IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
1-1にやって来た鈴は一夏や火影達へとりあえず挨拶をすませ、教室へ戻る。その様子に火影達はまた一波乱ありそうな予感がするのであった。
鈴の突然の到来から数刻後。食堂に向かっている火影、海之、一夏、箒、セシリアがいた。しかし…
箒・セシリア
「お前(一夏さん)が悪い(悪いのですわ)!!」
一夏
「なんでだよ…」
箒とセシリアはかなり気が立っていた。
と言うのも二人は先ほど、突然教室にやってきて一夏を名指しで呼んでいた鈴。そして彼女を知っているらしい一夏。そんな二人が気になって授業に全然集中できなかったのだ。おまけにそれを千冬にしっかり見破られ、昼休憩までに何発も千冬の出席簿を受ける羽目になったのである。一夏からしたら理不尽極まりないが彼女らはそんな事を考える余裕も無いようだ。そんな彼女らに海之が言った。
海之
「落ち着け二人共。織斑先生に怒られたのは結局二人の自業自得だろう?授業に集中していればそんな目に合わなかったんだ。それをこいつのせいにするのはお門違いだ。それに彼女は後で会うと言っていただろう?慌てずとも彼女の正体は後1、2時間で自然にわかるのだからそれまで待てば良かったんだ」
箒
「うっ…」
セシリア
「た、確かにそうですわね…」
海之の正論極まりない意見に二人は何も言えなくなる。
一夏
「海之って大人だな」
火影
「まあそれなりに人生経験してるからな…」
一夏
「えっ?」
火影
「いや、気にしなくて良い。…って、お待ちかねみてーだぜ」
見ると待ち受けいたのか、食堂の券売機の前で陣取っている鈴がいた。
鈴
「待っていたわよ!一夏!あと火影!」
一夏
「…凄んでいる様だけど全然似合ってねーぞ?」
鈴
「う、うっさいわね!」
火影
「落ち着け。ちゃんと話はする。あとそこに立っていたら購入者の邪魔だぞ」
鈴
「うっ、ご、御免なさい。席は取ってあるから早く来てよね!」
そういうと鈴は席に歩いて行った。
火影
「…やっぱり色々騒がしいな」
海之
「…全くだ」
…………
火影や一夏達は自分達の注文を受け取り、鈴が待つ席に向かった。因みに席は一夏の左隣に箒、次にセシリアの順。反対側で一夏の正面に鈴が座りその右隣に火影、海之の順だ。
一夏
「お前相変わらずラーメンかよ」
鈴
「い、いいじゃない好きなんだから!」
箒
「さて…、今度こそ話を聞かせてもらおうか。一夏、お前とこの女はどんな関係だ?」
セシリア
「そうですわ!いきなり名前で呼び合うなんて。…ま、まさか付き合ってらっしゃるなんて!?」
鈴
「な!バ、バカ言うんじゃないわよ!こいつとは…」
一夏
「違うよ。俺と鈴はただの幼馴染だよ」
鈴
「……そうよ」
一夏の答えの内容に少し落ち込んだかのような鈴。その様子を見て火影は鈴も一夏に惚れているなと感じた。自慢ではないが前世の仕事で色んな人に会っただけあってこういった感情を見抜くのは結構自信があった。
火影
「幼馴染なら名前で呼んでいたのも納得だな。…あれっ?同じ幼馴染なのに箒は知らねぇのか?」
一夏
「ああ。鈴とは箒と別れた直後で知り合ったんだ。入れ違いってやつだな。と言っても鈴ともそんな何年もいた訳じゃねぇけど」
火影
「そういうことか」
箒
「私と別れた後で知り合ったのか…。そういえば挨拶が遅れたな。一夏の最初の幼馴染、篠ノ之箒だ。宜しく」
鈴
「私の前…、あっうん。同じく幼馴染の鳳鈴音よ。宜しくね」
そういう二人の間には火花が見えた気がした。
火影
(…お前も大変だな)
一夏
(へっ?なにが?)
火影
(ハァ…)
一夏
(?)
すると今度はセシリアが言いだした。
セシリア
「ちょっと!この私を無視するなんて失礼ではありませんか!?」
鈴
「…あんた誰?」
セシリア
「なにか凄く失礼な態度の様な気もしますが…、まあよろしいですわ。イギリス代表候補生、セシリア・オルコットですわ。以後お見知りおきを」
鈴
「ふ~ん、そっ」
セシリア
「なっ!?」
そんなセシリアを尻目に鈴は今度は火影に訪ねる。
鈴
「それはそうとあんたにも聞きたいんだけどさ火影。一夏の時はニュースや新聞であんなに話題になったのに、あんたと海之の事は今の今まで全く知らなかったわよ!私最初にあんた見た時かなり驚いたんだから!」
火影
「ああ、それはな…」
…火影は自分と海之がIS学園に入った経緯を話した。
鈴
「ふ~ん、ある人からの推薦ねぇ。所で私のクラスでもちょっと聞いたんだけど、あんたと海之って兄弟で試合やったんでしょ?どうだったの?」
火影
「時間切れの引き分け。不完全燃焼だ」
海之
「同じく」
一夏
「いやいや、あれが不完全って…。見ていた全員お前らの試合にまるで付いていけてなかったじゃねーか。鈴にも見せたかったぜ、2人の凄すぎの激闘を」
鈴
「そ、そんなに凄かったんだ…。なんなら今度私とも戦ってみない?あっ、そうだ一夏!あんたも専用機持ちなら私が操縦教えてあげよっか?」
その言葉に箒とセシリアが強く反論する。
箒
「必要無い!一夏は私達で教える!」
セシリア
「そうですわ!あなたの出る幕ではありませんわ!」
鈴
「私は一夏に聞いてるんだけど?2人には聞いてないわよ」
鈴の言葉に箒とセシリアは更に反論しようとするがそれを阻止するかの様に海之が割って入る。
海之
「鈴、一夏の事を思うお前の気持ちはありがたい。しかし今はタイミングが悪い。2週間後にはクラス対抗戦も行われるしな。今お前が一夏を教えたら1-1の生徒は1-2がスパイ活動を行っていると反論するだろう。更に1-2の前の代表はお前を信じて代表の座を渡したんだろう?だったら代表者としてクラスメイトの思いを無駄にするような事をしてはいけない」
海之の正論に鈴は…
鈴
「た、確かにそうね…。わかったわ。一夏いいわね!幼馴染だからって手加減はしないわよ!」
一夏
「お、おう!」
鈴
「…じゃあ私はこれで。あっ一夏。今日放課後空いてる?」
一夏
「ん?ああ悪い、今日は火影達や箒達と訓練するから無理かも。明日なら空いてるぜ」
鈴
「そっ。じゃあ明日の放課後空けといて!それじゃ。火影もまたね」
そう言って鈴は去って行った。
箒・セシリア
「「…」」
火影
「ふ~、昼休みなのにどっと疲れたな…」
海之
「全くだ。……二人共。反論するならちゃんと相手を納得させられる理由を考えてからにした方が良い。子供が自分の持ち物を取られたく無くて駄々こねるのと変わらんぞ」
箒・セシリア
「…そうですね(わね)…」
反論しようがない箒とセシリアはそう言うしか無かった。
一夏
「やっぱり海之って大人だな…」
一夏はただただ感心していた。
次回、海之の贈り物がわかる回です。