IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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夜の学園内を動く謎の者達。
それはシャルルが女という事がバレた事で自分達の計画が公になる事を恐れたデュノア社がシャルルを誘拐するために入りこんだ社長婦人率いる部隊であった。
夜のアリーナに忍び込み、シャルルの誘拐に成功…と思いきや、それは全てを予測していた火影が仕組んだ罠であった。
女と部隊は火影に襲いかかるが実力は歴然。成す術もなく敗れ去り、計画は失敗したのであった。


Mission42 隠れた真実

アリーナ内のとある部屋。

そこには先の戦いで敗れたシャルルの義母がいた。部屋には他に火影と事情を知っている千冬もいる。尚、部隊の隊員達は別室に閉じ込められていた。そちらには千冬から事情を聞かされた真耶が今見張りに付いている。

 

シャルルの義母

「……」

千冬

「デュノア社社長婦人ともあろうお方が随分無茶な事をされたものですね。学園への不法侵入、器物損壊、誘拐未遂。もっといえば私の生徒に対する傷害。まあ傷はついていませんから未遂でしょうが。さらに娘とはいえ盗聴までしたとなってはもはや言い逃れはできませんね」

義母

「言い逃れなんてする気もないわ。ここまでの事をしたんだもの。それにどうせ会社ももうお終い。少し早くなっただけよ」

千冬

「デュノア社のIS開発が遅れているのは知っています。でもそんな事のために娘にスパイをさせるなんて。父親母親としても許されるものではありませんね」

義母

「母親?笑わせないで。どうせ愛人、義理の娘だもの。向こうも何とも思っていないでしょうし。あの子も捕まって良かったと思ってるかもね」

千冬

「……」

 

彼女の態度に千冬ももはや何もかける言葉もない感じだ。そして次に火影が話しかける。

 

火影

「なぜシャルルに男装スパイなんてさせた?」

義母

「言ったでしょう。織斑一夏と彼の機体のデータを手に入れるためよ。男装させたのは同じ男子なら接触する可能性も高まるから。まぁ他にもいるなんて聞いていなかったけど」

火影

「そりゃ災難だったな。だが何故そこまで拘る?一夏のデータを手に入れた所で男子の操縦者や機体が量産できるわけでもねぇし、拘る意味がねぇだろ?データが欲しいなら、金出して素直に友好国にでも頼みこめば良い。同じヨーロッパのイギリスやドイツは既に第3世代を開発してるんだ。その方がよっぽど早いと思うが」

義母

「普通ならそうでしょうね。でもね。あなたは理解してないみたいだけど男性操縦者、そしてその機体のデータなんて各国が喉から手が出る程欲しいものなのよ。ましてやそのデータを解析したなんてなったらとんでもない宣伝材料なのよ。デュノア社はそれに賭けたってわけ」

火影

「ずいぶん無茶な賭けをしたもんだ」

千冬

「……」

 

千冬は弟が宣伝材料と言われた様で怒りを感じたが抑えた。

 

火影

「…あとこれもあいつから聞いたが、あんたはあいつにずいぶん辛辣に当たるらしいじゃねぇか?」

義母

「…だってそうでしょ。あの子は知らない間にできてた愛人の子よ。そんな子が突然出てきて納得できると思う?夫は責任だからって認知したけど妻の私とすれば冗談じゃないわ。私からすれば会社に置いてあげている分感謝してほしいくらいね」

 

彼女まるで悪気がない様子だ。

 

火影

「…あんたの言葉を聞いてると、昔会った一人の女を思い出すぜ。その女はある富豪の隠し子でな。富豪が死ぬと同時に莫大な財産を受け取る予定だった。だがそれを良しとしない富豪の家族は財産を受け取らせまいと女に刺客を送りこんだ。だが女の方が一枚上手だった。自分に刺客が送り込まれた事に気付いた女は自分と同姓同名の少女が孤児院にいる事を知り、ある計画を立てた。その少女こそ本物の娘で自分は別人だと信じ込ませ、刺客の目を少女に向けるという計画をな。あとは少女が死んだ後に自分が何食わぬ顔で出て行って財産を受け取り、家族は殺人罪で逮捕ってわけだ。まあ結果的に計画は失敗、誰も死にはしなかった。せめてもの罪悪感というところか、女は匿名で少女に非常に優秀なボディーガードをつけていたからな」

千冬

「最低だな」

義母

「…」

 

火影は続ける。

 

火影

「……まあ、あんたもシャルルの父親も、その女よりは若干マシなのかもな」

義母

「…えっ?」

千冬

「どういう事だ火影?」

火影

「実は調べてみてわかった事があるんです。シャルルの父親はあいつの学園行きを一夏の話が出てくる前から進めてたらしいんです。そして同時期にシャルルの方も会社に身を置いてから居場所が無いと苦しんでいたと聞いてます。それを聞いて思ったんです。もしかしたらシャルルの父親はあいつを逃がすために学園行きを進めてたんじゃないかって。表向きは男装スパイの任務として。まあ経営陣は本当にスパイをさせるつもりだったのかもしれませんが」

千冬

「なるほどな。確かにIS学園には「本学園における生徒は、在学中においてありとあらゆる国家、組織、団体に帰属しない」という特約があるからな。完全でないとはいえ、会社の中で生きるよりはそちらの方が安全というわけか」

火影

「ええそうです。ただいくら社長とはいえ、この世は女尊男卑。妻のあんたの方が実質的な裏の支配者だ。あんたの許可がなければ社長はシャルルを学園に行かせられない。そんな中で偶然出てきたのが一夏の話だ。社長からすれば一夏と一夏の機体のデータを取るという格好の名目ができた。だがさっきも言ったがそれでもかなり無茶な賭けには違いない。会社の支配者が取るべき行動とは思えん。だがあんたは最終的には了承した。これも勝手な想像だが、あんたは夫の願いを叶えてやりたかったんじゃねぇか?社の未来よりもよ」

義母

「……」

火影

「沈黙ということはそうだと捉えさせてもらうぜ?まああんたからすれば一応愛人の娘なんだから色々複雑だっただろうけどな。…良ければ聞かせてくれないか?あんたの気持を。心配しなくてもここには僕達しかいない」

義母

「……絶対あの子には話さないと約束して」

 

やがて彼女はゆっくりと話し始めた。




長くなりそうなので次回に続きます。
話としては完全にご都合主義です。すいません。

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