IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
それぞれのタッグがトーナメント当日までの間を過ごす中、ついにトーナメント当日が訪れた。
それぞれが健闘を約束する中、試合の順番を決める抽選が行われる。そして最初の第一試合は火影・シャルロットペアと一夏・箒ペアであった。
タッグトーナメントの第一試合。
試合を行う一夏・箒、火影・シャルロットはそれぞれ東西のアリーナに分かれ、それぞれの最終点検を行っていた。
西側ピット
一夏・箒
箒
「まさか一回戦で火影達に当たるとはな」
一夏
「…」
箒
「一夏?」
一夏
「ん?ああ、悪い。今になって急に緊張してきたぜ…」
箒
「ふっ、三日前私にあんな事言っておいて情けないぞ。私達は言わばチャレンジャーも同じだ。全力でぶつかろうではないか」
一夏
「…ああ!」
やる気十分の二人であった。
東側ピット
火影・シャルロット
火影
「シャル。予想だが…一夏は僕との闘いを挑んでくるだろう。もしそうなったら箒はお前に任せて良いか?」
シャルロット
「うん。わかった。僕は全力で火影のサポートをするから」
火影
「ありがとよ。これはタッグマッチだ。危なくなったら助けてくれ。お前が危なくなったら僕も助けるからな」
シャルロット
「うん!」
やがて試合開始の時刻になり、それぞれがアリーナ中央に集まる。
海外からの観客の多くは男性操縦者の機体に。更に火影のアリギエルを初めて見る者も多く、驚きの声を上げている者もいた。また観客席の中には参加できなかった鈴とセシリア。そしてこの日まで謹慎していたラウラも少し離れた所で観戦していた。
観客席
鈴
「まさかあいつらが第一試合なんてね。でもいきなり注目の試合かも」
セシリア
「ええそうですわね。一夏さん、御武運を…」
ラウラ
「…あいつの弟か…」
アリーナ中央
一夏
「火影!手加減なんてしたら一生恨むからな!」
火影
「いいのか?生半可じゃすまねぇぞ?」
箒
「望む所だ!」
シャルロット
「……」
管制塔
「それでは試合を開始してください!」
~~~~~~~~~~~~~
一夏
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
ドンッ!
アリーナの音が鳴ると同時に一夏がアラストルの機能を加えた瞬時加速で火影に向かってきた。
火影
「…ほう」
ガキィィィィィン!!
だが火影はアラストルの一撃をリべリオンで受け止める。
火影
「更にアラストルの機能を使いこなせている様だな」
一夏
「まあな!だがそれだけじゃねぇ!」
火影
「…!」
ガキィィィィン!!
見ると一夏は右手にアラストルを持ったまま左手に雪片弐型を展開。更に切りつけたが、それを火影はエボニーで受け止めていた。
一夏
「銃で受け止めた!?どんな馬鹿力だよ!」
火影
「驚いたな、二刀流か。だが」
一夏
「えっ?」ドゴォッ「ぐあぁぁ!」
見ると火影の蹴りが一夏の腹部に直撃した。堪らず一夏が距離をとる。
火影
「腕しか無いと思って油断するなよ。いくぜ!」
ドンッ!
一夏
「なっ!?」
ガキィィィン!
火影は片手でリべリオンを前に構えたまま向かってきた。至近距離からの突然の攻撃。一夏は両手の剣でなんとか受け止めるが衝撃は食らっていた。
一夏
「ぐうぅぅぅ!!片手でしかも瞬時加速でもないのにこの威力だって!?こっちは両手持ちだってのに!」
火影
「受け止めたか。だがまた油断したな」
一夏
「なに!?」バアンッ!!ドオォォォン!!「ぐああああ!!」
その衝撃に一夏は吹っ飛ぶ。見ると火影の左手に持っていたエボニーがコヨーテに変わっていた。それをゼロ距離で受けたのだ。
一夏
「ぐぐぐっ…、やっぱり強えぇ…」
火影
「どうした?手抜いてほしいか?」
一夏
「いんや!これ位でなきゃ面白くねぇ!」
火影
「へっ。それで良い。来な!」
一夏
「うおぉぉぉぉぉぉ!」
…時は少し戻ってこちらは箒達。
箒
「一夏!」
瞬時加速で火影に向かっていった一夏を追いかけようとした箒は、
シャルロット
「きみの相手は僕だ!」
ドドドドドドド!
シャルロットと戦っていた。
箒
「くっ!邪魔をするな!」
箒が刀を持って向かっていく。
ガキン!キン!キン!
シャルロット
「くっ!やっぱり近接戦闘は僕の方が不利!でも負けるもんか!」
箒
「どいてくれシャルロット!」
シャルロット
「そうはいかない!火影の、二人の邪魔はさせない!」
箒
「!私が邪魔だと!?」
シャルロット
「試合の前に火影が言ってたんだ!一夏は必ず自分に向かって来る。その思いに受けて立つって!だから邪魔させない!」
箒
「!…なら先にお前を倒す!一夏と一緒に闘うために!」
シャルロット
「はあぁぁぁぁ!」
こちらもお互いの想いをぶつけていた。
観客席
鈴
「わかってはいたけどやっぱり強いわね火影」
セシリア
「ええ。それに一夏さんもなんというか…楽しそうですわ」
鈴
「確かに…。一夏だけじゃない、火影もそう見えるわ。まるで一夏が成長しているのが嬉しそうね」
ラウラ
「……」
控室
簪
「…すごい…」
海之
「…あいつら楽しそうだな」
アリーナ
箒とシャルロットの闘いは続いていた。
シャルロットはライフルとショットガンで距離を取りながら。箒はそれを全てではないが避けながらなんとか接近戦を挑もうとしていた。
箒
「くっ!流石はシャルロット!実力と専用機持ちは伊達ではない。だがこちらも負けられないんだ!」
ドンッ
そう言うと箒は瞬時加速でシャルロットに迫った。ダメージ覚悟で急な瞬時加速を行った事はシャルロットの意表を突く事になった。
シャルロット
「!!」
箒
「おおぉぉぉぉ!!」
バキィィィン!!
箒の刀が直撃し、シャルロットが吹き飛ばされる。
シャルロット
「うわぁぁぁぁぁ!!」
箒
「もらったぁぁぁぁ!!」
箒が更に追撃を行ってとどめを刺そうとする。
シャルロット
「!火影…ごめん!」
シャルロットが目を瞑る。やがて刀が振り下ろされ…
ガキィィィィン!!
シャルロット
(………あれ?僕…?)
斬られていないと感じたシャルロットは目を開けた。
そこには、
シャルロット
「!!」
箒
「なっ!?」
火影
「ふぅ」
火影がリべリオンで箒の刀を受け止めていた。一夏の隙をついて火影は瞬時加速で駆け付けた様だった。
シャルロット
「ひ、火影!何時の間に!?」
火影
「言ったろ?危なくなったら助けるってな」
シャルロット
「!」
その時遠くから一夏が瞬時加速で迫って来た。
一夏
「うおぉぉぉぉ!!」
火影
「シャル。あとは頼んだぜ」
バキンッ!
箒
「くっ!」
火影は箒を撥ね退けると再び一夏に向かっていった。
シャルロット
「……」
箒
「くっ!まさかあの距離から来るなんて…」
シャルロット
「…また助けてもらっちゃった。…僕も火影を助けたい!勝負だ箒!」
箒
「望む所!」
ドンッ!ドンッ!
箒もシャルロットも刀と剣に持ち替え、互いに瞬時加速で向かっていく。
箒・シャルロット
「「はぁぁぁぁぁぁ!!」」
キィィィィィィィン!!
…両者のSEは共にゼロになり、相打ちとなったのであった。
一方、火影と一夏の闘いも大詰めを迎えていた。これまでダメージゼロの火影に対し、一夏のダメージは大きかった。
一夏
「ハァ、ハァ…」
火影
「どうやらシャルと箒は引き分けた様だな。一夏、俺(本気)達もそろそろ決めようか」
そういうと火影はリべリオンを構える。
一夏
「ハァ、ハァ…。へへっ、火影、やっぱお前強いよ。はっきり言って無茶苦茶だ。とても今の俺じゃ敵わねぇ…。だがよ、ただじゃ終わらねぇ。最後の最後にせめて一撃でも当ててやるぜ!」
そう言うと一夏も雪片弐型を構える。
火影
「良いぜ。もし俺に一撃でも当てられたらとっておきのピザ食わせてやる」
一夏
「いいねぇ。その言葉後悔するなよ!」
そして、
ドンッ!ドンッ!!
二人は瞬時加速で突撃した。
火影
「おらぁぁぁぁ!」
一夏
「はぁぁぁぁぁ!」
バキィィィィィィィィン!!
互いがぶつかり、一瞬激しい閃光が起こる。
会場
「「「「!!!」」」」
…やがて閃光が消え、観客が見たものは、
火影
「……」
一夏
「……」
火影が一夏に肩を貸している様子だった。
一夏
「はぁ~やっぱり負けかぁ~。せめて一撃でも当てたかったよなぁ」
火影
「一夏、これ見てみろ」
一夏
「えっ?…あっ」
見ると火影の腕に良く見ないとわからない位のかすり傷ができていた。
一夏
「これって…」
火影
「こんなんじゃとても一撃とは言えないが、一撃には違いない。約束通り今度ピザ食わせてやる」
一夏
「……へへっ…、とっておきのやつ頼むぜ…」
火影
「ふっ」
地上では、
箒
「…一夏」
シャルロット
「一夏嬉しそうだね、なんか」
箒
「ああ…」
観客席
セシリア
「一夏さん、笑っている様に見えますわ」
鈴
「まあアイツにしては頑張ったじゃん。でもまぁ火影にはまだまだ及ばないけどね♪」
ラウラ
「……あれもひとつの強さか…」
控室
海之
「…ふっ」
簪
「海之くん、今笑った?」
海之
「俺も人間だからな。…さて簪、俺達も準備に入ろうか」
簪
「あっ、うん!」
こうして一回戦は火影・シャルロットの勝利で終わった。
なお、このしばらく後に行われた海之・簪の初戦は二人の圧勝で終わった。火影と海之それぞれのペアはその後の試合も順調に勝ち上がり、決勝まで進んで行くのであった。
※次回、新たな展開です。