IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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日本で海之達が事態解決に向けて動き出した時、こちらの国では…。


エピローグ 彼らの未来③

スメリアの空港

 

 

金髪の髪を後ろで束ねた女性

「あ~疲れた~」

 

ここはスメリア唯一の空港。そこにひとりの女性が降り立った。長い金髪の髪を後ろで束ねた白いスーツ姿の女性。

 

「今回の出張は長かったなぁ…。もう何回も飛行機に乗ってクタクタだよ」

 

なにやら仕事で長期出張から帰ってきたらしいその女性はひどく疲れている様子だった。そんな彼女が到着ロビーに出てきた時、

 

 

金髪の少年

「お母さん!」

 

 

金髪の少年が母と呼びながらその女性に走り寄ってきた。どうやら彼女の子供らしく、母親を迎えに来た様子だった。

 

「ただいまシャルル!元気だった?」

 

「うん!お仕事お疲れ様!」

 

シャルルという名前の少年が母親を笑顔でねぎらう。子供に会えた喜びか女性の表情から疲れが飛んだように見える。

 

 

サイドテールの少女

「ママ~!」

桃色の髪の少女

「おかあさん!」

 

 

そこに続けてやってきたのは少年と見た感じ同い年位のサイドテールの茶色い髪をした少女と桃色の髪をした少女のふたり。彼女らもまた女性を母親と呼んだ。

 

「華音や琴まで!皆で来てくれたの?」

 

「うん~!」

 

「私はシャルルだけで行った方がいいって言ったんだけど華音が聞かなくて」

 

「何言ってるのさ。華音より喜んでたくせに」

 

「余計な事言わないのシャルル!」

 

三人が兄妹の様に仲が良いのは誰の目にも明白だった。そのやりとりに女性も微笑む。

 

桃色の髪の女性

「おかえり~!」

 

すると再び現れたのはその子供達を引率してきたと思われる桃色の髪をした女性。よく見ると琴という少女によく似ている。彼女が琴の母親であろう。

 

「うん、ただいま。今度もありがとうね。仕事の間シャルルを看てくれて…」

 

「大丈夫だよ~。皆一緒の方が楽しいしご飯も美味しいし~♪」

 

「もうお母さんたら…」

 

どこかのほほんとした母親。どうやら親子でも娘の方が母親よりほんの少ししっかりしている様子。

 

「ねぇお母さん、お仕事はどうだった?あとお爺ちゃんとお祖母ちゃんにも会ったんでしょ?」

 

「うん、お仕事の最後にね。元気そうだった。それと明日から暫くは出張も無いし、一緒に過ごせるよ」

 

「ほんと~!」

 

「やった~♪」

 

「それはシャルルの言葉よ華音」

 

シャルルに負けない位喜ぶ華音。そしてそう言いつつ琴も他のふたりと同じく嬉しそうである。そんな会話をした後にとりあえず車で移動する事にしたのだがその途中の車内で、

 

「あっそうだ、帰りの飛行機のニュースで見たんだけど…」

 

「うん、私達も知ったよ。何か大変そうな事件だね…」

 

事件とはやはり例のクーデター。その内容にさすがに琴の母親も少し表情が曇るが、それは次の子供達の言葉で解消される。

 

「でも大丈夫だよママ!ついさっきママがパパに教えに行ったから!」

 

「お父さんにお仕事の電話が来たの」

 

「一緒にお母さんを迎えに行けないのを残念だって言ってたよ」

 

「そうなの?そういえばあの国はスメリアの友好国…。ならきっと大丈夫だね。…それにしてもお母さんも残念だなぁ。久しぶりにお父さんと過ごせると思ったのに」

 

「じゃあお父さんが帰ってきたら一杯甘えてねお母さん♪」

 

「ちょ、ちょっと何言ってるのシャルル!」

 

「アハハ、ママが赤くなった~!」

 

「じゃあ明日は皆で一緒にお店でご飯食べようか~?」

 

そんなのどかな会話が繰り広げられた…。

 

 

…………

 

そして彼女らがやってきたのは一軒のオフィスビル。階層は数階しかなく決して大きくはないが新しく、建って数年程度であるらしい。

 

ウィーンッ

 

金髪の女性

「お、帰ったか」

黒髪の女性

「社長、お疲れ様ッス」

 

玄関らしい自動ドアを開けるとそこにはふたりの女性がいた。片方は金髪の、もうひとりは黒髪の三つ編みをした話し方が少し変わっている女性。社員の様に思えるが社長に対してかなりフレンドリーな口調である。

 

「あ、うんふたり共。お疲れ様」

 

「ただいま~レインおばちゃん」

 

「おいこら誰がおばちゃんだ!お姉さんって呼べと言ってるだろう!」

 

「エヘヘ、ごめんなさ~い♪」

 

怒られてものほほんとしているサイドテールの少女。レインという女性が本気で怒っていないのがわかっているのか調子を崩さない。

 

「やれやれ全く…。同い年のシャルルや琴はしっかりしてんのになんで華音はこうなのかねぇ」

 

「あのふたりの子供とはちょっと思えないッスよね。寧ろこの人に近いッス」

 

「私も時々そう思いますスノウさん」

 

「あ~ひど~い」

 

スノウという黒髪の女性に同意する琴に母親の女性がぷんすか怒る。

 

「ところでどうしたのふたり共?今日は会社はお休みの筈でしょ?」

 

「ニコの野郎に実験に付き合ってくれって頼まれたんだよ。その帰りって訳だ。もうクッタクタだぜ」

 

「まぁ収穫はあったッスけどね。やっと浮遊用のユニットの開発の目途が付いたッス」

 

「えっ、本当に?」

 

そう聞いて驚く社長らしき女性。

 

「ああ。空中作業用ARM「ホーク」のプロトタイプが完成したんだ。つっても本完成まではまだ少しかかるけどな」

 

「本当!?凄いな~ニコくん。つい去年水中用ARMの「フロッグ」をロールアウトしたばかりなのに」

 

「にしてもあの不良品同然だったEOSがこんな事になるなんて思わなかったな…」

 

 

何やら聞きなれないものについて話が進む。それは今から11年前、束がコアの情報開示を世界に発信した事がきっかけだった。当時世界ではISが広く知れ渡っていたがその影でもうひとつの発明が世界で以前から進められていた。

 

「EOS」正式名称「エクステンデッド・オペレーション・シーカー」

 

束が開発したISに対抗して国連が独自に開発していたパワードスーツでいわば模擬IS。…なのだがその性能は重量が重い、燃費が悪い、シールドバリアが無い、パワーアシストが雑とISとは比べようがない位極めて不良であり、実践に出せるめども立たず、いつしか誰も目を向けなくなってしまった。……だが他でもない束はこれに目を付けた。彼女はコアの深い情報と引き換えにアインヘリアル計画の公開とEOSの全ての権利の買収を申し出たのだ。計画の事はともかくとしてコアの情報が手に入るならあんな不良品等安いものだと国連はあっさりと承諾し、EOSは束の手に入った…。

そして束はそれをある人物に与えた。ニコである。束は以前火影が使っていたキャバリエーレを見て、彼なら自分のIS程ではないにしても何か面白いものが造れないかと考えたのだった。その予想はそれからわずか一年後に的中する事になる。

 

「このポンコツを芸術品に仕上げてやるぜ!」

 

ニコはこの問題だらけのEOSを見るや否や徹底的に手を加え(時にはクロエや海之も巻き込んだりした)、全く新しいあるものを設計した。それが、

 

「ARM」正式名称「エンシェント・ライディング・メイル」

 

ISやEOSの様なパワードスーツでなく、人間同様に手足がついており、胴体上部にあたる部分にオープン型の操縦席があるパワーローダー。通称「アーム」。操縦席がむき出しの様に見えるがそこにはISと同じシールドバリアが張られている。操縦席以外にバリアは無いが装甲自体が非常に頑強なうえ、必要以上のエネルギー消費も抑えられる。更にパワーも非常に高い。デメリットといえ空が飛べない事、そして車や戦車に比べて遅いという点だがISの様に操縦者に男女の区別もないし操縦も比較的簡単である。ニコが自分の祖国の様な貧しい国のための土木作業や復興のためになるようなものを造りたいと思ったのがきっかけだった。

…そしてこれに更に目を付けたのがESC、その現社長であるレオナだった。

 

「こいつは間違いなくPKOや人命救助で大きなシェアを獲得するよ!」

 

そこからの彼女の動きは早かった。まず自分達の強みであるプログラムやシステム開発を生かしてソフトを開発。更に機体を造るのにある場所を指定した。今はESCの傘下に入っているデュノア社である。デュノア社の長くIS開発に関わってきた技術を用いてハードの開発を依頼したのだ。流石にこれにはデュノア社から反対の意見もあったがレオナの手腕、そして会社の立て直しを図っていた現社長はその依頼を承諾。ニコの指示のもと機体を開発し、一年後になんとか形にする事に成功した。最初はEOS同様あまり期待されていなかったが男女問わず使える事やISよりも操縦のしやすさ、高いパワー、コア等も必要としない利便性が徐々に広まり、レオナの言う通り世界中でISと二分するまでに広まった。もしかすると束はこれを予測して買収したのかもしれないと彼女を知っている者達は思っている。現在は初期モデルから更に発展した換装式の「キメラ」、岩盤掘削・土地開発用「カンガルー」、水中開発用「フロッグ」がロールアウトされている。

 

 

「そしてそれがものの見事にここまで普及するとは思わなかったぜ。ESCの社長命令とはいえ、デュノア社も良く引き受けたもんだ」

 

「IS事業から完全撤退しての大勝負だったけどね。でもおかげで父の会社もすっかり元通りどころか以前よりも大きくなったし、本当に束さんやニコくん、レオナ社長には今でも感謝しきれないよ…」

 

「でもこの前レオナおばちゃん言ってたよ~。皆が頑張ったからだって」

 

「そうだよお母さん」

 

子供達はじめその場の全員が金髪の女性に優しい目を向ける。

 

「…ありがとう、皆」

 

「肝心の開発者は機械いじっていたいだけって言って興味なさそうッスけどね。「ホーク」以外にも火災救助用(「キャメル」)寒冷地探査用(「ポーラー」)なんてもんも考えてるらしいッスよ」

 

「ニコお兄ちゃんも張り切ってるんじゃない?もうすぐクーリェお姉ちゃんとの結婚式もあるし」

 

「楽しみだね~♪」

 

どうやらニコとクーリェはこの数年でかなりの仲になっていたらしい。勿論その陰にはふたりの事をよく知っている者達の支えもあったに違いないが。

 

レインと名を変えたダリル

「ま、そんな話は飯でも食いながらにしようぜ。あいつの店でな」

 

スノウと名を変えたフォルテ

「レイン、あいつは今日留守ッスよ。あの事件解決に動いてるッスから」

 

成長した本音

「じゃあアルさんのお店行こうよ!デウスさんも今帰ってるはずだから♪」

 

成長したシャルロット

「グリフィンさん遠征から帰ってきたの?いいね、久々に会いたいし行こ皆♪」

 

シャルル・華音・琴

「「「は~い!!」」

 

 

…………

 

エヴァンス夫妻の墓

 

 

ここはスメリアで最も一番美しく海が見える場所にあるエヴァンス夫妻の墓。相変わらずそこには多くの花が手向けられている。夫妻が無くなって20年以上が経過した今も彼らの事は多くのスメリア国民の心に残っている様だ…。

 

「……ふたりが亡くなってもう20年か…。時が経つってのはほんと早ぇな…」

 

そんな中、今もひとりの人物が花を手向けたばかりだった。

 

「ごめんな。最近店の仕事が忙しくて来るのがいつもより遅れちまった。「一緒に料理の店やりたい」っていうあいつのお願いを聞いて開いた店だったけどまさかここまで繁盛するなんて当初は思わなかったぜ…。ほんとはもうひとつの仕事したくてレオナさんに経営の仕方教わったんだがそっちは完全に隠れちまったな、はは」

 

そんな事を言いながら男は墓石に向かって話を続ける。

 

「俺もあいつも28と随分でかくなったし老けたな…。まぁ10になる前にふたりは死んじまったから当然だが。でもそんなんで老けたなんつったらレオナさんに怒られっかな?考えただけでも恐ろしいね…」

 

~~

何やら遠くから車のクラクションが聞こえるような気がする。

 

「前ん時は今位の歳なんて何やってたっけかな?…あいつ(トリッシュ)と出会ってあの野郎(ムンドゥス)をぶっ倒した時位か…。あん時馬鹿ばっかしてて結婚はおろか恋人さえいなかった俺がまさかこうして人の旦那で親父にまでなっちまうとはな…。誰よりも長く生きるっていう経験してる癖にどちらも全くの素人だが…ま、精々頑張るさ。向こうに行った時に父さん母さんに笑われないためにもな…」

 

~~~

 

「ふたりが、そしてあの人が繋いでくれたこの命。決して無駄にはしねぇ。最後まで使い切ってみせるぜ」

 

苦笑いする男。するとそこに、

 

ツインテールの茶髪の女性

「もう!早く行かないと怒られるわよ!わざわざ専用機待ってくれてるんだから!」

 

「ああわかってるよ。…じゃあな、父さん母さん」

 

ツインテールを振りながらひとりの女性が走ってくる。彼女が相棒だろうか。言われて男は墓に一礼して車に向かって歩き出す。

 

(行ってきます…お義母さんお義父さん)

 

女性も心でそう挨拶すると男と共に再び車に乗り込み、男を助手席に乗せて運転する。

 

「今度は久々の裏の大仕事ね♪何しろ政府からの依頼だもん、報酬もば~っちり♪」

 

「…お前だんだんがめつくなってきてねぇか?」

 

「気にしない気にしない♪ていうか本当に良かったわ。今日は幸いお店の予約も入ってないし、昨日だったらVIP予約をキャンセルしないといけなかったから大変だったわよ~」

 

「VIPっつってもあいつら(オニール・ファニール)だけどな。デビュー5周年か…全く有名になったもんだぜ。てか俺としてはなんでも屋の方がもっと忙しくなってほしいんだがな…。一応こっちが本社なのに日本の方がずっと繁盛してるし、これじゃどっちが本社かわかりゃしねぇ」

 

「スメリアが平和なんだからしょうがないわよ。その分お店の方が流行ってるし良いじゃない。先週〇〇〇ランのひとつ星も獲得したし、これからもっと忙しくなるわ~♪」

 

「張り切るのはいいがあんまりはしゃぎすぎんなよ?今お前は普通の身体じゃねぇんだから」

 

「大丈夫よ、もう安定期だから。またこの前乱から新しい服送ってきたわ。気が早いのよ全く」

 

そう言いつつ女性は大事そうに自分のお腹に手を当てた。

 

成長した鈴

(………幸せだよ私)

 

「? なんか言ったか?」

 

「ううんなんでも♪ああそれから忘れてた。今回の仕事だけど久しぶりに向こうとの共同作業よ。さっき千冬さんから連絡が来たわ。もう出発してるんじゃないかしら?」

 

「…ほう」

 

その言葉を聞いて男が笑みを浮かべた。

 

「先に行って「遅い」って言うのはどっちかしらね~♪」

 

「上等だ…飛ばせ、鈴」

 

~~~~~~~~

とその時携帯が鳴った。依頼者からである。男は電話を取りその赤い目を輝かせてこう対応した。

 

 

成長した火影

「…「Devil・May・Cry」代表…火影・藤原・エヴァンス…」

 

 

…………

 

レイン・ミューラー(ダリル・ケイシー)&スノウ・アズライト(フォルテ・サファイア)

 

11年前の戦いの後にふたりで自首する。更識や千冬、真耶の口添えもあって刑は軽減されるが代わりにIS代表候補及び操縦資格は永久はく奪される。罪を償った後は祖国に戻る気は起らなかった彼女らをスメリアに支部を置いたシャルが誘い、移住。叔母のスコールの言いつけを守って名前も変え、ARMのテストパイロットをしながらふたりで一緒に暮らしている。

 

 

シャルロット・藤原・エヴァンス(シャルロット・デュノア)

 

学園を卒業後にフランスに戻り、大学で経営学を学び、卒業。フランス代表まで選ばれるが辞退し、学園を卒業してスメリアに戻った火影を追いかけて自身もスメリアに渡る。同じく火影を追いかけてきた鈴と本音から「将来のデュノア社を背負うかもしれない人が独身じゃまずいでしょ?」と後押しを受け、仲間や両親にお祝いされながら火影と結婚する。後に火影との間に息子シャルルを儲ける。レオナの意向でスメリアにデュノア支社を創り、その支社長に就任。ARMの発展で忙しく世界を飛び回っているので中々火影や息子と過ごせないのをやや残念と思いつつも火影の妻になれた事に幸せを感じている。

 

 

藤原本音(布仏本音)

 

IS学園を卒業後に保育系の専門学校で学び、二年間の実習を終えた後に火影の後を追う形でスメリアに渡る。そこで鈴、シャルと揃ってこれからもずっと一緒にいたいと想いを打ち明け、同時に前述の通り形式上の妻という立場はシャルに譲りつつ、鈴と一緒に内縁上の関係となる。本音自身は「ひかりんと一緒に暮らせるなら関係ないもん♪」と全く気にしていない模様。ラウラと同じく関係者のみで挙げた結婚式の写真を今でも宝物にしている。後に火影との間に娘である(こと)を生む。仕事で多忙な鈴やシャルの子供達の面倒を看つつ、時には火影と鈴の店を手伝ったりシャルの仕事を手伝っている。

 

 

藤原鈴音(鳳鈴音)

 

祖国の大学を卒業した後にIS代表の座を辞退、ISも返還して本音やシャルと一緒にスメリアに渡る。三人揃って火影に改めて想いを打ち明けると本音と一緒にシャルを妻に押し、自らは事実上籍を入れない立場を選ぶ。彼女や本音を気遣い特例法を利用するという火影に対して彼女はラウラと同じ様に「自分の子供を利用されたくないし、私達のために世界の狙い通りに動くアンタなんてらしくない」と聞かなかった。後に火影との愛娘華音(ファイン)を出産し、現在ふたり目を宿している。火影と一緒に「Devils・Laugh(悪魔も笑う位おいしい)」という名前の念願だった料理店を開いた。店を切盛りしながら火影の裏の仕事も手伝っており、充実した日々を送る。

 

 

火影・藤原・エヴァンス

 

ムンドゥスとの戦いの後に単身魔界に乗り込んで扉を封じ、二年後に人界に帰還。海之の手荒な歓迎や一夏達の祝福を受けながら再会する。二年の留年を無事終えた後、他の皆と違って大学や専門には行かずにスメリアに戻り、以前の様な無様な経営をしないためにレオナに頼み込んで彼女の下で徹底的に経営を学ぶ。そして三年後スメリアに嘗て自分がやっていた店と同名のなんでも屋(なんでも屋というのは火影の意見で本来は警備・探偵業)「Devil・May・Cry」本部、海之がいる日本に支部を開いた。同年に鈴・シャル・本音の想いを受け入れ、シャルと結婚。鈴、本音とも夫婦同然の関係を結び、彼女らとの間に子供も設ける。現在は鈴と一緒に開いた料理店も経営し、たまにもうひとつの仕事もこなしながらエヴァンス邸で彼女達と一緒に暮らしている。夫としても父親としても初心者で日々奮闘しているが嘗ての自分や両親が経験できなかった今の幸せを守るため、自分と海之を育て見守ってくれた父を理想として目指している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃…エヴァンス邸にて。

 

 

ギャリソン

「……」

 

 

70を超えてやや老けた様に思えるギャリソンが何やら思うことがある様に空を見上げていた。

 

メイド

「…?ギャリソン様、どうされました?」

ギャリソン

「…ああすいません。少し考え事でボーっとしていまして。…私も歳ですかね」

メイド

「何をおっしゃるのですか。ギャリソン様にはもっと私共の指導役として頑張っていただかないと!」

「そうですわ!」

ギャリソン

「ええありがとうございます、大丈夫ですよ」

 

メイドは挨拶してその場を離れる。ギャリソンは再び空を見上げた。そしてこんな事を思っていた。

 

 

(……ほんの数十年程度で老いを感じる様になるとは。以前は千年以上生きていても何も感じなかったというのに…おかしいものだ)

 

 

見上げる空は青い空…。

 

 

(記憶も本当の名前も、言葉さえも失っていたからっぽの私を今は亡き先代が暖かく迎え入れてくれ、ギャリソンという名前を与えてくれてから数十年。最早記憶は永久に戻らぬものと思っていたが…あの時、私は全てを思い出した。生まれたばかりの様な彼らが持っていた…アレを目にした時に…)

 

 

ゆっくりと流れている雲…。

 

 

(嘗て次元の渦に放り込まれ、長い漂流の影響で記憶も力も全て失い、最早消滅するしかった私はこの世界に流れ着いた。何故か人の子として。それが神とやらの思し召しなのかはわからない…。そんな私がまさか…全く別の世界で彼らに再び出会う事になるとは…。12年前、そして11年前彼らが行方不明になった時何があったのかはわからない…。しかし不思議と落ち着いていた自分がいた。彼らならば大丈夫だと。何故なら…あのふたりは…)

 

 

すると空に一筋の飛行機雲があった。

 

 

(彼らは私の事に気づく筈もないが…それでいい。最早彼らに私は必要ない。私はこれからもこの世界の人間ギャリソンとして…彼らを支えていくとしよう…)

 

 

ギャリソン

 

70を超えたもののスメリアのエヴァンス邸執事長として仕え、才能を振るう。

……実は昔、ある「もの」を目にした事がきっかけで記憶を既に取り戻しており、自身が「どういう生まれ」なのかも「本当の名前」も思い出していたが最早自分の役割は終わったと悟り、過去は記憶の中に封印して今まで通りギャリソンとして生きる事を決めた。これからもその気持ちは変わりなく、彼はこれからも火影や海之、多くの者達のために力を尽くしていく…。

 

 

(……あの子達も大きくなったものだ。なぁ…………エヴァ…)

 

 

~~~FIN~~~




読者の皆様へ

こんにちは。storybladeです。

「IS×DMC 赤と青の双子の物語」

今話をもって完結となります。第一話からお読みいただいている方々、途中からお読みいただいている方々、本当にありがとうございました。思えば自分がこの話を始めたのが今から2年前。まさか完結まで2年以上、250話以上、そして500を超えるお気に入りしてくださる等最初は思ってもみませんでした。文才無い僕がここまで長く続けてこられたのは皆様の応援のおかげです。
ただひとつ謝りたい事がございまして僕はこの小説を書くまでにDMCは全てプレイしているのですが主題となったISは二次小説がきっかけ、原作をほんのだけ少しかじった程度、アニメは見た事もありませんでした。ですが僕が二次小説を書きたいと思った作品の原作がISだったので、この作品で書きたいと思い、小説を書くことにしました。本作をお読みいただいた方の中にはDMC、そしてISのファンもいらっしゃるかもしれません。そういった方の中でこの作品のせいでもし原作のイメージが崩された方がいたら申し訳ありませんでした。前半に比べて後半はやや急ぎ足だった感もしていますが自分としてはこの作品で書きたいと思っていた事はなんとかできたなと思っています。最後に出てきたARMというのは僕がDMCと同じく大好きなゲームシリーズに出てくるあるものがモデルです。同じカプコンなのでゲスト出演させてみました。
最後にですが今作の反省を生かしながら個人的にまたやってみたいと思っているものがあります。あるふたつの作品のコラボです。いつか投稿するかもしれないのでその時は是非ご覧ください。
改めて応援ありがとうございました!心より感謝申し上げます。

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