IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
Mission01 青の日常
嘗ての世界にて悪魔の手から世界を守った悪魔と人の血を持った双子の兄弟「ダンテ」と「バージル」。死後、ダンテが「火影」、バージルが「海之」として新たな世界に転生した彼らはそこで多くのかけがえない仲間達と出会うが、ふたりと同じく転生してきた前世からの因縁とも再び相まみえる事になった。世界を揺るがす程の多くの真相を知りながらも、兄弟とその仲間達は戦い続け、遂に全ての根源を打倒したのであった。…しかし、
「あばよ皆。…………そして馬鹿兄貴」ドゴオォォォォォォォ!!!
「!!」ドサッ!!
「「海之(くん)!!」」
「火影!お前一体なんのつもり………って!」
「火影…アンタまさか!?」
「ああそうだ。こいつは留守番だ。魔界に行くのは俺だけでいい」
「そ…そんな!火影だけでなんて!!」
「正気か!?」
「俺は何時だって正気だぜ?心配すんな。俺は伝説のデビルハンターだからな。必ず全部終わらせて帰ってくるって。だから…そいつの事頼んだぜ。一夏。俺がいない間、皆を守ってやれよ」
「火影…お前」
「元気でやれよ皆。…じゃな!」
最後の最後、火影は世界を守るために世界の裏側である魔界に行く事を決意。必ず帰ると約束してひとり旅立ってしまうのであった…。
…………
………
……
…
そしてそれから半年の月日が流れた。当時一年生だった者達も二年生。あの戦いの慌ただしさは消えさり、いつもの日常が流れてる。最もあの時の真相を知っているのは一部の関係者のみであり、多くの生徒は知る筈も無い事であるため、当り前ではあるのだが。しかし少しは変わった事もあった。まずIS学園にも男子生徒が入る事になった。先の戦いにてISを動かせる女性の双子、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児であれば男子にも動かせるのではないかという説が浮上し、それを元に世界的にIS操縦適正検査が男子にも適応される事が決定したのである。もしいれば来年から学園にも男子が入って来る事になっている。そしてもうひとつ、IS学園の教師であり、伝説のブリュンヒルデとも言われる一夏の姉、千冬が警察に自首したのだ。白騎士事件にて白騎士を動かしていた主犯のひとりとして。事件が事件なだけに警察も逮捕せざるを得なかった。しかしそんな彼女を助けようという働きが世界中に間もなく広がり、千冬の量刑は大きく縮小。禁固七年という異例のものとなった。現在はとある場所にて重要保護人物として収監中である。他にも大小あるが世界は今日もゆっくりと進んで行っていた。それは彼らも…。
IS学園 生徒会室
海之
「……会長。二学期の学内行事予定表、完成しましたのでチェックお願いします」
刀奈
「ありがと海之くん。それじゃあ今度はこっちお願いね♪」
本音
「はいみうみう。こっちのもお願~い」
虚
「海之さん。手伝いますのでそちらの資料少し回してください」
IS学園生徒会。そこでは生徒会役員が業務に追われていた。その中でも元バージルこと、海之の忙しさはひと際なのがうかがい知れる。それもその筈、彼はその優秀さから自分が受け持っている特別実行委員のみでなく会計も、しかも文化、体育、図書の委員会長も受け持っているのだ。おまけに生徒会長の刀奈や今はここにはいないが副会長のヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー、その他の生徒の推薦もあって彼女らが卒業後に次期生徒会長になる事もほぼ決定しているから業務の引継ぎも受けなければならないと本当に忙しいのであった。因みにではあるが海之の身長はここ最近また伸びて180センチを超えた。
(全くなんという忙しさだ…)
「御免ね~海之くん。色々させちゃって」
「そもそも刀奈お嬢様が色々し損ねていた事も理由のひとつです」
「だってしょうがないじゃないの~。来年の男子入学について新たな生徒会のシステムも作らないとだし~家の次期当主としての引継ぎ業務だってあるし~ロシア代表としての仕事もあるんだし~」
「それは今に始まった事ではないでしょう。あと本音ちゃんももっとしゃんとしなさい。もう後輩だっているんですから」
「は~い」
「大丈夫ですよ虚さんこの位」
そう言う海之の後ろから、
簪
「海之君は優しすぎるよ…。だから皆がつい甘えちゃうんだから。無理言っていいんだよ?」
お茶を入れた湯呑を持ってきたのは同じく二年生になり、少し髪を伸ばした簪。彼女は生徒会役員ではなく整備部部長だが、仕事が無い日はたまに生徒会の仕事を手伝う様になっていた。
「はい、お茶どうぞ海之くん」
「すまない。あと…大福か」
「う、うん。フルーツ大福なんだけど今日の実習で作ってみたの。良かったら…食べて。あ、中身は葡萄だから」
「う~ん簪ちゃんすっかり主婦感が出てるわね~♪あ~一夏くんも私にお菓子作ってくれないかな~」
「も、もうお姉ちゃん!はいお姉ちゃんも虚も本音もどーぞ!」
「愛しの妹の手作りなんて嬉しいわ~♪」
「ありがとうございます」
「わ~い!」
そんな騒がしい生徒会の一日だった…。
…………
……ガキンッ!!
「勝者!海之・藤原・エヴァンス!」
「勝者!篠ノ之箒!」
~~~~♪
「おや?丁度終了か。では本日の授業はこれまで!専用機持ちで無い者はISを返還する様に」
「「「ありがとうございました!」」」
翌日のアリーナでの授業。今もお互いのISにて模擬試合が行われ、試合終了と同時にチャイムが流れてそのまま授業も終了となった。
一夏
「くっそ~!しまった~油断した~!」
箒
「フフン。最後の最後まで油断は禁物だぞ一夏」
セシリア
「お疲れ様ですわ一夏さん!あと箒さんも」
鈴
「あ~も~!ほんっとに強いわね~海之」
「悔しがる必要はない。お前も以前よりも強くなっているぞ鈴」
シャルロット
「うん。僕もそう思うよ鈴」
「う~でも~」
クロエ(シエラ)
「慌てる必要はありませんよ。日々の成長が大切なのですから」
この日は一組と二組の合同授業であった。一年も経っていないので皆も見た目殆ど変わってない。精々リボンが変わったり程度である。ひとつだけ変わったのはクラスで海之・一夏・箒・セシリア・クロエが一組。鈴・シャルロット・本音が二組となっていた。
「じゃあ食堂で飯にしようぜ~?」
…………
学園食堂
食堂にて皆で昼食と先程の試合の反省会。
「くっそ~何度思い返しても最後の最後に食らったのが悪かったな~」
「私なんて相手が海之とはいえウェルギエルじゃなく打鉄にまた負けたのよ~?」
「量産機でもみうみう凄く強いもんね~」
「いかにISの性能差があっても最も大切なのは自身の能力だ。それを忘れてはならん。ISのみでなく自分の鍛錬も常に欠かさない事だな」
「でも海之さんは出力を3割ほど落としてそうなのですから鈴さんの悔しさもわかりますわ」
「ああ。私も相変わらず海之には勝てないままだからな」
ラウラ
「まぁ、私の夫のこいつにそう簡単に勝てると思わん事だな♪」
「そう言うラウラだってまだ海之くんに勝ててないじゃないの」
海之に勝てないと悔しがる鈴や箒。その一方で誇らしげなラウラと簪はつい先ほど合流した。因みに彼女らは四組である。このクラス分けを見るとイタズラが好きな某生徒会長の影響がある様にも思えるがそこは言わぬが花でもあるか。
「当然だろう。海之は教官と並んで私の目指す者…あ、す、すまん一夏…」
「もういいってラウラ」
「そういえば千冬様はどうでしたか?先日ご挨拶に行かれたのでしょう?」
「元気そうだったよ。囚人なのにまるでVIP扱いされているのが気に食わんと言ってた」
「まぁ千冬さんだからな。ぞんざいには出来んさ」
「そういえば一夏。あいつの方の治療は順調か?」
「ああマドカの事なら問題ないぜ。刀奈さんとこの人がずっと付いててくれているし、何より束さんの治療カプセルもあるからな」
あの戦いの後、千冬のクローンであり一夏の妹(本人は姉と断言しているが)であるマドカは更識の家で保護され、細胞の早い老化を防ぐための治療を受けている。最近では束考案の治療システムも加わり、以前よりもより効率的に治療を受ける事が出来ていたが彼女の存在を表に公にするにはまだ少し時間がかかりそうだった。最も彼女がクローンである事は誰にも知らせるつもりはなかった。
「ところでもうすぐ夏休みだね~。皆もう予定決まってる?」
「私は一度国に帰りますわ」
「私も今回は家に帰ろうかなって思ってるわ。ゴールデンウィークも帰ってなかったから」
「私も束様の所に帰ろうと思っています」
「そっか~。海之は?」
「俺は学園に残るつもりだ。家にも伝えてある」
「え?スメリアに戻らないのか?」
「休みの間に生徒会の仕事を済ませたい。それに俺一人だけ帰ってもな」
「あ…」
その一言で皆の間に一瞬沈黙が浮かんだ。
「わ、悪い海之…」
「気にするな一夏。それに俺ではなく鈴達に言ってやれ」
「…私達は大丈夫よ。…火影を信じてるから」
「うん。火影はきっと直ぐに帰ってきてくれるってね」
「ひかりんには帰ってきてから沢山デザート作ってもらうんだから!」
そう言う鈴達であったがその心の中は寂しさがある事を皆が知っている。だからこういう皆が集まるところではデート等の話はできるだけしない様にしていた。
「…ああそうだな。あいつなら直ぐに戻って来るさ」
「うむ。私と海之の弟だからな」
「…でも、それでも心配だけどね。ね、海之くん」
「何故俺があいつの心配をしなければならん。俺の刀を奪っただけでなく、不意打ちまで食らわされたんだぞ。寧ろ暫く帰ってこない方が清々する」
目を閉じつつ不機嫌そうな顔を見せる海之だが続けざま、
「…まぁ、魔界でくたばる様なら俺とのケンカで既に死んでいるだろうからな。死にはせんだろう。不本意ではあるが」
(((素直じゃないなぁ…)))
皆苦笑いしながらそう思うのであった。こうして今日も騒がしくも賑やかな学校での一日は過ぎていった…。
…………
その日の夜、海之と簪の部屋。時刻は就寝時間をとうに超え、ふたり共眠りに就いていた。
簪
「すぅ…すぅ…」
海之
「……」
…………………………ブゥンッ
その時、眠っている海之の横のアミュレットがやんわりと光始めた…。
…………
???
男の声
「……い。……きな」
「……?」
誰かに呼ばれた様な気がし、海之は眠りから目覚める。するとそこは、
「……!
周りに何もない真っ白な空間。明らかに自分の部屋ではない。だがその空間に海之は見覚えがあった気がした。
「………ここはまさか」
男の声
「目覚めたか…」
自分の後ろから聞き慣れた様な声がして海之は驚きもせずに振り返る。するとそこには、
ネロ
「よう」
V(ブイ)
「…久しぶりだな」
海之にとって縁深く、且つ自分のISのコアに宿る人格であるふたりの人物がいた。わかっていたのか海之も驚いてはいない。
「……やはりお前達か」
「相変わらず無礼な奴だ。まずは挨拶が基本だとママから教わらなかったのか?」
「民間人に出会いがしら服や金を奪っていたお前に言われたくはない」
「はは、確かに。元気か?」
「愚問だな」
「あー違うアンタじゃない。一夏やあいつらのこった」
「一部元気を失っている者はいるがまぁ問題はない」
「その元気を失っているという者とは…まさかお前か?もしそうなら、随分と腑抜けたものだ」
「その口に刀を突っ込まれたいか?そんな事はカエルが好きになるよりもあり得ん。それより…さっさと要件を言ったらどうだ?」
「「……」」
「あれから一度も気配すら感じさせなかったお前達が急に出てきたという事はきっと何かあっての事なのだろう?恐らく…何かしら面倒な事だと思うがな」
海之が真面目な顔をして切り出した。
「……安心した。貴様はまだ変わり切っていない様だ」
「何度も言っているがお前の事でもあんだぞV」
「お前達のお笑いコンビも相変わらずだ。因みにお前がツッコミというやつか?」
「誰がコンビだ!誰がツッコミだ!てかどこで覚えやがったそんな言葉!」
「以前ラウラの奴が勧めてきた本でな。それよりも本題に戻れ」
「原因はそっちじゃねぇか全く…。まぁいい、結構急ぎの話かもしれねぇからな」
ネロは真面目な表情をし、Vは本を開く。
「いいか。よく聞け…」
…………
翌日…登校時、
「おはよう」
「おはようございます皆さん」
「「「おはよう一夏くん!!」」」
2-1のクラス。今日も元気に登校してきた一夏と途中で出会ったセシリア。彼らを迎えるのは一組のクラスメートといつもの者達。…しかしそこに海之の姿が無かった。
「おはよう一夏、セシリア」
「…あれ?海之は?簪」
「それが…突然「今日は急用ができたから休む」って言って、私服ですぐに出て行っちゃったの…」
「海之が?珍しいな…」
「姉上…じゃないシエラさんは何か聞いていませんか?」
「いえ、私も特に…」
「それに海之は特別実行委員だから学校の行事とかなら休みとか言わなくてもいい筈だけど…もしかして私用なのかな?」
「学校休んでしかもいきなり出ていく私用ってどんなのよ全く…」
~~~~♪
SHR開始一分前のチャイムが鳴ったので取り合えずお開きとなった…。
…………
~~~~♪
「それでは本日の授業はこれまでです。織斑くん、号令をお願いします」
この日の授業も問題なく終わり、千冬の後を引き継いで一組担任となった山田真耶と一夏の指示の元、放課後となった…のだが、
~~~♪
その時、一夏の携帯のメールが鳴る。それは同時に箒やセシリア、クロエのも同時に鳴った。
「…海之から?」
「私のも海之からだぞ?」
「私もですわ」
「私もです。…という事はもしかしてラウラ達にも届いているのでしょうか?」
「かもしれねぇな。えっと何々…」
メールにはこう書かれていた。
「用事が無い者だけでいい。授業終了後、指令室に来てくれ」
…………
司令室
「あ、海之」
「……来たか」
以前戦いの作戦確認の際に時々利用していた司令室。そこにやって来た一夏達。他のクラスのメンバーや刀奈もやはり呼ばれていたらしく、途中で合流した。部屋には既に海之が待っていた。
「うん来たよ~」
「山田先生は流石に無理そうだな。また後ほどお伝えしておくか」
「しかしどうしたんだ?急に指令室に来てほしいなんていう連絡をしてくるとは」
「しかもメールでなんて。だったら直接伝えればいいじゃないの」
「……すまない。他の生徒に聞かれる可能性があるのでな。あまり問題を大きくしたくはなかった」
「…問題、ですか?」
「何か…聞かれたくない事なの海之くん?」
セシリアや簪の質問に海之は真面目な表情を崩さない。そんな様子は次第に一夏達にも伝わったらしく、次第に表情が曇り始める。
「ど、どうしたんだよ一体?」
「…兄さん?」
そんな一夏達に、海之は暫くの沈黙の後にこう言ったのだった。
「………奴に、火影に何かあった様だ」
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02「不穏な知らせ」