IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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ムンドゥスとオーガスが開けた「扉」と「門」に打つ手がない一夏達。……しかしその時、火影と海之が自分達が魔界から扉を閉じることでこの人界と魔界を完全に遮断すると言い出した。
当然猛反発する鈴や簪達。しかしふたりの決心は変わらなかった。これは自分達にしかできない役割であり、かけがえのないものを守るためにすべき事だと…。ふたりは必ず帰る事を約束し、別れを告げる。
……とその時、火影が海之に不意打ちをかけた。自分よりも長く平和な時を生きろと気絶している海之に言い残し、自分ひとりだけで魔界へと飛び込んでいったのであった…。


終章 Brother
Mission224 待つ者 そして 帰る者①


全ての想いを受け取り、ひとり魔界に行った火影。

火影の想いを知り、地上に残った海之。

火影の守った世界を生きていく一夏達。

それぞれの生き方を選択した彼らであった…。

 

 

 

…………

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

 

そして時はやや流れ…、

 

 

青い髪の少女

「え~…皆グラスOKね?」

 

青い髪の少女の言葉でグラスを上げる数人の女性。それは勿論…。

 

 

刀奈

「それでは…一日遅れだけども、まだ来てない人もいますがIS学園の皆の無事卒業を祝して…乾杯!!」

箒・セシリア・鈴・シャルロット・ラウラ・簪・本音・クロエ

「「「乾杯~!!」」」

 

 

以前より馴染みの喫茶店。ここにメンバーが集まっていた。相変わらずのメンバーが。…この日、正確には前日だが箒達は無事にIS学園を揃って卒業し、お祝い会を開いていた。つまりあのラ・ディヴィナ・コメディアでの戦いから二年の時が経過していたのであった。皆もそれなりに成長し、刀奈もすっかり現役の大学生である。

 

刀奈

「それにしても月日が経つのは本当に早いものだわ~。あの時一年だった皆がもう卒業だなんて~」

セシリア

「本当ですわね。今でも入学したのが昨日のことの様ですわ」

ラウラ

「ああ本当にな。もう数日経てば皆で集まる事も無くなるんだな…」

本音

「心配ないよラウラン~。会おうと思えばいつでも会えるよ~」

「そうよ…とはいってもやっぱり難しいかもしれないわね。皆それぞれの国に帰ったりするんだし、今まで通りってわけにはいかないわ」

クロエ

「そう考えるとやはり寂しいですね」

シャル

「うん。…それに」

刀奈

「シャルロットちゃん、その話は後よ。今はまず純粋に喜ばなきゃ」

「簪、ラウラ。あいつは来れなかったのか?」

「誘ったんだけど…なんでも急な用事ができたらしいの」

ラウラ

「ああ、どうしても外せない用事と言っていたな」

セシリア

「一夏さんは挨拶を済ませてから来るとの事ですわ。もう間もなく来られるかと思いますが…」

 

 

カランッカランッ!

 

 

その時扉を開ける音がした。入ってきたのは、

 

一夏

「悪い悪い、遅くなった」

 

これまた少し成長していた一夏。そして、

 

(マドカ)

「すまない…」

 

マドカもいた。あの一件の後、彼女は名をマドカから「円」と改めていた。一夏達が寮にいる間は織斑宅には誰もいなくなるため、その間は更識の家で保護されている。

 

「おお一夏、円。気にするな。今始めたばかりだ」

刀奈

「遅いわよ一夏くん。さぁここに♪」

セシリア

「刀奈さん!自然に隣の席にお誘いしないでください!」

刀奈

「ぶー」

 

……どうやら彼女らのバトルはまだ続いているようだ。

 

「一夏、千冬さんは?」

一夏

「ああ全然元気そうだったぜ。この後は山田先生が会いに行くって」

シャル

「良かったね。ねぇ明日にでも僕達も行こうよ」

本音

「賛成~♪」

 

とりあえず一夏も適当に座り、改めてお祝い会が始まった。

 

一夏

「にしてももうすぐ皆とはお別れか~。まぁ俺と箒は同じ大学に行くけどな」

「そうだな!目指すものが一緒だから大学でも一緒だ!」

刀奈

「箒ちゃ~ん?私やセシリアちゃんや蘭ちゃんがいないからってくれぐれも人の旦那様に手を出しちゃだめよ~?」

「だ、誰が旦那ですか!」

「篠ノ之箒、千冬からの忠告だ。本気で望みを叶えたいのなら勉学をこれまで以上に疎かにするなよ?だそうだ」

「うっ…この場におられないのにまるでいるように思える…」

「にしても一夏があっちの方に進むとはね~。そして合格するとはね~」

シャル

「試験の時に真っ白になってた頃とは思えないよね~」

一夏

「…ほんっと皆様のご指導ご鞭撻のお陰です…」

刀奈

「私は簪ちゃんが私とおんなじ大学に来てくれて嬉しいわよ。姉妹揃ってまたおんなじ大学なんて夢の様だわ~♪」

「…お姉ちゃん。くれぐれも勉強の邪魔だけはしないでね?」

クロエ

「確か日本でも指折りの大学なんでしょう?流石は簪さんです」

「本音、アンタは確か専門行くんでしょ?」

本音

「うん、保母さんのね~。孤児院やハロウィンのイベント手伝ってから興味が出たの~」

シャル

「そういえばそんな事もあったっけ」

一夏

「とまぁ日本組はまだいいとして…セシリア達は大変だな」

セシリア

「はい…。私は母国の大学に通いながらお家を継がなければなりませんから」

シャル

「それに僕達は代表候補としてIS学園に来ていたからね。卒業したら一旦は国に帰らなきゃ。本当は日本にいたいけど」

「それは私も同じよシャル。あ~あ、ここでの生活も気にいってたのにな」

ラウラ

「私もだ。期間切れとはいえ帰国は残念な事だ…」

「でもラウラ。アンタのとこの軍も少しずつ改革されていってるんでしょ?」

ラウラ

「まぁな。ただ全てが変わったわけではない。シュバルツェア・ハーゼ隊長としてできる限りの事はするつもりだ」

刀奈

「クロエちゃんは?」

クロエ

「私は束様達の所に戻ります」

「…クロエ、すまないがまた姉さんを頼む」

 

どうやら皆それぞれが方向を決めているようだ。そんなやりとりをしつつ、残りの時間をゆっくりと過ごしていった…。

 

 

…………

 

そして思い出話などもしながらある程度経ち、話はあの方に向き始める。

 

「…それにしてもこの二年間の間も結構色々なことがあったな」

ラウラ

「ああそうだな…。本当に色々あった…。中でも教官だ」

「ええ。まさかあの戦いの後に千冬さんが…突然自首するなんて…想像もしなかった…」

一夏・円

「「……」」

 

皆、特に一夏と円が黙る。

実は千冬はあのラ・ディヴィナ・コメディアでの一件が過ぎ、皆が二年に上がる直前の春期休暇の中で警察に自首していたのだった。自分こそが束と並ぶ白騎士事件の首謀者のひとりであり、白騎士を扱っていた張本人だと言って。誰にも告げずに、真耶と海之にのみ伝えていた通りに。ふたりも千冬の決死の意思を組み、彼女の伝言通りその事をあえて誰にも伝えなかった。伝説のブリュンヒルデである千冬の逮捕は世界的に一大的なニュースとして取りあげられた。当然彼女を知る者全員、中でも一夏の動揺は想像以上に凄まじかった。千冬とはいえ事情が事情、重い罰は避けられそうになかった。…だが間もなくしてそんな千冬を救おうと世界中の人達が情状酌量を求める声を上げた。IS学園の者達はもちろん千冬と付き合いがあるイーリスやナターシャ、アリーシャやレミリア等ISの世界でも強い影響力がある人物やドイツでの教え子達、世界中の彼女のファンや更にあの事件で危ない目にあった筈の日本の者達からも声が上がった。その声があまりにも大きくなった事や千冬のこれまでのIS発展の功績、オーガスの打倒なども考慮した結果、刑は大幅に短縮・軽減されたものの無罪には流石にできず、現在はとある場所にて特別扱いの囚人となっている。

 

「あの時の一夏の乱れっぷりは凄かったよね。「なんで勝手にこんな事しやがったんだ千冬姉!!」って」

シャル

「うん。教室の皆も怖がってたもんね」

一夏

「わ、わりぃ…。でも仕方ないだろ?あん時は流石にさ…」

「だが先程も言ったように千冬は元気そうだった。そしてもう二年も経った。時が過ぎればまた会えるさ…普通に、自由の身でな」

セシリア

「ええそうですわね…」

刀奈

「そうよ、だから私達は待ちましょう。千冬さんの帰りを」

「はい…。そういえばクロエ、束さんは元気?」

クロエ

「はい、とてもお元気でいらっしゃいます。それに今は…あのおふたりも一緒ですから…」

 

 

…………

 

それは二年前、あの戦いの直後までに遡る。一夏達は全員ラ・ディヴィナ・コメディアから無事脱出したもののそのまま帰国する事は流石に出来ず、来た時のクロエのロケットも放棄していたために先に回収・脱出していたイーリス達が乗る救助艇を島の先端で待つ事になっていた。塔は完全に崩れ去り、真下にあったらしい「門」、その下にあった「扉」の反応も無い。どうやら火影が封印に成功した様だと皆が理解した。

 

一夏

「全部…崩れちまったな…」

海之・鈴・シャル

「「「……」」」

 

海之、そして鈴とシャルは先ほどから一言も喋っていない。簪達も察しているのかかける言葉がない。

 

簪・ラウラ

((海之(くん)…))

セシリア

「おふたり共…」

千冬

「……」

「ところで…お前達はどうするのだ?」

スコール

「…そうね…」

オータム

「もう決まってる様なもんだろ?テロリストとして処分されるだけさ」

「で、でもふたりは…」

一夏

「ああ…ふたりもどちらかと言えば被害者だ。アインヘリアル計画の…」

刀奈

「確かにそうかもしれない。でも…ふたりが今までやってきた事は決して許されないわ。あの飛行機爆破事故の真犯人じゃなくても…それまでやってきた事は覆せない」

ラウラ

「だがこんな事言うのはなんだが…ふたりが生きていることが公になれば…」

クロエ

「はい…。それはそれで問題でしょうね…」

 

確かにあの悪魔の計画の生き残りがいるとわかれば裏の権力者達には不都合に違いない。つまり無条件で、ふたりの未来は永遠に閉ざされる可能性が高い。

 

一夏

「ちょ、ちょっと待て!じゃあマドカも…!?」

マドカ

「……」

 

確かにマドカにも同じことが言えるかもしれない。しかし、

 

スコール

「マドカ、貴女は私達と違って計画の中で生まれてきたわ。つまりこの世界には本来存在しない人物」

刀奈

「貴女は当分更識の家で保護します。そして貴女の出生もこちらで何とか用意するわ」

マドカ

「…しかし…」

千冬

「マドカ…お前はもう地獄を見る必要はない。お前は光の中を生きろ」

一夏

「そうだぜ!お前の姉妹のためにもだ!お前は俺達が守る!」

マドカ

「千冬…一夏…」

「…なんだろう。なにか凄い事聞いてる気がする」

セシリア

「…でも、悪い気はしませんわ」

「ああ…。ここにいる者だけの…秘密だ」

 

全員が頷いた。そして更に…束がスコールとオータムに向かってこんなことを言い出した。

 

「なら君達、私のとこに来ないかい?」

スコール

「…え?」

オータム

「…あ?」

「ね、姉さん!?」

クロエ

「束様!?」

「だってさ~、このままふたりが捕まったら死刑か終身刑が目に見えてるし、そんなの勿体ないよ~。ふたりの事はあんまり嫌いじゃないし、ひーくんも言ってたじゃない?ふたりの人生はこれから始まるんだって。だったら死ぬなんてもったいないよ。それなら私の所に来ない?」

スコール・オータム

「「……」」

 

スコールとオータムはぽかんとした表情だ。

 

千冬

「束…お前、自分が何を言っているのかわかっているのか?」

「わかってるよちーちゃん。でもこの場には私達以外誰もいない。ふたりがここにいるのも知ってるのは私達だけ。そして世界の奴らも狙いはオーガスのジジイとあのへんちくりんな塔だけ。ならいいじゃん~」

ラウラ

「そ、そんな簡単な問題では…」

「日の下を堂々と歩く事はできないし日陰者同然だけどさ~、生きていれば必ずいいことあるって~。だから私の助手やってみない?あ、勿論クーちゃんの後輩だけどね~」

クロエ

「お、おふたりが私の後輩…」

 

当然だが他の皆も困惑しているが、そんな彼女らをよそに笑いながら楽しそうにそう言う束。

 

千冬

「お前…変わった様で実は全く変わっていないな?」

スコール

「………ハァ、全くとんだ変人博士だわ。……でも、悪くないかもね」

オータム

「…どうせ何度もとっくに死んでる身だ。日陰もんだろうが気にしねぇよ」

「そうこなくちゃ♪」

 

どうやらふたりは決意を固めた様だ。

 

刀奈

「私は何も見ていないわよ、皆は?」

一夏

「お、俺もっす!」

ラウラ

「う、うむ!」

 

他の皆も同意見だった。皆はここの一件を何も聞いていないし見てもいない。

 

「それじゃ私達は先においとまするね♪他の人がきたら厄介だし」

「お、おいとまってどうするんですか?もう救助は来ちゃいますよ?」

「それなら心配ナッシング~♪」

 

そして束は拡張領域からドスンッ!!と何かを出した。それは小型の潜水艦だった。

 

「せ、潜水艦!?」

一夏

「こんなものまで造ってたんすか!?」

「ムフフフ♪」

クロエ

「束様、私も!」

「大丈夫だよクーちゃん。残りの学生生活楽しんでね♪でも卒業したら帰ってきてくれると嬉しいな♪」

クロエ

「……はい。必ず」

スコール

「ブリュン…いや千冬。ダリルとフォルテを頼むわね。あの子達は誰も殺していない」

千冬

「…わかった、できる限りの事はしよう。…ああそれから束、ひとつ言っておく。この先何があっても気にするなよ?」

「…?……うん」

 

 

…………

 

一夏

「そして束さんとふたりは救助隊が来る前に密かに脱出したんだったな」

セシリア

「今思えば私達、とんでもない秘密を抱えている様な気が」

「それは言わない約束でしょ?」

クロエ

「とにかく束様もアレクシアさんもオータムさんもお元気にされているそうです」

シャル

「それは良かったね。…でも」

ラウラ

「ああでも…その先もあの人はとんでもない事をされたな」

本音

「あれは本当に驚いたよね~…」

 

その言葉に全員が大きく、とても大きく頷いた。

 

 

…………

 

それは千冬が逮捕されて間もなくの頃…。某大国の首脳部に一本の映像通信が入った。通信してきたのはなんと…、

 

(ハロ~お偉いさん方~♪お元気にしているかな~?世界のアイドルにしてISのゴッドマザーこと、篠ノ之束さんだよ~ん♪突然の連絡にさぞ驚いているかもしれない、いや驚いているに違いない!よくわかったねって?いや~それほどでも~♪)

 

それは束からの通信だった。ハッキングとか問題にせず要人達はくぎ付けになる。

 

(今日突然のご連絡は他でもない、君達にマッターホルンよりも高くマリアナ海溝よりも深い大事なお話があるんだよ~ん♪早速なんだけど~君達、ISの「コア」の造り方知りたくないかい~?なんなら教えてあげてもいいよ~ん。コアを自分達で造ることができればわざわざ束さんに頼む必要なんてないでしょ~?私もメールの嵐に苦労しなくてすむし~。た~だ~し~!当然タダって訳にはいかない~!条件があるよ~ん)

 

要人達はその言葉に大変驚く。ISコアの製造方法。それは束しか持たない絶対の技術であり、世界中が喉から手が出るほど欲しがっている情報。完成品のコアを入手するだけでも大変なのにそれ以上のものを教えてくれる等信じられなかったが興奮の方が勝っていた。果たして条件とは何か?

 

(この間ね~、面白い情報が流れたでしょ~?アインへリアル計画っていうさ~?でも途中で終わってしまった感じだから元ネタはどこか探ってみたんだよね~。そしたらオドロキモモノキサンショウノキ!世界のお偉いさんたるお偉いさんの名簿を見つけてしまったんだよね~。…それでね~、条件というのはこの計画に参加した人達、表舞台に出てきて謝罪してほしいんだよね~。だってこんなとんでもない計画があったなんて聖人というのを絵に描いた様な束さんからしたら許せないわけよ、わかる?全員なんて言わないからさ~、そんな事したら大混乱だし、生ける屍的な老人やポンコツみたいな奴らなら簡単に切り捨てられるでしょ~?)

 

……聞く者達全員が沈黙した。そして束のこれまでおふざけみたいな口調が変わる。

 

(…きっと間抜けな表情を浮かべてるだろうから言っとくよ、このくそ野郎共。自分達が昔やった事を全部棚に上げたまま死ぬまでいい目ばかり見れるなんて思うなよ?IS、そしてISコアは私の命。そんな大切なものをくれてやるんだからお前らもそれ相応の覚悟をしてもらおうか。お前らは高みの見物してるだけかもしれないけど私は知ってるよ。自分の命を、人生を懸けて世界を守った人達を。お前らにそんな事してほしいなんて思ってないさ。どうせそんな勇気も度胸もないしね。せめてトカゲのしっぽを切り捨てる位の度胸を見せろってこった。兆歩、いや景歩ゆずって軍用ISを作るなとは言わないであげるよ。言っとくけど偽物や変わり身を使おうなんて思うない方が身のためだぞ。そんな事したら悪魔の加護を受けたこの束さんがお前らのとこで大暴れするから。それと…これはよ~く耳かっぽじって聞いとけ。もし私の家族に脅迫みたいな真似したら……言わなくてもわかるよな?)

 

 

…………

 

「……という事があったのを後で束さんから聞いた時は流石に私達も驚きを超えて開いた口が塞がらなかったわね…」

「我が姉ながら…本当に恐ろしい人だ」

クロエ

「この件があってから暫くして世界中の主要国から多くの人間が謝罪会見、表舞台から斬り捨ての様に姿を消しました。そして…」

「同じ様にアインヘリアル計画に参加していた多くの人がテレビや雑誌で打ち明けたりしたんだよね。あのファイルを見て、昔の事を思い出して自責の念に堪えられなくなったんだって」

セシリア

「そんな気持ちの方もやはりいらっしゃったのですね。それを知って少しほっとしましたわ」

一夏

「全部ではないけどあの計画、そして死んだ人達の事がようやく知られたって事か…。…俺も父さん母さんの事を」

刀奈

「一夏くん。貴方が責任を感じる必要はないわ」

シャル

「そうだよ一夏」

ラウラ

「そして束さんも約束を守り、コアの製造方法を教えた。……しかし」

「ああしかし…」

 

そして全てが終わった後、束は自らの命とも例えたISコアの製造方法を教えた。……のだが、一夏達が本当にいいのか?と束に問い詰めたらこんな返事が返ってきた。

 

 

(ダイジョブダイジョブ♪だってコアの造り方を教えるとは言ったけど…コアを造るための材料の造り方や資材の揃え方まで教えるとは言ってないもんね〜!お陰で今度はその依頼でため息の連続だよ。まぁ精々依頼料ぶん取ってやるさ、ニャハハハハ♪)

 

 

刀奈

「……結果的にISは博士がいなきゃまだまだ進まないって事ね」

一夏

「やっぱ一番ぶっ飛んでんなあの人」

「寧ろ狂人かもしれんぞ」

 

皆が再び頷いた。クロエさえも。

 

「それはそうとシャル、今度デュノア社がアレを発表するのだろう?」

シャル

「あ、うん。第一号がようやく完成したんだ」

ラウラ

「おおやっとか!」

刀奈

「あのデュノア社がISから手を引いてアレに方向転換するなんて聞いた時は正直驚いたわね」

「アレといってももうほぼ別ものだけどね〜」

 

何やらデュノア社でも大きな出来事があった様だかそれについてはまた後程。とにかく千冬の自首、IS、アインヘリアル計画、何れも其れなりにではあるがこの二年間ゆっくりと時代は歩んでいた。……一部を除いては。

 

「そして…」

セシリア

「ええ…」

 

箒達は鈴・シャル・本音の三人を見る。そして話題は…彼の話になる。

 

刀奈

「全く…あの子ったらいつ帰ってくるのかしらね…。こんな可愛いガールフレンドを置いたまま…もう卒業まで経ってしまったわ」

ラウラ

「…お前達、大丈夫か?」

「…もう気にしてないわよ」

シャル

「大事な女子高生時代の青春を返せって怒鳴ってやりたいよね…」

本音

「ほんとだよね〜…」

 

文句を言う鈴達だが…その場にいる全員が鈴、そしてシャルや本音の真意を知っている。鈴は友人達から男女で集まるみたいな誘いを受けても全く相手にしなかったし、本音はいつ火影が帰ってきてもいい様に部屋の掃除は欠かさなかったし、デュノア社令嬢でもあるシャルに至っては数える程度だが会社から見合いの申し出があると持ち掛けられても「僕の心は今もあの人で満たされてるから」と聞かなかった。とにかく三人とも火影の帰還を今も心から待ち望んでいるのだ。

 

クロエ

「火影兄さん…、どうされているのでしょう…」

一夏

「心配ねぇよ!あいつは必ず帰るって約束したんだ!必ず帰ってくるって!」

セシリア

「せめてどのような状態かだけでも分かれば少しは安心できるのですが…」

「海之くんもあれからずっと話さなかったしね…」

 

ひとり残った海之はその後、刀奈達の卒業後に彼女やヴィシュヌの推薦もあって生徒会長を務め、主席で卒業した。そしてその間、一度も火影の事を話そうとはしなかった。誰も真意に気づかないまま…。

 

刀奈

「…よしましょう。もう魔界に干渉する方法はない。そんな中で私達ができるのは彼が帰ってくるのを待つだけよ。特に鈴ちゃん、シャルちゃん、本音ちゃん。貴女達が信じてあげなくてどうするの?」

鈴・シャル・本音

「「「……」」」

「…三人共…」

「……」

 

 

~~~~~~~~~~~

とその時、一夏のスマホが鳴った。

 

 

一夏

「…海之から?」ピッ「おう、どうした?……ああ皆いるぜここに。……マイクに変えろって?」

 

それは海之からだった。一夏は携帯の通話をマイクに変えろという海之の指示に従い、携帯を机の真ん中に置いた。全員が集中する。

 

一夏

「で、どうした海之?」

 

一夏はマイク越しに尋ね、その質問に答える海之。

 

 

一夏達

「「「………!!!」」」ガタンッ!!!

 

 

するとそれを聞いた一夏達全員が立ち上がった。それこそ机の上のものを全てひっくり返さねない位の勢いで。

 

セシリア

「ど、どうしまょう!いきなり過ぎますわ!」

「お姉ちゃん!自家用機借りられない!?」

刀奈

「いくらなんでも急すぎるわよ!」

クロエ

「私のロケットを使えばどうでしょうか!?」

ラウラ

「そ、そうか!姉上はお持ちでしたものね!」

シャル

「なら早く行こうよ!ねぇ早く!」

「急いで!置いてくわよ!!」

本音

「わー置いてかないでー!!」

「待て!ISでは無理だって!」

「…騒がしい奴らだ。慌てんでもアレは逃げはせんだろうに…」

一夏

「まあ気持ちはわかるさ。行こうぜ円!」

 

海之からの言葉を聞くや否や、全員が大急ぎで支払いを済ませ、全速で飛び出していくのであった…。




※次回は29日(土)に投稿予定です。

遂に終章に入りました。今回は前編です。本来は一緒にするつもりでしたが仕事で無理でした。本当にすいません。後編は少し短めになります。予定では来月で書き上げる予定ですので、もしよろしければ最後までご覧くださいませ。
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