IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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Mission05 再会の束

束から連絡があった翌日の朝。クロエの小型プライベートロケットで海之達は指定された場所に到着し、束の到着を待っていた。……が、

 

「……」

 

「…なぁ、ここでいいんだよな?」

 

「指定された座標はそうなっていますが…」

 

「…うん、確かにここだよ」

 

「…なんにも無いわね」

 

「ああ何にも無いな…」

 

「岩だらけだね〜」

 

「クロエは姉さんから何か聞いていないか?」

 

「…いえ、連絡こそできますが、束様方が今現在どちらにおられるかは私も存じ上げません」

 

そこは名も無きとある小島。というより岩礁に近い。ラ・ディヴィナ・コメディア島と同じく船や飛行機の航路からは離れているので場所としては安全と言えるが…鈴やラウラや本音の言った通り何にもない。そしてその場所には海之や一夏達以外にもうひとり、意外な人物が。

 

「マドカちゃん大丈夫?」

 

マドカ

「いらん心配だ。そもそも健康上は何も問題はないんだ、どうということはない。…あとちゃん付けはやめろと言った筈だが?」

 

「まぁまぁいいじゃない。この中では一番年下なんだから♪」

 

刀奈のその返事にやれやれという表情を見せるマドカ。何故か更識家にいる筈の彼女もいた。というのも昨日、束は彼女も連れてきてほしいとお願いしていたのだ。因みに服装はシャツとジーンズという感じ。

 

「にしても何で束さん、マドカまで呼んだんだろうな?」

 

「さあ…それにしても遅いねはか」

 

 

ウィィィィィン!!ガシャンガシャン!!

 

 

「「「!?」」」

 

とその時、目の前で驚きの光景が。地面の一部が開け、中から何か飛び出してきた途端、変形して形を変えた。よく見ると…それはエレベーターの様に見える。

 

「………えっと〜、これに乗れって事、かな?」

 

(しもしも〜♪)

 

「!この声は博士?」

 

(皆それに乗って降りてきてね〜。あ、全員は乗れないから何回かに分けてね。んじゃ後で♪)

 

それだけ言うとエレベーターに付いているらしいスピーカーからの声は消えた。相変わらずの彼女に安心しつつ、中にはため息も吐く者も。

 

「…大丈夫だろうが万が一だ。先に行く」

 

「私も乗ります兄さん」

 

「海之くん私も」

 

「私も行くぞ」

 

 

…………

 

やがて全員がエレベーターにて降りてきて周りを見渡す。そこは島の地下とはとても思えない人造施設。まさに秘密基地とも言える場所が広がっていた。

 

「すご〜い!」

 

「こんな場所があんな島の地下に…」

 

「私もここは存じ上げませんでした。おそらく私がIS学園に来た後で造られたものでしょう」

 

「姉さんは…?」

 

女性の声

「よ〜来たか。待ちくたびれたぜ」

 

横から声がしたので皆が振り向くと…そこには見覚えのある顔がふたり。ひとりはオレンジ色の髪を短く切った女性。もうひとりは長い金髪の女性。

 

金髪の女性

「久しぶりね貴方達。それにマドカも」

 

「オータムとスコールか。変わりはな…いや、お前は髪を切ったのか。似合っていないが」

 

「お前もその生意気ぶりは変わらねえな」

 

それは半年前の戦いで海之や一夏達と幾度も戦い、今は束の護衛かつ助手としても働いている、オータムとスコール・ミューゼルことアレクシア・ミューゼルだった。

 

「スコール、いやアレクシア。オータム。あんたらも元気そうだな」

 

「スコールでいいわ。アレクシアの名前はもう捨てた。ええ、毎回束の無茶苦茶な実験に付き合わされてるけど元気よ」

 

「む、無茶苦茶な実験って束さん一体何を…」

 

「…それでその束さんはどこに?」

 

「焦んなっての。面倒だが案内してやる」

 

「ついてきて」

 

 

…………

 

スコールとオータムに連れられて歩く一同。地下の施設は最初の部屋だけでなく、他の場所も大きく造られていた。中にはこんなものまで。

 

「…!あれって宇宙シャトル?」

 

「ええ。時々あれで宇宙に上がるの。勿論他にバレない様にね。宇宙でしか試せない事もあるから」

 

「この沢山のパーツや部品はなんですか?」

 

「それは宇宙ステーション建造のためのパーツよ」

 

「へ~……って宇宙ステーション!?」

 

「あいつ半年前のあの件からISの宇宙計画に向けて色々やってんだよ」

 

「漸く篠ノ之博士の目指されていたIS本来の方向に向けて動き出した訳ですのね」

 

「博士も少しはやり易くなったんじゃない?コアの情報を世界に拡散した訳だし」

 

 

半年前の戦いから少し経ったある日、束は千冬が自首した事をニュースで知った。もしかしたら予測していたのか束は何も言わなかった。だがその後、千冬の決意を汲んだ束は自身も覚悟を決めたのかある行動に出た。

 

ISコアの情報と引き換えに、アインへリアル計画に参加していた者達のあぶり出しとその情報を公開する事

 

当初渋る国もあったが殆どの国は束の要求を飲んだ。古い者達の運命よりもこれからの自分やISを選んだのだろう。結果多くの者達が消え、その代わりにコアの情報と作成方法を知り得た。が、束よりも数段遅れている国々がたった数ヶ月で全てを知るなど出来る筈もない。結果彼女は未だに世界から狙われているままだ。計画の、亡国機業の生き残りであるスコールとオータムも。

 

 

「私らは隠れて見てたが、あん時の政府の奴らのヒヤヒヤ顔が未だに思い出すだけで笑えるぜ♪」

 

「フフ、ほんとね。悪い事はできないって事よ」

 

「それを言うならアンタ達もでしょうが」

 

「そうだったわね。まぁ一生日陰者にはなったけど、気分はそれ程悪くないわよ」

 

「だな。あいつの最新のISに乗れたりもするしな」

 

「…最新のIS?」

 

「と、着いたぜ」

 

 

…………

 

束の研究室

 

 

「束、連れてきたわよ」

 

扉を開けると同時にスコールが束に知らせるが…コンピュータは全て付いているがそこには誰もいない。

 

「…姉さん?」

 

「束様?」

 

「あん?どこだ〜束〜」

 

「……〜」

 

「……何か聞こえなかったか?」

 

「え?俺は別に」

 

「いや…うっすらだが私も確かに聞こえたぞ」

 

「…〜〜」

 

「僕にも聞こえた。…あの奥からじゃない?」

 

奥にはまだ部屋が続いている。皆がそちらの方に歩いていると、

 

「…て」

 

「?て?」

 

「この声は博士ね…」

 

小声だが確かに束の声だった。皆が更に近づくとそこで彼らが見たものは…

 

パーツに埋もれた束

「た~す~け~て~…ヘ〜ル〜プ〜ミ〜…」

 

大量のパーツやら部品やらに全身すっかり埋もれた束だった。

 

「いっ!?」

 

「姉さん!?」

 

「た、束様!」

 

「大丈夫ですか博士!」

 

「は、早くどかすわよ!ほら海之もアンタらも手伝って!」

 

「「「…ハァ」」」

 

 

…………

 

数分後、山の様なパーツやガラクタ?からやっと束を引きずり出した。

 

「いや~ありがとね皆♪」

 

「つ、疲れた…」

 

「たく、ほんの数分前までなんともなかったのに戻ってきたらなんでこうなってんだ?」

 

「20メートル上の棚にあるものをジャンプして取ったらちょっとバランスを崩しちゃってね~。棚ごと上にあったもの全部流れてきたら」

 

「ああなったって事ですか…。でも束さん、空から落ちてきても無傷な位ハイスペックじゃないですか」

 

「奇跡的に打ち所が悪くてね~。ほら、強靭なオッサンでも指一本で動けなくなったりするでしょ?あれと同じさ。いやほんと助かった助かった♪」

 

実際あれだけの物の下敷きになっていたにも関わらず、彼女は全くの無傷である。

 

「束様…お久しぶりです」

 

「お、実体のクーちゃんに合うのは久々だね♪どう、学園生活楽しんでる?」

 

「はい。束様はお変わりない様で」

 

「この束さんの美貌は100年経っても変わらないよ♪箒ちゃんもお久!ふむふむ、目視だとまた母性の象徴大きくな」ドゴッ!

 

気が付くといつの間にか箒が束にげんこつを食らわしていた。まるで千冬を思い出させる。

 

「何か言いましたか姉さん?」

 

「こ、この束さんの先手を打つとはこれはちーちゃん二世の予感!は!でもいっくんのこど」ゴンッ!

 

「二度は聞きませんよ?」

 

「ちぇ~つまんないの~。てな訳でいっくん、箒ちゃんをどうぞ末永くよろしく!」

 

「いやてな訳ってどんな訳っすか…」

 

「そしてみーくん、なんか急に背すっごい伸びてない?遅めの成長期?」

 

「…どうでしょうね」

 

「他の皆は変わりない様だね。たった半年とはいっても人生は短い様で実は案外長いんだからね。頑張りたまえよ。とはいっても遅すぎるなんて事は無し!束さんだって今が一番楽しいかもと言っても過言じゃないんだから♪」

 

「は、はぁ…」

 

「が、頑張ります…」

 

「は~い!」

 

反応は様々であるが誰もが束はやっぱり束だなと思っていた。そんな中海之が切り出す。

 

「…そんな事よりも束さん。俺達をここに呼んだ理由を聞かせてくれませんか?」

 

「あ!そ、そうだった忘れてた!魔界に行く方法だった!」

 

「火影を助けに行く方法が見つかったんですか!?」

 

「お願いします博士!どうか教えて下さい!」

 

皆も海之の言葉に同調する。そんな彼らを見て束はいつもの服を整えながら立ち上がる。

 

「え〜束さんとしたらもっと弄り倒したいんだけど〜」パンパン「…まぁ仕方ない。今回は状況が状況、ひーくんの命が関わってるかもしれないんだからね。いつも真面目な束さんの真面目度をまた少し上げますか」

 

 

…………

 

仕切り直して束達はコンソールの前に移動。スコールとオータムは壁に背を預けている。

 

「一応聞くけどみーくん、あれから事態の悪化はしてない?」

 

「…俺に伝えてきた者が再び出てきていない事から少なくとも火影の奴や伊邪薙に何かあったとは考えにくいですが…確証はありません。だとしてもあまり時間的余裕はありません。こうしている間にも」

 

「「「……」」」

 

「時間はあんまり無いと言う事だね。……やっぱり予定通りでいくか」

 

「…予定通り?」

 

「単刀直入に言うよ。魔界に行く方法……無い事もないよ」

 

束がいつもより真面目な表情でそう切り出すとその言葉に皆動揺する。海之は声は出さないが驚いているのだろう目を少し見開く。

 

「ほ、本当か姉さん!?」

 

「僕達火影を助けに行けるんですか!?」

 

「し、しかし一体どんな方法が…!」

 

「…これを使うのさ」

 

すると束はコンソールを操作しある画面を映し出す。そこに映っているのは…何かのパーツの様なものであった。

 

「束さん、これは?」

 

「…名づけるなら、「Dreadcoat(ドレッドコート)」、とでも呼んでおこうかな」




Mission06

「魔衣ドレッドコート」
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