IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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IS学園の1-2に転校してきた中国の代表候補生、鳳鈴音。
一夏や火影達は食堂で彼女と再会し、互いの自己紹介をしながら交流を持つ。
鈴は一夏に訓練のコーチを自薦するが、クラス対抗が近い事などからとりあえず保留にする事に。そして鈴は一夏に明日の放課後再び会う約束をとりつけ、去って行くのだった。


Mission24 その名はアラストル

IS学園内 アリーナ

 

鈴を交えた昼食と午後の授業も終わり、本日の工程は終了した。放課後は生徒が自主的にアリーナを借りて訓練したり、部活や生徒会活動に勤しむ時間帯である。

 

そんな中火影、海之、一夏、箒、セシリアの5人は今日もアリーナを借りて訓練していた。一夏が代表となってからは箒とセシリアが約束通り2人で一夏のコーチをし、火影と海之はその付き添いだ。実力からすれば2人に教わるのが確実なのだが、一夏曰く戦い方や技術が今の自分には程遠いレベルであり、追いつけそうにないと自ら辞退した。とはいえ…

 

「こうビュンッと避けて、思い切りズガーンッという感じだ!」

セシリア

「もっと相手の盲点に入るための瞬間的な速度をあと7.82%ほど上げて…」

 

聞いての通り箒とセシリアの両名とも教え方にやや難があるため、2人はそのサポートとして参加している。因みに箒は専用機を持っていないので学園の訓練機を借りている。そんな調子で訓練は進み…。

 

「それじゃ今日はここまでだ」

セシリア

「お疲れ様でしたわ、一夏さん」

一夏

「あ~疲れた~」

火影

「お疲れさん。ほらよ3人共」

 

そういって火影は3人にドリンクを差し入れした。そして3人がISを解除しようとすると、

 

火影

「ああ一夏、お前はちょっとまだ待て。渡す物がある」

一夏

「渡す物?」

火影

「ああ。この前言ったろ?海之からの贈り物の件。あれが完成したんだよ」

一夏

「本当か!?」

「そう言えばそんな話があったな…。ISと関係あるものなのか?」

火影

「まあな。海之」

海之

「ああ」

 

そう言って海之は手を前に翳し、バススロット(拡張領域)を起動させる。因みにバススロット(拡張領域)とはISの武装を量子変換させてしまって置ける外付けHDDの様な物である。

やがて海之の手には一振りの剣が握られていた。

 

「剣だと?」

セシリア

「見たこと無い剣ですわね」

一夏

「カッケー!もしかしてこれが?」

海之

「ああそうだ。受け取れ」

 

そういうと海之は一夏に手渡した。

鞘に収められているそれは全体的に黒に近い灰色。鍔の部分はドラゴンの頭部と翼を模した様な彫刻が彫られ、その開かれた口から刀身が伸びている様に見える。従来のISの武装に余り見られない特徴はアリギエルの持つリべリオンに近い印象が見られた。

 

火影

「そいつは海之が造ったんだ」

「なんだと!?」

一夏

「マジか!?すげーな海之!」

海之

「ああ。因みにそいつの名はアラストルという」

セシリア

「アラストル…。ゾロアスター教の魔神の名前ですわね…」

火影

「ああ。本来ならそいつは僕達が使う予定だったんだけどな。お前の白式の特徴を知ってお前にやる事にしたんだ」

一夏

「白式の特徴?」

海之

「一夏。お前の白式の基本戦闘スタイルは相手の攻撃をかわし続けて隙をついて高速で接近、零落白夜で一気に相手のエネルギーを奪う、というものだ。つまり攻撃をどれだけ上手く避けれるかが勝利の鍵と言っても良い」

 

一夏、箒、セシリアは頷いた。海之は続ける。

 

海之

「だがお前ははっきり言ってまだ白式のスピードを上手く活かしきれていない様に思える。最初よりは幾分マシにはなったがまだ無駄な動きが多い」

一夏

「…まあな…」

 

その原因は自分のコーチの教えにある様な気がしたが一夏は黙っておいた。

 

海之

「そこでこのアラストルだがこいつにはちょっとした機能があってな。ISの基本スピードを上げる事ができる。最大出力で約3倍だ」

「な!3倍だと!?」

一夏

「マ、マジかよ…」

セシリア

「本当にですの!?」

海之

「ああ。だが決していきなり最大で使用するな。今はせいぜい1.2倍位にしておけ」

一夏

「へ?なんで?」

火影

「高速で動くという事はそれだけ身体に負担がかかってしまう。ジェット機やロケットで重力の話聞いたこと無ぇか?あれの操縦士はまず重力に耐える訓練から始めるんだよ。発射や飛行中に発生する重力に身体が潰されないようにな。…ちょっと話がずれてしまったが。因みに今の白式のスピードの3倍で動く場合、計算上6~7Gに近い力がかかる。わかりやすく言えばお前の体重の6倍の重量が正面から向かってくるのと同じだ」

一夏

「ゲッ!」

海之

「だから最初は低いレベルから行え。そしてそのスピードに十分慣れてからレベルを上げろ。そうすれば重力の影響も受けにくくなるだけでなく、今の白式のスピードが遅い位に感じられる様になるだろう」

一夏

「マジか!?」

火影

「ああマジだ。因みにもうひとつの機能だが白式のインターフェースにアラストルが追加されているはずだ。使ってみな」

一夏

「あ、ああ………!」

 

一夏はアラストルを鞘から抜き、手に持って起動させた。するとやがて刀身のまわりに青色の電気が発生した。

 

海之

「見ての通りそいつは空気中の静電気を集め、刀身に一種のプラズマエネルギーを纏わせる事ができる。切れ味も普通より上がるだろう。ただSEを消費するから使いすぎには注意しろ」

火影

「もちろんそのままでも切れ味は折紙付きだ。雪片弐型にも負けないぜ」

一夏

「スゲー…。サンキュー2人共!」

 

一夏は喜んでいる様だ。

 

「…しかしどうするんだ?白式には拡張領域の空きが無かっただろう。量子化できないぞ…?」

一夏

「あっ!」

火影

「大丈夫だって。そのために鞘を付けたんだ」

「…へっ?」

海之

「そいつの鞘は特別性でな。鞘に入れておけば拡張領域の消費が0になる」

「…凄いな2人共…」

一夏

「よっしゃあ!さっそくこいつで訓練…」

セシリア

「ま、待ってください。本日はもうアリーナの貸出は終わりですわ」

 

何時の間にか空もオレンジに染まっていた。

 

火影

「そういえばそうだな。すっかり話が長くなってしまった。じゃあ帰ろうぜ」

一夏

「おう」

「一夏、明日はあの女と会うんだろう?」

セシリア

「決して油断なさらないでくださいまし。何かあったら直ぐに私を呼んでください!」

一夏

「だ、大丈夫だって」

「おいセシリア、抜け駆けはダメだと言った筈だぞ!」

火影

「…一夏も大変だな」

海之

「…ハァ」

 

そして一行はアリーナを後にした。




初めて具現化してみました。アラストル。
デビルメイクライ第1作に出てきた非常に有用な剣です。
原作でアラストルは使ったらスピードが大幅に上がるので白式には役立つかもと思い、一夏の物としました。あと原作では魔力の雷ですがこちらでは静電気を利用しています。

ある意味御都合主義です。すいません。

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