IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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文章短めなので早めに出せました。多分あと一、二話位で亀更新になると思いますごめんなさい。


Mission03 微かな希望

「閻魔刀とリベリオンの破片、そして伊邪薙の鞘を使い刀を造ってくれ。俺が魔界に行く」

 

夢の中でネロとVからふたつの破片と自身の鞘を簪に渡しながら海之は言った。

 

「魔界に行くですって!?」

 

「ど、どうやって行くつもりだ!?」

 

「そのための閻魔刀とリベリオンだ。こんな爪の先程の破片となっても、まだ微かに力が残っているらしい。魔力に反応して確信した。それはこの鞘も同じ。これらを合わせれば僅か…恐らく一度位ならば、あの場所で扉を開く事が可能かもしれん」

 

「ほ、本当!?」

 

「確証は無い。殆ど賭けだが…試す価値がある賭けだ」

 

「…確かに。そのためにネロさん達はそれを渡したのかもしれませんね」

 

「あの馬鹿に何があったのか、俺の刀に何をしたのか、この目で確認してこなければならん」

 

「じゃ、じゃあ私達も!」

 

「駄目だ」

 

その微かな希望を聞き、彼らも行くと言い出すだろうと思っていた海之は厳しい表情で即答した。

 

「俺は言った筈だ。忘れたか?人間は魔界に存在できない事を。俺や火影が無事なのはISの能力「悪魔還り」があるからに過ぎない。そうでなければ俺達でも不可能だ。お前達が行っても一分も生きられん」

 

「そ、それは…」

 

「もう一度言う。お前達は無理だ」

 

「じゃ、じゃあ海之!火影みたいにお前もひとりで行くつもりか!?」

 

「そうだ」

 

海之は頷く。魔界にはひとりで行く。それもまた決めている事であった。

 

「そんな…海之までひとりで行くなんて…!もし海之にまで何かあったらどうするのさ!そうなったらもう今度こそ…」

 

「ねぇ!本当に私達行けないの!?ほんの少しでも無理!?」

 

「…!そうですわ!この世界の魔界は海之さん達の世界の魔界とは違うのでしょう?だったら私達が行ける可能性も…」

 

「た、確かにその可能性もある。なら!」

 

「待ちなさい皆」

 

全員の興奮含む声を冷静な声で止めたのは刀奈。

 

「刀奈…さん?」

 

「冷静になりなさい。自分達が何を言っているか分かってる?魔界へ行くという事がどういう事か。海之くんはその危険性を十分に知っているからこうして頑なに止めているのよ。私達は行けないの。分からない?」

 

「で、でも…!」

 

「海之くんも馬鹿じゃない。この世界の魔界とふたりの世界の魔界が違うという事もわかっている。それでもはっきりと魔界で人は生きられないと断言している。それが何よりの答え。そんな状況で私達が行ってどうするの?余計な死人が出るだけよ。それこそ海之くんの足手まといだわ」

 

「それは…」

 

「ましてや以前私も含めて皆、トリッシュさん達に魔界がどういう場所か見させてもらったでしょう?悪魔が沢山いて、光も自然も何もない世界。そんな世界に本当に行く覚悟はできてる?はっきり言って今の皆は火影くんの事があって冷静でいられてないだけよ」

 

「……」

 

「で、でも私達はあの塔も」

 

「あの塔は確かに禍々しかったけどこの世界のもの。魔界とは意味が全く違うわ。それすらもわからないなんて冷静じゃない証拠よ」

 

「お姉ちゃん…」

 

冷たい言い方に聞こえるが刀奈はきっと現実をしっかり見ろと教えているに違いないと海之にはわかっていた。恐らく皆も刀奈が悪気があって言っているのではないとわかっているだろう。本当は彼女だって行きたいと思っているだろうに…。

 

真耶

「更識さんの言う通りです」

 

その時扉を開けて入ってきた者がいた。千冬からクラスを引き継いだ山田真耶である。

 

「山田先生!」

 

「ごめんなさい、外にいる時に話は聞かせて頂きました。…魔界へ行きたいというお話、私は断固反対です」

 

「先生…」

 

「皆さんのお気持ちは本当によくわかります。ですが私は皆さんの担任として、学園の一教師として、皆さんの命を危険に曝す様な行動は見逃せません。例え…火影くんの事であっても。被害が更に大きくなったらどうするんですか?」

 

「……」

 

「それに皆さんは生徒であると同時に、国の代表候補でもあるのです。そんな貴方達の命に何かあれば学園、いえ日本とそれらの国との国際問題も起こり得るでしょう。半年前の件は国が関係していたから許されただけ。でも今回は違う。完全な私事です。許すわけには行きません」

 

見れば彼女も随分しっかりしたものだ。きっと千冬の分まで頑張ろうとしているに違いない。次に真耶は海之に目をやる。

 

「…海之くん。私は貴方が行くのも全く望んでいません。火影くんの事でもです。危険すぎます」

 

「ありがとうございます先生。でも、愚弟がしでかした事は身内が何とかしないといけませんから」

 

「お家の方々はどうされるのですか?」

 

「一年前はひと月も行方不明になっていたんです。今更ですよ」

 

「…何が何でも行くおつもりですか?」

 

「仮に簪に刀を造らせない様にしても俺は自分で造って勝手に行きます。退学処分にするのもご勝手にしてください。どうしても行かせたくないのならば、実力で抑え込んでください」

 

「海之くん…!」

 

「お、おい海之…」

 

真剣な真耶の表情に、海之もまた真剣な表情で返す。全く折れる気は無い。ふたりの間に沈黙が流れる。

 

「…………そうですか。では担任として」

 

その言葉に周りの皆は少しハッとする表情を見せるが、

 

「特別実行委員の海之くんに命令します。…何がなんでも帰ってきてください。できれば火影くんも一緒に」

 

「…え?」

 

「や、山田先生?」

 

その言葉に一夏達はポカンとする。真耶はため息を吐き、

 

「海之くんを力ずくで止めるなんて…情けないですけど私には無理です。恐らく教師の誰も止められないでしょう。それに…先輩からも言われていました」

 

「千冬姉にですか?」

 

「ええ…」

 

 

…………

 

それは千冬が警察に出頭する前日の事…、

 

(じゃあ真耶、すまないがあとは宜しく頼むぞ)

 

(先輩ぃぃ…本当に行っちゃうんですかぁぁ?)

 

(情けない声を出すな全く。私がいなくなった後で一組を率いるのはお前なんだぞ。もっとシャキッとしろ)

 

(だってぇぇぇ…私なんて先輩みたいにうまくやれるかどうか…)

 

(大丈夫だ。ずっと私の傍にいたお前だからこそ任せられる。一夏はきっと動揺するだろうが…世間に公表されるまで決して知らせるな。いいな?)

 

ずっと泣きつづける真耶を宥めつつ、誰にも言わない事を再確認する千冬。

 

(……それとだな真耶。もしあいつが、海之が何か勝手な行動をしても、特別実行委員の役割としてうまく処理してやれ)

 

(え…海之くんですか…?」

 

(ああ。あいつが勝手な事をするとすれば…一夏達の事、家の事、そして火影の事だろうしな。きっと無茶するに違いない。かといって止めようとしても、あいつはきっと止まらんだろう。だったら…私みたいに黙って行かせてやれ…)

 

 

…………

 

(…千冬先生)

 

「海之くんの担任としては是が非でも止めるべきかもしれません…。でも私には止められない。ならせめて…先輩の様に信じるしかできません。必ず帰って来てください。そして決して無茶しないでください」

 

「ありがとうございます山田先生」

 

頭を下げ、深く感謝する海之。彼も本当に変わったものだ。誰かに感謝等、前世では数える位しかしなかった気がする。

 

「で、でもやっぱり海之だけなんて…」

 

「…そうだ俺は!?俺の駆零孥ならもしかして」

 

「駄目です織斑くん。織斑くんのISが大丈夫という保証も無いでしょう?許可できません」

 

「山田先生の仰る通りだ。魔界には俺ひとりで行く。いいな?」

 

「「「……」」」

 

全員が、中でも一夏や鈴、シャルロットや本音は落ち込みが激しかった。彼らの気持ちは海之も理解できる。しかし今回は絶対に折れる訳にはいかなかった。バージルの頃なら「死にたいのなら勝手にしろ」「俺は知らん」と言うだろうが、今の彼は違うのだ。多少厳しくても止めるつもりだ。…とその時クロエが海之に話しかける。

 

「…海之兄さん。一度束様にご相談しても宜しいでしょうか?」

 

「…束さんにか?」

 

「はい、束様ならもしかしたら何か良い方法をお考えになるかと思うんです。直接的には無理でも、きっと何か」

 

「…確かに姉さんなら…」

 

「聞いていなかったのか?そういう問題では」

 

「やってみなければわからないだろ!」

 

「そうよ!あるか無いか位聞いてもいいじゃない!」

 

「お願いだよ海之!博士でも無理だったら…本当に諦めるから…」

 

皆が海之の言葉を止める。刀奈や真耶も彼らの気持ちは痛い程わかる故に何も言い出せない。その必死さを目の当たりにした海之は目を閉じ暫し考え、

 

「……簪。新たな刀を造れるまでどれ位かかる?」

 

「瑠璃月の設計図はあるから、同じ物なら時間はかからないけど…一週間位、かな」

 

「……………なら一週間だけだ。それ以上は待ってやらん。一週間を過ぎれば、俺は勝手にでも行くからな」

 

「では私は至急束様にご相談してみます」

 

微かな希望にかけた一夏達は頷いた。




Mission04

「焦る一週間」
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