IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

55 / 270
ラウラの挑戦を受けた海之。
ラウラは殺気をむき出しにして襲い掛かってくるが、海之は新たに造った魔具ベオウルフ。そして幻影剣を駆使して簡単に撥ね退ける。
もはや戦う力がほとんど無くなったラウラであったがその時レーゲンに秘密裏に搭載されていたヴァルキリー・トレース・システム。そして謎の声がラウラを変貌させる。
黒い力に囚われたラウラを止めるため、海之は…。


Mission46 強さとは

海之

「お前の苦しみ、怒り、絶望、全て俺にぶつけてこい!」

黒いIS?

「グアァァァァァァァァ}

 

ラウラのレーゲンが変貌した謎の黒いISはその手に持つ黒い雪片を構え突進した。そして…。

 

ドスッ!!

 

海之

「……」

黒いIS?

「……」

 

海之の身体を貫いた。

 

一夏

「海之ぃぃぃぃぃぃ!!」

「そんな…」

「……海之…くん?」

千冬

「海之!」

火影

「……」

 

火影以外のみんなはその光景に言葉を失っていた。そしてそれは黒いISの中にいたラウラも同じだった。海之の身体を貫いた瞬間、微かに自我を取り戻したのだ。

 

ラウラ

(…えっ?…私…何を…?私が…やった?…私が?)

 

ラウラは目の前の自分がやった事が信じられなかった。通常のISでは剣が身体を貫くこと等無いのだ。更に軍人として生きてきたつもりだったがその手で誰かの身体を貫くという経験は彼女も初めてだった。それが彼女に何とも言えない恐怖を与えた。

 

ラウラ

(…嫌だ…嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁ!)

 

いくら否定しても自分の目の前の光景が事実を物語っていた。自分が海之を殺したという事実を…。

 

その時、

 

ガシッ!

 

ラウラ

(!!)

火影

「……」

火影以外の全員

「「「「!!」」」」

 

ラウラも含めて火影以外の全員が驚いていた。貫かれた海之が雪片を掴んだからだ。

 

海之

「…勝手に死んだと思うな…」

千冬

「海之!」

 

海之は腹に雪片を刺されたまま、黒いISの中にいるラウラに語りかける。

 

海之

「…ボーデヴィッヒ。俺はかつてお前と同じ様に自分の無力さを嘆き、只管に力を求めた。俺には…追い付きたい者がいた。お前にとっての織斑先生の様にな。…俺はその者の様になりたかった。その者と同じ力を手に入れれば強くなれると、そう信じていた。…だが、そんな俺にある男が言った言葉がある。…今度は俺がお前に伝えよう」

 

海之は剣を握りながら言葉を続ける。

 

海之

「…例え力を手に入れても、お前はお前以外の誰にもなれない。お前が織斑先生の教え子なら…受け継ぐべきなのは力ではない。…もっと大切な、心と、誇り高き魂だ!」

「…!」

ラウラ

(!!)

ドゴォッ!

 

海之は片手のベオウルフで黒いISに打ちつけた。その反動で剣が海之から抜ける。傷口からは血が吹き出す。

 

海之

「くっ…」

「海之よせ!無茶するな!」

「やめて海之くん!死んじゃうから!」

 

その時、

 

火影

「二人共!!」

箒・簪

「!!」

火影

「ちゃんと見ていろ…あいつらの戦いを」

一夏

「火影…」

千冬

「海之…」

 

数秒後、ウェルギエルの傷が完全に塞がり、無かった様に消える。

海之は再度ラウラに言う。

 

海之

「…そして俺の魂がこう言っている。お前を止めろと。お前を助けろとな!…お前の魂はどう言っている?ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

ラウラ

(!!)

 

ラウラは海之の「助ける」という言葉を聞き、何とも言えない感情が湧いた。

 

ラウラ

(…苦しい…。…助けて…助けて!)

 

ラウラの心の声が悲鳴を上げていた。すると、

 

黒いIS?

「!!ガガガガッ!」

一夏

「お、おいなんか様子が変だぜ?」

「…苦しんでいる?」

 

黒いISは苦しんでいるかの様に動きが乱れ始めた。

 

千冬

「海之、頼む!」

火影

「海之!」

海之

(閻魔刀よ…。かつての様な力は失ってしまったが、黒に囚われた哀れな少女を救うため、今一度力を貸せ!)

 

海之が今は何も応えない閻魔刀に話しかけた…その時、

 

「………ドクンッ」

 

海之

「!?」

黒いIS

「グオォォォォォ!」

 

苦しんでいたそれは再び雪片を構えて向かってきた。

 

海之

「おぉぉぉぉぉぉ!!」

 

海之は閻魔刀を抜いて向かっていく。そして、

 

キイィィィィィィィィィィン!!

 

剣がぶつかって激しい閃光が辺りを照らした。

…その瞬間、海之とラウラは心が通じ合った気がした。

 

海之

「……」

ラウラ

「……もう一度聞きたい。…お前は、何故そこまで強い?」

海之

「言った筈だ。俺は強くなどない。ただ知っただけだ。俺にとっての強さとは何かを」

ラウラ

「…それは?」

海之

「それは自分で見つけるものだ」

ラウラ

「…私に…見つけられるだろうか?戦う事しか知らない私に…」

海之

「見つからなければ頼れば良い。それも強さだ」

ラウラ

「…頼る?誰に?」

海之

「誰でも良いさ」

ラウラ

「………お前は……どうだ?……頼っても…良いか?」

海之

「……話し相手位にはなってやる」

ラウラ

「……ふふっ」

 

ラウラは笑っていた。

 

 

…………

 

やがて閃光が晴れた時にみんなが見たのは眠るラウラを受け止めた海之であった。

 

「海之くん!」

一夏

「大丈夫か?」

海之

「ああ。こいつもな」

 

ラウラは笑って眠っている様に見える。

 

「…笑っている?」

千冬

「こんな笑い方もするんだな。ボーデヴィッヒ」

火影

「お前にしては時間がかかったな。まあお疲れだ」

海之

「大した事はない」

一夏

「いやありすぎだろ!大丈夫なのかよ!腹貫かれたんだぞ!?」

海之

「問題無い。もう完治している」

「…つくづく驚かされるよ。お前達には」

海之

「織斑先生、ボーデヴィッヒをお願いします。…一夏、あれを見ろ」

一夏

「あれ?…!」

 

そこには先ほど斬り結んだ時に弾き飛ばされたのであろう黒い雪片が地面に突き刺さっていた。

 

海之

「お前が斬れ」

一夏

「えっ?」

火影

「お前の雪片で紛い物の雪片をぶった斬ってやれ」

一夏

「!…ああ!」

 

バキィィィィン!!

 

一夏は自らの雪片弐型で黒い雪片を破壊した。その欠片は砂となって消えた…。

 

一夏

「これで少しはムカつきが晴れたよ」

火影

「ボーデヴィッヒには何か言わなくて良いのか?」

一夏

「……う~ん、もうそれはいいや」

海之

「そういえば簪。嫌なもの見せてすまなかったな」

「ううん、大丈夫。…ねぇ海之くん?」

海之

「なんだ?」

「…やっぱり良い」

(さっき海之くんが言ってた事、前に海之くんが言ってた知り合いってゆう人の話と同じ…。まさかあの話…ううん、そんな筈ないよね)

一夏

「さて…そろそろ医務室行こうぜ。セシリアと鈴が心配だしな」

海之

「そうだな」

「…」

火影

「どうした箒?」

「いや、なんでもない…」

(私にも…海之や火影の様な力が欲しい。…一夏と共に戦える力が)

 

一方の海之も、

 

海之

(…あの時閻魔刀からほんの一瞬感じた僅かな脈動。…気のせいか…?)

 

思いそれぞれであった。

 

 

…………

 

医務室

ラウラの部屋

 

ラウラ

「う、うん。…ここは?」

千冬

「気がついたか」

 

眠りから覚めたラウラの横には千冬がいた。

 

ラウラ

「き、…織斑先生…」

千冬

「動くな、まだ体力が戻っていない」

ラウラ

「一体私は…それになぜこんなところに?」

千冬

「覚えていないのか?…まぁ無理もないか。お前はレーゲンに、VTシステムに意識を飲み込まれたのだからな」

ラウラ

「…えっ…?VTシステムって…あの違法の?」

千冬

「そうだ。お前のレーゲンに搭載されていた。過去のモンドグロッソ優勝者の力と姿をそのままコピーするという物だがその危険性と異常性故に現在は禁止されている。お前の機体に搭載されていたのも恐らく秘密裏だろうな」

ラウラ

「…そんな…」

千冬

「そしてアレは機体のダメージ、操縦者の精神状態、願望等の条件が揃って発動する。これの意味がわかるか?」

ラウラ

「…私が…力を望んだから…発動したんですね」

千冬

「…まあな」

 

だがラウラには一つ気になる事があった。

 

ラウラ

(…あの時最後に聞こえた声。あれもそうなのか…?)

千冬

「どうした?」

ラウラ

「いえ。…あの織斑先生、あいつは、海之は?」

千冬

「あいつなら無事だ。傷もウェルギエルの能力で完治している。全く大した奴だよ。腹を貫かれたのにな」

ラウラ

「…あいつは私を助けてくれた。あんな傷を負ってまで、助けると言ってくれた。なぜあいつはそこまで…」

千冬

「…お前には教えておいても良いかもしれんな。お前は3ヶ月前にあった旅客機墜落未遂事故を覚えているか?」

ラウラ

「えっ?はい。確か墜落寸前の旅客機を赤と青の光が救ったという」

千冬

「そうだ。その赤と青の光とは…アリギエルとウェルギエル。つまり火影と海之だ」

ラウラ

「!!…あの二人が…」

千冬

「念のため秘密にしておけよ。普通なら誰にもできない事だろう。私にも無理だ。あいつらは例え自分の身が危なくても、誰かを助けるために自分を犠牲にできる。そう言う奴らだ」

ラウラ

「……」

千冬

「…そして同時に生きようとする気持ちも心得ている」

ラウラ

「生きようとする気持ち?」

千冬

「ああ。例え自分を犠牲にして誰かを救ったとしても残された者達の心には深い悲しみが残り、真の幸福は訪れない。あいつらは誰も、そして自分も死なない事を心掛けている」

ラウラ

「…誰も、自分も死なない…生きようという気持ち…」

千冬

「…ボーデヴィッヒ!」

ラウラ

「!…はい」

千冬

「お前は誰だ?どう生きたい?」

ラウラ

「えっ………、私は…私は…」

 

海之

(…お前の魂はどう言っている?ラウラ・ボーデヴィッヒ!)

 

ラウラは自らの胸に手を当てて言った。

 

ラウラ

「…私は…ラウラ、ラウラ・ボーデヴィッヒとして、生きたいです…」

千冬

「…ふっ、それで良い。…ではな。私は向こうの様子を見てくる。あああと、お前は今回の騒ぎを起こした罰として来週のトーナメント開始日まで自室謹慎だ。懲罰房に行かないだけ幸運と思えよ」

ラウラ

「うっ…ありがとうございます」

 

そういうと千冬は出ていった。

 

ラウラ

「……」

 

ラウラの脳裏に先ほどの戦いでの海之の言葉が浮かぶ。

 

(受け継ぐのは力ではない。もっと大切な、心と誇り高き魂だ!)

(見つからなければ、誰かに頼れば良い)

(俺でも話し相手位にはなってやる)

 

ラウラは自分の胸の内が熱くなる気持がした。千冬に向けたものとは違う感情だ。

 

ラウラ

(この気持ちは…?)




上手く書けたかはわかりませんが海之(バージル)とラウラの戦い終了です。DMC3にてダンテがバージルに言った言葉を、バージルがラウラに伝えました。

閻魔刀の脈動。そしてラウラが聞いた謎の声とは?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。