IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
皆その内容に興奮冷めやらぬ様子だったが、千冬だけは2人のISに大きな疑問を持つ。
試合後、千冬は二人を呼びよせて問い詰める。火影と海之は自分達が転生者という正体を隠しながら質問に答えていく。結果、千冬の疑問は完全には晴れなかったものの今はこれでいいと話を切り上げるのであった。
※誤字をご指摘頂きまして申し訳ありません。少しでも減らせるよう頑張ります。
一夏とセシリアによる代表決定戦と双子の模擬戦から数刻後、
セシリアの部屋
セシリアは試合の汗を流すためにシャワーを浴びていた。その中で彼女は今日の試合を思い返していた。
(……先ほどの試合、引き分けとなりましたが、はっきり言って私の負けですわね…。今までISを動かした事が無かったような方に引き分けてしまったんですもの…)
…織斑一夏
自分より技術も経験も圧倒的に劣る彼を相手に、セシリアは自らの勝利を疑わなかった。しかし彼は見事に形勢を逆転した。
(俺はこの力で、俺の大切なものを守る!)
彼はそう力強く断言した。その時の一夏の目は自分が今まで出逢ってきた男とは大きく違っていた。
(…ふふ。負けたと思っていますのに、少し嬉しいと感じるのは何故なんでしょうね…)
そしてもう二人。火影と海之の兄弟。
彼等の戦いを見てセシリアは悟った。…彼等は自分より遥かに強い。心も身体も技術も何もかも…。
(私は今まで誤解していたようですね。父を見て男なんて全てがそうだと思い込んでいました。でもあの人たちは違う。…もう一度ちゃんとお礼を伝えませんと…)
そしてセシリアはシャワーを終え、身体を拭いて服を身につけ、外に出た。
廊下
セシリア
(皆さんはどちらでしょう…。食堂でしょうか?…あっ!)
セシリアの視線の先にはこちらに歩み寄ってくる探し人達がいた。
火影
「ようオルコット。改めてお疲れさん。ちょうど良かった、探したぜ」
セシリア
「あ、はい。お疲れ様です・・・って、探していた?私を?」
一夏
「ああそうなんだよ。と言っても俺は2人に呼ばれただけだけどな」
セシリア
「そうでしたか…、でもどうして?」
海之
「あんたに伝えておきたい事があってな。一応事情を知る一夏にも来てもらった」
セシリア
「私に伝えたい事?」
火影
「ああ、ちょっと場所を変えようぜ」
IS学園屋上
日は傾き始め、空はオレンジ色だった。
火影
「ここなら大丈夫だろ」
セシリア
「あの…私に御話というのは?」
火影
「ああ…。話と言うのはオルコット、あんたの両親についてだ」
セシリア
「…っえ?…お母様とお父様?」
セシリアは驚いた。まさか火影から自分の両親の話が出るとは。
一夏
「セシリアの両親の話って…、どういうことだ火影?」
火影
「実は…先日のオルコットの話を聞いてちょっと気になってな。勝手で申し訳ないが、知り合いに調べてもらったんだ。その結果わかった事もあってな。…オルコット、あんたには結構予想外の話かもしれない。それでも聞いてもらえるか?」
セシリア
「…は、はい」
セシリアは少し考えたが了承した。今さら、特に父の話などとは思ったが。
火影
「オルコット、あんたの両親はあんたが幼い頃から既に仲が悪かったと言ってたな?」
セシリア
「え、ええ。何時頃からかは存じ上げませんが、少なくとも私が小学校に上がる時には既に夫婦とは呼べませんでしたわ。いつもお父様がお母様の後ろに付いている様な感じで」
火影
「そうか…。何故2人はそんな仲だったのに最後まで別れなかったんだろうな。聞いた事はあるか?」
セシリア
「…いえ…」
だがセシリアも少しおかしいと思った事はある。あのような父と別れても母にとってそれほどの影響があるとは思えなかった。なぜなら…
火影
「まあいい。次にあんたの母親の会社だが、それは全て母親が纏めていたのか?」
セシリア
「ええ、その筈ですわ。あのお父様にできるとは思いませんもの」
…そういう訳だ
火影は更に問う。
火影
「…じゃあ最後に。あんたは複数の会社を持つ母親の娘。云わば令嬢だ。そんな身分の子供は幼い頃から見合いとか縁談の話をよくすると聞く。本人の意思に関わらずな。そんな話は無かったか?両親が亡くなる迄で良い」
セシリア
「……はい。僅かですがそのような話は全く無かった訳ではありません。ただそれもお母様が全てお断り致しておりましたが」
火影
「……」
火影は手に持つ何かの資料を見て考えている。
セシリア
「あの…でもどうしてそんな事を?」
一夏
「そうだぜ火影」
やがて火影は手に持つ資料を差し出し、セシリアが手に取る。
火影
「見てみろ」
セシリア
「…?これは…会社の面会記録?お母様の……!?」
それを見てセシリアは驚いた。
そこには大企業や財閥、果ては政治家等複数の名前が書かれている。それも大量に。
火影
「見ての通り、あんたの母親は亡くなるギリギリまで数多くの著名人と面会している。まあその内の幾らかは仕事の話だろうが、理由のほとんどはそいつらの息子とあんたとの縁談の話だ。確認も取れている」
セシリア
「!!でっ、でもこの様な事、お母様は私に…!」
火影
「そりゃそうだろう。当時のあんたにはまだ遠い話だしな。大方、金がらみの汚い縁談話に巻き込みたくなかったんだろ。きっと父親も同じ思いだった筈だぜ」
セシリア
「…え?…お父様が?」
海之が答える。
海之
「見ての通り、そこには数多くの著名人の名前がある。やり手の母親とは言え、たった一人でそれら全ての意図に気づくのは荷が重い。自分の目が届かない所から幼いあんたに直接手を出してくる可能性もある。そこで父親は考えた。
「自分が誰よりも駄目な頼りない男を演じる。そうすれば娘を狙う奴らはまず自分を懐柔させようと近づいてくるかもしれない。娘に近づかれる位なら自分が釣り餌になった方が良い」とな。あんたの父親は自らおとりとなり、馬鹿共からあんたを守ってたんだ」
セシリア
「!…そ…そんな…そんな事って…」
火影
「もうひとつある。その資料にはあんたの母親が責任者となっている会社のリストもある。表向きにはそうなっているが、その約半分は実は父親が影の責任者だったらしい。そっちも裏取れてるよ」
一夏
「マジか…。そうか、2人は最近これを調べてたから忙しかったのか」
セシリア
「……」
セシリアは何も言わなかった。いや言えなかった。今まで軽蔑さえしていた父親。それがまさか自分を守るために道化を演じていたなんて…。そしておそらく母も知っていたのだろう。でなければ自らの会社を任せる筈がない…。だから二人は最後まで別れなかったのだ…。
セシリア
「……」
一夏
「セシリア…」
火影
「オルコット…。あんたがどう思うかは勝手だ。両親への気持ちが変わらなければそれで良い。亡くなった今となっちゃもう文句も言えない。謝る事もできない。でも…これだけはしっかり覚えとけ。あんたの父親は立派だった…」
セシリア
「………うっ」
すると突然火影が慌て出した。
火影
「一夏悪い!後頼むぜ!」
一夏
「ええっ!?ちょ、ちょっと待ってくれよ!」
火影
「女の泣き顔は苦手なんでね。じゃ~な」
そう言って火影と海之は立ち去った。
余談だがこの後、案の定セシリアは両親を呼びながら大泣きし始めた。一夏はそれを宥めるのに必死だったそうだ。
こんな設定もありかと思いました。
あと火影と海之がここまで調べられたのは家と父の会社のおかげです。火影も前世では何でも屋ですから。