IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
「ドレッドコート」の効果で魔界に火影を助けに行ける。それを聞いた鈴達は喜び、我も我もと魔界に行くと言い出す。…が、
「あ~喜んでいるとこ悪いんだけどさ…魔界に行くメンバーはもう束さんの中で決めてるんだよね」
「……え?」
「魔界に行くメンバーは…もう決めてる?」
その言葉にポカンとする少女達。そして次に束が言った言葉は彼女らを更に驚かせるものだった。
「ド直球に言うよ。君らを連れて行く事はできない」
「「!!」」
「そ、それはどういう事だ姉さん!」
「私達が行けないって…!?」
先程の喜びが一気に消えていくのがわかる。
「…やはりそうか」
「海之くん…?」
「…成程ね」
「かっちゃん?」
海之や刀奈は何かに気づき、クロエとマドカも同じなのか頷く。
「ついてきて。見せたいものがあるんだ。そこで詳しく話すからさ」
…………
束の秘密研究所 格納庫
束の案内で先程のとはまた別の格納庫にやってきた一行。そこにはいつの間にか移動していたスコールとオータムもいた。
「お、来たか。待ちくたびれたぜ」
「どうだいふたり共?」
「問題無いわ」
そう言う彼女らの傍には…見た事が無い四体のISがある。
一体目は金と白の機体。肩と腰から伸びているアームユニットの先に細長いコンテナらしきユニットがいくつも繋がっていて、まるで四枚の翼が生えている様に見える。
二体目は黒と黄色という配色の機体で、背部には身長よりも高い大型のサイドコンテナがふたつある。
三体目は白と紫色の機体で、頭の上から纏う様にある巨大なバックパックがある。他に比べるとボディは細身の設計。
そして四体目目は青と白という感じの配色で、左腕に肩に付ける感じの巨大な盾。右腕に実体剣が付いた機体。
何れも従来のISよりも細身で全て全身装甲。マスクも似ていて兄弟の様にも見える。
「これは…」
「カッコいいね〜」
「見た事無いISばかりですわ。しかも全て全身装甲とは…」
「これは……完成したのですか束様?」
「知ってるのクロエ?」
「はい。これらは束様が研究されていた、宇宙での活動を目的とするISです。ベアトリスの開発優先で遅れておりましたが…」
「宇宙での活動なら全身装甲がベストだからね。でもこれはまだそのプロトタイプって感じなんだ。ベアトリスより完成が遅れた分、より改造する事もできたけどね」
「これでプロトタイプ…。各国は第4世代にも手が届いてないのに…」
「因みに名前は左から「メタトロン・シューピア」、「セルケスティス」、「スローン・オブ・ヴァイオレット」、そして「
「暁桜…」
「す、凄いけどそれはさておき束さん!さっきの言葉!」
「そ、そうです博士!私達が行けないってどういう事なんですか!」
「ああそうだったね。…さっきも言ったけど鈴ちゃん達は行けない。魔界に行くのはみーくんといっくん以外に四人だけ。このIS達を使ってね」
「四人だけ…ですか!?」
「それもこの四機のISで!?」
「この子達には既にドレッドコートを装備してある。残りひとつあるけどそれはいっくんの白式にこれから装備する。それで最後、それ以上は行けない。もっと日数があればできるかもだけど、みーくんの言う通りもうそんな時間も無いからね」
「そんな…」
「じゃ、じゃあ僕達をこのISに乗せてください!そうすれば」
「残念だけどそれも誰か決めてるよ。ちゃんと四人、内ひとりにはまだ話してないけどね。そしてその四人を選んだのはちゃんと理由があるんだよ」
「理由…?」
するとここで刀奈が出てきて話した。
「皆、博士はドレッドコートの説明の時、こう言われたわ。「耐性ができてる人が使っても問題無い」と。それはつまり「耐性が無い人は使う事が出来ない」という意味よ。そうではないですか博士?」
「…ビンゴ。
「…ええ」
「だから使うには少しでも魔力に耐性がある人がいいんだよ。安全性を高めるためにはね」
「魔力に耐性ある人って…でも海之以外にそんなの誰が…」
すると今度は海之が引き継ぐ。
「……いや、いる。ここに全員な」
「!だ、誰なの海之?」
「魔力への耐性を持つ。つまり「過去に魔に触れた事がある者」だ。つまり」
「アタシらって訳だ」
声を出したのはオータムだった。次にスコールも続く。
「貴女達の代わりに私達がその魔界という所に行ってあげるわ」
「…えっ!?」
「スコールさんとオータムさんが魔界へ!?」
「お、おふたりがどうして…」
「さっきの話聞いて無かったのか?アタシらは前に
「あ…」
「だから魔への耐性というものは普通の人、貴女達よりもある筈よ」
「…そうか。俺が行けるのは前にDNSを使ってるから」
「そういう事よ織斑一夏。それにこの子達は一応私達の専用機でもあるから」
「!これがお前達の専用機だと!」
「お前ら驚いてばっかだなほんと。メタトロンはスコールの、セルケスはアタシのだ。これでも使える様になるまで苦労したんだぜ〜」
「本当か姉さん!?」
「だって〜ふたり共今は束さんのボディーガードや実験台もやってくれてんだからね。専用機持たせる位はしてあげなきゃ♪」
「じ、実験台ってなんか酷い様な…」
「もう慣れたよそんくらい」
「スコール、オータム。だとしてもお前達が何故?今はどうあれ、少し前まで敵同士だったんだぞ?」
「束からの命令もあるし、あと……ま、難しい話じゃないわ。ただそんな気になっただけよ♪」
「あのガキを助けに行くのはあんまり気が進まねえが…スコールがやる気だしな。あとあのガキに借りを作っとくのも悪くねぇ」
「それに私達は既に世捨て人同然。こういう仕事向きよ」
スコールは笑いながら、オータムはめんどくさそうにそう言う。が、不思議と嘘をついている様には見えない。
「それで博士。こちらの紫と青の二体は誰が?」
「うん。先ずは暁桜の方だけど…実を言えばこの子はちーちゃんのために造ってたものなんだよね」
「!千冬姉の?」
「暮桜はもう旧型だからね。だから渡してあげようと思ってたんだけど…肝心のちーちゃんがね〜」
「……」
「だから開発途中で置いてたんだけど今回の件で再調整したんだ。で、この子に乗る子なんだけど、ちーちゃんがいないからまだ確定してないんだ。ただね…」
「な、なら私が乗る!」
「いや僕が!」
「待てふたり共。見れば剣を使うISだ。ここは私が」
「いや、駄目だ」
鈴やシャル、箒を止める様に声を出したのは…マドカだった。
「マドカちゃん…?」
「…………私が乗る」
マドカの答えに当然皆、特に一夏は動揺する。
「マドカ!?」
「な、なんでよ!アンタはもうISには」
「千冬のために造ったもので、千冬がいないのならば最適なのは私だろう。それに私もスコール達と同じくDNSを何度も使っている。それにそもそも、このために私を呼んだのだろう?」
「……まあね」
「!どうしてだ束さん!マドカはもう戦いには出さないと約束しただろう!」
「私も最初悩んだよいっくん。…でもひーくんを助けるために出来ることは全部やろうと思ったんだ。ひーくん、そしてみーくんは私の恩人のアルティスさんと雫さんの子供。でももうふたりはいない、ちーちゃんも無理。だから決めたんだよ。三人の分まで私がふたりの助けになるって」
「束さん…」
「束様…」
「…これ一度きりでいい。改めて君の力を貸してほしい」
束はマドカに近寄りそう言った。マドカは再び暁桜を見つめると、
「あの男には以前の詫びもある。銃を向けた詫びがな」
「マドカ…」
「だが今回だけだ。いいな?」
「そう言ってくれると思ってたよ~ん♪」
「…マドカ、わかった。兄貴としてお前は俺が守る。千冬姉の分まで!」
「いらん心配だし、お前は弟だ」
「少しの間だけどまた宜しくね、マドカ」
「ああ」
「半年もIS乗ってねぇんだ。足引っ張んじゃねぇぞ?」
「そのままそっくり返してやる」
「……」
「これであとはこの紫のISね…」
「それならご心配ありません。私が行きます」
「クロエ!?」
「姉上!?」
「このヴァイオレットはそもそもベアトリスと同じく私用に調整されたものです。ですから」
しかしここで束がクロエにストップをかける。
「待て待て待て〜」
「!た、束様?」
「ヴァイオレットは確かにくーちゃんのために造ったけど、今回魔界に行くという事で調整は別の人用に変更済だよ」
「!で、ですが束様。別の方とは一体!?」
「もうひとりいるじゃん。この中で魔力に触れた事がある人がひとり」
それを聞いて皆考察する。スコール、オータム、一夏、マドカ。それ以外に誰か以前魔に触れた事がある者とは。そんな中で海之はわかっていたらしく、その者の名前を呼んだ。
「アンタなんだろう?……束さん」
「「「!!」」」
海之の言葉にスコールとオータム以外の全員に驚きの表情が浮かぶ。刀奈やクロエもこれは考えてなかったらしい。驚いていないのは海之、スコール、オータム、そして呆れ顔のマドカだけだ。
「ニシシシさっすがみーくん♪ワタシダ」
「「束さん(様)!?」」
「「「博士!?」」」
「姉さん!?」
「いやいやそこは「オマエダッタノカ」ってツッコミ入れるとこでしょ〜?ま、いっか。そうだよ〜ん私も魔界に行くぜ!」
「た、束様が魔界にってそんな!何を仰るのですか!」
「私前におかしなゲテモノIS着てたでしょクーちゃん?あれも実は魔力含んでたんだよね~。オマケに束さんオーガスのせいで人格まで変えられたじゃん?一番影響受けてんじゃん?」
「そういう問題じゃねぇよ束さん!」
「そうだ危険すぎる!姉さんがそんな場所に行く必要は無い!」
「失礼だなチミ達~。これでも束さん、ちーちゃん以上にステータス高いんだよ~生身でISと戦える位。それにそれを言うなら皆も学生で子供だよ?皆こそ危険な場所に行く必要ないよ」
「で、ですが博士!博士には立場というものがありますわ!」
「博士にもし万一なにかあれば世界にとってとてつもなく大きな損失になります!」
「立場なんてどうでもいいし、ひーくんに何かあったら君達にとってとてつもなく大きな損失になるんじゃないの?」
「そ、それはそうですけどでも!」
「…束さん。気持ちはありがたいがクロエや箒達の気持ちもわかってやれ。俺も貴女にそこまでやらせるのは」
「十分理解しているさみーくん。…でもね、束さんにとってはね、世界よりも束さんの大切な人達やISの方がよっぽど大事なんだよ。もしそれを傷つける者がいるなら大日如来より慈悲深い束さんも毘沙門天より怒るよ」
強い口調でそう言い切る束。こうなると…彼女は変わらない。それはつきあいが短い期間でもわかる者にはわかるだろう。特に彼女を母とも慕うクロエは不安が大きいらしく、表情が暗い。
「束様…」
「だいじょぶだいじょぶくーちゃん。みーくんやいっくん、スーちゃんにオーちゃんにマドカっちも一緒なんだよ?こんな心強いボディーガードはいないでしょ?ちーちゃんがいればより完璧だけどそこはホラ、悪魔どもへのハンデって事でさ♪」
「でもそんな時に私も一緒にいられないなんて…」
「クロエ」
クロエの肩に手を置くのは海之。その表情は束の意志を理解しているのか、もう彼女を止めようとはしなかった。
「安心しろ。束さんは必ず無事に連れて帰る。火影を見捨ててもな」
「いやいやダメだろ海之。とまぁ冗談は置いといてクロエ、お前の代わりに俺達が束さんを守る。約束するよ」
「海之兄さん…一夏さん…」
「束のボディーガードは一応私達の仕事なんだけれどね」
「別にいいさ。邪魔にならなければな」
「てな訳で確認だけど魔界に行くのはみーくんといっくん、スーちゃんにオーちゃん、マドカっち、そして束さんの6人て事で…いいね?」
「……」コク
「はい!」
「ええ」
「へ〜い」
「妙な呼び名はやめろ」
海之達は了承した。残される結果になる少女達、中でも鈴やシャルや本音はまだ未練があるのか落ち込みが大きい。
「そういう訳だ。皆はここまでだ」
「ああ俺達に任せてくれ!」
「「海之(くん)…」」
「「「一夏(さん)(くん)…」」」
「そ~そ~。それにさ、君達が魔界行くのひーくんきっと一番望んでないよ?きっと会った時めっっっちゃくちゃ怒るよ。ひーくんに嫌われたくないでしょ?特に鈴ちゃん達は」
「私達を信じて待っていろ。重要なのは「誰かが行く事」であって「お前達が行く事」ではない。目的を間違うな」
「いいな?」
「………」コク
「…はい」
「わかり、ました…」
重なる説得に鈴達もしぶしぶ折れるしかなかった。
「よっしゃ!そうと決まったら急いで百式に取り付けるよ~♪悪いけどいっくん一日預けてってね。じゃあ明日現地で合流で!」
メンバーも決まり、明日の合流を約束してこの日は解散となった。
Mission08
「夜…そして魔界へ…」
新型ISのモデル、わかる方はわかると思います(汗)。武装はオリジナルも含めます。