IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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とある休日、火影と海之は馴染みの喫茶店へ。するとそこに買い物を終えたらしき鈴や簪達もやって来た。
互いに休憩を取っているとそこに強盗らしき黒ずくめの男たちが乱入。店内は騒然とする中、火影と海之は全く気にせず逆に圧倒的な強さで男達を制圧。まさにThief may cry、男達はこの店に押し入った事を深く後悔するのであった。



Mission54 夢での再会

???

 

火影

「……どこだ、ここは……?」

 

見渡してみると当たりは真っ白な空間。見る限り何も見当たらない。

 

火影

「俺は確か臨海学校へのバスに乗っていた筈…。それがなんで」

「ぷっ!あはは!ねぇ聞いた?こいつが臨海学校だって!」

「ふふっ。確かに想像できないわね」

火影

「!」

 

後ろから急に笑い声がしたので振り向くとそこに二人の人影らしきものが見える。ただ輪郭だけで表情などは伺えなかった。ただ声色からして二人とも女性である事は想像できる。

 

火影

「…誰だ?」

女性1

「久しぶりね、ダンテ。いや、今は火影…だったかしら?」

女性2

「随分可愛くなっちゃったじゃないの。若返れて羨ましいわ」

火影

「……お前らか…」

 

姿は見えなかったが火影は二人の声と口調にしっかり聞き覚えがあった。

 

火影

「お前らがいるってことは…ここは夢の中か。にしてもまたお前らに会うなんてな…」

女性1

「冷たい言い方ね。久しぶりに会いに来てあげたのに」

女性2

「そっ。特にダンテやあんたと違って人間の私はすっごく久し振りにね」

女性1

「あら、女に歳の話はタブーよ。まあ女って言っても私は魔界生まれだけどね」

火影

「…夢のわりには随分リアルな会話だな」

女性2

「あら、気づいてなかったの?まあ無理ないかもね。ここは夢であって夢じゃないわ。ダンテ、あんた達が今使っているアレ…ISだっけ?それのコアという物には人格が宿っているって聞いたこと無い?」

火影

「…ああ、確か束さんがそんな事言って…。って待て、まさか…」

女性1

「そう言う事。前より随分頭が良くなったみたいね」

火影

「…マジかよ…」

女性2

「あんたが可愛い女の子達に囲まれて浮かれているのも知ってるわよ~♪幻滅しちゃうかもね、あの子達が前世のあんたを知ったら♪」

火影

「…勘弁してくれ…。で、用件はなんだ。今まで一度も出てこなかったお前らがこうして出てくるって事はなんかあんだろ?」

女性1

「…ええ。ダンテ、あなたに話があって来たの」

火影

「……あの妙な奴らの事か?」

女性1

「気づいていたのね。ダンテ、あなたも思う事があったでしょう?あの黒い騎士、そしてあの蜘蛛の様な物体を見て。…あれは…あまりにも酷似している。かつてあなたや私、そしてバージルが関わった存在に…」

火影

「……」

女性1

「何かが起ころうとしている。でも今のあなたはかつての様な半人半魔ではない。普通の人間。如何にあなたのISが強力でもそれは変わらないわ」

火影

「……」

女性2

「でもあんたはきっと戦うんでしょ?お願いだから否定しないでよ?そんなあんた想像できないからね」

火影

「……約束しちまったからな。それに…人生は刺激があるから楽しい、そうだろ?」

女性1

「…ふふっ。そうね」

火影

「せいぜい戦い抜いてやるさ。ダンテではなく、今度は火影・藤原・エヴァンスとしてな」

女性1

「それでこそ伝説のデビルハンターダンテ、…いえもう違ったわね」

女性2

「…これ、あげるわ。もう私には使えないし」

火影

「…お値段は?」

女性2

「…守りぬくと約束して。もう私の様な子を…生みださないで」

火影

「…わかってる。でもあいつらも強えよ。お前らみたいにな」

女性2

「……」

女性1

「……さて、そろそろ現実の貴方が目覚める頃の様ね」

火影

「…どうせまたいつか出てくんだろ?アリギエルのコアなんだから」

女性1

「さあどうかしらね…。久しぶりに会えて嬉しかったわ」

女性2

「ほんの少しだけどね。勘違いしないでよ」

火影

「…ふっ。じゃあな」

 

そう言うと火影は歩いて行き、見えなくなった。

 

女性2

「……」

女性1

「ふふっ、もしかして寂しい?」

女性2

「!ば、バカな事言わないでよ!生まれ変わったとは言ってもダンテよ!私があいつにどんな感情を抱く訳!?」

女性1

「さあね♪」

 

 

…………

 

???

 

海之

「ここは…?」

 

海之もまた火影と同じ様な空間にいた。すると、

 

「おい」

海之

「!」

 

やはり後ろから声がしたので海之は振り返ると同じ様に二人の影があった。こちらも表情は伺えない。ただ先ほどの声色から一人は若い男性の様だった。

 

海之

「何者だ?」

「…名前などない。まだ生まれて2日目だもの…」

 

もう一人の方も若い男性の様に聞こえた。

 

海之

「……」

男性2

「…冗談だ…。もう9年だ…」

男性1

「…久し振りだな」

海之

「……お前達か」

 

海之もまた、二人の声に聞き覚えがある様だった。

 

海之

「お前はともかく、…お前とこの姿で会うのは初めてだな。9年ということは…お前達ウェルギエルの…」

男性2

「…そうだ。…そうでなくてもお前の事は良く知っている。…こいつよりもな…」

男性1

「それは同意するぜ。一緒に過ごした事なんて全くといってもいい位ねえし。おまけにこいつには右腕ぶっち切られたんだ。死ぬかと思ったぜ」

海之

「……」

男性2

「敵を許すほうが、友達を許すよりは容易である。…あれがあったから父親に会えたんだ。もう許してやれ」

男性1

「……」

男性2

「…転生とは…どんな気分だ?」

海之

「…よくわからんな。身体は16のくせに記憶は100年以上だ。ある意味化け物かもな」

男性2

「…否定はしないさ」

海之

「…何しに来た?」

男性1

「あんたに忠告があってな」

海之

「忠告?」

男性1

「ああ。あんたももうわかってるんだろ?あいつらの事」

男性2

「…あれはかつてのお前。そして…俺でもある。正確には違うがな。粗悪な模造品だ…」

男性1

「それにあの蜘蛛野郎。実際見た事はないがダンテの話で聞いた事だけはある。あいつらが現れたという事はなにかある。本来ならありえない何かがな」

海之

「…そうだな」

男性2

「…だがそれでも…お前は戦うのだろう?」

海之

「当然だ。俺はそれしかできん。…だがかつての俺では無い。海之・藤原・エヴァンスとして戦い抜く。徒に戦うのではなく、…守るために」

男性1

「……」

男性2

「…ふふ、わかっているさ。俺は、いや俺達は、身体こそ分かれたがいつも繋がっていたんだ。…汝が枝は我が枝と交わり、我らが枝は一つとなれり…」

海之

「忠告は受け取っておこう。…話は終わりか?」

男性2

「…ああ。もういい」

海之

「…ではな」

 

そう言って海之は行こうとすると、

 

男性1

「…おい」

海之

「?」

男性1

「やるよ」

海之

「…大事な物なのだろう?」

男性1

「大事な物をくれてやっちゃ悪いか?…あんたに預けたいからそうする。それにもう俺には使えねぇしな」

海之

「…礼を言う。…世話になったな」

 

そういうと海之は行ってしまった。

 

男性1

「……」

男性2

「良かったのか?もっと話さなくて」

男性1

「どうでもいい。もう昔の話だ。…ただ、最初からあんな奴だったら…、もう少しクソを付けず、普通に親父って…呼んでたかもな…」

 

 

…………

 

シャル

「…げ、…火影」

火影

「う、う~ん…」

本音

「みうみう~、もう着くよ~」

海之

「む…」

 

火影の隣のシャルロットと海之の隣の本音が二人に呼び掛ける、どうやら二人とも眠ってしまっていたようだ。あれは夢だったのか?しかし二人の中にはそうでない確信があった。




二人のコアNOは「W」。双子であり、宿る人格も複数という意味でとらえて頂ければと思います。今回出てきたのは誰か。彼らの口調を上手く再現できたかどうか心配です。

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