・アレクシア・オータム・マドカ

「「「……」」」

 

そしてふたりは再び門に向かって歩き出し、その手前まで来たところで振り返り、皆に向かって、

 

海之

「…また会おう」

火影

「じゃまたな…皆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして馬鹿兄貴」

 

 

ドゴォォォォォォォォォォッ!!!

 

 

海之

「!!」

一夏達

「「「!!!」」」

 

火影の全力の肘撃ちが海之に直撃した。そして倒れ込む直前で火影は海之の手に持つ伊邪薙を抜いた。完全に不意討ちを食らう形になった海之は倒れ込み、そのまま気絶してしまった。海之に駆け寄る簪とラウラ。

 

簪・ラウラ

「「海之(くん)!!」」

火影

「…やっぱこいつは俺のリベリオンを吸収してるから俺にも抜けるな。登録していなくて良かったぜ…」

千冬

「火影!お前どういうつもり……!」

「火影…アンタまさか!」

 

すると火影は何時もの余裕ある顔ではっきりと言った。

 

火影

「騙すにはまず味方からって言うだろ?…そうだ、こいつは留守番だ。魔界に行くのは…俺ひとりでいい」

一夏

「!!」

「な、何言ってんの!?アンタひとりで魔界に行くって本気!?」

シャル

「そんな…どうして!!」

 

すると火影は倒れたままの海之を見ながら、

 

火影

「…こいつは…バージルだった時、俺よりもずっと長くひとりで、寂しくて、孤独な戦いを続けてきた。何度も地獄を、悪夢を見てきた…。だからせめてこっちの世界で生きている間は……俺よりも一分一秒でも長く、平和な時を過ごすのも…少しでも幸せってやつを実感すんのも…戦いから解放されんのも……悪くねぇだろ」

刀奈

「火影くん…貴方…」

セシリア

「で、でもそれじゃ火影さんだけが魔界に取り残される事になりますわ!」

火影

「大丈夫だよ。俺は元デビルハンターだぜ?向こうに悪魔がいるなら退屈はしなさそうだぜ♪」

「ひーくん…」

一夏

「じゃ、じゃあ俺が代わりに行く!」

「一夏!?」

一夏

「DNSで変化した白式なら行けるかもしれねぇ!俺も一緒に」

 

すると一夏の言葉を遮って火影が、

 

火影

「お前がいなくなったら誰が俺の代わりを務めんだ?」

一夏

「!!」

火影

「俺が戻るまであいつらを任せるぜ。いいな?」

一夏

「……」

 

そして火影は右手に魔剣ダンテ、左手に魔剣伊邪薙を持って、

 

 

火影

「んじゃ改めて、皆風邪引くなよ?…じゃな!」シュンッ!

 

 

ひとり、魔界に飛び込んでいった…。

 

一夏達

「「「!!」」」

シャル

「火影ぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

一夏

「……」

海之

「………う、…ぐっ、く」

 

すると気絶していた海之が目を覚ました。

 

「海之くん!」

ラウラ

「大丈夫か海之!」

海之

「お、俺は……!!あいつは!?火影はどうした!!」

簪・ラウラ

「「……」」

クロエ

「火影兄さんは……ひとりで魔界に…」

海之

「!…あの野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

怒りに震える海之は直ぐに後を追おうとする。しかし、

 

簪・ラウラ

「「駄目(だ)!!」」

海之

「!!」

 

海之はふたりにしがみつかれて止められた。全力で。ふたりは大粒の涙を流しながら、

 

「火影くん言ってたの!海之くんには自分よりも長く平和な時を過ごしてほしいって!戦いから離れてほしいって!自分が帰ってくるまで!だから火影くんはひとりで行ったの!海之くんの刀も持って!」

ラウラ

「海之!お前の気持ちはわかる!でも今は…あいつの気持ちをわかってやれ!あいつはお前の弟だろう!あいつの強さは誰よりも知っているだろう!ならばあいつを信じろ!必ず帰ってくるって!」

「お願い海之くん!火影くんの気持ちを…無駄にしないで…」

海之

「……」

 

ふたりの必死さに海之は何も言えなくなり、先ほどまでの怒りが消えていく。

 

~~~~~~

すると自分達がいる部屋が振動し始める。

 

スコール

「! まずいわね」

千冬

「全員塔から脱出する!急げ!」

刀奈

「鈴ちゃん!シャルロットちゃん!行くわよ!」

鈴・シャル

「「……」」

 

鈴とシャルは火影の飛び込んだ穴を見ながら呆然としている。

 

「ふたり共!!」

 

ガシッ!

 

マドカ

「待っていると約束したのだろう?ならば…こんな所で死ぬな」

 

マドカはふたりの肩に手をかけて言った。

 

千冬

「マドカ、お前…」

「……」コク

シャル

「……うん」

 

鈴とシャルも立ち上がる。全員が脱出に動く中、海之は黙って門の方を見つめる。

 

「海之くん早く!」

ラウラ

「海之!」

海之

「………っ!!」ドンッ!!

 

迷いを無理やり振り切り、海之も門から離れていった…。

……その後、海之や一夏達は全員崩れ行くラ・ディヴィナ・コメディアから脱出した。塔が完全に崩壊したのは彼らの脱出から約5分後の事であった。そしてイーリス達が派遣した救助隊に合流し、帰還したのだが…何故かそこにスコール、オータム、そして束の姿は無かった…。

 

 

…………

 

???

 

 

海之達が脱出に成功した頃…、

 

火影

「……………よし、これで向こうは…あいつらは無事だな」

 

皆と別れ、ひとり扉に飛び込んだ火影はとある場所にいた。

 

火影

「こういう役目はあいつがやってたから俺は初めてだったんだが結構簡単だったな。ふっ、自分の才能が怖いぜ」

 

何やら自画自賛する火影。……すると、

 

火影

「…そして」

 

 

ザシュゥゥゥゥゥッ!!!

 

 

突然何かが火影に向かって背後から襲い掛かってきた。しかしそれを冷静に手に持つ魔剣ダンテで一閃。斬り捨てる。火影がゆっくり振り返ると、

 

 

「グアアアアア!!」

「ギャアアアア!!」

「ゴアアアアア!!」

 

 

そこには無数の異形な姿をした者達がいた。

 

火影

「見たとこ大した奴はいなさそうだがこっちの魔界にもこんなに悪魔がいやがったか…♪」

 

そう、それは悪魔だった。火影がいる場所はISの世界の裏側にある魔界。火影は海之から得た(奪い取った?)魔剣伊邪薙によって人界と魔界をつなぐ扉を封印し、魔力の流出を完全に遮断した。そんな彼は今悪魔還りを起動した姿、つまり悪魔の姿となり、自分と海之の剣を持って無数の悪魔と対峙しているのだ。一見すると絶望的な絵にしか見えない。しかし火影の声はとても楽しそうだった。

 

火影

「フッフッフ…どうやらこっちも退屈しなさそうだぜ海之よ」

悪魔

「グアアアアア!!」

 

ズバァァァッ!!

 

向かってくる悪魔を再び一閃する火影。しかし悪魔は立て続けに襲いかかってくる。

 

火影

「良いねぇ…、頭の先までガツンとくるこの感覚…。久々すぎて…」

 

ザンッ!!

 

火影

「でもって楽しみ過ぎて…」

 

ザシュゥゥゥゥッ!!

 

悪魔

「「「グオォォォォォォ!!」」」

火影

「…狂っちまいそうだぜぇぇぇぇぇ!!」ドゥンッ!!

 

笑いながらそう叫び、火影は無数の悪魔に向かって駆け出していった…。




全ての想いを受け取り、ひとり魔界に行った火影。
火影の守った世界を生きていく一夏達。
火影の想いを知り、地上に残った海之。
それぞれの生き方を選択した彼ら。そして…時はやや流れ。


Nextmission……「待つ者 そして 帰る者」


※次回は22日(土)の予定です。
いつもより少し早い時間帯の投稿になりました。次回はまた二週間後です、申し訳ありません。あと二、三話位の予定してます。
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