IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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エピローグ 彼らの未来①

火影が魔界から帰還してから更に数年の歳月が流れた。IS学園生だった皆もそれぞれの道を進み、二年の留年を経験する事になった火影も無事にIS学園を卒業することができた。因みにだが弾の妹である蘭もIS適正がある事が判明し、一夏達のひとつ後輩としてIS学園に入学し、彼女も無事に卒業した。

そんな事もあった中、世界もこの数年間の間にいくつか変わっていった。まずは男性のIS操縦者の更なる発見が点々と増えてきた事。優れたIS操縦者の肉親、若しくは双子の様なより密接な血を持つものならば例え男であろうとISを動かる者が稀にだがいるという事がより確信になったのだ。そのためにIS学園に入学する男子のIS操縦者も数人程度だが毎年出てきている。これは女尊男卑の世界の中に生きていた男にとっては嬉しい反面、女には苦いものであったであろう。しかし元々ISが女しか動かせないのは全くの偶然の産物であり、開発者の束にもわからない以上誰にもこの流れを防ぐ手は抑える手はなかった。更にこれを機に国際IS委員会は「IS操者特例法」なるものを世界に打ち出した。

 

「優れた操縦者の血と遺伝子を残すのを目的に、男性のIS操縦者と女性のIS操縦者が婚姻する場合、重婚を可とする」

 

というものだった。これには当然世界中の、主に女性から猛反発を受ける事になったが「この特例を採用する場合生まれてくる子には必ずIS操縦の適正検査を受けさせる」という一文を加えて何とか反対の声を黙らせた。もしその夫婦に娘が生まれてきたならばそれもまた優れたIS操縦者であるかもしれないという考えもあったのかもしれない。ともかく徐々にISは女性だけのものでは無くなりつつあった。

更にISの本来の目的である宇宙開発計画も再開始め(これには裏で束の脅しがあったともいわれている)、軍事やスポーツが今だに主流ではあるが少しずつそちらの目的も叶えられつつある。加えてもうひとつ、ISではないあるモノが世界的に一気に広まった事だがこれについてはまた後述する。ともかく様々な思惑がある中で世界は歩く様な速さで確実に進んでいったのであった。それは彼らもまた…

 

 

…………

 

日本 某ビルオフィス

 

 

秘書らしき女性

「お嬢様、この書類はこちらで宜しいでしょうか?」

 

どこかのビルの社長室だろうか。そこに秘書らしき女性と社長らしきデスクで作業している金髪の女性がいた。

 

金髪の女性

「ええありがとう。……ごめんなさいチェルシー。貴女は国に残っていても良かったですのに無理に付き合わせた形になってしまって…」

 

「気にされる事はございませんわお嬢様。こうしてお嬢様のお傍でお仕事できるのは私にとって一番嬉しい事なのですから。今までもこれからも」

 

「…ありがとう、とても心強いですわ」

 

チェルシーという女性に感謝する金髪の女性。どうやらふたりは随分昔からの付き合いの様だ。

 

「…ところでそれはさておきチェルシー、そろそろそのお嬢様というのはやめてくれないかしら?私はもう27ですのよ?」

 

「ふふふ、良いではありませんか。ふたりきりの時くらい♪私からすればお嬢様はいつまでもお嬢様ですわ。それにそう言われるのであれば早くご婚姻のひとつでもなさってくださいませ」

 

「もう~わかっていますわよ!最近お見合いのお話ばかりですもの…。でもそれに全て断りを入れているのは貴女も知っているでしょう?私には既にあの方が」

 

「ええわかっていますわ。その方のお傍にいるために新たにできたこの日本支社の支社長にご自身の希望で赴任されたのでしょう?」

 

「その通りですわ。そのためにお父様とお母様の会社を頑張って立て直したのですから♪…それにしてもあの方も早くご決断してくれませんかしら?シャルロットさんや簪さんはとっくに…」

 

 

~~~~~~~~~~

とその時、部屋に流れていたテレビがある速報を流した。それはとある国で武装組織によるクーデターが起こり、国の代表が拉致されたという内容だった。

 

 

「これは…大変な事件ですね」

 

「ええ…またこの様な事が起こるなんて…。世界はまだまだ変わりませんのね…」

 

それを見て和やかだったふたりの間に流石に緊張が走るが…金髪の女性の脳裏にある考えが浮かぶ。

 

「…でもあの国は確か……」

 

「どうされましたお嬢様?何か気になる事でも?」

 

「……ふふ、何でもありませんわ。さぁ仕事を再開しましょうチェルシー。きっと大丈夫。あの事件もすぐに解決しますわ」

 

疑問符が浮かぶチェルシーをよそに先ほどまでの緊張が嘘の様に金髪の女性は全く心配していない様な表情を浮かべていた。

 

 

成長したセシリア

(あの国は確かスメリアの友好国…。という事は間違いなくあの方々に連絡が言っている筈ですわ。なら何も心配いりません。それよりもやっと日本に戻ってこれました!待っててくださいね一夏さん♪)

 

 

…………

 

日本某屋敷

 

 

桃色の長い髪をした女性

「お嬢様、先ほど政府から通達があった件は?」

水色の髪をした女性

「ええ大丈夫。既に連絡したわ」

 

その同じ頃、日本某所にあるこちらの屋敷では同じくふたりの女性が何かしらの作業を完了したらしかった。

 

「それにしてもまさか本当に武装蜂起とは…。お嬢様の勘が当たりましたね」

 

「博士のご助言のたまものよ。「あの国で不穏な動きがあるから一応注視しといてねん♪」って。そんな重要な連絡を笑って送ってくる博士も相変わらずだけど。それに比べて政府の情報収集力は遅いわね~。まぁでも既に彼らには連絡してあるから大丈夫。きっと直ぐに解決するわ」

 

「そんな楽観的なのもどうかと思いますが…まぁ今回は確かに大丈夫でしょうね」

 

何やらふたりは例のクーデターを誰かに伝えたらしい。そしてよほどの自信があるのか解決を確信している様だ。

 

「そうそう♪あの件は彼らに任せましょ。…それよりも今年もIS学園に入ってくる男子がいるわね~♪」

 

「とはいえまだ20人位ですけどね。今考えればあの頃の騒ぎが嘘の様ですわ」

 

「あの時は一夏くんとあのふたりしかいなかったからね。あれに比べればより取り見取りになったわ~♪」

 

「…お嬢様、一応学園の理事のひとりなのですから上品にお願いしますよ?」

 

「だって~最近そっちの仕事も増えてますます忙しいんだもの。代表としての訓練もしないとだし、おかげで一夏くんとのデートも行きにくいわ~。今度セシリアちゃんも日本に来たし余計よ~」

 

「そんな事を言っていると来月の国際大会でギャラクシーさんやベルベットさんに負けてしまいますよ。彼女らも代表としてメキメキと腕を上げているのですから」

 

「はいは~いわかってますよ。結婚したい者としては先輩人妻の意見はしっかり聞くべきよね。……で、最近そっちはどうなのよ?」

 

「ど、どうって…弾さんもご実家の仕事で忙しいですし…」

 

「もう何言ってんのよ。そういう時に押して押しまくらないと子供なんてできないわよ?」

 

「そ、そういうものですか?」

 

そんな事を言われた虚は顔を赤くして何やら小声でぶつぶつ言っている様だった。そんな彼女を見て青い髪の女性は更に笑った。

 

 

成長した刀奈

「やっぱりいいわねぇ結婚って。一夏くん早くプロポーズしてくれないかしら?私ももう三十路前だし、いっその事箒ちゃん達と一緒になんて手もあるわね。でもその前に円ちゃんを説得しないといけないけど。いえ怯えちゃいけない、押して押しまくる、よね♪」

 

 

…………

 

IS学園 教職員室

 

 

それより少し前、ここはIS学園。ここも嘗て彼らがいた頃から全く変わっていない。男子は数えるほどであるが点々とおり、そこに女子が集中している光景もいまや毎年の定番になっている。そんな学園ではたった今午前の授業が終わり、生徒教職員が昼休憩に入っていた。多くの人物が学食や外で食べる中、ここ教職員室にふたりの男女がいた。

 

長いポニーテールの女性

「…ど、どうだ?自信作なんだが?」

黒髪の男性

「……」

 

どうやら一緒にお弁当を食べている様だ。

 

「……うん、うめぇ!」

 

「そ、そうか!よかった…安心した」

 

「そんなに心配しなくてもお前の料理がうまいのは学生の頃から知ってるだろ?」

 

「そ、それはそうだがやはりお前にそう言ってもらえるまで不安なのだ」

 

「大丈夫だよ、ちゃんとうまいから。悪いな、お前も忙しいのにまたこうして俺の分まで作ってくれて」

 

「気にするな。確かに教師の仕事や日本代表としての訓練もあるが…私にとってこれは幸せだからな」

 

「今度の大会も出るんだろ?負けんなよ?」

 

「当然だ。今度こそロランとの決着をつけてやるさ」

 

「ああそういや聞いたか?最近学園内にお前のファンクラブができたみたいだぜ?」

 

「……ああ知っている。全く困った事だ。私はあのひとのやり方を踏襲しているだけのつもりなんだがなんでそんな事に…。生徒の中にはお姉様!なんて言う者もいるし」

 

「はは、まぁ頑張れ」

 

そんなほのぼのとした会話をしていると女性の方がある事を切り出す。

 

「……なぁ、そういえばお前はいつ私と一緒になってくれるんだ?」

 

「いっ!?そ、そんな事今ここで言わなくても…」

 

「ふたりきりのこういう時でしか聞けんから言うのだ!刀奈さんもセシリアも蘭もずっと待っている!私はそれ以上に待っているんだぞ!教師を目指して共に同じ大学に行ってもお前はその間なんのモーションもかけてこなかったではないか!」

 

「だ、だって刀奈さん達も間髪入れてずっと連絡してきてたしよ〜」

 

「今はIS操者特例法もある!それならば重婚も可能ではないか!なんなら鈴や本音やラウラの様な手もあるぞ!あとはお前の気持ち次第だ!」

 

「うっ…そ、それはそうだがお前ら全員一気には…」

 

 

ガラッ

 

 

そんな会話が繰り広げられていた時、突然教職員室の扉が開いた。そこにはふたりの女性がいた。ひとりは黒髪のふたりよりも若く見える女性。もうひとりは緑色の髪をした眼鏡をかけた少し年配の女性である。

 

黒髪の女性

「全く何学校で下らん会話しているのだお前らは…」

眼鏡の女性

「あ、あのおふたり共…そういう会話はもう少し小さい声で話された方が…」

 

(た、助かった…)

 

「ふ、ふたり共! ま、まさか聞こえていたのですか!?」

 

「扉の前にいた私達だけだ。他には聞こえていない。幸運だったな」

 

「そ、そうか…ほっ」

 

「ふたりも休憩か?なら一緒に食うか?」

 

「いえ、その前にテレビを見てみてください。ちょっと騒がしい事が起こっている様です」

 

ふたりが言われてテレビをつけるとそこにはやはり例のクーデター事件の速報が流れていた。

 

「大統領一家が人質だと…」

 

「くそ、オーガスの言った通り相変わらずこんな事件は中々無くならねぇな…」

 

「…ですがそんな世界を少しでも良くしたい、そう思っておふたりは教師になったのでしょう?」

 

「……ええそうですね」

 

「ああ、もう二度とあんな悲しい計画を起こすような世界にしないために頑張ろうぜ」

 

眼鏡の女性の言葉を聞いてふたりは改めて気持ちを固めた様だ。

 

「そんなお前達にせめてもの朗報だ。先程17代目がこの件の解決をあいつに依頼したそうだ。既にもう連絡が行っているだろう。因みに今回は事件が事件だからな。向こうとの共同任務だそうだ」

 

「!…そうか」

 

「なら、きっと大丈夫だな」

 

ふたりは安心した様な表情を浮かべる。彼らもまたよほど信用している様だった。

 

「なぁ、今度久々に皆で会わねぇか?セシリアも日本に来たし、あいつらはスメリアだけど呼んだら来るだろきっと」

 

「お前な…もう私達は子供じゃないんだぞ」

 

「そうか?私からすればあの様な下品な恋愛トークとやらをあんな大声で話すお前が一番子供っぽいが」

 

成長した箒

「し、しかたないだろう!最近一夏と過ごす時間が少なくなって正直言って余裕がないのだ焦りもするさ!一夏!さっきの質問の答えを聞くまでこれから毎日同じ事を聞くからな!」

 

成長した円

「聞くのは構わんが私や千冬の許可を得る事が大前提だぞ?まぁ不可能だろうがな」

 

成長した真耶

「まぁでも確かに女の私からしても一夏くん、早く結論出してあげてくださいね?でなきゃ箒さん達がかわいそうです。女の子をあんまり待たせすぎたら怖いですよ♪」

 

成長した一夏

「あ、あははは…」

 

そんな感じでIS学園は今日も騒がしく、そして平和な日々があった…。

 

 

山田真耶

 

戦いの最中IS学園の混乱を抑える事に尽力し、その後千冬が自首してからも彼女の意志を継いで引き続き学園を支えた。また彼女の恩赦を望む活動にもイーリス達と並んで筆頭に立つなど思い切った行動もして見せた。前校長の推薦で今年よりIS学園の校長に選出される。

 

 

織斑円

 

あの戦いの後、暫しの間更識邸で匿われていたが無事に身分証明を済ませ、外出が許されるようになった。また束から提供された医療技術の甲斐もあり、人体実験によって成長促進を促されていた身体も完全ではないものの老化のスピードをある程度抑え込みに成功した。現在はIS学園の事務員として働いている。

 

 

セシリア・オルコット

 

母国に帰国後、大学に通いながらアインヘリアル計画に加担していた一部企業と懇意であったという理由で評判が下がりつつあった両親の会社を潰させまいと奮起し、立て直す。その途中で正式なイギリス代表も上り詰め、大学卒業後は引き続き会社を支えていたが日本に支社を創る事になると本社を信用できる者に任し、本人の強い希望でメイドと共に日本支社長として赴任してきた。今でも一日一回は一夏とテレビ通信をし、一夏からのプロポーズを今か今かと待ち続けている。

 

 

更識刀奈

 

現ロシア代表、そして第17代目更識家当主「更識楯無」という両方の立場を続ける。後に功績が認められ、歴代最年少でIS学園の理事のひとりに選出された。更識家として政府が対応しきれない裏の問題を引き続き受け持っているが更識の影の歴史は自らの代で終わらせようとも密かに思っている。一方で一夏とのいつかの結婚に向け、花嫁修業に没頭中。

 

 

篠ノ之箒

 

ISを世に正しく広める事、そして正しい志を持つ操縦者を生み出したいと思う様になり、IS学園の教師になろうと決意し、無事合格。更に日本代表候補であった簪が自らの意志で辞任し、彼女本人の推薦もあって日本代表候補、そして現日本代表となった。千冬を理想の教師として精進した結果、今では彼女の二代目とも言われる程になり、ファンもかなり増えている。しかし教師と代表の両方をこなす生活の中で一夏との時間を中々作れないのが少し不満に思っている。

 

 

織斑一夏

 

アインヘリアル計画や自分の両親が犯した罪を忘れないため、そして少しでも償いがしたいという思いから自身が百式の企業から受け取っていた報酬金を使い、計画があった島に密かに慰霊碑を建立、残った金を全て被害者家族の支援に使った。その後、二度とあの様な悲劇を生み出さないために必要な事はこれからの者達の教育であると考える様になり、自らも教師、しかもIS学園の教師を目指し、猛勉強の結果無事に合格、箒と共に赴任する。相変わらず箒・セシリア・刀奈・蘭から猛烈なアピールを受け続けており、彼女らのためにIS操縦者の男子のみ重婚が認められる法律に従おうとも考えているがどうなる事は今後次第というところか。しかしその前に円や千冬の許可を得る事が難しいかもしれない…。




※次回13日(日)の予定です。

前編後編に分けています。そして次回で最終回の予定です。あとがきも長くなります。良ければ最後までご覧くださいませ。
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