IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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ラ・ディヴィナ・コメディアでの戦いから二年…。一夏や箒達は無事にIS学園を卒業し、其々のこれから、そしてこの二年の間にあった事を振り返っていた。

千冬の自首…束のISコアの情報解放…アインヘリアル計画の発表…

激動的な出来事がありながらも世界は確実に、そしてゆっくりと進んでいたがそこにはひとりの人間の姿が足りていなかった。一夏達はその人物へ思いを馳せる。そんな中、彼らのもとにある連絡が入ってくる。それを聞くや否や、一夏達は凄まじい勢いで飛び出していくのだった。


Mission225 待つ者 そして 帰る者②

一夏達が海之の電話にて店を飛び出していったちょうどその頃…。場所は変わってここは日本ではないとある場所。優しい光が降り注ぎ、そよ風が吹いているよく整備された原っぱ。そんな場所には墓石らしきひとつの石碑が置かれている。沢山の花に囲まれた中にポツンとある墓。

 

 

赤い服を着た銀髪の男

「……」

 

 

そしてその墓を前に赤い服を着ている銀髪をしたひとりの男が座っている。男は何も喋らず、じっと墓を見つめている。

 

 

(………まさかここに出てくるとはな。あん時と言い今回といい縁があるな全く…)

 

 

どうやら男はどこからか帰ってきたばかりらしい。そしてその帰還の報告を目の前の墓に眠っている人物にしている様だ。

 

 

(帰ったぜ…父さん、母さん。ふたりが俺達の秘密を守ってくれたおかげで俺は大事なもんを守れた…戦える事ができた…感謝してるよ、本当に。帰ってきたら第一に伝えたかったと思っていたがマジにできたとは…これもふたりの導き、ってやつかね…)

 

 

目の前の墓に眠るのはどうやら男の両親らしかった。感慨深い表情でそんな事を考えていると…。

 

 

……ザッ、ザッ、ザッ、ザッ

 

 

その時、男の後方から足音が歩み寄ってくる。だが男はそれに気づいていないのか、或いはわざと無視しているのか顔を向けない。

 

 

(あいつらは元気にしてっかな…。出てきたばっかでわかんねぇけどもうあれからどん位経ったのか…。悪い事しちまったから謝んなきゃいけねぇのはわかってるんだが…やっぱ気が重いぜ。あいつらも結構手こずる女だからなぁ…。いやあいつら以上にあの人か。きっとぶん殴られんだろうな…)

 

 

ザッ、ザッ、ザッ……

 

 

相変わらず足音は男のもとに真っすぐ近づいてくる。

 

 

(………ま、その前にやんなきゃいけねぇ事がある、な。帰ってきたばっかなのにおちおち休んでもいられねぇぜ…)

 

 

ザッ…ザッ………

 

 

やがて足音は男から少しだけ離れた背後で止まった。

 

 

青い服をした銀髪の男

「……」

 

 

近づいてきたのは青い服をきた銀髪の男だった。ふたりとも何も喋らない。聞こえてくるのはそよ風が揺らす草の音のみ。そんな間が数秒続いた後に青い服の男が背をむけたままの赤い服の男に話かける。

 

 

青い服の男

「……扉が開いたままだったぞ。戸締りはしっかりしておくんだな」

赤い服の男

「……そいつはすまなかったな。帰ってきたばっかで鍵かけんのを忘れてたぜ」

 

 

口ぶりからしてふたりはどうやら知り合いの様であるらしかった。

 

 

…ジャキッ!

 

 

すると青い服の男の手に一本の刀が出現した。それをもう片手に出現させた鞘に納めた。

 

 

「……よくも勝手に持って行ってくれたな」

 

「おいおい、人の剣を突然盗むなんざコソ泥かよ?」

 

「黙れ、これは俺のものだ。そう言うならば登録しておくのだったな」

 

「はは、忙しくてそれも忘れてた」

 

 

そんな会話に続いて青い服の男が赤い服の男に尋ねる。

 

 

「…どうやって戻ってきた?」

 

「…あ?忘れたのか?お前の刀が人と魔を別つのなら俺の剣は人と魔をひとつにする剣。その力でこっちとあっちを繋いだだけだ。前もそれで帰ってきただろうが。あん時は俺がその技を得るまで数年かかったが、一度コツを掴むとこん位は朝飯前だな」

 

「そうではない。どうやってこちらとあちらを再び別ったと聞いている。こちらに魔力は無い筈だが?」

 

「……あいつらが持ってたもんを思い出してな。あれは魔力をため込んだ電池みたいなもんだ。だから同じみたいなもんが、無くても器みてぇなもんがあればそれに魔力をため込んでおけるって思ったのさ。んでまず繋いだ後にそれを使ってお前の刀で再び閉じた。そういう訳だ。たった一振りで必死で集めた力がすっからかんになったがな」

 

「俺の鞘が感じたのはそれだったか…」

 

「……アレからどん位経った?」

 

「俺達は昨日卒業したばかりだ。そしてお前は今だ在籍中、つまり留年だ」

 

「て事は二年か…。留年…マジかよ…」

 

「そんなお前に一筋の光だ。千冬さんと一夏の関係から同じIS操縦者と同じ遺伝子、もしくは血縁者ならば男でも極まれに動かせる事が判明した。今年も数人程度だが学園に入学予定だ」

 

「…それは冗談抜きで良いニュースだぜ」

 

 

青い服の男の皮肉に赤い服の男は笑う。

 

 

「アイツら元気か?」

 

「聞くまでもなかろう。つい先ほどお前の帰還を連絡しておいてやった。数時間後には来るだろう。精々、特にあの三人には目一杯頭を下げるんだな」

 

「……余計な事しやがって…」

 

 

そういう男の口元はどこか嬉しそうだが次の言葉で強張る。

 

 

「ああそれとギャリソンやレオナさんにも知らせておいてやった。喜べ、レオナさんが笑っていた」

 

「……そうかい」

(俺…生きてられっかな…)

 

 

男の心が一瞬恐怖に支配された。

 

 

「……ま、とりあえずその件は後回しだ。二年もすりゃ結構いろんな事があったんじゃねぇか?」

 

「…ああ色々とな。だがそれも後回しでいいだろう。何故なら…」ジャキッ!

 

 

すると青い服の男は鞘に入ったままの刀を持ち直し、こう言った。

 

 

「これから暫くお前は意識を失うのだからな。安心しろ、あいつらに免じて殺さずにはいておいてやる」

 

 

ドンッ!!

 

 

そう言うやいなや男から凄まじい闘気の様なものが放たれた気がした。周囲にはそよ風が吹いている程度なのにその周りだけ強い風が吹き、草が動き、空気が違う気がする。その気が全て墓前の背を向けたままの男に向けられる。その男もそれを感じている筈だが…何故か男は落ち着いていた。

 

 

「あの時よくも俺を騙してくれたな…。加えて不意打ちまでしてくれるとは」

 

「おいおい、俺はお前の事を想ってやったんだぜ?おかげであいつらと楽しく過ごせただろ?」

 

「それとこれとは全く別の話だ。今まで幾度もお前に腹を立たされる事はあったが…あの時ほどのものは初めてだ。ふっふっふ…」

 

 

笑いながらも男の刀を持つ手がにわかに震えている。よほどの怒りという事か。だがそれも慣れているのか赤い服の男は慌てる様子を見せずにゆっくりと立ち上がる。背中は向けたまま。

 

 

「……やれやれ仕方ねぇ野郎だ。もうちょいクソッタレな兄貴じゃなければな」

 

「お前こそ、もう少し愚かな弟でなければな」

 

「…まぁいいさ。二年ぶりの再会だ。キスのひとつでもしてやろうか?…それとも」

 

 

ドンッ!

 

 

「やっぱこっちのキスの方がいいか?」

 

 

振り返った赤い服の男の手に異形な剣が出現し、それを青い服の男に向けた。それと同時にこの男からも凄まじい闘気が放たれ、それが青い服の男の闘気とぶつかり合う。草が揺れ、そよ風が吹き、太陽の光が降り注ぐ。そんな場所には全く不似合いともいえる雰囲気がその場を支配していた。このふたりは勿論…。

 

 

火影

「やっぱりこういうのが俺らの感動の再会らしいぜ」ジャキッ!

海之

「………らしいな」チンッ!

 

 

ここはスメリア。そしてふたりの両親の墓の前で…嘗ての魔人の兄弟は再会した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから約数時間後…。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…!」

シャル

「早く!置いてくよ!」

本音

「皆お~そ~い~!」

 

火影と海之が相まみえたその場に走ってくる人物達がいた。勿論彼ら。海之から火影がここスメリアに帰還したとの知らせを受けた後、クロエのロケットで超特急でやって来たのであった。やはり鈴、シャル、本音の勢いは凄く、他の皆は遅れていた。いやあえて遅れていたのだろうか。

 

一夏

「い、いやお前らが速すぎんだよ…げふ」

「しっかりしろ一夏」

「全く情けない弟だ。そして奴らもせわしない」

刀奈

「そう言うんじゃないの円ちゃん。やっと会えるんだから」

セシリア

「それにしてもこのスメリアに戻ってこられるなんて何か縁深いものを感じますわね」

ラウラ

「あいつらの両親の導きというやつかもしれんな」

「海之くんの用事っていうのはこの事だったんだね」

クロエ

「それにしても海之兄さん、ひとりで行くなんてちょっとずるいです」

刀奈

「まぁいいんじゃない?私達がいたら話しにくい事もあるだろうし」

「ただ…あいつらの場合普通の再会とはいかない気がするな」

一夏

「ああ不思議と俺もそんな気がする…」

 

そんな会話をしていると彼らもやがてエヴァンス夫妻の墓の前に来たのだが……そこに火影と海之の姿は無かった。

 

「火影!どこにいんの!出てきなさい!!」

「海之くんもいないね…。どこに行ったんだろう?」

クロエ

「……!皆さん、上を!」

 

クロエの言葉で皆が空を見上げると、

 

 

ガキンッ!!キィィィンッ!!ガンッ!!ガキキキン!!ガキンッ!!ドゴドゴォォォ!!ズガガガガガ!!ズドドドドド!!……

 

 

青い空の中で激しい金属同士のぶつかる音と共に、赤い光と青い光が高速でぶつかり合っていた。紛れもなく火影と海之。Sin・アリギエルとSin・ウェルギエルだった。

 

一夏

「アリギエルとウェルギエル!」

本音

「ひかりん~!」

シャル

「火影…本当に帰ってきたんだね!」

「……」

ラウラ

「全く…散々姉を心配させおって!」

「それにしてもやはりふたりの挨拶はこうなるんだな」

セシリア

「まぁなんとなく想像はできましたが…。で、どうしましょう?」

 

皆はふたりの場に行こうとも考えたが、

 

火影

「こんだけ戦って完全に互角とはな…!どんな訓練したんだ?俺は向こうで山ほどの悪魔と戦ってたってのによ!」

海之

「束さんに頼んで模擬戦闘シミュレータを造ってもらった。向こうに悪魔がいるとしてどれほどの戦闘になるか、お前がどれほど腕を上げているか、そしてどうすればお前に勝てるのかを全て計算してな!簡単に勝てる等と思っていたのか!」

火影

「んな事は思っちゃいねぇさ!ただ往生際が悪いって思っただけだ!」

海之

「そっくりそのまま返してやる!そして俺を騙し打ちした罪を悔やめ!」

火影

「ケッ!冗談きついぜ!」

 

こんな会話をしながらふたりは互いの剣以外にも自分達の持つ武器や技を全て駆使して戦っている。それは一見すると試合どころか戦闘、殺し合いである。但し地上には絶対に被害を出さない様にしているのは熟練の者にしかわからない。

 

「これは中々だな…」

刀奈

「……誰か今のあのふたりを止める勇気ある人いる?」

 

全員が一斉に首を振った。誰もがその久々の兄弟ケンカを見守りつつも、

 

火影

「にしてもお前も相変わらずガキだな!これじゃいつまでも前世と変わらねぇぜ!」

海之

「ガキっぽさならお前の方が上だ!ベリーとオリーブを間違えて食った時の渋みがトラウマで未だにオリーブが食えないお前の方がよほどな!」

火影

「随分と懐かしい黒歴史を引っ張り出しやがる!そう言うお前こそ未だにカエルが苦手だろうが!」

海之

「誰のせいだと思っている!ガキの頃お前がイタズラで俺のシャツにカエルを仕込んでいたからだ!…思い出したら腹が立ってきた。お前を倒した後オリーブで埋め尽くしたピザを食わせてやる!」

火影

「なら俺が勝てば今度はお前の弁当箱にカエル仕込んでやるぜ!」

 

そんな口喧嘩をするふたりに少し呆れていた。

 

一夏

「あ、あははは…」

「どちらもまだ子供だな。むしろ私達よりも」

ラウラ

「…やれやれ全く。姉として嫁として恥ずかしい」

セシリア

「…でもやはりホッとしましたわ。火影さんも全然お変わりない様で」

シャル

「うん。火影…本当に良かった…」

「海之くん凄く活き活きしてる…。やっぱり心配だったんだね」

クロエ

「はい。それに火影兄さんの帰還を千冬さんや束様がご存じになられたらきっと喜ばれると思います」

「私達はともかくお前達は行かないのか?」

「……な~んかあまりにも変わってないから拍子抜けしちゃったわ。後で散々なじってやればいいわよ」

本音

「素直じゃないな~鈴~」

刀奈

「まぁもう暫くやらせてあげましょ。二年分の兄弟ケンカなんだから…」

 

そんな事を言いながら皆は赤と青の兄弟ケンカを見守り、ふたりのSE切れでまたまた引き分けという結果に終わるまで続いた。そして当然であるがこの後、降りてきた火影は鈴、シャル、本音を中心に皆に抱きしめられ、目を回らせていた…。

 

そしてこの日の夜、火影と海之、そしてせっかくなので一夏達も揃ってエヴァンス邸に宿泊する事になった。ギャリソンやニコや家の者達、火影の帰りの報を聞いて駆け付けたレオナとも喜びに満ちた再会の挨拶を済ませ(ちなみにレオナとの挨拶の後、火影は何故か約一時間気絶していた)、その日の夜はかなり賑やかな夕食となった。……そしてその後、皆で休んでいた時にある出来事があった。

 

 

一夏

「アリギエルとウェルギエルが…起動しないだって!?」

 

 

そう、昼頃いや夕刻の目前まで問題なく動いていたSin・アリギエルとSin・ウェルギエルが突然起動しなくなったのだ。

 

「どういう事だ…?SE切れではないのか?」

火影

「わかんねぇ。見事にだんまり決め込んでやがる」

海之

「SEは問題ない。だがセキュリティと武器の一部以外は全く動かん」

クロエ

「私も調べたのですが原因は不明です。こんな現象は過去に聞いたことがありません…」

セシリア

「クロエさんもご存じないなんて…。でもそんな事があるんですの…?」

「…それにしては随分落ち着いてるわねアンタも海之も」

火影

「深く考えても動かねぇもんはしょうがねぇさ。俺には銃が使えれば十分だし。もしかすると役目を終えて疲れて眠っちまったのかもな…」

海之

「俺も伊邪薙があればいい。それにこの力は本来この世には存在しないものだ。悪魔もいないのであればこのままにしておいて良いかもしれん」

刀奈

「…そうかもしれないわね…」

 

そんな感じで心配をよそに軽く受け止めたのだった。そしてこれを聞いた一夏達も自分達の持つ「魔具」も同じ様に封印できないかと考える様になった。あれも本来この世界にないもの。魔具の持ち主は自分達だがISは国のもの。やがて国に返す時くれば魔具も渡さなければならないのは危険に思ったのだ。この相談を受けたクロエは束に相談し、一夏の白式・駆黎弩以外の魔具を全て封印・放棄する事に決めたのはそれから間もなくの事であった。因みにではあるが火影と海之はこの後、束から専用機を半ば強引に押し付けられる事になる…。

 

そして時は……再び流れていく……。




Lastmission……「エピローグ 彼らの未来」


※次回は来月5(土)になります。
次回よりエピローグです。再会した火影と海之は19歳、DMC3のダンテ、バージルの年齢と同じになりました。姿格好も目の色以外同じと思っていただければと思います。


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