IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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1-1のクラス代表は一夏で決定した。
突然の代表決定、そして祝賀パーティーの開催に驚きを隠せない一夏だが、火影やセシリア達の気持を受け、一夏は了承する。

クラス代表となったからには一夏にもっとたくましくなってほしいとセシリアと箒は自分達で一夏を鍛える事を約束する事になった。
(最も他に理由が無いわけではないが)


Mission21 双子語る

一夏の1-1代表決定パーティーが終わって数日後。

 

この日の授業が終了し、海之はISの整備室に来ていた。目的は自身のISの調整と一夏への贈り物の作製のためである。

海之のISウェルギエル。そして火影のアリギエルはバリアも絶対防御も基本的に存在しない。おまけに受けた傷も直ぐに治る等、他のISを遥かに凌駕する再生能力を備えているため、メンテナンスも大して必要無いのだが全くという訳ではない。そしてウェルギエルの射撃兵装の幻影剣はビームで作られた剣なので、実弾兵器がメインのアリギエルよりはSEを消費してしまうのである。だからたまにはこうして調整を行う必要があるのだ。因みに今整備室は海之1人である。

 

海之

「……」

 

海之が作業しているとそこに火影が同じく整備をしに入ってきた。

 

火影

「よう海之。どうだ?一夏へ渡す予定のあれは?」

海之

「お前か…。もう数日という感じだな。今最終調整だ」

 

そういう海之の手元には一振りの剣があった。

 

火影

「やっとか…。しかし設計図があるとはいえ、やっぱり直接作るとなると時間がかかるもんだな「魔具」って。今作っている奴だけでも2年位掛かったんじゃなかったか?」

海之

「仕方がないだろう。あれは本来「悪魔達の命や魔力の残り香」若しくは「悪魔そのもの」だ。同じ様にはいかん。おまけにこの世界には「魔力」そのものが無い。この世界で使おうと思えば設計そのものから作り変えねばならん。俺達が知っている物とは似ている様で根本的には全く別物だ」

火影

「なるほどな…。一夏に贈るのもそうだが、俺とお前のは?」

海之

「それも間もなく完成だ。一夏のよりは少し遅れるがな」

 

そういう海之の前の画面にはふたつの籠手の様な物のデータがあった。

 

…………

 

火影と海之。正確には二人の前世であるダンテとバージルだが、こちらに転生される際、少女に自分達がかつて使っていた「魔具」の設計図を依頼した。

※詳しくはプロローグをお読みください

 

その約束通り今から3年前、二人が自己訓練のためにISを起動した所、いつの間にかウェルギエルの中にこのデータ、「魔具」の設計図が追加されていたのだ。だが本来魔力によって動くそれらは前世で自分たちが使っていた物とは全く別の物と言ってよく、依頼した海之自身もなかなか時間が掛かっていた。

 

火影

「しっかし、随分変わった世界にいたんだな俺達って。この世界に来てからマジそう思うぜ」

海之

「それについては同意する。だがもはや悪魔も魔界も無い。俺たちはこの世界で生きて行くしかないんだ。前にも言ったがもう遠い昔の話だ」

火影

「まあな。しかしつい思い出しちまうんだよなぁ。俺達のIS見てっと」

 

そういうと火影は整備スペースに立っている自分達のISを見た。

 

アリギエルとウェルギエル。

機械的なものにこそなっているがあるがあれはかつての彼等を模したものだ。だから最初にあれの姿を見た時は二人ともそれなりに驚いた。おまけに武装までそのまま。幻影剣が魔力からビーム仕様に変わった事以外、見た目も含めほぼそのままと言っても過言ではない。なぜここまで同じなのかはわからない。もしかしたらあの少女の遊び心かもしれない。

 

火影

「あとバリアと絶対防御が急所以外に無いっていうのも驚いたな」

海之

「そうか?俺からすればそんな物必要無い。痛みを感じないと戦いの意味まで忘れてしまう。まあ本来ISは宇宙での活動、若しくはスポーツが目的だから必要かもしれんが。だが兵器として利用するのであればそんなもの無くて然るべきだ」

 

そう。ISは本来、束が宇宙での活動を目的として作られたパワードスーツ。そしてバリアも絶対防御も宇宙の危険から操縦者を守るために作られた。しかし世界の裏側ではISを兵器として見ている者も多い。それを海之と火影は危惧していた。

 

火影

「確かにな。あと気になるといえばアレだが…」

海之

「ああワンオフアビリティー(唯一仕様)か…。ずっと封印されたままだが…」

 

そう。アリギエルとウェルギエルには一夏の白式が持つ「零落白夜」の様な唯一仕様があるという事がわかったのだが何故か強固に封印されているのだ。

 

火影

「まあそれについては今は放っておいても大丈夫だろ。9年間使っている俺達も特に違和感も感じねえしさ」

海之

「……そうだな」

 

火影と海之が話していると整備室の扉が開いた。

 

火影・海之

「「ん?」」

 

振り返るとそこには海之のルームメイトの簪がいた。

 

「…あっ……海、いや、エヴァンスくん」

海之

「ああ、簪さん」

火影

「知り合いか海之?」

海之

「ああ。俺のルームメイトだ」

火影

「そうか。海之の双子の弟で火影だ。宜しくな」

「は…はい…宜しく…」

火影

「じゃ海之、後でまたな」

海之

「ああ」

 

そういうと火影はアリギエルをアミュレットに戻し、整備室から出て行った。海之はまた自分の作業に戻る。

 

「……」

 

簪は立ち尽くしていた。

 

海之

「…?もしかして邪魔か?なんなら出て行くが?」

「あっ!!う、ううん、なんでも無いの…。だから続けて」

海之

「そうか」

 

そう言うと簪は隣の作業スペースに移動して何かの作業に入る。

 

(…海之くんが作っているのは…剣?もしかしてISの?…海之くんってISの武器も造れるんだ…。あっそんな事より)

「あの…エヴァンスくん?」

海之

「何だ?」

「この前の試合、怪我してたよね…?大丈夫?」

海之

「ああ大丈夫だ。…心配してくれてたのか。ありがとう」

「!! う、ううん!」

 

簪は頬を染めて顔を反らした。

 

海之

「…そういえば簪さん」

「え?…何?」

海之

「さっき俺の事を一瞬名前で呼びかけてまた名字で呼び直したが、別に名前でも構わないぞ」

「…え?ほ、本当?」

海之

「ああ」

「う、うんわかった。…海之くん」

 

そう言って二人はお互いの作業を再開した。因みに簪は暫くの間頬を染めたままだった。

 

 

…3日後

 

IS学園の校門前にキャリーケースを持った一人の少女がいた。箒やセシリアよりも少し小柄でツインテールの少女である。

 

ツインテールの少女

「ここがIS学園ね♪…待ってなさいよ一夏!」




次回、ヒロイン1人登場です。

あと今回久々にDMCの情報を入れてみました。剣や籠手の正体も後ほど明らかにします。

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